JP2007294795A - 配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 使用時の温度サイクル環境下においても絶縁基体とメタライズ層との接合強度を強固なものとでき、絶縁基体から封止用メタライズ層が剥離することを防止して電子装置の気密封止の信頼性を十分に確保することができる気密信頼性の高い配線基板を提供する。
【解決手段】
本発明の配線基板は、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分109からなり、Al2O3を結晶相とし、MnAl2O4を粒界相とする酸化アルミニウム質焼結体により形成される絶縁基体101と、絶縁基体101上に形成されるとともに、Mo粉末107と、Mo粉末107よりも平均粒径の大きいMo粗粉末108とを含有するメタライズ層104とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】
本発明の配線基板は、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分109からなり、Al2O3を結晶相とし、MnAl2O4を粒界相とする酸化アルミニウム質焼結体により形成される絶縁基体101と、絶縁基体101上に形成されるとともに、Mo粉末107と、Mo粉末107よりも平均粒径の大きいMo粗粉末108とを含有するメタライズ層104とを備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、半導体素子や圧電素子等の電子部品を搭載するための配線基板に関するものである。
従来、半導体素子や圧電素子等の電子部品を搭載するための配線基板として、セラミック焼結体により形成された絶縁基体と、セラミック焼結体との同時焼成により絶縁基体に形成されたメタライズ層とを備えるものが一般に使用されている。
絶縁基体は、例えば、上面に電子部品の搭載部を有する基板部の上面側に、搭載部を取り囲む枠部が一体的に形成された構造である。枠部の上面に蓋体が接合されることにより搭載部が塞がれ、電子部品が気密封止される。
絶縁基体を形成するセラミック焼結体として一般的なものは、酸化アルミニウム質焼結体であり、例えば、酸化アルミニウム粉末とガラス粉末を含む原料粉末がシート状に成形されてなるセラミックグリーンシート(グリーンシート)を約1600℃で焼成することにより作製される。
メタライズ層は、搭載される電子部品と電気的に接続される配線導体や、電子部品を気密封止する蓋体をろう付け法や溶接法等の接合手段で接合するための下地金属層として所定パターンに形成される。
メタライズ層は、タングステン(以下、Wと略す)やモリブデン(以下、Moと略す)等から成り、これらの金属粉末に有機溶剤、バインダーが添加されて作製されたメタライズペーストが、グリーンシートに印刷されて形成されている。
また、セラミック焼結体とメタライズ層は同時焼成されることにより、グリーンシートに含有されるガラス成分(例えば、SiO2など)が溶融し、セラミック焼結体からメタライズ層にかけて這い上がる。このガラス相を介して、絶縁基体とメタライズ層とが接合される。
近年、半導体素子の高集積化、小型化に伴い、電子部品が搭載される配線基板の小型化が要求されている。具体的には、外形サイズが縦3mm、横2mm、高さ0.8mm程度にまで小型化した配線基板が作成されている。
このような小型化により、電子部品を気密封止するための枠部の幅は狭くなり、枠部の機械的な強度が低下する。そのため、枠部に機械的な破壊が生じやすくなるので気密封止性を良好とすることが難しくなってきている。
この課題に対し、本出願人は、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分からなり、Al2O3を結晶相とし、MnAl2O4を粒界相とする酸化アルミニウム質焼結体により形成される絶縁基体(以下、高強度アルミナ焼結体という)であれば優れた強度特性を得られることを見出した。
この高強度アルミナ焼結体は、Mn成分を焼結助剤として作用させることにより、セラミック材料としての焼結性が高まり、1250℃〜1400℃の焼成温度で緻密化の達成が容易になるとともに、MnAl2O4の析出が適度に行われ易い。このような適量のMnAl2O4結晶析出は、焼結体の3点曲げ強度を高める効果がある。
また、この高強度アルミナ焼結体は、例えば、3点曲げ強度が500MPa以上、ヤング率が320GPa以上であり、従来の酸化アルミニウム質焼結体よりも高強度(機械的な強度が高い)のセラミック材料である。そのため、絶縁基体の機械的な強度を従来よりも向上させることができ、例えば、枠部の幅を狭くしたとしても、枠部における絶縁基体の破壊が抑制され、気密封止性等の信頼性を、従来の一般的な酸化アルミニウム質焼結体の場合よりも高くすることができる。
