JP2004292985A - ケーブル保護スリーブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PPSモノフィラメントとPPSモノフィラメント以外の合成繊維とを引きそろえチューブ状に製紐してなるケーブル保護スリーブであって、前記PPSモノフィラメントの全体に占める割合が30〜80重量%であり、前記PPSモノフィラメント以外の合成繊維の全体に占める割合が70〜20重量%であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦・磨耗耐久性に優れ、かつ柔軟性を有し配線作業性に優れると共に、電源および信号ケーブルをその内側に通線するに際しての通線性が良好なケーブル保護スリーブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンサルファイドは、耐熱性、耐薬品性および難燃性などに優れている上に、溶融成型が可能であることから、これら特性を必要とする成型品用途以外にも、フィルムや繊維として広く用いられている。中でもPPS繊維については、その優れた耐熱性、耐薬品性および難燃性を生かして、抄紙用カンバスなどの工業用織物、フィルター、電気絶縁材、ブラシ用毛材、バグフィルター、濾過用不織布、抄紙用不織布、乾燥機用布、電気絶縁材、自動車補強用コードおよびモーター用結束材などの種々の産業用資材用途などで用いられている。
【0003】
一方、電源ケーブルや信号伝達ケーブルなどのケーブル類の表面にかぶせ、これらのケーブルを保護するために使用されるケーブル保護スリーブ(以下、単に保護スリーブと表現することがある)用途には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニリデンおよびポリフッ化ビニリデンなどからなるモノフィラメントが従来から用いられていた。
【0004】
しかしながら、ポリエステル樹脂製モノフィラメントから構成される保護スリーブは、自動車のエンジンルーム内などの非常に高温になる環境下で用いられた場合に、雨水などの影響も重なって、モノフィラメントの加水分解劣化を起こしやすく、耐久性に劣るという問題を包含していた。
【0005】
また、ポリアミド樹脂製モノフィラメントから構成される保護スリーブは、柔軟性の点で非常に良好な特性を有し、加水分解などの問題はないものの、耐熱性、耐薬品性などに劣ることから、その使用用途が極めて限定されるという問題を包含していた。
【0006】
さらに、ポリ塩化ビニリデンやポリフッ化ビニリデン製のモノフィラメントから構成される保護スリーブは、耐薬品性などの点では優れるものの、これらを用いた電化製品や自動車を廃棄した後、焼却処理した場合に、ダイオキシンやフッ化水素などの有毒ガスの発生源となり、環境汚染の恐れを招くという問題があった。
【0007】
これに対し、PPSについては、耐熱性および耐加水分解性に優れるため、高温下での使用にはほとんど問題をきたさないことが知られており、また耐薬品性もフッ素樹脂並みという優れる特徴を有している。
【0008】
しかも、PPSは、焼却処理する場合に亜硫酸ガスが発生する恐れがあるものの、これについては脱硫装置による脱硫技術が確立されているため、環境汚染の点では上述のポリ塩化ビニリデンに比較して非常に優れているともいえる。
【0009】
そして、PPSの上記の優れた特性を生かして、このPPSからなる繊維をケーブル保護スリーブの素材として使用することも知られており、例えばPPSマルチフィラメントを用いたケーブル保護スリーブ(例えば、特許文献1および特許文献2参照)およびPPSモノフィラメントからなるケーブル保護スリーブ(例えば、特許文献3参照)がすでに提案されている。
【0010】
しかし、PPSマルチフィラメントを用いたケーブル保護スリーブは、これを構成するPPS繊維の単糸直径が細いことに起因して、擦過による摩擦や摩耗に対する耐久性に乏しく、このような欠点を補うために接着剤やゴムなどの表面処理剤によるコーティングが必要となるため、大幅なコストアップに繋がるという問題を抱えていた。
【0011】
また、100%PPSモノフィラメントからなるケーブル保護スリーブでは、摩擦や摩耗に対する耐久性は優れているものの、柔軟性に欠けるため、保護スリーブ装着ケーブルの配線作業性やケーブルの通線性が悪いという欠点があった。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−273825号公報
【特許文献2】
特開平11−61584号公報
【特許文献3】
特開2001−123324号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような状況に鑑み、従来技術における問題点の解決を課題として検討を行った結果達成されたものである。
【0014】
