JP2019029221A - 無延伸ポリプロピレン系フィルム及びこれをシーラント層として備える蓄電装置用外装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電装置用外装材における単層のシーラント層として用いられ、密封性及び絶縁性の両方を十分に高水準に達成可能な無延伸ポリプロピレン系フィルムを提供する。【解決手段】本発明に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムは、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンの少なくとも一方を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなり、−30℃から125℃まで速度5℃/分で昇温し、125℃における寸法変化率が25%以下であり、幅40mm長さ80mmの当該無延伸ポリプロピレン系フィルムを10mmのチャック間で固定し、500%伸張した前後の内部ヘーズ差が25%以下であり、当該無延伸ポリプロピレン系フィルム同士をヒートシールしたときのヒートシール開始温度が140〜160℃である。【選択図】図1
Description
本発明は、無延伸ポリプロピレン系フィルム及びこれをシーラント層として備える蓄電装置用外装材に関する。
蓄電装置として、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが知られている。携帯機器の小型化又は設置スペースの制限等により蓄電装置のさらなる小型化が求められており、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池に用いられる外装材としては、従来は金属製の缶が用いられていたが、軽量で、放熱性が高く、低コストで作製できる多層フィルム(例えば、基材層/金属箔層/シーラント層のような構成)が用いられるようになっている。
上記多層フィルムを外装材に用いるリチウムイオン電池では、内部への水分の浸入を防止するため、金属箔層としてアルミニウム箔層を含む外装材により電池内容物を覆う構成が採用されている。このような構成を採用したリチウムイオン電池は、アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池と呼ばれている。リチウムイオン電池の電池内容物には、正極、負極及びセパレータとともに、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの浸透力を有する非プロトン性の溶媒に、電解質としてリチウム塩を溶解した電解液、もしくはその電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が含まれる。
アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池は、例えば、外装材の一部に冷間成型によって凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収容し、外装材の残りの部分を折り返して縁部分をヒートシールで封止したエンボスタイプのリチウムイオン電池が知られている。このようなリチウムイオン電池を構成する外装材には、ヒートシールによって安定した密封性を示すとともに、電池内容物の電解液によりアルミニウム箔層とシーラント層間のラミネート強度の低下が生じにくいことが求められている。また、リチウムイオン電池の電池作動温度域においても安定した密封性が要求され、電池内容物の劣化、変質に伴う内圧の上昇においても密封性を付与する必要がある。
特許文献1に記載の発明は、エチレンコンテントが5〜10重量%であるランダムポリプロピレンとホモポリプロピレンとのブレンド樹脂層からなるヒートシール層を備えるリチウム電池用包装材料に関する。この発明によれば、高温状態に暴露されても安定した密封性を維持できるとされている。
特許文献2に記載の発明は、ヒートシール層が少なくとも第1ポリプロピレン層と第2ポリプロピレン層を有し、第2ポリプロピレン層が第1ポリプロピレン層より最内層側に配され、融点が低く、メルトインデックスが高いことを特徴とする電池用包装材料に関する。この発明によれば、外装体内部の密封性をより長期間確保することができるとされている。
特許文献3に記載の発明は、アルミニウム箔と、二軸延伸ポリエステルフィルム又は二軸延伸ポリアミドフィルムと、未延伸ポリプロピレンフィルムとの積層構造を有し、全体の厚さが150ミクロン以下である電池ケース用包材に関する。この発明によれば、折り曲げ加工し、ヒートシールした後においても未延伸ポリプロピレンフィルムに割れがほとんど発生せず、この結果、リーク電圧がほとんど発生しないとされている。
ところで、リチウムイオン電池のエネルギー密度は、冷間成型によって形成される凹部を深くするほど高くすることができる。しかし、凹部を深くするほど、冷間成型時に発生する歪みにより微細なクラックがシーラント層中に発生しやすく、特に成型側面部や角部といった絞り部分においてシーラント層の白化現象が生じやすい。冷間成型における白化現象は、絶縁低下をもたらし、電池性能の劣化を促進させるため、クラックによる白化現象の抑制はもちろんのこと、屈曲による白化も抑制することが求められる。シーラント層の耐熱性と成型によるクラックは、シーラント組成設計的に相反する特性のため、これらを両立したシーラントが蓄電装置用外装材には求められる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蓄電装置用外装材におけるシーラント層として用いられる無延伸ポリプロピレン系フィルムであって、密封性及び絶縁性の両方を十分に高水準に達成可能な無延伸ポリプロピレン系フィルム及びこれをシーラント層として備える蓄電装置用外装材を提供することを目的とする。
本発明に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムは、蓄電装置用外装材における単層のシーラント層として用いられるものであり、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンの少なくとも一方を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなり、−30℃から125℃まで速度5℃/分で昇温し、125℃における寸法変化率が25%以下であり、幅40mm長さ80mmの当該無延伸ポリプロピレン系フィルムを10mmのチャック間で固定し、500%伸張した前後の内部ヘーズ差が25%以下であり、当該無延伸ポリプロピレン系フィルム同士をヒートシールしたときのヒートシール開始温度が140〜160℃である。
上記無延伸ポリプロピレン系フィルムをシーラント層として備える蓄電装置用外装材を使用することで、蓄電装置の密封性及び絶縁性の両方を十分に高水準に達成することが可能である。
上記無延伸ポリプロピレン系フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、ホモポリプロピレンの含有量は30〜60質量部であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂組成物はランダムポリプロピレンをさらに含んでもよく、ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、ランダムポリプロピレンの含有量は5〜40質量部であることが好ましい。
本発明は上記無延伸ポリプロピレン系フィルムからなるシーラント層を備える蓄電装置用外装材を提供する。すなわち、この蓄電装置用外装材は、少なくとも一層の基材層と、第一の接着剤層と、一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられた金属箔層と、第二の接着剤層又は接着性樹脂層と、上記無延伸ポリプロピレン系フィルムからなるシーラント層とを備え、これらの層がこの順序で積層されている。
本発明によれば、蓄電装置用外装材におけるシーラント層として用いられる無延伸ポリプロピレン系フィルムであって、密封性及び絶縁性の両方を十分に高水準に達成可能な無延伸ポリプロピレン系フィルム及びこれをシーラント層として備える蓄電装置用外装材が提供される。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[蓄電装置用外装材]
