JPH0659202B2 - ビ−ルの処理方法 - Google Patents

ビ−ルの処理方法

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JPH0659202B2
JPH0659202B2 JP58035698A JP3569883A JPH0659202B2 JP H0659202 B2 JPH0659202 B2 JP H0659202B2 JP 58035698 A JP58035698 A JP 58035698A JP 3569883 A JP3569883 A JP 3569883A JP H0659202 B2 JPH0659202 B2 JP H0659202B2
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    • C12CBEER; PREPARATION OF BEER BY FERMENTATION; PREPARATION OF MALT FOR MAKING BEER; PREPARATION OF HOPS FOR MAKING BEER
    • C12C7/00Preparation of wort
    • C12C7/24Clarifying beerwort between hop boiling and cooling
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
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    • C12C7/00Preparation of wort
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はシリカゾルによるビールの処理方法に関する。
シリカゾルは二酸化ケイ素の水中コロイド状溶液であ
る。それらは一般に30重量%の濃度で入手される。二
酸化ケイ素は緊密な湿潤しない、表面をヒドロキシル化
された小球状のものである。この小球の大きさは製造条
件によつて約2〜100nmになりうる。このことからシ
リカゾル溶液の比表面積が計算され、それはBET法に
よつて50〜600m2/gSiO2になりうる。小球が大き
い程比表面積は小さい。しかしながらかような溶液は6
0%、事情によつてはそれ以上のSiO2含量をもちうる。
従つてそれらはドイツ特許(DE-PS)第1767324
号明細書で公知されたビール安定化用ケイ酸ヒドロゲル
よりも多くのSiO2を含有する。より小さい粒径と大きい
比表面積とをもつシリカゾル溶液は場合によつては僅か
15%又はそれ以下のSiO2を含むのみで安定なゾルを形
成し得る。
粒径が小さく表面が大きいほど飲料処理用シリカゾルは
活性である。表面の大きい場合にはSiO2含量が減少する
ことを考慮して飲料浄化用には200〜350m2/gの
表面をもつゾルが実用的に慣用される。
“浄化”という用語は酒造技術用語として或る物質の添
加による飲料の清澄化を意味する。浄化は果汁及びワイ
ン業界において飲料の調整に際し実際に色、味及び匂に
関して過及び移注に先立つて消費用飲料の最終の調整
のために行われる。更に浄化工程によつて飲料から混濁
物質は充分に除去されねばならず、それによつて慣用の
塊状又は層状フイルターが短時間の過の後に該混濁物
質によつて満されることなく過不能にならないように
せねばならない。浄化工程はまた果汁及びワイン業界に
おいて移注された樽の中で後期の混濁を生じうる物質を
飲料から除くことに役立つ安定化過程の任務をも含んで
いた。
果汁及びワイン業界において1971年のドイツのワイ
ン法によつて葡萄酒、ワイン、ワイン様飲料の浄化剤と
して多数の化学物質が指定されている(Vogt/Jakob/Lem
perle/Weiss:Der Wein,Verlag Engen Ulmer Stuttgar
t,1979)。シリカゾルも一般にワインの1h当り
30%溶液50〜100mlの量を、通常の場合にはワイ
ンの1h半当り1〜10gのゼラチンと共に添加するこ
とが好適である。
醸造業界においてもかような工程に対して“浄化”とい
う語を使用しない場合があるとしても確かに浄化工程は
使用される。この工程においてもビールの場合と同様で
あつてビールを過及び移注に先立つて例えば色に関し
