JP5718654B2 - メタ型全芳香族ポリアミド繊維 - Google Patents
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Description
このため、本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、耐熱性あるいは難燃性というメタ型全芳香族ポリアミド繊維が本来もつ性質に加えて、高強度で太繊度であるため繊維の劣化が進行しにくく、繊維製品の耐久性を向上することができる。また、繊維中に残存する溶媒量が極微量であるため、高温下での加工および使用における繊維または繊維製品の着色または変色(特に黄変)を抑制することができる。
したがって、本発明の繊維は、従来のメタ型全芳香族ポリアミド繊維では使用できなかった分野においても使用可能となり、その工業的価値は極めて大きい。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、以下の特定の物性を備える。本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の物性、構成、および、製造方法等について以下に説明する。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、単糸繊度が大きいながらも、破断強度が一定の範囲にあり、かつ、繊維中に残存する溶媒の量が非常に少ない繊維である。このため、本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、劣化が進行しにくいことから製品の耐久性を向上できるとともに、高温下での加工および使用にあっても、繊維または製品の着色または変色を抑制することができる。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、通常、ポリマーをアミド系溶媒に溶解した紡糸原液から製造されるため、必然的に該繊維に溶媒が残存する。しかしながら、本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、繊維中に残存する溶媒の量が、繊維質量に対して1.0質量%以下である。1.0質量%以下であることが必須であり、0.5質量%以下であることがより好ましい。特に好ましくは、0.01〜0.1質量%である。
繊維質量に対して1.0質量%を超えて溶媒が繊維中に残存している場合には、200℃を超えるような高温雰囲気下での加工や使用の際に、黄変しやすくなり、また、著しく強度が低下したりするため好ましくない。
なお、本発明における「繊維中に残存する溶媒量」とは、以下の方法で得られる値をいう。
洗浄工程の出側にて繊維をサンプリングし、該繊維を遠心分離機(回転数5,000rpm)に10分かけ、このときの繊維質量(M1)を測定する。この繊維を、質量M2gのメタノール中で4時間煮沸し、繊維中のアミド系溶媒および水を抽出する。抽出後の繊維を105℃雰囲気下で2時間乾燥し、乾燥後の繊維質量(P)を測定する。また、抽出液中に含まれるアミド系溶媒の質量濃度(C)を、ガスクロマトグラフにより求める。
繊維中に残存する溶媒量(アミド系溶媒質量)N(%)は、上記のM1、M2、P、およびCを用いて、下記式により算出する。
N=[C/100]×[(M1+M2−P)/P]×100
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、破断強度が5.0〜6.5cN/dtexの範囲である。5.0〜6.5cN/dtexの範囲であることが必須であり、5.5〜6.5cN/dtexの範囲であることが好ましい。さらに、5.6〜6.5cN/dtexの範囲であることはより好ましく、5.8〜6.5cN/dtexの範囲であることが最も好ましい。
(測定条件)
つかみ間隔 :20mm
初荷重 :0.044cN(1/20g)/dtex
引張速度 :20mm/分
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、単繊維の繊度(単糸繊度)が10.0〜50.0dtexの太繊度の繊維である。単繊維の繊度が10.0dtex未満であると、例えば、フィルターとして使用した場合に、水蒸気や酸性ガスによる繊維の劣化が進行しにくくなるため耐久性が生じる。50.0dtexを超える場合には、剛直性が高くなりすぎるため、製品加工時の取り扱い性等を悪化させることがある。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、円形、楕円形、その他任意の形状であってよく、多数の紡糸孔を有する紡糸口金を用いた湿式紡糸により得られる断面形状であればよい。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、破断伸度が15%以上であることが好ましく、18%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることが特に好ましい。破断伸度が15%未満である場合には、紡績等の後加工工程における工程通過性が低下するため好ましくない。
なお、ここでいう「破断伸度」とは、JIS L 1015に基づき、上記した「破断強度」の測定条件で測定して得られる値をいう。
さらに、本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、300℃乾熱収縮率が5.0%以下であることが好ましく、1.0〜4.0%の範囲であることがさらに好ましい。300℃乾熱収縮率が大きい場合には、高温に曝されると繊維の収縮が起こるため、本発明の繊維から得られる構造体の設計が困難となる。上記乾熱収縮率は、特に好ましくは0.1〜3.0%の範囲である。
なお、本発明における「300℃乾熱収縮率」とは、以下の方法で得られる値をいう。
