JP2017098077A - 異方性導電フィルム、及び接続方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、タックのない異方性導電フィルムにタックを付与する方法として、絶縁性樹脂と導電粒子から成る異方性導電膜において、異方性導電膜の少なくとも一面に粘着性ポリマー微粒子層を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
<1> 第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる異方性導電フィルムであって、
導電性粒子を含有する導電性粒子含有層と、
結晶性樹脂を含有する結晶性樹脂層と、
を有することを特徴とする異方性導電フィルムである。
<2> 前記結晶性樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、及びエチレン酢酸ビニル共重合樹脂の少なくともいずれかである前記<1>に記載の異方性導電フィルムである。
<3> 前記結晶性樹脂の融点が、100℃以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の異方性導電フィルムである。
<4> 前記結晶性樹脂層の平均厚みが、前記導電性粒子含有層の平均厚みの1.0%〜20%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の異方性導電フィルムである。
<5> 第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる接続方法であって、
前記第1の回路部材の端子上に前記<1>から<4>のいずれかに記載の異方性導電フィルムを、前記結晶性樹脂層が前記第1の回路部材の端子と接するように配置する第1の配置工程と、
前記異方性導電フィルム上に前記第2の回路部材を、前記第2の回路部材の端子が前記異方性導電フィルムと接するように配置する第2の配置工程と、
前記第2の回路部材を加熱押圧部材により加熱及び押圧する加熱押圧工程とを含むことを特徴とする接続方法である。
本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子含有層と、結晶性樹脂層とを有し、更に必要に応じて、剥離性基材などのその他の部材を有する。
前記異方性導電フィルムは、第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる異方性導電フィルムである。
前記導電性粒子含有層は、導電性粒子を少なくとも含有し、好ましくは膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、熱硬化剤とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。
これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これらの金属粒子は、表面酸化を防ぐ目的で、その表面に金、パラジウムを施していてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
前記樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。
前記樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−シリカ複合樹脂などが挙げられる。
前記平均粒子径は、任意に10個の導電性粒子について測定した粒子径の平均値である。
前記粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。前記膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂が好ましい。
前記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂などが挙げられる。
前記フェノキシ樹脂は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記熱硬化性樹脂(熱硬化成分)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ラジカル重合性化合物などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、それらの変性エポキシ樹脂等の熱硬化性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、リン酸基含有アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどが挙げられる。なお、前記アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱硬化剤としては、熱により前記熱硬化性樹脂を硬化させる作用を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン系硬化剤、ラジカル系硬化剤などが挙げられる。
前記カチオン系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、芳香族スルホニウム塩が好ましい。
前記カチオン系硬化剤は、前記熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と併用することが好ましい。
前記ラジカル系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機過酸化物などが挙げられる。
前記ラジカル系硬化剤は、前記熱硬化性樹脂としてのラジカル重合性化合物と併用することが好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤などが挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。