図1は、本発明に係る蓄電装置用外装材(以下、場合により単に「外装材」という。)の一実施形態を模式的に表す断面図である。外装材は、絞り成型用包装材料の一態様である。図1に示す外装材10は、基材層11と、基材層11の一方の面上に形成された第一の接着剤層12と、第一の接着剤層12の基材層11とは反対の面上に形成された金属箔層13と、金属箔層13の第一の接着剤層12とは反対の面上に形成された腐食防止処理層14と、腐食防止処理層14の金属箔層13とは反対の面上に形成された接着性樹脂層15と、接着性樹脂層15の腐食防止処理層14とは反対の面上に形成されたシーラント層16とを備え、これらの層がこの順序で積層されている。外装材10において、基材層11が最外層であり、シーラント層16が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電装置の外部側に向け、シーラント層16を蓄電装置の内部側に向けて使用されるものである。以下、各層について説明する。
図1は、本発明に係る蓄電装置用外装材(以下、場合により単に「外装材」という。)の一実施形態を模式的に表す断面図である。外装材は、絞り成型用包装材料の一態様である。図1に示す外装材10は、基材層11と、基材層11の一方の面上に形成された第一の接着剤層12と、第一の接着剤層12の基材層11とは反対の面上に形成された金属箔層13と、金属箔層13の第一の接着剤層12とは反対の面上に形成された腐食防止処理層14と、腐食防止処理層14の金属箔層13とは反対の面上に形成された接着性樹脂層15と、接着性樹脂層15の腐食防止処理層14とは反対の面上に形成されたシーラント層16とを備え、これらの層がこの順序で積層されている。外装材10において、基材層11が最外層であり、シーラント層16が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電装置の外部側に向け、シーラント層16を蓄電装置の内部側に向けて使用されるものである。以下、各層について説明する。
<シーラント層16>
シーラント層16は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層16は、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンの少なくとも一方を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる。
シーラント層16は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層16は、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンの少なくとも一方を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる。
外装材10におけるシーラント層16の厚さは、接着性樹脂層15の厚さに応じて調整する。蓄電装置用外装材10におけるシーラント層16の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜80μmの範囲であることがより好ましい。
シーラント層16は、ポリプロピレン系樹脂組成物が無延伸でフィルム状(層状)に形成されたものである。シーラント層16は以下の条件(1)〜(3)の全てを満たすことが好ましい。
(1)−30℃から125℃まで速度5℃/分で昇温し、125℃における寸法変化率が25%以下であること。
(2)幅40mm長さ80mmの無延伸ポリプロピレン系フィルムを10mmのチャック間で固定し、500%伸張した前後の内部ヘーズ差が25%以下であること。
(3)無延伸ポリプロピレン系フィルム同士をヒートシールしたときのヒートシール開始温度が140〜160℃であること。
(1)−30℃から125℃まで速度5℃/分で昇温し、125℃における寸法変化率が25%以下であること。
(2)幅40mm長さ80mmの無延伸ポリプロピレン系フィルムを10mmのチャック間で固定し、500%伸張した前後の内部ヘーズ差が25%以下であること。
(3)無延伸ポリプロピレン系フィルム同士をヒートシールしたときのヒートシール開始温度が140〜160℃であること。
条件(1)は高温環境下において、シーラント層16に求められる寸法安定性に関するものである。寸法変化率は、上記の条件で熱機械分析装置(TMA)を用いて測定された値を以下の式で算出されるものであって上記熱履歴(昇温)によってシーラント層16が膨張する程度を示すものである。上述のとおり、寸法変化率は25%以下であり、20%以下が好ましい。寸法変化率の下限値は0%が好ましい。なお、熱履歴後のサンプル長さは、上述のとおり、125℃で測定されるものであるのに対し、熱履歴前のサンプル長さは室温(23℃)で測定されるものである。
寸法変化率(%)=(熱履歴後のサンプル長さ−熱履歴前のサンプル長さ)/(熱履歴前のサンプル長さ)×100
寸法変化率(%)=(熱履歴後のサンプル長さ−熱履歴前のサンプル長さ)/(熱履歴前のサンプル長さ)×100
条件(2)は絞り成型時の耐白化性に関するものである。上述のとおり、内部ヘーズ差は25%以下であり、24%以下が好ましい。内部ヘーズ差の下限値は0%が好ましい。この条件を満たすシーラント層16を備える外装材10によれば、絶縁低下をもたらす白化現象(微細なクラックの発生)が十分に抑制され、電池性能の劣化を十分に抑制できる。
条件(3)は蓄電装置作製時の低温シール性に関するものである。上述のとおり、ヒートシール開始温度は140〜160℃であり、150〜160℃が好ましい。この条件を満たすシーラント層16を備える外装材10によれば、蓄電池異常時の発熱によってシーラント層が溶融して電解液が漏れるなどの不具合が生じることを十分に抑制できる。
上記の条件を満たすシーラント層16は、以下のとおり、ホモポリプロピレン(ホモPP)及びブロックポリプロピレン(ブロックPP)の含有量を制御することによって得ることができる。
シーラント層16を構成するポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、ホモポリプロピレンの含有量は30〜60質量部が好ましい。ホモポリプロピレンの含有量が30質量部以上であることで高温環境下における優れた密封性という効果が奏されやすく、60質量部以下であることで蓄電装置作製時の低温シール性による加工適性向上という効果が奏されやすい。
シーラント層16を構成するポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、ブロックポリプロピレンの含有量は30〜90質量部が好ましい。ブロックポリプロピレンの含有量が30質量部以上であることで高温環境下における優れた密封性という効果が奏されやすく、90質量部以下であることで蓄電装置作製時の低温シール性による加工適性向上及び冷間成型における白化抑制という効果が奏されやすい。
シーラント層16を構成するポリプロピレン系樹脂組成物がホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンの両方を含む場合、ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンの合計含有量は30〜90質量部が好ましい。合計含有量が30質量部以上であることで高温環境下における優れた密封性という効果が奏されやすく、90質量部以下であることで蓄電装置作製時の低温シール性による加工適性向上及び冷間成型における白化抑制という効果が奏されやすい。
ホモポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体であれば、特に制限はなく、市販のものを使用することができる。具体的には、日本ポリプロ(株)社製「FB3B」が例示される。
ブロックポリプロピレンとして、例えば、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体を使用することができる。プロピレン以外のオレフィンは、エチレン、他に炭素数4〜18の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンである。具体的には、日本ポリプロ(株)社製「BC6DRF」が例示される。
ブロックポリプロピレンとして、例えば、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体を使用することができる。プロピレン以外のオレフィンは、エチレン、他に炭素数4〜18の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンである。具体的には、日本ポリプロ(株)社製「BC6DRF」が例示される。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレン以外の成分をさらに含んでもよい。かかる成分としては、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、リアクター型ポリオレフィン系軟質樹脂、ポリオレフィン系エラストマーなどが挙げられる。
