JP2012216532A - 非水系二次電池用負極材料、これを用いた負極及び非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池用負極材料、これを用いた負極及び非水系二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】急速充放電特性と高サイクル特性を併せ持った優れた特性を示す非水系二次電池の電極に使用される混合炭素材料を提供する。
【解決手段】次の炭素材料Aと次の炭素材料Bとが含有されてなる混合炭素材料を用いることを特徴とする非水系二次電池用負極材料。(炭素材料A)粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が5以下である黒鉛(炭素材料B)粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が6以上且つ80%粒子径(d80)が炭素材料Aの平均粒子径(d50)の1.7倍以上である鱗片状黒鉛
【選択図】なし

Description

本発明は非水系二次電池の負極用の炭素材料に関するものである。また本発明はこの炭素材料を用いた電極、及びこの電極を備えた非水系二次電池に関するものである。
リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極及び負極、並びにLiPF6やLiBF4などのリチウム塩を溶解させた非水電解液からなる非水系リチウム二次電池が開発され、実用に供されている。この電池の負極材料としては種々のものが提案されているが、高容量であること及び放電電位の平坦性に優れていることなどから、天然黒鉛、コークス等の黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭素材料が用いられている。
また、一部の電解液に対して比較的安定しているなどの理由で非晶質の炭素材料も用いられている。更には、黒鉛質炭素粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付着させ、黒鉛と非晶質炭素の特性を併せもたせた炭素材料も用いられている。また、特許文献1では、本来は鱗片状、鱗状、板状である黒鉛質炭素粒子に力学的エネルギー処理を与えて、黒鉛質粒子表面にダメージを与えるとともに粒子形状を球形にすることで急速充放電特性を向上させた球形化黒鉛質炭素材料が用いられ、更に、球形化黒鉛質炭素粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付着させることで、黒鉛と非晶質炭素の特性、そして急速充放電性を併せ持った複層構造の球形化炭素材料を用いることが提案されている。
しかし、昨今非水系リチウム二次電池の用途展開が図られ、従来のノート型パソコンや、移動通信機器、携帯型カメラ、携帯型ゲーム機など向けに加え、電動工具、電気自動車向けなど、従来にも増した急速充放電性を持ち同時に高サイクル特性を併せ持つ非水系リチウム二次電池が望まれている。
サイクル特性の改善には、例えば、特許文献2で、ラマンスペクトルから得られるR値が0.2以上である多層構造を有する炭素質物粒子とX線面間隔d002が0.36〜0.360nmにある結晶性の低い非晶質炭素質粒子を負極材に用いた非水系リチウム二次電池が提案されている。
また、特許文献3では、表面が非晶質炭素で被覆された被覆黒鉛粒子と、表面が非晶質炭素で被覆されていない非被覆黒鉛粒子とが混合された負極材が提案されており、より具体的には、該被覆黒鉛粒子の核黒鉛と該非被覆黒鉛粒子とは同種の黒鉛粒子であり、更に被覆黒鉛粒子と該非被覆黒鉛粒子の粒径は同じであることが開示されている。
特許第3534391号公報 特許第3291756号公報 特開2005−294011号公報
本発明者らの検討によると、特許文献2に記載の技術では、非晶質炭素粒子に由来する不可逆容量の増加の問題があり、更には最近のリチウム二次電池要望されるサイクル特性及び急速充放電特性には更なる改善が必要であることがわかった。また、特許文献3に記載の技術では、高容量で急速充放電性、高サイクル特性を満足する負極材料には至ってい
ないことがわかった。
つまり、従来から知られている粒子形状が球状となっている球形化黒鉛は、炭素が被覆されているか否かに関わらず、粒子間空隙の電解液中をリチウムイオンがスムースに移動できるため、板状、或いは角形状の粒子より急速充電性に優れているが、球形化粒子の場合、粒子間の接触が点接触に近い状態であるため、充放電にともなって生じる粒子の膨張や収縮を繰り返すうちに、粒子間の接触が離れて粒子間の導電パスがとれなくなっていき、サイクル特性の悪化をきたすことがわかった(図1参照)。
そのメカニズムとして、球形化黒鉛粒子は、本来鱗片状である黒鉛粒子に機械的荷重を加えて、粒子を折り曲げたり粒子表面を削ったりして球状としているために粒子内に応力が残っており、充放電の繰り返しで、折り曲がった粒子の戻りも生じるため粒子の膨張収縮が大きくなり粒子間接触の離れがより加速されることが原因となり、その結果、導電パス切れが大きくなり、サイクル特性の悪化がより顕著となると本発明者らは考えた。
そこで、本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、特に近年の電動工具や、電気自動車の用途にも適した、高容量で、急速充放電特性、高サイクル特性を併せ持つ非水系二次電池用の負極材料を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、急速充放電性に優れた炭素材料Aに、炭素材料Aの粒子間を跨がって接触できる炭素材料Bを混合することで、導電パス切れを防止でき、上記課題を解決できることを見出した。
具体的には、特定の条件を満たす炭素材料Aと炭素材料Bを混合することにより、充電放電の繰り返しサイクルにより炭素材料Aの膨張収縮で炭素材料A同士の接触が離れても、炭素材料Bが炭素材料Aに跨って接触していることで、炭素材料A同士は炭素材料Bを通して導電性を確保できることがわかった(図2参照)。また、意外にも、炭素材料Bは黒鉛であるため、炭素材料B自身も充放電に寄与できるため、炭素材料Bを混合しても電池容量の低下が生じないという効果が得られたのである。
すなわち、本発明の趣旨は、次の炭素材料Aと次の炭素材料Bとが含有されてなる非水系二次電池用負極材料に存する。
(炭素材料A)
粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が5以下である炭素材料
(炭素材料B)
粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が6以上且つ80%粒子径(d80)が炭素材料Aの平均粒子径(d50)の1.7倍以上である鱗片状黒鉛
本発明で得られた炭素材料Aと炭素材料Bを混合した混合炭素材料である非水系二次電池用負極材料は、それを用いて非水系二次電池用負極を製造し電池に適用することにより、急速充放電特性と高サイクル特性を併せ持った優れた特性を有する非水系二次電池を提供することができる。
従来の炭素材料のイメージ図。 本発明の負極材料を用いた電極のイメージ図。 炭素材料Aの一例の電子顕微鏡写真(図面代用写真)。 炭素材料Bの一例の電子顕微鏡写真(図面代用写真)。 炭素材料Bのd80粒径/炭素材料Aのd50粒径=1のイメージ図。 炭素材料Bのd80粒径/炭素材料Aのd50粒径=2のイメージ図。 本発明の負極材料を用いた電極の断面の電子顕微鏡写真(図面代用写真)。
本発明に係る非水系二次電池用負極材料は、次の炭素材料Aと次の炭素材料Bとが含有されてなる炭素材料を用いることを特徴とする。
<炭素材料A>
炭素材料Aは、粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が5以下である黒鉛であれば、特に種類、物性に制限されないが、好ましい態様を以下に示す。
・炭素材料Aの形状及び種類本発明で定義される炭素材料Aは、アスペクト比が上記規定を満たす黒鉛であれば、具体的な形状及び種類は特に制限されない。形状の例としては、球状、楕円状、塊状などが挙げられる。中でも粒子が球に近い形状であることが好ましく、本明細書では球形化黒鉛ともいう。
また、炭素材料Aの種類としては、天然黒鉛、ピッチ原料を高温熱処理して製造した、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、コークス、ニードルコークス、高密度炭素材料等の人造黒鉛などが挙げられ、好ましくは天然黒鉛である。この中でも後述する球形化処理を施した球形化天然黒鉛であることがより好ましい。
・炭素材料Aの物性
以下に、炭素材料Aの代表的な物性を記載する。
(a)アスペクト比
炭素材料Aの粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比は、5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下である。アスペクト比が大きすぎると、粒子形状が球状や楕円形ではなく、円盤状、板状になっていき、鱗片状黒鉛に近いものになる。粒子形状が円盤状、板状であると、電極とした時の粒子間の空隙が屈曲した形状となりリチウムイオンの移動性が悪く、急速充放電特性が劣る傾向になる。一方アスペクト比が小さくなると、粒子形状が楕円形、球形に近い状態になり、電極にした時の粒子間の空隙の連続性が確保されリチウムイオンの移動性が高まり、急速充放電特性に優れた傾向を示す。なお、アスペクト比は、粒子の短径に対する長径の長さの比であり、最小値は1となるので、アスペクト比の下限は通常1である。
なお、アスペクト比の測定は以下のように行った。炭素材料を電子顕微鏡で写真撮影し、任意選んだ領域内の20個の粒子について、それぞれの粒子の最長径をa(μm)、最短径をb(μm)としてa/bを求め、a/bの20個の粒子の平均値をアスペクト比とする。
(b)002面の面間隔(d002)及びLc
炭素材料AのX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は通常0.337nm以下である。d002値が大きすぎるということは結晶性が低いことを示し、初期不可逆容量が増加する場合がある。一方黒鉛の002面の面間隔の理論値は0.335nmであるため、通常0.335nm以上である。
また、炭素材料AのX線広角回折法によるLcは通常90nm以上、好ましくは95nm以上である。X線広角回折法による002面の面間隔(d002)、及びLcは実施例で後述する方法により測定する。002面の面間隔(d002)が大きすぎる場合は、複層構造炭素材粒子の表面被覆部以外のほとんどの部分の結晶性が低いということを示す傾向があり、非晶質炭素材に見られる不可逆容量が大きいことによる容量の低下をきたす傾向がある。また、Lcは小さすぎると結晶性が低くなることを示しており、やはり不可逆容量の増加による容量低下をまねく傾向がある。
(c)タップ密度
炭素材料Aのタップ密度は、通常0.8g/cm3以上であり、0.85g/cm3以上であることが好ましい。また、通常1.5g/cm3以下である。タップ密度は実施例で後述する方法により測定する。タップ密度が小さすぎると、炭素材料Aが充分な球形粒子となっていない傾向にあり、電極内での連続した空隙が充分確保されず、空隙に保持された電解液内のLiイオンの移動性が落ちることで、急速充放電特性が低下してしまう傾向がある。
(d)平均粒径
炭素材料Aの平均粒径(d50)は通常4μm以上、好ましくは6μm以上、より好ましくは8μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは35μm以下、より好ましくは30μm以下である。平均粒径は、後述する実施例の方法により測定する。平均粒径が小さすぎると、比表面積が大きくなることによる不可逆容量の増加を防ぐことが困難になる傾向がある。また、大きすぎると電解液と炭素材の粒子との接触面積が減ることによる急速充放電性の低下を防ぐことが困難になる傾向がある。
(e)BET法による比表面積
炭素材料AのBET法による比表面積の上限は通常6m2/g以下、好ましくは5m2/g以下である。下限は通常限定されないが、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは1m2/g以上である。BET法による比表面積は後述する実施例の方法により測定する。炭素材料Aの比表面積が大きすぎると不可逆容量の増加による電池容量の減少を防ぐことが困難になる傾向がある。小さすぎると、Liイオンの受け入れ性が悪くなる傾向が生じる場合もある。
(f)ラマンR値
炭素材料Aのアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が通常0.2以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.28以上であり、また通常0.6以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下である。
ラマンR値は実施例で後述する方法により測定する。ラマンR値が小さすぎるということは、炭素材料Aの表面の被覆層の炭素の量が少ない、及び/又は、炭素材料Aの表面の被覆層の炭素の結晶性が大きいことを示し、そのことにより、Liの受け入れ性が悪くなる傾向にある。また、炭素材のラマンR値が大きすぎる場合は、黒鉛質粒子を被覆している非晶質炭素の量が多いことを表し、非晶質炭素量の持つ不可逆容量の大きさの影響が大きくなり、その結果電池容量が小さくなってしまう傾向がある。
(g)平均円形度
炭素材料Aの平均円形度は通常0.85以上、好ましくは0.88以上である。平均円形度の最大値は理論上1となるため、通常1以下である。円形度が小さすぎる場合、炭素材料Aが充分な球形粒子となっていない状態にあり、電極内での連続した空隙が十分には確保されず、空隙に保持された電解液内のLiイオンの移動性が落ちることで、急速充放電特性が低下してしまう傾向にある。
平均円形度は、液中に分散させた数千個の粒子を、CCDカメラを用いて1個ずつ撮影し、その平均的な形状パラメータを算出することが可能なフロー式粒子解析計において、10〜40μmの範囲の粒子を対象として、後述する実施例の方法により測定する。平均円形度は、粒子面積相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率で、粒子像が真円に近いほど1に近づき、粒子像が細長い或いはでこぼこしている程小さい値になる。
<炭素材料Aの製造>
炭素材料Aは、前述の性状を具備していれば、どのような製法で作製しても問題ないが、例えば、前述の特許第3534391号公報(特許文献1)で提案されている、球形化黒鉛又はその黒鉛を用いた電極用複層構造炭素材料を用いることができる。本明細書では、核黒鉛に球形化黒鉛を用いている場合、別途定義しない限り、例えば、球形化黒鉛を用いた複層構造炭素材料も球形化黒鉛に含まれるものとする。
具体的には、球形化黒鉛は、天然で産出される鱗片、鱗状、板状、塊状の黒鉛、或いは、例えば石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークス、メソフェーズピッチなどを2500℃以上に加熱して製造した人造黒鉛に、力学的エネルギー処理(球形化処理)を与えることで製造することができる。
力学的エネルギー処理は、例えば、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有する装置を用い、そのローターを高速回転することにより、その内部に導入した前記天然黒鉛、人造黒鉛に対し、衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与えることで製造できる。また、必要により篩分けや分級処理を行って粒度分布を調整し、より球形度の高い粒子を選択して用いる方法をとることもできる。このうち、天然で産出される鱗片、鱗状、板状、塊状の黒鉛などに上記球形化処理を施した球形化天然黒鉛が好ましい。
なお、SEM写真等で球形化黒鉛を観察できる場合もある。例えば、図7に代表されるように球形化黒鉛は、衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与えることにより黒鉛が折り畳まれた構造をとることが特徴である。
更に好ましい炭素材料Aとしては、球形化黒鉛の表面に炭素が被覆された複層構造炭素材料である。複層構造炭素材料は、例えば上述に記載の製造方法で得られた球形化黒鉛に石油系や石炭系のタールやピッチ、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、フェノール樹脂、セルロース等の樹脂を必要により溶媒等を使い混合し、非酸化性雰囲気で500℃〜2500℃、好ましくは700℃〜2000℃、より好ましくは800〜1500℃で焼成することで得られる。焼成後必要により粉砕分級を行うこともある。球形化黒鉛粒子を被覆している非晶質炭素の量である被覆率は、通常0.1〜20%の範囲、好ましくは0.2〜15%の範囲、より好ましくは0.4〜10%の範囲である。被覆非晶質炭素量が少なすぎると非晶質炭素の持つLiイオンの高受けいれ性を充分利用することができず、急速充電性が低くなってしまう。被覆非晶質炭素の量が多いと非晶質炭素量の持つ不可逆容量の大きさの影響が大きくなり、結果容量が小さくなる傾向がある。
<炭素材料Bの物性>
炭素材料Bは、粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が5以上且つ80%粒子径(d80)が炭素材料Aの平均粒子径(d50)の2倍以上である鱗片状黒鉛である。また、別の形態としては、炭素材料Bは、粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が6以上且つ80%粒子径(d80)が炭素材料Aの平均粒子径(d50)の1.7倍以上である鱗片状黒鉛である。鱗片状黒鉛は鱗状黒鉛とも呼ばれている。天然に産出するものと、人工的に作られるものがある。この中でも天然に産出するものが好ましい。代表的な物性を以下に記載する。
(h)アスペクト比
粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比は6以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは16以上、特に好ましくは21以上であり、また通常100以下、好ましくは80以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは50以下、特に好ましくは30以下である。アスペクト比が小さすぎると、炭素材料Aの粒子間を充分跨いで接触することが困難となり、充放電の繰り返しで炭素材料A同士が離れたときに導電パスを確保することができにない傾向がある。アスペクト比が大きすぎると、
炭素材料を用いて電極とする工程でフィルターや塗布用スリットに詰まる傾向がある。
なお、アスペクト比の測定は以下のように行った。炭素材料を電子顕微鏡で写真撮影し、任意選んだ領域内の20個の粒子について、それぞれの粒子の最長径をa(μm)、最短径をb(μm)としてa/bを求め、a/bの20個の粒子の平均値をアスペクト比とした。
(i)80%粒子径(d80)
炭素材料Bのd80は、通常8μm以上、好ましくは12μm以上、より好ましくは16μm以上、更に好ましくは20μm以上、より更に好ましくは30μm以上、特に好ましくは39μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは70μm以下、特に好ましくは60μm以下である。d80が大きすぎると炭素材料を用いて電極とする工程でフィルターや塗布用スリットに詰まる傾向が見られることがある。d80が小さすぎると、炭素材料Bが炭素材料Aの粒子間に跨って接触することが困難になり、充放電の繰り返しで炭素材料A同士の接触が離れていた場合でも、炭素材料A間に跨って接触できず、その結果、炭素材料Bによる導電パスの確保がなされず、サイクル特性の悪化を防止することが難しくなる傾向がある。なお、炭素材料Bの80%粒子径(d80)は、炭素材料Aの平均粒子径(d50)に対して1.7倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上、更に好ましくは2.7倍以上、より更に好ましくは3.3倍以上、特に好ましくは4倍以上であり、通常20倍以下、好ましくは15倍以下、より好ましくは10倍以下、更に好ましくは7倍以下、特に好ましくは5倍以下である。
炭素材料Bの80%粒子径(d80)が炭素材料Aの平均粒子径(d50)に対して大きすぎると、結果、炭素材料Bの粒子径が大きくなり、炭素材料を用いて電極とする工程でフィルターや塗布用スリットに詰まる傾向が見られることがある。炭素材料Bの80%粒子径(d80)が炭素材料Aの平均粒子径(d50)に対して小さすぎると、炭素材料Bが炭素材料Aの粒子間に跨って接触する構造を取り難くなり、充放電の繰り返しで炭素材料A同士の接触が離れた場合、炭素材料Bにより導電パスが確保されず、サイクル特性の悪化を防ぐことが難しくなる傾向がある。このような傾向があるため、炭素材料Bの80%粒子径(d80)は、炭素材料Aの平均粒子径(d50)に対して、1.7倍以上であることが、本発明では重要な条件の一つである(図5及び図6参照)。
なお、80%粒子径(d80)の測定は以下のように行う。ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2(容量)%水溶液約1mlに、炭素材料を約20mgを加え、これをイオン交換水約200mlに分散させて、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 LA−920)を用いて体積基準粒度分布を測定し、累積80%部の粒径(μm)を80%粒子径(d80)とする。
同時に、平均粒径(d50=累積50%部の粒径)も求めることができる。測定条件は超音波分散1分間、超音波強度2、循環速度2、相対屈折率1.50で実施する。
レーザー回折式粒度分布計は、スリット状の透明な測定セル内に粒子分散液を通過循環させ、そのセルに対し一方向からレーザー光を照射して粒子に当て、その散乱光により粒子径を測定する。この粒子径は、測定原理上、粒子の周囲長に比例した値となる。液中に分散された粒子はスリット状のセル内を流動通過するが、このとき粒子はレーザー照射方向に対し様々な方向を向いて通過する。しかし、レーザー光は一方向のみからの照射であるため、短径と長径の長さの異なる扁平な粒子の場合、長径側がレーザー光に向いて通過した場合は長径の長さを粒子径として表示する傾向にあるが、短径側がレーザー光に向いて通過した場合は実際の長径の長さより小さい値を粒子径として表示してしまう傾向がある。その結果、本発明で用いる扁平な粒子形状を呈した鱗片状黒鉛粒子のレーザー解析式粒度分布形での粒径は炭素材料Bの長径より小さい値として測定される虞がある。これらのことから、扁平形状の粒子の長径を表す指標としては80%粒子径(d80)を用いる
のが適当であると判断できる。
本発明の炭素材料Bは、球状である炭素材料A同士に跨って接触することが好ましいため、長径側の大きさが重要な指標の一つとなる。そのため、本発明では80%粒子径(d80)は炭素材料Bを表す指標として用いている。
(j)粒子短径の長さ
炭素材料Bの短径の長さは、通常10μm以下、好ましくは7μm以下、より好ましくは6μm以下、更に好ましくは4μm以下であり、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.1μm以上である。短径の長さが大きすぎると、炭素材料B自身の充放電による膨張収縮も顕著になっていき、炭素材料Aとの接触が保たれず、導電パス切れを起こす可能性が発現する。なお、粒子の短径の長さは、炭素材料を電子顕微鏡で写真撮影し、任意選んだ領域内の20個の粒子について、それぞれの粒子の最短方向の径を測定し、その平均値を用いた。
(k)002面の面間隔(d002)及びLc
炭素材料BのX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は通常0.337nm以下である。一方黒鉛の002面の面間隔の理論値は0.335nmであるため、通常0.335nm以上である。また炭素材料BのX線広角回折法によるLcは通常90nm以上、好ましくは95nm以上である。X線広角回折法による002面の面間隔(d002)、及びLcは実施例で後述する方法により測定する。002面の面間隔(d002)が大きすぎる場合は、炭素材料Bの結晶性が低いということであり容量の低下をきたす傾向がある。また、Lcは小さすぎると結晶性が低くなることを示しており、やはり容量低下をまねく傾向がある。
(l)タップ密度
炭素材料Bのタップ密度の下限は、通常0.2g/cm3以上であり、0.25g/cm3以上であることが好ましい。タップ密度の上限は、通常0.7g/cm3以下であり、好ましくは0.6g/cm3以下、更に好ましくは0.5g/cm3以下である。タップ密度は実施例で後述する方法により測定する。タップ密度が小さすぎると、炭素材料Bを混合した炭素材料の電極の強度が弱くなる傾向がある。炭素材料Bのタップ密度が大きすぎると、炭素材料Bが鱗片状から球形状に近付くことになり、充放電での粒子の膨張収縮が大きくなり、粒子間の接触が保たれなくなる傾向がある。
(m)ラマンR値
炭素材料Bは、鱗片状黒鉛であり、形状が板状であることで、球状である炭素材料Aの粒子間を跨いで接触することができる。鱗片状黒鉛であるということは、球形化処理を受けてないということで、ラマンR値は小さい値となる。球形化処理は鱗片状黒鉛に機械的処理を与えることで、該鱗片状黒鉛が折り曲げ、角削り、粒子巻き込み、結合等により球形化される。そのため、球形化黒鉛粒子全体は鱗片状黒鉛由来の高結晶性を維持しているが、球形化黒鉛粒子の表面は結晶性が乱れその結果、粒子の表面から10nm程度の深さまでの結晶性を表すラマンR値は大きな値となる。すなわちラマンR値が小さいということは、球形化処理を受けていない、板状を呈した鱗片状黒鉛であることを示している。ラマンR値は通常0.21以下、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.14以下、更に好ましくは0.13以下、より更に好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.09以下である。完全結晶黒鉛のラマンR値は理論的に0なので、ラマンR値の下限は0以上であり、好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上である。ラマンR値は実施例で後述する方法により測定する。
(n)BET法による比表面積
炭素材料BのBET法による比表面積は通常7m2/g以下、好ましくは6m2/g以下
、より好ましくは5m2/g以下、更に好ましくは4.1m2/g以下、特に好ましくは3.6m2/g以下である。下限は通常限定されないが、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは1m2/g以上である。BET法による比表面積は後述する実施例の方法により測定する。炭素材Bの比表面積が大きすぎると不可逆容量の増加による電池容量の減少をきたす傾向がある。小さすぎると、Liイオンの受け入れ性が悪くなる傾向を生じる傾向がある。
(o)平均粒径
炭素材料Bの平均粒径(d50)は通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、更に好ましくは23μm以上、特に好ましくは29μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下である。平均粒径は、後述する実施例の方法により測定する。平均粒径が小さすぎると比表面積が大きくなる傾向にあり、不可逆容量の増加をきたすことがある。また、 炭素材料Bの平均粒径(d50)が大きすぎると、該炭素材料Bを混合した電極用炭素材料をバインダーや水、或いは有機溶媒を加えてスラリー状として塗布する電極作製工程で、大粒子に起因したスジ引きや凹凸を生じることがある。
(p)真密度
炭素材料Bの真密度(測定法は後述の実施例のとおり)は通常2.21g/cm3以上、好ましくは2.23g/cm3以上、より好ましくは2.25g/cm3以上である。真密度は2.21g/cm3以上であるということは、結晶性の高い黒鉛粒子であるということで、不可逆容量の少ない高容量の炭素材料であるとことを示す指標の一つとなる。
<炭素材料Bの製造>
炭素材料Bは、前述の性状であれば、どのような製法で作製しても問題なく、前述の特許第3534391号公報(特許文献1)で提案されている方法を用いても製造できる。例えば、天然で産出される鱗片、鱗状、板状、塊状の黒鉛、或いは、例えば石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークス、メソフェーズピッチなどを2500℃以上に加熱して製造した人造黒鉛を、必要により、不純物除去、粉砕、篩い分けや分級処理を行うことで得ることができる。
<非水系二次電池用負極材料>
本発明の非水系二次電池用負極材料は、炭素材料Aと炭素材料Bとが含有されてなる非水系二次電池用負極材料(本発明では混合炭素材料ともいう)である。
炭素材料Aと炭素材料Bを混合する技術思想について説明する。
図1に示す従来の負極は、充放電の繰り返しにより球形炭素材料A(図中表記a)の膨張収縮により、炭素材料A同士の接触が離れて、電子の移動がしにくくなる傾向がある。一方、図2に示す炭素材料Aと炭素材料Bを混合した非水系二次電池負極用炭素材料では、板状の炭素材料B(図中表記b)が球形炭素である炭素材料A間に跨って接触することが可能となり、炭素材料A同士が充放電の繰り返しにより離れても、炭素材料Bを通して電子が流れることで、導電パス切れが、抑制される効果が得られると考えられる。
混合した負極用炭素材料中の炭素材料Bの割合は、特定の条件を満たす炭素材料A及び炭素材料Bが含有されていれば、本発明の効果を発揮することができるので、特に制限はないが、より効果を発揮するためには、非水系二次電池用負極材料に対して炭素材料Bが、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。炭素材料Bの混合割合が小さすぎると、炭素材料Aの粒子間を跨いで接触する量が少なくなり、炭素材料同士が充放電の繰り返しで炭素材料A同士が離れたときの導電性の確保量が十分ではなくなる傾向にある。炭素材料Bの混合割合が多すぎると、球形をしている炭素材料Aに由来した急速充放電特性が低下する傾向にある。炭素材料Aに起因した急速充放電特性を維持したまま、充放電の繰り返しによる炭素材料A間の導電パス切れを炭素材料Bにより防止するには、上記の範囲での混合量であることが望ましい。
混合する際に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
<非水系二次電池用負極>
本発明に係る混合炭素材料を用いて負極を作製するには、負極材料に結着樹脂を配合したものを水性若しくは、有機系溶剤でスラリーとし、必要によりこれに増粘材を加えて集電体に塗布し、乾燥すればよい。結着樹脂としては、非水電解液に対して安定で、かつ非水溶性のものを用いるのが好ましい。例えばスチレン、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド等の合成樹脂;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン、スチレン共重合体、スチレン・イソプレン、スチレンブロック共重合体やその水素化物等の熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニデンフルオライド、ポリペンタフルオロプロピレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素化高分子などを用いることができる。有機系媒体としては、例えばN−メチルピロリドンや、ジメチルホルムアミドを挙げることができる。
結着樹脂は負極材料100質量部に対して通常は0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上用いる。結着樹脂の割合が小さすぎると、負極材料相互間や負極材料と集電体との結着力が弱く、負極から負極材料が剥離して電池容量が減少したリサイクル特性が悪化したりする。逆に結着樹脂の割合が大きすぎると負極の容量が減少し、かつリチウムイオンの負極材料への出入が妨げられるなどの問題が生ずる。従って結着樹脂は負極材料100質量部に対して多くても10質量部、通常は7質量部以下となるように用いるのが好ましい。
スラリーに添加する増粘材としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース類やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等を用いればよい。なかでも好ましいのはカルボキシメチルセルロースである。増粘材は負極材料100質量部に対して通常は0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、通常10質量部以下、好ましくは7質量部以下となるように用いる。
負極集電体としては従来からこの用途に用い得ることが知られている銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素などを用いればよい。集電体の形状は通常はシート状であり、その表面に凹凸をつけたものや、ネット、パンチングメタルなどを用いるものも好ましい。
集電体に負極材料と結着樹脂のスラリーを塗布・乾燥したのちは、加圧して集電体上に形成された電極の密度を大きくし、もって負極層単位体積当たりの電池容量を大きくするのが好ましい。電極の密度は通常1.2g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以上、また、通常1.9g/cm3以下、好ましくは1.8g/cm3以下である。電極密度が小さすぎると、電極の厚みが大きくなり、一定サイズの電池の中に収めることのできる量が減ることで、電池の容量が小さくなってしまう。電極密度が大きすぎると、電極内の粒子間空隙が減少し、空隙に保持される電解液量が減り、Liイオンの移動性が悪くなることで、急速充放電特性が小さくなる。
このように作製された本発明の非水系二次電池用負極は、負極を集電体に垂直方向に切断して得られる負極断面を電子顕微鏡で観察した画像において、負極活物質層の任意に選択した負極厚み方向(集電体と垂直方向)50μm、負極長さ方向(集電体と平行方向)100μmからなる範囲内に、鱗片状黒鉛が1個以上存在し、且つ球形化黒鉛が鱗片状黒鉛の周囲に接点を2つ以上持っているという特徴を有する。球形化黒鉛が鱗片状黒鉛の片方の端面に接点を2つ以上持っていることが好ましい。このような特徴を有する本発明の非水系二次電池用負極は、急速充放電特性と高サイクル特性を併せ持った優れた特性を有する非水系二次電池を提供することができる。これは上述した技術思想に基づくものである。
鱗片状黒鉛の存在は、1個以上、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、特に好ましくは10個以上である。鱗片状黒鉛の存在の上限は、通常30個以下、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下である。
また、球形化黒鉛が該鱗片状黒鉛の周囲に、好ましくは片方の端面に接点を2つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ以上持っている。鱗片状黒鉛の粒子数が少なすぎる、そして球形化黒鉛と鱗片状黒鉛の接点を1つしかもたないということは、本発明の負極を構成する炭素材料Bの数が少ない及び小さな鱗片状黒鉛であるということで、炭素材料Aの粒子間を跨いで接触する量が少なくなり、炭素材料同士が充放電の繰り返しで炭素材料A同士が離れたときの導電性の確保量が十分ではなくなる傾向にある。一方、鱗片状黒鉛の粒子数が多すぎるということは、本発明の負極を構成する炭素材料Bの数が多いということで、球形をしている炭素材料Aに由来した急速充放電特性が低下する傾向にある。炭素材料Aに起因した急速充放電特性を維持したまま、充放電の繰り返しによる炭素材料A間の導電パス切れを炭素材料Bにより防止するには、上記の範囲であることが望ましい。
加えて、上記鱗片状黒鉛の長径と、上記球形化黒鉛の長径の比が1.7倍以上であるという特徴を有する。このように作製した負極において、鱗片状黒鉛の長径が球形化黒鉛の長径よりも長いことで、炭素材料Aの粒子間を跨いで接触する炭素材料Bの量が十分であり、炭素材料A同士が充放電の繰り返しにより離れても、炭素材料Bを通して電子が流れることで、導電パス切れが抑制される効果が得られると考えられる。好ましくは2倍以上、より好ましくは2.5倍以上、更に好ましくは2.7倍以上、より更に好ましくは3.3倍以上、特に好ましくは4倍以上であり、通常20倍以下、好ましくは15倍以下、より好ましくは10倍以下、更に好ましくは7倍以下、特に好ましくは5倍以下である。
なお、鱗片状黒鉛の長径と球形化黒鉛の長径の比は、互いに接触しているものについて比較することが好ましい。また、鱗片状黒鉛の長径と球形化黒鉛の長径は、電子顕微鏡写真から測定することが可能である。
電子顕微鏡としてはSEMやTEMを使用することができる。
本発明で得られた実施例1の負極断面を電子顕微鏡で観察した写真を図7に示す。
測定は次のように行う。
負極を約8mm×5mmに切り出して試料台に貼り付け、日本電子(株)製クロスセクションポリッシャー(SM−09010)で負極を断面方向に切断する。この切断した負極を、HITACHI製 走査型電子顕微鏡(SU−70)で、電子銃加速電圧3kV、下方検出器像観察モードで、負極の断面像を観察し、任意に負極厚み方向(集電体と垂直方向)50μm、負極長さ方向(集電体と平行方向)100μmの範囲を決めて、この範囲内の上記条件を満たすような黒鉛粒子を観察することで特定は可能である。
なお、本測定方法に用いる負極は、電池を作成する前のプレスした後の負極を用いてもよいし、電池を作成した後、充放電を繰り返した電池から取り出した負極を用いてもよい。
また、電子顕微鏡により、負極の断面像を観察した場合に、鮮明な粒子全体の像が撮影できない場合もある。そのような場合には、負極断面における粒子の空間存在位置を当業者の常識の範囲で推測し、仮想の断面像を描き、それをもとに粒子の形状を測定することとしてもよい。
<非水系二次電池>
本発明に係る非水系二次電池は、上記の負極を用いる以外は、常法に従って作成することができる。正極材料としては基本組成がLiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2で表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2やLiMn24で表されるリチウムマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等の遷移金属酸化物、及びこれらの複合酸化物混合物、さらにはTiS2、FeS2、Nb34、Mo34、CoS2、V25、CrO3、V33、FeO2、GeO2、LiNi0.33Mn0.33Co0.332等を用いればよい。これらの正極材料に結着樹脂を配合したものを適当な溶媒でスラリー化して集電体に塗布・乾燥することにより正極を作製できる。なおスラリー中にはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の導電材を含有させるのが好ましい。また所望により増粘材を含有させてもよい。増粘材や結着樹脂としてはこの用途に周知のもの、例えば負極の作成に用いるものとして例示したものを用いればよい。正極材料100質量部に対する配合比率は、導電剤は通常0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常20質量部以下、好ましくは15質量部以下である。増粘材は通常0.2質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、また、通常10質量部以下、好ましくは7質量部以下である。結着樹脂は水でスラリー化するときは通常0.2質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、また、通常10質量部以下、好ましくは7質量部以下であり、N−メチルピロリドンなどの結着樹脂を溶解する有機溶媒でスラリー化するときには通常0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常20質量部以下、好ましくは15質量部以下である。正極集電体としては、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタルなどやこれらの合金を用いればよい。なかでもアルミニウム、チタン、タンタルやその合金を用いるのが好ましく、アルミニウムないしはその合金を用いるのが最も好ましい。
電解液も従来周知の非水溶媒に種々のリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル、クラウンエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテルなどを用いればよい。通常はこれらをいくつか併用する。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネート、又はこれに更に他の溶媒を併用するのが好ましい。
またビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水マレイン酸、プロパンスルトン、ジエチルスルホン等の化合物やジフルオロリン酸リチウムのようなジフルオロリン酸塩等が添加されていても良い。更に、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていても良い。
非水溶媒に溶解させる電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(CF3CF2SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23などを用いればよい。電解液中の電解質の濃度は通常は0.5モル/リットル以上、好ましくは0.6モル/リットル以上、また、通常2モル/リットル以下、好ましくは1.5モル/リットル以下である。
正極と負極との間に介在させるセパレータには、ポリエチレンやポリプロピレン等のポ
リオレフィンの多孔性シートや不織布を用いるのが好ましい。
本発明に係る非水系二次電池は、負極/正極の容量比を1.01以上、1.5以下に設計することが好ましく1.2以上、1.4以下に設計することがより好ましい。
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、本明細書における粒径、タップ密度、BET法比表面積、真密度、X線回折、複層構造炭素粉材料の被覆率、ラマンR、アスペクト比、粒子の短径の長さなどの測定は次記により行った。
粒径:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2(容量)%水溶液約1mlに、炭素粉末約20mgを加え、これをイオン交換水約200mlに分散させたものを、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 LA−920)を用いて体積基準粒度分布を測定し、平均粒径(メジアン径)、10%積算部のd10粒径、80%積算粒子径のd80、90%積算部のd90粒径を求めた。測定条件は超音波分散1分間、超音波強度2、循環速度2、相対屈折率1.50である。
タップ密度:粉体密度測定器タップデンサーKYT−3000((株)セイシン企業社製)を用いて測定した。目開き300μmの篩から20ccのタップセルに炭素粉末を落下させ、セルに満杯に充填したのち、ストローク長10mmのタップを1000回行って、そのときの密度をタップ密度とした。
平均円形度:フロー式粒子像分析装置(東亜医療電子社製FPIA−2000)を使用し、円相当径による粒径分布の測定および円形度の算出を行った。分散媒としてイオン交換水を使用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用した。円相当径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測定した10〜40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、平均円形度とした。
BET法比表面積:大倉理研社製 AMS−8000を用いて測定した。250℃で予備乾燥し、更に30分間窒素ガスを流したのち、窒素ガス吸着によるBET1点法により測定した。
真密度:ピクノメーターを用い、媒体として界面活性剤の0.1%水溶液を用いて測定した。
X線回折:炭素粉末に約15%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定し、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求めた。
複素構造炭素材料の被覆率:次式により求めた。
被覆率(質量%)=100−(K×D)/((K+T)×N)×100
この式において、Kはタールピッチとの混合に供した球形黒鉛質炭素の重量(Kg)、Tは球形黒鉛質炭素との混合に供した被覆原料であるタールピッチの重量(kg)、DはKとTの混合物のうち実際に焼成に供した混合物量、Nは焼成後の被覆球形黒鉛質炭素材料の重量をしめす。
ラマン測定:日本分光社製NR−1800を用い、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、1580cm-1の付近のピークPAの強度IA、1360cm-1の範囲のピークPBの強度IBを測定し、その強度の比R=IB/IAを求めた。試料の調製にあたっては、粉末状態のものを自然落下によりセル
に充填し、セル内のサンプル表面にレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させて測定を行った。
アスペクト比:炭素材料を電子顕微鏡で写真撮影し、任意選んだ領域内の20個の粒子について、それぞれの粒子の最長径をa(μm)、最短径をb(μm)としてa/bを求め、a/bの20個の粒子の平均値をアスペクト比とした。
粒子短径の長さ:炭素材料を電子顕微鏡で写真撮影し、任意選んだ領域内の20個の粒子について、それぞれの粒子の最短方向の径を測定し、その平均値を粒子短径の長さとした。
実施例1
(炭素材料Aの作製)
天然に産出する黒鉛で、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が0.336nmでLcが100nm以上、タップ密度が0.46g/cm3、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.13、平均粒径28.7μm、真密度2.27g/cm3にある鱗片状黒鉛粒子を、(株)奈良機械製作所製社製ハイブリダイゼーションシステムを用いて、ローターの周速度60m/秒、10分の条件で20kg/hrの処理速度で鱗片状黒鉛粒子を連続的に処理することで、黒鉛粒子表面にダメージを与えながら球形化処理を行い、その後更に分級処理により微粉の除去を行った。得られた球形化黒鉛粒子は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が0.336nmでLcが100nm以上、タップ密度が0.83g/cm3、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.24、平均粒径(d50)が11.6μm、BET法比表面積が7.7m2/g、真密度が2.27g/cm3、平均円形度が0.909であった。
次に、この球形化黒鉛質炭素100質量部と石油由来の重質油20質量部を捏合機で加熱混合行い、次いで非酸化性雰囲気1300℃まで焼成し、その後室温まで冷却し、更に粉砕分級を行うことで、複層構造球形化炭素材料を得た。炭素材料Aは、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が0.336nmでLcが100nm以上、タップ密度が0.96g/cm3、平均粒径(d50)が11.8μm、d10粒径7.6μm、d90粒径18.1μm、BET法比表面積は4.0m2/g、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.34、アスペクト比が3、被覆率は3%であった。炭素材料Aの電子顕微鏡写真を図3に示す。
(炭素材料B)
天然に産出する黒鉛を、不純物除去、粉砕、分級して得られた鱗片状黒鉛を炭素材料Bとして用いた。この炭素材料Bは、アスペクト比が20、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が0.336nm,Lcが100nm以上、d80粒径が50μm、平均粒径(d50)が28μm、d10粒径11μm、d90粒径71μm、タップ密度が0.39g/cc、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.11であった。
また、炭素材料Bの80%粒子径(d80)は、炭素材料Aの平均粒径(d50)の4.3倍であった。炭素材料Bの電子顕微鏡写真を図4に示す。
(混合炭素材料の作製)
炭素材料Aに炭素材料Bを、混合後の全炭素材料中の炭素材料Bの割合が30質量%に
なるように混合し、負極用の混合炭素材料を得た。
(性能評価用電池の作製)