て、そして特にタンパク安定性に関して品質的に調整す
ることが肝要である。醸造工場において添加される浄化
剤及び清澄剤は例えばドイツ酒税法によつて表面発酵ビ
ールに対して使用が許可されている魚膠(Hausenblas
e:isinglass)である。英語を話す地域では、“fining
s”と云う。魚膠は例えばビンに移注する前に小麦ビー
ルに添加される。従つて魚膠は、ビン中で生じた発酵の
後に、酵母及びその他の混濁物質をビンの底に緊密な沈
降物として沈殿させ同時に上方にあるビールを清澄化さ
せる役割をもつている。
タンパク質安定化のためのビールのベントナイト処理も
一つの浄化過程である。この場合にベントナイトサスペ
ンシヨンをビールに添加する。数日間にわたる反応と沈
降との後にビールはベントナイト沈降物から分離され
過され移注される。
しかし醸造の実施において浄化工程即ち例えばベントナ
イト法はだんだんと意味を失いつつある。特にこのこと
は浄化工程がビール及び炭酸の損失、ビールの酸素取込
みの危険性などと結びついた独特な操作法であるという
ことに関連している。更に避け得ないビールの損失によ
つて生じる費用或はビールから清澄剤を回収することに
或る費用を要するのでその費用が問題になる。技術的な
効果、即ち、後期の混濁を生じさせるタンパク質のビー
ルからの除去は最終的な過において近代的な方法、例
えばゼロゲル又はヒドロゲルのようなシリカゾル及び
(又は)不溶性ポリビニルピロリドン(PVPP)を使用す
る方法によつて一そう厳密に、更に確実に行われ、これ
らは更に技術的により単純に操作されるので浄化工程は
意味を失わざるを得ない。のみならず、近代的な堆積
過(懸濁過)を行うならば適正なケイソウ土とそれに
対応した用量の選択によつて、その時の必要に適合した
広い活動の余地を持ち得ることとなるので過層又は
過塊を軽減するための過に先立つ混濁の除去も又同様
に意味を失うことになる。
しかし浄化及び清澄化工程はビールの過特性の改善に
役立つ場合には醸造業界において実用的な意味をもちう
る。しかしこの場合にはビールから混濁物質の除去が重
要なものではない。ビール中でのコロイドの存在は過
の際において大ていは始めて知られるようになるもので
あるが該コロイドが重要なのである。該過の際に明瞭
になるコロイドはベータグルカンから構成されることが
従来知られていたがなおタンパク性コロイドも存在する
ことも知られている。しかし炭水化物巨大分子と同様な
タンパク質からなるコロイドも又過を邪魔する原因と
なつている。この過を妨げるコロイドのビール中での
存在に関する確かな推論は例えばエセル(Esser)の実
験方法〔Monatsschrift fuer Brauerei,25,145
(1972)〕によつて可能である。
ビールの過特性を改善する工業上の意味は醸造過程の
短縮及び小さな醸造所よりも確かに低価格でビールを生
産しうる大きな経営単位の発達の近代的傾向を考慮すれ
ば明らかとなる。この大きな経営単位においてビールは
大型のタンク、しばしば20mまでもの高さの円柱状タ
ンクに貯蔵される。この場合に主発酵と移注との間での
ビールの清澄化はタンクの高さのためだけで特別な問題
を生じる。確かに例えばセパレータの利用によつて自然
の沈降過程に代用することが出来るが、しかしコロイド
状態(又はコロイドの構造)によつて全く本質的に決定
されるビールの過特性はセパレータの使用によつて完
全に或はほとんど改善されない。この理由により大醸造
所においては正に高い過能力を厳守することによつ
て、邪魔されない操業経過を保証し、また過助剤の使
用を限界に保ち、連続式生産を無限に保つために特に容
易に過しうるビールを製造することが重要である。
ビールの過特性に対して過前のビールの清澄度はほ
とんど重要ではなく、恐らくビールのコロイド含量、例
えばベータグルカン或はコロイド性タンパク質の含量が
或る役割を果している。
シリカゾルを用いるビールの処理方法はドイツ出願公開
(DE-OS)第2133906号公報によつて公知されて
いる。シリカゾルはビールに対し好適には20℃の温度
で貯蔵する間又はその開始時に添加される。この方法に
従うとこれまでベントナイト又はシリカゲルの使用に関
連した問題が解決される。即ちビール中に存在する後期
の不安定さの原因となるタンパク性化合物を吸収し、沈
降させることが可能となる。しかしこの方法は既に述べ
