JP2006156594A - 電子部品収納用容器および電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電子部品をその特性の劣化を招来することなく気密に封止し、電子部品を長期間にわたり正常に作動させることができる小型かつ薄型の電子部品収納用容器および電子装置を提供すること。
【解決手段】 上面に電子部品4を搭載するための凹部を有する絶縁基体1と、絶縁基体1の上面に封止材3を介して接合され、絶縁基体1との間の空間に電子部品4を気密に収容する蓋体2とから成る電子部品収納用容器であって、蓋体2の下面に、凸部2aが形成されており、凸部2aの側面と凹部の側面との間に全周にわたって間隙を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は半導体素子や圧電振動子等の電子部品を気密に封止して収納するための電子部品収納用容器および電子装置に関し、特に封止材にガラスを用いて封止を行う電子部品収納用容器に関する。
従来、半導体集積回路素子をはじめとする半導体素子あるいは水晶振動子,弾性表面波素子といった圧電振動子等の電子部品を収容するための電子部品収納用容器は、例えば酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面の略中央部に電子部品を搭載するための搭載部およびその周辺から下面にかけて導出されたタングステンやモリブデン等の高融点金属から成る複数個のメタライズ配線層を有する略平板状の絶縁基体と、それに対向する面の略中央部に電子部品を収容するための凹部を有する蓋体とから構成されている。
そして、電子部品が例えば圧電振動子の場合には、絶縁基体の搭載部に圧電振動子の一端を導電性エポキシ樹脂等から成る導電性樹脂を介して接着固定するとともに圧電振動子の各電極をメタライズ配線層に電気的に接続し、しかる後、絶縁基体の上面に蓋体を低融点ガラスから成る封止材を介して接合させ、絶縁基体と蓋体とから成る容器内部に圧電振動子を気密に収納することによって最終製品としての電子装置と成る。
なお、絶縁基体に蓋体を接合させる封止材としては、例えば酸化鉛56〜66重量%、酸化ホウ素4〜14重量%、酸化珪素1〜6重量%、酸化亜鉛 0.5〜3重量%および酸化ビスマス0.5〜5重量%を含むガラス成分に、フィラーとしてコージェライト系化合物を10〜20重量%添加した鉛系のガラスが使用されている。
特開平5−121582号公報
しかしながら、近時の携帯電子機器の普及に伴い電子部品収納用容器の小型化,薄型化の要求が日増しに高まってきている。他方、自動車への電子部品の搭載が増加する中、電子部品収納用容器の高い気密信頼性が要求されている。ガラス封止の電子部品収納用容器においても小型化,薄型化および気密信頼性に関する高い要求の中、上面に電子部品を搭載するための凹部を有する絶縁基体と、絶縁基体の上面に接合され、絶縁基体との間の空間に電子部品をガラス封止材で気密に収納する平板状の蓋体とから成る電子部品収納用容器が考案されている。
しかしながら、この電子部品収納用容器では、蓋体の厚さを薄くすることによって電子部品収納用容器の曲げ強度を保持したまま薄型化が実現可能であるが、蓋体の薄型化にともない封止時の絶縁基体と蓋体との位置合わせが困難になる傾向がある。一方、電子部品収納用容器の小型化による封止幅の減少に伴い、封止時の絶縁基体と蓋体との高い位置合わせ精度が求められており、上面に電子部品を搭載するための凹部を有する絶縁基体と、絶縁基体の上面に接合され、絶縁基体との間の空間に電子部品をガラス封止材で気密に収容する平板状の蓋体とから成る電子部品収納用容器では、その小型化,薄型化が進むにつれて位置合わせがより困難となり、気密封止の信頼性が低下するという問題を誘発していた。
また、この従来の電子部品収納用容器においては、絶縁基体に蓋体を接合させる封止材の溶融温度が400℃程度と高いため、絶縁基体と蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と蓋体とから成る電子部品収納用容器内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融する熱が内部に収容する電子部品に作用して電子部品に特性劣化を招来させるという問題点を有していた。
更に、絶縁基体に蓋体を接合させる封止材の溶融温度が400℃程度と高く、絶縁基体と蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と蓋体とから成る電子部品収納用容器内部に電子部品を気密に収容する際に封止材を溶融させる熱によって電子部品を接着固定する導電性樹脂を劣化させてしまうため、電子部品を接着固定する導電性樹脂に使用上の制限があり、衝撃性に強いエポキシ系やシリコーン系の導電性樹脂を使用することができず、落下試験等の耐衝撃信頼性上の問題点を有していた。
