JP2012212845A - 電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属蓋がガラス接合材によって接合された電子装置において金属蓋の接合強度および接合信頼性向上させること。
【解決手段】電子装置は、セラミック容器体1と、セラミック容器体1に収容された電子部品と、電子部品を覆うようにガラス接合材3によってセラミック容器体1に接合されており表層にニッケルを含む層を有する金属蓋2とを含んでいる。金属蓋2は、ガラス接合材3との接合面から内部に向かって、加速電圧10kV、試料電流10nA、測定領域100μ
m角、試料傾斜30度の条件で行なったオージェ分光分析によるニッケルの最大強度に対する酸素のピーク強度の割合が0.3以下であり、ニッケルの最大強度に対する加速電圧2k
VのArエッチングによる熱酸化SiO膜厚換算において前記接合面から20nm内側における酸素の強度の割合が0.2以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子部品が気密状態で封止された電子装置に関するものである。
従来、電子部品が気密状態で封止された電子装置は、例えば酸化アルミニウム質焼結体等から成るセラミック容器体と、セラミック容器体に接合された金属蓋とを含んでいる。金属蓋は、表層にニッケル層を有しており、例えば低融点ガラスから成るガラス接合材によってセラミック容器体に接合される。金属蓋は、予めガラス接合材が被着された状態でセラミック容器体に載置されて接合される。
特開2004−296572号公報
一般的に、予め金属蓋にガラス接合材を被着させる工程は、金属蓋にガラス接合材を塗布して酸化雰囲気における加熱処理を施すことによって行なわれる。この工程において、金属蓋の表層のニッケル層は酸化される。従来、このニッケル層の過度な酸化によって、金属蓋およびガラス接合材の接合強度および接合信頼性が低下していた。今後、電子装置の小型化がさらに進むため、金属蓋がガラス接合材によってセラミック容器体に接合された電子装置においては、金属蓋のセラミック容器体に対する接合強度および接合信頼性が向上される必要がある。
本発明の一つの態様によれば、電子装置は、セラミック容器体と、セラミック容器体に収容された電子部品と、電子部品を覆うようにガラス接合材によってセラミック容器体に接合されており表層にニッケルを含む層を有する金属蓋とを含んでいる。金属蓋は、ガラス接合材との接合面から内部に向かって、加速電圧10kV、試料電流10nA、測定領域100μm角、試料傾斜30度の条件で行なったオージェ分光分析によるニッケルの最大強度に
対する酸素のピーク強度の割合が0.3以下であり、ニッケルの最大強度に対する加速電圧
2kVのArエッチングによる熱酸化SiO膜厚換算において前記接合面から20nm内側における酸素の強度の割合が0.2以下である。
本発明の一つの態様による電子装置は、ガラス接合材によってセラミック容器体に接合されており表層にニッケルを含む層を有する金属蓋が、ガラス接合材との接合面から内部に向かって、加速電圧10kV、試料電流10nA、測定領域100μm角、試料傾斜30度の条
件で行なったオージェ分光分析によるニッケルの最大強度に対する酸素のピーク強度の割合が0.3以下であり、ニッケルの最大強度に対する加速電圧2kVのArエッチングによ
る熱酸化SiO膜厚換算において前記接合面から20nm内側における酸素の強度の割合が0.2以下であることによって、金属蓋のセラミック容器体に対する接合強度および接合
信頼性に関して向上されている。
(a)は本発明の第1の実施形態における電子装置の平面図を示しており、(b)は(a)に示された電子装置のA−A’における縦断面図を示している。 図1(b)に示された電子装置の符号Bによって示された部分の拡大図を示している。 図2に示された構造において符号Cによって示された部分の拡大図を示している。 (a)は図1に示された電子装置の製造方法において接合前の金属蓋の配置状態を示す断面図であり、(b)は(a)に示された構成部材を加熱封止して得られる電子装置を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に含まれる一つの例における電子装置のオージェ分光分析の結果を示すグラフである。 比較例の電子装置におけるオージェ分光分析の結果を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態における電子装置の縦断面図を示している。 (a)は参考例1における電子装置を示す縦断面図であり、(b)は参考例2における電子装置を示す縦断面図である。