たように浄化過程の全費用が例えば最終的な過の際に
シリカゲル又はPVPPによつてビールを安定化するための
費用よりも大きく、高価であるので、実施されえない。
ビールの過特性の改善は該ドイツ公開公報に明らかに
されておらず本明細書の下記の例で示されるように認め
得る程度にも現われていない。のみならず貯蔵の始めに
ビールにシリカゾルを添加することが唯一の技術的に単
純な可能な方法であるが、該清澄化工程は後期発酵に必
要な酵母作用を阻害することがあり、或は完全に阻止す
ることがあるのでこのことを懸念して、該シリカゾルの
ビールへの添加は好適には実施されないことがある。
ドイツ出願公開(DE-OS)第2408896号公報はア
ルミニウム化合物で変性されたシリカゾル及び必要に応
じてゼラチンで処理を施した飲料又はその予備製品を未
発酵状態、部分発酵状態或いは発酵状態で清澄化する方
法を開示している。該公報では最終の過及び移注に先
立つてのワイン又は果汁の調整に役立つ改善であつてワ
イン用酒蔵業界で用いられるシリカゾル−浄化の改善を
取扱つている。
ワイン及びビールの化学的組成(例えばpH、CO2含量、
タンパク−及び炭水化物起源の物質)の多様性及び種々
の品質基準(例えばビールでは泡及びタンパク安定性、
これに対しワインでは酒石安定性)のためにビール又は
ワインの清澄化に対しては完全に異る清澄化技術が開発
された。
かような背景からビール清澄化を取扱つている専門家は
ワイン技術から何のヒントをも得られなかつた。
該ドイツ出願公開第2408896号公報の特許請求の
範囲によれば該発明は一般的に発酵飲料を目的としてお
りその記述中特にその例において明らかにワイン専門家
だけに呼びかけている。その主題はワイン製造だけに用
いられるゼラチン−シリカゾル使用−浄化法の改善に関
係している。
最後に、米国特許第3818111号明細書は清澄化及
び冷時安定化を目的としたビール処理法を開示している
がそこではゼラチン、N−ビニルピロリドン及びN−ビ
ニルピロリドンのポリマ並びにポリケイ酸から選ばれる
物質のコロイド水溶液が添加されその際該ポリケイ酸は
ケイ酸ヒドロゾル及び安定化されたケイ酸ヒドロゾルを
も包含している。しかしこの方法の記載からはビールに
加えられたシリカゾルによつて生成した凝集体と共にゼ
ラチン又はポリビニルピロリドンをビールから再び除去
するのか、そしてどの程度にそれらを除去するのかは明
らかでない。しかも該除去が完全に達成されるとの保証
はない。即ち例えばシリカゾル及びゼラチンによるワイ
ン浄化の場合には飲料に対し例えばベントナイトを追加
して処理しない限り、ワインの組成及び操作条件によつ
て30%までのゼラチンが飲料中に残留しうることが公
知されている。この場合には実質的に完成したビールは
シリカゾルで処理されるけれども麦芽汁はシリカゾルで
処理されない。
本発明の目的は既知のシリカゾルによるビールの処理法
を改良して清澄化工程を有効で経済的ならしめ、醸造工
程を短縮する可能性をもち同時に後期ビールの過及び
分離特性が改善されるようにすることにある。
この目的の達成は次のようにして行われる。即ち後期ビ
ールの清澄特性、過特性及び分離特性の改善のために
シリカゾルを熱い又は冷い状態での“麦芽汁槽から取出
される時の麦芽汁”或は“主発酵の初期の麦芽汁”に対
して添加し、その結果生じる凝集物を麦芽汁又は若いビ
ールから分離することから成るビールのシリカゾルによ
る処理方法によつて達成される。シリカゾルを麦芽汁と
良く混合し、攪拌或は空気又は炭酸ガス等の吹込みによ
つて急速に生じた濁りを、凝集体が形成され始めるま
で、麦芽汁中に浮遊させたままにしておくことが本方法
において重要である。この発明による本法の利点は主発
酵の促進、主発酵後のジアセチル分解の促進、ビールの
色の明色化、ビールの過特性の改善、ビールの分離特
性の改善、そして最後に完成ビールのタンパク安定性の
上昇である。
主発酵の開始時にシリカゾルの添加が行われると主発酵
の終了後に若い(出来たての)ビールを慣用法によつて
酵母から分離し得る。本法の利点はビール及びそれと共
にケイ酸が酵母の作用によつて常に運動(攪拌)状態に
保たれることにある。既に述べたように沈殿は表面酵母
と共に発酵槽から分離されるか或は貯蔵タンクから沈殿
物と共に分離されて飼料として使用され得る。意外にも
主発酵の際にシリカゾルが存在すると発酵経過を阻害せ