前記シランカップリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、本明細書において平均厚みとは、任意の箇所を10箇所測定した際の算術平均値である。
前記結晶性樹脂層は、結晶性樹脂を含有し、好ましくは、結晶性樹脂を層状に形成してなる。
前記結晶性樹脂としては、結晶領域を有する樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂などが挙げられる。ここで、前記結晶性樹脂かどうかは、例えば、示差走査熱量分析において、昇温過程で吸熱ピークが観察されることにより確認できる。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などが挙げられる。前記ポリオレフィン樹脂は、酸変性がされていてもよい。
更に、酸変性ポリオレフィン樹脂は、仮貼り性、接着性、及び導通抵抗の全てにおいて優れる点で、より好ましい。
示差走査熱量分析における昇温過程での吸熱ピークの温度が、前記融点に該当する。
前記平均厚みが、5.0μmを超えると、導通抵抗値が高くなることがある。一方、前記平均厚みが薄くても、前記異方性導電フィルムの特性に悪影響を与えることはないが、0.1μm未満であると、均一な厚みの層を形成することが難しくなることがある。
前記剥離性基材としては、仮貼り時に導電性粒子含有層から剥がされるフィルムであれば、特に制限なく用いることができる。
前記剥離性基材としては、例えば、シリコーン系フィルム、弗素系フィルム、離型剤で離型処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)、離型剤で離型処理されたPEN(ポリエチレンナフタレート)、離型剤で離型処理されたグラシン紙などが挙げられる。
前記離型剤としては、例えば、シリコーン系離型剤、弗素系離型剤などが挙げられる。
これらの中でも、シリコーン系の離型剤で離型処理された基材が好ましい。
前記剥離性基材は、前記導電性粒子含有層と接する側の表面が離型処理されていることが好ましいが、前記導電性粒子含有層と接する側と反対側の表面は離型処理されていなくてもよい。
前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材としては、端子を有し、前記異方性導電フィルムを用いた異方性導電接続の対象となる回路部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端子を有するガラス基板、端子を有するプラスチック基板、IC(Integrated Circuit)、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、Flex−on−Glass(フレックスオンガラス、FOG)、Chip−on−Glass(チップオンガラス、COG)、Chip−on−Flex(チップオンフレックス、COF)、Flex−on−Board(フレックスオンボード、FOB)、Flex−on−Flex(フレックスオンフレックス、FOF)、液晶パネルなどが挙げられる。
前記端子を有するプラスチック基板の材質、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端子を有するリジット基板、端子を有するフレキシブル基板などが挙げられる。
前記ICとしては、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)における液晶画面制御用ICチップなどが挙げられる。
前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材は、同じ回路部材であってもよいし、異なる回路部材であってもよい。
図1は、本発明の異方性導電フィルムの一例の概略断面図である。図1の異方性導電フィルムは、剥離性基材1上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とをこの順で有する。
前記リール部材は、例えば、図2A及び図2Bに示すように、巻芯11と、リールフランジ12とを有する。巻芯11には、異方性導電フィルムが巻回される。リールフランジ12は、巻芯11に巻回された異方性導電フィルムの巻装体の側面を支持する。
図3は、リール部材に異方性導電フィルムが巻回された状態を示す斜視図である。図3における異方性導電フィルムは、長尺で、剥離性基材1上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とをこの順で有する。
一方、前記結晶性樹脂層は、結晶性樹脂の融点以上では、急峻に溶融(シャープメルト)して粘着性(タック)を発現するため、本発明の異方性導電フィルムを第1の回路部材に仮貼りする際に、加熱を行えば、仮貼りを行うことができる。
本発明の接続方法は、第1の配置工程と、第2の配置工程と、加熱押圧工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、仮貼工程などのその他の工程を含む。
前記接続方法は、第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる方法である。
前記第1の配置工程としては、前記第1の回路部材の端子上に本発明の前記異方性導電フィルムを、前記結晶性樹脂層が前記第1の回路部材の端子と接するように配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第2の配置工程としては、前記異方性導電フィルム上に前記第2の回路部材を、前記第2の回路部材の端子が前記異方性導電フィルムと接するように配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱押圧工程としては、前記第2の回路部材を加熱押圧部材により加熱及び押圧する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150℃〜200℃が好ましい。
前記押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1MPa〜50MPaが好ましい。
