JP2012238455A - 蓄電デバイス用外装材及び蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材層11の一方の面側に、接着剤層12、金属箔層13、腐食防止処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層され、接着樹脂層15にオレフィン系エラストマーが分散されている蓄電デバイス用外装材1。また、正極、セパレータ、負極、電解液、並びにリード及びタブシーラントからなるタブを有する蓄電デバイス用内容物を、蓄電デバイス用外装材1により、前記タブの一部が外部に位置するように密封した蓄電デバイス。
【選択図】図1
Description
(i)ラミネート型外装材によりパウチを形成し、該パウチ内に蓄電デバイス用内容物を収納して密封するパウチタイプ。
(ii)ラミネート型外装材を冷間成型して凹部を形成し、形成した凹部に蓄電デバイス用内容物を収納して密封するエンボスタイプ。
エンボスタイプでは、内容物をより効率的に収納するため、貼り合わせるラミネート型外装材の両方に凹部を形成し、収納体積を増加させて蓄電容量を増加させる形態も採用されている。例えば、冷間成型により形成した凹部を有する2枚のラミネート型外装材の該凹部内に、正極、セパレータ、負極、電解液を収納し、リード及びタブシーラントからなるタブを外装材で挟み込んでその一部を外装材の外部に位置させるようにして、ラミネート型外装材の凹部周辺の端部をヒートシールしてヒートシール部を形成することで密封した蓄電デバイスが挙げられる。
最外層である基材層、アルミニウム箔層、化成処理層、接着剤層、及び最内層であるヒートシール層が順次積層され、前記ヒートシール層が、前記接着剤層側の第1ポリプロピレン層と、第1ポリプロピレン層よりも融点が低く、メルトフローレート(MFR)が高い最内層側の第2ポリプロピレン層で構成された蓄電デバイス用外装材(特許文献1)。
その他、特許文献1に記載の蓄電デバイス用外装材の製造では、第1ポリプロピレン層と第2プロピレン層を別々に形成するため、工程が複雑でエネルギーロスも大きい。
[1]基材層の一方の面側に、少なくとも金属箔層、腐食防止処理層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層された蓄電デバイス用外装材であって、
前記接着樹脂層にオレフィン系エラストマーが分散されていることを特徴とする蓄電デバイス用外装材。
[2]前記接着樹脂層が酸変性ポリプロピレン樹脂により形成され、前記シーラント層がポリプロピレン樹脂からなるフィルムにより形成されている[1]に記載の蓄電デバイス用外装材。
[3]前記オレフィン系エラストマーが、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・1−ブテン共重合体及び1−ブテン・α−オレフィン・エチレン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である[1]又は[2]に記載の蓄電デバイス用外装材。
[4]前記接着樹脂層に分散径が1nm〜10μmのオレフィン系エラストマーが分散されている[1]〜[3]のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用外装材。
[5]正極、セパレータ、負極、電解液、並びにリード及びタブシーラントからなるタブを有する蓄電デバイス用内容物を、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用外装材により、前記タブの一部が外部に位置するように密封した蓄電デバイス。
また、本発明の蓄電デバイスは、簡便に製造でき、電解液膨潤下であってもヒートシール部のバースト強度及びシール強度が高い蓄電デバイス用外装材を有している。
[第1実施形態]
本実施形態の蓄電デバイス用外装材1は(以下、「外装材1」という。)は、図1に示すように、基材層11の一方の面側に、接着剤層12、金属箔層13、腐食防止処理層14、接着樹脂層15及びシーラント層16が順次積層された積層体である。外装材1は、蓄電デバイスにおいて基材層11が外側、シーラント層16が内側として用いられる。
基材層11は、金属箔層13上に接着剤層12を介して形成される。基材層11は、蓄電デバイスを製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、また加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制する役割を果たす。また、エンボス成型時の金属箔層13の破断防止や、金属箔層13と他の金属の間の短絡を防止する絶縁性の付与等の役割を果たす。
基材層11としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の延伸又は未延伸フィルム等が挙げられる。なかでも成型性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させる点から、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
接着剤層12は、基材層11と金属箔層13間に形成される。接着剤層12は、基材層11とアルミニウム箔層13を強固に接着するのに必要な密着力を有するだけでなく、エンボス成型する際には基材層11によって金属箔層13の破断を保護するための追随性等も求められる。
