JP5539039B2 - 異方性導電フィルム及びその製造方法 - Google Patents
異方性導電フィルム及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5539039B2 JP5539039B2 JP2010127426A JP2010127426A JP5539039B2 JP 5539039 B2 JP5539039 B2 JP 5539039B2 JP 2010127426 A JP2010127426 A JP 2010127426A JP 2010127426 A JP2010127426 A JP 2010127426A JP 5539039 B2 JP5539039 B2 JP 5539039B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- release layer
- release
- copolymer
- ethylene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
前記基材(セパレータ)としては、フッ素系フィルム、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、フッ素コーティングのポリエチレンテレフタレートフィルム、などが用いられてきた。
しかしながら、前記フッ素系フィルムには、耐熱性、離型性、非汚染性の点で優れているが、機械的強度が弱いため、1.0mm〜5.0mm幅と非常に細幅で使用する場合、引き出した時にフィルムが伸びて変形してしまうという問題がある。特に、大型LCDパネルにおいては、パネル側に約1m強の長さで貼り付けられるため、この問題が頻繁に発生していた。さらに、前記フッ素系フィルムには、高価であり、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、有毒ガスを発生するという問題がある。
前記シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルムには、シリコーンに含まれる低分子量体が樹脂層(ACF層)面に移ってしまい、ACF層自体のタック力(表面粘着性)が低下して基材に貼付かなくなったり、本圧着時に基材への密着力が低下して界面剥離及び接着強度不足が生じるという問題がある。
前記フッ素コーティングのポリエチレンテレフタレートフィルムには、前記シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルムと同様に、低分子量体が樹脂層(ACF層)面に移ってしまい、ACF層自体のタック力(表面粘着性)が低下して基材に貼付かなくなったり、本圧着時に基材への密着力が低下して界面剥離及び接着強度不足が生じるという問題がある。
しかしながら、前記シリコーン、フッ素以外の離型剤をコーティングした基材(セパレータ)にも、依然として、ACF層自体のタック力(表面粘着性)が低下して基材に貼付かなくなったり、本圧着時に基材への密着力が低下して界面剥離及び接着強度不足が生じるという問題がある。
<1> 基材と、前記基材上に形成され、ポリマー成分を含む剥離層と、前記剥離層上に形成され、絶縁性樹脂、硬化剤、及び導電性微粒子を含む導電性粒子含有層と、を有し、前記ポリマー成分の90質量%以上が1種のポリオレフィン共重合体であることを特徴とする異方性導電フィルムである。
<2> ポリマー成分が、1種のポリオレフィン共重合体のみからなる前記<1>に記載の異方性導電フィルムである。
<3> 剥離層付き基材の導電性粒子含有層からの剥離力が0.002N/cm以上0.01N/cm未満である前記<1>から<2>のいずれかに記載の異方性導電フィルムである。
<4> ポリオレフィン共重合体が、エチレンとプロピレンとの共重合体である前記<1>から<3>のいずれかに記載の異方性導電フィルムである。
<5> エチレンとプロピレンとの共重合体において、前記エチレンと前記プロピレンとのモル比が、60/40〜75/25である前記<1>から<4>のいずれかに記載の異方性導電フィルムである。
<6> 基材上に、ポリマー成分を含み、該ポリマー成分の90質量%以上が1種のポリオレフィン共重合体である剥離層組成物による剥離層を形成する剥離層形成工程と、前記剥離層上に、導電性微粒子を含む導電性粒子含有層組成物による導電性粒子含有層を形成する導電性粒子含有層形成工程と、を含むことを特徴とする異方性導電フィルムの製造方法である。
本発明の異方性導電フィルムは、少なくとも、基材と、剥離層と、導電性粒子含有層とを有してなり、さらに必要に応じて、その他の層を有してなる。
前記剥離層付き基材の前記導電性粒子含有層からの剥離力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.002N/cm以上0.01N/cm未満が好ましく、0.004N/cm以上0.01N/cm未満がより好ましい。
前記剥離力が、0.002N/cm未満であると、異方性導電フィルムをリール形状にした場合、異方性導電フィルムの引き出し時にかかる力により、導電性粒子含有層が剥離層から剥がれてしまい、正常に引き出されなくなることがあり、0.01N/cm以上であると、導電性粒子含有層と回路基板等の接着対象との密着力より、導電性粒子含有層と剥離層付き基材との密着力(剥離力)の方が大きくなり、しっかりと導電性粒子含有層が回路基板等の接着対象に貼り付かなくなる(導電性粒子含有層と回路基板等の接着対象とが剥離しやすくなる)ことがある。
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、強度を向上させる目的で、酸化チタン等の無機フィラーを含んでいてもよい。