前記加熱及び押圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5秒間〜120秒間が挙げられる。
前記仮貼工程としては、前記第1の配置工程の後に、前記異方性導電フィルムを、前記加熱押圧工程における加熱の温度よりも低い温度で加熱及び押圧し、前記異方性導電フィルムを前記第1の回路部材に貼り付ける工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記仮貼工程における押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1MPa〜10MPaが好ましい。
前記仮貼工程における加熱及び押圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5秒間〜10秒間などが挙げられる。
<異方性導電フィルムの作製>
<<導電性粒子含有層の作製>>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、新日鉄住金化学社製)50質量部
ウレタンアクリレート(商品名:M−1600、東亞合成社製)25質量部
多官能アクリレート(商品名:M−315、東亞合成社製)25質量部
硬化剤(商品名:パーロイルL、日油社製)5質量部
導電性粒子(商品名:ミクロパールAU、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)3質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、導電性粒子含有層(ACF層)を作製した。
結晶性樹脂である酸変性ポリオレフィン樹脂(商品名:H1301、住化ケムテックス社製、融点80℃)を有機溶剤(トルエン)に溶解して固形分5質量%の溶液を得た。
得られた異方性導電フィルムは、図4に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とがこの順で積層している。
実施例1において、結晶性樹脂層に用いる結晶性樹脂を、ポリエステル樹脂(商品名:GA−6400、東洋紡社製、融点96℃)に変更した以外は、実施例1同様にして、異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムは、図4に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とがこの順で積層している。
実施例1において、結晶性樹脂層に用いる結晶性樹脂を、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(商品名:EV450、三井デュポンポリケミカル社製、融点84℃)に変更した以外は、実施例1同様にして、異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムは、図4に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とがこの順で積層している。
実施例1において、結晶性樹脂層の平均厚みを、0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムは、図4に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とがこの順で積層している。
実施例1において、結晶性樹脂層の平均厚みを、1.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムは、図4に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とがこの順で積層している。
実施例1において、膜形成樹脂を、ウレタン樹脂(商品名:UR−8200、東洋紡社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムは、図4に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、結晶性樹脂層3とがこの順で積層している。
実施例1における導電性粒子含有層を、異方性導電フィルムとして用いた。
得られた異方性導電フィルムは、図5に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2が積層している。
以下の方法により、非晶性樹脂層を形成した。
非晶性樹脂であるポリウレタン樹脂(商品名:UR−1400、東洋紡社製、ガラス転移温度83℃)を有機溶剤〔MEK(メチルエチルケトン)〕に溶解して固形分5質量%の溶液を得た。
得られた異方性導電フィルムは、図6に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、非晶性樹脂層4とがこの順で積層している。
比較例2において、非晶性樹脂を非晶性樹脂であるフェノキシ樹脂(商品名:YP−50、新日鉄住金化学社製、ガラス転移温度88℃)に代えた以外は、比較例2と同様にして、異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムは、図6に示すように、片面にシリコーン処理をしたPETフィルム21のシリコーン処理面上に、導電性粒子含有層2と、非晶性樹脂層4とがこの順で積層している。
<リールへの非付着性>
異方性導電フィルムの表面(PETフィルム側と反対側の面)とリールフランジ(材質:ポリスチレン)とを常温で接触させ、0.2MPaで1秒間荷重を掛けた後、異方性導電フィルムが剥離可能かを以下の評価基準で評価した。結果を表1−1、及び表1−2に示した。
〔評価基準〕
○:異方性導電フィルムはリールフランジに付着しておらず、簡単に剥離可能である。
×:異方性導電フィルムはリールフランジに付着しており、異方性導電フィルムをリールフランジから剥離しようとすると、異方性導電フィルムがちぎれるか、又は異方性導電フィルムがPETフィルムから剥離する。
