JP3877034B2 - 炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炉頂圧発電に用いるバグフィルター用ろ布に関するものである。詳しくは、ダストを含んだ高温・高圧下での集塵に対して、長期にわたって高い耐久性を示すバグフィルター用ろ布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉とは、製鉄所の上流工程に位置し、鉄鉱石とコークスから溶けた鉄を製造する装置で、1200℃前後の熱風を送りこんでコークスや微粉炭をガス化し、この鉄鉱石を還元・溶解し溶けた銑鉄を取り出す設備である。この高炉において、鉄の生成に伴なって炉頂から排出される高炉ガスの保有する圧力、温度等の物理的エネルギーは非常に大きくなっており、近年では、省エネルギーやエネルギーリサイクルの見地より、このエネルギーを利用する技術が注目されている。この高炉の炉頂ガスの持つ高温・高圧エネルギーをタービンによって電力として回収する高炉炉頂圧発電設備が非常に脚光を浴びるようになり、多くの高炉に設置されるようになった。
【0003】
エネルギー回収に用いられるタービンは非常に高価なものなので、タービンの事故(タービン翼折損や亀裂発生)や劣化(磨耗、腐蝕など)を避け長期にわたって使用するために、高温・高圧ガス中に含まれる粉塵を除去しタービンへ導入するようにしている。この除塵方法として、従来はベンチュリースクラバー等の湿式方式がとられてきたが、発電効率の面から考えると高温・高圧ガスが好ましく、湿式除塵方法では高炉ガスの温度が低下し顕熱は大半が集塵水に捨てられ、除塵設備により圧力も大幅に損失していた。この様な背景のもとで、より高温・高圧ガスを得るために乾式で除塵する高炉ガス乾式除塵設備が採用されるようになりつつある。この設備としては、電気集塵気、マルチサイクロン、バグフィルターが上げられる。電気集塵気は設備費が大で保全性が良くなく、マルチサイクロンは圧損大で集塵効率が悪いが、バグフィルターは圧損が小さく集塵効率が非常に高いことから、乾式集塵に非常に適した設備で一部の製鉄所では既に採用され、今後の使用がますます増してくると思われる。
【0004】
バグフィルターには耐熱性繊維からなるろ布が、通常は筒状で使用される。発電効率の面から高温・高圧下で使用されるため高い耐熱性が必要である。また炉頂ガスに含まれるガス(CO、CO2、H2)や初期除塵と温度調整に用いられるH2Oに対しても非常に高い耐久性が要求される。また、除塵方法も高温・高圧ガスを除塵するため、都市ゴミ焼却炉などで主に用いられている同一バグハウス内でろ過を行いながら特定のろ布だけにろ過方向とは逆方向に圧縮エアーを噴射するパルスジェット方式は採用できず、バグハウス毎にろ過とは逆方向に圧力をかける逆圧式(逆先式)が採用されている。そのため、パルスジェットタイプが筒状ろ布がぶら下げ方式で筒の外側から内側にろ過を行うのに対し、より高圧での使用に適した逆圧式ではバグ下部を固定し上部はバネによってテンションを掛け、筒状ろ布の内側から外側に向かってろ過を行う方式がとられている。そのため、高温・高テンション下での寸法安定性が必要で、さらに、逆洗によって高圧ガスをろ過するためダスト払い落とし前後での物理的衝撃に対しても高い耐久性が必要とされる。従来はm−アラミド、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス繊維などからなるバグフィルター用ろ布が用いられたきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記耐熱性繊維からなるバグフィルター用ろ布ではさまざまな問題点が挙げられた。まず、m−アラミド繊維からなるろ布については、m−アラミド繊維自体が耐酸性ガス性に弱いことや、高温・高圧下で水分により加水分解を受けて強力低下することが知られており、短いものでは約半年の寿命しかなかったものがある。また、他の耐熱性繊維のポリテトラフルオロエチレンやガラスに比べると耐熱温度が低く発電効率という面でも好ましくない。ポリテトラフルオロエチレンについては、不活性で非常に耐薬品性に優れる事が知られているが、融点327℃、ガラス転移温度126℃(文献値、高分子化学序論、化学同人)と熱的性質が比較的低いレベルにある。従来技術でも述べたが、炉頂圧発電用のバグフィルターは逆圧(逆先)方式で用いられるため、高温下で高テンションの下で使用される。よって130℃以上の温度では高温下でろ布が伸びて、十分なろ過やダスト払い落とし機能を有さなくなってしまうという問題がある。