前記基材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜80μmが好ましく、12μm〜75μmがより好ましい。
前記基材の平均厚みが、10μm未満であると、引張強度が低下する等のために実装時に異方性導電フィルムの取り扱いがし難くなることがあり、80μmを超えると、リール形状にし難くなり、また、最終的に基材は廃棄することから廃材料の量が多くなることがある。
前記剥離層としては、前記基材上に形成され、1種のポリオレフィン共重合体のみからなるポリマー成分を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリマー成分以外の成分として、ラジカル開始剤、帯電防止剤、などが含まれていてもよい。
なお、前記基材と前記導電性粒子含有層とは、前記導電性粒子含有層と前記剥離層との界面で、前記導電性粒子含有層と前記剥離層付き基材とに分離される。
前記ポリマー成分とは、重量平均分子量が5×103以上のポリマーを表し、ダイマー、トリマー、オリゴマーなどは含まない。
前記ポリマー成分の重量平均分子量が、5×103未満であるとブリードによりポリマー成分が導電性粒子含有層に移行することがあり、1×107を超えると、基材の変形を引き起こすことがある。
前記ポリマー成分に対する1種のポリオレフィン共重合体の質量%としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、90質量%〜100質量%が好ましく、
95質量%〜100質量%がより好ましい。
前記ポリオレフィン共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、から選択される少なくとも2種のオレフィンを構成成分とする共重合体、などが挙げられ、例えば、特開2004−82728号公報に記載されているように、前記ポリオレフィン共重合体の一部に官能基を導入して、架橋させて架橋構造を有するようにしてもよい。
中でも、好ましい離型性が得られる点で、エチレンとプロピレンとの共重合体が好ましい。
前記モル比が、60未満/40超であると、剥離力が大きく(重く)なり過ぎることがあり、75超/25未満であると、剥離力が小さく(軽く)なることがある。
前記ラジカル開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、などが挙げられる。
前記帯電防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリチオフェン誘導体等の導電性ポリマー、などが挙げられる。
前記剥離層の平均厚みが、0.01μm未満であると、剥離特性が低下することがあり、3μmを超えると、基材の外にはみ出すことがある。
前記導電性粒子含有層としては、前記剥離層上に形成され、絶縁性樹脂、硬化剤及び導電性微粒子を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、レベリング剤、顔料、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラーが含まれていてもよい。
前記絶縁性樹脂及び硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化型、光硬化型、熱硬化及び光硬化の併用型、などが挙げられる。
前記熱硬化型としては、アミン系硬化剤とエポキシ樹脂との組合せ、スルホニウム塩硬化剤とエポキシ樹脂との組合せ、有機過酸化物とラジカル重合性樹脂との組合せ、などが挙げられる。
さらに、前記アクリル樹脂としては、前記アクリレートをメタクリレートにしたものが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光硬化型としては、波長領域150nm〜700nmで活性なカチオン種又はラジカル種を発生させる硬化剤と、前記エポキシ樹脂又は前記エポキシ樹脂との組み合わせ、などが挙げられる。
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半田、ニッケル、金等の金属粒子;金属(ニッケル、金、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された、樹脂粒子、ガラス粒子あるいはセラミック粒子;などが挙げられる。
前記導電性粒子の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、体積平均粒径で、2μm〜10μmが好ましく、2μm〜4μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、2μm未満であると、分級処理及び入手が困難であり、10μmを超えると、接合端子のファインピッチ化に伴う、該接合端子の狭小化への対応が困難となることがある。
前記導電性粒子の比重としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1.5〜3.0が好ましい。
前記比重が、1.5未満であると、前記被処理面上での前記導電性粒子の位置安定性を確保することが困難になることがあり、3.0を超えると、前記導電性粒子を単層配列させるためには、より高い静電電位の付与が必要となることがある。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、などが挙げられる。
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリルオリゴマー等のアクリル重合系樹脂;ジメチルシリコーン、メチルシリコーン等のシリコーン類;などが挙げられる。
