JP2012228193A - 果汁含有貯蔵原酒を含むアルコール飲料 - Google Patents

果汁含有貯蔵原酒を含むアルコール飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】果汁成分による豊かな香味と、長期保管における沈殿の生成及び香味劣化の抑制とを両立したアルコール飲料を提供する。
【解決手段】アルコールと果汁とをアルコール度数13〜20v/v%となるよう混和し、その後1〜36ヶ月間貯蔵することによって得られる貯蔵原酒を用いることにより、果汁成分による豊かな香味をアルコール飲料に付与し、長期保管における沈殿の生成及び香味劣化の抑制を効果的に抑制することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、品質安定性が改善されたアルコール飲料に関する。詳しくは、アルコールと果汁とを混和後に長期間保管して得られる果汁含有貯蔵原酒を配合することによって、長期保管に伴う外観の悪化及び香味の劣化が改善されたアルコール飲料に関する。
市販されている容器詰めアルコール飲料は、果実の風味を特徴とするものが多い。このような果実風味の容器詰めアルコール飲料は、香料だけでは十分な果実の風味を付与することは難しいため、果汁を配合することによって、果実の風味の充実を図っている(特許文献1〜4参照)。
一般に、容器詰めされたアルコール飲料は、製造後すぐに消費されるということは稀で、流通経路や市場に一定期間保管されることが多い。例えば、アルコール度数の低いアルコール飲料(RTD製品:Ready to Drink)は、製造されてから消費者が購入するまでの間、長期にわたって市場で滞留することがある。また、アルコール度数の高いリキュール類は、カクテル素材として少量ずつ消費される場合が多いため、購入・開栓から使い切るまでの間、常温で長期間保管されることになり、購入前の市場滞留期間も加えると、製造後からの保管期間は非常に長いものとなる。
このように、製造から消費までの保管期間が長くなった場合、果汁成分による品質低下の問題が起こる場合がある。すなわち、沈殿を生じて商品の外観を損なったり、果汁成分の加熱劣化によってオフフレーバーを発生したり味わいが薄くなったりして、商品価値が著しく低下することがある。
特開2009−195125号公報 特開2009−195122号公報 特開2009−153483号公報 特開2000−312580号公報
上述したように、果汁を配合したアルコール飲料においては、果汁成分に起因する品質安定性を向上させることが重要である。しかし、果汁成分に起因する品質劣化を回避するために果汁配合量を制限すると、アルコール飲料の香りや味わいの豊かさという点で満足できない品質となる可能性がある。そのため、果実風味の容器詰めアルコール飲料において、果汁成分による豊かな香味と、製造から消費者が飲用するまでの期間における品質劣化防止とを、両立させる技術を開発することは、困難であった。
本発明は、上記のような課題に鑑み、本発明の課題は、果汁成分による豊かな香味と、長期保管における沈殿の生成及び香味劣化の抑制とを両立したアルコール飲料を提供することである。
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、果汁とアルコールとを混和して長期間貯蔵して得られる貯蔵原酒を用いることによって、果汁による豊かな香味をアルコール飲料に付与しつつ、製造から長期間経過した後であっても当該アルコール飲料において沈殿の生成及び香味劣化が効果的に抑制されることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、以下に限定されるものではないが、下記の態様を包含する。
(1) 果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その混和物を1〜36ヶ月間貯蔵する工程;貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して貯蔵原酒を得る工程;貯蔵原酒を配合してアルコール飲料を調製する工程;調製したアルコール飲料を容器に充填する工程;を含む、容器詰めアルコール飲料の製造方法。
(2) 前記混和物のBrix値が4〜40である、(1)に記載の方法。
(3) 前記アルコールが、蒸留酒を含む、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記果汁が、ぶどう果汁および/または柑橘類果汁である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 前記果汁のBrix値が6〜70である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その混和物を1〜36ヶ月間貯蔵し、貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して得られる貯蔵原酒を配合した、容器詰めアルコール飲料。
