JP3770142B2 - フィルターろ布 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維(以下PPS繊維という)からなる高温下での剛性、および耐摩耗性などの物理的特性に優れたフィルターろ布およびバグフィルター、プリーツ型フィルターに関するものである。
【0002】
本発明のろ布は、たとえば、ゴミ焼却炉、石炭ボイラー、あるいは金属溶鉱炉などから排出される高温の排ガスを濾過するためのフィルターろ布として好適に使用されるものである。
【0003】
【従来の技術】
ゴミ焼却炉、石炭ボイラー、金属溶鉱炉などに付設される排ガス用バグフィルターに用いられるろ布には、排ガスが高温であること、また、排ガス中にはSOx、NOxなどに代表される種々の薬品や、H2Oなどの水分が含まれるため、耐熱性、耐薬品性および耐加水分解性が求められる。
【0004】
また、近年では、限られた空間の中でより大きく濾過面積を確保するために、耐熱性ろ布にプリーツ加工が施された、耐熱のプリーツ型フィルターなども提案されている。
【0005】
従来、耐熱性および耐薬品性に優れた繊維としてはPPS繊維、メタ系アラミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリイミド繊維などがあり、これらの素材を用いて、基布とウェブを合わせて積層し、ニードルパンチあるいは噴射水流などで繊維を絡合させて得られる不織布からなるろ布が用いられてきた。
【0006】
特に、PPS繊維は耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性および強度などの特性にバランスよく優れ、バグフィルターに用いられるろ布を構成する繊維として好適である。PPS繊維に比較して、たとえばメタ系アラミド繊維やポリイミド繊維は耐加水分解性が劣り、ポリテトラフルオロエチレン繊維は強度が劣る。
【0007】
一般に、これら耐熱フィルターは、ゴミ焼却炉などにおける使用において、高温排ガスやその排ガス中に含まれる薬品などによる化学的な劣化と、これに加え、排ガス濾過時の圧力損失や逆洗時のパルスジェットによる摩耗や屈曲による物理的な劣化が同時に進行するものである。
【0008】
したがって、バグフィルターやプリーツ型フィルターに用いられるフィルターろ布には、上述した耐熱性、耐薬品、耐加水分解性に加え、耐摩耗性などの物理的特性が要求される。特にプリーツ型フィルターにおいては、高温下においてプリーツの形状を保持する必要があるため、高温下において、高い剛性を有するろ布が必要となる。
【0009】
近年、良好なダスト剥離性能とダスト集塵性能を有するろ布として、特開平10−165729号公報では単繊維繊度が1.8d(2.0dtex)以下のPPS繊維を表面層に配置したろ過布が提案されている。しかしながらこれらはダスト剥離性能、およびダスト集塵性能は良好であるものの、高温下での剛性が低く、また耐摩耗性が十分でないために、実使用において、排ガス濾過時の圧力損失や逆洗時のパルスジェットにより摩耗や屈曲疲労が発生し、化学的な劣化に加え物理的なろ布の劣化が進行し、破損が生じるなどの問題があった。なおかつ、高温下での剛性が低いため、プリーツ型フィルターとして使用することは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の技術の上述した問題点を解決し、PPS繊維からなる高温下での剛性および耐摩耗性などの物理的特性に優れたフィルターろ布およびバグフィルター、プリーツ型フィルターを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、PPS繊維からなり、かつ、単繊維繊度が2.5dtex〜17dtexの範囲内にあるPPS繊維を含み、JIS L−1096で規定するガーレ法に基づく剛軟度が400mN〜1500mNの範囲内にあるフィルターろ布を特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のバグフィルター、プリーツ型フィルターは、かかるフィルターろ布で構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるPPS繊維は耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性に優れていることが知られている繊維である。
