JP2013155350A - 液晶ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性が高い液晶ポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される繰り返し単位と、一般式(2)で表される繰り返し単位と、を含む液晶ポリエステルのプレポリマーを溶融重合によって調製する工程と、冷却し固化した前記プレポリマーを粉砕しプレポリマー粉末を得る工程と、前記プレポリマー粉末を加熱し、固相重合によって前記プレポリマーよりも高重合度の液晶ポリエステルを調整する工程と、を有し、前記プレポリマーは、流動開始温度が210℃以上240℃以下であり、前記プレポリマー粉末は、長軸方向の粒子径Lと、当該長軸方向と直交する方向の粒子径Dと、の比L/Dが1以上4.5以下である液晶ポリエステルの製造方法。
(R1:塩素原子、臭素原子、炭素数1から4のアルキル基。x:0〜4)
(R2,R3:塩素原子、臭素原子、炭素数1から4のアルキル基。y,z:0〜3)
【選択図】なし
【解決手段】一般式(1)で表される繰り返し単位と、一般式(2)で表される繰り返し単位と、を含む液晶ポリエステルのプレポリマーを溶融重合によって調製する工程と、冷却し固化した前記プレポリマーを粉砕しプレポリマー粉末を得る工程と、前記プレポリマー粉末を加熱し、固相重合によって前記プレポリマーよりも高重合度の液晶ポリエステルを調整する工程と、を有し、前記プレポリマーは、流動開始温度が210℃以上240℃以下であり、前記プレポリマー粉末は、長軸方向の粒子径Lと、当該長軸方向と直交する方向の粒子径Dと、の比L/Dが1以上4.5以下である液晶ポリエステルの製造方法。
(R1:塩素原子、臭素原子、炭素数1から4のアルキル基。x:0〜4)
(R2,R3:塩素原子、臭素原子、炭素数1から4のアルキル基。y,z:0〜3)
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶ポリエステルの製造方法に関するものである。
溶融時に液晶性を発現する液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性及び加工性に優れることから、各種用途分野で使用されている。
液晶ポリエステルは、対応するモノマーである芳香族ヒドロキシカルボン酸またはエステル化合物を重縮合させることで得られる。得られる液晶ポリエステルを高分子量化すると、機械的強度の向上を図ることができ、種々の使用用途において好適に用いることができる。しかし一方で、所望の分子量にまで高分子量化させると、得られるポリマーが高粘度であるために反応容器から排出し難く、連続生産が困難となるという課題がある。
この課題に対し、例えば特許文献1のような重合方法が知られている。特許文献1に記載された方法では、まず、反応容器内で溶融重合にて重縮合を行い、反応容器からの排出を容易に行うことが可能なうちに重合体を溶融状態で回収して固化させ、次いで、固相重合反応で所望の分子量にまで重合させて高分子量化する。これにより、液晶ポリエステルの高分子量化と生産性の向上とを実現している。
上記方法においては、通常、固相重合反応に先だって溶融重合反応により得られる液晶ポリエステルのプレポリマーを粉砕し、得られた粉末を加熱して高分子量化する。しかし、溶融重合反応の条件によっては、固相重合反応に用いるプレポリマーの粉末の嵩比重が低くなり、固相重合の仕込み量が低減する結果、生産性が低下するという課題が生じていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、生産性が高い液晶ポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位と、を含む液晶ポリエステルのプレポリマーを溶融重合によって調製する工程と、冷却し固化した前記プレポリマーを粉砕しプレポリマー粉末を得る工程と、前記プレポリマー粉末を加熱し、固相重合によって前記プレポリマーよりも高重合度の液晶ポリエステルを調整する工程と、を有し、前記プレポリマーは、流動開始温度が210℃以上240℃以下であり、前記プレポリマー粉末は、長軸方向の粒子径Lと、当該長軸方向と直交する方向の粒子径Dと、の比L/Dが1以上4.5以下である液晶ポリエステルの製造方法を提供する。
(式中、R1は塩素原子、臭素原子または炭素数1から4のアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。xが2以上である場合、R1は同一でもよく、互いに異なってもよい。
一般式(1)は、R1のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
(式中、R2,R3は、それぞれ塩素原子、臭素原子または炭素数1から4のアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、zは0から3のいずれかの整数である。R2,R3は同一でもよく、互いに異なってもよい。
一般式(2)は、R2,R3のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
一般式(1)は、R1のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
一般式(2)は、R2,R3のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
本発明においては、全繰り返し単位の合計量に対して、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量が20mol%以上80mol%以下であり、前記一般式(2)で表される繰り返し単位の含有量が20mol%以上80mol%以下であることが望ましい。
本発明においては、前記プレポリマーを調整する工程に先だって、下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、のいずれか一方または両方をアシル化する工程を有することが望ましい。
(式中、R1,xの定義は、一般式(1)における定義と同じである。Xはヒドロキシル基、オルガニルオキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基を示す。
一般式(3)は、R1,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
(式中、R2,R3,y,zの定義は、一般式(2)における定義と同じであり、Xの定義は、一般式(3)における定義と同じである。一般式(3)と一般式(4)におけるXは、互いに同一でも異なってもよい。
一般式(4)は、R2,R3,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
一般式(3)は、R1,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
一般式(4)は、R2,R3,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
本発明においては、前記プレポリマーを調整する工程は、前記アシル化する工程の終了時の温度から前記溶融重合における最終到達温度までの温度範囲において、昇温時には昇温速度を0.1℃/分以上1.5℃/分以下とすることが望ましい。
本発明によれば、生産性が高い液晶ポリエステルの製造方法を提供することができる。
本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位と、を含む液晶ポリエステルのプレポリマーを溶融重合によって調製する工程と、冷却し固化した前記プレポリマーを粉砕しプレポリマー粉末を得る工程と、前記プレポリマー粉末を加熱し、固相重合によって前記プレポリマーよりも高重合度の液晶ポリエステルを調整する工程と、を有し、前記プレポリマーは、流動開始温度が210℃以上240℃以下であり、前記プレポリマー粉末は、長軸方向の粒子径Lと、当該長軸方向と直交する方向の粒子径Dと、の比L/Dが1以上4.5以下である。
(式中、R1は塩素原子、臭素原子または炭素数1から4のアルキル基を示し、xは0から4のいずれかの整数である。xが2以上である場合、R1は同一でもよく、互いに異なってもよい。
一般式(1)は、R1のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
(式中、R2,R3は、それぞれ塩素原子、臭素原子または炭素数1から4のアルキル基を示し、yは0から3のいずれかの整数であり、zは0から3のいずれかの整数である。R2,R3は同一でもよく、互いに異なってもよい。
一般式(2)は、R2,R3のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
一般式(1)は、R1のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
一般式(2)は、R2,R3のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
ここで、「炭素数1から4のアルキル基」は、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基)、イソプロピル基(iso−プロピル基)、ブチル基(n−ブチル基)、イソブチル基(iso−ブチル基)、sec−ブチル基、tert−ブチル基からなる群から選ばれる基である。
また、一般式(2)中、R2は、ナフチレン基における5位、7位、8位に結合可能な置換基であり、R3は、ナフチレン基における1位、3位、4位に結合可能な置換基である。
また、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
なお、以下の説明においては、モノマーを溶融重合させて得られる重合体を「プレポリマー」と称し、プレポリマーを固相状態のまま熱処理する固相重合で高分子量化して得られる重合体を、目的とする「液晶ポリエステル」と称する。
また、本発明における「プレポリマーを調製する工程」を「溶融重合工程」と称し、「プレポリマー粉末を得る工程」を「粉砕工程」と称し、「液晶ポリエステルを調整する工程」を「固相重合工程」と称して、各工程について順に説明する。
(溶融重合工程)
溶融重合工程においては、下記の一般式(I)で表わされる化合物と、一般式(II)で表わされる化合物と、を反応容器中で重縮合反応させる。この時、これらの化合物を反応容器へ混合した状態で仕込むこととしてもよく、別々に仕込むこととしてもよい。
溶融重合工程においては、下記の一般式(I)で表わされる化合物と、一般式(II)で表わされる化合物と、を反応容器中で重縮合反応させる。この時、これらの化合物を反応容器へ混合した状態で仕込むこととしてもよく、別々に仕込むこととしてもよい。
一般式(I)は、R1,R4,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
一般式(II)は、R2,R3,R4,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
本実施形態における重縮合反応は、不活性気体、例えば窒素雰囲気下で、常圧または減圧の条件下で行うことができるが、不活性気体雰囲気下に常圧で行うことが好ましい。プロセスは回分式、連続式、またはそれ等の組み合わせを採用できる。
本実施形態における重縮合反応の温度は、溶融重合の最終到達温度が260℃以上330℃以下の範囲であり、好ましくは270℃以上320℃以下である。なお、反応槽が多段に分割、または切られている場合には、最も高い反応温度が本発明で言うところの最終到達温度である。
重縮合反応は、無触媒下でも十分進行するが、必要に応じて触媒として、Ge、Sn、Ti、Sb、Co、Mn等の酸化物、酢酸塩等の化合物を使用することとしてもよい。例えば食品用途のように、使用用途によっては重合後に触媒成分の除去が必要な場合もあり、当該用途で用いる液晶ポリエステルの重合においては無触媒が好ましい。そのため、使用用途に応じて触媒使用の可否を選択するとよい。
重縮合反応において、反応容器の形状は公知のものを用いることができる。用いる攪拌翼は、縦型の反応容器の場合、多段のパドル翼、タービン翼、モンテ翼、ダブルヘリカル翼が好ましく、中でも、多段のパドル翼、タービン翼がより好ましい。横型の反応容器では、1軸または2軸の攪拌軸に垂直に、種々の形状の翼、例えばレンズ翼、眼鏡翼、多円平板翼等が設置されているものが良い。また、翼にねじれを付けて、攪拌性能や送り機構を向上させたものも良い。
反応容器の加熱は、熱媒、気体、電気ヒーターにより行うが、均一加熱という目的で、反応容器だけでなく、攪拌軸、翼、邪魔板等の反応容器内の反応物に浸漬する部材も加熱することが好ましい。
なお、重縮合反応に用いるモノマーが、下記一般式(3)で表わされる化合物、および一般式(4)で表わされる化合物のいずれか一方または両方のような、フェノール性水酸基を有する化合物を含む場合、液晶ポリエステルの製造方法には、溶融重合工程に先だって、フェノール性水酸基の反応性を上げるための反応を行う工程を有することが好ましい。
一般式(3),(4)は、それぞれ一般式(I),(II)においてR4が水素原子である化合物である。
「フェノール性水酸基の反応性を上げるための反応」としては、例えば、フェノール性水酸基とカルボン酸や無水酢酸との反応によるアシル化反応が挙げられ、試薬が入手しやすく反応性に富むことから、フェノール性水酸基と酸無水物と反応させることによるアシル化反応が好ましい。アシル化反応は、重縮合反応を行う反応容器と別の反応容器で行うこととしてもよいが、重縮合反応を行う反応容器と同一の反応容器で行い、引き続き重縮合反応を行うこととすると操作が簡便になるため好ましい。
このようなアシル化反応においては、上記の一般式(I)で表わされる化合物または一般式(II)で表わされる化合物が有するフェノール性水酸基に対し、好ましくは当量以上1.3倍当量以下、より好ましくは1.05倍当量以上、1.15倍当量以下の無水酢酸などの酸無水物を反応させるとよい。
その際、アシル化反応を行う反応容器は、チタン、ハステロイB等の耐腐食性を有する材料の使用が可能である。また、目的とする液晶ポリエステルが高い色調(L値)を必要とする場合は、反応容器の内壁の材質がガラスであることが好ましい。反応混合物と接する反応容器の内壁がガラス製であるならば、反応容器全体がガラス製である必要はなく、例えば、グラスライニングされたSUS製等の反応槽等を使用することも可能である。例えば、大型の生産設備においては、グラスライニングされた反応槽を用いることが好ましい。
このように、溶融重合工程に先だってモノマーをアシル化する工程を有する場合、溶融重合工程は、アシル化する工程の終了時の温度から溶融重合における最終到達温度までの温度範囲において、昇温時には昇温速度を0.1℃/分以上1.5℃/分以下とすることが望ましい。
昇温速度が1.5℃/分よりも速いと、溶融重合工程において生じるカルボン酸とともに、未反応のモノマーが系外に排出されやすくなるため、収率が低下しやすくなる。また、昇温速度が0.1℃/分よりも遅いと、高温での反応が必要な、反応速度が遅いモノマーの反応が遅くなる。その結果、用いるモノマーの種類によっては、生成するポリマーにおいてポリマーを構成する繰り返し単位の結合順(ポリマーシークエンス)が所望のものからずれてしまい、設計した物性が得られないおそれがある。
昇温時には、当該範囲内であれば昇温速度が変動することとしても構わない。また、アシル化する工程の終了時の温度から溶融重合における最終到達温度までの温度範囲において、一定温度を保持する(昇温しない)操作を含むこととしてもよい。
本工程においては、得られるプレポリマーの流動開始温度が、210℃以上240℃以下となるまで、重縮合反応を行う。
プレポリマーの流動開始温度が210℃未満では、後述の固相重合において、液晶ポリエステル同士の融着や副生物が大量に生じるため、重合反応を行いにくく、また経済的にも好ましくない。また、プレポリマーの流動開始温度が240℃より高いと、後述する粉砕工程において、嵩比重が低いプレポリマー粉末が得られ、固相重合の生産性が低下する。
以上のようにして重縮合を行い、プレポリマーを得る。
以上のようにして重縮合を行い、プレポリマーを得る。
(粉砕工程)
粉砕工程では、まず、上記重縮合反応によって得られるプレポリマーを、反応容器から溶融状態で排出し回収する。
粉砕工程では、まず、上記重縮合反応によって得られるプレポリマーを、反応容器から溶融状態で排出し回収する。
プレポリマーを溶融状態で取出す場合、不活性気体雰囲気中、例えば窒素雰囲気中で実施するのが、得られる液晶ポリエステルの色調が悪化せず好ましいが、水分が少ない場合は空気中で実施してもよい。また、プレポリマーを溶融状態で取出す際、反応容器を窒素等の不活性ガスにより、好ましくはゲージ圧力で0.1kg/cm2G以上2kg/cm2G以下、さらに好ましくは0.2kg/cm2G以上1kg/cm2G以下(ただし、大気圧=1.033kg/cm2Aとする)で加圧して行うと好ましい。加圧して払い出しをすることで、副生物の生成が抑えられ、重縮合反応の平衡がポリマー生成側に傾かないため、プレポリマーの分子量上昇が抑制され、結果、抜出し時のポリマーの流動開始温度の上昇を抑えることができる。
プレポリマーを回収するための設備としては、公知の押出機、ギヤポンプが挙げられるが、単なるバルブだけでも良い。上述の流動開始温度にまで重合が進行したプレポリマーは、取出され冷却されると固化するので、目的に応じて、ストランドカッターやシートカッターでカットしたり、粉砕したりすることが可能となる。また、大量かつ短時間処理する手段としては、特開平6−256485号公報に記載された定量供給装置を経てダブルベルトクーラーで冷却する方法等が挙げられる。
また、プレポリマーを回収した後の反応容器の洗浄方法としては、特開平5−29592号、特開平5−29593号公報に記載されたグリコール類とアミン類とのいずれか一方または両方を用いた方法が挙げられる。
図1は、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法のうち、上記溶融重合工程と粉砕工程とを実施する液晶ポリエステルの製造装置を示す概略図であり、主として粉砕工程を説明する図である。
図1に示す製造装置1は、プレポリマーPを重合する重合装置10と、重合装置10から排出されたプレポリマーPを冷却しながら水平方向に移送する冷却装置20と、冷却されたプレポリマーPを粉砕する粉砕装置30と、を有している。粉砕装置30で粉砕されたプレポリマーPは、必要に応じて配置する不図示の微粉砕設備を経て、不図示の固相重合設備に送られて固相重合される。すなわち、重合装置10では、溶融重合工程を行い、冷却装置20、粉砕装置30および不図示の微粉砕設備では、粉砕工程を行う。また、不図示の固相重合設備では、固相重合工程を行う。
重合装置10は、重合槽(反応容器)11と、重合槽11内に設けられ内容物を攪拌する攪拌機12と、重合槽11の下部に設けられ内容物の排出量を制御するバルブ13と、を有している。また、重合槽11の上部には、重縮合中に生じる副生成物Bを含む物質を留去して回収する回収装置14が設けられている。回収装置14は、一端が重合槽11に接続された配管141と、配管141の他端が接続されたタンク142とを有し、配管141中には、重合槽11側から蒸発する副生成物Bを冷却する第1冷却器143,第2冷却器144が設けられている。
冷却装置20は、ダブルベルト式クーラーであり、無端ベルトである上側ベルト21および下側ベルト22を上下に密接して配置し、上側ベルト21と下側ベルト22との間にプレポリマーを挟んで、移送しながら冷却する装置である。
上側ベルト21および下側ベルト22は、耐食性を有する金属製のベルトであり、例えばスチールベルトである。上側ベルト21および下側ベルト22は、不図示の冷却用の水によって冷却される。
上側ベルト21は、第1ローラー23、第2ローラー24の間に巻き掛けられ、これらのローラーの間に張設されている。同様に、下側ベルト22は、第1ローラー25、第2ローラー26の間に巻き掛けられ、これらのローラーの間に張設されている。
重合装置10で重合されるプレポリマーPは、冷却装置20において下側ベルト22の上面(図中、符号Aで示す)に排出される。上側ベルト21および下側ベルト22は、各ローラーの駆動により、プレポリマーPを上側ベルト21と下側ベルト22との間に挟みながら下流側に移送する。プレポリマーPは、冷却装置20に挟まれて移動する間に冷却され、固化する。
上側ベルト21および下側ベルト22の間の隙間は、1mm〜2mm程度が好ましい。また、上側ベルト21および下側ベルト22の長さおよび移送速度は、プレポリマーPの冷却目標温度に応じて設定される。
冷却装置20で冷却され移送されるプレポリマーPは、粉砕装置30に供給される。粉砕装置30は、上流側に設けられた第1粉砕機31と、下流側に設けられた第2粉砕機32と、プレポリマーPの飛散防止のためのカバー33とを有している。
第1粉砕機31および第2粉砕機32は、円筒状の芯材の軸方向および周方向に、無数の棒状、突起状または鈎状の粉砕歯が付設された回転体であり、芯材を中心軸として回転することで、板状に固化したプレポリマーPを粉砕する。
ここで、粉砕装置30および不図示の微粉砕設備においてプレポリマーPを粉砕する際、プレポリマーPの流動開始温度が240℃よりも高い場合には、プレポリマーの分子量が高くなっていることから、プレポリマーの固体内部から繊維状のプレポリマーが引き出され、破断面に繊維状のプレポリマーが露出しやすい。その結果、プレポリマー粉末の輪郭が繊維状のプレポリマーで毛羽立ったようになり、得られるプレポリマー粉末の嵩比重が低下しやすくなる。
対して、本実施形態においては、溶融重合工程で得られるプレポリマーPの流動開始温度が、210℃以上240℃以下となっているため、粉砕装置30において粉砕する場合に、破断面に繊維状のプレポリマーが生じにくい、または生じたとしても繊維状のプレポリマーの繊維長が短いため、嵩比重の低下が抑制されたプレポリマー粉末が得られる。
次いで、必要に応じ、上記粉砕装置30から排出されるプレポリマー粉末を、微粉砕設備にてさらに粉砕する。微粉砕設備としては、通常知られた方式の粉砕機を使用することができ、例えば、ボールミル、SAG(Semi-Autogenous Grinding)ミル、ハンマーミル、カッターミルなどを挙げることができる。
本工程においては、プレポリマー粉末の長軸方向の粒子径L(長径L)と、長軸方向と直交する方向の粒子径D(短径D)との比率L/Dが、1以上4.5以下であるプレポリマー粉末を得る。L/Dの値がこの範囲であると、後述する固相重合において生産性が低下することがない。
プレポリマー粉末のL/Dは、粉砕装置30および微粉砕設備の運転条件により制御可能である。例えば、粉砕装置30や微粉砕設備の運転時間や、各設備におけるプレポリマー粉末の滞留時間、粉砕装置30や微粉砕設備が備える粉砕歯やカッターなどの回転体の回転速度、フィルター目開きなどを適宜制御し、粉砕を進めることで、所望のL/Dのプレポリマー粉末とすることが可能である。
プレポリマーのL/Dは、プレポリマーの粉砕を進めるほど小さくなり、1に近づく。そのため、粉砕装置30や微粉砕設備の運転時間を長くする、プレポリマーの滞留時間を長くする、回転速度を速くする、といった各種制御を組み合わせることで、L/Dを1以上4.5以下とすることができる。粉砕後に残る粗粒は、フィルター目開きを制御することで除くことができ、所望のL/Dとすることができる。
また、本実施形態では、プレポリマーの流動開始温度を210℃以上240℃以下に制御しているため、粉砕装置30から排出されるプレポリマーの粉末に繊維状のプレポリマーを生じにくくなっている。破断面に繊維状のプレポリマーが露出したプレポリマー粉末は、繊維状のプレポリマーが引き出された方向に長軸を有するL/Dの大きな形状となるが、プレポリマーの流動開始温度を210℃以上240℃以下とすることで、繊維状のプレポリマーが低減する。そのため、微粉砕設備に投入する前のプレポリマー粉末は、L/Dが小さいものとなる。したがって、例えば、プレポリマーの流動開始温度が240℃を超える場合と比べ、本実施形態のプレポリマー粉末は、短時間のうちに所望のL/Dの粉末に粉砕することが可能である。
L/Dの値が4.5よりも大きくなると、実機の固相重合設備で生産することを想定した場合、一度に仕込める量が少なく生産性が低下することから、実生産に耐えない。また、製品として得られる液晶ポリエステルの粉末の嵩比重が低くなるため、製品袋やフレキシブルコンテナ等を用いて出荷する場合に、梱包重量が少なくなり許容できない。
なお、本明細書において、プレポリマー粉末のL/Dの値は、プレポリマー粉末を顕微鏡(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX−1000)を用いて観察して得られるプレポリマー粉末の像(観察方向からのプレポリマー粉末の射影像)に基づいて定めた値を用いる。
すなわち、得られるプレポリマー粉末の像について、長軸方向の粒子径L(長径L)と、長軸方向と直交する方向の粒子径D(短径D)とを求め、これらの値からL/Dの値を算出した。プレポリマー粉末を任意に5粒選択し、L/Dの値をそれぞれ求め、n=5の平均値をL/Dの値とした。
なお、得られるプレポリマー粉末の像に外接する矩形を想定したとき、想定される矩形のうち最も長い辺を有するものの長辺の長さを長径Lとした。
なお、得られるプレポリマー粉末の像に外接する矩形を想定したとき、想定される矩形のうち最も長い辺を有するものの長辺の長さを長径Lとした。
また、粉砕工程で得られるプレポリマー粉末は、粒子径が3mm以下、好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.1mm以上0.4mm以下の粒子(粉末)である。粒子径が3mmを越えると、表面層と内部との間で、重合速度、未反応原料の反応の結果生じた副生物の拡散時間が異なることから、分子量分布が広がるおそれがあり、また、揮発成分が十分除去されないために発泡やガス発生の原因となるおそれがあることから好ましくない。ここで、粒子の「粒子径が3mm以下」とは、粒子が目開き3mmの篩を通過する大きさであることを示す。
以上のようにして、プレポリマー粉末を得る。
以上のようにして、プレポリマー粉末を得る。
(固相重合工程)
固相重合工程では、不活性気体雰囲気下においてプレポリマーの粒子を固相状態で熱処理し、固相重合を行って目的とする液晶ポリエステルを得る。これにより、未反応原料を除去するとともに、分子量を上げることができ、液晶ポリエステルの物性を上げることができる。本実施形態においては、固相重合に用いるプレポリマー粉末のL/Dが1以上4.5以下であるため、プレポリマー粉末は実生産に耐える仕込み量で固相重合が可能な嵩比重であり、高い生産性で液晶ポリエステルを製造することができる。
固相重合工程では、不活性気体雰囲気下においてプレポリマーの粒子を固相状態で熱処理し、固相重合を行って目的とする液晶ポリエステルを得る。これにより、未反応原料を除去するとともに、分子量を上げることができ、液晶ポリエステルの物性を上げることができる。本実施形態においては、固相重合に用いるプレポリマー粉末のL/Dが1以上4.5以下であるため、プレポリマー粉末は実生産に耐える仕込み量で固相重合が可能な嵩比重であり、高い生産性で液晶ポリエステルを製造することができる。
固相重合時の昇温速度、および最高処理温度は、生じる液晶ポリエステルの粒子を融着させないような条件とする。融着を起こすと、表面積が減少し、重縮合反応や低沸点成分の除去が遅くなり好ましくない。
本実施形態における固相重合反応の温度は、固相重合の最終到達温度が200℃以上255℃以下の範囲であり、好ましくは230℃以上250℃以下である。
固相重合を行う装置としては、既知の乾燥機、反応機、混合機、電気炉等、粉体を加熱処理することが可能であれば種々の装置を用いることができるが、不活性気体雰囲気下で固相重合を行うために、密閉度の高いガス流通式の装置が好ましい。
不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガスから選ばれるものが好ましく、さらに好ましくは窒素である。不活性気体の流量は、固相重合装置の容積、粉末の粒径、充填状態等を勘案して決められるが、反応容器1m3当たり2m3/hr以上8m3/hr以下、より好ましくは3m3/hr以上6m3/hr以下である。不活性気体の流量が2m3/hr未満では重合速度が遅く、8m3/hrを越えると、粉末の飛散が起こる場合があるため好ましくない。
以上のようにして、目的とする液晶ポリエステルを得ることができる。
以上のようにして、目的とする液晶ポリエステルを得ることができる。
本実施形態の製造方法により得られる液晶ポリエステルは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を、繰り返し単位全体の20モル%以上80モル%以下、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を、繰り返し単位全体の20モル%以上80モル%以下の割合で含む。
一般式(1)は、R1のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
一般式(2)は、R2,R3のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
このような液晶ポリエステルは、流動開始温度が好ましくは240℃以上320℃以下、より好ましくは260℃以上280℃以下である。該流動開始温度が320℃を越えると、加工温度が350℃を越えることが想定されるが、350℃を超えると液晶ポリエステルの熱分解が活発に生じるため好ましくない。
更に、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法では、上述の方法で得られる液晶ポリエステルを、溶融して造粒することとしてもよい。造粒の形態は、ペレット状が好ましい。
液晶ポリエステルの粒子を造粒してペレットを製造する方法としては、一般に使用されている一軸または二軸の押出機を用い溶融混練し、空冷または必要に応じて水冷した後、ペレタイザー(ストランドカッター)でペレットに賦形する方法が挙げられる。溶融均一化と賦形が目的のため、汎用の押出機が使用できるが、スクリューの有効長の大きい押出機を用いることが溶融均一化の観点からは好ましい。溶融混練に際しては、押出機のシリンダー設定温度(ダイヘッド温度)は250℃以上350℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは260℃以上310℃以下、更に好ましくは270℃以上290℃以下である。
なお、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。このような無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、モンモリロナイト、石膏、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊維等が例示される。これらの無機充填剤は、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルを用いて成形される成形体の要求物性(透明性、機械強度等)を著しく損なわない範囲で用いることができる。
また、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルに、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機もしくは有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、またはフッ素樹脂などの離型改良剤など、各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
以上のような構成の液晶ポリエステルの製造方法は、生産性が高いものとなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[流動開始温度]
内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重をかけた状態で、昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を意味する。流動開始温度は、例えば、株式会社島津製作所社製の流動特性評価装置「フローテスターCFT−500D」を用いて測定することができる。この流動開始温度は、液晶ポリエステルの分子量の指標となる値である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重をかけた状態で、昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を意味する。流動開始温度は、例えば、株式会社島津製作所社製の流動特性評価装置「フローテスターCFT−500D」を用いて測定することができる。この流動開始温度は、液晶ポリエステルの分子量の指標となる値である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
[嵩比重]
プレポリマー粉末の嵩比重は、JIS規格(JIS K6720)に則り、嵩比重測定器(筒井理化学器械株式会社製)を用いて測定した。
プレポリマー粉末の嵩比重は、JIS規格(JIS K6720)に則り、嵩比重測定器(筒井理化学器械株式会社製)を用いて測定した。
[プレポリマー粉末のL/D]
プレポリマー粉末を顕微鏡(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX−1000)を用いて観察し、長軸方向の粒子径L(長径L)と、長軸方向と直交する方向の粒子径D(短径D)とを測定し、長径Lと短径Dとの比率L/Dを求めた。プレポリマー粉末を任意に5粒選択し、L/Dの値をそれぞれ求め、n=5の平均値をL/Dの値とした。
プレポリマー粉末を顕微鏡(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX−1000)を用いて観察し、長軸方向の粒子径L(長径L)と、長軸方向と直交する方向の粒子径D(短径D)とを測定し、長径Lと短径Dとの比率L/Dを求めた。プレポリマー粉末を任意に5粒選択し、L/Dの値をそれぞれ求め、n=5の平均値をL/Dの値とした。
[実生産可否の判定]
実機の固相重合設備に対応させてスケールダウンした量として、340mm×240mm×70mmのトレーにプレポリマー粉末を2.3kg計量し、全量があふれることなく充填可能か否かにより実生産可否を判定した。上記量が充填不可能であるようなプレポリマー粉末は、実機設備において固相重合を行う場合、仕込み量が少なく生産性が低いことから、実生産不可であると判断できる。
実機の固相重合設備に対応させてスケールダウンした量として、340mm×240mm×70mmのトレーにプレポリマー粉末を2.3kg計量し、全量があふれることなく充填可能か否かにより実生産可否を判定した。上記量が充填不可能であるようなプレポリマー粉末は、実機設備において固相重合を行う場合、仕込み量が少なく生産性が低いことから、実生産不可であると判断できる。
(実施例1)
(1)溶融重合
ジムロート冷却管、窒素導入管と内温測定用の熱電対を取り付けたト型連結管、イカリ型攪拌翼を有し、フラスコ外側にも熱電対を取り付けた3リットル四ツ口セパラブルフラスコを用いて、この重合槽に4−ヒドロキシ安息香酸1176.8g(8.52モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸654.9g(3.48モル)、および無水酢酸1347.6g(13.2モル)を投入し、窒素気流下、マントルヒーターにてフラスコ外温を150℃まで昇温し、200rpmで攪拌しながら、還流下約3時間アセチル化反応を行った。アセチル化反応終了後、0.6℃/分の速度にて280℃まで昇温させ、この間に重縮合反応で副生する酢酸を留去し続けた。280℃到達後、該温度で20分保持した時点で撹拌を停止させ、ポリマーを溶融状態で取り出した。得られたポリエステル(プレポリマー)はしばらくすると固化した。
得られたプレポリマーを厚さ1〜2mmの板状に粗粉砕した後、排出側に目開き2mmのフィルターを装着した粉砕機(オリエント粉砕機株式会社製、VM−16)にて粉砕し、プレポリマーの粉末(プレポリマー粉末1)を得た。
(1)溶融重合
ジムロート冷却管、窒素導入管と内温測定用の熱電対を取り付けたト型連結管、イカリ型攪拌翼を有し、フラスコ外側にも熱電対を取り付けた3リットル四ツ口セパラブルフラスコを用いて、この重合槽に4−ヒドロキシ安息香酸1176.8g(8.52モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸654.9g(3.48モル)、および無水酢酸1347.6g(13.2モル)を投入し、窒素気流下、マントルヒーターにてフラスコ外温を150℃まで昇温し、200rpmで攪拌しながら、還流下約3時間アセチル化反応を行った。アセチル化反応終了後、0.6℃/分の速度にて280℃まで昇温させ、この間に重縮合反応で副生する酢酸を留去し続けた。280℃到達後、該温度で20分保持した時点で撹拌を停止させ、ポリマーを溶融状態で取り出した。得られたポリエステル(プレポリマー)はしばらくすると固化した。
得られたプレポリマーを厚さ1〜2mmの板状に粗粉砕した後、排出側に目開き2mmのフィルターを装着した粉砕機(オリエント粉砕機株式会社製、VM−16)にて粉砕し、プレポリマーの粉末(プレポリマー粉末1)を得た。
なお、実施例および後述の比較例において、粉砕機の運転条件(プレポリマーの投入量、運転時間、フィルター目開き、回転速度)は、全て同じ条件とした。
プレポリマー粉末1の嵩比重を評価した結果、0.724であった。また流動開始温度(FT)を測定したところ、214℃であった。さらに、プレポリマー粉体1の長径Lと短径Dとの比率L/Dを測定したところ、2.6であった。
(2)固相重合
得られたプレポリマー粉末1を、340mm×240mm×70mmのトレーに2.3kgを計量した結果、充填可能なことを確認した。
トレーを電気炉に仕込み、窒素雰囲気下、室温から225℃まで3.6℃/minの速度で昇温し、次に235℃まで1.0℃/minの速度で昇温した。更に0.02℃/minの速度で249℃まで昇温し、同温度で5時間保持して放冷後取出し、流動開始温度が271℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。
得られたプレポリマー粉末1を、340mm×240mm×70mmのトレーに2.3kgを計量した結果、充填可能なことを確認した。
トレーを電気炉に仕込み、窒素雰囲気下、室温から225℃まで3.6℃/minの速度で昇温し、次に235℃まで1.0℃/minの速度で昇温した。更に0.02℃/minの速度で249℃まで昇温し、同温度で5時間保持して放冷後取出し、流動開始温度が271℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。
(実施例2)
溶融重合における280℃での保持時間を50分としたこと以外は、実施例1と同様にしてプレポリマー粉末2を得た。
プレポリマー粉末2の嵩比重を評価した結果、0.645であった。また流動開始温度(FT)を測定したところ、227℃であった。さらに、プレポリマー粉体2の長径Lと短径Dとの比率L/Dを測定したところ、3.2であった。
溶融重合における280℃での保持時間を50分としたこと以外は、実施例1と同様にしてプレポリマー粉末2を得た。
プレポリマー粉末2の嵩比重を評価した結果、0.645であった。また流動開始温度(FT)を測定したところ、227℃であった。さらに、プレポリマー粉体2の長径Lと短径Dとの比率L/Dを測定したところ、3.2であった。
得られたプレポリマー粉末2を、340mm×240mm×70mmのトレーに2.3kgを計量した結果、充填可能なことを確認した。
トレーを電気炉に仕込み、窒素雰囲気下、室温から225℃まで3.6℃/minの速度で昇温し、次に235℃まで1.0℃/minの速度で昇温した。更に0.02℃/minの速度で247℃まで昇温し、同温度で5時間保持して放冷後取出し、流動開始温度が271℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。
トレーを電気炉に仕込み、窒素雰囲気下、室温から225℃まで3.6℃/minの速度で昇温し、次に235℃まで1.0℃/minの速度で昇温した。更に0.02℃/minの速度で247℃まで昇温し、同温度で5時間保持して放冷後取出し、流動開始温度が271℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。
(実施例3)
溶融重合における280℃での保持時間を85分としたこと以外は、実施例1と同様にしてプレポリマー粉末3を得た。
プレポリマー粉末3の嵩比重を評価した結果、0.509であった。また流動開始温度(FT)を測定したところ、240℃であった。さらに、プレポリマー粉体3の長径Lと短径Dとの比率L/Dを測定したところ、4.5であった。
溶融重合における280℃での保持時間を85分としたこと以外は、実施例1と同様にしてプレポリマー粉末3を得た。
プレポリマー粉末3の嵩比重を評価した結果、0.509であった。また流動開始温度(FT)を測定したところ、240℃であった。さらに、プレポリマー粉体3の長径Lと短径Dとの比率L/Dを測定したところ、4.5であった。
得られたプレポリマー粉末3を、340mm×240mm×70mmのトレーに2.3kgを計量した結果、充填可能なことを確認した。
トレーを電気炉に仕込み、窒素雰囲気下、室温から225℃まで3.6℃/minの速度で昇温し、次に235℃まで1.0℃/minの速度で昇温した。更に0.02℃/minの速度で243℃まで昇温し、同温度で5時間保持して放冷後取出し、流動開始温度が270℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。
トレーを電気炉に仕込み、窒素雰囲気下、室温から225℃まで3.6℃/minの速度で昇温し、次に235℃まで1.0℃/minの速度で昇温した。更に0.02℃/minの速度で243℃まで昇温し、同温度で5時間保持して放冷後取出し、流動開始温度が270℃の液晶ポリエステルの粉末を得た。
(比較例1)
溶融重合における280℃での保持時間を100分としたこと以外は、実施例1と同様にしてプレポリマー粉末4を得た。
プレポリマー粉末4の嵩比重を評価した結果、0.304であった。また流動開始温度(FT)を測定したところ、244℃であった。さらに、プレポリマー粉体4の長径Lと短径Dとの比率L/Dを測定したところ、5.8であった。
溶融重合における280℃での保持時間を100分としたこと以外は、実施例1と同様にしてプレポリマー粉末4を得た。
プレポリマー粉末4の嵩比重を評価した結果、0.304であった。また流動開始温度(FT)を測定したところ、244℃であった。さらに、プレポリマー粉体4の長径Lと短径Dとの比率L/Dを測定したところ、5.8であった。
得られたプレポリマー粉末をトレーに2.3kgを計量した結果、充填できずにトレーからあふれ出た。
実施例1〜3および比較例1の結果を下記表1に示す。
実施例1から3のように、プレポリマーの流動開始温度が210℃以上240℃以下であり、プレポリマー粉末のL/Dが1以上4.5以下であるものは、実機での固相重合時に仕込み量が多く良好な生産が可能である一方、数値範囲が外れる比較例1のプレポリマー粉末では、仕込み量が少なく生産性が低いため実生産不可であることが確かめられた。
これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。
これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。
1…製造装置、10…重合装置、11…重合槽、12…攪拌機、14…回収装置、20…冷却装置、30…粉砕装置、31…第1粉砕機、32…第2粉砕機、P…プレポリマー
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位と、を含む液晶ポリエステルのプレポリマーを溶融重合によって調製する工程と、
冷却し固化した前記プレポリマーを粉砕しプレポリマー粉末を得る工程と、
前記プレポリマー粉末を加熱し、固相重合によって前記プレポリマーよりも高重合度の液晶ポリエステルを調整する工程と、を有し、
前記プレポリマーは、流動開始温度が210℃以上240℃以下であり、
前記プレポリマー粉末は、長軸方向の粒子径Lと、当該長軸方向と直交する方向の粒子径Dと、の比L/Dが1以上4.5以下である液晶ポリエステルの製造方法。
一般式(1)は、R1のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。)
一般式(2)は、R2,R3のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の繰り返し単位を含むこととしてもよい。) - 全繰り返し単位の合計量に対して、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量が20mol%以上80mol%以下であり、前記一般式(2)で表される繰り返し単位の含有量が20mol%以上80mol%以下である請求項1に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
- 前記プレポリマーを調整する工程に先だって、下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、のいずれか一方または両方をアシル化する工程を有する請求項1または2に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
一般式(3)は、R1,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。)
一般式(4)は、R2,R3,Xのうち少なくとも1つが互いに異なる複数の化合物を含むこととしてもよい。) - 前記プレポリマーを調整する工程は、前記アシル化する工程の終了時の温度から前記溶融重合における最終到達温度までの温度範囲において、昇温時には昇温速度を0.1℃/分以上1.5℃/分以下とする請求項3に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
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JP2020083967A (ja) * | 2018-11-20 | 2020-06-04 | 住友化学株式会社 | 芳香族ポリエステル及びその製造方法並びに組成物 |
-
2012
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