JP2020111857A - メタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維及びその製造方法 - Google Patents

メタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、難燃性、機械物性などの優れた性質を持ったメタアラミド繊維において、扁平の横断面を持ちながら、従来にない高強度を有する扁平繊維を提供する。【解決手段】重量平均分子量が20万〜60万のメタ型全芳香族ポリアミドからなる繊維であって、該繊維の横断面が円形化指数0.5以下の扁平形状であり、該繊維の破断強度が3.0cN/dtex以上であることを特徴とするメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維とする。【選択図】図1

Description

本発明は、扁平な断面を有するメタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは重量平均分子量20〜60万のメタ型全芳香族ポリアミドを吐出孔が円形の口金を用いて紡糸し、繊維横断面が扁平状であるメタ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法に関するものである。
従来より、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジハライドとから製造される全芳香族ポリアミドが耐熱性および難燃性に優れていることは周知であり、かかる全芳香族ポリアミドのうち、ポリメタフェニレンイソフタルアミドで代表されるメタ型全芳香族ポリアミド(以下メタアラミドと称する場合がある。)の繊維は、耐熱・難燃性繊維として特に有用なものである。これらの特性を発揮して、例えば防護衣等の防災安全衣料用途やフィルター、電子部品等の産業用途に用いられている。
このメタアラミドはアミド系極性溶媒に可溶であり、該重合体溶液から乾式紡糸、湿式紡糸、半乾半湿式紡糸などの方法により繊維となし得ることもよく知られている。特に湿式紡糸では凝固液組成や延伸、熱処理条件を最適化することで目的のメタアラミド繊維を得ることができ、これまでに様々な手法が考案されてきた。
例えば、(a)アミド系溶媒中で溶液重合し、次いで水酸化カルシウム、酸化カルシウム等で中和して生成した塩化カルシウムと水とを含むメタアラミド重合体溶液を、塩化カルシウムを高濃度に含む水性凝固浴中に紡出せしめて繊維状物に成形する方法(特開平8−074121号公報、特開平10−88421号公報)、(b)アミド系溶媒のポリマー溶液を、紡糸口金から高温の紡糸塔中に吐出し、紡糸塔から出たところで低温の水性溶液で冷却し、これを可塑延伸浴中で延伸することで、非常に微細な多孔質で密度が1.3g/cm以下の繊維として成形する方法(特開昭52−43930号公報)、(c)実質的に塩類を含まないメタアラミド重合体溶液をアミド系溶媒と水からなる凝固浴中に吐出し凝固させて繊維状物(糸条体)とし、続いて、アミド系溶媒と水からなる可塑延伸浴中にて延伸した後に水洗、熱処理する方法(特開2001−303365号公報、特開2003−301326号公報、特開2003−342832号公報、特開2004−3049号公報、特開2005−54315号公報、特開2005−54335号公報)、(d)メタアラミド重合体溶液を、アミド系溶媒と水からなる凝固浴中に吐出して凝固させて繊維状物(糸条体)とし、続いて該繊維状物にアミド系溶媒が含まれた状態で空気中において加熱延伸した後に加熱、熱処理する方法(特開2001−348726号公報)、(e)メタアラミドと塩類を含むアミド系溶媒からなる重合体溶液をアミド系溶媒と水からなり、塩類を実質的に含まない凝固浴中に吐出して多孔質の線状体として凝固せしめ、続いてアミド系溶媒の水性溶液からなる可塑延伸浴中にて延伸し、これを水洗後熱処理する方法(特開2005−232598号公報)、(f)アミド系溶媒中で溶液重合し、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどで中和して生成した塩化カルシウムと水とを含むメタアラミド重合体溶液を、実質的に無機塩を含まずアミド系溶媒の濃度が45〜60質量%の水性凝固浴中に紡出させて繊維状物に成形する方法(国際公開第2007/089008号パンフレット、国際公開第2011/118022号パンフレット)などである。
これらの紡糸方法により製造されたメタアラミド繊維は、繊維断面が概ね円形もしくはわずかな楕円状の形状をとっており、繊維断面の形状は口金の吐出孔形状や凝固方式、その後の処理方法に依存していることは推定できるものの、紡糸方法や口金形状を変えることなく繊維断面形状を制御する方法は未だ報告されていない。