また、封止材として有機樹脂を用いた場合、有機樹脂は硬化温度が低いものの耐湿性に劣るため、大気中に含まれる水分が封止材を通して絶縁基体と蓋体とから成る電子部品収納用容器内部に入り込み、その結果、電子部品収納用容器内部に収容する電子部品表面に水分が付着し、電子部品表面の電極を酸化腐食して電子部品の特性にバラツキを発生させるという問題点を有していた。
また、ガラスを用いて封止を行う電子部品収納用容器においては、気密封止に必要なガラス封止材の厚さや封止幅が低温金属ろう材や樹脂封止材等の他の封止材に較べ厚くまたは広くなる傾向があり、ガラスを用いて封止を行う電子部品収納用容器での小型化,薄型化の支障となっていた。
本発明は、上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は電子部品をその特性の劣化を招来することなく気密に封止し、電子部品を長期間にわたり正常に作動させることができる小型かつ薄型の電子部品収納用容器および電子装置を提供することにある。
本発明の電子部品収納用容器は、上面に電子部品を搭載するための凹部を有する絶縁基体と、該絶縁基体の上面に前記凹部の開口部を塞ぐようにして封止材を介して接合される蓋体とから成る電子部品収納用容器であって、前記蓋体の下面に凸部を形成するとともに、該凸部の側面と前記凹部の側面との間に全周にわたって間隙を設けたことを特徴とする。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、前記間隙の幅が0.02〜0.3mmであることを特徴とする。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、前記蓋体、前記凸部、前記絶縁基体および前記凹部の形状が平面視して略相似形であり、前記蓋体の外寸法を前記絶縁基体の外寸法よりも0.05〜0.20mm小さく、前記凸部の外寸法を前記凹部の内寸法よりも0.05〜0.20mm小さくし、さらに、前記蓋体の中央部の厚みを0.15〜0.30mm、前記凸部の厚みを0.05〜0.10mmとしたことを特徴とする。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、前記封止材が非晶質ガラスにセラミックフィラーを添加したガラス封止材から成ることを特徴とする。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、前記ガラス封止材が、非晶質ガラス100質量部に最大粒径20〜30μm、平均粒径3〜4μmのセラミックフィラー粉末を10〜60質量部添加して成ることを特徴とする。
本発明の電子装置は、上記本発明の電子部品収納用容器の前記凹部に電子部品を収納してなることを特徴とする。
本発明の電子部品収納用容器によれば、蓋体の下面に凸部を形成するとともに、この凸部の側面と凹部の側面との間に全周にわたって間隙を設けたことから、絶縁基体と蓋体とを封止材を介して接合させ電子部品収納用容器を気密に封止する際、溶融した封止材の表面張力が蓋体を絶縁基体の中心部に位置合わせする方向に働き、絶縁基体と蓋体とを極めて高い位置精度で封止することができる小型,薄型の電子部品収納用容器とすることができる。
また、絶縁基体と蓋体とを接合する際、封止材が間隙に入り込みやすくなり、蓋体の下面と絶縁基体の上面とを封止材を介して接合するだけでなく、蓋体の凸部の側面と絶縁基体の凹部の側面とも封止材を介して接合することができ、気密性が非常に高いものとなる。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、間隙の幅が0.02〜0.3mmであることから、絶縁基体と蓋体とを接合する際、封止材が間隙に入り込みやすくなり、この間隙に入り込んだ封止材の表面張力によって蓋体が凹部に対して位置精度よく移動しやすくなり、蓋体と絶縁基体との接合面積を全周にわたって非常に均一にすることができ、封止不良が生じるのを良好に防止できる。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、蓋体、凸部、絶縁基体および凹部の形状が平面視して略相似形であり、蓋体の外寸法を絶縁基体の外寸法よりも0.05〜0.20mm小さく、凸部の外寸法を凹部の内寸法よりも0.05〜0.20mm小さくし、さらに、蓋体の中央部の厚みを0.15〜0.30mm、凸部の厚みを0.05〜0.10mmとしたことから、蓋体の側面と絶縁基体の上面との間に形成される封止材のフィレットによる表面張力と、間隙に入り込んだ封止材による表面張力と、蓋体の自重とのバランスを良好にすることができ、絶縁基体と蓋体とを接合する際、蓋体の凹部に対する移動をより位置精度のよいものとすることができる。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、封止材が非晶質ガラスにセラミックフィラーを添加したガラス封止材から成ることから、封止材が非常に耐湿性に優れたものとなり、大気中に含まれる水分が封止材を介して電子部品収納用容器の内部に浸入しようとしても、その水分の浸入は有効に阻止され、その結果、電子部品収納用容器の内部に収容する電子部品の電極が酸化腐蝕されることはほとんどなく、電子部品を正常に作動させることが可能となる。
本発明の電子部品収納用容器において、好ましくは、上記のガラス封止材が、非晶質ガラス100質量部に最大粒径20〜30μm、平均粒径3〜4μmのセラミックフィラー粉末を10〜60質量部添加して成ることから、絶縁基体と蓋体とをガラス封止材を介して接合させ電子部品収納用容器を気密に封止する際、ガラス封止材の量が少ない場合にその流動性を妨げる粒径が30μmを超える粗大なフィラー粒子を含んでおらず、ガラス封止材の厚さを薄く、封止幅を狭くすることが可能となり、その結果、気密信頼性が極めて高い小型かつ薄型の電子部品収納用容器とすることができる。
本発明の電子装置は、上記本発明の電子部品収納用容器の凹部に電子部品を収納してなることから、電子部品を長期間にわたり正常に作動させることができる小型かつ薄型の電子装置となる。
次に、本発明の電子部品収納用容器を添付の図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の電子部品収納用容器の実施の形態の一例を示す断面図である。なお、この図においては、電子部品が水晶振動子等の圧電振動子であり、電子部品収納用容器が圧電振動子収納用容器である場合の例を示している。
この図において1は絶縁基体、2は蓋体、3は封止材、4は電子部品としての圧電振動子、5は導電性樹脂、6はメタライズ配線層であり、主に絶縁基体1と蓋体2とで圧電振動子4を収容するための電子部品収納用容器が構成される。
また、図2に本発明の電子部品収納用容器の蓋体と絶縁基体とを封止材で接合する前の状態を示す。この図において、蓋体は絶縁基体の上面に封止材を介して載置しただけの状態である。この図において、11は絶縁基体、12は蓋体、13は封止材、14は電子部品としての圧電振動子、15は導電性樹脂、16はメタライズ配線層である。
絶縁基体1は、上面に凹部を有する略直方体で、その凹部の底面に圧電振動子4を搭載するための搭載部が設けてあり、この搭載部には、圧電振動子4が導電性樹脂5を介して接着固定される。なお、絶縁基体1は、例えば、その縦方向の寸法が1.5〜7.0mm、横方向の寸法が1.0〜5.0mm、高さが0.3〜1.5mm程度であり、また、絶縁基体1の上面の凹部周囲の、後述する蓋体2との接合面の幅が0.25〜0.7mm程度となっている。
このような絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体やムライト質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,窒化珪素質焼結体,炭化珪素質焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤等を添加混合して泥漿物を作り、この泥漿物を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形法を採用しシート状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得、しかる後、それらセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約1600℃の高温で焼成することによって製作される。
また、絶縁基体1には搭載部近傍から底面にかけて複数個のメタライズ配線層6が被着形成されている。そして、このメタライズ配線層6の搭載部の近傍に位置する部位には圧電振動子4の各電極が導電性エポキシ樹脂等から成る導電性樹脂5を介して電気的に接続され、また絶縁基体1の底面に導出された部位には外部電気回路の配線導体(図示せず)が半田等のろう材を介して取着される。