したがって、本発明の目的は、極めて高温下で長時間使用された場合であっても熱的に非常に安定な品質を維持するばかりか、摩擦・磨耗耐久性に優れ、かつ柔軟性を有し配線作業性に優れると共に、電源および信号ケーブルをその内側に通線するに際しての通線性が良好なケーブル保護スリーブを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のケーブル保護スリーブは、PPSモノフィラメントとPPSモノフィラメント以外の合成繊維とを引きそろえチューブ状に製紐してなるケーブル保護スリーブであって、前記PPSモノフィラメントの全体に占める割合が30〜80重量%であり、前記PPSモノフィラメント以外の合成繊維の全体に占める割合が70〜20重量%であることを特徴とする。
【0016】
そして、本発明のケーブル保護スリーブにおいては、
前記PPSモノフィラメントの繊維軸方向に測定したモノフィラメントの平均直径に対する直径斑が15%未満、180℃における乾熱収縮率が1.0〜10.0%であること、
前記PPSモノフィラメント以外の合成繊維が、PPSマルチフィラメントであること、
前記PPSモノフィラメント以外の合成繊維が、ポリエステルモノフィラメントまたはポリエステルマルチフィラメントであること、および
前記PPSモノフィラメント以外の合成繊維が、ポリアミドモノフィラメントまたはポリアミドマルチフィラメントであること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明のケーブル保護スリーブの素材として使用するPPSモノフィラメントとは、実質的にPPSからなるものであるが、ここでいうPPSとは、ポリマーの繰り返し単位がp−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位からなるフェニレンサルファイド単位を含有するポリマーを意味する。これらのポリマーの中でも、繰り返し単位の90%以上がp−フェニレンサルファイド単位からなるポリマーが好ましく用いられる。
【0019】
本発明において特に好ましく用いることのできるPPSポリマーは、p−ジクロルベンゼンに硫化ナトリウムを重縮合反応させることにより製造することができるが、p−ジクロルベンゼンに10モル%未満のトリクロルベンゼンを分岐成分として共重縮合させることによって製造したものであってもよい。
【0020】
本発明においては、ASTM D1238−86に準拠し、316℃、オリフィス径2.095mm、オリフィス長さ8.00mm、荷重5kgの条件で測定した10分あたりの流出ポリマー量(g)で示されるメルトフローレート(以下、MFRという)が、20〜300g/10分程度のPPSを用いることができるが、強伸度バランス、直径斑、磨耗特性および製糸性の点からは、特にMFRが70〜200g/10分程度のPPSを好ましく用いることができる。
【0021】
ここで、市販品として使用できるPPSとしては、例えば東レ(株)製PPSのE1880、E2080、E2280、E2481、M2488およびM2588などを挙げることができる。
【0022】
PPSは、通常粉末で得られるものであるが、溶融紡糸に供する前にエクストルダーなどで粉末PPSを融点以上の温度に加熱し、溶融・混錬した後、必要に応じフィルター類で異物をろ過除去し、ガット状に押出して冷却した後カッティングするなどの方法によりペレット状に加工して用いることができる。そして、PPS粉末あるいはPPSペレットは、概ね100〜180℃で5〜24時間程度、減圧真空下で乾燥してから紡糸することが望ましい。
【0023】
本発明のケーブル保護スリーブを構成するPPSモノフィラメントの製法については特に制限はないが、通常は以下に述べる方法が好ましく適用される。
【0024】
すなわち、エクストルダー型の紡糸機を用い、PPSの融点よりも20〜80℃高い温度で溶融押出を行い、押出された溶融ポリマーを60〜95℃の温水浴中で冷却固化させる。引き続き、得られた未延伸糸を、PPSのガラス転移温度以上の温度に調節された延伸浴または延伸雰囲気に導き、1段延伸または2段以上の多段延伸に供する。なお、トータル延伸倍率としては、3.5〜5.5倍程度の範囲が好ましく、さらには、乾熱収縮率や繊維破断時の破断伸度などを調整するために、延伸工程通過後の延伸糸に対し、120〜280℃程度の温度雰囲気下で、0.8〜1.0倍程度の熱セットを行うことが望ましい。
【0025】
このようにして得られるPPSモノフィラメントは、目的とする特性を阻害しない範囲であれば、酸化チタン、酸化ケイ素、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、炭酸カルシウムなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、従来公知の抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤、各種強化繊維類、フッ素樹脂類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類およびポリスチレン類などを含有することができる。