ずにむしろ発酵を促進することが見出された。主発酵終
了後の発酵槽の底部に生息していた酵母及び一様な酵母
層は沈殿し、その層上に薄くて容易に分離しうるシリカ
ゾル沈殿層が酵母及び混濁物質と混合している。醸造所
におけるその後の操作のために影響をもつ該酵母(Kern
hefe)は特別な処置なしで得られる。そこにはシリカゾ
ル沈殿は表面酵母にも含まれていてそこからビールを取
り出した後に家畜飼料として取り出される。
この変法の場合にシリカゾルから生じた凝集体には発酵
の結果としての麦芽汁又はビールの循環によつてビール
及びその含有物質と特に緊密に接触する。それによつて
特別な機械的な攪拌工程は不要になる。発酵した若いビ
ールは添加されたシリカゾルの量に応じて過を妨げる
コロイドを著しく除去される。色の確かな明色化とタン
パク安定化をも生じる。
本発明の別の態様に従えばシリカゾルの添加は熱い麦芽
汁に対し例えば麦芽汁槽からの取出しの時において又は
ホアールプール(Whirl-Pool)内においても行われう
る。この場合に生成した凝集体は熱時混濁物質と共に麦
芽汁製造容器内で沈殿し、それらは麦芽汁の静置沈降又
は遠心分離によつて分離されうる。シリカゾル沈殿物の
分離は定量的である必要即ち完ぺきに行われる必要はな
い。その理由は麦芽汁中に残留する残存物によつて発酵
が生じることにある。その他の利点としては、シリカゾ
ル沈殿は熱時混濁物質と共に醸造所からうまく除去され
ること、その活性(有効性)が容易に検査(チエツク)
されること、そして醸造工程の開始時には早くも分析が
行われ必要に応じて醸造工程の調整が行われうることが
挙げられる。
本法の実施態様として添加されるシリカゾルが200〜
400m2/gSiO2の比表面積を持つことが有利である。
この実施態様は安定な溶液の活性(有効性)とSiO2濃度
とに関する最適条件をもたらすものである。
麦芽汁が熱い状態であれ、冷却された状態であれ又発酵
の初期であつても、麦芽汁の処理のためにシリカゾル1
h当り10〜100gのSiO2を必要とする。しかし通
常の場合には所望の結果を達成するためには1h当り
25gのSiO2で充分である。シリカゾル調製品のSiO2
量及び安定性を考慮してSiO21g当り約300m2が最適
である。
本法のもう一つの実施態様としてアルミニウム化合物で
変性されたシリカゾルを添加することが有利である。こ
の実施態様の利点は変性されたシリカゾルが高いpH耐性
をもち、常にではないが時として有効でもある点にあ
る。
本発明方法は既に述べたように麦芽汁及び後期ビールか
らの過阻害物質の除去を達成する。それと共に本発明
は麦芽汁の明色化にも効果がある。発酵された麦芽汁中
に存在するシリカゾル沈殿は発酵を促進する。酵母添加
前に麦芽汁にシリカゾルを添加するとシリカゾル沈殿と
共に冷時混濁物質の広範な除去が可能になる。シリカゾ
ルで処理された麦芽汁は主発酵後のビールの促進された
清澄化を保証し、発酵したビールの約0℃での冷却の際
の冷時混濁物質の生成を減少させる。このことは完成製
品の冷時安定性の上昇にも影響する。最後に、麦芽汁の
シリカゾル処理は発酵後のビールを遠心分離することに
よつて、同じ組成の未処理ビールの場合よりも遥かに容
易に充分に清澄化させるようにする。
本発明の実施、既知法と比べたときの進歩及びビールの
過特性の改善に由来する利点は下文の例中に示され明
らかにされる。
例1(比較試験) ドイツ出願公開第2133909号公報の方法によるシ
リカゾルを用いたビールの処理 異る3つのミユンヘン醸造所からの発酵酒蔵ビールを7
日間10℃で最終発酵させる。この最終発酵させたビー
ルを1ビンに移注し3日間0℃に冷却する。そこでシ
リカゾルの添加を行う。10%SiO2を有するシリカゾル
溶液の形状で1gのSiO2〔平均粒径7〜8nm,表面積約
300m2/g(SiO2)〕を添加する。別の試料は同量の
ドイツ出願公開第2408896号公報の方法による変
性シリカゾル〔平均粒径7〜8nm,表面積300m2/g
(SiO2)〕を含有する、注意深く振盪した後に試料を更
に3日間0℃に静置する。その後にビールから上部の8
00mlを取り出し試験する。所見結果を第1表に示す: 清澄度:取り出されたビールについて0℃においてEB
Cに従つて測定する。
沈殿 :生じた沈降物を定量的に測定し、全ビール量に
対する百分率で表わす。