ランダムポリプロピレンの含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、5〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。ランダムポリプロピレンの含有量が5質量部以上であることで蓄電装置作製時の低温シール性による加工適性向上という効果が奏されやすく、40質量部以下であることで高温環境下における密封性という効果が奏されやすい。
リアクター型のポリオレフィン系軟質樹脂の含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、屈曲による白化抑制の観点から、10〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。
ポリオレフィン系エラストマーの含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、高温環境下における密封性の観点から、5〜20質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。
リアクター型のポリオレフィン系軟質樹脂の含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、屈曲による白化抑制の観点から、10〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。
ポリオレフィン系エラストマーの含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、高温環境下における密封性の観点から、5〜20質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。
<基材層11>
基材層11は、蓄電装置製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に起こりうるピンホール対策という目的で設けるものであり、絶縁性を有する樹脂層を用いるのが好ましい。そのような樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸または未延伸フィルムを、単層または2層以上積層した多層フィルムとして使用することができる。
基材層11は、蓄電装置製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に起こりうるピンホール対策という目的で設けるものであり、絶縁性を有する樹脂層を用いるのが好ましい。そのような樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸または未延伸フィルムを、単層または2層以上積層した多層フィルムとして使用することができる。
基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であることにより、蓄電装置用外装材10の耐ピンホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。一方、基材層11の厚さが40μm以下であることにより、蓄電装置用外装材10の深絞り成型性をより向上できる傾向がある。
<第一の接着剤層12>
第一の接着剤層12は、基材層11と金属箔層13とを接着する層である。第一の接着剤層12の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性及び加工性等を得る観点から、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
第一の接着剤層12は、基材層11と金属箔層13とを接着する層である。第一の接着剤層12の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性及び加工性等を得る観点から、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
第一の接着剤層12を構成する材料としては、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。
上記各種ポリオールは、外装材に求められる機能や性能に応じて、単独または2種以上を併用して用いることができる。また、これらの主剤に、上記イソシアネート系化合物を硬化剤として用いることでポリウレタン系接着剤として用いることも可能である。さらに、接着促進を目的として、上記ポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合してもよい。接着剤に求められる性能に応じて、上記ポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
<金属箔層13>
金属箔層13は、水分が蓄電装置の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、金属箔層13は、深絞り成型をするために延展性を有する。金属箔層13の厚さは、特に限定されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9〜200μmとすることが好ましく、15〜100μmとすることがより好ましい。
金属箔層13は、水分が蓄電装置の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、金属箔層13は、深絞り成型をするために延展性を有する。金属箔層13の厚さは、特に限定されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9〜200μmとすることが好ましく、15〜100μmとすることがより好ましい。
金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができ、質量(比重)、防湿性、加工性及びコストの面から、アルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができるが、さらなる耐ピンホール性、及び成型時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いるのが好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、アルミニウム箔100質量%中、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。
また、アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔(例えば、JIS規格でいう8021材、8079材よりなるアルミニウム箔)がさらに好ましい。なお、アルミニウム箔に脱脂処理する場合は、アルミニウム箔の片面のみに脱脂処理を施してもよく、両面に脱脂処理を施してもよい。
<腐食防止処理層14>
腐食防止処理層14は、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層13の腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理の組み合わせにより形成される。またこれらの処理には限定されず、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。さらにはこれらの腐食防止処理層14とその腐食防止処理層14と隣接する層との密着性や各種機能性を付与させるため、各種ポリマー系コーティング剤を設けてもかまわない。腐食防止処理層14は多層構造でも単層構造のいずれであってもよい。
腐食防止処理層14は、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層13の腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理の組み合わせにより形成される。またこれらの処理には限定されず、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。さらにはこれらの腐食防止処理層14とその腐食防止処理層14と隣接する層との密着性や各種機能性を付与させるため、各種ポリマー系コーティング剤を設けてもかまわない。腐食防止処理層14は多層構造でも単層構造のいずれであってもよい。
腐食防止処理層14の単位面積当たりの質量は、腐食防止処理層14が多層構造及び単層構造のいずれであっても、0.005〜0.200g/m2が好ましく、0.010〜0.100g/m2がより好ましい。上記単位面積当たりの質量が0.005g/m2以上であれば、金属箔層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/m2を超えても、腐食防止機能はあまり変らない。なお、腐食防止処理層14の厚さは、その比重から換算できる。