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料;などが挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、ガラス粉、石英粉、などが挙げられる。
前記有機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンパウダー、アクリルパウダー、シリコーンパウダー、などが挙げられる。
前記その他の層としては、例えば、前記基材の前記導電性粒子含有層側表面とは反対側の表面に形成された他の剥離層、前記基材と前記剥離層との間に形成された帯電防止層、などが挙げられる。前記帯電防止層を設けることにより、異方性導電フィルムをリール等の巻き付け手段から取り出す際に静電気が発生するのを防止することができる。
本発明の異方性導電フィルムの第1の態様は、片面に剥離層2(重面)が形成された基材(セパレータ)1と、基材(セパレータ)1における剥離層2上に形成された導電性粒子含有層3と、導電性粒子含有層3側に剥離層4(軽面)が形成されたカバーフィルム5とを有する。
本発明の異方性導電フィルムの第2の態様は、一方の面に剥離層2a(重面)が形成され、他方の面に剥離層2b(軽面)が形成された基材(セパレータ)1と、基材(セパレータ)1における剥離層2a上に形成された導電性粒子含有層3とを有する。
本発明の異方性導電フィルムの製造方法は、少なくとも、剥離層形成工程と、導電性粒子含有層形成工程とを含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
前記剥離層形成工程は、基材上に、ポリマー成分を含み、該ポリマー成分の90質量%以上が1種のポリオレフィン共重合体である剥離層組成物による剥離層を形成する工程である。
前記剥離層組成物の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレードコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法等に代表される種々のコーティング法、ホットメルト法、スプレーコート法、共押出法、などが挙げられる。
前記温度が、100℃未満であると、有機溶媒の乾燥不良が生じることがあり、250℃を超えると、剥離層組成物が熱劣化することがある。
前記導電性粒子含有層形成工程は、剥離層上に、導電性微粒子を含む導電性粒子含有層組成物による導電性粒子含有層を形成する工程である。
前記温度が、40℃未満であると、有機溶媒の乾燥不良が生じることがあり、100℃を超えると、硬化剤が反応し、フィルムが硬化することがある。
−エチレンプロピレン共重合体αの作製−
1Lのオートクレーブをエチレンとプロピレンとの混合ガス(分圧比7/3)で置換し、脱気、乾燥したトルエン450mLを投入した。70℃で10分間攪拌した後、メタロセン触媒(ジメチルシリレンビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、メチルアルモキサン助触媒(Witco社製))を0.1ミリモル加えて、エチレンとプロピレンとの混合ガスで、0.7MPaに加圧し、1時間重合してエチレンプロピレン共重合体αを得た。1H−NMRで求めた生成物の組成モル比は、エチレン/プロピレン=60/40であった。
得られたエチレンプロピレン共重合体α100質量部を、トルエンに添加して加熱することにより、均一な2%溶液を得た。
得られた溶液を離型剤とした。平均厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、得られた離型剤を乾燥後の平均厚みが0.2μmになるように塗布し、140℃で2分間乾燥することにより、片面に剥離層を有する剥離フィルムAを得た。
剥離層に、ポリマー成分として、1種のエチレンプロピレン共重合体αのみが含まれていることは、液体クロマトグラフィー、GPC(ゲルパーミエーション クロマトグラフィー)、LC−MS(液体クロマトグラフィー/質量分析計)、などにより、検出することができる。
−エチレンプロピレン共重合体βの作製−
製造例1において、エチレン/プロピレンガスの混合ガスの分圧比を8/2とした以外は、製造例1と同様に、エチレンプロピレン共重合体の作製を行って、エチレン/プロピレンの組成モル比が75/25のエチレンプロピレン共重合体βを得た。
製造例1において、エチレンプロピレン共重合体αを用いる代わりにエチレンプロピレン共重合体βを用いたこと、及び、平均厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる代わりに、平均厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は、製造例1と同様に、剥離フィルム(剥離層付基材)の作製を行って、片面に剥離層を有する剥離フィルムBを得た。
剥離層に、ポリマー成分として、1種のエチレンプロピレン共重合体(エチレンプロピレン共重合体β)のみが含まれていることは、液体クロマトグラフィー、GPC(ゲル パーミエーション クロマトグラフィー)、LC−MS(液体クロマトグラフィー/質量分析計)、などにより、検出することができる。
−エポキシ基を有するエチレンプロピレン共重合体γの作製−
製造例1において得られたエチレンプロピレン共重合体α100質量部に、グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトエステルG)3.1質量部と反応開始剤(日油社製、商品名:パーヘキサB)0.1質量部との混合物を、ラボニーダーミル(トーシン社製、型式:TDR100−1)を用いて、185℃/回転数90rpm/3分間で混練してエポキシ基を有するエチレンプロピレン共重合体γを得た。