また、従来の酸化アルミニウム質焼結体は、焼成温度が1600℃程度であり、Wを多く含んだメタライズ層を使用してもメタライズ層の焼結性が確保されるのに対し、このような高強度アルミナ焼結体は、焼成温度が1250℃〜1400℃と低いため、この焼成温度でもメタライズ層の焼結性が確保されるメタライズ層となるメタライズペーストを使用することが必要である。これにより、グリーンシートに含有されるガラス成分(例えば、SiO2など)が溶融し、セラミック焼結体からメタライズ層にかけて這い上がり、ガラス相を介して、絶縁基体とメタライズ層が接合される。
特開2002−9578号公報
特開2003−163425号公報
特開2002−314962号公報
しかしながら、上記高強度アルミナ焼結体は、絶縁基体としての機械的な強度が高く小型化、薄型化等に有利であるものの、将来予想される電子装置の更なる小型化に伴い、メタライズ層との接合強度の向上が必要になってくる。
すなわち、電子装置の小型化に応じて、絶縁基体の小型化が進み、これに応じて、絶縁基体に形成されるメタライズ層も、その面積が小さくなる。そのため、メタライズ層と絶縁基体との接合面積が小さくなり、メタライズ層と絶縁基体との接合の強度が低下するおそれがある。
特に、メタライズ層について、蓋体等の金属部材がシーム溶接等の溶接法により接合されるものである場合、溶接の際に大きな熱応力(引っ張り応力)がメタライズ層に作用し、メタライズ層と絶縁基体との間の接合強度が低下するおそれがあるので、上記メタライズ層と絶縁基体との接合強度の向上の必要性が極めて高い。
これに対し、高強度アルミナ焼結体は、緻密化のためにガラス成分の量が従来の酸化アルミニウム質焼結体に比べて少ないので、メタライズ層を形成するMo粉末の間の空隙をガラス成分で十分に充填することが難しく、空隙が残りやすい。そのため、メタライズ層と絶縁基体との接合強度を向上させることが難しいことが予想される。
本発明は、かかる問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、絶縁基体の機械的な強度が高く小型化に有利であり、かつ、絶縁基体とメタライズ層との接合の信頼性が高い配線基板を提供することにある。
本発明の配線基板は、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分からなり、Al2O3を結晶相とし、MnAl2O4を粒界相とする酸化アルミニウム質焼結体により形成される絶縁基体と、該絶縁基体上に形成されるとともに、Mo粉末と、該Mo粉末よりも平均粒径の大きいMo粗粉末とを含有するメタライズ層とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、前記メタライズ層に含有されるMo粉末およびMo粗粉末の間隙に、前記絶縁基体の含有成分であり、且つ前記酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度以下で液相となるガラス成分が入り込んでいることを特徴とするものである。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、前記ガラス成分がAl2O3−SiO2−MnOであることを特徴とするものである。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、前記Mo粉末は、その平均粒径が0.4〜1.8μmであることを特徴とするものである。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、前記Mo粗粉末は、前記メタライズ層のMo全含有量に対して10〜20質量%の範囲で混合されていることを特徴とするものである。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、前記Mo粗粉末は、その平均粒径が2.3〜4.0μmであることを特徴とするものである。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、前記配線基板は、電子部品の搭載部を備え、前記メタライズ層は、該搭載部を取り囲む枠状を成しており、前記メタライズ層上に金属製の蓋体が、ろう付けまたは溶接により接合されることを特徴とするものである。
本発明の配線基板の製造方法は、第1の平均粒径を有するMo粉末と、該Mo粉末よりも平均粒径の大きい第2の平均粒径を有するMo粗粉末とを混合してMo混合粉末を作成する第1の工程と、前記Mo混合粉末と有機バインダーと有機溶剤とを混練して金属ペーストを作成する第2の工程と、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分を含有するセラミックグリーンシートの表面に、前記金属ペーストを塗布して、セラミックグリーンシート積層体を形成する第3の工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する第4の工程と、を経ることを特徴とするものである。