(7) (1)〜(5)の方法によって製造した容器詰めアルコール飲料。
(8) 果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その混和物を1〜36ヶ月間貯蔵する工程;貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して貯蔵原酒を得る工程;貯蔵原酒を配合してアルコール飲料を調製する工程;を含む、アルコール飲料の保存性を向上させる方法。
本発明により、果汁に由来する豊かな香味を有しながら、常温で長期間保管しても、沈殿等の外観不良や香味品質の低下が抑制されたアルコール飲料が提供される。
アルコール飲料
本発明は、アルコール飲料およびその製造方法に関する。本発明におけるアルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料をいい、アルコール濃度は特に制限されない。本発明のアルコール飲料は、例えば、アルコール度数が1〜9v/v%程度のいわゆる低アルコール飲料(RTD製品)としてもよく、アルコール度数15v/v%以上のいわゆるリキュール類としてもよい。本発明のアルコール飲料のアルコール度数は、好ましくは0.1〜60v/v%であり、より好ましくは1〜30v/v%であり、さらに好ましくは3〜20v/v%である。
本発明のアルコール飲料は、後述する果汁含有貯蔵原酒を含むことを特徴とする。果汁含有貯蔵原酒は、果汁を含んでいるため果汁由来の豊かな香味を有し、アルコール飲料に配合するとアルコール飲料に果汁由来の豊かな香味を付与することができ、果汁の一部又は全部の代替として使用することができる。また、果汁含有貯蔵原酒をアルコール飲料に配合することによって、単に果汁を配合したアルコール飲料と比較して、該アルコール飲料における長期間保管中の品質安定性を大きく改善することができる。具体的には、単純に果汁をアルコール飲料に配合した場合、沈殿を生成してしまう程の量の果汁であっても、果汁含有貯蔵原酒を配合して同程度の果汁含有量のアルコール飲料を製造した場合、長期保管中に沈殿を生成しにくく、豊かな香味品質を長期間維持することが出来る。また、本発明でいう果汁含有貯蔵原酒は、貯蔵期間中に香味成分が安定化されているため、最終アルコール飲料に配合した場合、製造後、長期間にわたって安定な香味を保持することができる。本発明の作用機構の詳細は不明であり、本発明は以下の推測に拘束されるものではないが、貯蔵期間中に果汁に含まれる不溶性固形分が沈殿するとともに、果汁の香味成分がアルコールとエステル化等の化学的ないし物理的変化を生じたことによるものと推測される。
このように本発明によれば長期安定性を大きく改善することができるため、長期間保管されることの多い容器詰めアルコール飲料とすると、本発明の効果を十分に活かすことができる。容器の形態や素材は何ら制限されず、樹脂製、紙製、ガラス製、木製などの容器を好適に使用することができ、例えば、プラスチックを主成分とする成形容器、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと積層されたラミネート紙容器、ガラス瓶などを例示することができる。好ましい態様において、本発明のアルコール飲料は、樹脂製容器、ラミネート紙容器やガラス製容器に充填することができる。
果汁含有貯蔵原酒
本発明における果汁含有貯蔵原酒とは、果汁とアルコールとを混和後、一定期間貯蔵することによって得られる。具体的には、果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その後1〜36ヶ月間貯蔵する工程;貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して貯蔵原酒を得る工程;を経て、果汁含有貯蔵原酒が製造される。
果汁含有貯蔵原酒に使用する果汁は、飲料の製造に通常使用されるものであれば、何ら限定されず用いることができる。果汁の原料となる果実の種類も特に限定されず、目的のアルコール飲料の設計品質に応じて自由に選択することができる。果汁としては、例えば、柑橘類(ミカン属)(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)、リンゴ、ブドウ、モモ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、メロン、西洋ナシ、スモモ類などの果汁が挙げられ、アルコール飲料に豊かな香味を付与する観点からは、柑橘類、リンゴ、ブドウ、モモなどの果汁が好ましい。