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)および(b)に示されているように、本発明の第1の実施形態における電子装置は、セラミック容器体1と、ガラス接合材3によってセラミック容器体1に接合された金属蓋2と、セラミック容器体1に収容された電子部品4と、セラミック容器体1に設けられており導電性樹脂5によって電子部品4に電気的に接続されている配線導体6とを含んでいる。図1(a)において、電子装置は内部構造を示すことを目的に金属蓋2が外された状態で示されている。
セラミック容器体1は、平面視において略中央部に電子部品4が収容される凹部を有しており、凹部内の搭載部に電子部品4が電気的に接続される配線導体6の一部が設けられており、電子部品4が、配線導体6の一部に導電性樹脂5を介して接着されて固定される。セラミック容器体1における電子部品4の搭載部から底面にかけて複数の配線導体6が形成されている。セラミック容器体1は、例えば、図1(a)において2〜8mmの横寸法を有しており1〜5mmの縦寸法を有しており、図1(b)において0.5〜1.5mmの高さ寸法を有している。
セラミック容器体1は、酸化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,窒化珪素質焼結体または炭化珪素質焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤および分散剤等を添加混合して泥漿物を作り、この泥漿物をドクターブレード法またはカレンダーロール法等のシート成形法によってシート状に成形してセラミックグリーンシート(すなわちセラミック生シート)を得て、しかる後、それらセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約1600℃の高温で焼成することによって製作される。
金属蓋2は、電子部品4を覆うようにセラミック容器体1に接合されている。金属蓋2は、基材2aと、基材2aの表面に形成されたニッケルめっき層2bとを含んでいる。図3に示されているように、金属蓋2は、ニッケルめっき層2bの表面に形成された酸化膜2cを含んでいる。酸化膜2cは、表面2cに近い部分は酸化されている度合いが比較的高く、深さ方向dへ表面から離れるに伴って酸化の度合いが小さくなっている構造であってよい。酸化膜2cは、ニッケルの酸化物から成る膜である。金属蓋2は、表層に、ニッケルめっき層2bおよび酸化膜2cから成るニッケルを含む層2eを有している。
金属蓋2は、例えば0.05〜0.2mm程度の厚みを有しており、平板形状を有している。
金属蓋2は、セラミック容器体1の外形寸法より0.1〜0.3mm小さい外形寸法を有しており、42アロイ材(42%ニッケル、残鉄)、鉄−ニッケル−コバルト合金材(29%ニッケル、17%コバルト、残鉄)等のセラミック容器体1に近い熱膨張係数をもつ金属材料から成る。
金属蓋2が、42アロイ材から成る場合、材料インゴットを圧延したリボン状の材料を用い、打ち抜きプレスで所定形状に打ち抜き、しかる後、表面に電解ニッケルめっきを2〜8μ程度形成し、最後に酸化雰囲気中で100〜200℃、5〜60分程度加熱することで電解ニッケルめっきの表面を軽度に酸化させることによって製作される。
ガラス接合材3は、酸化鉛50〜65質量%、フッ化鉛10〜30質量%、酸化硼素2〜10質量%、酸化亜鉛1〜6質量%および酸化ビスマス10〜20質量%を含むガラス成分にフィラーとしてチタン酸鉛系化合物を外添加で26〜45質量%添加したものが好適である。このガラス接合材3は、そのガラス軟化温度を300℃以下と低くすることができ、セラミック容器
体1と金属蓋2とをガラス接合材3を介して接合させ、セラミック容器体1と金属蓋2とから成るセラミック容器体内部に電子部品4を気密に収容する際、ガラス接合材3を溶融させる熱が内部に収容する電子部品4に作用しても電子部品4の特性に劣化を招来することはなく、その結果、電子部品4を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
電子部品4は、例えば、水晶振動素子等の圧電素子等である。
導電性樹脂5は、例えば導電性エポキシ樹脂等から成る。電子部品4は、導電性樹脂5を介してセラミック容器体1に載置され、しかる後、導電性樹脂5に熱硬化処理が施されて熱硬化されることによって、セラミック容器体1に接着されて固定される。電子部品4の複数の電極が、セラミック容器体1における電子部品4の搭載部に設けられた配線導体6の一部に導電性樹脂5を介して電気的に接続される。セラミック容器体1の底面に導出された配線導体6の他の一部は、外部電気回路の配線導体(図示せず)が半田等のろう材を介して取着される。