約3,300dtexの捲縮トウに98cN(100g)の荷重を吊るし、互いに30cm離れた箇所に印をつける。荷重を除去後、捲縮トウを300℃雰囲気下に15分間置いた後、再度98cN(100g)の荷重を吊るし、印間の長さLを測定する。測定結果Lをもとに、下記式にて得られる値を300℃乾熱収縮率(%)とする。
300℃乾熱収縮率(%)=[(30−L)/30]×100
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維を構成するメタ型全芳香族ポリアミドは、メタ型芳香族ジアミン成分とメタ型芳香族ジカルボン酸成分とから構成されるものであり、本発明の目的を損なわない範囲内で、パラ型等の他の共重合成分が共重合されていてもよい。
メタフェニレンイソフタルアミド単位から構成されるメタ型全芳香族ポリアミドとしては、メタフェニレンイソフタルアミド単位が、全繰り返し単位の90モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モルである。
(メタ型芳香族ジアミン成分)
メタ型全芳香族ポリアミドの原料となるメタ型芳香族ジアミン成分としては、メタフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン等、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基等の置換基を有する誘導体、例えば、2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、2,6−ジアミノクロロベンゼン等を例示することができる。なかでも、メタフェニレンジアミンのみ、または、メタフェニレンジアミンを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合ジアミンであることが好ましい。
メタ型全芳香族ポリアミドを構成するメタ型芳香族ジカルボン酸成分の原料としては、例えば、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドを挙げることができる。メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、イソフタル酸クロライド、イソフタル酸ブロマイド等のイソフタル酸ハライド、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体、例えば3−クロロイソフタル酸クロライド等を例示することができる。なかでも、イソフタル酸クロライドそのもの、または、イソフタル酸クロライドを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合カルボン酸ハライドであることが好ましい。
メタ型全芳香族ポリアミドの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、メタ型芳香族ジアミン成分とメタ型芳香族ジカルボン酸クロライド成分とを原料とした溶液重合や界面重合等により製造することができる。
なお、本発明に用いられるメタ型全芳香族ポリアミドの分子量は、繊維を形成し得る程度であれば特に限定されるものではない。一般に、十分な物性の繊維を得るには、濃硫酸中、ポリマー濃度100mg/100mL硫酸で30℃において測定した固有粘度(I.V.)が、1.0〜3.0の範囲のポリマーが適当であり、1.2〜2.0の範囲のポリマーが特に好ましい。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、例えば上記の製造方法によって得られた芳香族ポリアミドを用いて、例えば、以下に説明する紡糸液調製工程、紡糸・凝固工程、可塑延伸浴延伸工程、洗浄工程、乾熱処理工程、熱延伸工程を経て製造される。
紡糸液調製工程においては、メタ型全芳香族ポリアミドをアミド系溶媒に溶解して、紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を調製する。紡糸液の調製にあたっては、通常、アミド系溶媒を用い、使用されるアミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等を例示することができる。これらのなかでは溶解性と取り扱い安全性の観点から、NMPまたはDMAcを用いることが好ましい。
紡糸・凝固工程においては、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を凝固液中に紡出して凝固させて凝固糸を得る。
紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。また、安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態、孔形状等は特に制限する必要はなく、例えば、孔数が1,000〜20,000個、紡糸孔径が0.07〜0.2mmのスフ用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。
また、紡糸口金から紡出する際の紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)の温度は、20〜90℃の範囲が適当である。
かかる紡糸・凝固工程により、凝固浴中で多孔質のメタ型全芳香族ポリアミドの凝固糸からなる繊維(トウ)が形成され、その後、凝固浴から空気中へ引き出される。
可塑延伸浴延伸工程においては、凝固浴にて凝固して得られた繊維が可塑状態にあるうちに、可塑延伸浴中にて繊維を延伸処理する。
可塑延伸浴液としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを採用することができる。例えば、アミド系溶媒の水溶液からなり、塩類が実質的に含まれない水溶液を用いることができ、工業的には、上記凝固浴に用いたものと同じ種類の溶媒を用いることが特に好ましい。すなわち、重合体溶液、凝固浴および可塑延伸浴に用いるアミド系溶媒は同種であることが好ましく、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)の単独溶媒、または、NMPを含む2種以上からなる混合溶媒を用いることが特に好ましい。同種のアミド系溶媒を用いることによって、回収工程を統合・簡略化することができ、経済的に有益となる。