一方、繊維の横断面形状は繊維本来の機能性に寄与するだけでなく、それを使用した構造材等の機能にも影響することが報告されている。例えば、扁平の口金を用いて紡糸した扁平型パラ型全芳香族ポリアミド繊維のカットファイバーを使用して作製した不織布は、扁平構造により繊維がより緻密にかつ多層に積層されることで、円形断面の繊維を用いた場合と比べより薄くかつ強度の高いアラミドペーパーが得られることが報告されている(特開平8−127994、特開2003−49388)。
また、衣料製品においては繊維が扁平断面に形成されていることによって優れたソフト性を発揮し、表面に肌が触れた際になめらか感触を与える。また、布帛等に成形した際にソフトな風合いに仕上がり、平滑性、高密度性および光沢感といった生地外観の高品位を繊維製品に与えることができる(特開2018−53405号公報)。
このように、扁平断面を持った全芳香族ポリアミド繊維は優れた機能性を発現することが報告されており、扁平型メタアラミド繊維を自在に得ることができる手法の開発は工業的に有用なものとなる。しかしながら、例えば、口金の吐出孔形状を扁平型へ変更した場合、扁平断面繊維を得ることができるが、ドラフトおよび吐出安定性の観点から繊維強度が減少するため、扁平かつ高強度のメタアラミド繊維を得ることは難しいと考えられて来た。
特開平8−074121号公報 特開平10−88421号公報 特開昭52−43930号公報 特開2001−303365号公報 特開2003−301326号公報 特開2003−342832号公報 特開2004−3049号公報 特開2005−54315号公報 特開2005−54335号公報 特開2001−348726号公報 特開2005−232598号公報 国際公開第2007/089008号パンフレット 国際公開第2011/118022号パンフレット 特開平8−127994号公報 特開2003−49388号公報 特開2018−53405号公報
本発明の目的は、かかる従来技術における問題点を解消し、耐熱性、難燃性、機械物性などの優れた性質を持ったメタアラミド繊維において、扁平の横断面を持つ繊維を提供することにある。
なお、扁平型口金を用いた扁平断面繊維の紡糸は、前述のようにドラフトおよび吐出安定性の観点から高強度の繊維を得ることが難しいと考えられるが、本発明においては、生産上の利便性および高強度繊維を得る観点から特殊な紡糸条件や口金の採用なく扁平型繊維を得ることを目的としている。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、低分子量のメタアラミドポリマーを使用し、特定の条件で湿式紡糸することにより、吐出孔が円形の口金を用いても繊維断面が扁平状であり、かつ繊維の破断強度が3.0cN/dtex以上となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、
1.重量平均分子量が20万〜60万のメタ型全芳香族ポリアミドからなる繊維であって、該繊維の横断面が円形化指数0.5以下の扁平形状であり、該繊維の破断強度が3.0cN/dtex以上であることを特徴とするメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維であり、好ましくは、
2.メタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維のISO2470/JIS P 8148に準拠して測定したISO白色度が、該メタ型全芳香族ポリアミドからなり、且つ繊維横断面の円形化指数が0.9以上の繊維に比べて2以上高い前記1記載のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維であり、さらには、
3.単繊維の繊度が0.5〜10.0dtexである前記1、又は2記載のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維である。そして、さらなる別の発明として、
4.重量平均分子量が20万〜60万のメタ型全芳香族ポリアミドが、その濃度が15〜25質量%となるよう溶解されているアミド系極性溶媒溶液を、湿式紡糸することにより全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法において、該重合体溶液を、30質量%以上の無機塩を含む水性凝固浴中に紡出して凝固せしめることを特徴とするメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維の製造方法であり、好ましくは、
5.紡出する際の吐出孔が、円形である口金を用いる請求項4記載のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維の製造方法、
が提供される。