本発明の配線基板は、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分からなり、Al2O3を結晶相とし、MnAl2O4を粒界相とする酸化アルミニウム質焼結体により形成される絶縁基体と、絶縁基体上に形成されるとともに、Mo粉末と、該Mo粉末よりも平均粒径の大きいMo粗粉末とを含有するメタライズ層とを備えることから、焼結助剤としてのMn成分の作用により、絶縁基体の焼結性が高く、機械的な強度が高い。そのため、小型化に有利である。
また、平均粒径の大きいMo粗粉末を含有することにより、Mo粗粉末の間を充填するように、粗粉末に比べて小さいMo粉末が入り込むため、メタライズ層中のMo粉末とMo粗粉末の充填率が向上してMo粉末の焼結性が向上するとともに、メタライズ層中の空隙が減少する。このように空隙が減少することから、ガラス成分の添加量が少ない酸化アルミニウム質焼結体を用いても、絶縁基体からメタライズ層に拡散するガラス成分によりこの空隙を十分に埋めることが可能となり、メタライズ層を絶縁基体の上面に強固に接合することができる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、メタライズ層に含有されるMo粉末およびMo粗粉末の間隙に、絶縁基体の含有成分であり、且つ酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度以下で液相となるガラス成分が入り込んでいることから、粒度が異なる2種類のMo粉末によりメタライズ層を形成したとしても、絶縁基体の液相成分の一部を高融点金属の粉末間(空隙)に良好に這い上がらせることができるとともに、メタライズ層を構成するMo粉末およびMo粗粉末の間隙にガラス成分が入り込んで固まることにより、アンカー効果を得ることができ、絶縁基体とメタライズ層を強固に接合することができる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、ガラス成分がAl2O3−SiO2−MnOであることから、従来の酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度よりも低い1400℃以下で焼成されたとしても、絶縁基体の少ない量のガラス成分の一部を高融点金属の粉末間(空隙)に良好に這い上がらせることができるとともに、絶縁基体の上面とメタライズ層を強固に接合することができる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、Mo粉末は、その平均粒径が0.4〜1.8μmであることから、従来の酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度よりも低い1400℃以下で焼成されたとしても、メタライズ層となるMoからなる高融点金属の焼結性を良好なものとすることができ、メタライズ層と絶縁基体とのメタライズ強度を向上することができる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、Mo粗粉末は、メタライズ層のMo全含有量に対して10〜20質量%の範囲で混合されていることから、メタライズ層を形成するためのメタライズペーストを混練する際に、小径のMo粉末と大径のMo粗粉末が交互に交じり合って効率良くペースト中に分散させることができ、焼成前におけるメタライズ層中のMo粉末とMo粗粉末の充填率を向上させることができる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、Mo粗粉末は、その平均粒径が2.3〜4.0μmであることから、従来の酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度よりも低い1400℃以下で焼成されたとしても、Mo粗粉末の焼結性を良好に維持することができるとともに、メタライズ層と絶縁基体とのメタライズ強度を向上することができる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、電子部品の搭載部を備え、メタライズ層は、搭載部を取り囲む枠状を成しており、メタライズ層上に金属製の蓋体が、ろう付けまたは溶接により接合されることから、メタライズ層上にろう材や蓋体に被着されるニッケルめっき層等の金属を介して直接蓋体を接合したとしても、メタライズ層が絶縁基体の上面から剥離することを防止して長期にわたり気密封止に優れた電子装置を実現できる。
