JP2012207219A - 樹脂組成物及びこれからなる放熱部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維の含有量を低減しながらも、良好な熱伝導性と成形加工性を持つ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)40質量%〜65質量%と、炭素繊維(B)5質量%〜10質量%と、平均粒子径が12μmを超え50μm以下の黒鉛粒子(C)30質量%〜50質量%とを含有し(但し、前記熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)と黒鉛粒子(C)の合計量を100質量%とする。)、JIS−K−7210に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレートが0.5g/10分〜30g/10分である樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びこれからなる放熱部品に関する。
従来、LED照明に使われるLED素子や電子機器などの半導体冷却用ヒートシンク、産業機器・装置等の大型電源用ヒートシンクなどの放熱部品として、熱伝導率の高いアルミ系合金等で作られたヒートシンクが用いられている。そして、最近は、加工が容易でより軽い放熱部品とするために、アルミ系合金を樹脂に替える検討がなされている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂に高熱伝導性無機繊維及び高熱伝導性無機粉末を共に充填せしめてなる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
また特許文献2には、熱可塑性樹脂100質量部に対して、黒鉛粒子、炭素繊維構造体がそれぞれ10質量部〜300質量部及び1質量部〜80質量部含有されている放熱性樹脂組成物が記載されている。
特開平8−283456号公報 特開2008−150595号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載された樹脂組成物は、成型加工性が十分ではなく、また当該樹脂組成物から得られる成形体の熱伝導率は十分ではない。
また、熱伝導性繊維として炭素繊維を使用する場合、炭素繊維の含有量が高くなると、熱可塑性樹脂との均一な混合が困難になったり、押出し機などの可塑化装置を用いて溶融混練する際、可塑化装置からの吐出量が不安定になったりする製造上の問題があった。
以上の課題に鑑み、本発明の目的は、炭素繊維の含有量を低減しながらも、良好な熱伝導性と成形加工性を持つ樹脂組成物を提供することである。
本発明は熱可塑性樹脂(A)40質量%〜65質量%と、炭素繊維(B)5質量%〜10質量%と、平均粒子径が12μmを超え50μm以下の黒鉛粒子(C)30質量%〜50質量%とを含有し(但し、前記熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)と黒鉛粒子(C)の合計量を100質量%とする。)、JIS−K−7210に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレートが0.5g/10分〜30g/10分である樹脂組成物及びこの樹脂組成物からなる放熱部品を提供するものである。
本発明によれば、炭素繊維の含有量を低減しながらも、良好な熱伝導性と成形加工性を持つ樹脂組成物を提供することが可能となる。
本発明に係る放熱性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、炭素繊維(B)、黒鉛粒子(C)とを含有する。以下詳細に説明する。
〔樹脂組成物〕
<熱可塑性樹脂(A)>
上記樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂(A)は、200℃〜450℃の温度で成形可能な熱可塑性樹脂であることが好ましい。本発明において好ましい熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリールスルホン、ポリアリールケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイドスルフォン、ポリアリレート、液晶ポリエステル、フッ素樹脂等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることが可能である。
これらのうち、成形加工性の観点からポリオレフィンやポリスチレンを用いることが好ましい。これによって比較的複雑な形状の電気・電子部品を成形する際の成形加工性が良好となる。
本発明で好ましく用いられるポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン樹脂が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることが可能である。
ポリプロピレンとしては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。
α−オレフィン樹脂としては、例えば、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンに用いられる炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
オレフィンの重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合又は気相重合が挙げられる。ここでバルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合又はスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
これらの重合方法は、バッチ式及び連続式のいずれでもよく、また、単一の重合槽で行われる単段式及び複数の重合反応槽を直列に連結させた重合装置で行われる多段式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法又はバルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法による方法が好ましい。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、適宜決定すればよい。
また、ポリオレフィンの製造に用いられる触媒としては、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒が挙げられる。マルチサイト触媒として、好ましくは、チタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられ、また、シングルサイト触媒として、好ましくは、メタロセン触媒が挙げられる。
本発明で用いられるポリオレフィンがポリプロピレンの場合、ポリプロピレンの製造方法に用いられる好ましい触媒として、上記のチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられる。
プロピレン単独重合体及び前記プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分(すなわち、プロピレンの単独重合で生成した部分)の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、プロピレン重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖(以下、mmmmと表す。)の中にあるプロピレンモノマー単位の分率である。アイソタクチック・ペンタッド分率の測定方法は、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に記載されている方法、すなわち13C−NMRによって測定される方法である。
具体的には、13C−NMRスペクトルによって測定されるメチル炭素領域の吸収ピークの面積に対する、mmmmに帰属されるNMRピークの面積の割合が、アイソタクチック・ペンタッド分率である。
樹脂組成物の射出成形性と熱伝導率とのバランスの観点から、上記熱可塑性樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは10g/10分〜200g/10分であり、より好ましくは20g/10分〜150g/10分、更に好ましくは20g/10分〜130g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。本発明におけるメルトフローレート(MFR)の測定は、JIS K7210に規定された方法に準じて行う。
樹脂組成物の流動性と熱伝導率の観点から、本発明における熱可塑性樹脂(A)の含有量は、40質量%〜65質量%であり、45質量%〜55質量%であることが好ましい。
<炭素繊維(B)>
本発明で用いられる炭素繊維(B)としては、熱伝導率が100W/mKを越えるピッチ系炭素繊維が好ましい。具体的には、三菱樹脂株式会社製 商標ダイアリード、帝人株式会社製 商標ラヒーマ等が挙げられる。
また、この炭素繊維(B)は、その表面が収束剤で処理されていてもよい。収束剤としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル、エポキシ樹脂、澱粉、植物油等が挙げられる。さらに、収束剤に、酸変性ポリオレフィン、シラン系カップリング剤等の表面処理剤、パラフィンワックス等の潤滑剤が配合されていてもよい。
炭素繊維(B)を収束剤で処理する方法としては例えば、収束剤を溶解させた水溶液に浸漬させる法、前記水溶液をスプレーで繊維に塗布する方法等が挙げられる。
本発明における樹脂組成物中の炭素繊維(B)の数平均繊維長は、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましい。繊維長をこのような範囲とすることにより、熱伝導率を高くすることができる。炭素繊維の数平均繊維長(単位:mm)は、ソックスレー抽出法(溶媒:キシレン)で評価用サンプルより樹脂を除去して、繊維を回収し、特開2002−5924号公報に記載されている方法により測定することができる。
また、炭素繊維(B)の繊維径は5μm以上であることが好ましい。
炭素繊維(B)の含有量は5質量%〜10質量%であり、7質量%〜9質量%であることがより好ましい。炭素繊維の含有量が5質量%以上とすることによって、得られる成形体の熱伝導率を向上させることが可能となる。炭素繊維(B)の含有量を10質量%以下とすることにより、炭素繊維(B)の含有量を低減しつつ十分な熱伝導率を得ることができる。
<黒鉛粒子(C)>
本発明で用いられる黒鉛粒子(C)を構成する黒鉛は、人造黒鉛、天然黒鉛のいずれでもよい。具体的には、日本黒鉛工業株式会社製 商標CB−150等が挙げられる。
黒鉛粒子(C)の平均粒子径は、12μmを超え50μm以下であり、19μm〜40μmであることがより好ましい。平均粒子径が12μm以下では、樹脂組成物の流動性が低下し、成型加工性が低下してしまう。
平均粒子径は、レーザー散乱型粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
黒鉛粒子(C)の含有量は30質量%〜50質量%であり、35質量%〜45質量%であることがより好ましい。黒鉛粒子(C)の含有量を30質量%以上とすることによって、得られる成形体の熱伝導率を向上させることが可能となる。また、前記含有量を50質量%以下とすることによって、成形加工性の良好な樹脂組成物を得ることができる。
<有機繊維(D)>
本発明で用いられる樹脂組成物は、有機繊維(D)を含有していてもよい。有機繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ケナフ等の植物繊維が挙げられる。中でも熱可塑性樹脂(A)がポリオレフィンであるときに含有していることが好ましく、ポリエステル繊維を用いることが好ましい。
本発明において、有機繊維は好ましくは、上記熱可塑性樹脂(A)や、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリオレフィン、エラストマーのような樹脂を混合させた有機繊維含有樹脂組成物として用いられる。有機繊維含有樹脂組成物の製造方法として、特開2006−8995号公報や特開平3−121146号公報に記載された方法が挙げられる。有機繊維含有樹脂組成物中の有機繊維の含有量は10質量%〜60質量%であることが好ましい。有機繊維含有樹脂組成物を、本発明に係る熱可塑性樹脂又は変性ポリオレフィンを使用して製造する場合、それらの使用量は、本発明に係る熱可塑性樹脂の含有量(40質量%〜65質量%)に算入される。
本発明における樹脂組成物中の、任意成分としての有機繊維の含有量は、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)と黒鉛粒子(C)の合計を100質量部として、3質量部〜10質量部であることが好ましく、3質量部〜5質量部であることがより好ましい。
<改質剤(E)>
本発明で用いられる樹脂組成物は、下記のような改質剤(E)を含有していてもよい。改質剤としては、熱可塑性樹脂と無機成分との結合を強めるために一般的に用いられる、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリオレフィンが挙げられる。その他にもガラス繊維、タルク、ワラストナイト、ガラスフレーク等が挙げられる。また、樹脂組成物の加工特性、機械特性、電気的特性、熱的特性、表面特性及び光安定性を改良するため、各種添加剤を配合してもよい。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、中和剤、可塑剤、滑剤、離型剤、付着防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃材、顔料、染料等が挙げられる。
<樹脂組成物の製造方法>
樹脂組成物の製造方法は限定されるものではないが、熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)、黒鉛粒子(C)、及び必要に応じて用いられる有機繊維(D)、改質剤(E)等をヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて均一に混合した後、可塑化装置を用いて溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練に当たっては、炭素繊維(B)が折れて短くなりすぎることを抑制するために、可塑化装置の温度、攪拌を適宜調整することが好ましい。
特に、有機繊維を加える際には、例えば、特開2006−8995号公報に開示されている方法のようにで予め有機繊維を含有する樹脂組成物を作製し、その樹脂組成物と、熱可塑性樹脂、炭素繊維、変性ポリオレフィン、及び必要に応じて用いられる改質剤をヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて均一に混合した後、可塑化装置を用いて溶融混練してもよい。
可塑化装置を用いて溶融混練する際は、上記の各成分を同一の供給口又は別の供給口から、更に、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、PVC系エラストマー等のゴム等を供給し、樹脂組成物に含有させてもよい。ここで可塑化装置とは、熱可塑性樹脂をその融点以上に加熱し、溶融状態になった熱可塑性樹脂に攪拌を加える装置のことである。例えば、バンバリーミキサー、単軸押出し機、2軸同方向回転押出し機(例えば、東芝機械(株)製 TEM[登録商標]、日本製鋼所(株)製 TEX[登録商標]等が挙げられる。)、2軸異方向回転押出し機(神戸製鋼所(株)製 FCM[登録商標]、日本製鋼所(株)製 CMP[登録商標]等が挙げられる。)が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物のメルトフローレートは、0.5g/10分〜30g/10分であり、0.5g/10分〜25g/10分であることが好ましく、1g/10分〜15g/10分であることがより好ましい。メルトフローレートが0.5g/10分未満であると、成形加工性に劣る。またメルトフローレートが30g/10分を超えると、射出成形においてボイドと言われる成形品表面の外観異常が発生したり、射出成形機のノズルから樹脂が漏れる、いわゆる洟垂れが起こる場合がある。
なお、メルトフローレートはJIS−K−7210に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定された値を用いる。
〔放熱部品〕
本発明に係る放熱部品は、上記の樹脂組成物を成形して得られる。成形方法は特に限定されるものではなく、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形等の方法を用いて成形することが可能である。
放熱部品としては、照明器具用部品が挙げられる。照明器具用部品としては、ヒートシンクやシーリングカバーやシェードが挙げられる。
また、放熱部品として、電子機器などの半導体冷却用ヒートシンク、産業機器・装置等の大型電源用ヒートシンクなどが挙げられる。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
(1)樹脂組成物
樹脂組成物には、以下の成分を使用した。
熱可塑性樹脂(A):
(A−1):プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンをランダム共重合して得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体(メルトフローレート(MFR):5g/10分、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチック・ペンタッド分率=0.98、プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の量=12質量%)。