<接着性樹脂層15>
接着性樹脂層15は、主成分となる接着性樹脂組成物と必要に応じて添加剤成分とを含んで概略構成されている。接着性樹脂組成物は、特に制限されないが、変性ポリオレフィン樹脂成分を含むことが好ましい。以下、各成分について説明する。
接着性樹脂層15は、主成分となる接着性樹脂組成物と必要に応じて添加剤成分とを含んで概略構成されている。接着性樹脂組成物は、特に制限されないが、変性ポリオレフィン樹脂成分を含むことが好ましい。以下、各成分について説明する。
(変性ポリオレフィン樹脂)
変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が、ポリオレフィン樹脂にグラフト変性された樹脂であることが好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が、ポリオレフィン樹脂にグラフト変性された樹脂であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
これらのポリオレフィン樹脂をグラフト変性する際に用いる化合物としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン樹脂が好ましく、例えば、三井化学社製の「アドマー」、三菱化学社製の「モディック」などが適している。このような変性ポリオレフィン樹脂成分は、各種金属や各種官能基を有するポリマーとの反応性に優れるため、該反応性を利用して接着性樹脂層15に密着性を付与することができ、耐電解液性を向上することができる。また必要に応じて各種添加剤、例えば、各種相溶系あるいは非相溶系のエラストマーや難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを含有してもよい。
接着性樹脂層15の厚さは、特に限定されるものではないが、応力緩和や水分・電解液透過の観点から、シーラント層16と同じもしくはそれ以下であることが好ましい。
[外装材の製造方法]
次に、図1に示す外装材10の製造方法の一例について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
次に、図1に示す外装材10の製造方法の一例について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材10の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、接着性樹脂層15およびシーラント層16をさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体を熱処理する工程とを含んで概略構成されている。
(金属箔層13への腐食防止処理層14の積層工程)
本工程は、金属箔層13に対して、腐食防止処理層14を形成する工程である。その方法としては、上述したように、金属箔層13に脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施したり、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工したりする方法などが挙げられる。
本工程は、金属箔層13に対して、腐食防止処理層14を形成する工程である。その方法としては、上述したように、金属箔層13に脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施したり、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工したりする方法などが挙げられる。
脱脂処理についてはスプレー法または浸漬法にて、熱水変成処理や陽極酸化処理については浸漬法にて、化成処理については化成処理のタイプに応じ浸漬法、スプレー法、コート法などを適宜選択して行えばよい。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法については、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を用いることが可能である。
各種処理は金属箔層の両面または片面のどちらでも構わないが、片面処理の場合、その処理面は接着性樹脂層15が積層する側に施すことが好ましい。なお、要求に応じて、基材層11の表面にも上記処理を施してもよい。
コーティング剤の塗布量はいずれも、0.005〜0.200g/m2が好ましく、0.010〜0.100g/m2がより好ましい。
また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層14の乾燥条件に応じて、金属箔層(母材)温度として60〜300℃の範囲で行うことができる。
(基材層11と金属箔層13との貼り合わせ工程)
本工程は、腐食防止処理層14を設けた金属箔層13と、基材層11とを、第一の接着剤層12を介して貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法を用い、上述した第一の接着剤層12を構成する材料にて両者を貼り合わせる。第一の接着剤層12は、ドライ塗布量として1〜10g/m2の範囲、より好ましくは3〜7g/m2の範囲で設ける。
本工程は、腐食防止処理層14を設けた金属箔層13と、基材層11とを、第一の接着剤層12を介して貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法を用い、上述した第一の接着剤層12を構成する材料にて両者を貼り合わせる。第一の接着剤層12は、ドライ塗布量として1〜10g/m2の範囲、より好ましくは3〜7g/m2の範囲で設ける。
(接着性樹脂層15およびシーラント層16の積層工程)
本工程は、先の工程により形成された腐食防止処理層14上に、接着性樹脂層15およびシーラント層16を形成する工程である。その方法としては、押出ラミネート機を用いて接着性樹脂層15をシーラント層16とともにサンドラミネーションする方法が挙げられる。
本工程は、先の工程により形成された腐食防止処理層14上に、接着性樹脂層15およびシーラント層16を形成する工程である。その方法としては、押出ラミネート機を用いて接着性樹脂層15をシーラント層16とともにサンドラミネーションする方法が挙げられる。
本工程により、図1に示すような、基材層11/第一の接着剤層12/金属箔層13/腐食防止処理層14/接着性樹脂層15/シーラント層16の順で各層が積層された積層体が得られる。
(熱処理工程)
本工程は、積層体を熱処理する工程である。積層体を熱処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/接着性樹脂層15/シーラント層16間での密着性を向上させ、より優れた耐電解液性や耐フッ酸性を付与することができ、また、接着性樹脂層15及びシーラント層16の結晶化の進行を抑えて成型時の白化現象の発生を抑制する効果も得られる。従って本工程では、上述した各層間での密着性を向上させるとともに、接着性樹脂層15及びシーラント層16の結晶化が促進されない程度に熱処理するのが好ましい。熱処理の温度は、接着性樹脂層15やシーラント層16を構成する材料の種類などに依存するが、目安としては、積層体の最高到達温度が、接着性樹脂層15又はシーラント層16の融点よりも20〜100℃高くなるように熱処理するのが好ましく、接着性樹脂層15又はシーラント層16の融点よりも20〜60℃高くなるように熱処理するのがより好ましい。積層体の最高到達温度がこの範囲未満であると、結晶核が残り結晶化が促進されやすくなる。一方、積層体の最高到達温度がこの範囲を超えると、例えば、金属箔の熱膨張や、貼り合せ後の基材層の熱収縮が発生し、加工性や特性を低下させる可能性がある。そのため、熱処理時間は、処理温度に依存するが、短時間(例えば30秒未満)で行うのが望ましい。結晶化を抑制するために、急速に冷却することが好ましい。冷却速度としては50〜100℃/秒程度が好ましい。