上記混合炭素材料100質量部に、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液100質量部、及びをスチレンブタジエンゴムの50%水分散液2質量部を加えて混練し、スラリーとした。銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で目付け12mg/cm2に塗布した。110℃で乾燥したのちロールプレスにより密度が1.63g/ccとなるように圧密化し32mm×22mm角に切り出し、190℃で減圧乾燥して負極とした。
リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体85質量部に、カーボンブラック4質量部、ポリビニレデンフルオロライド3.5質量部となるようにポリビニレデンフルオロライド12%N−メチルピロリドン溶液、及びN−メチルピロリドンを加え混練し、スラリーとした。アルミニウム箔にこのスラリーをドクターブレード法で目付け24.3mg/cm2に塗布した。110℃で乾燥し、更に正極層の密度が2.6g/cm3となるようにロールプレスで圧密化した。これを30mm×20mm角に切り出し、140℃で乾燥して正極とした。
上記の負極と正電解液としてはエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=3:5:2(質量比)混合液にビニレンカーボネートを2%添加し、LiPF6を1.2モル/リットルとなるように溶解させたものを用いた。
この電池に、先ず0.2Cで4.1Vまで充電し、さらに4.1Vで0.1mAとなるまで充電したのち、0.2Cで3.0Vまで放電、次いで、0.2Cで4.2Vまで充電し、さらに4.2Vで0.1mAとなるまで充電したのち、0.2Cで3.0Vまで放電を2回繰り返し、初期調整とした。
(急速放電性評価)
それぞれ充電は、0.2C(5hrで充電)で4.2Vまで充電し更に4.2Vで2h充電し(0.2C−CCCV)、0.2C(5hrで放電)、1C(1hrで放電),2C(0.5hrで放電、3C(0.33hrで放電)で3.0Vまでの放電試験を実施し、0.2C(5hrで放電)の放電容量に対する各レートでの放電容量を%で表した結果を表1に記した。なお、それぞれの放電試験の後、0.2Cで3.0Vまでの追放電を行っている。
(急速充電性評価)
0.2C(5hrで充電)で4.2Vまで充電し更に4.2Vで2hr充電(0.2C−CCCV)、及び、1C(1hrで充電)、2C(0.5hrで充電)、3C(0.33hrで充電)で4.2Vまでの充電試験を実施し、0.2C(5hrで充電)で4.2Vまで充電し更に4.2Vで2hr充電(0.2C−CCCV)した時の充電容量に対する各充電試験での充電容量を%で表した結果を表1に記した。なお、それぞれの充電の後、0.2Cで3.0Vまでの放電を行っている。
(サイクル特性評価)
上記電池で、1Cで4.2Vまで充電、0.5C(2hrで放電)で3.0Vまでの放電を繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目、500サイクル目の放電容量をそれぞれ300サイクル維持率、500サイクル維持率として%で表し、表−1に記した。
(負極板の評価)
実施例1で得られた負極の断面を電子顕微鏡で観察した写真を図7に示す。
測定は次のように行った。
負極を約8mm×5mmに切り出して試料台に貼り付け、日本電子(株)製クロスセクションポリッシャー(SM−09010)で負極を断面方向に切断した。この切断した負極を、HITACHI製 走査型電子顕微鏡(SU−70)で、電子銃加速電圧3kV、下方検出器像観察モードで、負極の断面像を観察し、任意に負極厚み方向(集電体と垂直方向)50μm、負極長さ方向(集電体と平行方向)100μmの範囲を決めて、この範囲内の黒鉛粒子を観察した。
その結果、実施例1で得られた負極の断面には、少なくとも鱗片状黒鉛と球形化黒鉛が確認でき、その中でも鱗片状黒鉛に球形化黒鉛が接触している像が観察された(図7参照)。この鱗片状黒鉛のアスペクト比を下記方法で測定すると10であり、同様な方法で測定すると球形化黒鉛のアスペクト比は1.5と2.1であった。また、(鱗片状黒鉛の長径)/(球形化黒鉛の長径)の比は2倍であった。なお、この鱗片状黒鉛を含め、図7の断面写真には、アスペクト比6以上の鱗片状黒鉛が4個以上存在された。
アスペクト比は最長径をa(μm)、最短径をb(μm)としてa/bを求め、a/bをアスペクト比とした。
最長径の長さ:炭素材料粒子の最長方向の径を測定し、それを最長径の長さとした。
最短径の長さ:炭素材料粒子の最短方向の径を測定し、それを最短径の長さとした。
実施例2
炭素材料Bを、表−1の実施例2の欄に記載した性状の鱗片状黒鉛とした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
実施例3
炭素材料Bを、表−1の実施例3の欄に記載した性状の鱗片状黒鉛とした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
比較例1
炭素材料Bを、表−1の比較例1の欄に記載した性状の鱗片状黒鉛とした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
比較例2
炭素材料Bを、表−1の比較例2の欄に記載した性状の球形黒鉛とした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
比較例3
炭素材料Bを、表−1の比較例3の欄に記載した性状の球形黒鉛とした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
比較例4
炭素材料Aのみを負極用炭素材料として用いた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
実施例4
(炭素材料Aの作製)
天然に産出する黒鉛で、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが100nm以上、タップ密度が0.46g/cm3、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.13、平均粒径28.7μm、真密度2.27g/cm3にある鱗片状黒鉛粒子を、(株)奈良機械製作所製社製ハイブリダイゼーションシステムを用いて、ローターの周速度60m/秒、5分の条件で20kg/hrの処理速度で鱗片状黒鉛粒子を連続的に処理することで、黒鉛粒子表面にダメージを与えながら球形化処理を行い、その後更に分級処理により微粉の除去を行った。得られた球形化黒鉛粒子は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが100nm以上、タップ密度が1.0g/cm3、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.24、平均粒径16.6μm、BET法比表面積7.0m2/g、真密度2.27g/cm3、平均円形度が、0.958であった。
次に、この球形化黒鉛質炭素100質量部と石油由来の重質油20質量部を捏合機で加熱混合行い、次いで非酸化性雰囲気1300℃まで焼成し、その後室温まで冷却し、更に粉砕分級を行うことで、球形化黒鉛を核黒鉛とし、その表面が非晶質炭素により被覆された複層構造球形化炭素材料を得た。炭素材料Aは、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が0.336nmでLcが100nm以上、タップ密度が1.15g/cm3、平均粒径(d50)が16.6μm、d10粒径11.7μm、d90粒径24.7μm、BET法比表面積は3.2m2/g、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.29、アスペクト比が1.5、被覆率は3%であった。これ以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
比較例5
実施例4記載の炭素材料Aのみを負極用炭素材料として用いた以外は実施例4と同様に実施した。結果を表−1に記す。
比較例6
炭素材料Bを、表−1の比較例6の欄に記載した性状の鱗片状黒鉛とした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−1に記す。
比較例7