ガラス繊維からなるろ布については、ガラスは折れ曲がり性に弱いため主には織物として使用される。そのため、糸と糸の織物としての空隙が大きく、各種耐熱性繊維からなるフェルトに比べてダスト捕集効率が悪いことや、より高いろ速や圧力の下では目詰まりやダストリークにより使えないという問題がある。ガラスについては、ガラス織物に微細孔を有するフッ素系の膜を配したものがあるが、もともとガラスは逆圧方式の払い落とし操作による折れ曲がりによる物理的疲労に対しても弱いという点が上げられる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の耐熱性繊維からなる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布において、高温・高圧下で使用され、さらにダストろ過及びダスト払い落としが逆洗方式においても、非常に高い耐久性を示し、さらに、より高温域にて長期にわたり使用できる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、耐熱性繊維からなる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布が、支持層とろ過層が積層一体化した構造であって、該構造体の240℃下でのろ布タテ強力が40kgf/5cm以上、さらに、支持層を構成する耐熱性繊維のガラス転移温度が200℃以上で240℃下でのタテ方向の弾性率が5(g/d)以上であることを特徴とする炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布を提供するものである。
【0008】
即ち、本発明は、耐熱性繊維からなる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布において、支持層とろ過層が積層一体化した構造体であって、該構造体の240℃下での少なくとも一方向の強力が40kgf/5cm以上であり、前記支持層を構成する耐熱性繊維のガラス転移温度が240℃以上で、且つ160℃、79%RH,4kg/cm2Gのプレッシャークッカ−試験において500時間後の強力保持率が30%以上であることを特徴とする炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布である。
【0009】
そして具体的には、支持層を構成する耐熱性繊維の240℃下での初期引張弾性率が5g/d以上であることを特徴とする上記記載の炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布、支持層がポリイミド繊維及び/又はポリベンザゾール繊維からなることを特徴とする上記記載の炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布、ろ過層がポリイミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、m−アラミド繊維及びガラス繊維から選ばれる1種もしくは2種類以上の繊維からなることを特徴とする上記記載の炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布、バグフィルター用ろ布がシェルステッチにより筒状に縫製一体化されてなることを特徴とする上記記載の炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布、及びバグフィルター用ろ布がろ過面側にフッ素系樹脂層を設けてなることを特徴とする上記記載の炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布である。
上記構成からなる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布は、高温・高圧下での高テンションや逆圧払い落とし時の衝撃によっても高い耐久性を示し、さらに従来のバグフィルター用フェルトよりも高温下で長期にわたって高い耐久性を示すことが可能となる。
以下本発明を詳述する。
【0010】
耐熱性繊維からなる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布で、高温・高圧下での使用、さらには、ダスト払い落とし方法が逆洗方式においても長期にわたって使用できる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布を得るには、該ろ布が、支持層とろ過層が積層一体化したフェルト構造体であって、該構造体の240℃下での少なくとも一方向の引張強力が40kgf/5cm以上、好ましくは50〜300kgf/5cm、或いは300〜1000kgf/5cmであることが望ましい。また、支持層を構成する耐熱性繊維のガラス転移温度が240℃以上、更に好ましくは300℃以上であることが望ましい。更に、240℃下での初期引弾性率が5g/d以上、更には7g/d以上或いは1000g/d以上であることが好ましい。
