JP2001178441A - 清澄な酒類の製造方法 - Google Patents

清澄な酒類の製造方法

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JP2001178441A
JP2001178441A JP37413199A JP37413199A JP2001178441A JP 2001178441 A JP2001178441 A JP 2001178441A JP 37413199 A JP37413199 A JP 37413199A JP 37413199 A JP37413199 A JP 37413199A JP 2001178441 A JP2001178441 A JP 2001178441A
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Kazuhiko Shimada
和彦 島田
Fumihiko Yokoyama
文彦 横山
Yoshiyuki Tateishi
佳之 立石
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Kirin Brewery Co Ltd
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 珪藻土濾過剤に含まれる鉄分等の品質安定性
に影響を与える不純物のビール等の酒類への溶出をより
低減させると同時に、より安定な珪藻土濾過層を形成さ
せて、優れた清澄性を有するビール等の酒類の製造方法
を提供すること。 【解決手段】 常法により調製した酒類発酵液を珪藻土
濾過剤を用いて濾過処理するに際し、かかる珪藻土濾過
剤を酸性水で処理した後水洗浄を施し、その後乾燥させ
ることなく、水に懸濁した状態又は湿潤した状態で使用
して、酒類発酵液を濾過処理することにより、特に酒類
発酵液の濾過処理の直前に珪藻土濾過剤の酸性水での上
記処理を行い、酸性水で処理した珪藻土濾過剤を濾過担
体に送り、濾過担体表面に濾過層を形成させた後、水を
送って該濾過層を洗浄し、然る後に酒類醗酵液を濾過す
ることにより、品質の安定した優れた清澄性を有するビ
ール等の酒類を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酒類発酵液を濾過処
理することによる、より清澄化した酒類の製造方法に関
し、より詳しくは、酸性水処理後水洗浄したした珪藻土
濾過剤を用いて、ビール発酵液等の酒類発酵液を濾過処
理するビールや発泡酒等の酒類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酒類発酵液等の濾過剤として用いられる
珪藻土は鉄分などの不純物を含み、通常洗浄処理・乾燥
処理された後に濾過剤又は濾過助剤として用いられてい
るが、ビール発酵液の濾過剤として珪藻土を用いる場
合、ビール中に鉄分が存在するとビールの安定性や保存
性が著しく低下することから、珪藻土を没食子酸やタン
ニン酸で洗浄することにより、特に鉄分を除去すること
(特開昭55−75716号公報)や、その逆に酸処理
条件を選択して珪藻土中の可溶性鉄分を不溶化すること
(特開昭54−77376号公報)や、珪藻土を予め有
機酸で処理し、珪藻土中の鉄分等の不純金属を可溶性金
属キレート化合物として固液分離により除去すること
(特開平11−554号公報)が知られているが、これ
ら従来の珪藻土を酸処理するいずれの公知方法において
も、珪藻土を酸処理した後に乾燥処理を施すことにより
珪藻土濾過剤を調製していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】酒類、特にビールは、
上記のように、その品質安定性に影響を与える鉄分を嫌
う。一般に酒類発酵液は酸性であり、例えばビールはp
H4程度の酸性を呈し、かかる酸性のビールを珪藻土濾
過剤を用いて濾過処理する場合、ビール中に鉄分が溶出
するという問題があった。そこで従来、この問題を解決
するために酸性水を用いて鉄分等の不純物の除去処理が
施された珪藻土を用いることが行われていたが、これら
は酸処理後乾燥した珪藻土を用いるものであり、ビール
中への鉄分の溶出の多くの部分は回避することができる
ものの、なお微量の鉄分がビール中へ溶出することがあ