本発明によれば、その破断強度が3.0cN/dtex以上と良好で、かつ、繊維断面が扁平状であるメタアラミド繊維が提供される。扁平断面を持った繊維は背景に記載したような特性を発現することが期待され、実際に本発明の扁平断面繊維は表面が平滑であり、同じメタアラミドポリマーを使用して得た円形断面糸よりもISO白色度が2以上高い高光沢を有することから布帛での視認性や風合いが向上する。
また、本発明は一般に扁平断面繊維を製造するために必要とされる扁平形状の口金は必要なく、通常の紡糸に使用される吐出孔が円形の口金を用いることで扁平化を達成することができる。
また、本発明で使用するポリマーの重量平均分子量は20万〜60万であり、これは硫酸溶媒中固有粘度に換算すると0.5〜1.5程度に相当することから、紡糸に用いるポリマー溶液の粘度が低く、操作性が向上する。そのため高い紡糸圧力に対応した機器を必要とせずにメタアラミド繊維の製造を行うことができるので、本発明の工業的価値は極めて大きい。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維の1例を例示した断面図である。 本発明のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維の他の1例を例示した断面図である。 本発明のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維の他の1例を例示した断面図である。 従来のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の1例を例示した断面図である。 従来のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の他の1例を例示した断面図である。 従来のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の他の1例を例示した断面図である。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明のメタアラミド繊維を構成するメタ型全芳香族ポリアミドは、メタ型芳香族ジアミン成分とメタ型芳香族ジカルボン酸成分とから構成されるものであり、本発明の目的を損なわない範囲内で、パラ型等の他の共重合成分が共重合されていてもよい。
本発明において特に好ましく使用されるのは、力学特性、耐熱性、難燃性の観点から、メタフェニレンイソフタルアミド単位を主成分とするメタ型全芳香族ポリアミドである。メタフェニレンイソフタルアミド単位から構成されるメタ型全芳香族ポリアミドとしては、メタフェニレンイソフタルアミド単位が、全繰り返し単位の90モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モルである。
メタ型全芳香族ポリアミドの原料となるメタ型芳香族ジアミン成分としては、メタフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン等、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基等の置換基を有する誘導体、例えば、2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、2,6−ジアミノクロロベンゼン等を例示することができる。なかでも、メタフェニレンジアミンのみ、または、メタフェニレンジアミンを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合ジアミンであることが好ましい。
メタ型全芳香族ポリアミドを構成するメタ型芳香族ジカルボン酸成分の原料としては、例えば、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドを挙げることができる。メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、イソフタル酸クロライド、イソフタル酸ブロマイド等のイソフタル酸ハライド、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体、例えば3−クロロイソフタル酸クロライド等を例示することができる。なかでも、イソフタル酸クロライドそのもの、または、イソフタル酸クロライドを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合カルボン酸ハライドであることが好ましい。
上記メタアラミドの重合方法としてはメタフェニレンジアミンとイソフタル酸クロライドとを含む生成ポリアミドの良溶媒ではない有機溶媒系(例えばテトラヒドロフラン)と無機の酸受容剤ならびに可溶性中性塩を含む水溶液系とを接触させることによって、ポリメタフェニレンイソフタルアミド重合体の粉末を単離する方法(特公昭47−10863号公報)、またはアミド系溶媒で上記ジアミンと酸クロライドを溶液重合し次いで水酸化カルシウム、酸化カルシウム等で中和する方法(特開平8−074121号公報、特開平10−88421号公報)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