【0011】
これらは、高温・高圧下で少なくとも一方向に張力をかけた状態で使用されるためで、かかる環境下でろ過性能を維持するためには支持層を構成する耐熱性繊維のガラス転移温度は高温下での寸法安定性の面から240℃以上であることが肝要であり、240℃下での一方向の引張強力も40kgf/5cm以上であることが望ましい。更に、高温下での逆洗払い落とし時の衝撃に耐えうるためには高温下の強力のみならず、弾性率も大きく影響し、支持層構成繊維の240℃下での弾性率が5g/d以上であることにより、高温・高圧下のダストろ過、逆洗払い落としに対して長期にわたって高い耐久性を示す炉頂圧用バグフィルター用ろ布を得ることができる。
【0012】
また、上述のとおり、支持層を構成する耐熱性繊維は、ガラス転移温度が240℃以上であることが望ましい。発電効率を考えるとより高温の高圧ガスが好ましいが、設備の耐シール性などの問題もあるため、タービンで電力を回収する高炉炉頂圧発電設備(TRT)では最高でも200℃程度である。しかし、TRTの前段にある高炉ガス乾式除塵設備(BDC)では240℃程度までの温度域になる。さらに、高圧ガスをろ過するためBDC用バグフィルターとしては高温下でテンションをかける逆洗方式であり、ろ布を構成する耐熱性繊維のガラス転移温度が使用温度よりも低いと高温下のテンションによって伸びてしまうという問題が生ずるからである。実際には、周長1m、長さ10mのバグフィルター用ろ布に高温下で少なくとも30kgf以上のテンションをかけ使用する。そのため、支持層を構成する耐熱性繊維のガラス転移温度は240℃以上であることが肝要である。
【0013】
また、バグハウス毎にろ過方向とは逆方向に圧をかける逆圧式ダスト払い落とし方法では、そのダスト払い落とし前後で、非常に大きな衝撃を受けることになる。とくに、逆洗払い落とし後に高温・高圧ガスを再度導入するときに非常に大きな衝撃がろ布にかかることになる。このときの衝撃は設備によっても多少異なると思われ定量的には判断できないが、これらの衝撃にも耐えうるためには高温下での引張強力のみならず、高温下での弾性率が大きく影響することがわかった。そのためろ布を構成する支持層に用いる耐熱性繊維の240℃下での初期引張弾性率は5g/d以上で、好ましくは7g/d以上のものが採用される。
【0014】
更に、本発明において重要な要件としてバグフィルター用ろ布は、160℃、79%RH,4kg/cm2Gでのプレッシャークッカ−試験において、500時間暴露後の一方向の引張強力保持率が30%以上、好ましくは50%以上であることである。30%未満では、実機での長期の使用において加水分解によって十分な耐久性を得ることは困難となり、たとえ初期特性において上述の要件を具備するろ布であってもプレッシャークッカ−試験によるろ布の耐久性が低いものは実用に耐え得ないからである。即ち、炉頂圧発電では、炉頂圧ガスの温度調整及び初期除塵のために、BDCの前段に設置されたダストキャッチャーによって水を噴霧している。そのためバグフィルター用ろ布は、高温・高圧下で水分による影響も受けることになるからである。
【0015】
本発明に用いる支持層を形成する耐熱性繊維としては、上記特性を満たすものとしてポリイミド繊維及び/又はポリベンズビスオキサゾールやポリベンズビスチアゾール等のポリベンザゾール繊維、等が挙げられ、マルチフィラメント糸や紡績糸とし、織物や編物形態で使用される。ポリイミド繊維はガラス転移温度が315℃と非常に耐熱性が高く、240℃下での各種物性についても非常に高い値を示す。また、高温下での耐酸性ガスや水分に対しても非常に高い耐久性を示す繊維で、さらに繊維断面もランダムな異形断面でありろ過特性についても非常に高い性能を示し、炉頂圧発電用バグフィルター用繊維として高い耐久性を示す。また、ポリベンズビスオキサゾール繊維は、酸素存在下での分解開始温度が650℃でLOI値が68と非常に高い耐熱性を示す。ガラス転移温度は明確ではないが、動的粘弾性によって求めた弾性率の低下は少なくとも400℃以上からである。また、物性面でも強度40(g/d)、弾性率1300(g/d)と耐熱性のみならず強度面でも非常に優れる繊維で、炉頂圧発電においてもさらに高温での使用が期待できる。
【0016】