本工程は、積層体を熱処理する工程である。積層体を熱処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/接着性樹脂層15/シーラント層16間での密着性を向上させ、より優れた耐電解液性や耐フッ酸性を付与することができ、また、接着性樹脂層15及びシーラント層16の結晶化の進行を抑えて成型時の白化現象の発生を抑制する効果も得られる。従って本工程では、上述した各層間での密着性を向上させるとともに、接着性樹脂層15及びシーラント層16の結晶化が促進されない程度に熱処理するのが好ましい。熱処理の温度は、接着性樹脂層15やシーラント層16を構成する材料の種類などに依存するが、目安としては、積層体の最高到達温度が、接着性樹脂層15又はシーラント層16の融点よりも20〜100℃高くなるように熱処理するのが好ましく、接着性樹脂層15又はシーラント層16の融点よりも20〜60℃高くなるように熱処理するのがより好ましい。積層体の最高到達温度がこの範囲未満であると、結晶核が残り結晶化が促進されやすくなる。一方、積層体の最高到達温度がこの範囲を超えると、例えば、金属箔の熱膨張や、貼り合せ後の基材層の熱収縮が発生し、加工性や特性を低下させる可能性がある。そのため、熱処理時間は、処理温度に依存するが、短時間(例えば30秒未満)で行うのが望ましい。結晶化を抑制するために、急速に冷却することが好ましい。冷却速度としては50〜100℃/秒程度が好ましい。
これらの工程を経て、図1に示すような、本実施形態の外装材10を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
例えば、図1では、腐食防止処理層14が金属箔層13の接着性樹脂層15側の面に形成されている場合を示したが、腐食防止処理層14は金属箔層13の第一の接着剤層12側の面に形成されていてもよく、金属箔層13の両面に形成されていてもよい。金属箔層13の両面に腐食防止処理層14が形成されている場合、金属箔層13の第一の接着剤層12側に形成される腐食防止処理層14の構成と、金属箔層13の接着性樹脂層15側に形成される腐食防止処理層14の構成とは、同一であっても異なっていてもよい。
また、図1では、接着性樹脂層15を用いて金属箔層13とシーラント層16とが積層されている場合を示したが、図2に示す蓄電装置用外装材20のように、第二の接着剤層17を用いて金属箔層13とシーラント層16とが積層されていてもよい。以下、第二の接着剤層17について説明する。
<第二の接着剤層17>
第二の接着剤層17は、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とシーラント層16とを接着する層である。第二の接着剤層17には、金属箔層とシーラント層とを接着するための一般的な接着剤を用いることができる。好適には、上述した酸変性ポリオレフィン樹脂を溶剤中に溶解あるいは分散させた塗液にたいし、各種硬化剤、たとえばイソシアネート化合物やグリシジル化合物やカルボジイミド化合物などを配合したものが用いられる。
第二の接着剤層17は、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とシーラント層16とを接着する層である。第二の接着剤層17には、金属箔層とシーラント層とを接着するための一般的な接着剤を用いることができる。好適には、上述した酸変性ポリオレフィン樹脂を溶剤中に溶解あるいは分散させた塗液にたいし、各種硬化剤、たとえばイソシアネート化合物やグリシジル化合物やカルボジイミド化合物などを配合したものが用いられる。
第二の接着剤層17には、電解液耐性を付与することが可能な範囲で、第一の接着剤に記載の成分を用いることが可能であり、さらにはシランカップリング剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
第二の接着剤層17の厚さは、3〜50μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。第二の接着剤層17の厚さが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすい。第二の接着剤層17の厚さが上限値以下であれば、外装材10の側端面から透過する水分量が低減される。
第二の接着剤層17以外の蓄電装置用外装材20の構成は、蓄電装置用外装材10と同様である。なお、蓄電装置用外装材20におけるシーラント層16の厚さは、第二の接着剤層17の厚さに応じて調整する。蓄電装置用外装材20におけるシーラント層16の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜80μmの範囲であることがより好ましい。
次に、図2に示す外装材20の製造方法の一例について説明する。なお、外装材20の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材20の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、第二の接着剤層17を介してシーラント層16をさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体をエージング処理する工程とを含んで概略構成されている。なお、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程までは、上述した外装材10の製造方法と同様に行うことができる。
(第二の接着剤層17およびシーラント層16の積層工程)
本工程は、金属箔層13の腐食防止処理層14側に、第二の接着剤層17を介してシーラント層16を貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ウェットプロセスが挙げられる。
本工程は、金属箔層13の腐食防止処理層14側に、第二の接着剤層17を介してシーラント層16を貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ウェットプロセスが挙げられる。
ウェットプロセスの場合は、第二の接着剤層17を構成する接着剤の溶液又は分散液を、腐食防止処理層14上に塗工し、所定の温度(接着剤が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合は、その融点以上の温度)で溶媒を飛ばし、焼き付けを行う。その後、シーラント層16を積層し、外装材20を製造する。塗工方法としては、先に例示した各種塗工方法が挙げられる。
(エージング処理工程)
本工程は、積層体をエージング(養生)処理する工程である。積層体をエージング処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/第二の接着剤層17/シーラント層16間の接着を促進させることができる。エージング処理は、室温〜100℃の範囲で行うことができる。エージング時間は、例えば、1〜10日である。
本工程は、積層体をエージング(養生)処理する工程である。積層体をエージング処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/第二の接着剤層17/シーラント層16間の接着を促進させることができる。エージング処理は、室温〜100℃の範囲で行うことができる。エージング時間は、例えば、1〜10日である。
これらの工程を経て、図2に示すような、本実施形態の外装材20を製造することができる。
上記実施形態に係る蓄電装置用外装材は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタなどの蓄電装置用の外装材として好適に用いることができる。中でも、上記実施形態に係る蓄電装置用外装材は、リチウムイオン電池用の外装材として好適である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1A〜4A及び比較例1A〜4A]
<無延伸ポリプロピレン系フィルムの作製>
蓄電装置用外装材のシーラント層として用いる無延伸ポリプロピレン系フィルム(厚さ60μm及び45μm)を以下の材料を用いて作製した。
・ホモPP…日本ポリプロ株式会社製ホモPP(グレード「FB3B」)
・ブロックPP1…株式会社プライムポリマー製ブロックPP(グレード「F−274NP」)
・ブロックPP2…日本ポリプロ株式会社製ブロックPP(グレード「BC6DRF」)
・ランダムPP…日本ポリプロ株式会社製ランダムPP(グレード「WFW4M」)
・リアクター型オレフィン系軟質樹脂…株式会社プライムポリマー製リアクター型オレフィン系軟質樹脂(グレード「E−2900」)
・オレフィン系エラストマー…三井化学株式会社製オレフィン系エラストマー(グレード「A1085S」)
<無延伸ポリプロピレン系フィルムの作製>
蓄電装置用外装材のシーラント層として用いる無延伸ポリプロピレン系フィルム(厚さ60μm及び45μm)を以下の材料を用いて作製した。
・ホモPP…日本ポリプロ株式会社製ホモPP(グレード「FB3B」)
・ブロックPP1…株式会社プライムポリマー製ブロックPP(グレード「F−274NP」)
・ブロックPP2…日本ポリプロ株式会社製ブロックPP(グレード「BC6DRF」)
・ランダムPP…日本ポリプロ株式会社製ランダムPP(グレード「WFW4M」)
・リアクター型オレフィン系軟質樹脂…株式会社プライムポリマー製リアクター型オレフィン系軟質樹脂(グレード「E−2900」)