実施例3記載の炭素材料B100質量部に、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液100質量部、及びをスチレンブタジエンゴムの50%水分散液2質量部を加えて混練し、スラリーとしたが、このスラリーは沈降性がみられた。また、銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で塗布したが、目付けが安定せず、電極として用いるには適さない電極となった。
実施例5、6、7
炭素材料Aと炭素材料Bの混合割合を、表−2の実施例5、6、7の欄に記載した割合とした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−2に記す。
比較例8
(炭素材料Aの作製)
X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が0.336nmでLcが100nm以上、タップ密度が0.52g/cm3、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.14、平均粒径19.5μm、真密度2.27g/cm3にある鱗片状黒鉛粒子100質量部と石油由来の重質油33質量部を捏合機で加熱混合行い、次いで非酸化性雰囲気1300℃まで焼成し、その後室温まで冷却し、更に粉砕分級を行うことで、複層構造鱗片状炭素材料を得た。炭素材料Aは、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が0.336nmでLcが100nm以上、タップ密度が0.84g/cm3、平均粒径(d50)が25.3μm、d10粒径10.6μm、d90粒径50.7μm、BET法比表面積は2.7m2/g、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.33、アスペクト比が20、被覆率は5%であった。
上記製造した炭素材料Aと、実施例3で用いた炭素材料Bとを、混合後の全炭素材料中の炭素材料Bの割合が30質量%になるように混合し、負極用の混合炭素材料を得た以外は実施例3と同様に電極を作製しようとしたが、比較例7と同様、電極として用いるには適さない電極となった。
以上のことから、実施例1〜4では、炭素材料Aのみを用いた場合と比較して、急速放電特性、急速充電特性が高い値を示すだけではなく、サイクル特性においても、比較例では急速充放電特性は高いものの、サイクル特性が、300サイクル維持率70%以下、500サイクル維持率62%以下と低い特性であるのに対して、実施例では300サイクル維持率、500サイクル維持率とも70%以上であり優れた電池となっている。このように、本発明の炭素材料を非水系二次電池用負極として用いることで、急速充放電特性とサイクル特性を合わせ持つ優れた電池が初めて製造できることが分かった。
また、炭素材料Aと炭素材料Bとの混合割合を変化させた実施例5〜7では、いずれも500サイクル維持率が良好な値を示しているものの、特に炭素材料Bの含有量が非水系二次電池用負極材料中に10質量%以上70質量%以下である場合に、優れたサイクル特性を示すことが分かった。
加えて、炭素材料Bのアスペクト比が6未満である比較例6では、炭素材料Bが炭素材料Aの粒子間を跨いで接触する量が少なく、炭素材料同士が充放電を繰り返した際の導電性の確保量が十分ではなくなる。炭素材料Bのみを用いた比較例7では電極の表面が凹凸状となり、目付けも不安定となり、電池評価に用いられる電極が作製できず、また、炭素材料Aとしてアスペクト比の高い鱗片状黒鉛を用いた比較例8でも同様に電極の作製ができなかった。
本発明で得られた混合炭素材料を電極として用いた非水系二次電池は、急速充放電特性と高サイクル特性を併せ持った優れた特性を示すものである。
a:炭素材料A(アスペクト比が5以下である炭素材料)
b:炭素材料B(鱗片状黒鉛)
c:炭素材料Aの平均(d50)粒径
d:炭素材料Bのd80粒径
e:炭素材料Aの粒子間距離
f:負極断面の電子顕微鏡写真
g:負極厚み方向50μm、負極長さ方向100μmの範囲
h:鱗片状黒鉛粒子(炭素材料B)
i:球形化黒鉛(炭素材料A)

Claims (16)

  1. 下記条件を満たす炭素材料Aと炭素材料Bとが含有されてなる非水系二次電池用負極材料。
    (炭素材料A)
    粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が5以下である炭素材料
    (炭素材料B)
    粒子の短径に対する長径の長さの比であるアスペクト比が6以上且つ80%粒子径(d80)が炭素材料Aの平均粒子径(d50)の1.7倍以上である鱗片状黒鉛
  2. 炭素材料Bの短径の長さが10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用負極材料。
  3. 炭素材料Bのタップ密度が0.2g/cm3以上0.7g/cm3以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系二次電池用負極材料。
  4. 炭素材料Bのアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.15以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  5. 炭素材料Bの平均粒径(d50)が5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  6. 炭素材料Aが、球形化天然黒鉛であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  7. 炭素材料Aが、球形化黒鉛の表面に炭素が被覆された複層構造炭素材料であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  8. 炭素材料Aが、X線広角回折法によるLcが90nm以上、且つ平均円形度が0.85以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  9. 炭素材料Aのアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.2以上0.6以下であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  10. 炭素材料Aのタップ密度が0.8g/cm3以上であることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  11. 炭素材料AのBET比表面積が6m2/g以下であることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  12. 炭素材料Bの含有量が、非水系二次電池用負極材料中に10質量%以上70質量%以下であることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材料。
  13. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が、請求項1〜12いずれか1項に非水系二次電池用負極材料を含有することを特徴とする非水系二次電池用
    負極。
  14. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、
    該活物質層が、少なくとも球形化黒鉛と鱗片状黒鉛の混合物を含む非水系二次電池用負極であって、該活物質層断面の電子顕微鏡画像において任意に選択される負極厚み方向50μm、負極長さ方向100μmからなる範囲内に、以下の3要件を満たす視野を1つ以上含むことを特徴とする非水系二次電池用負極。
    (1)鱗片状黒鉛が1個以上存在し、
    (2)鱗片状黒鉛の周囲に球形化黒鉛が2個以上接触し、
    (3)(鱗片状黒鉛の長径)/(球形化黒鉛の長径)の比が1.7倍以上である。
  15. 球形化黒鉛が、アスペクト比が5以下であり、鱗片状黒鉛が、アスペクト比が6以上であることを特徴とする請求項14に記載の非水系二次電池用負極。
  16. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が、請求項13から15のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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