なお、メタライズ配線層6はタングステン,モリブデン,マンガン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤,溶媒,可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストを従来周知のスクリーン印刷法等の厚膜手法を採用して絶縁基体1となるセラミックグリーンシートにあらかじめ印刷塗布しておき、これをセラミックグリーンシートと同時に焼成することによって絶縁基体1の上面から底面にかけて所定パターンに被着形成される。また、メタライズ配線層6はその表面にニッケル,金等の良導電性で耐蝕性およびろう材との濡れ性が良好な金属をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくと、メタライズ配線層5の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともにメタライズ配線層6と圧電素子4との導電性樹脂5による接続およびメタライズ配線層6と外部電極とのろう付けを極めて強固となすことができる。
また、導電性樹脂5は、例えば導電性エポキシ樹脂等から成り、絶縁基体1の搭載部に導電性樹脂5を介して圧電振動子4を載置させ、しかる後、導電性樹脂5に熱硬化処理を施し熱硬化させることによって、圧電振動子4を絶縁基体1に接着固定させる役目をはたす。
さらに、絶縁基体1の上面には蓋体2が封止材3を介して接合され、これによって絶縁基体1と蓋体2とから成る電子部品収納用容器の内部に圧電振動子4が気密に収容される。
蓋体2の底面の中央部には凸部2aが形成されており、好ましくは、蓋体2の中央部の厚みが0.15〜0.30mmで、凸部2aの厚さ、すなわち蓋体2の中央部と外周部との厚み差が0.05〜0.10mmであるのがよい。
また、蓋体2、凸部2a、絶縁基体1および凹部の形状が平面視して相似形であるのがよく、蓋体2の外寸法は絶縁基体1の外寸法よりも0.05〜0.20mm小さく、凸部2aの外寸法は凹部の内寸法よりも0.05〜0.20mm小さいのがよい。
蓋体2は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体,窒化珪素質焼結体,炭化珪素質焼結体,ムライト質焼結体等の電気絶縁材料や鉄−ニッケル−コバルト合金,鉄−ニッケル合金等の金属材料から成る。蓋体2が、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウムや窒化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末を所定のプレス金型内に充填するとともに一定圧力でプレスして成形し、しかる後、この成形品を約1500℃の温度で焼成することによって製作される。
絶縁基体1と蓋体2との接合封止は、まず封止材3を絶縁基体1および蓋体2の接合領域に従来周知のスクリーン印刷法等を採用して予め被着させておき、これを封止材3の軟化点以上の温度で焼成して絶縁基体1および蓋体2の接合領域にそれぞれ溶融被着し、次に、絶縁基体1の搭載部に圧電振動子4を導電性樹脂5を介して接着固定し、さらに、絶縁基体1の接合面に蓋体2をその接合面が重なるように載置し、しかる後、封止材3の溶融温度に加熱することによって、蓋体2の自重により加圧されて接合が行なわれる。
本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体1と蓋体2とを封止材3を介して接合させ電子部品収納用容器を気密に封止する際、絶縁基体1側の封止材と蓋体2側の封止材とが溶融し合った封止材3の表面張力が蓋体2を絶縁基体1の中心部に位置合わせする方向に働き、絶縁基体1と蓋体2とを極めて高い位置精度で封止することができる。その結果、蓋体2の外辺が絶縁基体1の全周に渡り絶縁基体1の外辺から一定距離内側にある状態で封止することが可能となり、気密信頼性が極めて高い小型,薄型の電子部品収納用容器とすることができる。
平面視して蓋体2と絶縁基体1とが相似形であり、蓋体2の外寸法が絶縁基体1の外寸法よりも0.05〜0.20mm小さい場合、蓋体2の外辺が絶縁基体1の全周にわたり絶縁基体1の外辺から0.02mm未満あるいは0.28mmを超えて内側に位置した場合、絶縁基体1と蓋体2との接合部の幅が狭くなる部分が生じ、電子部品収納用容器6の気密封止の信頼性が低下する傾向がある。従って、蓋体2の外辺が絶縁基体1の全周にわたり絶縁基体1の外辺から0.02〜0.28mm内側にある状態で封止されることが好ましい。
また、蓋体2は中央部の厚みが0.15〜0.3mmであるのがよく、0.3mmを超える厚みの場合、その自重が大きなものとなり、溶融したガラス封止材3の表面張力により移動することが困難となり、高い位置精度で封止することが困難となる傾向がある。従って、蓋体2の厚みは0.3mm以下であるのがよい。他方、蓋体2に強度を付与するという観点からは、その厚みが0.15mm以上であることが好ましい。