【0026】
本発明で使用するPPSモノフィラメントの直径についても特に制限はないが、擦過などを受けた場合での耐久性などの点から、0.05〜1.0mm、特に0.3〜0.8mmの範囲にあることが好ましい。
【0027】
また、本発明で使用するPPSモノフィラメントは、製紐して得られるケーブル保護スリーブの製品の仕上がりや、製紐する際の工程通過性などの点から、繊維軸方向に測定したモノフィラメントの平均直径に対する直径斑が15%未満、特に10%未満、180℃における乾熱収縮率が1.0〜10.0%、特に2.0〜8.0%の特性を有していることが望ましい。
【0028】
かくしてなるPPSモノフィラメントは、PPSの特徴である耐加水分解性、耐薬品性、難燃性、耐熱性および熱的に安定な品質を備えており、直径斑も少ないことから、ケーブル保護スリーブの骨格として好適に用いることができるが、このPPSモノフィラメント単独から構成されるケーブル保護スリーブは、上記したように、柔軟性に欠けるため、保護スリーブ装着ケーブルの配線作業性やケーブルの通線性を十分満足することができない。
【0029】
しかるに、このPPSモノフィラメントと共に、PPSモノフィラメント以外の合成繊維を引きそろえチューブ状に製紐し、PPSモノフィラメントの全体に占める割合が30〜80重量%、特に40〜70重量%、PPSモノフィラメント以外の合成繊維の全体に占める割合が70〜20重量%、特に60〜30重量%となるように構成することによって、優れた耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性、難燃性、耐摩耗性および耐久性などの特性を保持したまま、配線作業性に優れると共に、電源および信号ケーブルをその内側に通線するに際しての通線性が良好なケーブル保護スリーブを得ることができる。
【0030】
本発明のケーブル保護スリーブを構成するPPSモノフィラメント以外の合成繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、6ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、6/66共重合体などのポリアミド樹脂またはその共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエスレル類またはその共重合体、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素樹脂類、ポリカーボネート類、ポリスルホンなどからなるモノフィラメントまたはマルチフィラメント、およびPPSからなるマルチフィラメントなどが挙げられるが、構成されるケーブル保護スリーブの特性を著しく低下させるようなものは好ましくない。
【0031】
これらPPSモノフィラメント以外の合成繊維のなかでも、PPSマルチフィラメント、ポリエステルモノフィラメントまたはポリエステルマルチフィラメントおよびポリアミドモノフィラメントまたはポリアミドマルチフィラメントが、特に好ましく使用される。
【0032】
なお、PPSモノフィラメント以外の合成繊維の種類や断面直径および断面形状などについては、耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性、難燃性、耐摩耗性および耐久性などの要求される特性によって適宜使い分けることができる。
【0033】
本発明のケーブル保護スリーブにおいて、PPSモノフィラメント以外の合成繊維が全体に占める割合が20重量%未満では、配線作業性および通線性の十分な改善効果が得られず、また70重量%を越えると、PPS自体の優れた特性が阻害されるばかりか、この合成繊維がマルチフィラメントの場合には、擦過による摩擦や摩耗に対する耐久性が失われる傾向となるため好ましくない。
これらPPSモノフィラメントとPPSモノフィラメント以外の合成繊維とからケーブル保護スリーブを構成する手段としては、これらの繊維を引きそろえチューブ状に製紐することからなる従来技術をそのまま適用することができる。
【0034】
かくして構成される本発明のケーブル保護スリーブは、極めて高温下で長時間使用された場合であっても熱的に非常に安定な品質を維持するばかりか、摩擦・磨耗耐久性に優れ、かつ柔軟性を有し配線作業性に優れると共に、電源および信号ケーブルをその内側に通線するに際しての通線性が良好であることから、特に電源ケーブルおよび信号伝達ケーブルなどの保護スリーブとして適用した場合に極めて優れた効果を発揮する。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明のケーブル保護スリーブについてさらに説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
