JP2008259041A - 圧電振動デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】接合材のボイドの発生を抑制する。
【解決手段】水晶振動子1には、水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するためにベース3と接合する蓋4とが設けられている。これらベース3と蓋4とは接合材7を用いて接合されている。ここでいう接合材7には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられている。また、接合材7の熱膨張係数は、ベース3および蓋4と近似もしくは同一の値を有する。
【選択図】図2
【解決手段】水晶振動子1には、水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するためにベース3と接合する蓋4とが設けられている。これらベース3と蓋4とは接合材7を用いて接合されている。ここでいう接合材7には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられている。また、接合材7の熱膨張係数は、ベース3および蓋4と近似もしくは同一の値を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、圧電振動デバイスに関する。
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスが挙げられる。これら各製品では、いずれも水晶振動片の主面に励振電極が形成され、この励振電極を外気から保護するために励振電極は圧電振動デバイスの本体筐体により気密封止されている。
圧電振動デバイスは、ベースと蓋とからその本体筐体が構成されてなる。この圧電振動デバイスでは、ベースと蓋とを接合材により接合することで本体筐体の内部空間を形成するとともに内部空間を気密封止し、内部空間に圧電振動片を保持する(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に開示の表面実装型水晶振動子(本明細書でいう圧電振動デバイス)の本体筐体は、矩形水晶振動板(本明細書でいう圧電振動片)を収容する断面が凹形のセラミックパッケージ(本明細書でいうベース)と、このセラミックパッケージの開口部に接合する金属蓋(本明細書でいう蓋)とからなる。そして、接合材に低融点ガラスを用い、低融点ガラスをセラミックパッケージにスクリーン印刷して塗布し、この低融点ガラスを溶融してセラミックパッケージに金属蓋を接合して、矩形水晶振動片を内部空間に気密封止する。
特開2002−26679号公報
上記した特許文献1に示す背景技術では、ベースに接合材をスクリーン印刷により塗布形成しているが、この接合材の塗布形成の際に接合材にボイドが生成する。このボイドは、接合材によって接合するベースと蓋との接合強度(封止強度)を下げる要因となっている。
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、接合材のボイドの発生を抑制する圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースと前記蓋とは接合材を用いて接合された圧電振動デバイスにおいて、前記接合材には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられ、前記接合材の熱膨張係数は、前記ベースおよび前記蓋と近似もしくは同一の値を有することを特徴とする。
本発明によれば、前記接合材のボイドの発生を抑制することが可能となる。具体的に、低融点ガラスにフィラー成分が全体に均一に分布されるので、低融点ガラスのボイドは発生し難くし、もしくは発生しない。また、本発明によれば、前記ベースと前記蓋と前記接合材との熱膨張係数が、近似もしくは同一の値であり、熱膨張係数の相違によってベースと蓋との接合時にかかるストレスを抑えることが可能となり、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することが可能となる。
前記構成において、具体的に、前記接合材はスパッタ法により形成されてもよい。
この場合、フィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させるので、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことが可能となり、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることが可能となる。また、背景技術で示したスクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本発明によればこの工程を省くことが可能となり、工程の簡略化を図ることも可能となる。また、本発明によれば、スパッタ法による前記接合材の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして当該圧電振動デバイスの低背化を図ることが可能となる。
前記構成において、前記接合材は、インナーメニスカス形成されてもよい。
この場合、ベースと蓋との接合時における接合材の接合幅を確保することが可能となり、新たに接合材の接合幅を確保するために本体筐体を大きくする必要がなく、当該圧電振動デバイスの小型化を図ることが可能となる。
前記構成において、前記接合材の厚さは、20μm以下であってもよい。なお、前記接合材の厚さが10μm以下であることが更に好ましい。