可塑延伸浴の温度は、20〜90℃の範囲が好ましい。温度が20〜90℃の範囲にある場合には、工程調子が良いため好ましい。上記温度は、さらに好ましくは20〜60℃である。
洗浄工程においては、可塑延伸浴にて延伸された繊維を十分に洗浄する。洗浄は、得られる繊維の品質面に影響を及ぼすことから、多段で行うことが好ましい。特に、洗浄工程における洗浄浴の温度および洗浄浴液中のアミド系溶媒の濃度は、繊維からのアミド系溶媒の抽出状態および洗浄浴からの水の繊維中への浸入状態に影響を与える。このため、これらを最適な状態とする目的においても、洗浄工程を多段とし、温度条件およびアミド系溶媒の濃度条件を制御することが好ましい。
繊維中に溶媒が残っている場合には、高温下での繊維の着色または変色(特に黄変)を抑制することができず、また、物性低下や収縮、限界酸素指数(LOI)の低下等を生じさせる。このため、本発明の繊維に含まれる溶媒量は、1.0質量%以下とする必要があり、0.5質量%以下とすることがより好ましい。特に好ましくは、0.01〜0.1質量%の範囲である。
本発明の繊維を得るためには、上記洗浄工程を経た繊維に対して、好ましくは、乾熱処理工程を実施する。乾熱処理工程においては、上記洗浄工程により洗浄が実施された繊維を、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは100〜200℃の範囲で、乾燥熱処理する。ここで、乾熱処理は、特に限定されないが、定長下が好ましい。
洗浄工程の後、乾燥熱処理を引き続いて施すと、ポリマーの流動性を適度に向上させ、配向が進む一方で結晶化を抑制し、繊維の緻密化を促進することができる。なお、上記の乾熱処理の温度は、熱板、加熱ローラー等の繊維加熱手段の設定温度をいう。
本発明においては、上記乾熱処理工程を経た繊維に対して、熱延伸工程を施す。熱延伸工程においては、310〜335℃で熱処理を加えながら、1.2〜1.8倍の延伸を実施することが好ましい。熱延伸工程における熱処理温度が335℃を超える高温の場合には、糸が着色し、また、激しく劣化して、破断強度が低下するばかりか、場合によっては断糸することがある。一方、310℃を下回る温度では、繊維の十分な結晶化を達成することができず、所望の繊維物性、すなわち破断強度等の力学的特性および熱的特性を発現することが困難となる。
また、熱延伸工程における延伸倍率は、得られる繊維の強度および弾性率の発現に密接な関係がある。本発明の繊維を得るためには、通常、1.2〜1.8倍、好ましくは1.2〜1.5倍の範囲に設定することが好ましく、当該範囲とすることで、良好な熱延伸性を保持しつつ、必要となる強度および弾性率を発現させることができる。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、その耐熱性、耐炎性、嵩高性、力学特性を活かし、各種の用途に応用することができる。例えば、必要に応じて捲縮加工等が施され、適当な繊維長に切断され、紡績その他、用途に合わせた次工程に提供される。さらには、本発明の繊維単独あるいは他の繊維と組み合わせて、不織布としてフィルター等の各種工業材料として、あるいは、合成紙、複合材料の原料としても有効に使用することができる。
実施例および比較例における各物性値は、下記の方法で測定した。
重合体溶液から芳香族ポリアミドポリマーを単離して乾燥した後、濃硫酸中、ポリマー濃度100mg/100mL硫酸で30℃において測定した。
JIS L 1015に準じ、正量繊度のA法に準拠した測定を実施し、見掛け繊度にて表記した。
引張試験機(インストロン社製、型式:5565)を用いて、JIS L 1015に基づき、以下の条件で測定した。
(測定条件)
つかみ間隔 :20mm
初荷重 :0.044cN(1/20g)/dtex
引張速度 :20mm/分
洗浄工程の出側にて繊維をサンプリングし、該繊維を遠心分離機(回転数5,000rpm)に10分かけ、このときの繊維質量(M1)を測定した。この繊維を、質量M2gのメタノール中で4時間煮沸し、繊維中のアミド系溶媒および水を抽出した。抽出後の繊維を105℃雰囲気下で2時間乾燥し、乾燥後の繊維質量(P)を測定した。また、抽出液中に含まれるアミド系溶媒の質量濃度(C)を、ガスクロマトグラフにより求めた。
繊維中に残存する溶媒量(アミド系溶媒質量)N(%)は、上記のM1、M2、P、およびCを用いて、下記式により算出した。
N=[C/100]×[(M1+M2−P)/P]×100
約3,300dtexの捲縮トウに98cN(100g)の荷重を吊るし、互いに30cm離れた箇所に印をつける。荷重を除去後、捲縮トウを300℃雰囲気下に15分間置いた後、再び98cN(100g)の荷重を吊るし、印間の長さLを測定した。測定結果Lをもとに、下記式にて得られる値を300℃乾熱収縮率(%)とした。
300℃乾熱収縮率(%)=[(30−L)/30]×100
得られた繊維、および、250℃の乾燥機中で100時間の熱処理を実施した後の繊維に対して、色相値の測定を行った。具体的には、カラー測色装置(マスベク社製、商品名:マクベスカラーアイ モデルCE−3100)を用いて、以下の測定条件で測定を実施し、色相値(L*−b*)の変化を求めた。色相値(L*−b*)は、数値が小さいほど黄変が著しいことを示す。なお、L*、b*は、JIS Z 8728(10度視野XYZ系による色の表示方法)に規定する三刺激値により求めることができる。
(測定条件)
視野 :10度
光源 :D65
波長 :360〜740nm
[紡糸原液(紡糸用ドープ)調整工程]
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した、固有粘度(IV)が1.9のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末20.0質量部を、−10℃に冷却したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)80.0質量部中に懸濁させ、スラリー状にした。引き続き、懸濁液を60℃まで昇温してポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末を溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液を紡糸原液として、孔径0.11mm、孔数1500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/NMP(質量比)=45/55であり、凝固浴中に糸速7m/分、紡糸ドラフト0.20で吐出して紡糸した。
引き続き、温度40℃の水/NMP(質量比)=40/60の組成の可塑延伸浴中にて5.0倍の延伸倍率で延伸を行った。
可塑延伸の後、20℃の水/NMP(質量比)=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)、60℃の温水浴(浸漬長5.4m)、さらに、80℃の温水浴(7.2m)に順次通して十分に洗浄を行った。
洗浄後の繊維について、引き続き、表面温度150℃の熱ローラーにて定張下で乾燥熱処理を行った。
引き続き、表面温度330℃の熱ローラーにて、熱処理を加えながら1.3倍に延伸する熱延伸工程を実施し、最終的にポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。
得られた繊維(トウ)に対し、各種の測定評価を実施した。結果を表1に示す。
紡糸原液(紡糸用ドープ)調製工程において、用いる溶媒をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に変更してポリマー溶液を製造し、これを紡糸原液に用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を製造した。得られた繊維についての各種測定結果を、表1に示す。
紡糸工程において、用いた口金を孔径0.26mm、孔数1500へ変更し、紡糸ドラフトを1.13とした以外は、実施例1と同様にしてポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を製造した。得られた繊維についての各種測定結果を表1に示す。
凝固工程において、凝固液の組成を、水/NMP(量比)=70/30に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を製造した。得られた繊維についての各種測定結果を、表1に示す。
[紡糸原液(紡糸用ドープ)調製工程]
乾燥窒素雰囲気下の反応容器に、水分率が100ppm以下のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)721.5質量部を秤量し、このDMAc中にメタフェニレンジアミン97.2質量部(50.18モル%)を溶解させ、0℃に冷却した。この冷却したDMAc溶液に、さらにイソフタル酸クロライド(以下IPCと略す)181.3質量部(49.82モル%)を徐々に攪拌しながら添加し、重合反応を行った。粘度変化が止まった後、40分攪拌を継続し、重合反応を完了させた。
次に、平均粒径が10μm以下の水酸化カルシウム粉末を66.6質量部秤量し、重合反応が完了したポリマー溶液に対してゆっくり加え、中和反応を実施した。水酸化カルシウムの投入が完了した後、さらに40分間攪拌して、透明なポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液からポリメタフェニレンイソフタルアミドを単離してIVを測定したところ、1.25であった。また、ポリマー溶液中のポリマー濃度は、20%であった。
得られたポリマー溶液を紡糸原液として、孔径0.15mm、孔数1500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/NMP(量比)=45/55であり、凝固浴中に糸速5m/分、紡糸ドラフト0.16で吐出して紡糸した。
引き続き、温度40℃の水/NMP(量比)=40/60の組成の可塑延伸浴中にて6.0倍の延伸倍率で延伸を行った。
可塑延伸の後、20℃の水/NMP(量比)=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)、60℃の温水浴(浸漬長5.4m)、さらに、80℃の温水浴(7.2m)に順次通して十分に洗浄を行った。
洗浄後の繊維について、引き続き、表面温度150℃の熱ローラーにて定張下で乾燥熱処理を行った。
引き続き、表面温度330℃の熱ローラーにて、熱処理を加えながら1.2倍に延伸する熱延伸工程を実施し、最終的にポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。得られた繊維についての各種測定結果を、表1に示す。
Claims (3)
- 残存溶媒量が繊維全体の質量に対して1.0質量%以下であり、破断強度が5.0〜6.5cN/dtexであり、単糸繊度が10.0〜50.0dtexであるメタ型全芳香族ポリアミド繊維。
- 300℃乾熱収縮率が5.0%以下である請求項1記載のメタ型全芳香族ポリアミド繊維。
- 請求項1または2に記載のメタ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法であって、
凝固浴におけるアミド系溶媒と水との質量組成比を50/50〜60/40、凝固浴温度を10〜30℃、紡糸ドラフトを0.1〜0.5として凝固糸を得て、
得られた凝固糸を延伸倍率3.5〜10.0倍で可塑延伸するメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
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