るという問題があった。本発明の課題は、珪藻土濾過剤
に含まれる鉄分等の品質安定性に影響を与える不純物の
ビール等の酒類への溶出をより低減させると同時に、よ
り安定な珪藻土濾過層を形成させて、優れた清澄性を有
するビール等の酒類の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究し、常法により調製した酒類
発酵液を珪藻土濾過剤を用いて濾過処理するに際し、か
かる珪藻土濾過剤を酸性水で処理した後水洗浄を施し、
その後乾燥させることなく、水に懸濁した状態又は湿潤
した状態で使用して、酒類発酵液を濾過処理することに
より、特に酒類発酵液の濾過処理の直前に珪藻土濾過剤
の酸性水での上記処理を行い、酸性水で処理した珪藻土
濾過剤を濾過担体に送り、濾過担体表面に濾過層を形成
させた後、水を送って該濾過層を洗浄し、然る後に酒類
醗酵液を濾過することにより、品質の安定した優れた清
澄性を有するビール等の酒類を得ることができることを
見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、常法により調製した酒
類発酵液を珪藻土濾過剤を用いて濾過処理する酒類の製
造方法であって、前記珪藻土濾過剤を酸性水で処理した
後、水洗浄を施し、その後乾燥させることなく、水に懸
濁した状態又は湿潤した状態で使用して酒類発酵液を濾
過処理し、清澄な酒類を得ることを特徴とする酒類の製
造方法(請求項1)や、珪藻土濾過剤の酸性水での処理
が、酒類発酵液の濾過処理の直前に行われることを特徴
とする請求項1記載の酒類の製造方法(請求項2)や、
珪藻土濾過剤を酸性水で処理した後の水洗浄が、酸性水
で処理した珪藻土濾過剤を濾過担体に送り、濾過担体表
面に濾過層を形成させた後、水を送って該濾過層を洗浄
する水洗浄であることを特徴とする請求項1又は2記載
の酒類の製造方法(請求項3)や、珪藻土濾過剤を処理
する酸性水のpHが5〜1であることを特徴とする請求
項1〜3のいずれか記載の酒類の製造方法(請求項4)
や、濾過処理前の酒類発酵液に、酸性水で処理した珪藻
土濾過剤又は酸性水で処理していない珪藻土濾過剤を注
入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の
酒類の製造方法(請求項5)や、酒類がビール又は発泡
酒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載
の酒類の製造方法(請求項6)に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明における酒類としては、常
法により調製された酒類発酵液から、珪藻土又は珪藻土
を主体とした濾過剤を用いて濾過処理することにより得
ることができる酒類であればどのようなものでもよく、
ビール、発泡酒、清酒、ワイン等を具体的に例示するこ
とができる。また、本発明において酒類発酵液とは、か
かる酒類の濾過前の発酵液をいい、ビール発酵液、発泡
酒発酵液、清酒発酵液、ワイン発酵液等を具体的に例示
することができる。
【0007】本発明において珪藻土濾過剤としては、珪
藻土からなる濾過剤や、珪藻土を主体とした濾過剤をい
い、珪藻土を主体とした濾過剤としては、珪藻土にシリ
カゲル、パーライト、セルロース等の濾過助剤が混合さ
れている濾過剤を挙げることができる。また、本発明に
おける珪藻土としては、珪藻土の原鉱を粉砕・乾燥処理
したものや、この粉砕・乾燥処理したものに更に焼成又
は融剤焼成処理を施したもの等の市販の珪藻土を例示す
ることができる。
【0008】本発明における酸性水としては、酸性を呈
する水溶液であれば特に制限されるものではないが、ク
エン酸、乳酸、酢酸等の有機酸や、燐酸、硝酸等の無機
酸の水溶液を具体的に例示することができる。かかる酸
性水のpHとしては、pH7.0未満であればよいが、
鉄分の溶出効率からするとpH5.0以下が好ましく、
使用した酸を洗い流すための洗浄水の使用量を考慮する
とpH1.0以上が実用的である。また、各酸性水の使
用に際しては、それぞれの酸性水における最も効果的な
pH領域で珪藻土濾過剤を処理することが好ましい。
【0009】本発明における濾過担体としては、その表
面に厚さ数mmの珪藻土濾過層(プリコート)を形成さ