エチレンプロピレン共重合体α及びエポキシ基を有するエチレンプロピレン共重合体γを各々50質量部ずつ混合し、この混合物に含まれるエポキシ基と1.0当量となるヘキサメチレンジアミンを添加した共重合体をトルエンに溶解することで均一な2%溶液を得た。
得られた溶液に、過酸化ベンゾイル(川口薬品社製、商品名:BPO)を固形分で1質量部添加して、離型剤とした。平均厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、得られた離型剤を乾燥後の平均厚みが0.2μmになるように塗布し、140℃で2分間乾燥することにより、片面に剥離層を有する剥離フィルムCを得た。
剥離層に、ポリマー成分として、2種のエチレンプロピレン共重合体(エチレンプロピレン共重合体α及びエポキシ基を有するエチレンプロピレン共重合体γ)が含まれていることは、液体クロマトグラフィー、GPC(ゲル パーミエーション クロマトグラフィー)、LC−MS(液体クロマトグラフィー/質量分析計)等により、検出することができる。
また、剥離層に、過酸化ベンゾイル(ラジカル開始剤)が含まれていることは、液体クロマトグラフィー、GPC(ゲル パーミエーション クロマトグラフィー)、LC−MS(液体クロマトグラフィー/質量分析計)等により、検出することができる。
−導電性粒子含有層組成物の調製−
メチルエチルケトンで溶解させた固形分30%のフェノキシ樹脂(熱可塑性樹脂)(東都化成社製、商品名:YP50)100質量部に、絶縁性樹脂としてのラジカル重合性樹脂(エポキシアクリレートオリゴマー、ダイセル・サイテック社製、商品名:EB−600)35質量部、リン酸アクリレート(共栄社化学社製、商品名:P−1M)1質量部、及び硬化剤としての反応開始剤(日油社製、商品名:パーヘキサC)2質量部を添加し、さらに、樹脂微粒子にニッケルと金メッキを施した導電性微粒子(積水化学社製、商品名:AUL704)を体積比率10%になるように均一分散させた導電性粒子含有層組成物を調製した。
調製例1で調製した導電性粒子含有層組成物を、製造例1で作製した剥離フィルムAにおける剥離層上に平均厚みが20μmになるように、バーコーターにより塗布を行い、有機溶媒を乾燥後、剥離層が導電性粒子含有層側となるように、製造例2で作製した剥離フィルムBでカバーした異方性導電フィルムAを作製した。
調製例1で調製した導電性粒子含有層組成物を、剥離フィルムD(帝人デュポンフィルム社製、50μm厚のポリエチレンテレフタレート基材、商品名:Purex #70)のシリコーン処理面上に、バーコーターにより塗布を行い、60℃/10分間乾燥させることで20μmの平均厚みの導電性粒子含有層を形成した。さらに、異物混入を防止するカバーフィルムとして、剥離フィルムE(帝人デュポンフィルム社製、25μm厚のポリエチレンテレフタレート基材、商品名:Purex #31)を、シリコーン処理面が導電性粒子含有層側となるように積層した異方性導電フィルムBを作製した。
調製例1で調製した導電性粒子含有層組成物を、製造例3で作製した剥離フィルムCにおける剥離層上に、バーコーターにより塗布を行い、60℃/10分間乾燥させることで、20μmの平均厚みの導電性粒子含有層を形成した。さらに、異物混入を防止するカバーフィルムとして、製造例2で作製した剥離フィルムBを、剥離層が導電性粒子含有層側となるように積層して、異方性導電フィルムCを作製した。
実施例1、比較例1、比較例2で作製した異方性導電フィルムA〜Cについて剥離フィルムA〜Eのそれぞれを剥離した後の異方性導電フィルムA〜Cの表面に存在するSi、C、Oの3元素をX線光電子分光分析装置(日本電子社製、型番:JPS−90SX)にて測定を行った。
実施例1、比較例1、比較例2で作製した異方性導電フィルムA〜Cを1cm幅にスリットして、カバーフィルムとして用いた剥離フィルムB、Eについて、JIS Z 0237に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製、商品名:RTC−1210)を用いて、角度90度、引張速度300mm/秒間にて剥離力の測定をおこなった。結果を表3に示す。
カバーフィルム(剥離フィルムB、E)を剥がした異方性導電フィルムA〜Cを仮貼装置(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価装置、ツール幅10mm、緩衝材200μm厚シリコーンラバー)を用いて仮貼条件80℃−1MPa−2秒間にて、ITOパターンガラス(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価用ガラス、配線ピッチ50μm、絶縁層SiNx、ガラス厚0.5mm)上へ貼付けた後、JIS Z 0237に準じて、引張試験機を用いて角度90度、引張速度300mm/秒間にて剥離フィルムA、C、Dの剥離力の測定をおこなった。結果を表3に示す。
エポキシアクリレートで架橋した剥離フィルムは剥離力が上昇し、実装後のCOF(Chip On Film)に対する接着強度が極端に低下した。剥離剤が導電性粒子含有層組成物の接着力を向上させる成分であるリン酸アクリレートと反応したことによるものと考えられる。
パターンガラスに貼り付けた導電性粒子含有層が伸びたり破断したりしないように、ポリエステル粘着テープ(日東電工社製、商品名:ニットー31B)を異方性導電フィルムA〜Cに貼付けて補強した後に、JIS Z 0237に準じて角度90度、引張速度300mm/秒間にて異方性導電フィルムA〜Cそれぞれのガラス密着力を測定した。なお剥離フィルムB、Eが貼り付けてあった導電性粒子含有層をそれぞれBF、EFとした。結果を表4に示す。