エセル(Esser)法によるvmax:操作法は文献〔Monatss
chrift fuer Brauerei,25,145(1972)〕に
示される。
過残留物因子(フイルターケーキフアクター):測定
法は文献〔Raible/Bantleon,Monatsschrift fuer Braue
rei,21、277(1968)〕に示される。
冷時濁度:フイルターケーキフアクターの測定の際に得
られた液を簡略化された強制(進)テストにかける。
そこではビールをまず24時間40℃に、次いで24時
間氷中に保つ。0℃においてEBC表示に従つて冷時濁
度を測定する。
第1表の値から直ちにシリカゾルが実際に非常に秀れた
清澄化作用をビールに及ぼしていることがわかる。全て
の3種の対照ビールは過前に15EBC単位以上の濁
度を持つていたがこの濁度はシリカゾル処理後に1.6
〜1.9EBC単位にまで低下した。これらのビールは
ほとんど透明であつた。分離したシリカゾル沈殿物は約
5〜8%の容積を占めた。
費用節約の理由からこの沈殿物からビールを例えば分離
によつて得なければならない。これは技術的に可能であ
る。
しかしビールの過特性に対してシリカゾル処理は比較
的に僅かしか影響しない。ビール(1)においてvmax(エ
クセル法)は22〜26間で変動し、ビール(2)ではv
maxは36から38に上昇した。ビール(3)においてのみ
シリカゾル処理はやや強い作用を示し、そこではvmax
64から81に上昇した。
ケイソウ土を用いた小規模過において示されるフイル
ターケーキフアクターではやはり僅かな変化(改善)し
か見られなかつた。ビール(3)においてのみ変性シリカ
ゾルがやや明瞭に作用を及ぼしている。即ちここではフ
イルターケーキフアクターは約半分に低下した。
しかしこれらの両方の過判定基準での変化は一括して
みると些細なもので、何れにしても極めて特色がないの
で醸造家はそのためにシリカゾル沈殿物からビールを得
るための余分な作業を負わされたくないと思うほどであ
る。
最後に冷時濁度はシリカゾル使用の場合において低下す
るがこの低下作用もまたそれほど明瞭ではないので醸造
家はこの方法を実施しようとは思わない。試験結果のオ
ーダーにおけるビールの冷時濁度の低下はケイソウ土
過において用量として例えば30〜50g/hのケイ
酸ゲル又はケイ酸ヒドロゾルの添加によつて容易に達成
され従つてシリカゾル使用によるよりも簡単で本質的に
経済的である。この関連において例8とも比較された
い。
例2 温時における麦芽汁の処理 煮沸された熱い発芽麦芽汁に15%シリカゾル溶液とし
て計算上の表面積250m2/g(SiO2)をもつ100g
のSiO2を添加した。この麦芽汁を熱い状態(沸騰温度)
に保つ。半時間後の麦芽汁を混濁物質及びシリカゾル沈
殿から熱い状態で別する。清澄な麦芽汁をそこで15
℃に冷却してから16時間放置した。
麦芽汁の外観: シリカゾルにより麦芽汁中で生じた沈殿の中には冷時不
安定なタンパクが含まれていたがこれはシリカゾルと共
に麦芽汁から除去されたことがわかる。次に麦芽汁を1
5℃に冷却すると麦芽汁中の冷時不溶のタンパク含量は
減少し麦芽汁の混濁は僅かであるに過ぎない。明色化は
顕著である。
例3 冷却された麦芽汁へのシリカゾルの添加 製造済みの麦芽汁を熱過してから15℃に冷却した。
その結果として約25EBC単位の高い濁度が生じる。
この麦芽汁1ずつ4部に分ける。それぞれに対し次の
ようにSiO2を添加した。
試料1:無添加 試料2:1gSiO2〔250m2/g(SiO2)の表面積をも
つシリカゾルとして〕 試料3:0.40gSiO2〔同上〕 試料4:0.20gSiO2〔同上〕 次に各試料を冷蔵室内で数時間4℃に冷却し、2日間4
℃に静置する。この間にシリカゾルの混濁物質が沈殿し
分離する。上層の麦芽汁を取り出して検査した。特にシ
リカゾルの混濁を遠心分離し遠心分離後のその重量を測
定した。
第3表からシリカゾルの用量に応じて多くの、又は少し
の沈殿が生じることがわかる。この沈殿から遠心分離す
ることによつて麦芽汁を得ることができる。この場合に
シリカゾル沈殿を遠心分離して清澄化された麦芽汁を取
出す。1の麦芽汁当り1gのSiO2使用の場合に残留沈
殿重量は約10gになる。これは真の麦芽汁損失が1%
以下であることに相当する。
麦芽汁処理は清澄化に対して顕著に影響する。僅か0.
2gのSiO2ですでに4EBC単位の濁度の非常に清澄な
麦芽汁がもたらされ、より高いSiO2用量は更によい値を
与えることがわかる。0℃に冷却しても麦芽汁濁度に僅
かな上昇しか生じないのであるからこの麦芽汁は冷時に
おいて殆んど安定である。
取り出された麦芽汁についてvmax(エセル法)も測定さ
れる。この場合のエセル値は3倍も上昇し、或は少量の
SiO2添加においても2倍以上の上昇が見られた。麦芽汁
のアントシアノーゲン含量は同様に減少し麦芽汁の発酵
から生じたビールの冷時安定性の改善を期待させる。
例4 発酵開始時の麦芽汁へのシリカゾルの添加 或るミユンヘン醸造所で製造された麦芽汁に酵母を加え
た。12時間後に一つの試料にシリカゾルを1hの麦
芽汁当り50gSiO2になるように添加した。それと平行
に未処理の麦芽汁について試験した。各5のビールの
両試料を10℃で1mの高さのガラス柱の中で発酵させ
た。4日間の発酵期間後に両方のガラス柱から夫々約8
00mlのビールを取り出した。これらを遠心分離して検
査した。
4日間の発酵期間後に次の値が得られた: 6日後に沈殿した酵母からビールを分離して取り出し1
ずつ移注した。これを0℃で貯蔵する。次の分析値が
得られた: 0℃に1日貯蔵後に各1の被検物から上部の900ml
を取り出して検査した。
この研究から判る通り発酵している麦芽汁から冷時不安
定タンパクの約3/4を除去する(冷時濁度を25EBC
単位から6EBC単位に減少させる)ためには主発酵の
開始時においてシリカゾルとして50gSiO2の添加で充
分である。過阻害物質はシリカゾルによつて非常に強
く吸着されvmax(エセル法)は45から158に上昇
し、したがつて3倍以上になる。
発酵の完了後、即ち全部で6日間の発酵の後にシリカゾ
ル含有ビールはE(見かけの抽出物)=2.35を有
する。したがつてこれはE=2.54の対照ビールよ
りも明らかにより多く発酵されている。酵母沈殿物の体
積はシリカゾル含有ビールで4%に達し、3.4%の未処
理ビールにおけるよりも若干多い。主発酵後に0℃に1
日貯蔵するとシリカゾル添加ビールは8.6EBCに清
澄化されるが対照未処理ビールは約30EBCである。
過特性はエセル法によつてもフイルターケーキフアク
ターで表わしても同様に顕著に改善されタンパク安定性
も同様に改善された。実施に移す場合に発酵している麦
芽汁にシリカゾルを添加すると非常に短い貯蔵期間だけ
で著しく清澄化されたビールになること、及びこのビー
ルの最後のケイソウ土使用の過の際に最少量のシリカ
ゾルを添加すれば充分であること、かようにしてビール
を完全にタンパク安定性にし得ることが期待される。
例5 浮遊(Flotation)工程におけるシリカゾルの添加 冷却、通風及び酵母添加の後の製造後の麦芽汁に対し1
の麦芽汁当り0.5gのSiO2の量になるようにシリカ
ゾルの添加を行う。この被検麦芽汁及びシリカゾル無添
加の平行試料を10℃で24時間静置した。その後に泡
を除き、沈殿した沈降物から麦芽汁を取り出す。この麦
芽汁を約15容量の高さ1mのガラス柱に充たし、1
0℃で7日間発酵させた。最後に酵母から若いビールを
分取し各1の容器に移注し、0℃に冷却した。1の
ビン中で清澄化状態を検査した。
シリカゾル含有ビールが非常に速やかに清澄化し、0℃
で9日間貯蔵後に完全に清澄になるが対照未処理ビール
はこの時点でまだなお強く濁つていることがわかつた。
9日間の後に未処理ビールの2本の飲料ビンに対し1
ビール当り0.5gのSiO2量になるようにシリカゾルを
添加した。0℃で更に4日間静置の後にこれらの両試料
と各2本のシリカゾル不添加対照ビール試料と2本の浮
遊工程でシリカゾルを含有させた試料とを更に検査し第
8表の結果を得た(2つの試料の平均値): 第8表から浮遊時のシリカゾル添加は過特性に関して
貯蔵ビールへの同じシリカゾルの同量添加よりも比較に
ならないほど好ましく影響することがわかる。一方では
vmaxは37から220単位へ上昇し、他方では37から
僅か51にしか上昇しない。同様のことがフイルターケ
ーキフアクターでも明らかになつた。ビール分析におい
てやはり発酵中の麦芽汁中でのシリカゾルの存在はシリ
カゾル不存在の場合よりも発酵を促進させることが示さ
れた。
第8表の結果は貯蔵の終期におけるシリカゾルの添加は
ビールの過特性〔vmax(エセル法)及びフイルターケ
ーキフアクター〕に関して本質的でない改善をもたらす
にすぎないこと、そのために実際にシリカゾル沈殿物の
破壊の為の余分な作業に堪えられようとは思わないほど
であることが示される。これに対して発酵開始時におけ
るシリカゾル添加は過特性を比較にならぬほど永続的
に改善するように作用する。第8表からまた同じ発酵期
間においてシリカゾル添加ビールは対照ビールよりも遥
かに高度に発酵されたことを示す。両方のシリカゾル添
加ビールの安定性はほぼ等しかつた。そのことは麦芽汁
へのシリカゾル添加はこの点に関して何等の不利益もも
たらさないことを意味している。
例6 発酵開始時におけるシリカゾル添加によるセパレータ
(Separator)の清澄化作用の改善 高さ約1mの2本のコラムにビール麦芽汁を装入して発
酵させた。2本のコラムの中の1本には1の麦芽汁当
り0.5gSiO2になるようにシリカゾルを添加した。0
℃で7日間発酵させた後に両方の若いビールをホース使
用で1のビンに移注し、それらを0℃に3日間冷却し
た。次に対照ビールとシリカゾル添加ビールとをベツヘ
ル遠心器で遠心分離した。
この遠心分離は全ての試験で同様に運転され、2分後に
3800回/分の最高回転数に達した。最初の試料では
その後直ちに遠心分離を再び停止し、約1分間の後に再
び静置させ遠心分離されたビールを取出しうるようにし
た。別の操作においては最高速度を5分間、10分間及
び20分間保つた。この方法でシリカゾル添加ビール及
び対照ビールから異る強度の遠心力をうけた夫々4本の
試料が得られた。これらのビールについて遠心分離後の
清澄度をまず測定した。その後に遠心分離されたビール
を0℃に24時間冷却し再度濁度を測定した。最後にv
max(エセル法)を測定した。結果は第9表の通りであ
る。
第9表から遠心分離によるビールの清澄化は対照ビール
よりもシリカゾル添加ビールにおいて遥かに容易に進行
することがわかる。もし最初の欄の数値から例えば1.