せることができる濾過層保持体であればどのようなもの
でもよく、金属製の網(leaf)、厚手濾紙(filt
er pad)、積層金属環(candle)、セラミ
ック筒(candle)などの保持体を具体的に例示す
ることができる。また、濾過担体表面への珪藻土濾過層
(プリコート)の形成は、通常珪藻土濾過剤の懸濁液を
濾過装置に送ることにより、珪藻土濾過剤を濾過担体表
面に捕捉させ、保持させることにより行うことができ
る。
【0010】本発明における珪藻土濾過剤の酸性水の処
理方法としては、珪藻土濾過剤と酸性水とを接触させ得
る方法であればどのような処理方法でもよく、例えば、
混合槽に珪藻土濾過剤と酸性水とを投入した後攪拌する
方法や、混合槽中の珪藻土濾過剤と水との混合物に酸を
添加した後攪拌する方法を挙げることができる。この珪
藻土濾過剤の酸性水による処理は、酒類発酵液の濾過処
理の直前に行うことが、これ以降の工程である水洗浄工
程や濾過工程を含めて連続工程とし、水懸濁状態又は湿
潤状態での珪藻土濾過剤使用を簡便に達成することがで
きる点で好ましい。また、酸性水で処理された珪藻土濾
過剤は、次工程である水洗浄に先立って、固液分離して
おくことが好ましい。固液分離は沈降分離法、遠心分離
法又は膜分離法によってもよいが、酸性水中に懸濁され
た珪藻土濾過剤をセラミック筒等の濾過担体に送り、濾
過することによって珪藻土濾過層(プリコート)を形成
することによっても行うことができる。この場合のプリ
コート量は0.2〜2kg/m2程度とすることができ
る。また、この固液分離をも含めた珪藻土濾過剤の酸性
水による処理は、複数回繰り返し行うこともできる。
【0011】珪藻土濾過剤の酸性水による処理後の本発
明における水洗浄する方法としては、珪藻土濾過剤中に
残存する使用した酸を洗い流すことができる方法であれ
ば特に制限されないが、例えば、上記酸性水による処理
後の固液分離により得られるスラリー状又はケーキ状の
珪藻土濾過剤に洗浄水を添加しながら、あるいは洗浄水
を添加した後固液分離する方法や、酸性水中に懸濁され
た珪藻土濾過剤をセラミック筒等の濾過担体に送り、濾
過することによって形成された珪藻土濾過層(プリコー
ト)に、洗浄水を送り洗浄・濾過する方法を挙げること
ができる。また洗浄水としては、清水でもよいが、酒類
がビールや発泡酒の場合、炭酸ガスをビールと同程度溶
解させた水を用いる方が好ましい。
【0012】本発明においては、上記水洗浄後、好まし
くは酸性水による処理後をも含めて、珪藻土濾過剤を乾
燥させることなく、水懸濁状態又は湿潤状態の珪藻土濾
過剤を用いて濾過処理が行われる。かかる水懸濁状態又
は湿潤状態の珪藻土濾過剤を用いることにより、珪藻土
濾過剤中に残存する鉄分をより低減させることができ
る。特に、珪藻土濾過剤を乾燥させることなく、水懸濁
状態又は湿潤状態の珪藻土濾過剤が、水洗浄処理された
珪藻土濾過層(プリコート)の場合、プリコートの嵩密
度が大きくなり、締まった状態のプリコートを形成させ
ることができ、多少の濾過圧の変動に対しても濾過層を
安定的に維持することができるとともに、ビール等酒類
の混濁成分や微生物の除去能力が上昇し、より清澄性に
優れた酒類を製造することができる。
【0013】水洗浄処理が終了した珪藻土濾過層(プリ
コート)には酒類発酵液が送られ、濾過が開始される。
濾過開始当初の濾液は酸を含む洗浄水であり、かかる洗
浄水により酸が洗い出された後の濾液は清水と酒類発酵
液との混合液からなり、その後酒類発酵液が濾過され
る。また、必要に応じて、珪藻土濾過剤を酒類発酵液に
注入(ボディフィード)しながら濾過機に送ることもで
きる。このボディフィードの場合、当然のことながら濾
過層の厚みが増していき、より一層濾過層の安定化を図
ることができる。ボディフィードに用いられる珪藻土濾
過剤としては、酸性水で処理していないものも使用する
ことができるが、酸性水で処理した後水洗浄した水懸濁
状態又は湿潤状態の珪藻土濾過剤を用いることが好まし
い。
【0014】次に、本発明の濾過処理、特にプリコート
処理について、図1に示される濾過装置を参照しながら
以下詳細に説明する。図1に示される濾過装置の濾過機
本体1は、竪型の略円筒形状の缶体2を備え、この缶体
2内には、その上部に隔壁3が設置されており、隔壁3