比較例1の異方性導電フィルムBにおいて、カバーフィルムとしての剥離フィルムEを積層する前の状態でガラス密着力を測定し、その得られたガラス密着力の値を基準値Fとしたときに、測定したそれぞれのガラス密着力BF、EFの低下率を残留接着率として求めた。結果を表4に示す。
残留接着率(%)=(ガラス密着力 / 基準値F )× 100 ・・・(式)
ガラス密着力を測定する前の状態(カバーフィルムを剥がした状態)からさらに基材を剥がした状態にして、COF(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価用COF:配線ピッチ50μm、配線パターン(Cu(平均厚み8μm)−Snメッキ)、平均厚み38μmの基材(S’perflex))が異方性導電フィルムに2mm幅ラップするようにアライメントして、基材と接触していた導電性粒子含有層の面がCOF側となるように貼付け、圧着機(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社評価装置、ツール幅2mm、緩衝材100μm厚テフロン)を用いて本圧着条件190℃−3MPa−15秒間で圧着を行い、実装体を完成させた。なお、剥離フィルムとの組合せに従い、実装体A(実施例1)、D(比較例1)、C(比較例2)とした。
作製した実装体について、実装直後と高温高湿85℃/85%/500時間後の状態で引張試験機を用いて角度90度、引張速度50mm/秒間にてCOFを引き上げることでCOF接着力を測定した。その際の剥離界面は全てCOF側であった。結果を表5に示す。
本発明の接合体は、導電性粒子の粒子捕捉率が高く、優れた導通信頼性を有する。
2 剥離層
2a 剥離層
2b 剥離層
3 導電性粒子含有層
4 剥離層
5 カバーフィルム
Claims (6)
- 基材と、
前記基材上に形成され、ポリマー成分を含む剥離層と、
前記剥離層上に形成され、絶縁性樹脂、硬化剤、及び導電性微粒子を含む導電性粒子含有層と、を有し、
前記ポリマー成分の90質量%以上が1種のポリオレフィン共重合体であり、
前記ポリオレフィン共重合体がエチレンとプロピレンとの共重合体であって、
前記エチレンとプロピレンとの共重合体におけるエチレンとプロピレンとのモル比が60/40〜75/25であることを特徴とする異方性導電フィルム。 - ポリマー成分が、1種のポリオレフィン共重合体のみからなる請求項1に記載の異方性導電フィルム。
- 剥離層付き基材の導電性粒子含有層からの剥離力が0.002N/cm以上0.01N/cm未満である請求項1から2のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
- ポリオレフィン共重合体が、エチレンとプロピレンとのブロック共重合体である請求項1から3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
- 基材上に、第1の剥離層(重面)、導電性粒子含有層、第2の剥離層(軽面)、カバーフィルムをこの順に有する、及び、前記基材の一方の面に第2の剥離層(軽面)を有し、他方の面に第1の剥離層(重面)、導電性粒子含有層をこの順に有する、のいずれかである請求項1から4に記載の異方性導電フィルム。
- 基材上に、ポリマー成分を含み、該ポリマー成分の90質量%以上が1種のポリオレフィン共重合体である剥離層組成物による剥離層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離層上に、導電性微粒子を含む導電性粒子含有層組成物による導電性粒子含有層を形成する導電性粒子含有層形成工程と、
を含み、
前記ポリオレフィン共重合体がエチレンとプロピレンとの共重合体であって、
前記エチレンとプロピレンとの共重合体におけるエチレンとプロピレンとのモル比が60/40〜75/25であることを特徴とする異方性導電フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010127426A JP5539039B2 (ja) | 2010-06-03 | 2010-06-03 | 異方性導電フィルム及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010127426A JP5539039B2 (ja) | 2010-06-03 | 2010-06-03 | 異方性導電フィルム及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010209353A JP2010209353A (ja) | 2010-09-24 |
JP5539039B2 true JP5539039B2 (ja) | 2014-07-02 |
Family
ID=42969829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010127426A Expired - Fee Related JP5539039B2 (ja) | 2010-06-03 | 2010-06-03 | 異方性導電フィルム及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5539039B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103779390B (zh) | 2014-02-11 | 2016-08-17 | 京东方科技集团股份有限公司 | 一种柔性显示基板及其制备方法 |