この場合、背景技術で示すスクリーン印刷によって塗布形成した接合材では実現できない接合材の厚みを可能とし、当該圧電振動デバイスの低背化を図ることが可能となる。
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスの製造方法は、ベースに圧電振動片を保持し、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するために接合材を用いて蓋をベースに接合する圧電振動デバイスの製造方法において、前記接合材には、その熱膨張係数が前記ベースおよび前記蓋と近似もしくは同一の値を有したフィラー成分を含有する低融点ガラスが用いられ、前記接合材を、前記ベースと前記蓋との少なくとも一方にスパッタ法により形成し、前記スパッタ法による前記接合材の形成により、低融点ガラス全体にフィラー成分を均一に分布させることを特徴とする。
本発明によれば、前記接合材のボイドの発生を抑制することが可能となる。具体的に、低融点ガラスのボイドは、本発明に示すようなスパッタ法によって低融点ガラスの生成を原子レベルの結合により行うことで発生し難くし、もしくは発生しない。また、本発明によれば、前記ベースと前記蓋と前記接合材との熱膨張係数が、近似もしくは同一の値であり、熱膨張係数の相違によってベースと蓋との接合時にかかるストレスを抑えることが可能となり、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することが可能となる。また、本発明によれば、更に低融点ガラスにフィラー成分が含有されており、このフィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させることで、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことが可能となり、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることが可能となる。また、背景技術で示したスクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本発明によればこの工程を省くことが可能となり、工程の簡略化を図ることも可能となる。また、本発明によれば、スパッタ法による前記接合材の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして当該圧電振動デバイスの低背化を図ることが可能となる。
本発明にかかる圧電振動デバイスによれば、接合材のボイドの発生を抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとしてATカット水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
本実施例にかかるATカット水晶振動子1(以下、水晶振動子という)は、図1,2に示すように、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋4とからなる。
この水晶振動子1では、図1,2に示すように、ベース3と蓋4とが下記する接合材7を用いて加熱溶融により接合されて本体筐体5が構成され、この本体筐体5内に内部空間6が形成される。この内部空間6のベース3上に、水晶振動片2が保持されるとともに、本体筐体5の内部空間6が気密封止されている。なお、内部空間6において、ベース3に水晶振動片2がシリコーン系樹脂などの導電性接着剤81を用いて接合されている。
次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
ベース3は、図1,2に示すように、セラミック材料(アルミナ)からなる平面視矩形状の一枚板の底部31と、この底部31上に積層したセラミック材料の堤部32とから構成される箱状体に形成され、これら底部31と堤部32とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、底部31の上面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面(端面)は、蓋4との接合領域33である。また、このベース3の外周には、四隅にキャスタレーション34が形成されている。そして、このベース3の表面35には、搭載する水晶振動片2の傾きを規制するための枕部39と、水晶振動片2の励振電極23,24(下記参照)と電気的に接続する電極パッド361,362とが形成されている。電極パッド361,362は、それぞれに対応した接続電極(図示省略)及びキャスタレーション34を介して、ベース3の裏面37に形成される端子電極(図示省略)に電気的に接続され、端子電極から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの電極パッド361,362、端子電極、及び接続電極は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド361,362、端子電極、及び接続電極のうち一部のものについて、メタライズ上部にニッケルコバルトメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されている。
蓋4は、金属材料(具体的にコバール単体)からなり、図2に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。また、この蓋4の平面視の外形寸法は、同一方向視のベース3の外形寸法と略同一か、若干小さく(ひとまわり小さく)なるように設計されている。本実施例に示すように蓋4に金属材料を用いることで、ベース3と同一材料であるセラミックを蓋4に用いた場合と比較して、その厚みを薄くすることができ、水晶振動子1の低背化を図ることができる。また、セラミックを用いて本実施例と同一の厚みの蓋4を成形した場合、セラミックは金属材料より脆く、強度を保つことができない。
また、図1,2に示すように、ベース3の接合領域33と蓋4の接合領域41との接合には、厚さ10μmからなる接合材7が用いられている。なお、本実施例では、接合材7に、錫燐酸系から構成される低融点ガラスが用いられている。この低融点ガラスには、その熱膨張係数をベース3および蓋4と近似もしくは同一の値とするために、ウィレマイトからなるフィラー成分が含有されている。なお、ここでいうフィラー成分とは、粒径状のフィラーとは区別して、原子レベルの単位で低融点ガラスに含有される成分のことをいう。ところで、この低融点ガラスは、スパッタ法により蓋4の接合領域41にスパッタリングされて形成され、このスパッタリングによる低融点ガラスの形成によりフィラー成分が全体に均一に配される(フィラー成分が低融点ガラス全体に均一に分布される)。このフィラー成分が全体に均一に配されることで、低融点ガラスのいずれの位置においても熱膨張係数を同一にすることができる。ここでいうスパッタ法によって、RF電源を用いて真空雰囲気にした状態のチャンバー内において蓋4の接合領域41に接合材7をスパッタリング形成して図3〜5に示す蓋4を製造する。
なお、図3では、蓋4のベース3と接合する接合面のうちベース3の接合領域33に対応する接合領域41に接合材7を形成した例を示す。また、図4では、図3に示す接合材7の形成位置を広げてより幅広に接合材7を形成した例を示す。また、図5では、蓋4のベース3と接合する接合面全面に接合材7を形成した例を示す。また、本実施例では、蓋4が図2に示すように平面視矩形状の一枚板に成形されその平面視各隅部が直角に形成されているが、これに限定されるものではなく、図3〜5に示すように平面視矩形状の一枚板の平面視各隅部が曲率形成されてもよい。
また、上記した本実施例にかかるベース3の熱膨張係数は7.4×10-6(1/℃)であり、蓋4の熱膨張係数は4.5〜5.1×10-6(1/℃)であり、接合材7の熱膨張係数は4.5〜6.5×10-6(1/℃)である。これらベース3の熱膨張係数と、蓋4の熱膨張係数との中間値に接合材7の熱膨張係数を設定することが好適である。
ところで、本実施例に示すような10μmの厚みの低融点ガラスを、背景技術で示したスクリーン印刷によりベース3に塗布形成する場合、低融点ガラスの塗布厚を抑えることができず、ベース3に薄い低融点ガラスを塗布形成することができない。
また、図2に示すように、この接合材7の一部71は、ベース3と蓋4との接合の際にインナーメニスカス形成され、ベース3と蓋4とにより形成された内部空間6内に配されている。ここでいう接合材7の一部71を内部空間6内に配するとは、内部空間6内に接合材7の一部71を面するだけでなく、内部空間6内に接合材7の一部71を突出させた状態のことをいう。具体的に、接合材7の一部71がベース3の堤部32に対して内部空間6側にオーバーハングされた状態なっている。図2に示すように、ベース3の堤部32全域から接合材7の一部71が、内部空間6側にオーバーハングされている。
水晶振動片2は、図1,2に示すように、ATカット水晶板(図示省略)からなり、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されている。この水晶振動片2の両主面21,22には、それぞれ励振電極23,24と、これらの励振電極23,24を外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド361,362)と電気的に接続するために励振電極23,24から引き出された引出電極25,26とが形成されている。これらの励振電極23,24及び引出電極25,26は、例えば、水晶振動板側からクロム−金の順に、あるいはクロム−金−クロムの順に、あるいはクロム−銀の順に、あるいはクロム−銀−クロムの順に積層して形成されている。そして、水晶振動片2の引出電極25,26とベース3の電極パッド361,362とが、導電性接着剤81により接合され、図1,2に示すように、水晶振動片2はベース3に片保持されている。
水晶振動片2をベース3に接合して搭載保持するための圧電振動片用の接合材として導電性接着剤81が用いられている。なお、この導電性接着剤81は、下塗り接着剤81aと上塗り接着剤81bとからなり、下塗り接着剤81aにより水晶振動片2と電極パッド361,362との導通を図るとともに水晶振動片2をベース3に保持し、上塗り接着剤81bにより水晶振動片2のベース3への保持を強化するものである。
上記した構成からなるベース3に水晶振動片2を導電性接着剤81を介して電気機械的に接合して搭載保持し、この水晶振動片2を搭載保持したベース3に、接合材7をスパッタ形成した蓋4を真空蒸着により接合して水晶振動子1を製造する。
上記した本実施例にかかる水晶振動子1によれば、接合材7にスパッタ法により形成されてフィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられ、接合材7の熱膨張係数は、ベース3および蓋4と近似もしくは同一の値を有する。そのため、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、接合材7のボイドの発生を抑制することができる。具体的に、低融点ガラスにフィラー成分が全体に均一に分布されるので、低融点ガラスのボイドは発生し難くし、もしくは発生しない。また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、ベース3と蓋4と接合材7との熱膨張係数が、近似もしくは同一の値であり、熱膨張係数の相違によってベース3と蓋4との接合時にかかるストレスを抑えることができ、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することができる。
また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、フィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させるので、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことができ、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることができる。また、背景技術で示したスクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本実施例にかかる水晶振動子1によればこの工程を省くことができ、工程の簡略化を図ることもできる。また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、スパッタ法による接合材7の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして水晶振動子1の低背化を図ることができる。
また、接合材7がインナーメニスカス形成されているので、ベース3と蓋4との接合時における接合材7の接合幅を確保することができ、新たに接合材7の接合幅を確保するために本体筐体5を大きくする必要がなく、水晶振動子1の小型化を図ることができる。
また、上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1の製造方法によれば、接合材7には、その熱膨張係数がベース3および蓋4と近似もしくは同一の値を有したフィラー成分を含有する低融点ガラスが用いられ、接合材7をベース3にスパッタ法により形成し、スパッタ法による接合材7の形成により、低融点ガラス全体にフィラー成分を均一に分布させる。そのため、本実施例にかかる水晶振動子1の製造方法によれば、接合材7のボイドの発生を抑制することができる。具体的に、低融点ガラスのボイドは、本実施例に示すようなスパッタ法によって低融点ガラスの生成を原子レベルの結合により行うことで発生し難くし、もしくは発生しない。また、本実施例にかかる水晶振動子1の製造方法によれば、ベース3と蓋4と接合材7との熱膨張係数が、近似もしくは同一の値であり、熱膨張係数の相違によるベース3と蓋4との接合時にかかるストレスを抑えることができ、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することができる。また、本実施例にかかる水晶振動子1の製造方法によれば、更に低融点ガラスにフィラー成分が含有されており、このフィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させることで、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことができ、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることができる。また、背景技術で示したスクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本実施例にかかる水晶振動子1の製造方法によればこの工程を省くことができ、工程の簡略化を図ることもできる。また、本実施例にかかる水晶振動子1の製造方法によれば、スパッタ法による接合材7の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして水晶振動子1の低背化を図ることができる。
なお、本実施例では、圧電振動片としてATカット水晶振動片2を用いているが、これに限定されるものではなく、音叉型水晶振動片であってもよい。
また、本実施例では、ベース3にセラミック材料を用いているが、これに限定されるものではなく、ベース3と蓋4と接合材7との熱膨張係数を近似もしくは同一の値であれば例えば、セラミック材料のベースに添加物を含有させて熱膨張係数を蓋4および接合材7に近似させてもよい。具体的に、ベース3の熱膨張係数を4.5〜5.5×10-6(1/℃)に設定させることを構成としてもよい。
また、本実施例では、蓋4にニッケル−コバールの順で積層されたものを用いているが、これに限定されるものではなく、ベース3と蓋4と接合材7との熱膨張係数を近似もしくは同一の値であれば任意の材料から蓋4を構成してもよい。例えば、蓋4を、ニッケル−コバールの順で積層されたものや、ニッケル−コバール−ニッケルの順で積層されたものや、42アロイ等から構成してもよい。
また、本実施例では、接合材7の厚さが10μmであるが、これは好適な例でありこれに限定されるものではなく、20μm以下であれば任意の厚みに設定してもよい。なお、特に接合材7の厚さは10μm以下である場合、背景技術で示すスクリーン印刷によって塗布形成した接合材では実現できない接合材7の厚みを可能とし、水晶振動子1の低背化を図ることができる。このように、水晶振動子1の小型化を図るためには接合材7の厚みをより薄くすることが望まれる。
また、本実施例では、接合材7に含有するフィラー成分にウィレマイトを用いているが、これに限定されるものではなく、接合材7の熱膨張係数をベース3および蓋4と近似もしくは同一の値になれば他の材料を用いてもよい。具体的に、フィラー成分にコージェライトや、燐酸ジルコニウムや、シリカフィラー系などを用いてもよい。
また、本実施例では、低融点ガラスの構成として錫燐酸系を適用しているが、これに限定されるものではなく、接合材7の熱膨張係数をベース3および蓋4と近似もしくは同一の値になれば他の材料を用いてもよい。具体的に、低融点ガラスの構成として、酸化鉛系や、ビスマス系や、銀燐酸系や、五酸化バナジウム系などを適用してもよい。
また、本実施例では、導電性接着剤81を下塗り接着剤81aと上塗り接着剤81bとから構成しているが、これに限定されるものではなく、導電性接着剤81を下塗り接着剤81aで構成してもよい。
また、本実施例では、導電性接着剤81を圧電振動片用接合材として用いているが、これに限定されるものではなく、図6,7に示すように、金等からなる導電性バンプ82を圧電振動片用接合材として用いてFCB法により水晶振動片2がベース3に電気機械的に接合されてもよい。この場合、本体筐体5の小型化に好適な例である。
また、本実施例では、真空雰囲気中において接合材7を金属材料からなる蓋4に形成しているが、不活性ガス(窒素等)による雰囲気下において接合材7を金属材料からなる蓋4に形成してもよい。しかしながら、真空雰囲気中において接合材7を形成した場合、不活性ガス雰囲気中において接合材7を形成する場合と比較して、接合材7へのボイドの発生を抑えて水晶振動子1のCI値を2/3以下に抑えることができ、真空雰囲気中において接合材7を形成することが好ましい。特に、このことは低周波数を対象とする水晶振動子1の製造に関して顕著である。
また、本実施例では、蓋4に金属材料を用いているが、これは水晶振動子1の低背化に好適な例であり、これに限定されるものではなく、蓋にアルミナなどのセラミックを用いてもよい。この場合、熱膨張係数がベース3と蓋4とで同一になるので、熱膨張係数の相違によるベース3と蓋4との接合時にかかるストレスを抑えることができる。なお、従来スクリーン塗布されたガラスを接合材として用いており、セラミックを用いた蓋4とセラミックを用いたベース3との接合材7を介する真空封止接合は、接合材にボイドが発生するため採用することは難しかった。しかしながら、本実施例に示すように接合材7をスパッタ形成することで、接合材7の形成時にボイドの発生を抑えることができるので、本実施例の他の例に示すようなセラミックを用いた蓋4とセラミックを用いたベース3との接合材7(低融点ガラス)を介する真空封止接合は、従来と比べてより実施し易い。
また、本実施例では、スパッタ法により蓋4の接合領域41に接合材7を形成しているが、これに限定されるものではなく、ベース3の接合領域33と蓋4の接合領域との両方に接合材7を形成してもよく、またはベース3の領域33のみに接合材7を形成してもよい。
具体的に、図8〜11に示すように接合材7をスパッタ法によりベース3の接合領域33にスパッタリングして形成してもよい。なお、図8,9では、ベース3の堤部32の上面全面を接合領域33とした例を示し、図10,11では、ベース3の堤部32の上面全面であって、その短辺に形成したキャスタレーション34のベース3内側を接合領域33とした例を示す。なお、接合材7を、図3〜5に示す蓋4の接合領域41と、図8〜11に示すベース3の接合領域33との両方に形成してもよい。この場合、ベース3の接合領域33に形成した接合材7を、蓋4に形成した接合材7とベース3との接合を良好にするための補助的な構成として用いることが好ましく、また、水晶振動子1の低背化を図るために、ベース3の接合領域33に形成する接合材7の厚みを、蓋4に形成した接合材7の厚みより薄くすることが好ましい。
さらに、本発明は水晶振動片やIC等の他の電子部品を一体的に収納した水晶発振器、もしくは水晶振動片やIC等の他の電子部品を個別に収納した水晶発振器にも適用することができる。
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、圧電振動デバイスに適用でき、特に水晶振動子などに好適である。
1 水晶振動子(圧電振動デバイス)
2 水晶振動片(圧電振動片)
3 ベース
4 蓋
7 接合材
2 水晶振動片(圧電振動片)
3 ベース
4 蓋
7 接合材
Claims (4)
- 圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースと前記蓋とは接合材を用いて接合された圧電振動デバイスにおいて、
前記接合材には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられ、
前記接合材の熱膨張係数は、前記ベースおよび前記蓋と近似もしくは同一の値を有することを特徴とする圧電振動デバイス。 - 前記接合材は、スパッタ法により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイス。
- 前記接合材は、インナーメニスカス形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動デバイス。
- 前記接合材の厚さは、20μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の圧電振動デバイス。
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