さらに、平面視して蓋体2と絶縁基体1とが相似形であり、蓋体2の外寸法が絶縁基体1の外寸法よりも0.05〜0.20mm小さいことが好ましい。蓋体2の外寸法が絶縁基体1の外寸法よりもその大きさが0.05未満あるいは0.2mmを超えて小さい場合、蓋体2が溶融した封止材3の表面張力により位置精度よく移動して封止することが困難となる傾向がある。
さらに、蓋体2の凸部2aと絶縁基体1の凹部とが平面視して相似形であり、凸部2aの外寸法が凹部の内寸法よりも0.05〜0.2mm小さいことが好ましい。凸部2aの外寸法が凹部の内部寸法よりもその大きさが0.05未満あるいは0.2mmを超えて小さい場合、蓋体2が溶融した封止材3の表面張力により位置精度よく移動して封止することが困難となる傾向がある。
なお、絶縁基体1と蓋体2との接合領域に溶融被着する封止材3の厚さは、ともに0.03〜0.15mmの範囲としておくことが好ましい。封止材の厚さが0.03mm未満では溶融した封止材3に働く表面張力が小さく、表面張力で絶縁基体1の中心部に蓋体2を位置合わせすることが困難となる傾向がある。他方、封止材3の厚さが0.15mmを超えると接合後の封止材3の厚さが不用意に厚いものとなり、電子部品収納用容器の薄型化が困難となる傾向がある。従って、絶縁基体1と蓋体2との接合領域に溶融被着する封止材3の厚さは、ともに0.03〜0.15mmの範囲、そして封止後の全体の厚さは、絶縁基体1と蓋体2との接合強度の観点からは0.05mm以上、薄型化の観点からは0.30mm以下とすることが好ましい。
また、蓋体2に溶融被着する封止材3の幅は、絶縁基体1に溶融被着する封止材3の接合領域の幅と同等であり、互いにずらした状態で接合されることが好ましい。このようにすることによって、接合部の外周側では蓋体2側面に沿って、および接合部の内周側では凸部2aの側面に沿って封止材3の良好なフィレットが形成され、絶縁基体1と蓋体2との封止強度を極めて高いものとすることができる。なお、蓋体2側面や凸部2aの側面にそって形成されるガラスフィレットは、絶縁基体1に蓋体2をガラス封止材3の軟化溶融温度で蓋体2の自重によって接合する際に、絶縁基体1の中心部に蓋体2を位置合わせする方向に働く表面張力の観点からも好適である。
本発明の封止材3は、ガラスや樹脂などが使用できる。好ましくは、封止材3が非晶質ガラスにセラミックフィラーを添加したガラス封止材から成るのがよい。これにより、封止材3が非常に耐湿性に優れたものとなり、大気中に含まれる水分が封止材3を介して電子部品収納用容器の内部に浸入しようとしても、その水分の浸入は有効に阻止され、その結果、電子部品収納用容器の内部に収容する電子部品の電極が酸化腐蝕されることはほとんどなく、電子部品を正常に作動させることが可能となる。
また、本発明の電子部品収納用容器においては、絶縁基体1と蓋体2とを接合するガラス封止材3を、非晶質ガラス100質量部に最大粒径が20〜30μmで平均粒径が3〜4μmのセラミックフィラー粉末を10〜60質量部添加したものとするのがよい。これにより、ガラス封止材3の量が少ない場合に、ガラス封止材3がその流動性を妨げる30μmを超える粗大なフィラー粒子を含んでいないことから、封止後のガラス封止材3の厚さを薄くまた封止幅を狭くすることが可能となり、その結果、気密信頼性が極めて高いとともに小型かつ薄型の電子部品収納用容器とすることができる。
ガラス封止材3を構成するフィラー粉末の平均粒径が3μm未満の場合、封止工程での非晶質ガラスとフィラー粉末との反応により、ガラス封止材3の流動性が低下し、低温での気密封止が困難となる傾向がある。他方、フィラー粉末の平均粒径が4μmを超える場合、ガラス封止材3の強度が低下し封止後のガラス封止材3の厚さおよび封止幅を小さくすることが困難となる傾向がある。従って、ガラス封止材3を構成するフィラー粉末の平均粒径は、3〜4μmであることが好ましい。
また、フィラー粉末の最大粒径が30μmを超える場合、ガラス封止材3の量が少ない場合に、ガラス封止材3の流動性を妨げ封止後のガラス封止材3の厚さを薄く、封止幅を狭くすることが困難となる傾向がある。従って、フィラー粉末の最大粒径は30μm以下であることが好ましい。
さらに、ガラス封止材6を構成するフィラー粉末の添加量が非晶質ガラス100質量部に対し10質量部未満の場合、ガラス封止材6の機械的強度が低下するとともにガラス封止材3の熱膨張係数が絶縁基体1および蓋体2の熱膨張係数に対して大きく相違して、ガラス封止材3を絶縁基体1および蓋体2に強固に接合させることが困難となる傾向がある。他方、フィラー粉末の添加量が非晶質ガラス100質量部に対し60質量部を超えるとガラス封止材3の流動性が低下して、低温での気密封止が困難となる傾向にある。従って、フィラー粉末の添加量は外添加で10〜60質量%の範囲であることが好ましい。なお、平均粒径3〜4μmで最大粒径30μm以下のフィラー粉末は、フィラーをボールミルにて粉砕して粒度調整した後、500メッシュの篩を通過させることによって得られる。