・オレフィン系エラストマー…三井化学株式会社製オレフィン系エラストマー(グレード「A1085S」)
表1及び表2の実施例1A〜4A及び比較例1A〜4Aに示す組成のポリプロピレン系樹脂組成物をそれぞれ調製した。具体的には、原料樹脂のペレット等を押出機に供給し、供給原料を溶融、混練してTダイフィルム成形機により単層の無延伸ポリプロピレン系フィルムを製膜した。
<無延伸ポリプロピレン系フィルムの評価>
実施例及び比較例に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムの評価を以下の事項(1)〜(3)について行った。表1及び表2に結果を示す。
実施例及び比較例に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムの評価を以下の事項(1)〜(3)について行った。表1及び表2に結果を示す。
(1)寸法変化率
TMA測定の装置にティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製の熱機械測定装置(型番:Q400)を使用した。実施例及び比較例の無延伸ポリプロピレン系フィルムを8mm×4mm(フィルムの製膜方向(MD)×フィルムの幅方向(TD))の長方形の試験片(熱膨張率測定用)に裁断した。MDを引張方向として前出のTMA装置のプローブに試験片を固定した。試験片に対し0.0622Nの荷重(引張方向側)を加え、まずこの時点で試験片の長さ(L0)を読み取った。同装置の昇温速度5℃/分の設定で試験片を125℃まで加熱し、125℃に到達後の試験片の長さ(L1)を読み取った。一連の加熱中、試験片には0.0622Nの荷重を引張方向に加え続けた。そして、加熱前後の試験片の長さ(L0)と(L1)を下記の式に代入して、当初の試験片の長さと変化量との関係から寸法変化率(%)を算出した。
寸法変化率(%)=(L1−L0)/L0×100
なお、外装材に既に貼り付けられている状態のシーラント層(無延伸ポリプロピレン系フィルム)の寸法変化率を測定する場合、アルカリ性溶液に外装材を浸漬させ、金属箔層を溶解させることでシーラント層を分取することが可能である。このようにシーラント層を分取した場合、シーラント層単体ではなく、第二の接着剤層又は接着性樹脂層が積層された状態となっているものの、第二の接着剤層又は接着性樹脂層がシーラント層に積層された試料の寸法変化率をここでいう寸法変化率とみなすことができる。
TMA測定の装置にティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製の熱機械測定装置(型番:Q400)を使用した。実施例及び比較例の無延伸ポリプロピレン系フィルムを8mm×4mm(フィルムの製膜方向(MD)×フィルムの幅方向(TD))の長方形の試験片(熱膨張率測定用)に裁断した。MDを引張方向として前出のTMA装置のプローブに試験片を固定した。試験片に対し0.0622Nの荷重(引張方向側)を加え、まずこの時点で試験片の長さ(L0)を読み取った。同装置の昇温速度5℃/分の設定で試験片を125℃まで加熱し、125℃に到達後の試験片の長さ(L1)を読み取った。一連の加熱中、試験片には0.0622Nの荷重を引張方向に加え続けた。そして、加熱前後の試験片の長さ(L0)と(L1)を下記の式に代入して、当初の試験片の長さと変化量との関係から寸法変化率(%)を算出した。
寸法変化率(%)=(L1−L0)/L0×100
なお、外装材に既に貼り付けられている状態のシーラント層(無延伸ポリプロピレン系フィルム)の寸法変化率を測定する場合、アルカリ性溶液に外装材を浸漬させ、金属箔層を溶解させることでシーラント層を分取することが可能である。このようにシーラント層を分取した場合、シーラント層単体ではなく、第二の接着剤層又は接着性樹脂層が積層された状態となっているものの、第二の接着剤層又は接着性樹脂層がシーラント層に積層された試料の寸法変化率をここでいう寸法変化率とみなすことができる。
(2)内部ヘーズ差
実施例及び比較例の無延伸ポリプロピレン系フィルムについては、測定器として、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター NDH 5000を使用した。フィルム表面の凹凸の影響を除外するため、フィルムの両面にオリンパス株式会社製IMMERSION OILを滴下し、あらかじめヘーズ測定したスライドガラス(G0、G1)でフィルムを挟み、ヘーズ(H)を測定した。内部ヘーズを以下の式より算出した。
内部ヘーズ(%)=H−G0−G1
幅40mm引張方向80mmに裁断したフィルムを株式会社島津製作所製 オートグラフ(型式 EZ−SX)に10mmのチャック間で固定し、200mm/分の速度で同試験片を500%伸長した。前述と同様に500%伸長後の内部ヘーズ(H1)を測定した。伸長前後の内部ヘーズ差(%)を以下の式より算出した。
伸長前後の内部ヘーズ差(%)=伸長後の内部ヘーズ(H1)−伸長前の内部ヘーズ(H0)
実施例及び比較例の無延伸ポリプロピレン系フィルムについては、測定器として、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター NDH 5000を使用した。フィルム表面の凹凸の影響を除外するため、フィルムの両面にオリンパス株式会社製IMMERSION OILを滴下し、あらかじめヘーズ測定したスライドガラス(G0、G1)でフィルムを挟み、ヘーズ(H)を測定した。内部ヘーズを以下の式より算出した。
内部ヘーズ(%)=H−G0−G1
幅40mm引張方向80mmに裁断したフィルムを株式会社島津製作所製 オートグラフ(型式 EZ−SX)に10mmのチャック間で固定し、200mm/分の速度で同試験片を500%伸長した。前述と同様に500%伸長後の内部ヘーズ(H1)を測定した。伸長前後の内部ヘーズ差(%)を以下の式より算出した。
伸長前後の内部ヘーズ差(%)=伸長後の内部ヘーズ(H1)−伸長前の内部ヘーズ(H0)
(3)ヒートシール開始温度
実施例及び比較例の無延伸ポリプロピレン系フィルムについては、JIS Z1713(2009)に準拠してヒートシール開始温度を求めた。外装材にした時に内側面となる面同士を重ね、株式会社東洋精機の熱傾斜試験機によって、圧力を0.34MPa、時間を1.0secとして所定の温度でヒートシールを行い、15mm幅に切断後、株式会社島津製作所製の引張試験機(オートグラフ EZ−SX)により、シール部分を200mm/分の速度でT字剥離した。そして、ヒートシール強度が3Nに到達する温度を内挿して求めた。
実施例及び比較例の無延伸ポリプロピレン系フィルムについては、JIS Z1713(2009)に準拠してヒートシール開始温度を求めた。外装材にした時に内側面となる面同士を重ね、株式会社東洋精機の熱傾斜試験機によって、圧力を0.34MPa、時間を1.0secとして所定の温度でヒートシールを行い、15mm幅に切断後、株式会社島津製作所製の引張試験機(オートグラフ EZ−SX)により、シール部分を200mm/分の速度でT字剥離した。そして、ヒートシール強度が3Nに到達する温度を内挿して求めた。
<蓄電装置用外装材の作製>
[実施例1B]
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをシーラント層として用いて図1に示す構成の蓄電装置用外装材(ただし、本実施例においては金属箔層の両面に腐食防止処理層を設けた。)を作製した。他の材料として以下のものを使用した。
・基材層(厚さ25μm)…ナイロンフィルム(Ny)を用いた。
・第一の接着剤層(厚さ4μm)…ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ社製)を用いた。
・金属箔層(厚さ40μm)…焼鈍脱脂処理した軟質アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、「8079材」)の表裏をコーティング法により腐食防止処理層を形成させたアルミ箔を用いた。
・接着性樹脂層(厚さ15μm)…ランダムポリプロピレン(PP)ベースの酸変性ポリプロピレン樹脂組成物(三井化学社製)を用いた。
・第二の接着剤層(厚さ5μm)…トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のポリイソシアネート化合物を10質量部(固形分比)で配合した接着剤を用いた。
[実施例1B]
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをシーラント層として用いて図1に示す構成の蓄電装置用外装材(ただし、本実施例においては金属箔層の両面に腐食防止処理層を設けた。)を作製した。他の材料として以下のものを使用した。
・基材層(厚さ25μm)…ナイロンフィルム(Ny)を用いた。
・第一の接着剤層(厚さ4μm)…ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ社製)を用いた。
・金属箔層(厚さ40μm)…焼鈍脱脂処理した軟質アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、「8079材」)の表裏をコーティング法により腐食防止処理層を形成させたアルミ箔を用いた。
・接着性樹脂層(厚さ15μm)…ランダムポリプロピレン(PP)ベースの酸変性ポリプロピレン樹脂組成物(三井化学社製)を用いた。
・第二の接着剤層(厚さ5μm)…トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のポリイソシアネート化合物を10質量部(固形分比)で配合した接着剤を用いた。
表裏に腐食防止処理層を設けた金属箔層の一方の面にドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第一の接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。これを押出ラミネート機の巻出部にセットし、金属箔層の他方の面に290℃、100m/分の加工条件で接着性樹脂層(厚さ20μm)をサンドイッチラミネート法により積層させ、さらにシーラント層として実施例1Aに係る無延伸ポリプロピレン系フィルム(厚さ60μm)を積層させた。
上記のようにして得られた積層体に熱処理を施して、実施例1Bの外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/接着性樹脂層/シーラント層の積層体)を作製した。
[実施例2B〜4B及び比較例1B〜4B]
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムの代わりに、実施例2A〜4A及び比較例1A〜4Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをそれぞれ使用したことの他は、実施例1Bと同様にして、実施例2B〜4B及び比較例1B〜4Bに係る蓄電装置用外装材をそれぞれ作製した。
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムの代わりに、実施例2A〜4A及び比較例1A〜4Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをそれぞれ使用したことの他は、実施例1Bと同様にして、実施例2B〜4B及び比較例1B〜4Bに係る蓄電装置用外装材をそれぞれ作製した。
[実施例1C]
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをシーラント層として用いて図2に示す構成の蓄電装置用外装材(ただし、本実施例においても金属箔層の両面に腐食防止処理層を設けた。)を以下のようにして作製した。すなわち、実施例1Bと同様にして、基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層の積層体を作製した。次に、第二の腐食防止処理層上にドライラミネート法により、ドライ塗工量4〜5g/m2で接着剤(第二の接着剤層)を塗工し、乾燥及び造膜後、シーラント層としての無延伸ポリプロピレン系フィルム(厚さ45μm)を貼り付けた。その後、40℃で5日間のエージングを行い、外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/第二の接着剤層/シーラント層の積層体)を製造した。
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをシーラント層として用いて図2に示す構成の蓄電装置用外装材(ただし、本実施例においても金属箔層の両面に腐食防止処理層を設けた。)を以下のようにして作製した。すなわち、実施例1Bと同様にして、基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層の積層体を作製した。次に、第二の腐食防止処理層上にドライラミネート法により、ドライ塗工量4〜5g/m2で接着剤(第二の接着剤層)を塗工し、乾燥及び造膜後、シーラント層としての無延伸ポリプロピレン系フィルム(厚さ45μm)を貼り付けた。その後、40℃で5日間のエージングを行い、外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/第二の接着剤層/シーラント層の積層体)を製造した。
[実施例2C〜4C及び比較例1C〜4C]
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムの代わりに、実施例2A〜4A及び比較例1A〜4Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをそれぞれ使用したことの他は、実施例1Cと同様にして、実施例2C〜4C及び比較例1C〜4Cに係る蓄電装置用外装材をそれぞれ作製した。
実施例1Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムの代わりに、実施例2A〜4A及び比較例1A〜4Aの無延伸ポリプロピレン系フィルムをそれぞれ使用したことの他は、実施例1Cと同様にして、実施例2C〜4C及び比較例1C〜4Cに係る蓄電装置用外装材をそれぞれ作製した。
<蓄電装置用外装材の評価>
実施例及び比較例に係る蓄電装置用外装材の評価を以下の事項(1)〜(3)について行った。表3〜6に結果を示す。
実施例及び比較例に係る蓄電装置用外装材の評価を以下の事項(1)〜(3)について行った。表3〜6に結果を示す。
(1)初期シール強度及び加熱処理後の変化率
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで190℃、0.5MPa、3秒で熱封緘した。この熱封緘部を15mm幅にカットし、シール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じ、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/分で行った。このときの強度を初期シール強度と定義する。
ついで、この15mm幅にカットしたサンプルを80℃湿度フリー下にて5分間保持した後の強度を高温シール強度と定義する。シール強度の変化率を下記式で算出し、下記判定にて判断した。
シール強度の変化率(%)=(高温シール強度)/(初期シール強度)×100
A:70%以上
B:70%未満
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで190℃、0.5MPa、3秒で熱封緘した。この熱封緘部を15mm幅にカットし、シール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じ、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/分で行った。このときの強度を初期シール強度と定義する。
ついで、この15mm幅にカットしたサンプルを80℃湿度フリー下にて5分間保持した後の強度を高温シール強度と定義する。シール強度の変化率を下記式で算出し、下記判定にて判断した。
シール強度の変化率(%)=(高温シール強度)/(初期シール強度)×100
A:70%以上
B:70%未満
(2)成型後の白化
外装材の常態のサンプル及び60℃で1週間保管したサンプルを、120mm×200mmにカットし、シーラント層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度10mm/秒で5mmの深絞りを行った。その後、最も延伸が厳しいフィルム押さえ部側の辺の白化を観察した。金型には、成型エリアが80mm×70mm(角筒型)、パンチコーナーラジアス(RCP)が1.0mmのものを用いた。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:白化なし
B:白化あり
外装材の常態のサンプル及び60℃で1週間保管したサンプルを、120mm×200mmにカットし、シーラント層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度10mm/秒で5mmの深絞りを行った。その後、最も延伸が厳しいフィルム押さえ部側の辺の白化を観察した。金型には、成型エリアが80mm×70mm(角筒型)、パンチコーナーラジアス(RCP)が1.0mmのものを用いた。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:白化なし
B:白化あり
(3)成型後の絶縁性