なお、配線導体6は、例えば、タングステン,モリブデンまたはマンガン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤,溶媒および可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストをスクリーン印刷法等の印刷手法によってセラミック容器体1となるセラミックグリーンシートに予め印刷塗布しておき、これをセラミックグリーンシートと同時に焼成することによってセラミック容器体1の搭載部から底面にかけて所定パターンに被着形成される。また、配線導体6はその表面にニッケルおよび金等の良導電性で耐蝕性およびろう材との濡れ性が良好な金属をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくと、配線導体6の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配線導体6と電子部品4との導電性樹脂5による接続および配線導体6と外部電極とのろう付けを極めて強固となすことができる。
さらに、セラミック容器体1の上面には金属蓋2がガラス接合材3を介して接合され、これによってセラミック容器体1と金属蓋2とから成る容器の内部に電子部品4が気密に収容される。
本実施形態の電子装置において、金属蓋は、ガラス接合材との接合面から内部に向かって、加速電圧10kV、試料電流10nA、測定領域100μm角、試料傾斜30度の条件で行な
ったオージェ分光分析によるニッケルの最大強度に対する酸素のピーク強度の割合が0.3
以下であり、ニッケルの最大強度に対する加速電圧2kVのArエッチングによる熱酸化
SiO膜厚換算において前記接合面から20nm内側における酸素の強度の割合が0.2以
下となるように形成されている。
セラミック容器体1と金属蓋2との接合(すなわち電子部品4が収容された空間の封止)は、まず、ガラス接合材3となるガラスペーストをセラミック容器体1における金属蓋2の接合面に例えばスクリーン印刷法等によって印刷して予め被着させておき、これを酸化雰囲気中でガラスペーストの軟化点以上の温度によって加熱してガラスペーストから不要な有機物を蒸発および分解させると共にセラミック容器体1にガラスペーストを溶融させた状態で被着させ、次に、セラミック容器体1に電子部品4を導電性樹脂5を介して接着して固定し、さらに、ガラスペースト上に金属蓋2を載置して、一定の加重を金属蓋2にかけた状態でガラスペーストの溶融温度(例えばガラスペーストの軟化点よりも40℃程度高い温度)にて窒素雰囲気中で熱処理することによって行なわれる。
このようにして金属蓋2を接合した場合には、従来の金属蓋2に予めガラス接合材3を被着させる方法において加わる熱履歴(金属蓋2にガラス接合材3を接着させる際の熱履歴)が加わらないことで、最終的に金属蓋2をガラス接合材3に接合する際に金属蓋2のガラス接合材3との接合表面には極薄く軽度に酸化された酸化膜が形成されるものの、従来行われていた金属蓋2にガラス接合材3を被着形成した後にセラミック容器体1と接合する場合に比べると金属蓋3表面では大幅に酸化のレベルと厚みが小さいものとなる。
また、従来、金属のガラスとの接合時には表面に緻密な酸化膜を形成することが良いといわれてきたが、検証の結果、緻密な酸化膜が良いのは、無垢の金属のように高温を加えても、表面に形成された酸化膜と金属との接合強度が低下しない場合であり、表面にニッケルめっきを行った42アロイ板のニッケルめっきのような場合には、例えシンター処理を行ってめっきを金属化したとしても、ニッケルめっき表面が一定以上のレベルまで酸化が進んだ場合には、酸化膜とニッケルめっき間で剥離しやすくなるので酸化の進んだ緻密な酸化膜を形成することは事実上難しいことを見出した。
本実施形態では、金属蓋2におけるニッケルめっきの酸化をオージェ分光分析でニッケルの最大強度に対する酸素のピーク強度(酸素のピーク強度/ニッケルの最大強度)が、0.3以下であり、加速電圧2kVでArエッチングを行った場合に熱酸化SiO膜厚換
算でニッケルの最大強度に対する金属蓋表面から20nm内側での酸素の強度(酸素の強度/ニッケルの最大強度)が0.2以下となるレベルにコントロールすることで、ニッケルめ
っきにガラス接合材が濡れ広がると共に、ニッケルめっきと酸化膜の剥離を抑えることが出来るようになったことで、金属蓋を用いた場合であっても、活性金属層の形成が不要になったので、作成工程数を減少させて高信頼性の小型薄型の電子装置とすることができるようになった。なお、ここで、オージェ分析での酸素の強度とは、各Arエッチング深さで測定された酸素のオージェ電子の強さであり、酸素のピーク強度は最も強く検出された酸素のオージェ電子の強さのことを示す。ニッケルの最大強度とは、ニッケルのオージェ電子の検出された強さがほぼ一定となった点の強さをいい、本実施形態においては加速電圧2kVのArエッチングによる熱酸化SiO膜厚換算において金属蓋2の表面から200nmの強さのことをいう。このことから、ニッケルめっき表面から各深さでのオージェ
分析での酸素の強度/ニッケルの最大強度はニッケル中に酸化ニッケルが含まれている比率と比例関係にあると思われるため、従来に比べ、軽度に酸化したニッケルめっきであれば、金属蓋2に直接ガラス接合材3を接合しても十分高信頼性な接合となることがわかる。
本実施形態における電子装置は、ガラス接合材によってセラミック容器体に接合された金属蓋が、ガラス接合材との接合面から内部に向かって、加速電圧10kV、試料電流10nA、測定領域100μm角、試料傾斜30度の条件で行なったオージェ分光分析によるニッケ
ルの最大強度に対する酸素のピーク強度の割合が0.3以下であることによって、金属蓋の
セラミック容器体に対する接合強度に関して向上されている。さらに、本実施形態における電子装置は、ガラス接合材によってセラミック容器体に接合された金属蓋が、ニッケルの最大強度に対する加速電圧2kVのArエッチングによる熱酸化SiO膜厚換算において前記接合面から20nm内側における酸素の強度の割合が0.2以下であることによって
、金属蓋のセラミック容器体に対する接合信頼性に関して向上されている。
(実施例)
外形寸法3.2×2.5mm、素子搭載部寸法1.6×0.9mm、高さ0.8mm、素子搭載部厚み0.25mmのセラミック容器体1を準備した。
外形寸法3.0×2.3×0.08mmの42アロイ板の前面に電解ニッケルめっきを2〜6μm、平均で3.5μm形成した金属蓋2を準備した。
酸化鉛60質量%、フッ化鉛20質量%、酸化硼素6質量%、酸化亜鉛3.5質量%および酸
化ビスマス15質量%を含むガラス成分にフィラーとして最大粒径25μm・平均粒径2.5μ
mのチタン酸鉛系化合物を外添加で36質量%添加したものをガラス接合材3として準備した。
サンプル1として、セラミック容器体1の外周縁部にスクリーン印刷でガラス接合材3となるペーストを塗布し、ピーク330℃の酸化雰囲気中でグレーズし、ガラス接合材3を
平均厚み0.08mmで形成した後に、酸化雰囲気中で150℃、30分加熱することで電解ニッ
ケルめっきの表面を酸化させた金属蓋2の外周縁部がガラス接合材3に接触するように配置し、ピーク355℃で金属蓋2とセラミック容器体1をガラス接合材3で接合したサンプ
ルを100個作成した。
金属蓋2の酸化条件を、酸化雰囲気中で200℃、30分加熱することに変更した以外はサ
ンプル1と同様にして作成したサンプルをサンプル2として100個作成した。
金属蓋2とセラミック容器体1をガラス接合材3で接合する接合条件をピーク340℃に
変更した以外はサンプル1と同様にして作成したサンプルをサンプル3として100個作成
した。
金属蓋2を予め750℃の還元雰囲気でニッケルめっきをシンター処理した以外はサンプ
ル1と同様にして作成したサンプルをサンプル4として100個作成した。
金属蓋2を予め750℃の還元雰囲気でニッケルめっきをシンター処理し、金属蓋2の酸
化条件を、酸化雰囲気中で200℃、30分加熱することに変更した以外はサンプル1と同様
にして作成したサンプルをサンプル5として100個作成した。
金属蓋2を予め750℃の還元雰囲気でニッケルめっきをシンター処理し、金属蓋2とセ
ラミック容器体1をガラス接合材3で接合する接合条件をピーク340℃に変更した以外は
サンプル1と同様にして作成したサンプルをサンプル6として100個作成した。
金属蓋2の酸化条件を、酸化雰囲気中で330℃、30分加熱することに変更した以外はサ
ンプル1と同様にして作成したサンプルを比較用サンプル7として100個作成した。
金属蓋2の外周縁部にスクリーン印刷で上記ガラス接合材3となるペーストを塗布し、ピーク330℃の酸化雰囲気中でグレーズし、ガラス接合材3を平均厚み0.08mmで形成し
た後に、セラミック容器体1の外周縁部がガラス接合材3に接触するように配置し、ピー
ク355℃で金属蓋2とセラミック容器体1をガラス接合材3で接合したサンプルを比較用
サンプル8として100個作成した。
上記各サンプルにおいて、接合サンプルの金属蓋2とセラミック容器体1の間のガラス接合材3にカッターナイフ先端を差込むようにして、金属蓋2をガラス接合材3から剥がし、金属蓋2とガラス接合材3の接合部の金属蓋2表面をオージェ分光分析した。その結果、サンプル1〜6および、サンプル7と8においては、ほぼ同様な傾向があった。その各々の代表的な例としてサンプル1の分析結果を図5、サンプル7の分析結果を図6に示す。
図5に示されているように、本発明の実施形態に含まれる一つの例における電子装置のオージェ分光分析の結果において、ニッケルの最大強度(200nmにおける強度)は5.6×10であり、酸素のピーク強度は1.6×10である。したがって、ニッケルの最大強度に
対する酸素のピーク強度の割合は0.28であり、本実施形態における割合である0.3以下と
なっている。また、接合面から20nm内側における酸素の強度は1.0×10である。した
がって、ニッケルの最大強度に対する接合面から20nm内側における酸素の強度の割合は0.18であり、本実施形態における割合である0.2以下となっている。
図6に示されているように、比較例の電子装置のオージェ分光分析の結果において、ニッケルの最大強度(200nmにおける強度)は7.8×10であり、酸素のピーク強度は3.8
×10である。したがって、ニッケルの最大強度に対する酸素のピーク強度の割合は0.49であり、本実施形態における割合である0.3よりも大きい。また、接合面から20nm内側
における酸素の強度は3.6×10である。したがって、ニッケルの最大強度に対する接合
面から20nm内側における酸素の強度の割合は0.46であり、本実施形態における割合である0.2よりも大きい。
また、上記サンプル1〜8のうち、20個を初期でせん断強度測定を行い。残り80個は0
℃〜100℃水の熱衝撃試験1000サイクルに投入してリークを測定し良否を判定した。
サンプル1〜6においては、加速電圧10kV、試料電流10nA、測定領域100μm角、
試料傾斜30度の条件で行ったオージェ分光分析で酸素のピーク強度/ニッケルの強度が、0.3以下であり、加速電圧2kVでArエッチングを行った場合に熱酸化SiO2膜厚換算で接合面の金属蓋表面から20nm内側での酸素の強度/ニッケルの強度が0.2以下となる
レベルにコントロールされていることで、ニッケルめっきにガラス接合材が濡れ広がると共に、ニッケルめっきと酸化膜の剥離を抑えることが出来るようになったことで、初期のせん断強度が全て4kg以上有り、且つ温度サイクル1000サイクル後に不良の発生が無い。
それに対し、比較例サンプル7は金属蓋2表面のニッケルめっきの酸化が進みすぎており、濡れ広がりは良く、せん断強度においても本発明品と大きな違いは無いものの、温度サイクル信頼性後の不良発生はニッケルめっきと酸化膜との物理特性の違いが大きいことでニッケル酸化膜のニッケルめっきからの剥離によって気密不良が発生していると思われる。
また、比較例サンプル8は金属蓋2にガラス接合材3を形成する工程中において酸化雰囲気中で約330℃程度に加熱されるため、金属蓋2単独での酸化工程は無いが、結果とし
て金属蓋2表面のニッケルめっきの酸化が進みすぎていることで、比較サンプル7と同様に温度サイクル信頼性後の不良発生はニッケルめっきとニッケル酸化膜との物理特性の違いが大きいことでニッケル酸化膜の剥離によって気密不良が発生していると思われる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における電子装置について図7を参照して説明する。第2の実施形態の電子装置において第1の実施形態の電子装置と異なる構成は、金属蓋2が貫通孔2aを有していることと、封止部材8が貫通孔2a内に設けられていることである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
金属蓋2の貫通孔2aは、セラミック容器体1の内部空間に通じており、内部空間は、貫通孔2a内に設けられた封止部材8によって封止されている。封止部材8は、例えばAu−Ge合金等の金属材料から成る。
本実施形態における電子装置の組立ては、次のように行われる。まず、ガラス接合材3となるガラスペーストをセラミック容器体1における金属蓋2との接合面に例えばスクリーン印刷法等によって印刷して予め被着しておく。次に、酸化雰囲気中でガラスペーストの軟化点以上の温度によって加熱してガラスペーストから不要な有機物を蒸発および分解させると共にガラスペーストを溶融させてガラス接合部材3をセラミック容器体1に形成する。次に、導電性樹脂5によってセラミック容器体1に電子部品4を実装する。次に、カラス接合部材3上に金属蓋2を載置して、金属蓋2に一定の加重をかけた状態でガラス接合部材3の溶融温度(例えばガラス接合部材3の軟化点よりも40℃程度高い温度)にて窒素雰囲気中で熱処理することによって金属蓋2をセラミック容器体1に接合する。次に、封止部材8を溶融させて封止部材8を金属蓋2の貫通孔2a内に充填させる。封止部材8が金属蓋2の貫通孔2a内に充填されることによって、セラミック容器体1の内部空間が封止される。
本実施形態における電子装置は、金属蓋2がセラミック容器体1の内部空間に通じる貫通孔2aを有しており、貫通孔2a内に設けられた封止部材8によって内部空間が封止されているという構造を有していることによって、ガラス接合材3によって金属蓋2を接合する際の加熱処理において例えばガラス部材3または導電性樹脂5から発生した不要なガスが金属蓋2の貫通孔2aから放出されて、不要なガスによって金属蓋2が浮き上がる現象が低減されて、ガラス接合材3による金属蓋2の接合強度および信頼性が向上されている。
本実施形態における電子装置は、予めセラミック容器体1の上端部にガラス接合材3を付着させておき、ガラス接合材3上に金属蓋2を載置してガラス接合材3を溶融させて金属蓋2を固定するという組立て方法によって製造されるため、図8(a)に示された予め金属蓋2にガラス接合材3が付着されているという参考例に比べて、図7における部分拡大図に示されているように、ガラス接合材3の一部が金属蓋2の側面2bに付着するように這い上がっている構造を実現しやすい。ガラス接合材3の一部が金属蓋2の側面2bに付着するように這い上がっている場合、金属蓋2の接合に関する強度および信頼性が向上される。本実施形態における電子装置は、このようにガラス接合材3の一部が金属蓋2の側面2bに付着するように這い上がりやすい組立て方法によって製造されていることに加えて、さらに不要なガスによって金属蓋2が浮き上がる現象が低減される構造を有していることによって、ガラス接合材3の一部の這い上がりがさらに起こりやすくなっており、金属蓋2の接合に関する強度および信頼性がさらに向上されている。例えば不要なガスによる金属蓋2の浮き上がりが大きい場合、図8(b)に示されているようにガラス接合材3が金属蓋2の側面には這い上がらずに金属蓋2の下面にのみ付着している可能性がある。ガラス接合材3が金属蓋2の下面にのみ付着している構造は、ガラス接合材3が金属蓋2の側面にも付着している構造に比べて、ゼラミック容器体1に対する金属蓋2の接合強度および信頼性に関して低いものとなる。近年の電子装置の小型化要求によって金属蓋2のサイズも小さくなってきており、金属蓋2が軽くなり浮きやすくなり、または金属蓋2の下面における接合面積が小さくなってきているため、金属蓋2の接合強度および信頼性
を向上させるためには、本実施形態の電子装置のように金属蓋2の接合の際に金属蓋2が浮き上がらないようにすることが求められている。
1・・・・・セラミック容器体(圧電振動子収納用容器)
2・・・・・金属蓋
2a・・・・金属蓋基材
2b・・・・ニッケルめっき
2c・・・・酸化膜
3・・・・・ガラス接合材
4・・・・・電子部品(圧電振動子)
5・・・・・導電性樹脂
6・・・・・配線導体

Claims (2)

  1. セラミック容器体と、
    該セラミック容器体に収容された電子部品と、
    該電子部品を覆うようにガラス接合材によって前記セラミック容器体に接合されており、表層にニッケルを含む層を有する金属蓋とを備えており、
    前記金属蓋は、前記ガラス接合材との接合面から内部に向かって、加速電圧10kV、試料電流10nA、測定領域100μm角、試料傾斜30度の条件で行なったオージェ分光分析に
    よるニッケルの最大強度に対する酸素のピーク強度の割合が0.3以下であり、ニッケルの
    最大強度に対する加速電圧2kVのArエッチングによる熱酸化SiO膜厚換算において前記接合面から20nm内側における酸素の強度の割合が0.2以下であることを特徴とす
    る電子装置。
  2. 前記金属蓋が、前記セラミック容器体の内部空間に通じる貫通孔を有しており、該貫通孔内に設けられた封止部材によって前記内部空間が封止されていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
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