本発明の配線基板の製造方法は、第1の平均粒径を有するMo粉末と、該Mo粉末よりも平均粒径の大きい第2の平均粒径を有するMo粗粉末とを混合してMo混合粉末を作成する第1の工程と、前記Mo混合粉末と有機バインダーと有機溶剤とを混練して金属ペーストを作成する第2の工程と、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分を含有するセラミックグリーンシートの表面に、前記金属ペーストを塗布して、セラミックグリーンシート積層体を形成する第3の工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する第4の工程と、を経ることから、セラミックグリーンシート積層体からメタライズ層に拡散するガラス成分により、メタライズ層を構成するMo混合粉末の間隙にガラス成分が入り込んで固まることにより、絶縁基体とメタライズ層を強固に接合することができる。これにより、メタライズ層が絶縁基体の上面から剥離しにくい配線基板の製造方法を提供できる。
次に、本発明の配線基板を添付の図面を基に説明する。
図1(a)は本発明の配線基板の実施の形態の一例を示した平面図であり、図1(b)は図1(a)のX−X’線における断面図、図1(c)は図1(b)の要部Aの拡大図である。これらの図において、101は絶縁基体、102は電子部品(図示せず)が搭載される搭載部、103は配線導体、104は封止用のメタライズ層、105は金属枠体、106はろう材、107は、Mo粉末、108はMo粗粉末である。
本実施形態において、これらの絶縁基体101、メタライズ層104、搭載部102および金属枠体105により主に配線基板が形成されている。この配線基板に、電子部品を搭載し、蓋体(図示せず)で気密封止することにより電子装置が形成される。
絶縁基体101は、Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含み、Al2O3を結晶相とし、MnAl2O4を粒界相とする酸化アルミニウム質焼結体から成るセラミック層を複数積層して成り、例えば一辺の長さが2〜20mm程度で厚みが0.5〜3.0mm程度の四角形状である。
絶縁基体101の上面中央部に電子部品を収容し搭載するための四角形状等の搭載部102が設けてあり、この搭載部102内から絶縁基体101の側面や下面等の外表面にかけて、Moの金属粒子メタライズから成る複数の配線導体103が被着形成されている。この配線導体103は、搭載部102に搭載される電子部品の各電極を外部の電気回路に電気的に接続するための導電路として機能する。
また、例えば、搭載部102内に電子部品を収容し搭載するとともに、電子部品の各電極を、搭載部102の底面に露出させた配線導体103に例えばワイヤボンディング等の電気的接続手段を介して接続することにより、電子部品の電極は配線導体103を介して絶縁基体101の底面に導出され、この導出した部位を図示しない外部電気回路基板に半田等を介して電気的に接続することにより、電子部品の電極が外部の電気回路と電気的に接続される。
また、絶縁基体101の上面には、搭載部102を取り囲むようにして、Mo金属粉末から成る四角枠状等のメタライズ層104が形成されている。
メタライズ層104は、絶縁基体101に金属枠体105や蓋体(図示せず)を接合するための下地金属として機能する。なお、このメタライズ層104は、例えば、厚みが10〜30μm程度、各辺の幅が0.2〜0.5mm程度で形成される。また、絶縁基体101の外周から0.05〜0.2mm程度離間して被着形成される。
また、このような配線導体103やメタライズ層104は、所定の金属(配線導体103の場合にはWやMo等、メタライズ層104の場合には好適にMoの粉末に有機溶剤,バインダーを添加,混練して作製したメタライズペーストをセラミックグリーンシートに配線導体103やメタライズ層104の所定パターンに印刷塗布することにより製作される。
なお、配線導体103の露出表面には、配線導体103の酸化腐食を防止するとともに配線導体103と電子部品の各電極との接続および外部電気回路基板との接続を強固なものとするために、1〜20μm程度の厚みのニッケルめっき層と0.1〜3μm程度の厚みの金めっき層とを順次被着させておくことが好ましい。
また、メタライズ層104の上面には、四角枠状等の金属枠体105が銀ろう等のろう材を介して接合されている。金属枠体105は、例えば鉄−ニッケル合金や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成り、蓋体を絶縁基体101にシーム溶接等により強固に溶接し取着するための下地金属部材として機能する。この金属枠体105は、例えば、その内周が搭載部102の開口と略同じ大きさであり、厚みが0.1〜0.5mm程度、各辺の幅が0.15〜0.45mm程度である。
そして、絶縁基体101の搭載部102内に電子部品を収容し搭載するとともに、電子部品の電極を配線導体103のうち搭載部102内に露出した部位にボンディングワイヤ等を介して電気的に接続し、その後、金属枠体105の上面に蓋体をシーム溶接等の方法で取着することにより、絶縁基体101と金属枠体105と蓋体とから形成される容器の内部に電子部品が気密封止され、電子装置として完成する。この電子装置について、配線導体103のうち絶縁基体101の外表面に導出された部位を外部電気回路基板に接続することにより、電子部品が外部の電気回路と電気的に接続されることとなる。
本発明の配線基板において、Mo粉末107と、Mo粉末107よりも平均粒径の大きいMo粗粉末108とを含有するメタライズ層104とを備えている。
このような構造としたことから、高強度アルミナ焼結体を用いた配線基板において、粒度が異なる2種類のMo粉末107、108によりメタライズ層104を形成することにより、焼成前におけるメタライズ層104中のMo粉末107とMo粗粉末108の充填率が向上してMo粉末としての焼結性が向上するとともに、メタライズ層104中の空隙が減少する。
つまり、メタライズ層104中のMo粉末107およびMo粗粉末108との接触する箇所が増加することにより、焼成時の反応が促進されてMo粉末としての焼結性が向上することにより、メタライズ層104中の空隙が減少する。よって、このガラス成分109の添加量が少ない酸化アルミニウム質焼結体(高強度アルミナ焼結体)を用いても、絶縁基体101からメタライズ層104に拡散するガラス成分109によりこの空隙を十分に埋めることが可能となり、メタライズ層104を絶縁基体101の上面に強固に接合することができる。
ここで、この絶縁基体101上に形成されるメタライズ層104は、Moが適している。これは、1400℃以下の温度でセラミック材料とメタライズ層104を同時焼成した場合、MoはWと比較して低融点であり焼結性が高いため、焼成温度の低い酸化アルミニウム質焼結体により形成される絶縁基体101に、同時焼成により被着されるメタライズ層104の成分として優れた特性を有しているからである。
また、絶縁基体101の主成分であるアルミナは、アルミナを90重量%以上、特に93〜96質量%の割合で含有することが好ましい。これにより、絶縁基体101の3点曲げ強度、熱伝導率、ヤング率を向上させることができる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、メタライズ層104に含有されるMo粉末107およびMo粗粉末108の間隙に、絶縁基体101の含有成分であり、且つ酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度以下で液相となるガラス成分109が入り込んでいる。
このような構造としたことから、粒度が異なる2種類のMo粉末107、108によりメタライズ層104を形成したとしても、絶縁基体101のガラス成分の一部を高融点金属の粉末間(空隙)に良好に這い上がらせることができるとともに、メタライズ層104を構成するMo粉末107、およびMo粗粉末108の間隙にガラス成分109が入り込んで固まることによりアンカー効果を得ることができることから、絶縁基体101とメタライズ層104を強固に接合することができる。つまり、絶縁基体101とメタライズ層104との界面にガラス成分109が介在するとともに、絶縁基体101から這い上がったガラス成分109の一部がメタライズ層104の下面の高融点金属の粉末間(空隙)に入り込んで強固に保持する構造となる。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、ガラス成分109がAl2O3−SiO2−MnOである。このような構成としたことから、従来の酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度よりも低い1400℃以下で焼成されたとしても、絶縁基体101の少ない量のガラス成分109の一部を高融点金属の粉末間(空隙)に良好に這い上がらせることができるとともに、絶縁基体101の上面とメタライズ層104を強固に接合することができる。
また、ガラス成分109であるAl2O3−SiO2−MnOのMn成分は焼結助剤として作用するものであり、焼結性が向上して1250℃〜1400℃の焼成温度で緻密化の達成が容易となるとともに、MnAl2O4の粒界への析出が適度に行われ易い。このような適量のMnAl2O4の結晶析出は焼結体の曲げ強度を高める効果がある。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、Mo粉末107は、その平均粒径が0.4〜1.8μmである。
このような構成としたことから、従来の酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度よりも低い1400℃以下で焼成されたとしても、メタライズ層104となる高融点金属(Mo粉末107、およびMo粗粉末108)の焼結性を良好なものとすることができ、メタライズ層104と絶縁基体101を強固に接合することができる。
メタライズ層104となるメタライズペーストは、ロールミルやボールミル等の製造装置により金属粉末とバインダーを混練・分散させることにより製造することができる。
例えば、ロールミルを用いて作製する場合、平均粒径が0.4〜1.8μmであるMo粉末からなる高融点金属にアクリル樹脂、エチルセルロースやニトロセルロースなどのバインダーとジブチルフタレートなどの可塑剤、その他、消泡剤、界面活性剤等を溶剤とともに添加して、この混合物をMo粉末の粒径に適したロール間のギャップに調整し、このギャップを段階的に狭めながら数回ロール間に通すことにより、バインダー中にMo粉末が分散されてメタライズペーストが製造される。
ここで、Mo粉末107の平均粒径が0.4μm未満となり、微粉になるとMo粉末107を混練した際にMo粉末107が効率良く製造装置で分散されないことがある。この場合、複数のMo粉末107が固まって1つの大きな凝集物が発生し易くなり、その結果、見かけ上の分散されたMo粉末107の大きさが大きくなってしまうことがあり、Mo粉末107の充填率を向上させにくい。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、Mo粗粉末108は、メタライズ層104のMo全含有量に対して10〜20質量%の範囲で混合されている。このような構成としたことから、メタライズ層104を形成するためのメタライズペーストを混練する際に、小径のMo粉末107と大径のMo粗粉末108が交互に交じり合って効率良くペースト中に分散させることができ、焼成前におけるメタライズ層104中のMo粉末107とMo粗粉末108の充填率を向上させることができる。
ここで、メタライズ層104のMo全含有量に対して10重量%未満であると、焼成前におけるメタライズ層104中のMo粉末107とMo粗粉末108の充填率を効果的に向上させることが難しくなるため、Mo粉末(メタライズ層)としての焼結性を十分に向上させることが難しくなる可能性がある。
また、メタライズ層104のMo全含有量に対して20重量%を越えると、メタライズ層104中のMo粗粉末108の体積比率が増加するので、Mo粗粉末108の間にMo粉末107が十分に充填されない可能性があり、焼結性を十分に向上させることが難しくなる可能性がある。
その結果、メタライズ層104中の空隙が増加して、絶縁基体101からメタライズ層104に拡散するガラス成分109により、この空隙を確実且つ十分に埋めることが難しくなる傾向があり、メタライズ層104と絶縁基体101との接合強度を効果的に向上させることが難しくなる可能性がある。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、Mo粗粉末108は、その平均粒径が2.3〜4.0μmである。このような構成としたことから、従来の酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度よりも低い1400℃以下で焼成されたとしても、Mo粗粉末108の焼結性を良好に維持することができるとともに、絶縁基体101とメタライズ層104を強固に接合することができる。
ここで、Mo粗粉末108の平均粒径が2.3μm未満になると、Mo粉末107との平均粒径の差がなくなるため、焼成前におけるメタライズ層104中のMo粉末107とMo粗粉末108との充填率が低下して、メタライズ層104中の空隙が増加する可能性がある。
また、Mo粗粉末108の平均粒径が4μmを超えると、ロールミルを用いてメタライズペーストを作製する場合、平均粒径が4μmを超えるMo粗粉末108を含む混合物を混練・分散するために、ロール間のギャップを調整しても、この4μmを超えるMo粗粉末108が混練・分散過程において展性を示すためにロール間に押し潰されて金属箔が生成してしまう可能性がある。この場合、焼成前におけるメタライズ層104中のMo粉末107とMo粗粉末108の充填率が悪化してメタライズ層104中の空隙が増加する可能性がある。さらに、Mo粗粉末108としての表面積が小さくなり焼成時の金属粉末としての焼結性を十分に向上させることが難しい。よって、Mo粗粉末の平均粒径は、2.3〜4.0μmが好適である。
また、本発明の配線基板は、好ましくは、配線基板101は、電子部品の搭載部102を備え、メタライズ層104は、搭載部102を取り囲む枠状を成しており、メタライズ層104上に金属製の蓋体が、ろう付けまたは溶接により接合されている。
このような構造としたことから、メタライズ層104上にろう材106や蓋体に被着されるニッケルめっき層等の金属を介して直接蓋体を接合したとしても、メタライズ層104が絶縁基体101の上面から剥離することを防止して長期にわたり気密封止に優れた電子装置を実現できる。