なお、上記および下記に記載のケーブル保護スリーブおよびPPSモノフィラメントの物性などは以下の方法により測定した値である。
[直径(mm)]
PPSモノフィラメント50mを綛状に取り、試料長50cmにカット(100本)する。ここから任意に10本のサンプルを取り出し、MITUTOYO製デジタルマイクロメーターでそれぞれのサンプルの直径と短径を1点ずつ測定し、その平均値で示した。
[モノフィラメント直径斑(%)]
アンリツ(株)レーザー外径測定機KL15Xシリーズ(検出部:KL151A、表示部:KL350A)を用い、PPSモノフィラメントを50m/分の速度で走行させて10分間外径測定を行い、横河電気(株)製レコーダーLR4220にて線径チャート(直径斑)を記録した。この線径記録チャートから測定モノフィラメントサンプルの直径の最大値と最小値を求め、その差A(最大値−最小値:単位mm)を算出し、上記の直径測定で求めたモノフィラメントの平均直径に対するバラツキを直径斑とした。なお、直径斑の算式は直径斑(%)=(A/平均直径)×100であり、直径斑が少ないほど均一な線径を有するPPSモノフィラメントであることを示す。
[乾熱収縮率(%)]
JIS L1013 7.15(2)乾熱収縮率B法(フィラメント収縮率)の項に準じて測定した。すなわち、50cmにカットしたPPSモノフィラメント10本を束ね、タバイエスペック(株)製ギヤオーブンGPHH−101を用い、180℃で30分間熱風循環中において処理し、乾熱収縮率を測定した。なお、算式は乾熱収縮率(%)={(乾熱処理前のモノフィラメントの長さ(500mm)−乾熱処理後のモノフィラメントの長さ(単位:mm))/乾熱処理前のモノフィラメントの長さ}×100である。
[保護スリーブ乾熱処理評価]
製紐して作成した保護スリーブを35cmに切り出し、これをタバイエスペック(株)製ギヤオーブンGPHH101を用い、200℃で200時間、熱風循環中で乾熱処理を行い、JIS L1013 7.5項に準じて測定した乾熱処理前後の強力を、次式[強力保持率(%)={(200℃で200時間乾熱処理後の強力)/(処理前の強力)}×100]より算出した強力保持率(%)が30%以上の場合を○、30%未満である場合(熱的に不安定で耐久性に欠ける)を×と評価した。
[配線作業性]
保護スリーブを装着したケーブルを用いて配線作業を行なった場合のフィーリングを以下の3基準で評価した。
【0037】
○…ケーブル保護スリーブの柔軟性が最適な範囲にあり、保護スリーブを装着したケーブルの配線作業性が非常に優れている、
△…ケーブル保護スリーブの柔軟性が最適な範囲から外れているために配線作業性がやや悪く、ケーブル保護スリーブとしての用途が限定される、
×…ケーブル保護スリーブの剛性が高すぎるために配線作業性が著しく悪く、保護スリーブとしての使用に耐えない。
[通線性]
保護スリーブの内側に電源ケーブルおよび信号伝達ケーブルを通線する作業を行なった場合のフィーリングを以下の3基準で評価した。
【0038】
○…電源ケーブルおよび信号ケーブルの種類を問わずにケーブルを通線する作業を極めてスムースに行なうことができる、
△…ケーブル保護スリーブの柔軟性が最適範囲を外れているため、スリーブの内側に通線できる電源ケーブルおよび信号ケーブルの種類が限定される、
×…ケーブル保護スリーブが柔軟すぎるかもしくは剛性が高すぎるために、ケーブル保護スリーブの内側に電源および信号ケーブルを通線するのが著しく困難であり使用に耐えない。
[実施例1]
PPS原料として、150℃で15時間、真空条件下で乾燥を行った東レ(株)製PPSペレットE2080(MFR=90)を準備した。このPPS原料をエクストルダー型紡糸機へ供給し、紡糸機温度330℃にて溶融混錬し、紡糸口金(口金孔径:1.5mmφ×10ホール)から溶融ポリマーを押出し後、ただちに80℃の温水中で冷却固化させたPPS未延伸糸を得た。
【0039】
引き続き、上記のPPS未延伸糸を、96℃の温水中で3.6倍に一次延伸し、さらに170℃の乾熱雰囲気下で1.19倍に二次延伸を行って、トータル延伸倍率を4.3倍とし、次いで180℃の乾熱雰囲気下で定張力条件にて熱セットを行うことにより、平均直径0.3mmのPPSモノフィラメントを得た。
【0040】
このようにして得られたPPSモノフィラメントは、線径斑(%)=5.1%、180℃乾熱収縮率(%)=5.2%であった。
【0041】
一方、PPSモノフィラメント以外の合成繊維として、PPSマルチフィラメント(東レ(株)製タイプ100、400D/100F)を準備し、上記で得られたPPSモノフィラメントが全体の70重量%、かつ上記PPSマルチフィラメントが全体の30重量%の割合となるようにを引き揃えて製紐することにより、直径約10.0mm、内径約8.5mm、長さ約1000mmのケーブル保護スリーブを作成し、そのケーブル通線性と保護スリーブ装着ケーブルの配線作業性の評価およびケーブル保護スリーブ乾熱処理評価を行ない、結果を表1に示した。
[実施例2〜3および比較例1〜3]