なお、本発明に用いられるメタアラミドの重量平均分子量は、円形化指数0.5以下の繊維断面でかつ3.0cN/dtex以上の強度を持った繊維を形成し得る観点から、後述する分析方法に従い20万〜60万の範囲のポリマーであることが必要である。また、十分な扁平度を持った繊維を得るには、重量平均分子量20万〜55万の範囲のポリマーが特に好ましい。さらに、強度3.0cN/dtex以上を十分に発現しかつ十分に扁平な繊維を得るには重量平均分子量40万〜55万の範囲のポリマーが特に好ましい。
本発明で規定する分子量を持ったポリマーは、低分子量ポリマーと高分子量ポリマーの混合物も使用することができ、混合比の調整により全体分子量が目的の値であればよい。例えば、重量平均分子量が20万のポリマーと80万のポリマーを混合し、全体重量平均分子量が50万であった場合、本発明への利用は何ら問題ない。
一方で分子量20万未満の場合、強度を持った繊維を得ることができず、分子量60万を越えると繊維断面の円形化指数が0.5以上となり円形に近い形状となる。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、上記の製造方法によって得られたメタアラミド重合体を用いて、例えば、以下に説明する紡糸液調製工程、紡糸・凝固工程、洗浄工程、沸水延伸工程、乾熱処理工程、熱延伸工程を経て製造される。
紡糸液調製工程においては、メタアラミド重合体を溶媒に溶解して、紡糸液(ドープ)を調製する。紡糸液の調製にあたっては、通常アミド系溶媒を用い、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等を例示することができる。これらの中では溶解性と取扱い安全性の観点から、NMP、またはDMAcを用いることが好ましい。
溶液濃度としては、次工程である紡糸・凝固工程での凝固速度および重合体の溶解性の観点から、適当な濃度を適宜選択すればよく、通常は10〜30質量%の範囲とすることが好ましい。安定な紡糸を達成するためには15〜25質量%の範囲とすることがさらに好ましい。
また、ポリマーの溶解性を向上させるために無機塩を導入することもできるが、5質量%以上の塩を含むと凝固速度が遅くなりすぎてしまい、水洗で繊維中にボイドを形成することから目的の物性を持った繊維を得ることができない。
紡糸・凝固工程においては、上記で得られたドープを凝固液中に紡出して凝固させる。紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態は特に制限する必要はなく、例えば、孔数が10〜30000個、紡糸孔径が0.03〜0.2mmのステープルファイバー用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。また、紡糸口金から紡出する際のドープの温度は、20〜90℃の範囲が適当であるが、特に70〜90℃が好ましい。なお、本発明の繊維を得るためには吐出孔が円形の口金であることが好ましい。
本発明の繊維を得るために用いる凝固浴としては、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウム等の無機塩を30質量%以上、好ましくは35〜45質量%含み、アミド系溶剤を1〜10質量%含む水溶液を50〜90℃の範囲で用いる。また、実質的に無機塩を含まないアミド系溶媒の水溶液を用いる方法も考案されているが、このような凝固液では凝固糸表面にスキンを形成しないことから必要十分な強度の糸を得ることができない。
かくして得られた凝固糸は水性洗浄浴にて十分水洗され、沸水延伸工程に送られる。沸水延伸浴中の延伸倍率は1.5〜5.0倍が適当であり、さらに好ましくは2.0〜3.0倍の範囲である。本発明においては、可塑延伸浴中の延伸を当該倍率の範囲で行い、延伸による分子鎖配向を上げることにより、最終的に得られる繊維の強度を確保することができる。
上記洗浄・延伸工程を経た繊維に対して、好ましくは、乾熱処理工程を実施する。乾熱処理工程においては、上記洗浄工程により洗浄が実施された繊維を、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは100〜200℃の範囲で、乾熱処理をする。ここで、乾熱処理は、特に限定されないが、定長下で行うのが好ましい。なお、上記の乾熱処理の温度は、熱板、加熱ローラーなどの繊維加熱手段の設定温度をいう。
本発明においては、上記乾熱処理工程を経た繊維に対して、熱延伸工程を施す。熱延伸工程においては、300〜380℃で熱処理を加えながら、1.1〜2.0倍の延伸を実施する。