JP2017088759A (ja) * | 2015-11-11 | 2017-05-25 | リンテック株式会社 | 接着シート |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5001542A (en) * | 1988-12-05 | 1991-03-19 | Hitachi Chemical Company | Composition for circuit connection, method for connection using the same, and connected structure of semiconductor chips |
JP4147614B2 (ja) * | 1998-04-15 | 2008-09-10 | 日立化成工業株式会社 | 接着剤層を有する巻重体 |
JP2004345254A (ja) * | 2003-05-23 | 2004-12-09 | Mitsubishi Chemicals Corp | 積層シート及び成形品 |
JP4767573B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2011-09-07 | 株式会社プライムポリマー | 粘着フィルム用セパレーター |
-
2010
- 2010-06-03 JP JP2010127426A patent/JP5539039B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010209353A (ja) | 2010-09-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9023464B2 (en) | Connecting film, and joined structure and method for producing the same | |
US8980043B2 (en) | Anisotropic conductive film, joined structure and method for producing the joined structure | |
JPWO2003025955A1 (ja) | 被覆導電性微粒子、被覆導電性微粒子の製造方法、異方性導電材料、及び、導電接続構造体 | |
TWI548718B (zh) | A circuit-connecting material, and a method of manufacturing the same | |
JP2012158653A (ja) | チップ用保護膜形成用シート、半導体チップの製造方法および半導体装置 | |
JP4151101B2 (ja) | 電極接続用接着剤及びこれを用いた微細電極の接続構造、並びに、電極の接続方法 | |
JP6007910B2 (ja) | 液状インキ | |
JP5539039B2 (ja) | 異方性導電フィルム及びその製造方法 | |
JP2008258607A (ja) | 電極接続用接着剤及びこれを用いた微細電極の接続構造、並びに、電極の接続方法 | |
JP4936775B2 (ja) | 導電粒子の連結構造体 | |
JP4684087B2 (ja) | 連結構造体 | |
JP2005194413A (ja) | 回路接続用接着フィルム及び回路接続構造体 | |
TWI596184B (zh) | Circuit connecting material, and manufacturing method of a package using the same | |
JP2013214417A (ja) | 回路接続材料、回路部材接続構造体及び回路部材接続構造体の製造方法 | |
JP4657047B2 (ja) | 接続部材 | |
TWI814761B (zh) | 接著劑膜 | |
JP2011175846A (ja) | 回路部材接続用接着フィルム、回路部材接続構造体及び回路部材接続構造体の製造方法 | |
JP4703306B2 (ja) | 導電粒子の連結構造体 | |
JP2009161684A (ja) | 回路接続用接着剤組成物、この接着剤組成物用いた回路部材の接続構造及び回路部材の接続方法 | |
JP6142612B2 (ja) | 異方性導電フィルム | |
KR20110059274A (ko) | 이방성 도전접속용 절연 도전성 입자 및 이를 이용한 이방성 도전접속재료 | |
KR20220107095A (ko) | 접속 구조체, 회로 접속 부재 및 접착제 조성물 | |
JP2004269626A (ja) | 接着剤、接着剤の製造方法及び電気装置 | |
JP4581060B2 (ja) | 異方導電性フィルム | |
JP2022063652A (ja) | フィルム状接着剤、接合体及びそれらの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130408 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140204 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140228 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140422 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5539039 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140430 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |