JP2012214736A - 液晶ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、液晶ポリエステルの製造方法に関するものである。
溶融時に液晶性を発現する液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性及び加工性に優れることから、各種用途分野で使用されている。
液晶ポリエステルは、対応するモノマーである芳香族ヒドロキシカルボン酸またはエステル化合物を重縮合させることで得られる。得られる液晶ポリエステルを高分子量化すると、機械的強度の向上を図ることができ、種々の使用用途において好適に用いることができる。しかし一方で、所望の分子量にまで高分子量化させると、得られるポリマーが高粘度であるために反応容器から排出し難く、連続生産が困難となるという課題がある。
この課題に対し、例えば特許文献1のような重合方法が知られている。特許文献1に記載された方法では、まず、反応容器からの排出を容易に行うことが可能な分子量まで、反応容器内で重縮合を行い、重合体を溶融状態で回収して固化させ、次いで、固相反応で所望の分子量にまで重合させて高分子量化する。これにより、液晶ポリエステルの高分子量化と生産性の向上とを実現している。
しかしながら、上記特許文献1に記載された液晶ポリエステルは、機械的強度が低く、機械的強度を改善することが求められていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高分子量化と生産性の向上と両立するとともに、成形体の機械的強度が改善された液晶ポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の液晶ポリエステルの製造方法は、式(I)で表される化合物を70.5モル%以上71.5モル%以下、式(II)で示される化合物を28.5モル%以上29.5モル%以下の割合で混合(但し、式(I)で表される化合物と、式(II)で示される化合物との合計量を100モル%とする)し、260℃以上350℃以下の温度条件で、生成するプレポリマーの流動開始温度が200℃以上且つ重縮合の反応温度よりも30℃以上低い温度に達するまで重縮合させるステップと、前記プレポリマーを溶融状態で回収し固化させ、前記プレポリマーを粒径3mm以下の粒子となるように粉砕するステップと、前記粒子を、固相状態のまま不活性気体の流通下で200℃以上310℃以下の温度条件にて熱処理するステップと、を含むことを特徴とする。
(但し、R1は水素原子、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基またはベンゾイル基を示し、Xはヒドロキシ基、オルガニルオキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基を示し、R2は塩素原子、臭素原子またはアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。xが2以上である場合、R2は同一でもよく、互いに異なってもよい。
式(I)は、R1,R2,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
(但し、R1およびXの定義は、式(I)におけるそれぞれの定義と同じである。式(I)と式(II)におけるR1およびXは、互いに同一でも異なってもよい。
R3、R4は、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のR3は互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のR4は互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
式(I)は、R1,R2,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
R3、R4は、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のR3は互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のR4は互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
本発明においては、前記式(I)で表わされる化合物として、4−ヒドロキシ安息香酸、前記式(II)で表わされる化合物として、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用い、
前記式(I)で表わされる化合物および前記式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性の水酸基を、該水酸基の当量以上の無水酢酸でアセチル化した後に重縮合させることが望ましい。
前記式(I)で表わされる化合物および前記式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性の水酸基を、該水酸基の当量以上の無水酢酸でアセチル化した後に重縮合させることが望ましい。
本発明においては、グラスライニングされた反応槽内でアセチル化させることが望ましい。
本発明においては、熱処理するステップの後に、加熱溶融して造粒することが望ましい。
本発明によれば、高分子量化と生産性の向上と両立するとともに、成形体の機械的強度が改善された液晶ポリエステルを製造することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る液晶ポリエステルの製造方法について説明する。
本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法は、式(I)で表される化合物を70.5モル%以上71.5モル%以下、式(II)で示される化合物を28.5モル%以上29.5モル%以下の割合で混合し、260℃以上350℃以下の温度条件で、生成するプレポリマーの流動開始温度が200℃以上且つ重縮合の反応温度よりも30℃以上低い温度に達するまで重縮合(溶融重合)させるステップと、前記プレポリマーを溶融状態で回収し固化させ、前記プレポリマーを粒径3mm以下の粒子となるように粉砕するステップと、前記粒子を、固相状態のまま不活性気体の流通下で200℃以上310℃以下の温度条件にて熱処理するステップと、を含むことを特徴としている。
(但し、R1は水素原子、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基またはベンゾイル基を示し、Xはヒドロキシ基、オルガニルオキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基を示し、R2は塩素原子、臭素原子またはアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。xが2以上である場合、R2は同一でもよく、互いに異なってもよい。
式(I)は、R1,R2,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
(但し、R1およびXの定義は、式(I)におけるそれぞれの定義と同じである。式(I)と式(II)におけるR1およびXは、互いに同一でも異なってもよい。
R3、R4は、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のR3は互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のR4は互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
式(I)は、R1,R2,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
R3、R4は、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のR3は互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のR4は互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
なお、Xに含まれるオルガニルオキシ基として好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基である。
また、式(II)中、R3は、ナフチレン基における5位、7位、8位に結合可能な置換基であり、R4は、ナフチレン基における1位、3位、4位に結合可能な置換基である。
ここで、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kgf/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
上記式(I)で表わされる化合物の例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ホルモキシ安息香酸、4−アセトキシ安息香酸、4−プロピオニルオキシ安息香酸などの芳香族カルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−アセトキシ安息香酸メチル、4−アセトキシ安息香酸フェニルなどの芳香族カルボン酸エステルが挙げられ、特に4−ヒドロキシ安息香酸または4−アセトキシ安息香酸が好ましい。
上記式(I)で表わされる化合物について、その他の芳香族ヒドロキシカルボン酸の誘導体としては、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、カルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
また、上記式(I)で表わされる化合物の例としては、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸などを、ガスバリア性を向上する目的で併用することもできる。これらは、式(I)においてR1が水素原子でありXがヒドロキシ基である化合物であるが、もちろんR1,Xが、上述した置換基である誘導体を併用することとしても構わない。
上記式(II)で表わされる化合物の例としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、または6−アセトキシ−2−ナフトエ酸メチルなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸エステル、が挙げられ、特に6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。
上記式(II)で表わされる化合物について、その他の芳香族ヒドロキシカルボン酸の誘導体としては、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、カルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
また、上記式(II)で表わされる化合物の例として、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−4,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸などを、ガスバリア性を向上する目的で併用することもできる。これらは、式(II)においてR1が水素原子でありXがヒドロキシ基である化合物であるが、もちろんR1,Xが、上述した置換基である誘導体を併用することとしても構わない。
さらに、本実施形態においては、得られる液晶ポリエステルの物性や加工性に重大な影響を与えない範囲で、3−ヒドロキシ安息香酸、3−ホルモキシ安息香酸、3−アセトキシ安息香酸、3−プロピオニルオキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸メチル、3−ヒドロキシ安息香酸プロピル、3−ヒドロキシ安息香酸フェニル、3−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3−アセトキシ安息香酸メチル、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸、4’−アセトキシビフェニル−4−カルボン酸等を併用することができる。
以下、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法について、ステップ毎に詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、モノマーを重縮合させるステップで得られる重合体を「プレポリマー」と称し、プレポリマーを固相状態のまま熱処理するステップで得られる重合体を、目的とする「液晶ポリエステル」と称する。
(重縮合させるステップ)
まず、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「重縮合させるステップ」について説明する。
本ステップにおいては、上記の式(I)で表わされる化合物と、式(II)で表わされる化合物と、を反応容器中で重縮合反応させる。この時、これらの化合物を反応容器へ混合した状態で仕込むこととしてもよく、別々に仕込むこととしてもよい。
まず、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「重縮合させるステップ」について説明する。
本ステップにおいては、上記の式(I)で表わされる化合物と、式(II)で表わされる化合物と、を反応容器中で重縮合反応させる。この時、これらの化合物を反応容器へ混合した状態で仕込むこととしてもよく、別々に仕込むこととしてもよい。
ここで、式(I)で表わされる化合物、または式(II)で表わされる化合物として、フェノール性水酸基を有する化合物を用いる場合(R1が水素原子である場合)には、重縮合反応に先だって、フェノール性水酸基の反応性を上げるための反応を行っておくことが好ましい。このような反応としては、例えば、フェノール性水酸基と無水酢酸などの酸無水物との反応によるエステル化反応が挙げられる。このような反応は、重縮合反応を行う反応容器と別の反応容器で行うこととしてもよいが、重縮合反応を行う反応容器と同一の反応容器で行い、引き続き重縮合反応を行うこととすると操作が簡便になるため好ましい。
このようなエステル化反応においては、上記の式(I)で表わされる化合物または式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性水酸基に対し、好ましくは当量以上、より好ましくは1.1倍当量以上1.3倍当量以下の無水酢酸などの酸無水物を反応させるとよい。
その際、エステル化反応を行う反応容器は、チタン、ハステロイB等の耐腐食性を有する材料の使用が可能である。また、目的とする液晶ポリエステルが高い色調(L値)を必要とする場合は、反応容器の内壁の材質がガラスであることが好ましい。反応混合物と接する反応容器の内壁がガラス製であるならば、反応容器全体がガラス製である必要はなく、例えば、グラスライニングされたSUS製等の反応槽等を使用することも可能である。例えば、大型の生産設備においては、グラスライニングされた反応槽を用いることが好ましい。
本実施形態における重縮合反応は、不活性気体、例えば窒素雰囲気下で、常圧または減圧の条件下で行うことができるが、不活性気体雰囲気下で常圧にて行うことが好ましい。プロセスは回分式、連続式、またはそれ等の組み合わせを採用できる。
本発明における重縮合反応の温度は、260℃以上350℃以下の範囲であり、好ましくは270℃以上330℃以下である。温度が260℃より低いと反応の進行が遅く、350℃を越えると重合体の分解等の副反応が起こりやすい。なお、反応槽が多段に分割、または仕切られている場合には、最も高い反応温度が本発明で言うところの重縮合反応温度である。
重縮合反応の時間は反応条件等により適宜決められるべきであるが、該反応温度において0.5時間以上5時間以下が好ましい。多段階の反応温度を採用しても構わないし、場合により、反応途中で、あるいは重縮合反応温度に達したら直ぐにプレポリマーを溶融状態で抜出し、回収することとしても構わない。
重縮合反応は、無触媒下でも十分進行するが、必要に応じて触媒として、Ge、Sn、Ti、Sb、Co、Mn等の酸化物、酢酸塩等の化合物を使用することとしてもよい。例えば食品用途のように、使用用途によっては重合後に触媒成分の除去が必要な場合もあり、当該用途で用いる液晶ポリエステルの重合においては無触媒が好ましい。そのため、使用用途に応じて触媒使用の可否を選択するとよい。
重縮合反応において、反応容器の形状は公知のものを用いることができる。用いる攪拌翼は、縦型の反応容器の場合、多段のパドル翼、タービン翼、モンテ翼、ダブルヘリカル翼が好ましく、中でも、多段のパドル翼、タービン翼がより好ましい。横型の反応容器では、1軸または2軸の攪拌軸に垂直に、種々の形状の翼、例えばレンズ翼、眼鏡翼、多円平板翼等が設置されているものが良い。また、翼にねじれを付けて、攪拌性能や送り機構を向上させたものも良い。
反応容器の加熱は、熱媒、気体、電気ヒーターにより行うが、均一加熱という目的で、反応容器だけでなく、攪拌軸、翼、邪魔板等の反応容器内の反応物に浸漬する部材も加熱することが好ましい。
本ステップにおいては、得られるプレポリマーの流動温度が、200℃以上かつ重縮合反応温度より30℃以上低い温度となるまで、重縮合反応を行う。
流動温度が、200℃未満では、後述の固相重合において、液晶ポリエステル同士の融着や副生物が大量に生じるため、重合反応を行いにくく、また経済的にも好ましくない。また、プレポリマーの流動温度が重縮合反応温度に近いと、プレポリマーの粘度が高くなるため反応容器からの排出が困難となる。また、反応中の攪拌混合も困難となるため、加熱が不均一となり、得られる液晶ポリエステルの熱安定性に影響を及ぼすおそれがあるためである。
以上のようにして重縮合を行い、プレポリマーを得る。
以上のようにして重縮合を行い、プレポリマーを得る。
(プレポリマーを粉砕するステップ)
次いで、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「プレポリマーを粉砕するステップ」について説明する。
次いで、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「プレポリマーを粉砕するステップ」について説明する。
本ステップでは、まず、上記重縮合反応によって得られるプレポリマーを、反応容器から溶融状態で排出し回収する。
プレポリマーを溶融状態で取出す場合、不活性気体雰囲気中、例えば窒素雰囲気中で実施するのが、得られる液晶ポリエステルの色調が悪化せず好ましいが、水分が少ない場合は空気中で実施してもよい。また、プレポリマーを溶融状態で取出す際、反応容器を窒素等の不活性ガスにより、好ましくは0.01MPa以上0.30MPa以下、より好ましくは0.02MPa以上0.20MPa以下に加圧する。加圧して払い出しをすることで、副生物の生成が抑えられ、重縮合反応の平衡がポリマー生成側に傾かないため、プレポリマーの分子量上昇が抑制され、結果、抜出し時のポリマーの流動温度の上昇を抑えることができる。
プレポリマーを回収するための設備としては、公知の押出機、ギヤポンプが挙げられるが、単なるバルブだけでも良い。上述の流動開始温度にまで重合が進行したプレポリマーは、取出された後しばらくすると固化するので、目的に応じて、ストランドカッターやシートカッターでカットしたり、粉砕したりすることが可能となる。また、大量のプレポリマーを短時間に取出し、固化し、粉砕する手段として、特開平6−256485号公報に記載された定量供給装置を経てダブルベルトクーラーで冷却する方法等が挙げられる。
また、プレポリマーを回収した後の反応容器の洗浄方法としては、特開平5−29592号、特開平5−29593号公報に記載されたグリコール類とアミン類とのいずれか一方または両方を用いた方法が挙げられる。
次いで、得られたプレポリマーを公知の粉砕機で粉砕することで、粒子径が3mm以下、好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.1mm以上0.4mm以下の粒子(粉末)とする。粒子径が3mmを越えると、表面層と内部との間で、重合速度、未反応原料の反応の結果生じた副生物の拡散時間が異なることから、分子量分布が広がるおそれがあり、また、揮発成分が十分除去されないために発泡やガス発生の原因となるおそれがあることから好ましくない。ここで、粒子の「粒子径が3mm以下」とは、粒子が目開き3mmの篩を通過する大きさであることを示す。
以上のようにして、プレポリマーの粒子を得る。
以上のようにして、プレポリマーの粒子を得る。
(熱処理するステップ)
次いで、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「熱処理するステップ」について説明する。
次いで、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法における「熱処理するステップ」について説明する。
本ステップでは、不活性気体の流通下においてプレポリマーの粒子を固相状態で熱処理し、固相重合を行って目的とする液晶ポリエステルを得る。これにより、未反応原料を除去するとともに、分子量を上げることができ、液晶ポリエステルの物性を上げることができる。
固相重合時の昇温速度、および最高処理温度は、生じる液晶ポリエステルの粒子を融着させないような条件とする。融着を起こすと、表面積が減少し、重縮合反応や低沸点成分の除去が遅くなり好ましくない。
固相重合の昇温速度は、0.05℃/分以上0.25℃/分以下であることが好ましく、0.10℃/分以上0.20℃/分以下であることがより好ましい。
固相重合の最高処理温度は、200℃以上310℃以下の範囲、好ましくは230℃以上300℃以下の範囲に設定する。200℃未満の温度では、反応が遅く処理時間がかかるため不経済であり、310℃を越えると、粉体粒子同士が融着したり、溶融するため固相状態が保持できなかったりするため好ましくない。
固相重合を行う装置としては、不活性気体の流通下で重合させることが可能であれば、既知の乾燥機、反応機、混合機、電気炉等、粉体を加熱処理することが可能な種々の装置を用いることができる。中でも、不活性気体の流通下で固相重合を行うために、密閉度の高いガス流通式の装置が好ましい。
不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガスから選ばれるものが好ましく、さらに好ましくは窒素である。不活性気体の流量は、固相重合装置の容積、粉末の粒径、充填状態等を勘案して決められるが、反応容器1m3当たり2m3/hr以上8m3/hr以下、より好ましくは3m3/hr以上6m3/hr以下である。不活性気体の流量が2m3/hr未満では重合速度が遅く、8m3/hrを越えると、粉末の飛散が起こる場合があるため好ましくない。
なお、固相重合の時間としては、1時間以上24時間以下が好ましい。
以上のようにして、目的とする液晶ポリエステルを得ることができる。
以上のようにして、目的とする液晶ポリエステルを得ることができる。
本実施形態の製造方法により得られる液晶ポリエステルは、下記の繰り返し単位(A)を繰り返し単位全体の70.5モル%以上71.5モル%以下、下記の繰り返し単位(B)を繰り返し単位全体の28.5モル%以上29.5モル%以下の割合で含む。
(但し、R2は塩素原子、臭素原子またはアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。xが2以上である場合、R2は同一でもよく、互いに異なってもよい。繰り返し単位(A)は、R2が互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。nは(A)の繰り返し数を示す整数である)
(但し、R3、R4はそれぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のR3は互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のR4は互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。)
このような液晶ポリエステルは、流動温度が好ましくは210℃以上320℃以下、より好ましくは220℃以上300℃以下、さらに好ましくは230℃以上280℃以下である。該流動温度が320℃を越えると、加工温度が350℃を越えることがあり、好ましくない。
更に、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法では、上述の方法で得られる液晶ポリエステルを、加熱溶融し造粒することとしてもよい。造粒の形態はペレット状が好ましい。
液晶ポリエステルの粒子を造粒してペレットを製造する方法としては、一般に使用されている一軸または二軸の押出機を用い溶融混練し、空冷または必要に応じて水冷した後、ペレタイザー(ストランドカッター)でペレットに賦形する方法が挙げられる。溶融均一化と賦形が目的のため、汎用の押出機が使用できるが、L/Dの大きい押出機を用いることが溶融均一化の観点からは好ましい。溶融混練に際しては、押出機のシリンダー設定温度(ダイヘッド温度)は200℃以上350℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは230℃以上330℃以下、更に好ましくは240℃以上320℃以下である。
また、ペレット状の液晶ポリエステルを得る方法は上記方法には限らない。例えば、「プレポリマーを粉砕するステップ」において、溶融状態のプレポリマーを溝付きの平行ローラー上に排出してストランド状(紐状)に賦形した後、切断して粒径3mm以下のペレットとし、該ペレットを熱処理することで、ペレット状の液晶ポリエステルとしてもよい。
なお、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルには、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。このような無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、モンモリロナイト、石膏、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊維等が例示される。これらの無機充填剤は、フィルムの透明性や機械強度を著しく損なわない範囲で用いることができる。
また、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルに、必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機もしくは有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、またはフッ素樹脂などの離型改良剤など、各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
以上のような構成の液晶ポリエステルの製造方法によれば、高分子量化と生産性の向上と両立するとともに、成形体の機械的強度が改善された液晶ポリエステルを製造することが可能となる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例中の各種物性は以下の方法により測定した。
[引張強度]
ASTM4号ダンベルを用い、ASTM D638に準拠して測定した。
ASTM4号ダンベルを用い、ASTM D638に準拠して測定した。
[曲げ強度]
13mm(幅)×64mm(長さ)×3mm(厚み)、曲げスパン距離40mmでASTM−D790に準拠して測定した。
13mm(幅)×64mm(長さ)×3mm(厚み)、曲げスパン距離40mmでASTM−D790に準拠して測定した。
[発生ガス量]
JIS K7113に規定された1(1/2)号ダンベル(0.8mm厚)を成形した後、該ダンベルを細かく切削して試験片を作成した。この試験片を5g分計量してバイアル瓶(ガラス製)に封入して、120℃×20時間加熱処理し、発生するガスの量を、ヘッドスペースサンプラー(島津製作所製、HSS−3A)を備えたガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC−15A)を用いて、ヘッドスペース法で測定した。
JIS K7113に規定された1(1/2)号ダンベル(0.8mm厚)を成形した後、該ダンベルを細かく切削して試験片を作成した。この試験片を5g分計量してバイアル瓶(ガラス製)に封入して、120℃×20時間加熱処理し、発生するガスの量を、ヘッドスペースサンプラー(島津製作所製、HSS−3A)を備えたガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC−15A)を用いて、ヘッドスペース法で測定した。
[融点]
ペレット試料量約10mgを秤量し、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC50)を用いて室温(25℃付近)から320℃まで20℃/分の速度で昇温した後に、50℃まで20℃/分の速度で降温し、再び320℃まで20℃/分の速度で昇温して、吸熱サーモグラフを測定した。融点は、2度目の昇温における吸熱ピーク値から求めた。
ペレット試料量約10mgを秤量し、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC50)を用いて室温(25℃付近)から320℃まで20℃/分の速度で昇温した後に、50℃まで20℃/分の速度で降温し、再び320℃まで20℃/分の速度で昇温して、吸熱サーモグラフを測定した。融点は、2度目の昇温における吸熱ピーク値から求めた。
[流動開始温度]
液晶ポリエステルの流動開始温度は、フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500型)を用いて測定した。液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を、流動開始温度として測定した。
液晶ポリエステルの流動開始温度は、フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500型)を用いて測定した。液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を、流動開始温度として測定した。
(実施例1:繰り返し構造単位(A)/(B)=71/29(モル%)に相当する)
(1)プレポリマーの重合(溶融重合)
ジムロート冷却管、窒素導入管および内温測定用の熱電対を取り付けたト型連結管、イカリ型攪拌翼を有し、フラスコ外側にも熱電対を取り付けた3リットル四ツ口セパラブルフラスコに、4−ヒドロキシ安息香酸1176.8g(8.52モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸654.9g(3.48モル)、および無水酢酸1347.6g(13.2モル)を入れ、窒素気流下、マントルヒーターにてフラスコ外温を150℃まで昇温し、200rpmで攪拌しながら、還流下約3時間アセチル化反応を行った。
(1)プレポリマーの重合(溶融重合)
ジムロート冷却管、窒素導入管および内温測定用の熱電対を取り付けたト型連結管、イカリ型攪拌翼を有し、フラスコ外側にも熱電対を取り付けた3リットル四ツ口セパラブルフラスコに、4−ヒドロキシ安息香酸1176.8g(8.52モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸654.9g(3.48モル)、および無水酢酸1347.6g(13.2モル)を入れ、窒素気流下、マントルヒーターにてフラスコ外温を150℃まで昇温し、200rpmで攪拌しながら、還流下約3時間アセチル化反応を行った。
アセチル化反応に引き続き、0.6℃/分の昇温速度で、フラスコ外温を150℃から290℃まで昇温した。この間に重縮合反応で副生する酢酸を留去し続けた。290℃に到達してから60分後に、撹拌を停止させ、重縮合反応で生じたプレポリマーを溶融状態で取り出した。反応容器および攪拌翼への付着は殆どなかった。
得られたプレポリマーは室温で放冷させることで固化した。収量は1565g(理論収量に対して、97.8%)であった。
得られたプレポリマーは室温で放冷させることで固化した。収量は1565g(理論収量に対して、97.8%)であった。
(2)プレポリマーの粉砕
得られたプレポリマーを、まず3〜5cm角程度の大きさに粗く粉砕した後、粉砕機を用い、粒径2mm以下に粉砕し、プレポリマーの粒子を得た。プレポリマーの粒子は、目開き2mmの篩((株)飯田製作所製)を通過させることで、粒径2mm以下とした。得られた粒子の流動開始温度は、231℃であった。また、プレポリマーは溶融時に偏光顕微鏡を用いて観察することで光学異方性を示すことを確認した。
得られたプレポリマーを、まず3〜5cm角程度の大きさに粗く粉砕した後、粉砕機を用い、粒径2mm以下に粉砕し、プレポリマーの粒子を得た。プレポリマーの粒子は、目開き2mmの篩((株)飯田製作所製)を通過させることで、粒径2mm以下とした。得られた粒子の流動開始温度は、231℃であった。また、プレポリマーは溶融時に偏光顕微鏡を用いて観察することで光学異方性を示すことを確認した。
(3)プレポリマーの熱処理(固相重合)
プレポリマーの粒子をアルミ製トレーに入れ、熱風式乾燥機(エスペック社製、IPHH−201M)に仕込み、窒素ガスの流通下において、室温から160℃まで1時間かけて昇温し、次に160℃から200℃まで30分かけて昇温し、更に200℃から260℃まで7時間かけて昇温した後、260℃で5時間保持することで、固相重合を行った。放冷した後に取り出し、流動開始温度が273℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。固相重合前後での重量減少は、1.5%であった。
プレポリマーの粒子をアルミ製トレーに入れ、熱風式乾燥機(エスペック社製、IPHH−201M)に仕込み、窒素ガスの流通下において、室温から160℃まで1時間かけて昇温し、次に160℃から200℃まで30分かけて昇温し、更に200℃から260℃まで7時間かけて昇温した後、260℃で5時間保持することで、固相重合を行った。放冷した後に取り出し、流動開始温度が273℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。固相重合前後での重量減少は、1.5%であった。
(4)造粒
得られた液晶ポリエステルを、2軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−30)を用いて、ダイヘッド温度280℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練を行って造粒し、液晶ポリエステルのペレットを得た。得られたペレットの流動開始温度は、258℃であった。
得られた液晶ポリエステルを、2軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−30)を用いて、ダイヘッド温度280℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練を行って造粒し、液晶ポリエステルのペレットを得た。得られたペレットの流動開始温度は、258℃であった。
(5)成形
得られたペレットを、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、PS40E5ASE)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度130℃で射出成形を行い、各種の試験片を作成した。
得られたペレットを、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、PS40E5ASE)を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度130℃で射出成形を行い、各種の試験片を作成した。
(比較例1:繰り返し構造単位(A)/(B)=70/30(モル%)に相当する)
プレポリマーの溶融重合において、4−ヒドロキシ安息香酸1160.2g(8.4モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸677.5g(3.6モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
プレポリマーの溶融重合において、4−ヒドロキシ安息香酸1160.2g(8.4モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸677.5g(3.6モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
(比較例2:繰り返し構造単位(A)/(B)=73/27(モル%)に相当する)
プレポリマーの溶融重合において、4−ヒドロキシ安息香酸1209.9g(8.76モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸609.7g(3.24モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
プレポリマーの溶融重合において、4−ヒドロキシ安息香酸1209.9g(8.76モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸609.7g(3.24モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
(比較例3:繰り返し構造単位(A)/(B)=72/28(モル%)に相当する)
プレポリマーの溶融重合において、4−ヒドロキシ安息香酸1193.4g(8.64モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸632.3g(3.36モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
プレポリマーの溶融重合において、4−ヒドロキシ安息香酸1193.4g(8.64モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸632.3g(3.36モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
実施例1および比較例1〜3について、評価結果を下表1に示す。
測定の結果、実施例1の液晶ポリエステルは、比較例1〜3の液晶ポリエステルと比べて、分子量の指標とされる流動開始温度ではほとんど差が無いが、引張り強度および曲げ強度について比較例1〜3の液晶ポリエステルよりも高い値を示した。
また、成形体から発生するガス量は、実施例1と比較例1とがほぼ同等である一方で、比較例2は実施例1の約5倍、比較例3は実施例1の約3倍の量が検出された。
さらに、耐熱性の指標となる融点は、実施例1と比較例2、3がほぼ同等である一方で、比較例1はやや劣る結果となった。
また、成形体から発生するガス量は、実施例1と比較例1とがほぼ同等である一方で、比較例2は実施例1の約5倍、比較例3は実施例1の約3倍の量が検出された。
さらに、耐熱性の指標となる融点は、実施例1と比較例2、3がほぼ同等である一方で、比較例1はやや劣る結果となった。
これらの結果から、実施例1の液晶ポリエステルは、プレポリマーの溶融重合後の払い出しが容易であることに加え、機械的強度が高い成形体を得ることが分かった。加えて、実施例1の液晶ポリエステルは、成形体から発生するガス量が少なく、耐熱性も高いことから、物性バランスがよい成形体を得ることができた。したがって、本発明の有用性が確かめられた。
Claims (4)
- 式(I)で表される化合物を70.5モル%以上71.5モル%以下、式(II)で示される化合物を28.5モル%以上29.5モル%以下の割合(但し、式(I)で表される化合物と、式(II)で示される化合物との合計量を100モル%とする)で混合し、260℃以上350℃以下の温度条件で、生成するプレポリマーの流動開始温度が200℃以上且つ重縮合の反応温度よりも30℃以上低い温度に達するまで重縮合させるステップと、
前記プレポリマーを溶融状態で回収し固化させ、前記プレポリマーを粒径3mm以下の粒子となるように粉砕するステップと、
前記粒子を、固相状態のまま不活性気体の流通下で200℃以上310℃以下の温度条件にて熱処理するステップと、を含むことを特徴とする液晶ポリエステルの製造方法。
式(I)は、R1,R2,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
R3、R4は、それぞれ塩素原子またはアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、yが2または3の場合、複数のR3は互いに同一または異なる。zは0から3のいずれかの整数であり、zが2または3の場合、複数のR4は互いに同一または異なる。アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基からなる群から選ばれる基である。) - 前記式(I)で表わされる化合物として、4−ヒドロキシ安息香酸、前記式(II)で表わされる化合物として、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用い、
前記式(I)で表わされる化合物および前記式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性の水酸基を、該水酸基の当量以上の無水酢酸でアセチル化した後に重縮合させることを特徴とする請求項1に記載の液晶ポリエステルの製造方法。 - グラスライニングされた反応槽内でアセチル化させた後に、重縮合させることを特徴とする請求項2に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
- 熱処理するステップの後に、加熱溶融して造粒することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
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