また、果汁の製造方法や流通形態についても特に限定されない。例えば、濃縮されないストレート果汁、濃縮果汁、ピューレ果汁、透明果汁、混濁果汁、セミ混濁果汁等のいずれを用いてもよい。本発明においては、未処理の果汁のみならず、不溶性固形分の分離、濃縮、精製、希釈、加熱等の処理がされた果汁を使用することができ、濃縮方法についても、減圧濃縮、凍結濃縮又は逆浸透膜濃縮等いずれの方法によってもよいし、酵素処理等されたものでも好適に用いることができる。長期保存時の不溶成分の沈殿を抑制する観点からは、透明果汁など、濾過などにより不溶性固形分を分離処理した果汁を用いると好ましい。更に、上記のような各種果汁を、2種類以上混和したものを用いてもよい。
本発明の貯蔵原酒に用いる果汁は、糖用屈折計による示度(Brix値)で6〜70を有することが好ましい。また、パルプ分が多い場合、沈殿量が多くなりすぎて作業性が悪化したり、貯蔵中にエグミを生じる可能性があるため、果汁のパルプ分は、10v/w%以下であることが好ましく、5v/w%以下であることがより好ましい。果汁のパルプ分量は、次のようにして測定する。重量を精秤した果汁を、容量の目盛りを付されたスピッツ管に入れ、純水にて約10mlとした後よく混合する。これを20℃にて3000rpm、15分間遠心分離し、沈殿した固形分の容量を読み取る。この固形分の容量を予め測定した果汁の重量で割り、その百分率を試料の固形分量(v/w%)とする。例えば、3.0gの果汁を前記の条件で遠心分離にかけることによって1.8mlの沈殿が得られた場合、そのパルプ分量は1.8(ml)÷3.0(g)×100=60(v/w%)となる。
本発明の果汁含有貯蔵原酒に使用するアルコールは、飲料(一般にいう酒類)に通常使用されるものであれば、何ら限定されず用いることができる。酒類の原料、製造方法あるいはその他処理方法についても、何ら限定されない。
アルコールのアルコール度数については、不溶性成分の除去及び香味成分の生成に有利であるため、59v/v%以上とするが、70v/v%以上が好ましく、80v/v%以上がより好ましい。59v/v%を下回ると不溶性成分の除去及び香味成分の生成が不十分となる可能性がある。アルコール度数の上限は特にないが、蒸留によって得られるアルコールのアルコール度数は一般に96v/v%以下であること、純粋なエチルアルコールを使用すると香味が不十分となる可能性があることから、96v/v%以下であることが好ましい。後述するように本発明においては、混和した後のアルコール度数が13〜20v/v%果汁となるように果汁とアルコールを混和するため、アルコール度数の高い酒類を少なくとも1種類含んでいることが好ましい。
アルコールの種類は、醸造アルコールであればよく、単一のアルコールを用いても複数のアルコールを用いてもよい。例えば、日本酒、ワイン、ビールなどの醸造酒、ウイスキー、ウオッカ、ラム、焼酎、スピリッツ類などの蒸留酒などを本発明において好適に使用することができるが、長期安定性の観点からは、蒸留酒を用いることがより好ましい。蒸留酒の中でも、アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留して得られる連続式蒸留アルコールを好適に使用することができる。このような連続式蒸留アルコールとしては、例えば、原料アルコールや連続式蒸留焼酎(いわゆる甲類焼酎)などを挙げることができる。
本発明におけるアルコール度数は、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)に記載の方法によって測定することができる。具体的には、対象のアルコール液から、必要に応じて濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を振動式密度計で測定し、前期国税庁所定分析法の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
果汁含有貯蔵原酒には、この他に、本発明の効果を妨げない範囲で香料、糖質又は酸味料等を加えてもよい。
本発明においては、果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数13〜20v/v%となるよう混和する。果汁とアルコールとを混和するとき、果汁とアルコールのどちらを先に投入してもよく、作業性を考慮して実施すればよい。原料の混和に際しては、出来る限り均一に混ざるよう撹拌を実施することが好ましい。撹拌は周知の攪拌手段を用いればよく、機械撹拌でもエア撹拌でも特に限定なく実施することができる。
本発明においては、攪拌後の果汁とアルコールの混和物のアルコール度数は、13〜20v/v%とし、14〜18v/v%であるときより好ましい。混和物のアルコール度数が低すぎると貯蔵工程において不溶性成分を効果的に除去できず、最終製品であるアルコール飲料において沈殿が生成するリスクが高まるので好ましくない。一方、混和物のアルコール度数が高すぎると、アルコール飲料における香味の豊かさが失われる可能性があるので好ましくない。