ここで、蓋体は、半導体素子や圧電振動子等の電子部品を保護するためにメタライズ層104を介して絶縁基体101の上面にろう付けまたは溶接により接合されるものであり、その材質はアルミナに近い線膨張率を有する鉄−ニッケル−コバルト合金であることが望ましい。このような合金を用いることにより、封止時に発生する熱応力を小さくすることができ、封止時に絶縁基体101にクラック等が発生して破壊する危険性を低減することができる。
かくして、以上のような本発明の配線基板によれば、絶縁基体101の搭載部102内に電子部品を搭載するとともに電子部品の電極と配線導体103とをボンディングワイヤ等を介して電気的に接続した後、メタライズ層104上にろう材106や蓋体に被着されるニッケルめっき層等の金属を介して直接蓋体をシーム溶接により接合して絶縁基体101と蓋体とから成る容器の内部に電子部品を気密に封止することにより、気密信頼性に優れた電子装置となる。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更を加えることは何ら差し支えない。図1(b)の例では、絶縁基体は2層のセラミック層を積層することにより形成されているが、3層、または4層以上のセラミック層を積層することにより形成されていてもよい。
101・・・・・絶縁基体
102・・・・・搭載部
103・・・・・配線基板
104・・・・・メタライズ層
105・・・・・金属枠体
106・・・・・ろう材
107・・・・・Mo粉末
108・・・・・Mo粗粉末
102・・・・・搭載部
103・・・・・配線基板
104・・・・・メタライズ層
105・・・・・金属枠体
106・・・・・ろう材
107・・・・・Mo粉末
108・・・・・Mo粗粉末
Claims (8)
- Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分からなり、Al2O3を結晶相とし、MnAl2O4を粒界相とする酸化アルミニウム質焼結体により形成される絶縁基体と、
該絶縁基体上に形成されるとともに、第1の平均粒径を有するMo粉末と、該Mo粉末よりも平均粒径の大きい第2の平均粒径を有するMo粗粉末とを混合して得られるMo混合粉末を含有するメタライズ層とを備えることを特徴とする配線基板。 - 前記メタライズ層に含有されるMo粉末およびMo粗粉末の間隙に、前記絶縁基体の含有成分であり、且つ前記酸化アルミニウム質焼結体の焼成温度以下で液相となるガラス成分が入り込んでいることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
- 前記ガラス成分がAl2O3−SiO2−MnOであることを特徴とする請求項2記載の配線基板。
- 前記Mo粉末は、その平均粒径が0.4〜1.8μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の配線基板。
- 前記Mo粗粉末は、前記メタライズ層のMo全含有量に対して10〜20質量%の範囲で混合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の配線基板。
- 前記Mo粗粉末は、その平均粒径が2.3〜4.0μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の配線基板。
- 前記配線基板は、電子部品の搭載部を備え、前記メタライズ層は、該搭載部を取り囲む枠状を成しており、前記メタライズ層上に金属製の蓋体が、ろう付けまたは溶接により接合されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の配線基板。
- 第1の平均粒径を有するMo粉末と、該Mo粉末よりも平均粒径の大きい第2の平均粒径を有するMo粗粉末とを混合してMo混合粉末を作成する第1の工程と、
前記Mo混合粉末と有機バインダーと有機溶剤とを混練して金属ペーストを作成する第2の工程と、
Mnを酸化物換算で2〜8質量%、Siを酸化物換算で1〜6質量%の割合で含むガラス成分を含有するセラミックグリーンシートの表面に、前記金属ペーストを塗布して、セラミックグリーンシート積層体を形成する第3の工程と、
前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する第4の工程と、を経ることを特徴とする配線基板の製造方法。
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JPWO2020203964A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 |
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2006
- 2006-04-27 JP JP2006123140A patent/JP2007294795A/ja active Pending
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