図3を参照しながら、成型後の絶縁性の評価方法を説明する。外装材を120mm×200mmにカットしたサンプル40を、シーラント層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度15mm/秒で2.0mmの深絞りを行って深絞り部41を形成した後、120mm×100mmに2つ折りにした(図3(a)を参照)。次いで、タブ42とタブシーラント43とを間に挟んだ状態で100mmの上辺部44をヒートシールした後(図3(b)を参照)、120mmの側辺部45をヒートシールして製袋した(図3(c)を参照)。その後、電極を接触させるために、サンプル40の外層の一部を削って金属箔層の露出部46を形成した(図3(d)を参照)。次いで、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPF6を1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、100mmの下辺部47をヒートシールにて封止した(図3(e)を参照)。次いで、60℃のオーブンに1週間保管した後、タブ42と金属箔層の露出部46に電極48a,48bをそれぞれ接続し、耐電圧・絶縁抵抗試験器(KIKUSUI製、「TOS9201」)を用いて25Vを印加し、そのときの抵抗値を測定した(図3(f)を参照)。金型には、成型エリアが80mm×70mm(角筒型)、パンチコーナーラジアス(RCP)が1.0mmのものを用いた。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:200MΩ以上
B: 30MΩ以上200MΩ未満
C:30MΩ未満
図3を参照しながら、成型後の絶縁性の評価方法を説明する。外装材を120mm×200mmにカットしたサンプル40を、シーラント層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度15mm/秒で2.0mmの深絞りを行って深絞り部41を形成した後、120mm×100mmに2つ折りにした(図3(a)を参照)。次いで、タブ42とタブシーラント43とを間に挟んだ状態で100mmの上辺部44をヒートシールした後(図3(b)を参照)、120mmの側辺部45をヒートシールして製袋した(図3(c)を参照)。その後、電極を接触させるために、サンプル40の外層の一部を削って金属箔層の露出部46を形成した(図3(d)を参照)。次いで、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPF6を1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、100mmの下辺部47をヒートシールにて封止した(図3(e)を参照)。次いで、60℃のオーブンに1週間保管した後、タブ42と金属箔層の露出部46に電極48a,48bをそれぞれ接続し、耐電圧・絶縁抵抗試験器(KIKUSUI製、「TOS9201」)を用いて25Vを印加し、そのときの抵抗値を測定した(図3(f)を参照)。金型には、成型エリアが80mm×70mm(角筒型)、パンチコーナーラジアス(RCP)が1.0mmのものを用いた。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:200MΩ以上
B: 30MΩ以上200MΩ未満
C:30MΩ未満
上記結果から明らかなように本発明に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムをシーラント層として用いることで、成型白化、シール部の信頼性(高温時の封緘強度)面で優れる蓄電装置用外装材が得られる。本発明に係る蓄電装置用外装材を用いることで、特に高温時に保管された電池セルの安全性を担保することが可能となる。なお、成型白化により絶縁性が低下する傾向があり、白化しないものの方が好ましいことがわかる。また、比較例3では、蓄電装置用外装材の構成(製造方法)により成型白化挙動が変わることも確認された。
10,20…蓄電装置用外装材、11…基材層、12…第一の接着剤層、13…金属箔層、14…腐食防止処理層、15…接着性樹脂層、16…シーラント層、17…第二の接着剤層
Claims (4)
- 蓄電装置用外装材におけるシーラント層として用いられる単層の無延伸ポリプロピレン系フィルムであって、
ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンの少なくとも一方を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなり、
−30℃から125℃まで速度5℃/分で昇温し、125℃における寸法変化率が25%以下であり、
幅40mm長さ80mmの当該無延伸ポリプロピレン系フィルムを10mmのチャック間で固定し、500%伸張した前後の内部ヘーズ差が25%以下であり、
当該無延伸ポリプロピレン系フィルム同士をヒートシールしたときのヒートシール開始温度が140〜160℃である、無延伸ポリプロピレン系フィルム。 - 前記ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、前記ホモポリプロピレンの含有量が30〜60質量部である、請求項1に記載の無延伸ポリプロピレン系フィルム。
- 前記ポリプロピレン系樹脂組成物がランダムポリプロピレンをさらに含み、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物の全質量を100質量部とすると、前記ランダムポリプロピレンの含有量が5〜40質量部である、請求項1又は2に記載の無延伸ポリプロピレン系フィルム。 - 少なくとも一層の基材層と、
第一の接着剤層と、
一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられた金属箔層と、
第二の接着剤層又は接着性樹脂層と、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の無延伸ポリプロピレン系フィルムからなるシーラント層と、
を備え、これらの層がこの順序で積層されている蓄電装置用外装材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017148256A JP2019029221A (ja) | 2017-07-31 | 2017-07-31 | 無延伸ポリプロピレン系フィルム及びこれをシーラント層として備える蓄電装置用外装材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017148256A JP2019029221A (ja) | 2017-07-31 | 2017-07-31 | 無延伸ポリプロピレン系フィルム及びこれをシーラント層として備える蓄電装置用外装材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019029221A true JP2019029221A (ja) | 2019-02-21 |
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ID=65478889
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JP2017148256A Pending JP2019029221A (ja) | 2017-07-31 | 2017-07-31 | 無延伸ポリプロピレン系フィルム及びこれをシーラント層として備える蓄電装置用外装材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019029221A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021157489A1 (ja) * | 2020-02-07 | 2021-08-12 | 凸版印刷株式会社 | 蓄電装置用外装材及びこれを用いた蓄電装置 |
WO2021166529A1 (ja) * | 2020-02-21 | 2021-08-26 | 凸版印刷株式会社 | 端子用樹脂フィルム及びそれを用いた蓄電デバイス |
-
2017
- 2017-07-31 JP JP2017148256A patent/JP2019029221A/ja active Pending
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WO2021157489A1 (ja) * | 2020-02-07 | 2021-08-12 | 凸版印刷株式会社 | 蓄電装置用外装材及びこれを用いた蓄電装置 |
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