の下方が原液(未濾過液)側C、上方が濾液(濾過液)
側Fになっている。隔壁3には、多数個の円筒状の濾過
担体4(図1では1個のみ示す)が略鉛直に吊り下げら
れており、濾過担体4の内部は濾液側Fに連通されてい
る。また、缶体2の底部2aは頂角約120゜の逆円錘
形をなし、その最底部にはブローノズル8備えた突起部
5が設けられ、この突起部5内に未濾過液供給管6の供
給部7が開口している。未濾過液供給管6にはバルブV
1、ポンプP1、バルブV5が設置されている。また、
未濾過液供給管6は途中から分岐してバルブV4及びポ
ンプP2を介して珪藻土濾過剤と酸性水との混合槽9に
接続されており、スラリー状の濾過助剤が混合槽9から
ポンプP2によって缶体2内に供給されるようになって
いる。さらに、未濾過液供給管6は、バルブV7を有す
る水供給管10に接続されている。一方、缶体2の濾過
側Fには、缶体2内から濾液を回収するための濾液回収
管11が接続されている。濾液回収管11には、ビール
濃度を測定するための濃度計12、濾液濁度を測定する
ための濁度計13、濾過流量を測定するための流量計1
5及びバルブV6が設置されている。また、濾液回収管
11は途中で分岐し、この分岐部にドレンバルブV2が
設置されている。なお、濾液回収管11と未濾過液供給
管6とは、バルブV3を有する接続管14によって接続
されている。
【0015】次に、珪藻土濾過剤を用いた濾過処理につ
いて説明する。 (1) 珪藻土濾過剤の酸性水による処理工程 バルブV1,V2,V3,V5,及びV6を閉じ、バル
ブV4及びV7を開け、ポンプP1及びP2を駆動し、
珪藻土濾過剤が投入されている混合槽9に水を導入し、
バルブV4及びV7を閉じて混合攪拌した後、酸を添加
してpHを調整しながら混合攪拌する。次いで、バルブ
V1,V3及びV4を開け、ポンプP1及びP2を駆動
し、酸性水で処理した珪藻土濾過剤の懸濁液を、未濾過
液供給管6及び供給部7を介して缶体2内に供給する。
供給部7の噴出孔から噴出する際、濾過剤は激しく混合
され、鉄分等の不純物の溶出が一層促進される。缶体2
内では、珪藻土濾過剤の懸濁液は濾過担体4によって濾
過され、濾過剤は濾過担体4の外周表面に次第に堆積し
ていき、他方鉄分が溶出されている濾液は濾過担体4の
内部を通って隔壁3の上方にある濾過側Fに到達する。
この濾過側Fの濾液は、濾過回収管11、接続管14を
経て未濾過液供給管6に戻り、ここで混合槽9から供給
されている珪藻土濾過剤の懸濁液と合流し、再び缶体2
内に供給される。上述の循環を繰り返す間に、濾過担体
4に均一な厚みの所望のプレコート層が形成される。所
望のプレコート層が形成された後、バルブV3が閉じら
れ、ドレンバルブV2が開けられて、濾過側Fの濾液は
ドレンバルブV2を介して排水される。
【0016】(2) 水洗浄工程 バルブV4を閉じ、バルブV7を開け、この状態でポン
プP1を駆動し、洗浄水を水供給管10から未濾過液供
給管6を介して缶体2内に供給する。缶体2内では、洗
浄水は濾過担体4によって濾過され、珪藻土濾過剤中の
酸成分や残存鉄分等の不純物が溶出されている濾液は濾
過担体4の内部を通って隔壁3の上方にある濾過側Fに
到達し、この濾過側Fの濾液はドレンバルブV2を介し
て排水される。
【0017】(3) 洗浄水と酒類発酵液との置換工程 バルブV4,V6及びV7を閉じ、バルブV1,V2及
びV5を開け、この状態でポンプP1を駆動し、ビール
発酵液等の酒類発酵液を未濾過液供給管6及び供給部7
を介して突起部5内に供給すると、酒類発酵液が突起部
5内に充満してから次ぎに缶体2内を静かに上昇してい
き残存する酸洗い出し後の洗浄水を押し出すことにな
る。当初は洗浄水のみが濾過担体4を通過するが、酒類
発酵液の液面の上昇につれて濾過担体の上部からは洗浄
水、下部からは酒類発酵液が濾過される結果、濾過担体
4の内部で水と酒類発酵液との混合液、すなわち水で希
釈された酒類発酵液が濾液回収管11を介して排出され
る。そして、缶体2内で洗浄水が酒類発酵液と置換され
るまで濾過を続行し、置換されたことを、濾液回収管1
1にある濃度計12が検知した時点で、酒類発酵液の定
常的な濾過運転が開始される。
【0018】(4) 酒類発酵液の濾過工程 バルブV2を閉じ、バルブV6を開け、ポンプP1を引
き続き駆動する。このとき、バルブV1及びV4を開