接着剤層12としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等のポリオールを主剤とし、芳香族系や脂肪族系のイソシアネートを硬化剤とした二液硬化型のポリウレタン系接着剤等が挙げられる。前記接着剤の主剤における水酸基(OH基)に対する硬化剤のイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
金属箔層13は、接着剤層12と接着樹脂層15間に形成される。金属箔層13は、水分が蓄電デバイス内に浸入するのを防止することに加え、エンボス成型に対する優れた延展性、深絞り成形性が求められる。
金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができ、防湿性、延展性等の加工性、コストの面から、アルミニウム箔が好ましい。
ウェットタイプの脱脂処理としては、例えば、酸脱脂やアルカリ脱脂等が挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸等の無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じて鉄(III)イオンやセリウム(III)イオン等の供給源となる各種金属塩を配合してもよい。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム等の強エッチングタイプのアルカリが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。ウェットタイプの脱脂処理は浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウムを焼鈍処理する工程において、その処理時間を長くすることで脱脂処理を行う方法が挙げられる。また、該脱脂処理の他にも、フレーム処理やコロナ処理等が挙げられる。さらには特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理を採用してもよい。
腐食防止処理層14は、接着樹脂層15と金属箔層13間に形成される。腐食防止処理層14は、電解液や電解質と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層13の腐食を防止するだけでなく、アンカー層として接着樹脂層15との密着力を向上させることができる。
接着樹脂層15は、シーラント層16と腐食防止処理層14の間に形成される。接着樹脂層15を形成する接着樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、又はポリオレフィン樹脂を酸でグラフト変性した酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。接着樹脂層15がポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂で形成されていれば、ポリエステルウレタン系接着剤で形成される場合に比べて耐加水分解性が向上し、デバイス内で電解質と水分との反応によってフッ酸が発生したとしても、接着樹脂層15の分解劣化による密着力の低下が起こり難い。
酸変性ポリオレフィン樹脂におけるポリオレフィン樹脂は、前記ポリオレフィン樹脂が使用できる。酸変性ポリオレフィン樹脂におけるグラフト変性に用いる化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、又はその無水物等が挙げられる。なかでも、無水マレイン酸が特に好ましい。接着樹脂層15は、酸変性ポリオレフィン樹脂のなかでも、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂がさらに好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・1−ブテン共重合体及び1−ブテン・α−オレフィン・エチレン共重合体からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
オレフィン系エラストマーは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、オレフィン系エラストマーの分散径は、以下の方法で測定される。外装材から所定の大きさの試料片を切り出し、該試料片を樹脂で抱埋したものをウルトラマイクロトームにより断面切削する。その後、四酸化ルテニウムにより70℃で2〜4時間染色し、再度ウルトラマイクロトームで断面切削して、染色された断面についてプラチナ蒸着(導通処理)を行った後に走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して、測定した最長径を分散径とする。
接着樹脂層15の厚さは、2〜50μmが好ましい。
シーラント層16は、腐食防止処理層14上に接着樹脂層15を介して形成される。外装材1のシーラント層16同士を向かい合わせにし、シーラント層16の融解温度以上で外装材1の端部をヒートシールすることにより、蓄電デバイスにおける正極、負極、電解液等の内容物を密封する。
シーラント層16としては、ポリオレフィン樹脂、又はポリオレフィン樹脂を酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン樹脂のフィルムが挙げられ、ポリオレフィン樹脂フィルムが好ましい。