【0014】
本発明のフィルターろ布は単繊維繊度が2.5dtex〜17dtexの範囲内にあるPPS繊維を含むことが重要である。3.0dtex〜10dtexの範囲内にあるPPS繊維を含むことが、さらに好ましい。このような太い繊度のPPS繊維は剛性が高いので、これらの繊維で構成されるフィルターろ布の剛性も大幅に向上する。さらに、上記繊度にすることにより、摩耗や屈曲における物理的な劣化を受けにくいPPS繊維を得ることができるので、これらの繊維で構成されるフィルターろ布においても、優れた剛性や耐摩耗性を得ることが可能となる。
【0015】
本発明のフィルターろ布は、織物とウェブとを含む不織布から構成されることが好ましい。一般に、ウェブをニードルパンチングや噴射水流などにより繊維同士を交絡し布状にしたものを不織布と呼ぶが、この不織布は空隙部分が均一に分散されており、織物に比べて濾過特性に優れているためフィルターろ布として好ましく使用される。しかしながら、ウェブのみからなる不織布のみでは引張強力や寸法安定性が低く物理的特性が十分でなく好ましくない。そこで、ウェブと織物とをニードルパンチングや噴射水流により交絡し一体化させることが好ましく、これにより優れた濾過特性と、耐摩耗性や耐屈曲疲労性などの物理的特性とを兼ね備えたフィルターろ布を得ることが可能となる。なお、織物には、PPS繊維の紡績糸からなる織物や、PPSのマルチフィラメントからなる織物、フッ素系のマルチフィラメントや紡績糸またはスリットヤーンからなる織物、パラ系アラミド繊維の紡績糸やマルチフィラメントからなる織物、ポリイミド繊維の紡績糸やマルチフィラメントなどに代表される有機高機能繊維からなる織物や、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維からなる織物などを用いることができるが、耐薬品性や耐加水分解性などの点からPPS繊維の紡績糸やマルチフィラメントからなる織物を用いることが好ましく、2.5dtex以上のPPS繊維の紡績糸やマルチフィラメントからなる織物を用いることがさらに好ましい。
【0016】
本発明のフィルターろ布を構成するPPS繊維は、JIS L−1096で規定するガーレ法に基づく剛軟度が0.022μN/dtex以上であることが好ましい。ここで言う剛軟度とは物体の剛性を示すための指標であり、この値が高いほど高い剛性を有するものである。PPS繊維の剛軟度が0.022μN/dtexを下回ると、フィルターろ布の剛性が低くなり、高温下において使用する際に濾過時の圧力損失および逆洗時の圧力損失などでフィルターろ布が変形し、ろ布の屈曲疲労を誘発させ、ろ布が破損するおそれがあるので好ましくない。特にプリーツ型フィルターにおいては、高温下においてプリーツの形状を維持させる必要があり、剛軟度が0.022μN/dtexを下回るとプリーツが変形し、さらには濾過面積が小さくなり、圧力損失が急上昇するおそれがあるため好ましくない。
【0017】
本発明のフィルターろ布は、上述のような剛軟度の高いPPS繊維を含むことにより得られるものであり、フィルターろ布の剛軟度は65mN〜1500mNの範囲内にあることが好ましい。フィルターろ布の剛軟度が65mNを下回ると、フィルターろ布の剛性が低くなり、高温下において使用する際に、ろ布の屈曲疲労を誘発させ、ろ布が破損するおそれがあるので好ましくない。また、剛軟度が1500mNを超えると、フィルターろ布を集塵機に設置する際や、運搬する際のフィルターの取り扱い性が劣るため好ましくない。特に、プリーツ型フィルターにおいては、高温下でのプリーツの形態保持性が要求されるため、フィルターろ布の剛軟度は400mN〜1500mNの範囲内であることが好ましい。フィルターろ布の剛軟度が400mNを下回るとプリーツが変形し、さらには濾過面積が小さくなり、圧力損失が急上昇するおそれがあるため、好ましくない。また、剛軟度が1500mNを超えるとプリーツ加工が困難となるため、好ましくない。
【0018】
本発明のフィルターろ布の170℃での垂れ下がり長さは、30mm以下であることが好ましい。フィルターろ布の170℃での垂れ下がり長さが30mmより長い場合、ろ布の高温下での剛性が低く、濾過時の圧力損失および逆洗時の圧力などでフィルターろ布が変形し、ろ布の屈曲疲労を誘発させ、ろ布が破損するおそれがあるので好ましくない。特に、プリーツ型フィルターとして用いるにあたっては、フィルターろ布の垂れ下がり長さは10mm以下であることが好ましい。垂れ下がり長さが10mmを超えると、プリーツ形状が変形し、圧力損失が急上昇するおそれがあるので好ましくない。なお、本発明のフィルターろ布の垂れ下がり長さの測定方法は下記のとおりである。