本発明によるろ過層を形成する繊維としては、ポリイミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、m−アラミド繊維及びガラス繊維から選ばれる1種もしくは2種類以上の繊維を混綿あるいは積層構造にすることができる。ろ過層を構成する短繊維の繊維直径はろ過特性の面から0.1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは1〜50μmである。さらに、繊維断面形状については、丸型、三角、トライローバル、ランダム等種々ある。ろ過特性の面では比表面積が大きいものほど好ましいが本発明は特に限定するものではない。
【0017】
上述の支持層とろ過層はニードルパンチ、等により絡合一体化する方法や縫製による一体化により積層一体化される。
また、本発明に用いる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布は筒状形態で使用される。具体的には上述のフェルトの両端同士を縫製することにより筒状となすが、その縫製部は、特に限定するのもではない。しかし、高温・高圧下でさらに逆洗払い落とし時の衝撃を受ける炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布では単なるろ布を重ね合わせて縫製しただけでは、逆洗時の衝撃により縫製部が破損する可能性があり、より強固な縫製方法を採用したほうが好ましいという観点から、シェルステッチであることが望ましい。
【0018】
本発明に用いる炉頂圧発電用バグフィルター用フェルトは、ろ布として必要な通気度や厚み、さらに寸法安定性やろ過特性を満足させるために、各種の高温熱処理や高温カレンダー加工、ろ過面の毛焼きや溶融などの処理をすることができる。
【0019】
本発明による炉頂圧発電用バグフィルター用フェルトは、ろ過面側にフッ素系樹脂層を設けることが望ましい。具体的にはフェルトにフッ素系樹脂による被覆、或いはろ過面側に微細孔を有するフッ素系フィルムを配することができる。フッ素系樹脂層を設けることにより、通常の運転時はもちろん、運転停止時の結露の影響によってもダスト剥離性を良好にすることが可能となる。
【0020】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
室温と240℃下での引張強力は、JIS L 1096に従い、巾5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10(cm/min)、N=3の平均値をとった。ポリベンズビスオキサゾール繊維からなるフェルトは初期強度が非常に高いため、2.5cm巾で測定し5cm巾に換算した。240℃での引張強力は、まずサンプルを上下チャックに取り付け、加熱炉つき引張試験機の加熱炉に10分暴露し、その後そのままの状態で引張試験を行った。用いた加熱炉付き引張試験機は、東洋ボールドイン社製テンシロンRTM-500である。
【0022】
支持層に用いた耐熱性繊維の高温下での初期引張弾性率は、JIS L 1013に従い、つかみ間隔10cm、引張速度10(cm/min)、初荷重1/30(g/d)、N=3にて行った。まずサンプルを上下チャックに取り付け、加熱炉つき引張試験機の加熱炉に10分暴露し、その後そのままの状態で引張試験を行った。用いた加熱炉付き引張試験機は、東洋ボールドイン社製テンシロンRTM-500である。
【0023】
プレッシャークッカ−試験は、タバイエスペック社製プレッシャークッカ−試験機(TTC-411型)を用い、160℃、79%RH,4kg/cm2にて500時間バグフィルター用ろ布を暴露しJIS L 1096に従い、巾5cm、つかみ間隔20cm、引張速度20(cm/min)、N=3、にて室温にて評価した。用いた引張試験機は東洋ボールドイン社製テンシロンRTM-500である。
なお、プレッシャークッカ−試験による500時間後の強力保持率は、上述のプレッシャークッカ−試験に供する前の強力(Ag/d)と供した後の強力(Bg/d)を測定し、下記式にて求めた値である。
強力保持率(%)=B×100/A
【0024】
また、各種バグフィルター用ろ布を、実際の炉頂圧発電設備の高炉ガス乾式除塵設備バグフィルターに投入し、6ヶ月後のろ布タテ方向の引張強力保持率によって評価した。用いたろ布は周長1m、長さ10mの円筒状のろ布で、逆洗方式のバグフィルターであるため、バグ1本あたり40kgのテンションがかかるようにろ布を固定し、筒状ろ布の内側にダストが含まれた高温・高圧ガスを導入し集塵を行った。設備条件は、温度200℃、高炉圧2.3(kg/cm2)、ガス成分は、H2、N2、CO、CO2、及びH2Oが主成分であった。