シーラント層16を形成する酸変性ポリオレフィン樹脂におけるポリオレフィン樹脂は、前記ポリオレフィン樹脂が使用できる。酸変性ポリオレフィン樹脂におけるグラフト変性に用いる化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、又はその無水物等が挙げられる。
シーラント層16は、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、造核剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シーラント層16を形成する樹脂のMFRは、230℃、2.16kgfにおいて1〜15g/10分が好ましい。
シーラント層16の厚さは、10〜80μmが好しい。
従来、外装材のヒートシール部において充分なヒートシール強度を得ようとする場合には、トレードオフの関係にあるバースト強度とシール強度の一方がある程度低下することを代償に他方を最適化する方法、又はバースト強度とシール強度を共に中間強度に設定する方法のいずれかが採用されている。しかし、これらの方法ではヒートシール強度が全体として大きく向上しない。具体的には、例えば、図7に例示した、基材層111、第1接着層112、アルミニウム箔層113、腐食防止処理層114、第2接着層115(オレフィン系エラストマーが分散されていない接着層)及びシーラント層116が順次積層された従来の蓄電デバイス用外装材101を用いて、シーラント層116同士をヒートシールしてヒートシール部101aを形成して蓄電デバイスを形成する場合、ヒートシール部101aの内部側にシーラント層116の樹脂が押出されてポリ玉116が形成される。剥離の初期ではポリ玉116bが破断し(バースト強度、図5の領域A)、その後の開裂は、ヒートシール融着面116aよりも密着力が低い腐食防止処理層114と接着樹脂層115の界面に移行する(シール強度、図5の領域B)と考えられる。ポリ玉116bを大きくすると、バースト強度は向上するが、ヒートシール部101aが薄くなることでポリ玉116bが破断した後の開裂が腐食防止処理層114と接着樹脂層115の界面に移行しやすくなり、充分なシール強度が得られ難くなる。
これに対し、図6に示すように、外装材1を用いてシーラント層16同士をヒートシールしてヒートシール部1aを形成して蓄電デバイスを形成した場合は、接着樹脂層15にオレフィン系エラストマーが分散されていることで、接着樹脂層15とシーラント層16の間で弾性率の差や、凝集力の差が生じ、ポリ玉16aが破断した後の開裂が接着樹脂層15とシーラント層16の界面に誘導されると考えられる。この接着樹脂層15とシーラント層16の界面での剥離強度が、腐食防止処理層14と接着樹脂層15の界面での剥離強度に比べて高いため、同等のバースト強度を有する従来の外装材に比べてより高いシール強度が達成されると考えられる。
以下、外装材1の製造方法について説明する。ただし、外装材1の製造方法は以下に記載される方法には限定されない。外装材1の製造方法としては、例えば、下記工程(I)〜(III)を有する方法が挙げられる。
(I)金属箔層13上に、腐食防止処理層14を形成する工程。
(II)金属箔層13における腐食防止処理層14を形成した側と反対側に、接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(III)金属箔層13の腐食防止処理層14側に、接着樹脂層15を介してシーラント層16を貼り合わせる工程。
金属箔層13の一方の面に、腐食防止処理剤を塗布し、乾燥、硬化を行って腐食防止処理層14を形成する。腐食防止処理剤としては、例えば、塗布型クロメート処理用の腐食防止処理剤等が挙げられる。
腐食防止処理剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、ダイコート、バーコート、キスコート、コンマコート等が挙げられる。
金属箔層13には、未処理の金属箔を使用してもよく、ウェットタイプ又はドライタイプの脱脂処理を施した金属箔を使用してもよい。
金属箔層13における腐食防止処理層14を形成した反対側に、接着剤層12を形成する接着剤を用いて基材層11を貼り合わせる。貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法が挙げられる。
工程(II)では、接着性の促進のため、室温〜100℃の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。
基材層11、接着剤層12、金属箔層13及び腐食防止処理層14がこの順に積層された積層体の腐食防止処理層14側に、接着樹脂層15を形成する接着樹脂を介してシーラント層16を貼り合わせる。
シーラント層16を積層する方法としては、例えば、前記積層体の腐食防止処理層14上に接着樹脂を押出ラミネートし、シーラント層16を形成するフィルムを積層し、それらを挟み込むようにして加熱圧着するサンドラミネーション法が挙げられる。その後、腐食防止処理層14と接着樹脂層15との密着性を向上させる目的で、熱処理(エージング処理、熱ラミネーション等)を施してもよい。
また、インフレーション法又はキャスト法にて、接着樹脂15とシーラント層16が積層された多層フィルムを作製し、該多層フィルムを前記積層体上に熱ラミネーションにより積層することで、接着樹脂層15を介してシーラント層16を積層してもよい。
なお、外装材1の製造方法は、前記工程(I)〜(III)を順次実施する方法には限定されない。例えば、工程(II)を行ってから工程(I)を行う等、順番を入れ替えてもよい。また、腐食防止処理層14の形成を、シーラント層16を積層する押出ラミネーションの際にインラインで行ってもよい。