【0019】
垂れ下がり長さを測定しようとするフィルターろ布から、長さ100mm、幅20mmの測定片を取り出す。取り出された測定片1は、図1に示すように、測定片1の一端2から50mmの部分を直方体の測定片載置ブロック3の上面に、機械的手段、あるいは、接着剤により固定する。このとき、測定片1の他端4は、ブロック3から突き出た状態となる。測定片1がセットされたブロック3を、170℃の雰囲気中に1時間放置する。この間に、測定片1のブロック3から突き出た部分5が軟化し垂れ下がる。このときの測定片1の端部4の位置とブロック3の上面を含む平面6(図1において点線で描かれる)との間の鉛直方向の長さLを測定し、この長さLを、垂れ下がり長さとする。この垂れ下がり長さの大小により、フィルターろ布の高温下での剛性を評価することができる。
【0020】
本発明のフィルターろ布のJIS L1096テーバ型法によりフィルターを摩耗させた後の引張強力の保持率は、70%以上であることが好ましい。摩耗後の引張強力の保持率が70%を下回ると、バグフィルターとして使用する際に、濾過時の圧力損失や逆洗時の圧力などにより、フィルターろ布がバグフィルターの骨組みを形成するリテーナーと呼ばれる金属棒に接触し、摩耗により引張強力が低下し、フィルターろ布が破損するおそれがあるので好ましくない。なお本発明のフィルターろ布の摩耗後の強力保持率の測定方法は下記の通りである。
【0021】
フィルターろ布を、JIS L−1096テーバ型法摩耗強さに準拠し、摩耗輪としてNo.CS−10を用い、荷重1,500gでろ布の裏面を5,000回摩耗し、このフィルターろ布から長さ60mm、幅30mmの試験片を切り出し、摩耗部分を挟み込むようにテンシロン測定機につかみ間隔25mmとなるようにセットし、引張速度100mm/minにて引っ張った際の最大の強力を測定する。次に、摩耗する前のフィルターろ布を前記と同一の条件にて引っ張り、最大の強力を測定し、下記式により摩耗後の強力保持率を算出する。なお、ここで言う裏面とはフィルターとして使用する際のダストが堆積する側の面と逆側の面を指す。
(摩耗後の強力保持率 [%])=(摩耗後の最大強力[N])/(摩耗前の最大強力[N])×100
さらに、本発明のフィルターろ布は、高温の環境下でもその性能を十分維持しうるものである。すなわち、本発明のフィルターろ布は、これを180℃の空気中で2,160時間熱処理し、さらに上述のJIS L1096テーバ型法に準拠した方法によりフィルターを摩耗させた後の引張強力の、180℃の空気中で処理する前のフィルターろ布の引張強力に対する保持率が20%以上を有するものであることが好ましい。また、さらに好ましくは40%以上である。摩耗後の引張強力の保持率が20%を下回ると、バグフィルターとして使用された際に、前記リテーナーとの摩耗によりフィルターろ布が破損するおそれがあるので好ましくない。なお、本発明の熱処理および摩耗後のフィルターろ布の強力保持率の測定方法は下記の通りである。
【0022】
フィルターろ布を、オーブンにて180℃の空気中で2,160時間熱処理した後、前記摩耗後の強力保持率の測定方法と同一の方法にて摩耗処理および引張強力の最大値の測定を行う。次に下記式により熱処理および摩耗後のフィルターろ布の強力保持率を算出する。
【0023】
(熱処理および摩耗後のフィルターろ布の強力保持率[%])=(熱処理および摩耗後の最大強力[N])/(熱処理前の最大強力[N])×100