け、ポンプP2を運転し、珪藻土濾過剤をビールに注入
(ボディーフィード)することもできる。酒類発酵液又
は濾過剤が注入・分散された酒類発酵液は、未濾過液供
給管6及び供給部7を介して缶体2内に供給される。缶
体2内に導入された酒類発酵液は濾過担体4によって濾
過され、濾液回収管11を介して次工程へ送られる。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。 実施例1(各種酸性水の各種pHにおける鉄分の溶出
量) 珪藻土からなる濾過剤を種々の酸性水で洗浄するラボ試
験を実施した。乳酸、クエン酸、グルコン酸、燐酸、硝
酸の5種類の酸を用い、各々pH5、pH3、pH2と
なる様に調整された15種類の酸性水を調製した。かか
る調製した各酸性水500mlのそれぞれに珪藻土(セ
ライト社製「Standard Super Cel」)500mgを添加混
合し、浸漬温度20℃で、0.5時間、1時間、3時間
浸漬し、濾紙で濾過した濾液の鉄イオンを測定した。鉄
イオン含量の測定には原子吸光光度計(日立製作所社製
「原子吸光計Z−5760型」)を用いた。結果を表1
に示す。表1中、浸漬時間0時間は、混合後直ちに濾過
したものを意味する。表1に示される結果から、酸性水
のpHが同じであっても、使用する酸の種類により鉄分
溶出の挙動は異なるが、pHが5より低下すると溶出が
始まり、pHが低い程溶出量は増える傾向にあることが
わかる。
【0020】
【表1】
【0021】実施例2(無機酸プリコート法による鉄分
の低減効果) 濾過機として、缶体(220mmφ×1600mmH)
のキャンドル(積層金属環)型濾過機(濾過面積0.2
2)を用い、100L/hrの流量で濾過処理した。
珪藻土(セライト社製「Standard Super Cel」)と水と
を混合槽で混合攪拌し、85%燐酸溶液を添加してpH
2に調整した。この混合攪拌液を、2回に分けて、上記
濾過機に送り、プリコート層を形成させた。このときの
プリコート量は1.0kg/m2とした。次に、炭酸ガ
スをビールと同程度溶解させた水で押し出してpH5を
超え、かつpHが安定するまで水洗浄を行った。水洗浄
の終了後、酸性水での処理がなされていない珪藻土を濾
過流量に対して2.2%の割合で注入(ボディフィー
ド)したビール発酵液を缶体に導入し、缶体内の水を押
し出しながら、ビール発酵液に置換していった。濾液に
含まれる鉄イオン量の経時変化を図2に示す。
【0022】実施例3(有機酸プリコート法による鉄分
の低減効果) 実施例2におけるpH2の燐酸水溶液に代えてpH3の
乳酸水溶液を用いる他は、実施例2と同様に行った。ま
た、酸性水で処理していない珪藻土をプリコート用とし
て用いる他は、実施例2と同様に行ったものを実施例2
及び実施例3の対照とした。これらの結果も図2に示
す。
【0023】図2から、燐酸プリコート処理のものは、
水洗浄処理の濾液中には溶出した鉄イオンが見い出され
るが、濾過後のビール中には鉄イオンはなく、乳酸プリ
コート処理のものは、水洗浄処理の濾液中には溶出した
鉄イオンが見い出されるが、濾過後のビール中にはその
初流に鉄イオンが幾分見い出されるにすぎない。他方、
対照である酸性水で処理していない通常プリコート処理
のものでは、水洗浄処理の濾液中には溶出した鉄イオン
が見い出されず、濾過後のビール中にはその初流にかな
りの量の鉄イオンが見い出された。このビール初流部分
に残る鉄イオンは、ビール全体に混合希釈されることに
なるものの、鉄イオンレベルを上昇させることとなる。
【0024】実施例4(酸処理プリコート層による清澄
化) 小型珪藻土濾過機(缶体80mmφ×500mmH、濾
過面積0.02m2)を流量10L/hrで用い、また
珪藻土はセライト社製HSC(Hyfro Super Cel)を用
いる以外は、pH2の燐酸水溶液を用いて処理する実施
例1と同様の条件でビール発酵液を濾過し、約5時間分
の濾液(約50L)の濁度を濁度計(モニテック社「M
odel210/TT6」)を用いて測定した。また、
酸性水による処理を施さなかったものを対照とした。結
果を表2に示す。表2に示される結果から、酸性水によ
る処理をした方が濁度は低く、混濁成分の除去能が良い
ことがわかった。
【0025】
【表2】