【0025】
(実施例1)
炉頂圧発電用バグフィルター用フェルトは一般的なニードルパンチ加工工程によって作成した。支持層として用いたポリイミド繊維(Inspec Fibres社製、P84)は、960デニール、480フィラメントで240℃下での初期引張弾性率が7.8(g/d)であり、タテ18本/inch、ヨコ10本/inchにて平織りにして支持層として用いた。また、ろ過層を形成する繊維は同じくポリイミド繊維を用い、2デニール、51mmの短繊維で、ランダムな異形断面をしたものである。これら支持層とろ過層をニードルパンチ工程でフェルトとし、熱カレンダーロールや熱風処理さらにはろ過面の毛焼きを行ない、目付422(g/m2)のフェルトを得た。その後、縫製部をシェルステッチにて縫製し、バグフィルター用ろ布を得た。このろ布の240℃下でのタテ方向の引張強力は69(kgf/5cm)であった。
【0026】
(実施例2)
実施例1で得られたフェルトを、水分散のフッ素系撥水撥油剤(高松油脂社製、TKガードNA996、ネオラックスR−500、キャタライザー22Bの混合溶液)に浸漬し、マングルで絞り、140℃×120s熱処理し、約3%のフッ素系樹脂による被覆を行った。得られたフェルトは目付437(g/m2)で、その後、実施例1と同様にシェルステッチにて縫製した。得られたろ布の240℃下でのタテ方向の引張強力は64(kgf/5cm)であった。
【0027】
(実施例3)
実施例1と同様な支持層を用いた。ろ過層は、ポリイミド短繊維とポリテトラフルオロエチレン短繊維を重量比で65:35で混綿したものを用いた。ポリテトラフルオロエチレン短繊維(レンチング社製PTFE繊維)は、平均繊度2.4デニール、60mmで、もともと0.5〜7デニールの繊度分布を持つものを用いた。実施例1と同様にニードルパンチ工程によりフェルトを得、各種熱処理を行った。実施例1,2と同様にシェルステッチにて縫製し、目付475(g/m2)、240℃下でのタテ強力が66(kgf/5cm)のろ布を得た。
【0028】
(実施例4)
支持層には、ポリベンズビスオキサゾール繊維(東洋紡績(株)製)、1000デニール664フィラメントで強度40(g/d)、室温での初期引張弾性率1300(g/d)、240℃下での初期引張弾性率は1032(g/d)のものを用いた。支持層はタテ12本/inch、ヨコ10本/inchにて平織りにして用いた。短繊維は同じくポリベンズビスオキサゾール短繊維(東洋紡績(株)製)、1.5デニール、36(g/d)、44mmを用いた。実施例1〜3と同様に支持層とろ過層をニードルパンチ工程で一体化させフェルトとし、熱カレンダーや熱処理、さらには毛焼き等を行い、目付444(g/m2)のフェルトを得た。その後シェルステッチにて縫製した。このろ布の240℃下でのタテ方向に引張強力は562(kgf/5cm)であった。
【0029】
(実施例5)
実施例4で得られたポリベンズビスオキサゾール繊維からなるフェルトを、実施例2と同様なフッ素樹脂による加工を行った。得られたフェルトは、目付465(g/m2)であり、シェルステッチによって縫製した。得られたろ布の240℃下のタテ方向の引張強力は547(kgf/5cm)であった。
【0030】
(参考例1)実施例1で得られたろ布の縫製部を、単なる重ね合わせ部を縫製するという方法でろ布を作成した。
【0031】
(比較例1)
実施例1と同様な支持層用の960デニール480フィラメントのポリイミド繊維を用い、織密度がタテ10本/inch、ヨコ10本/inchにて平織りの支持層を得た。ろ過層には実施例1と同様なポリイミド短繊維を用い、ニードルパンチ工程によって一体化した。その後、実施例同様な各種熱処理などを行ない、シェルステッチにて縫製した。得られたろ布は、240℃下での引張強力が38(kgf/5cm)であった。
【0032】
(比較例2)
支持層として用いたポリイミド繊維(未熱セット糸)は、240℃下での初期引張弾性率が4.7(g/d)のものを用いて、実施例と同様な織密度で支持層を作成し、ろ過層はポリイミド短繊維を用いた。ニードルパンチ工程や熱処理を施したフェルトをシェルステッチにて縫製し、目付405(g/m2)、240℃下のタテ強力は67(kgf/5cm)のろ布を得た。
【0033】
(比較例4)