本発明の耐熱フィルターろ布を構成する不織布は、公知の不織布を製造する方法、たとえば、ニードルパンチ不織布、湿式不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、レジンボンド不織布、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、トウ開繊式不織布およびエアレイド不織布の製造方法、装置により製造される。フィルターろ布として用いるにあたっては、これらの中でも、フィルターろ布の引張強力等の点から、ニードルパンチ不織布、または、スパンレース不織布の製造方法により製造されることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明のフィルターろ布は、少なくともその片面にフッ素系樹脂が付着していることが好ましい。フッ素樹脂はコーティングにより付着させることが特に好ましい。これにより、本発明のフィルターろ布の物理的耐久性をさらに向上することが可能となる。一般に、フッ素系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性に優れた樹脂として知られているが、これらの特性のほかに、摩擦係数の非常に低い樹脂としても知られており、フッ素系樹脂から成る摺動材や軸受けなども近年では製造されている。本発明のフィルターろ布においても、ろ布の少なくともその片面にフッ素系樹脂をコーティングすることにより、ろ布表面の摩擦係数を低くすることが可能となり、これにより、リテーナーなどとの摩擦による摩耗を低減させることが可能となる。さらに、フッ素樹脂をコーティングすることにより、ろ布の表層の繊維同士が拘束され、物理的な摩擦による繊維の絡みや剥がれが少なくなることから、摩耗耐久性が大幅に向上する。フッ素系樹脂をコーティングするろ布の面としては、物理的劣化を大幅に向上するためにはフィルターろ布の裏面、すなわちダストが堆積する面の逆側の面にコーティングさせることが好ましい。
【0025】
また、本発明のフィルターろ布はダストが堆積する側の表面の繊維の一部を融着させることによりダスト剥離性能を改善することができる。ろ布表面の繊維を融着する方法としては毛焼き処理やミラー加工などの方法を用いることができる。
【0026】
しかしながら、一部の石炭ボイラーなどにおいては、そのダスト濃度が高いか、または、ダストの粒子径が非常に小さな場合があり、前記のようにろ布の表面に毛焼き処理などの処理を施してもダストが払い落とされず圧力損失が上昇することがある。このような場合には、フィルターろ布のダストが堆積する側の表面に微多孔膜などを設け、ダストがフィルターろ布の内側へ進入することを防ぐことで、ダスト剥離性をより良好にすることが可能である。微多孔膜としては、たとえば、耐熱性、耐薬品性などの良好なフッ素系微多孔膜を用いることができる。
【0027】
このようにして得られたフィルターろ布は、袋状に縫製し、耐熱性の要求されるゴミ焼却炉や石炭ボイラー、もしくは金属溶鉱炉などの排ガスを集塵するバグフィルターとして好適に使用される。
【0028】
また、限られた空間内で集塵機を設置する際や、もしくは濾過風量を多くしたいといった要望がある際には、フィルターろ布にプリーツ加工を施し、さらに、縫製や接着などの方法で袋状に形成し、プリーツ型フィルターとして使用することも可能である
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。PPS繊維の剛軟度およびフィルターろ布の剛軟度は以下の方法で、垂れ下がり長さ、摩耗後の引張強力保持率および熱処理および摩耗後のフィルターろ布の強力保持率については前述の方法で測定した。
A.PPS繊維の剛軟度:PPS繊維を長さ50mm、総繊度2000dtexとなるように取り出し、JIS−L1096に規定されたガーレ法にて剛軟度を測定し、測定値Aを得た。次に下記式により1dtexあたりの剛軟度を算出した。
(PPS繊維の剛軟度[μN/dtex])=(測定値A[μN])/2000[dtex]
B.フィルターろ布の剛軟度:
フィルターろ布から長さ50.8mm、幅25.4mmの測定片を切り出し、この測定片を用いて、JIS−L1096に規定されたガーレ法にて測定した。
【0030】
実施例1
平均単繊維繊度3.0dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸を得た。これを平織りとし経糸密度26本/2.54cm、緯糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸織物を得た。この織物の両面に、平均単繊維繊度3.0dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用いたウェブを積層し、ニードルパンチ加工により織物とウェブとを交絡させ、目付が550g/m2、刺針密度が300本/cm2のフィルターろ布を得た。得られたフィルターろ布の性能を表1に示した。