以上の方法により得られるメタアラミド繊維の横断面は、重量平均分子量によりその円形化指数(扁平度)が異なり、分子量が大きいほど円形に近い楕円状になり、分子量が小さいほど扁平状となる。本発明においては該円形化指数は0.5以下である必要がある。該円形化指数が0.5を越える場合は、前述の、繊維の緻密積層化による強度の向上効果や、衣料製品におけるソフト性向上効果、或いはなめらか感触を付与することができなくなる。
また、以上の方法により得られるメタアラミド繊維の破断強度は3.0cN/dtex以上であることが必要である。該破断強度が3.0cN/dtex未満の場合は、繊維の扁平化により上記の効果が発揮できたとしても、上記積層化や衣料製品への加工の際、工程通過性に支障が出たり、製品の耐久性が低下する、等の問題が発生する。
さらに、以上の方法により得られるメタアラミド繊維の単繊維繊度は0.5〜10.0dtexであることが好ましい。該繊度が0.5dtex未満の場合、或いは該繊度が10.0dtexを越える場合は、工程通過性が劣ったり、製品の風合いが好ましくなかったりする場合がある。
さらには、以上の方法により得られるメタアラミド繊維は、光沢(視認性)に優れるものであり、光沢の指標として、該繊維のISO白色度が、73以上が好ましく、74以上がより好ましく、74.5以上がさらに好ましく、75以上が特に好ましい。
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。尚、実施例および比較例における各物性値は、下記の方法で測定した。
[重量平均分子量Mw]
重量平均分子量測定にはサイズ排除クロマトグラフィー用カラム(昭和電工(株)製Shodex(商標)カラムGPC KD−806、KD−804、KD−802)を装着した高速液体クロマトグラフィー装置((株)島津製作所製Prominence(商標))にて分析をおこない、展開溶媒にはDMF(塩化リチウム 0.01モル%含有)を用いて測定した。なお、標準分子量サンプルとしてはシグマアルドリッチ製ポリスチレンセット(ピークトップ分子量Mp=400〜2000000)を用いた。
[単糸繊度]
JIS L 1015に準じ、正量繊度のA法に準拠した測定を実施し、見掛け繊度にて表記した。
[破断強度]
引張試験機(インストロン社製、型式:5565)を用いて、JIS L 1015に基づき、以下の条件で測定した。
(測定条件)
つかみ間隔 :20mm
初荷重 :0.044cN(1/20g/dtex)
引張速度 :20mm/分
[断面形状評価]
一定量の繊維を、繊維軸方向(繊維の長手方向)が平行になるように手で引きそろえて繊維束をつくり、これを治具で固定し、繊維軸に垂直方向にナイフで切断することで観察サンプルを作成した。走査型電子顕微鏡VE−8800(KEYENCE社)を用い、倍率1000倍で観察した。
[円形化指数の評価]
上記顕微鏡測定で得られた繊維断面写真から外接最小長方形を作成し、その長辺と短辺の比から円形化指数を求めた。
円形化指数=外接最小長方形の短辺/外接最小長方形の長辺
[ISO白色度]
ISO白色度(ISO brightness)は得られた繊維の筒編み(目付け100g/m)について、ISO2470/JIS P 8148に準拠し日本電色工業(株)製のSD 7000を用いて測定した。
[官能試験による光沢評価]
得られた繊維の筒編み(目付け100g/m)について10人の被験者が光沢に関して目視で判定し、優れた光沢を示すものを◎、光沢が感じられるものを○、わずかに光沢が感じられるものを△、光沢感が全く感じられないものを×とした。これらのうち、本発明では◎または○を合格とした。
[実施例1]
溶液重合により合成し水洗精製した重量平均分子量46.7万のメタアラミド重合体粉末を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。この際、ポリマー溶液に対してメタアラミド重合体の質量濃度が20〜22%になるよう計量した。
このポリマー溶液を85℃に加温し紡糸原液として、孔径0.07mm、孔数100の吐出孔が円形の紡糸口金から85℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムが43質量%、NMPが4質量%、残りの水が52質量%であり、浸漬長(有効凝固浴長)100cmにて糸速5.0m/分で通過させた後、いったん空気中に引き出した。
この凝固糸条を第1〜第2水洗浄浴にて水洗し、この際の総浸漬時間は240秒とした。なお、第1〜第3水性洗浄浴温度は30℃の水を用いた。次に、この洗浄糸条を90℃の沸水中にて2.4倍に延伸し、引続き90℃の温水中に35秒浸漬した。
次に表面温度170℃のローラーに巻回して乾熱処理した後、表面温度330℃の熱板にて1.75倍に延伸し、メタアラミド繊維を得た。得られた繊維は繊度2.4dtex、強度5.0cN/dtex、繊維横断面の円形化指数0.32、ISO白色度は75.5で、優れた光沢を示すものであった。得られた繊維断面の走査型電子顕微鏡画像を図1に示す。
[実施例2]