本発明においては、混和物のアルコール度数を上記範囲に調整すれば、果汁濃度は特に制限されないが、混和物の果汁濃度を特定範囲とすると、最終製品である容器詰めアルコール飲料における風味が豊かになるとともに、沈殿が生成するリスクを効果的に抑制することができるため好ましい。混和物の果汁濃度は、Brix値で管理することができ、Brix値が4〜40の範囲にあると好ましく、4〜35であるとより好ましく、4〜30であると更に好ましい。
混和物のBrixの測定方法としては公知の手段を用いることができ、糖用屈折計(Brix計ともいう)によって測定する。Brix値が大きすぎるなど糖用屈折計の測定レンジを超える場合は、混和物を純水にて適宜希釈して測定し、測定値に希釈率で割って計算する。この場合の希釈率は、混和物と純水との容量比(v/v%)で表す。
果汁とアルコールとの配合比は特に限定されないが、混和後のアルコール度数が特定範囲となるよう、必要に応じて加水して調整することが好ましい。
本発明においては、こうして得られた果汁とアルコールとの混和物を、1〜36ヶ月間貯蔵する。貯蔵は周知の手段によって実施することができ、目的とする容器詰めアルコール飲料の設計品質に応じて選択することが出来る。例えば、タンク等の容器にて貯蔵してもよいし、ナラなどの木材の樽にて貯蔵してもよい。果実の風味を強調したい場合はステンレスやホーローのタンクで貯蔵することが好ましく、木香などの香味を付与したい場合には樽に貯蔵することが好ましい。
貯蔵温度は特に限定されず、通常の常温下(例えば、液温として0〜40℃)で好適に実施することができ、10〜40℃で貯蔵することがより好ましい。また、貯蔵の際は、光による劣化を抑制するため、遮光した状態で保存することが好ましい。
混和物の貯蔵期間は1ヶ月以上とすることが必要である。1ヶ月を下回ると、豊かな香味を貯蔵原酒に十分に付与することが難しくなり、また、不溶性成分の除去が不十分となる可能性がある。貯蔵期間の上限は、あまりに長期間貯蔵すると劣化臭を生成するおそれがあるため、36ヶ月である。好ましい貯蔵期間は6〜36ヶ月であり、より好ましくは12〜36ヶ月である。
貯蔵工程が終了したら、混和物から不溶性固形分を除去して、果汁含有貯蔵原酒を得る。例えば、不溶性固形分の生成度合に応じて、不溶性固形分の生成が軽微であればオリ引きなどの手段で不溶性固形分を除去し、不溶性固形分が多いようであれば、固液分離手段を用いて不溶性固形分を除去することもできる。固液分離手段としては、遠心分離、膜濾過、珪藻土濾過、濾紙濾過など通常の分離手段を、単独又は複数の手段を組み合わせて実施すればよい。作業効率を向上させるための予備濾過として、その他の固液分離手段を合わせて実施してもよい。
アルコール飲料の製造
本発明では、以上のようにして製造された果実含有貯蔵原酒を、目的とする設計品質に応じて適宜配合してアルコール飲料を調製し、アルコール飲料を容器に充填することによって、本発明の容器詰めアルコール飲料を製造する。
本発明のアルコール飲料においては、上記の果実含有貯蔵原酒以外の原料は特に限定されず、通常のアルコール飲料と同様、果汁、アルコール、糖分、酸味料、各種添加剤等を配合することができる。各種添加剤としては、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
また、本発明のアルコール飲料に炭酸ガスを添加して炭酸ガス飲料とすることもできる。
さらに、他の観点からは、本発明は、アルコール飲料の保存性を向上させる方法と理解することができる。すなわち、本発明によれば、果汁含有アルコール飲料を長期保存した際の沈殿の発生、香味の劣化を抑制することができるため、本発明は、果汁含有アルコール飲料の沈殿抑制方法、果汁含有アルコール飲料の香味の劣化を抑制する方法と把握することができる。具体的に本発明の方法は、果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その混和物を1〜36ヶ月間貯蔵する工程;貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して貯蔵原酒を得る工程;貯蔵原酒を配合してアルコール飲料を調製する工程;を含んで構成される。
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
果汁含有貯蔵原酒の製造
表1に示す配合表に従って、アルコール度数96v/v%のニュートラルスピリッツ(NS96、連続式蒸留アルコール)と透明マスカット果汁(ストレートタイプ、Brix値:26、パルプ分:0.1%)とを混和し、均一になるよう攪拌した(アルコール度数:15v/v%、Brix値:26.5)。次いで、果汁と混和したアルコールを樫樽に詰めて、大気下で常温にて12ヶ月間貯蔵を行った。その後、珪藻土濾過を行って不溶性固形分を除去し、アルコール度数が約15v/v%の果汁含有貯蔵原酒を得た。
アルコール飲料の製造
表2に示す配合表に従って、上記で製造した果汁含有貯蔵原酒等を配合し、アルコール度数が15%のアルコール飲料を製造した。上記貯蔵原酒の他に、ブドウを原料とする連続式蒸留アルコールであるグレープスピリッツ原酒(アルコール度数96%)、液糖(商品名IF55、加藤化学社製)、リンゴ酸及びクエン酸(丸善薬品産業社製)、香料を使用した。