【0031】
実施例2
平均単繊維繊度7.7dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸を得た。これを平織りとし経糸密度26本/2.54cm、緯糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸織物を得た。この織物の両面に、平均単繊維繊度7.7dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用いたウェブを積層し、ニードルパンチ加工により織物とウェブとを交絡させ、目付が556g/m2、刺針密度が300本/cm2のフィルターろ布を得た。得られたフィルターろ布の性能を表1に示した。
【0032】
実施例3
平均単繊維繊度3.0dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸を得た。これを平織りとし経糸密度26本/2.54cm、緯糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸織物を得た。この織物の表面層に平均単繊維繊度3.0dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用いたウェブを積層し、次いで、この織物の裏面層に平均単繊維繊度7.7dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用いたウェブを積層し、ニードルパンチ加工により織物とウェブとを交絡させ、目付544g/m2、刺針密度300本/cm2のフィルターろ布を得た。得られたフィルターろ布の性能を表1に示した。なお、ここで言う表面層とはフィルターとして使用する際にダストが堆積する側の層を指し、裏面層とはその逆側の層を指す。
【0033】
比較例1
平均単繊維繊度2.2dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸を得た。これを平織りとし経糸密度26本/2.54cm、緯糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸織物を得た。この織物の両面に平均単繊維繊度2.2dtex、カット長51mm、捲縮数14個/2.54cmのPPS短繊維(東レ(株)製「トルコン(R)」)を用いたウェブを積層し、ニードルパンチ加工により織物とウェブとを交絡させ、目付551g/m2、刺針密度300本/cm2のフィルターろ布を得た。得られたフィルターろ布の性能を表1に示した。
【0034】
表1より実施例1〜3のフィルターろ布は比較例1のろ布に比べ、常温での剛性、高温下での剛性、および耐摩耗性に優れるものであった。
【0035】
【表1】
Figure 0003770142
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリフェニレンサルファイド繊維からなり、かつ、単繊維繊度が2.5dtex〜17dtexの範囲内にある単繊維繊度のポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいることにより、常温および高温下での剛性が高く、かつ、耐摩耗性に優れたフィルターろ布を得ることができる
また、上記フィルターろ布が、織物とウェブとを含む不織布からなると、引張強力や寸法安定性に優れたフィルターろ布とすることができる。
【0037】
さらに、本発明のフィルターろ布に用いるポリフェニレンサルファイド繊維のJIS L−1096で規定するガーレ法に基づく剛軟度が0.022μN/dtex以上であると、剛性の高いフィルターろ布を得ることができ、高温下において使用する際に濾過時の圧力損失および逆洗時の圧力のために生じるフィルターろ布の変形を抑え、ろ布の屈曲疲労や破損を防ぐことができる。
【0038】
また、フィルターろ布のJIS L−1096で規定するガーレ法に基づく剛軟度が65mN〜1500mNの範囲内にあると、剛性が高く、高温下での使用においても屈曲疲労が起きにくく、破損しにくいものとすることができる。さらに、前記剛軟度が400mN〜1500mNの範囲内にあると、プリーツ型フィルターに用いても、プリーツの変形が起こりにくいので、ろ過面積減少にともなう圧力損失の急上昇の防止に効果的である。
【0039】
上述のフィルターろ布は、さらに、170℃での垂れ下がり長さが30mm以下であると、剛性の高いフィルターろ布を得ることができ、高温下において使用する際に濾過時の圧力損失および逆洗時の圧力のために生じるフィルターろ布の変形を抑え、ろ布の屈曲疲労や破損を防ぐことができる。
【0040】
また、JIS L−1096テーバ型法により摩耗させた後の引張強力が、摩耗前の引張強力の70%以上であると、フィルターとして使用したときに、たとえ金属と接触する状態であっても、摩耗による引張強力の低下は起こりにくいので、フィルターろ布が破損しにくいという効果を有する。
【0041】
さらに、180℃の空気中で2,160時間熱処理し、さらに、JIS L−1096テーバ型法により摩耗させた後の引張強力が、熱処理前の引張強力の20%以上であると、高温環境下でも上述の効果を得ることができる。
【0042】
また、少なくとも片面にフッ素系樹脂が付着していると、フィルターろ布の摩耗耐久性を大幅に向上させることができ、少なくとも片面の繊維の一部が融着されていたり、少なくとも片面に毛焼き処理が施されていたり、または、少なくとも片面に微多孔膜を有することで、出すと剥離性を良好にすることが可能となる。
【0043】
本発明のバグフィルターおよびプリーツ型フィルターは、上述のフィルターろ布を、袋状に形成してなるから、高温下での剛性および耐摩耗性などの物理的特性に優れており、耐熱性の要求されるゴミ焼却炉、石炭ボイラーまたは金属溶鉱炉等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るフィルターろ布の垂れ下がり長さを測定する方法を表す斜視図である。
【符号の説明】
1:測定片
2:測定片の一端
3:測定片の載置ブロック
4:測定片の一端
5:ブロックから突き出た測定片部
6:ブロック3の上面を含む仮想平面

Claims (12)

  1. ポリフェニレンサルファイド繊維からなり、かつ、単繊維繊度が2.5dtex〜17dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド繊維を含み、JIS L−1096で規定するガーレ法に基づく剛軟度が400mN〜1500mNの範囲内にあることを特徴とするフィルターろ布。
  2. 単繊維繊度が3.0〜10dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいることを特徴とする請求項1記載のフィルターろ布。
  3. 織物とウェブとを含む不織布からなる、請求項1または2に記載のフィルターろ布。
  4. ポリフェニレンサルファイド繊維は、JIS L−1096で規定するガーレ法に基づく剛軟度が0.022μN/dtex以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルターろ布
  5. 170℃での垂れ下がり長さが30mm以下である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルターろ布。
  6. JIS L−1096テーバ型法により摩耗させた後の引張強力が、摩耗前の引張強力の70%以上である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルターろ布。
  7. 180℃の空気中で2,160時間熱処理し、さらに、JIS L−1096テーバ型法により摩耗させた後の引張強力が、熱処理前の引張強力の20%以上である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルターろ布
  8. 少なくとも片面の繊維の一部が融着されている、請求項1〜のいずれかに記載のフィルターろ布。
  9. 少なくとも片面に毛焼き処理が施されている、請求項1〜のいずれかに記載のフィルターろ布。
  10. 少なくとも片面に微多孔膜を有する、請求項1〜のいずれかに記載のフィルターろ布。
  11. 請求項1〜1のいずれかに記載のフィルターろ布を、袋状に形成してなることを特徴とするバグフィルター。
  12. 請求項1〜1のいずれかに記載のフィルターろ布をプリーツ状に折り曲げ、袋状に形成してなることを特徴とするプリーツ型フィルター。
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