5EBC単位の清澄度に達するにはどれだけの間遠心分
離せねばならないかを補間法で測定してみると、シリカ
ゾル添加ビールの場合にはこれは5分間であることがわ
かる。これに対して対照ビールは同じ清澄度に達するに
は約15分間を必要とする。対応する過式セパレータ
で置換すると仮定するとこの結果からシリカゾルビール
は対照ビールの場合よりもはるかに清澄になつてこのセ
パレータを通過すること、或いはシリカゾルビールでは
単位時間内に約3倍の過量で清澄度を達成することが
推論される。
又シリカゾル添加ビールは冷たさ(低温度)に対して敏
感でなくその過特性において無添加対照ビールに優
り、このことがいかに重要であるかは既に他の例から明
らかである。
例7 シリカゾルの清澄化作用に及ぼすpH値の影響 通常の(黒ビール用でない)製造済みの麦芽汁を80℃
で過して熱時の混濁を除く。その後に室温に冷却し
た。3ずつのこの麦芽汁の各部に対しNaOH又は硫酸を
添加してpH値を5.7、5.0、4.2及び3.5に調
整した。次に全試料を0℃に24時間冷却し、次いで1
ずつ3部に分割した。これらの各部に次のものを添加
した: 試料1:無添加(対照麦芽汁) 試料2:SiO21g当り内部表面積300m2のシリカゾ
ル:0.5gSiO2/ 試料3:SiO21g当り内部表面積300m2のドイツ出願
公開第2408896号公報の方法によつてAl変性され
たシリカゾル、0.5%Al2O4、0.5gSiO2/ 清澄化の状況について追跡した。3日後に試料から50
0mlを取り出しその一部を直ちに0℃においてエセル法
で試験する(Spalte Vmax;columnVmax)他の部分をベ
ツヘル遠心機で3800回/分で12分間遠心分離し
た。遠心分離液を再び0℃で半時間冷却し、同様にエセ
ル法で試験した。
第10表から判る通り無添加の麦芽汁は全ての4種類の
調整されたpH値において15EBC単位以上の冷時濁度
を示し、これは3日間の観察中に沈殿しない。シリカゾ
ル添加は冷時濁度をかなり速やかにそして十分に槽底部
へ沈殿させるように作用する。これは勿論pHに依存して
いる。pH値が高いほど清澄化は急速に起り到達する最終
値が低くなる。シリカゾル添加の場合pH5において、pH
5.7におけると同様に良好な作用はもはや生じないこ
とが確められる。pH4.2又はpH3.5においては15
EBC単位以下に低下しない。
これに対して変性シリカゾル添加の場合にはpH4.2に
おいてもなおほとんどpH5及び5.7におけると同様に
良好に作用し、pH3.5においてもなお作用は認められ
る。ビール麦芽汁(そしておそらくはビールにも)に対
するシリカゾルの清澄化作用に従つてpH依存性であり、
4.2〜5の領域、即ちビールのpHが通常変動する領域
(pH4.4〜4.6)において、明瞭な作用減少を受け
る。変性シリカゾルはpH耐性である。
エセル法による過能(vmax値)に関しては第10表か
ら判ることはpH値が低い程麦芽汁はそれだけ過が困難
になることである。その場合にpH5〜4.2の間で特に
強く低下が生じている。
シリカゾルで処理された麦芽汁において同様な現象が見
られる。vmax値は対応するpHの無添加麦芽汁におけるよ
りも一般に約2倍高いが、ここでもpH5〜4.2の間で
著しい低下がある。
変性ゾルの場合にはpH5.7及びpH5.0においてシリ
カゾル添加の場合より若干良好に作用する。しかし、そ
れはpH4.2以下のpH領域においても幾分かは過阻害
物質に対する清澄化作用を保持している。
遠心分離後にシリカゾル無添加の麦芽汁において特にpH
5.7〜5の領域において過能の僅かな改善がみられ
る。しかし、全く意外にもシリカゾル処理の麦芽汁は遠
心分離後に200のオーダーのvmax値及びそれ以上に達
することが認められた。これはpH4.2の試料において
遠心分離前に測定されたものの約3倍であり、pH3.5
においては更に約6倍にもなる。したがつて過阻害コ
ロイドはシリカゾルの添加によつてまだよくわかつてい
ない変化をうけ、それによつて比重が増大し、そのため
に遠心分離によつて容易に沈殿するようになる。
