JP2004160381A - 寸法安定性に優れた高機能フィルター材 - Google Patents
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Abstract
【課題】200℃以上の高温下において寸法安定性が良好で、強度の低下もなく高温ガス中のダストを捕集するのに好適なフィルター材を提供する。
【解決手段】芳香族アラミド繊維,ポリイミド繊維等の有機繊維とガラス繊維,アルミナ繊維などの無機繊維の交撚,交織により基布を作成し、該基布の表面を耐熱樹脂によりコーティングし、表裏両側に有機繊維よりなる繊維集合体繊維層を積層してニードルパンチングにより絡合一体化して不織布とすると共に、該不織布を300℃以上の高温で熱処理する。
【選択図】 なし
【解決手段】芳香族アラミド繊維,ポリイミド繊維等の有機繊維とガラス繊維,アルミナ繊維などの無機繊維の交撚,交織により基布を作成し、該基布の表面を耐熱樹脂によりコーティングし、表裏両側に有機繊維よりなる繊維集合体繊維層を積層してニードルパンチングにより絡合一体化して不織布とすると共に、該不織布を300℃以上の高温で熱処理する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高機能フィルター材、特に高温ガス中のダストを捕集するための耐熱性と寸法安定性に優れたフィルター材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ごみ焼却炉等から排出される高温の排ガスからダストを捕集分離するために使用する耐熱フィルター材は、ポリフェニレンサルファイド繊維,芳香族アラミド繊維,テトラフロロエチレン繊維,ポリイミド繊維,ガラス繊維等が使用され、使用時の寸法安定性保持のため、それぞれに使用した繊維と同材質の基布が使用されて構成されているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、バッグフィルター分野で使用される200℃以上の高温下では前記有機繊維を主体としたフィルター材では収縮したり、伸びたりする寸法安定性等の要因でフィルター材の破損等が多い等の問題点があり、その対策として、機械的強度の確保可能なようにガラス繊維のような無機繊維を基布に採用することが試みられている。
しかしながら、上述の如きフィルター材においても、まだ高温時の強度や寸法安定性は充分解決されず、依然問題が残っている。
【0004】
本発明は上述の如き実状に対処し、特に有効な使用繊維と熱処理温度を見出すことにより有機繊維を主体としたフィルター材で200℃以上の高温下で優れた寸法安定性を呈するフィルター材を供給することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的に適合する本発明は、耐熱性有機繊維と無機繊維の交撚糸か、交織からなる基布を使用し、該基布を耐熱樹脂でコーティングし、耐熱性有機繊維からなる繊維集合体繊維層を主体として、基布の両側に該繊維層を積層しニードルパンチングで一体化して製造されたフィルター材であって、かつ、更に該フィルター材を300℃以上の高温において熱処理してなる構成にある。
このことにより、有機繊維の熱に対して欠ける寸法安定性を無機繊維との交撚,交織とによって補い、かつ強度の低下を抑え、製品での使用で200℃以上の高温下でも寸法安定性の良いフィルター材を供給することを可能ならしめている。
【0006】
請求項2〜4は上記フィルター材に使用して好ましい有機繊維,無機繊維,繊維集合体の各具体例であり、請求項2は耐熱性有機繊維として芳香族アラミド繊維,テトラフロロエチレン繊維,ポリイミド繊維の何れか1種又は2種以上を用いること、また請求項3は無機繊維としてガラス繊維,カーボン繊維,アルミナ繊維,シリカ繊維,チタン繊維,金属繊維から選ばれた少なくとも1つの繊維を用いること、そして更に繊維集合体には上記耐熱性有機繊維の単独又は2種以上からなる繊維層が用いられることを夫々呈示している。
【0007】
【作用】
上記本発明のフィルター材は、高温時の荷重変形に強い無機繊維を基布構成の芯に用い、加工時に受ける変形,ダメージを上記基布に施してあるコーティング剤や有機繊維が受け、フィルター性能は有機繊維の集合体繊維層が主体になる。
高温熱セット時に生じる有機繊維の熱収縮は基布内部に無機繊維が混在されて固定されているので、定長セットされ、表面は繊維が自由なため処理温度に応じた収縮をする。
かくして得られた製品は高温下での使用で寸法の安定した、濾過性能の優れた効果を発揮する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、更に本発明の具体的な実施の形態について詳述する。
本発明は前述の如く耐熱性有機繊維と無機繊維の交撚,交織からなる基布を芯材として該基布の表面にコーティングを施して、その両側に有機繊維の繊維集合体層を積層し、ニードルパンチングにより絡合一体化すると共に、300℃以上の高温で熱処理したフィルター材である。
【0009】
ここで、上記基布を構成する耐熱性有機繊維は芳香族アラミド繊維,テトラフロロエチレン繊維,ポリイミド繊維より選ばれた1種又は2種以上の繊維であり、特に芳香族ポリイミド繊維は最も好適である。
また、有機繊維と交撚,交織される無機繊維としては、ガラス繊維,カーボン繊維,アルミナ繊維,シリカ繊維,チタン繊維,金属繊維が挙げられ、これら繊維の1種以上が使用されるが、ガラス繊維が最も一般的である。
【0010】
そして、上述の如き有機繊維,無機繊維を用いて交撚又は交織し、基布を構成する。
この基布はフィルター材の繊維層の芯を形成するもので、特に平織り,綾織りなど、組織は問わないが、通常、平織りで経緯共に2.54cm当たり20〜30本程度の織布が好ましい。
なお、交撚,交織される上記有機繊維と無機繊維からなる基布の無機繊維と有機繊維の比率は40:60〜60:40が好ましく、特に50:50は製品加工時に基布が受けるニードルパンチングのダメージを最小にすると共に、製品使用時の寸法安定性や強度を確保する上から好適である。
【0011】
かくして、上記により得られた両繊維の交撚又は交織による基布は、次にその表面にコーティングが施されるが、コーティングはフッ素樹脂を主成分とするもので行うことが好ましい。
これはフッ素樹脂はその低摩擦特性によりニードルパンチ時にガラス繊維等が損傷を受けるのを抑制することができるからである。
【0012】
次に上記基布を芯としてその両側に積層される繊維集合体繊維層は通常、有機繊維である芳香族ポリイミド繊維が使用される。
芳香族ポリイミド繊維は不規則な異形断面形状と適度な表面摩擦特性を有しており、カードによる製造工程での生産性が良好である。
【0013】
かくて、フッ素樹脂を主成分とするコーティング剤で表面がコーティングされた基布の両面に上記芳香族ポリイミド繊維よりなる繊維層を積層し、ニードルパンチング加工を行って全体を互いに一体化するが、絡合処理を十分行うことにより繊維が強固に絡合した極めて緻密な不織布が得られる。
そして、この不織布に対し、更にカレンダー処理をして厚さと繊維層の表面層や内層の繊維を整えた後、300℃以上の高温の乾熱処理を施し高温に安定な製品とする。
【0014】
以上の高温の乾熱処理を施して得た製品は300℃以上の高熱で処理されたため繊維層表面が緻密で均一な構造で、内面は表面よりやや粗い構造を示すと共に、高温に安定な製品である。
従って、高温で製品をダスト捕集等に使用しても強度は高く保持され、寸法安定性も良く、ダスト捕集性能も優れている。
【0015】
なお、本発明は前記の基布並びに繊維層については、例えば無機繊維がガラス繊維、有機繊維が芳香族ポリイミド繊維で構成したものなどに限定されるものではなく、耐熱性や化学的安定性等の所要の性能を損なわない範囲内で所定の適宜材料を組み合わせ混入することが可能である。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における目付量,厚さ,通気度,常温,高温引張強力,乾熱収縮率の測定は下記の方法に従って行った。
目付量
JIS L1096の8.4.2に記載の方法に準拠して求めた。
厚さ
JIS L1096の8.5.1に記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
通気度
JIS L1096の6.27.1に記載のフランジール形試験機で測定した。
常温、高温引張強力
JIS L1096の6.12.1に記載のA法カットストリップ法に準じて、不織布から切り出した巾5cm及び長さ30cm(つかみ間隔20cm)の試験片を、常温、及び250℃の温度下で定速伸張形引張試験機にて引張速度20cm/分で測定することにより強力及び196N/5cmの伸度を評価した。
【0017】
乾熱収縮率
幅30cm及び長さ30cmの試験片を切り出し、長さ25cmの標準線を縦横それぞれ5本ずつ記した
後、正確に長さを測定しておき送風循環型オーブンを用いて250℃で1時間加熱し、次いで20℃相対湿度65%の条件で法令した後、各標準線の長さを測定し、下式
乾熱収縮率(%)=((1−(加熱後の標準線長さ/加熱前標準線長さ))×100
により、乾熱収縮率を求めた。
【0018】
濾布の評価
都市ゴミ焼却炉に用いられるバッグフィルター濾過集塵装置(NKK製「ボトムインレット」)用の濾布(直径164mm×長さ5200mmの袋型)を作成した。製品の初期圧損,払い落とし頻度,1年後の圧損評価をした。
【0019】
集塵の対象ガスは温度230℃〜240℃、水分率5%〜30%、HCL濃度が300mg/Nm3、SOx濃度が120ppm、NOx濃度が100ppm及び見掛け濾過速度が1.2m/分であった。
【0020】
(実施例1)
繊度710デシテックスのガラス繊維のマルチフィラメントと繊度1000デシテックスの芳香族ポリイミド繊維(商品名:東洋紡P84)のマルチフィラメントを用いて、交撚糸を得た。この交撚糸からタテ24本/インチ、ヨコ24本/インチの平織り織布を作成して基布とし、この基布にポリテトラフロロエチレン樹脂を付与量が3.0wt%になるようにディッピングによるコーティング加工をした。
一方、繊度2.2デシテックスで繊維長60mmの芳香族ポリイミド繊維(P84)のステープルファィバーをカーディング機を用いて繊維層とした。
そしてこの繊維層を前記コーティング加工した基布の両面に積層してニードルパンチング加工を施して不織布を得た。
この不織布をカレンダープレスロール機により240℃で処理速度2.0m/分、ローラ間の隙間巾0.8mmで処理し、引き続き高温熱風ヒートセット機により、300℃で実行処理時間40秒で3%伸張処理を行って厚さ1.4mm、目付400g/m2のフィルター材を得た。
【0021】
(実施例2)
実施例1と同じくコーティング基布に繊維層を両側に積層してニードルパンチング加工して得た不織布を実施例1と同様にカレンダー加工を行い、高温熱風ヒートセット機で315℃、実行処理時間40秒で3%伸張処理した以外は実施例1に全て同じとしてフィルター材を得た。
【0022】
(比較例1)
実施例1で用いた芳香族ポリイミド繊維を用いて織成したコーティング基布に同様繊維の繊維層を両側に積層してニードルパンチ加工して得た不織布をカレンダー加工後、高温熱風ヒートセット機で、340℃で実行処理時間40秒で処理したが、不織布が収縮を起こして硬くなり、使用に耐えられないものであった。
【0023】
(比較例2)
実施例1と同じくコーティング基布に同じ繊維層を両側に積層してニードルパンチング加工して得た不織布をカレンダー加工後、高温熱風ヒートセット機で、280℃、実行処理時間40秒で処理した以外は実施例1に同じとしてフィルター材を得た。
【0024】
(比較例3)
繊度1000デシテックスの芳香族ポリイミド繊維(P84)のマルチフィラメントを用いてタテ24本/インチ、ヨコ24本/インチの平織り織布を作成し基布とした。
一方、繊度2.2デシテックスで繊維長60mmの芳香族ポリイミド繊維(P84)のステープルファイバーをカーディング機により繊維層とした。
この繊維層を上記基布の両面に積層してニードルパンチング加工を施して不織布を得た。
この不織布を次にカレンダープレスロール機により240℃で処理速度2.0m/分でローラー間の間隙幅0.8mmで不織布を処理し、厚さ1.5mm、目付417g/m2のフィルター材を得た。
【0025】
上記実施例1,2及び比較例1,2,3で得られた各フィルター材について250℃の高温ガス中のダスト捕集を行い、それぞれ製品の特性評価を行った。その結果を表1,表2及び表3に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
上記表1,2の結果より実施例1,2によるフィルター材は、各比較例のものに比し、物性に低下がなく、高温での荷重下における伸びが小さく、濾過性能も良好であることが分かる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明フィルター材は無機繊維と耐熱性有機繊維の交撚,交織による基布の表面にコーティングを施し、その両面に同じく耐熱性有機繊維による繊維層を積層し、ニードルパンチングにより互いに絡合一体化して300℃以上の高温で熱処理したものであり、有機,無機両繊維の混織により夫々の繊維の特性を活用して製品の寸法安定性や強度を保持することが出来ると共に、基布表面のコーティングによりニードルパンチング時における繊維の損傷を抑止し、かつ、300℃以上の高温熱処理により高温ガス中における性能の低下をなくし、高温ガス中のダスト捕集を無理なく充分達成することができる顕著な効果を有している。
【発明の属する技術分野】
本発明は高機能フィルター材、特に高温ガス中のダストを捕集するための耐熱性と寸法安定性に優れたフィルター材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ごみ焼却炉等から排出される高温の排ガスからダストを捕集分離するために使用する耐熱フィルター材は、ポリフェニレンサルファイド繊維,芳香族アラミド繊維,テトラフロロエチレン繊維,ポリイミド繊維,ガラス繊維等が使用され、使用時の寸法安定性保持のため、それぞれに使用した繊維と同材質の基布が使用されて構成されているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、バッグフィルター分野で使用される200℃以上の高温下では前記有機繊維を主体としたフィルター材では収縮したり、伸びたりする寸法安定性等の要因でフィルター材の破損等が多い等の問題点があり、その対策として、機械的強度の確保可能なようにガラス繊維のような無機繊維を基布に採用することが試みられている。
しかしながら、上述の如きフィルター材においても、まだ高温時の強度や寸法安定性は充分解決されず、依然問題が残っている。
【0004】
本発明は上述の如き実状に対処し、特に有効な使用繊維と熱処理温度を見出すことにより有機繊維を主体としたフィルター材で200℃以上の高温下で優れた寸法安定性を呈するフィルター材を供給することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的に適合する本発明は、耐熱性有機繊維と無機繊維の交撚糸か、交織からなる基布を使用し、該基布を耐熱樹脂でコーティングし、耐熱性有機繊維からなる繊維集合体繊維層を主体として、基布の両側に該繊維層を積層しニードルパンチングで一体化して製造されたフィルター材であって、かつ、更に該フィルター材を300℃以上の高温において熱処理してなる構成にある。
このことにより、有機繊維の熱に対して欠ける寸法安定性を無機繊維との交撚,交織とによって補い、かつ強度の低下を抑え、製品での使用で200℃以上の高温下でも寸法安定性の良いフィルター材を供給することを可能ならしめている。
【0006】
請求項2〜4は上記フィルター材に使用して好ましい有機繊維,無機繊維,繊維集合体の各具体例であり、請求項2は耐熱性有機繊維として芳香族アラミド繊維,テトラフロロエチレン繊維,ポリイミド繊維の何れか1種又は2種以上を用いること、また請求項3は無機繊維としてガラス繊維,カーボン繊維,アルミナ繊維,シリカ繊維,チタン繊維,金属繊維から選ばれた少なくとも1つの繊維を用いること、そして更に繊維集合体には上記耐熱性有機繊維の単独又は2種以上からなる繊維層が用いられることを夫々呈示している。
【0007】
【作用】
上記本発明のフィルター材は、高温時の荷重変形に強い無機繊維を基布構成の芯に用い、加工時に受ける変形,ダメージを上記基布に施してあるコーティング剤や有機繊維が受け、フィルター性能は有機繊維の集合体繊維層が主体になる。
高温熱セット時に生じる有機繊維の熱収縮は基布内部に無機繊維が混在されて固定されているので、定長セットされ、表面は繊維が自由なため処理温度に応じた収縮をする。
かくして得られた製品は高温下での使用で寸法の安定した、濾過性能の優れた効果を発揮する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、更に本発明の具体的な実施の形態について詳述する。
本発明は前述の如く耐熱性有機繊維と無機繊維の交撚,交織からなる基布を芯材として該基布の表面にコーティングを施して、その両側に有機繊維の繊維集合体層を積層し、ニードルパンチングにより絡合一体化すると共に、300℃以上の高温で熱処理したフィルター材である。
【0009】
ここで、上記基布を構成する耐熱性有機繊維は芳香族アラミド繊維,テトラフロロエチレン繊維,ポリイミド繊維より選ばれた1種又は2種以上の繊維であり、特に芳香族ポリイミド繊維は最も好適である。
また、有機繊維と交撚,交織される無機繊維としては、ガラス繊維,カーボン繊維,アルミナ繊維,シリカ繊維,チタン繊維,金属繊維が挙げられ、これら繊維の1種以上が使用されるが、ガラス繊維が最も一般的である。
【0010】
そして、上述の如き有機繊維,無機繊維を用いて交撚又は交織し、基布を構成する。
この基布はフィルター材の繊維層の芯を形成するもので、特に平織り,綾織りなど、組織は問わないが、通常、平織りで経緯共に2.54cm当たり20〜30本程度の織布が好ましい。
なお、交撚,交織される上記有機繊維と無機繊維からなる基布の無機繊維と有機繊維の比率は40:60〜60:40が好ましく、特に50:50は製品加工時に基布が受けるニードルパンチングのダメージを最小にすると共に、製品使用時の寸法安定性や強度を確保する上から好適である。
【0011】
かくして、上記により得られた両繊維の交撚又は交織による基布は、次にその表面にコーティングが施されるが、コーティングはフッ素樹脂を主成分とするもので行うことが好ましい。
これはフッ素樹脂はその低摩擦特性によりニードルパンチ時にガラス繊維等が損傷を受けるのを抑制することができるからである。
【0012】
次に上記基布を芯としてその両側に積層される繊維集合体繊維層は通常、有機繊維である芳香族ポリイミド繊維が使用される。
芳香族ポリイミド繊維は不規則な異形断面形状と適度な表面摩擦特性を有しており、カードによる製造工程での生産性が良好である。
【0013】
かくて、フッ素樹脂を主成分とするコーティング剤で表面がコーティングされた基布の両面に上記芳香族ポリイミド繊維よりなる繊維層を積層し、ニードルパンチング加工を行って全体を互いに一体化するが、絡合処理を十分行うことにより繊維が強固に絡合した極めて緻密な不織布が得られる。
そして、この不織布に対し、更にカレンダー処理をして厚さと繊維層の表面層や内層の繊維を整えた後、300℃以上の高温の乾熱処理を施し高温に安定な製品とする。
【0014】
以上の高温の乾熱処理を施して得た製品は300℃以上の高熱で処理されたため繊維層表面が緻密で均一な構造で、内面は表面よりやや粗い構造を示すと共に、高温に安定な製品である。
従って、高温で製品をダスト捕集等に使用しても強度は高く保持され、寸法安定性も良く、ダスト捕集性能も優れている。
【0015】
なお、本発明は前記の基布並びに繊維層については、例えば無機繊維がガラス繊維、有機繊維が芳香族ポリイミド繊維で構成したものなどに限定されるものではなく、耐熱性や化学的安定性等の所要の性能を損なわない範囲内で所定の適宜材料を組み合わせ混入することが可能である。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における目付量,厚さ,通気度,常温,高温引張強力,乾熱収縮率の測定は下記の方法に従って行った。
目付量
JIS L1096の8.4.2に記載の方法に準拠して求めた。
厚さ
JIS L1096の8.5.1に記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
通気度
JIS L1096の6.27.1に記載のフランジール形試験機で測定した。
常温、高温引張強力
JIS L1096の6.12.1に記載のA法カットストリップ法に準じて、不織布から切り出した巾5cm及び長さ30cm(つかみ間隔20cm)の試験片を、常温、及び250℃の温度下で定速伸張形引張試験機にて引張速度20cm/分で測定することにより強力及び196N/5cmの伸度を評価した。
【0017】
乾熱収縮率
幅30cm及び長さ30cmの試験片を切り出し、長さ25cmの標準線を縦横それぞれ5本ずつ記した
後、正確に長さを測定しておき送風循環型オーブンを用いて250℃で1時間加熱し、次いで20℃相対湿度65%の条件で法令した後、各標準線の長さを測定し、下式
乾熱収縮率(%)=((1−(加熱後の標準線長さ/加熱前標準線長さ))×100
により、乾熱収縮率を求めた。
【0018】
濾布の評価
都市ゴミ焼却炉に用いられるバッグフィルター濾過集塵装置(NKK製「ボトムインレット」)用の濾布(直径164mm×長さ5200mmの袋型)を作成した。製品の初期圧損,払い落とし頻度,1年後の圧損評価をした。
【0019】
集塵の対象ガスは温度230℃〜240℃、水分率5%〜30%、HCL濃度が300mg/Nm3、SOx濃度が120ppm、NOx濃度が100ppm及び見掛け濾過速度が1.2m/分であった。
【0020】
(実施例1)
繊度710デシテックスのガラス繊維のマルチフィラメントと繊度1000デシテックスの芳香族ポリイミド繊維(商品名:東洋紡P84)のマルチフィラメントを用いて、交撚糸を得た。この交撚糸からタテ24本/インチ、ヨコ24本/インチの平織り織布を作成して基布とし、この基布にポリテトラフロロエチレン樹脂を付与量が3.0wt%になるようにディッピングによるコーティング加工をした。
一方、繊度2.2デシテックスで繊維長60mmの芳香族ポリイミド繊維(P84)のステープルファィバーをカーディング機を用いて繊維層とした。
そしてこの繊維層を前記コーティング加工した基布の両面に積層してニードルパンチング加工を施して不織布を得た。
この不織布をカレンダープレスロール機により240℃で処理速度2.0m/分、ローラ間の隙間巾0.8mmで処理し、引き続き高温熱風ヒートセット機により、300℃で実行処理時間40秒で3%伸張処理を行って厚さ1.4mm、目付400g/m2のフィルター材を得た。
【0021】
(実施例2)
実施例1と同じくコーティング基布に繊維層を両側に積層してニードルパンチング加工して得た不織布を実施例1と同様にカレンダー加工を行い、高温熱風ヒートセット機で315℃、実行処理時間40秒で3%伸張処理した以外は実施例1に全て同じとしてフィルター材を得た。
【0022】
(比較例1)
実施例1で用いた芳香族ポリイミド繊維を用いて織成したコーティング基布に同様繊維の繊維層を両側に積層してニードルパンチ加工して得た不織布をカレンダー加工後、高温熱風ヒートセット機で、340℃で実行処理時間40秒で処理したが、不織布が収縮を起こして硬くなり、使用に耐えられないものであった。
【0023】
(比較例2)
実施例1と同じくコーティング基布に同じ繊維層を両側に積層してニードルパンチング加工して得た不織布をカレンダー加工後、高温熱風ヒートセット機で、280℃、実行処理時間40秒で処理した以外は実施例1に同じとしてフィルター材を得た。
【0024】
(比較例3)
繊度1000デシテックスの芳香族ポリイミド繊維(P84)のマルチフィラメントを用いてタテ24本/インチ、ヨコ24本/インチの平織り織布を作成し基布とした。
一方、繊度2.2デシテックスで繊維長60mmの芳香族ポリイミド繊維(P84)のステープルファイバーをカーディング機により繊維層とした。
この繊維層を上記基布の両面に積層してニードルパンチング加工を施して不織布を得た。
この不織布を次にカレンダープレスロール機により240℃で処理速度2.0m/分でローラー間の間隙幅0.8mmで不織布を処理し、厚さ1.5mm、目付417g/m2のフィルター材を得た。
【0025】
上記実施例1,2及び比較例1,2,3で得られた各フィルター材について250℃の高温ガス中のダスト捕集を行い、それぞれ製品の特性評価を行った。その結果を表1,表2及び表3に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
上記表1,2の結果より実施例1,2によるフィルター材は、各比較例のものに比し、物性に低下がなく、高温での荷重下における伸びが小さく、濾過性能も良好であることが分かる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明フィルター材は無機繊維と耐熱性有機繊維の交撚,交織による基布の表面にコーティングを施し、その両面に同じく耐熱性有機繊維による繊維層を積層し、ニードルパンチングにより互いに絡合一体化して300℃以上の高温で熱処理したものであり、有機,無機両繊維の混織により夫々の繊維の特性を活用して製品の寸法安定性や強度を保持することが出来ると共に、基布表面のコーティングによりニードルパンチング時における繊維の損傷を抑止し、かつ、300℃以上の高温熱処理により高温ガス中における性能の低下をなくし、高温ガス中のダスト捕集を無理なく充分達成することができる顕著な効果を有している。
Claims (4)
- 織布の構成が耐熱性有機繊維と、無機繊維の交撚,交織からなる基布であって、該基布は、その表面が耐熱樹脂でコーティングされ、かつ該基布の両側に耐熱性有機繊維からなる繊維集合体が積層されニードルパンチングにより互いに絡合一体化されていると共に、300℃以上の温度で熱処理されてなることを特徴とする寸法安定性に優れた高機能フィルター材。
- 耐熱性有機繊維が芳香族アラミド繊維,テトラフロロエチレン繊維,ポリイミド繊維からなる群より選ばれた少なくとも一つの繊維である請求項1記載の寸法安定性に優れた高機能フィルター材。
- 無機繊維がガラス繊維,カーボン繊維,アルミナ繊維,シリカ繊維,チタン繊維,金属繊維からなる群より選ばれた少なくとも一つの繊維である請求項1または2記載の寸法安定性に優れた高機能フィルター材。
- 繊維集合体が耐熱性有機繊維の1種又は2種以上の混繊からなる繊維層である請求項1,2または3記載の寸法安定性に優れた高機能フィルター材。
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- 2002-11-14 JP JP2002330278A patent/JP2004160381A/ja active Pending
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