支持層に用いた繊維は、ポリテトラフルオロエチレン繊維(レンチング社製、プロフィレン)、400デニール長繊維で、240℃下での初期引張弾性率は6.8(g/d)であり、ガラス転移温度は126℃であることが知られている。この繊維をタテ50本/inch、ヨコ50本/inchにて平織りの支持層を得た。ろ過層は同じくポリテトラフルオロエチレン短繊維(レンチング社製プロフィレン(2.4デニール、60mm)を用いて、ニードリパンチ加工によってフェルト化し各種熱処理を行った。その後シェルステッチにて縫製し、目付733(g/m2)、240℃下での強力は42(kgf/5cm)のろ布を得た。
【0034】
(比較例5)
支持層とろ過層がm−アラミド繊維からなり樹脂加工により耐酸処理したバグフィルター用フェルトを用いた。目付520(g/m2)、240℃下でのタテ強力は50(kgf/5cm)であった。
【0035】
上記実施例1〜5、参考例1及び比較例1〜4について、各種特性値及び結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
以上のように、炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布の支持層に用いる繊維の高温下での弾性率や、ろ布の高温下でのタテ引張強力を規定し、さらに、プレッシャークッカ−評価においても高い耐久性を示し、縫製部もシェルステッチにした実施例1〜5は、実機に投入してもろ布の強度保持率がいずれも90%以上で非常に高く、ろ布の伸びや破損なども一切見られず、非常に高い耐久性を示すことが判る。また、実施例4ではプレッシャークッカ−での評価では強力保持率が48%で、6ヶ月後の実機での強力保持率は51%であったが、絶対値では372(Kgf/5cm)と非常に高く十分な耐久性を示すことができる。実施例5については、フッ素系樹脂加工によってポリベンズビスオキサゾール繊維であってもプレッシャークッカ‐や使用後でも非常に高い耐久性を示している。また参考例1のものは縫製部が単なる重ね縫いでありろ布の耐久性は実用上問題はなかったが、縫製部の素抜け破損などが見られた。一方、ポリイミド繊維からなるろ布であっても比較例1〜2に見られるように240℃下でのろ布強力や支持層の弾性率が低く、ろ布の破損や伸びが見られた。また、比較例3では耐プレッシャークッカ−性などに優れるポリテトラフルオロエチレンを支持層に用い実際に、使用後の強力保持率は約100%と非常に高かったが、使用温度よりもガラス転移温度が低いために予想通り高温下でのクリーフ゜によりろ布の伸びが発生し、ろ過特性など十分な性能が発揮できなかった。また、比較例4のm−アラミド繊維からなるろ布は、プレッシャークッカ−試験に見られるように高温・高圧下での耐加水分解性に弱く、実機にても強力の低下が大きかった。また、m−アラミドはポリイミドやポリベンゾビスオキサゾールと比べるとガラス転移温度の差にも見られるように耐熱性が低く、発電効率が低いと言った問題が容易に予測できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、高温・高圧下、さらには逆洗方式にて使用される炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布において、長期にわたって高い耐久性を示すろ布を提供することを可能とした。
Claims (3)
- 耐熱性繊維からなる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布において、支持層とろ過層が積層一体化した構造体であって、該構造体の240℃下での少なくとも一方向の強力が40kgf/5cm以上であり、前記支持層を構成する耐熱性繊維が、ガラス転移温度が240℃以上、240℃下での初期引張弾性率が5g/d以上であるポリイミド繊維及び/又はポリベンザゾール繊維からなり、且つ160℃、79%RH、4kg/cm2Gのプレッシャークッカー試験において500時間後の強力保持率が30%以上であり、シェルステッチにより筒状に縫製一体化されてなる炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布。
- ろ過層がポリイミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、m−アラミド繊維及びガラス繊維から選ばれる1種もしくは2種類以上の繊維からなることを特徴とする請求項1記載の炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布。
- バグフィルター用ろ布がろ過面側にフッ素系樹脂層を設けてなることを特徴とする請求項1記載の炉頂圧発電用バグフィルター用ろ布。
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