例8(比較試験) 本発明方法と比較したドイツ出願公開第2133906
号公報の方法によるビールのシリカゾル処理 通常の全ビール(Vollbier,full-strength pale beer)
用の製造済み麦芽汁を熱時混濁物質の分離後に冷却し通
気して酵母を添加する。夫々5の内容をもつ高さ1m
の2本のコラムにこの麦芽汁を充たす。このコラムの一
本に対し約300m2gSiO2の比表面をもつシリカゾルを
0.25gSiO2/となるように添加した。主発酵の終
了後に酵母からビールを分取し、1のビンに移注し、
これを0℃に冷却した。これらのビールに6種の異なる
処理を施した: 試料1:対照ビール:7日間0℃に貯蔵してからケイソ
ウ土使用下に過する。
試料2:1と同様であるが但しケイソウ土過の際に追
加して50g/hのシリカゲルを加える。
試料3:シリカゲル無添加ビールを0℃に2日間冷却し
た後に後から1h当り25gSiO2をシリカゲルとして
添加し、その後に0℃に更に5日間静置する。
試料4:試料3と同様であるが但し最後のケイソウ土
過の際に1h当り50gのシリカゾルを添加する。
試料5:発酵の際にシリカゾルを添加したビールを0℃
に7日間静置してからケイソウ土過をする。
試試料6:試料5と同様であるが但し最後のケイソウ土
過の際に1h当り50gのシリカゲルを加える。
0℃に7日間貯蔵後に、上記の6種のビール試料の清澄
度を測定し、次に900mlを取り出す。その中の200
mlをエセル法によるvmax値測定に使用し、残りの700
mlでフイルターケーキフアクターを測定した。ケイソウ
土過されたこの試験用ビールを強制(加速化)試験に
かけ、40℃に2日間、そして氷中に24時間保持す
る。この検査の結果は第11表のとおりである: この場合に例えば過の際に1h当り50gのシリカ
ゲルの使用によつてビールのタンパク安定性がどれだけ
上昇するかがわかる〔ビール(1)と(2)との比較によ
る〕。
ビール(3)において既知のドイツ出願公開第21339
06号公報の方法によるビールのシリカゾル処理法が実
施された。シリカゾル無添加ビール(1)と比較してvmax
及びフイルターケーキフアクターで示されるように本質
的でない位の過能の向上しか認められない。ビールの
冷時安定性が改善されるとはいえ既に上述したように
過において1h当り50gのシリカゲルを用いること
でこれを達成しうる(ビール(2))。
ビール(3)及びビール(5)は共にゾルとして25gSiO2
含んでいる。ビール(5)は既に発酵の開始時において、
ビール(3)は貯蔵開始時において始めてSiO2が添加され
た。タンパク安定性に関してオーダーからみてほぼ同程
度の結果が現われていることがわかる。これに対して本
発明に従つて処理されたビールの清澄化と過能とはビ
ール(3)に比べてはるかに改善されている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱いかもしくは冷たい状態の麦芽汁槽から
    取り出された完成麦芽汁または主醗酵の初期の麦芽汁に
    シリカゾルを添加し、その結果生じる凝集物を麦芽汁ま
    たは若いビールから分離し、その後に得られるビールの
    清澄特性、濾過特性及び分離特性を改善することを特徴
    とする、ビールをシリカゾルで処理する方法。
  2. 【請求項2】シリカゾル沈殿物を麦芽汁またはビールの
    混濁物質と共に遠心分離によって分離することを特徴と
    する特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】添加されるシリカゾルが200〜400m2
    /gSiO2の比表面積を有することを特徴とする特許請求
    の範囲第1項または第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】アルミニウム化合物で変成されたシリカゾ
    ルを添加することを特徴とする特許請求の範囲第1項〜
    第3項のいずれかに記載の方法。
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