このようなガラス封止材3としては、例えば、酸化鉛50〜65質量%、フッ化鉛10〜30質量%、酸化硼素2〜10質量%、酸化亜鉛1〜6質量%および酸化ビスマス10〜20質量%を含むガラス成分100質量部にフィラーとしてチタン酸鉛系化合物を26〜45質量部添加したものが好適である。このガラス封止材3は、そのガラス軟化溶融温度を300℃以下と低くすることができ、絶縁基体1と蓋体2とをガラス封止材3を介して接合させ、絶縁基体1と蓋体2とから成る電子部品収納用容器内部に圧電振動子4を気密に収容する際、ガラス封止材3を溶融させる熱が内部に収容する圧電振動子4に作用しても圧電振動子3の特性に劣化を招来することはなく、その結果、圧電振動子4を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
なお、ガラス封止材4はガラス成分とフィラーとから成り、耐湿性に優れていることから大気中に含まれる水分がガラス封止材3を介して電子部品収納用容器の内部に浸入しようとしても、その水分の浸入は有効に阻止され、その結果、電子部品収納用容器の内部に収容する圧電振動子4の表面電極が酸化腐蝕されることは殆どなく、圧電振動子4を正常に作動させることも可能となる。
かくして本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体1の搭載部に圧電振動子等の電子部品4の一端を導電性エポキシ樹脂等から成る導電性樹脂5を介して接着固定するとともに電子部品4の各電極をメタライズ配線層6に電気的に接続させ、しかる後、絶縁基体1の搭載部を覆うように蓋体2を封止材3を介して接合させ、絶縁基体1と蓋体2とから成る電子部品収納用容器の内部に電子部品4を気密に収納することによって最終製品としての圧電振動装置等の電子装置が完成する。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば上述の例では圧電振動子を収納するための電子部品収納用容器を示したが、本発明は半導体素子を収容するための半導体素子収容用容器にも適用し得るものでる。
本発明の電子部品収納用容器の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の電子部品収納用容器の封止前の状態を示す断面図である。
符号の説明
1・・・・・・絶縁基体
2・・・・・・蓋体
2a・・・・・凸部
3・・・・・・封止材
4・・・・・・電子部品(圧電振動子)

Claims (6)

  1. 上面に電子部品を搭載するための凹部を有する絶縁基体と、該絶縁基体の上面に前記凹部の開口部を塞ぐようにして封止材を介して接合される蓋体とから成る電子部品収納用容器であって、前記蓋体の下面に凸部を形成するとともに、該凸部の側面と前記凹部の側面との間に全周にわたって間隙を設けたことを特徴とする電子部品収納用容器。
  2. 前記間隙の幅が0.02〜0.3mmであることを特徴とする請求項1記載の電子部品収納用容器。
  3. 前記蓋体、前記凸部、前記絶縁基体および前記凹部の形状が平面視して略相似形であり、前記蓋体の外寸法を前記絶縁基体の外寸法よりも0.05〜0.20mm小さく、前記凸部の外寸法を前記凹部の内寸法よりも0.05〜0.20mm小さくし、さらに、前記蓋体の中央部の厚みを0.15〜0.30mm、前記凸部の厚みを0.05〜0.10mmとしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子部品収納用容器。
  4. 前記封止材が非晶質ガラスにセラミックフィラーを添加したガラス封止材から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品収納用容器。
  5. 前記ガラス封止材が、非晶質ガラス100質量部に最大粒径20〜30μm、平均粒径3〜4μmのセラミックフィラー粉末を10〜60質量部添加して成ることを特徴とする請求項4記載の電子部品収納用容器。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子部品収納用容器の前記凹部に電子部品を収納してなることを特徴とする電子装置。
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