実施例1と同様にして得られた直径0.30mmのPPSモノフィラメントが、保護スリーブ全体のそれぞれ100、50、40、20、および0重量%であり、かつ対応するPPSマルチフィラメントが、保護スリーブ全体のそれぞれ0、50、60、80および100重量%の割合となるように引き揃え製紐してなるケーブル保護スリーブを得て、それらのケーブル通線性、配線作業性および乾熱処理の各評価を行なった結果を表1に併せて示す。
[実施例4、5および比較例4、5]
実施例1と同様にして得られた直径0.30mmのPPSモノフィラメントと、ポリエチレンテレフタレート(PET)モノフィラメント(東レ(株)製T750Mを原料として製造した直径0.30mmのモノフィラメント)またはナイロン6モノフィラメント(東レ(株)製M1041を原料として製造した直径0.30mmのモノフィラメント)とを、前者が全体の70重量%、後者が全体の30重量%となるように、引き揃え製紐してなるケーブル保護スリーブ(実施例4、5)について、ケーブル通線性、配線作業性および乾熱処理の各評価を行なった結果を表1に併せて示す。
【0042】
また、比較例1における直径0.30mmのPPSモノフィラメントを、上記と同様の直径0.30mmのPETモノフィラメントまたはナイロン6モノフィラメントに変更し、これを同様に引き揃えて製紐してなるケーブル保護スリーブ(比較例4、5)について、ケーブル通線性、配線作業性および乾熱処理の各評価を行なった結果を表1に併せて示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の結果からも明らかなように、本発明のケーブル保護スリーブ(実施例1〜5)は、いずれも摩擦・摩耗耐久性に優れ、かつ優れた柔軟性を有していることから、ケーブルの通線性およびスリーブ装着ケーブルの配線作業性の両特性を兼ね備えている。さらに、乾熱処理後の目合いのずれがほとんどみられず、保護スリーブの変形が小さく、保護スリーブとして求められる品質を維持するものであった。
【0045】
一方、本発明の条件を満たさない比較例1〜5のケーブル保護スリーブは、いずれも不十分な品質しか達成しえないものであった。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のケーブル保護スリーブは、極めて高温下で長時間使用された場合であっても熱的に非常に安定な品質を維持するばかりか、摩擦・磨耗耐久性に優れ、かつ柔軟性を有し配線作業性に優れると共に、電源および信号ケーブルをその内側に通線するに際しての通線性が良好であることから、特に電源ケーブルおよび信号伝達ケーブルなどの保護スリーブとして適用した場合に極めて優れた効果を発揮する。
Claims (5)
- ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントとポリフェニレンサルファイドモノフィラメント以外の合成繊維とを引きそろえチューブ状に製紐してなるケーブル保護スリーブであって、前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントの全体に占める割合が30〜80重量%であり、前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント以外の合成繊維の全体に占める割合が70〜20重量%であることを特徴とするケーブル保護スリーブ。
- 前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントの繊維軸方向に測定したモノフィラメントの平均直径に対する直径斑が15%未満、180℃における乾熱収縮率が1.0〜10.0%であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル保護スリーブ。
- 前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント以外の合成繊維が、ポリフェニレンサルファイドマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル保護スリーブ。
- 前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント以外の合成繊維が、ポリエステルモノフィラメントまたはポリエステルマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル保護スリーブ。
- 前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント以外の合成繊維が、ポリアミドモノフィラメントまたはポリアミドマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル保護スリーブ。
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