【0026】実施例5(プリコート層の安定化) 実施例4における酸処理プリコート層による清澄化は、
珪藻土からなる濾過層が締まった状態になるためと考え
られたので、実施例4と同様な条件でpH2〜5の4種
類の燐酸水溶液を用いて燐酸処理プリコート層を形成さ
せ、プリコート層の透過率を測定した。また、燐酸水溶
液の代わりに水を用いた場合を対照とした。なお、透過
率(単位Darcy)における単位Darcyは、濾過
層の水の通りやすさを表し、透過層の面積が1cm
2で、厚さ1cmの濾過層に20℃の水を1atmの差
圧で透過させた時の流量が1cm3/secを示したと
きの透過率が1Darcyである。透過率測定結果を図
3に示す。図3より、燐酸酸性プリコートした濾過層は
透過率が低く、締まりの良い濾過層を形成することが分
かった。また、このときの濾過層の嵩密度を測定する
と、プリコート燐酸処理(pH2)の濾過層の嵩密度
は、0.36g/ccであるのに対して、対照(燐酸処
理なし)は0.34g/ccであったことから、濾過層
が締まっていることが明らかとなった。
【0027】
【発明の効果】本発明によると、珪藻土濾過剤に含まれ
る鉄分等の品質安定性に影響を与える不純物のビール等
の酒類への溶出をより低減させることができると同時
に、より安定な珪藻土濾過層を形成させて、優れた清澄
性を有するビール等の酒類を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることができる濾過装置の概略断
面図である。
【図2】酸性水で処理した珪藻土からなるプリコート濾
過処理での溶出する鉄イオンの経時変化を示す図であ
る。
【図3】各種pHの燐酸水溶液を用いて処理したプリコ
ート層の透過率を示す図である。
【符号の説明】
1 濾過機本体 2 缶体 3 隔壁 4 濾過担体 5 突起部 6 未濾過液供給管 7 未濾過液の供給部 8 ブローノズル 9 混合槽 10 水供給管 11 濾液回収管 12 濃度計 13 濁度計 14 接続管 15 流量計
フロントページの続き (72)発明者 立石 佳之 神奈川県横浜市鶴見区生麦1丁目17番1号 麒麟麦酒株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4B028 AC12 AG01 AG05 AG06 AG09 AP17 AP20 AS04 AT07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常法により調製した酒類発酵液を珪藻土
    濾過剤を用いて濾過処理する酒類の製造方法であって、
    前記珪藻土濾過剤を酸性水で処理した後、水洗浄を施
    し、その後乾燥させることなく、水に懸濁した状態又は
    湿潤した状態で使用して酒類発酵液を濾過処理し、清澄
    な酒類を得ることを特徴とする酒類の製造方法。
  2. 【請求項2】 珪藻土濾過剤の酸性水での処理が、酒類
    発酵液の濾過処理の直前に行われることを特徴とする請
    求項1記載の酒類の製造方法。
  3. 【請求項3】 珪藻土濾過剤を酸性水で処理した後の水
    洗浄が、酸性水で処理した珪藻土濾過剤を濾過担体に送
    り、濾過担体表面に濾過層を形成させた後、水を送って
    該濾過層を洗浄する水洗浄であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の酒類の製造方法。
  4. 【請求項4】 珪藻土濾過剤を処理する酸性水のpHが
    5〜1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    記載の酒類の製造方法。
  5. 【請求項5】 濾過処理前の酒類発酵液に、酸性水で処
    理した珪藻土濾過剤又は酸性水で処理していない珪藻土
    濾過剤を注入することを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか記載の酒類の製造方法。
  6. 【請求項6】 酒類がビール又は発泡酒であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか記載の酒類の製造方
    法。
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