溶液重合により合成した重量平均分子量52万のメタアラミド重合体を実施例1と同様の方法で紡糸し、メタアラミド繊維を得た。得られた繊維は繊度2.3dtex、強度5.6cN/dtex、繊維横断面の円形化指数0.43、ISO白色度74.6で光沢が感じられるものであった。得られた繊維断面の走査型電子顕微鏡画像を図2に示す。
[実施例3]
溶液重合により合成した重量平均分子量82万のメタアラミド重合体および重量平均分子量27.5万のメタアラミド重合体を混合し、全体の分子量を44.4万とした粉末を実施例1と同様の方法で紡糸し、メタアラミド繊維を得た。得られた繊維は繊度2.2dtex、強度3.4cN/dtex、繊維横断面の円形化指数0.40、ISO白色度74.9で光沢が感じられるものであった。得られた繊維断面の走査型電子顕微鏡画像を図3に示す。
[比較例1]
溶液重合により合成した重量平均分子量79.7万のメタアラミド重合体を実施例1と同様の方法で紡糸し、メタアラミド繊維を得た。得られた繊維は繊度2.2dtex、強度4.6cN/dtex、繊維横断面の円形化指数0.74、ISO白色度72.5でわずかに光沢が感じられるものであった。得られた繊維断面の走査型電子顕微鏡画像を図4に示す。
[比較例2]
溶液重合により合成した重量平均分子量79.7万のメタアラミド重合体を、吐出孔が扁平型の口金を用いて実施例1と同様の方法で紡糸し、メタアラミド繊維を得た。得られた繊維は繊度4.7dtex、強度1.7cN/dtex、繊維横断面の円形化指数0.40、ISO白色度74.5で光沢が感じられるものであったが、口金の吐出孔形状の変更により、強度が著しく減少する結果となった。得られた繊維断面の走査型電子顕微鏡画像を図5に示す。
[比較例3]
溶液重合により合成した重量平均分子量38.3万のメタアラミド重合体を国際公開第2007/089008号パンフレットの実施例1に記載の方法と同様の方法により紡糸し、メタアラミド繊維を得た。この際、使用した口金は本特許実施例1と同様のものであり、使用する凝固浴はDMAcと水との2成分からなる水溶液で構成され、アミド系溶媒の割合が50質量%であった。得られた繊維は繊度2.3dtex、強度1.2cN/dtex、繊維横断面の円形化指数0.95、ISO白色度69.9で光沢感が全く感じられないものであった。得られた繊維断面の走査型電子顕微鏡画像を図6に示す。
得られた繊維の評価結果を表1に示す。
本発明によれば、力学特性が3.0cN/dtex以上と良好で、かつ表面が平滑で高光沢を有する扁平断面を与える。そして、本発明繊維を布帛に用いることで視認性や風合いが向上したものを得ることができる。本発明は通常の紡糸に使用される吐出孔が円形の口金を用いることで扁平化を達成することができるため特殊な吐出孔状の口金が必要ない。また、本発明の製造方法は使用するポリマーの粘度が低いため操作性が向上する。以上のことから本発明の繊維は産業上の利用可能性は高く、その工業的価値は極めて大きい。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量が20万〜60万のメタ型全芳香族ポリアミドからなる繊維であって、該繊維の横断面が円形化指数0.5以下の扁平形状であり、該繊維の破断強度が3.0cN/dtex以上であることを特徴とするメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維。
  2. メタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維のISO2470/JIS P 8148に準拠して測定したISO白色度が、該メタ型全芳香族ポリアミドからなり、且つ繊維横断面の円形化指数が0.9以上の繊維に比べて2以上高い請求項1記載のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維。
  3. 単繊維の繊度が0.5〜10.0dtexである請求項1又は2記載のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維。
  4. 重量平均分子量が20万〜60万のメタ型全芳香族ポリアミドが、その濃度が15〜25質量%となるよう溶解されているアミド系極性溶媒溶液を、湿式紡糸することにより全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法において、該重合体溶液を、30質量%以上の無機塩を含む水性凝固浴中に紡出して凝固せしめることを特徴とするメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維の製造方法。
  5. 紡出する際の吐出孔が、円形である口金を用いる請求項4記載のメタ型全芳香族ポリアミド扁平繊維の製造方法。
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