ITOが形成されたガラス基板のITO側の表面に、PETフィルムが付いた状態の異方性導電フィルム(図4〜図6の状態の積層体)を常温で接触させた後、仮貼り用のツールをPETフィルム側から以下の条件で押圧し、仮貼りを行った。そして、PETフィルムを異方性導電フィルムから剥がした。以下の評価基準で評価を行った。結果を表1−1、及び表1−2に示した。
〔条件〕
条件1:100℃、1MPa、1秒
条件2:120℃、1MPa、1秒
〔評価基準〕
○:問題なく、PETフィルムを剥がすことができる。
△:異方性導電フィルムが若干ガラス基板から浮くが、PETフィルムは剥がすことができ、問題はない。
×:PETフィルムを剥がそうとすると、異方性導電フィルムがガラス基板から剥がれてしまい、問題がある。
以下の方法により接合体を製造した。
第2の回路部材として、評価用COF(チップオンフレックス)(デクセリアルズ株式会社評価用基材、50μmP(ピッチ)、Cu8μmt(厚み)−Snめっき、PI(ポリイミド)38μmt(厚み)−S’perflex基材)を用いた。
第1の回路部材として、ITOコーティングガラス(デクセリアルズ株式会社評価用基材、全表面ITOコート、ガラス厚み0.7mm)を用いた。
前記第1の回路部材上に、幅1.5mmにスリットした前記異方性導電フィルムを、PETフィルムと反対側が、前記第1の回路部材に接するように配置した。配置する際、100℃、1MPa、1秒間で貼り付けた。続いて、前記PETフィルムを剥離し、前記異方性導電フィルム上に、前記第2の回路部材を前記異方性導電フィルムからはみ出さないように配置した。続いて、緩衝材(テフロン(登録商標)、厚み0.15mm)を介して、加熱ツール(幅1.5mm)により170℃、4MPa、5秒間にて圧着し、接合体を得た。
得られた接合体の接着力、及び導通抵抗を以下の方法で評価した。
作製した接合体を、剥離試験機(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、剥離速度50mm/分間で、90度剥離試験(JIS K6854−1)を行い、ピール強度を接着力として測定した。測定結果について、下記評価基準で評価した。結果を表1−1、及び表1−2に示した。
〔評価基準〕
○:8N/10mm以上
△:5N/10mm以上8N/10mm未満
×:5N/10mm未満
接合体について、初期、及び高温高湿保存(85℃、85%RH、500時間)後の導通抵抗値(Ω)を以下の方法で測定した。
具体的には、デジタルマルチメータ(品番:デジタルマルチメータ7555、横河電機株式会社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの抵抗値を測定した。30チャンネルについて抵抗値を測定し、最大の抵抗値を測定値とし、下記評価基準で評価した。結果を表1−1、及び表1−2に示した。
〔評価基準〕
○:2Ω未満
△:2Ω以上10Ω未満
×:10Ω以上
なお、評価「○」は、導通抵抗が十分に低いことを表し、評価「△」は、実用可能な程度であることを表し、評価「×」は、実用不可であることを表す。
結晶性樹脂1:酸変性ポリオレフィン樹脂、商品名:H1301、住化ケムテックス社製、融点80℃
結晶性樹脂2:ポリエステル樹脂、商品名:GA−6400、東洋紡社製、融点96℃
結晶性樹脂3:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、商品名:EV450、三井デュポンポリケミカル社製、融点84℃
非晶性樹脂1:ポリウレタン樹脂、商品名:UR−1400、東洋紡社製、ガラス転移温度83℃
非晶性樹脂2:フェノキシ樹脂、商品名:YP−50、新日鉄住金化学社製、ガラス転移温度88℃
一方、結晶性樹脂層は、結晶性樹脂の融点以上では、急峻に溶融(シャープメルト)して粘着性(タック)を発現するため、本発明の異方性導電フィルムを第1の回路部材に仮貼りする際に、加熱を行えば、仮貼りを行うことができる。
比較例2及び3では、非晶性樹脂層を有するため、リールへの付着は生じない。しかし、仮貼り時の加熱による溶融挙動が鈍感なため、短時間の加熱及び押圧では十分に仮貼りすることができない。また、非晶性樹脂は、本圧着時に、導電性粒子含有層と混ざりにくいため、本圧着後の接着力も低下する傾向にある。
2 導電性粒子含有層
3 結晶性樹脂層
4 非晶性樹脂層
11 巻芯
12 リールフランジ
21 PETフィルム
Claims (5)
- 第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる異方性導電フィルムであって、
導電性粒子を含有する導電性粒子含有層と、
結晶性樹脂を含有する結晶性樹脂層と、
を有することを特徴とする異方性導電フィルム。 - 前記結晶性樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、及びエチレン酢酸ビニル共重合樹脂の少なくともいずれかである請求項1に記載の異方性導電フィルム。
- 前記結晶性樹脂の融点が、100℃以下である請求項1から2のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
- 前記結晶性樹脂層の平均厚みが、前記導電性粒子含有層の平均厚みの1.0%〜20%である請求項1から3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
- 第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる接続方法であって、
前記第1の回路部材の端子上に請求項1から4のいずれかに記載の異方性導電フィルムを、前記結晶性樹脂層が前記第1の回路部材の端子と接するように配置する第1の配置工程と、
前記異方性導電フィルム上に前記第2の回路部材を、前記第2の回路部材の端子が前記異方性導電フィルムと接するように配置する第2の配置工程と、
前記第2の回路部材を加熱押圧部材により加熱及び押圧する加熱押圧工程とを含むことを特徴とする接続方法。
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