このアルコール飲料350mlを容器(360ml容ガラス瓶)に充填し、マスカット風味の容器詰めアルコール飲料(サンプル1)を製造した。
対照のアルコール飲料(サンプル2〜9)については、以下の手順により製造した。表3の配合表に記載の果汁とアルコール度数96v/v%のニュートラルスピリッツ(NS96、連続式蒸留アルコール)とを混和し、均一になるよう攪拌して混和物とした。このとき、各対照サンプル2〜9の混和物のBrix値は、それぞれ33、27、26、11、19、16、9、6となった。次にこれらの混和物を貯蔵することなく、表3の配合表に従って液糖(商品名IF55、加藤化学社製)、リンゴ酸及びクエン酸(丸善薬品産業社製)、香料を適宜添加してアルコール飲料とし、このアルコール飲料350mlを容器(360ml容ガラス瓶)に充填し、容器詰めアルコール飲料サンプル2〜9を製造した。
アルコール飲料の評価
本発明の容器詰めアルコール飲料(サンプル1)と、種々の果汁を用いて果汁量とアルコール度数を調節した対照のリキュールサンプル(サンプル2〜9)とを、一定期間保管し、官能評価を実施した。
まず、上記サンプルを、それぞれ5℃及び50℃の恒温器に12日間保管したが、50℃での保管は加速試験である。
保管したサンプルに対し、訓練された専門のパネル3名により、以下の各項目について官能評価を行った。また、以下の3項目の評点の総和を総合評価とした。
(1)色調変化
サンプル1〜9の5℃保管サンプルをコントロールとして、50℃保管サンプルの色調変化について目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
・1点:「褐変が強く認められ、製品として許容できない」
・2点:「褐変が認められるが、製品として許容できる」
・3点:「色調の変化が認められない」
(2)香味劣化
サンプル1〜9の5℃保管サンプルをコントロールとして、50℃保管サンプルの香味劣化について評価した。評価基準は以下のとおりである。
・1点:「劣化臭が強く、製品として許容できない」
・2点:「劣化臭が認められるが、製品として許容できる」
・3点:「劣化臭が認められない」
(3)沈殿の生成
サンプル1〜9の5℃保管サンプルをコントロールとして、50℃保管サンプルの色調変化について目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
・1点:「沈殿が多量に認められ、製品として許容できない」
・2点:「沈殿が若干認められるが、製品として許容できる」
・3点:「沈殿の生成が認められない」
評価結果を表4に示す。本発明の容器詰めアルコール飲料であるサンプル1は、他のサンプルに比べて色調変化や沈殿生成などの外観変化及び香味劣化の程度が圧倒的に少なく、長期保管によっても極めて品質安定性が向上していることが示された。

Claims (8)

  1. 果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その混和物を1〜36ヶ月間貯蔵する工程;
    貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して貯蔵原酒を得る工程;
    貯蔵原酒を配合してアルコール飲料を調製する工程;
    調製したアルコール飲料を容器に充填する工程;
    を含む、容器詰めアルコール飲料の製造方法。
  2. 前記混和物のBrix値が4〜40である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルコールが、蒸留酒を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記果汁が、ぶどう果汁および/または柑橘類果汁である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記果汁のBrix値が6〜70である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その混和物を1〜36ヶ月間貯蔵し、貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して得られる貯蔵原酒を配合した、容器詰めアルコール飲料。
  7. 請求項1〜5の方法によって製造した容器詰めアルコール飲料。
  8. 果汁と、アルコール度数が59v/v%以上のアルコールとを、アルコール度数が13〜20v/v%となるよう混和し、その混和物を1〜36ヶ月間貯蔵する工程;貯蔵した混和物から不溶性固形分を除去して貯蔵原酒を得る工程;貯蔵原酒を配合してアルコール飲料を調製する工程;を含む、アルコール飲料の保存性を向上させる方法。
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