次に、本発明の蓄電デバイス用外装材の他の例である蓄電デバイス用外装材2(以下、「外装材2」)という。)について説明する。外装材2において外装材1と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態の外装材2は、図2に示すように、基材層11の一方の面側に、接着剤層12、金属箔層13、腐食防止処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層され、基材層11の他方の面側に保護層17が形成された積層体である。
保護層17は、基材層11における金属箔層13側と反対側の表面に、所望の特性に応じて形成される。保護層17により、基材層11をキズ等から防止する耐擦性や、電解液等が漏洩した場合等に基材層11が溶解されることを防止する耐薬品性、更に成型性を高める滑り性、表面賦形による摩擦の低下等による深絞り性等の機能を向上させることができる。
保護層17の厚さは、追随性、加工性等の点から、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜30μmがより好ましい。
外装材2は、基材層11における金属箔層13を貼り合わせる側と反対側に、保護層17を設ける以外は、外装材1と同様にして製造できる。
保護層17の形成方法としては、塗工、ディッピング、スプレー法等の公知の方法を採用できる。また、保護層17は、前記樹脂を溶融させて押出す押出成型等で形成することもできる。また、保護層17の外表面には、エンボス加工等の加工を施してもよい。
次に、本発明の蓄電デバイス用外装材の他の例である蓄電デバイス用外装材3(以下、「外装材3」)という。)について説明する。外装材3において外装材1と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態の外装材3は、図3に示すように、基材層11の一方の面側に、接着剤層12、腐食防止処理層14、金属箔層13、腐食防止処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層された積層体である。つまり、外装材3は、金属箔層13の両側に腐食防止処理層14が形成されている以外は、外装材1と同じである。
外装材3の製造方法としては、金属箔層13の両面に腐食防止処理層14を形成する以外は外装材1の製造方法と同じ方法が挙げられる。金属箔層13の両面の腐食防止処理層14は、各々を順次形成してもよく、両方を一度に形成してもよい。
次に、本発明の蓄電デバイス用外装材の他の例である蓄電デバイス用外装材4(以下、「外装材4」)という。)について説明する。外装材4において外装材1と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態の外装材4は、図4に示すように、基材層11の一方の面側に、接着剤層12、腐食防止処理層14、金属箔層13、腐食防止処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層され、基材層11の他方の面側に保護層17が形成された積層体である。つまり、外装材4は、金属箔層13の両側に腐食防止処理層14が形成されている以外は、外装材2と同じである。
外装材4の製造方法としては、金属箔層13の両面に腐食防止処理層14を形成する以外は外装材2の製造方法と同じ方法が挙げられる。
金属箔層13の両面の腐食防止処理層14は、各々を順次形成してもよく、両方を一度に形成してもよい。
なお、本発明の蓄電デバイス用外装材は、前記外装材1〜4には限定されない。
本発明の蓄電デバイスは、前述した本発明の蓄電デバイス用外装材によって、正極、セパレータ、負極、電解液、並びにリード及びタブシーラントからなるタブを有する蓄電デバイス用内容物を、前記タブの一部が外部に位置するように密封した蓄電デバイスである。本発明の蓄電デバイスは、前述した本発明の蓄電デバイス用外装材を有する以外は、公知の形態を採用できる。
本実施形態の蓄電デバイス5は、図8に示すように、凹部1bが形成された外装材1を2枚有し、それら外装材1がシーラント層を合わせるように重ね合わされ、凹部1bの周囲の端部がヒートシールされてヒートシール部1aが形成されることで密封されている。蓄電デバイス5の凹部1bの内部には正極、セパレータ、負極、電解液が収納され、さらに正極及び負極のそれぞれに接続されたリード21及びタブシーラント22からなるタブ20が、その一部が外部に位置するようにして密封される。
外装材1に冷間成型により凹部1bを形成し、凹部1bを形成した2枚の外装材1を、シーラント層同士を向かい合うように重ね合わせ、凹部1bの内部に、少なくとも正極、負極、セパレータ、並びに正極及び負極に接続されたタブ20を収納し、タブ20のリード21をシーラント層間に挟み込まれるように引き出した状態で、外装材1の3辺をヒートシールする。その後、真空状態において、残った1辺から電解液を注入し、残りの1辺を最後にヒートシールすることで凹部1bの全周に亘ってヒートシール部1aを形成して内部を密封し、蓄電デバイス5とする。
[使用材料]
本実施例で使用した材料を以下に示す。
(基材層)
基材フィルムA−1:二軸延伸ポリアミドフィルム ON(厚さ25μm、ユニチカ社製)。
接着剤B−1:ポリエステルウレタン系接着剤(厚さ4μm)。
金属箔C−1:軟質アルミニウム箔 O8079材(厚さ40μm、東洋アルミニウム社製)。
処理剤D−1:3価クロム、リン酸及びアクリル系樹脂からなる塗布型クロメート処理剤。
接着樹脂E−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン AT2770(三井化学社製、厚さ20μm)100質量%からなる接着樹脂。
接着樹脂E−2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン AT2770(三井化学社製)85質量%に、オレフィン系エラストマー P−2060(三井化学社製)15質量%を分散させた接着樹脂(厚さ20μm)。
接着樹脂E−3:無水マレイン酸変性ポリプロピレン AT2770(三井化学社製)70質量%に、オレフィン系エラストマー P−2060(三井化学社製)30質量%を分散させた接着樹脂(厚さ20μm)。
フィルムF−1:無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm)。
金属箔C−1上に処理剤D−1をバーコータにより塗布し、乾燥ユニットにおいて180℃で焼付け処理を施し、金属箔層上に乾燥厚さ30nmの腐食防止処理層を形成した。次いで、金属箔層における腐食防止処理層の反対面に、ドライラミネート手法により接着剤B−1を用いて基材フィルムA−1を貼り合わせ、40℃7日間エージングをすることで接着剤B−1を熱架橋し、接着剤層(厚さ4μm)を介して基材層を積層した。次に、腐食防止処理層/金属箔層/接着剤層/基材層の積層体の腐食防止処理層上に、接着樹脂層を形成する接着樹脂を押出成型機から厚さ20μmとなるように押出し、シーラント層を形成するフィルムF−1を重ね、それらを挟み込みながら貼り合わせた。その後、熱ラミネート装置により、180℃、4kg/cm2、2m/分の条件で加熱圧着し、冷却することで図1に例示した積層構成の蓄電デバイス用外装材を得た。
(電解液膨潤ヒートシール強度:バースト強度及びヒートシール強度)
作製した蓄電デバイス用外装材を縦100mm×横50mmの大きさに切り出し、その短辺の中間部を基準に折り返し、長辺同士を重ねた側端部分を幅3mmでヒートシール(温度190℃、面圧0.5MPa、時間3秒)して、上部が開口している正方形の袋状の外装材を得た。その後、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)を質量比1:1:1で混合し、6フッ化リン酸リチウムを濃度を1mol/Lとなるように加え、更に1000質量ppmの水分を加えた電解液3mgを、真空状態において前記袋状の外装材に注入した後、該袋状の外装材の開口部分を幅10mmでヒートシール(温度190℃、面圧0.5MPa、時間3秒)してサンプルとした。
前記サンプルを60℃で1週間放置した後、該サンプルにおけるヒートシール部を含む側端側を縦50mm×横15mmの大きさで切り出した試験片に対し、JIS Z1713に準拠して、引張速度300mm/分の条件で、電解液膨潤下のヒートシール強度を測定した。バースト強度は初期の剥離強度である第1極大値(図5の領域Aの極大値)、シール強度は剥離強度の値が安定する領域(図5の領域B)の最大値を採用した。評価は以下の基準で行った。
「○(良好)」:バースト強度70N/15mm以上かつシール強度30N/15mm以上。
「×(不良)」:バースト強度70N/15mm未満又はシール強度30N/15mm未満。
前記作成方法により表1に示す構成の外装材1を作製し、電解液膨潤下のヒートシール強度を評価した。結果を表1に示す。
5 蓄電デバイス
11 基材層
12 接着剤層
13 金属箔層
14 腐食防止処理層
15 接着樹脂層
16 シーラント層
16a ポリ玉
17 保護層
20 タブ
21 リード
22 タブシーラント
Claims (5)
- 基材層の一方の面側に、少なくとも金属箔層、腐食防止処理層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層された蓄電デバイス用外装材であって、
前記接着樹脂層にオレフィン系エラストマーが分散されていることを特徴とする蓄電デバイス用外装材。 - 前記接着樹脂層が酸変性ポリプロピレン樹脂により形成され、前記シーラント層がポリプロピレン樹脂からなるフィルムにより形成されている請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記オレフィン系エラストマーが、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・1−ブテン共重合体及び1−ブテン・α−オレフィン・エチレン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記接着樹脂層に分散径が1nm〜10μmのオレフィン系エラストマーが分散されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 正極、セパレータ、負極、電解液、並びにリード及びタブシーラントからなるタブを有する蓄電デバイス用内容物を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用外装材により、前記タブの一部が外部に位置するように密封した蓄電デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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