(A−2):プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体(MFR:20g/10分、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチック・ペンタッド分率=0.98、プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の量=12質量%)。
(A−3):プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体(MFR:50g/10分、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチック・ペンタッド分率=0.98、プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の量=12質量%)。
(A−4):プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体(MFR:130g/10分、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチック・ペンタッド分率=0.98、プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の量=12質量%)。
なお、上記プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の量(X)は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体部分の融解熱量(cal/g)
炭素繊維(B):
三菱樹脂製 登録商標 ダイアリードK223HE 数平均繊維長6mm、直径11μm、熱伝導率550W/mK
黒鉛粒子(C):
(C−1):日本黒鉛工業製 登録商標CB−150 固定炭素量>98%、平均粒径40μm
(C−2):日本黒鉛工業製 登録商標CPB 固定炭素量>97%、平均粒径19μm(C−3):日本黒鉛工業製 登録商標CSP 固定炭素量>97%、平均粒径12μm
改質剤(E):
炭素繊維、黒鉛粒子と熱可塑性樹脂との界面を補強する目的で、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)と黒鉛粒子(C)の総和を100質量部として、表1に示した量の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(E−1)(MFR=70g/10分、無水マレイン酸グラフト量=0.6質量%)を用いた。
上記無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、特開2004−197068号公報の実施例1に記載された方法に従って作製した。なお、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体に由来する単量体単位の含有量は、赤外吸収スペクトル又はNMRスペクトルによって、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体に基づく吸収を定量して算出した値を用いた。
また、以下の酸化防止剤又は添加剤を表1に記載の含有量で用いた。なお、これらの含有量は、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)と黒鉛粒子(C)の合計を100質量部とした値である。
(E−2):商品名スミライザーGP(住友化学(株)製)
(E−3):商品名イルガノックス1010(GEスペシャリティケミカルズ製)
(E−4):ハイドロタルサイト 商品名DHT−4C(協和化学工業製)
〔物性の評価〕
実施例及び比較例で作成した成形体の評価項目及びその測定方法は下記の通りである。
評価結果を表2に示す。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
樹脂組成物のメルトフローレートは、JIS K7210に規定された方法に従って測定した。測定温度は230℃で、荷重は2.16kg荷重で測定した。
(2)比重
試料の比重はA.S.T.M D792に従って、測定した。
(3)熱伝導率
成形体の熱伝導率はレーザーフラッシュ法を用いて測定した。
実施例及び比較例で製造した試験片(80mm×10mm×厚み4mm)を3枚重ねて接着して、厚さ12mmの積層体を得た。この積層体の略中央部分を2箇所、接着面に対して垂直な方向から切断し、各切断面を研磨して10mm×12mm×厚さ1mmの試験片を作成した。
この試験片を用いて、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製 TC−7000)により成形体面内方向(接着面に対して垂直な方向)の熱伝導率を求めた。
(4)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
ペレットを射出成形して得た試験片(厚み4mm)を用い、JIS K7171に規定された方法に従い、スパン長さ100mm、幅10mm、荷重速度2.0mm/min、23℃で評価した。
(5)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2)
ペレットを射出成形して得た試験片(厚み4mm)を用い、JIS K7110に規定された方法に従い、成形後にノッチ加工し、ノッチ付き衝撃強度を評価した。測定温度は23℃で行った。
〔実施例1〜7、比較例1〜7〕
上記熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)、黒鉛粒子(C)、変性ポリプロピレン(F−1)を表1の割合で、酸化防止剤を上述の割合で、ポリ袋に入れて強く振って均一に混合した後、田辺プラスチックス機械製20mm単軸押出機VS20−26を用い、シリンダ温度240℃で溶融混練した後、約3mmのペレット状に裁断して樹脂組成物を製造した。
特に炭素繊維の量が多い比較例4、比較例5では、上記押出機からの吐出が不安定となり、製造が困難だった。
次いで、得られたペレットを、射出成形機((株)東洋精機 TOYO SI−30III
)を用いて、シリンダ温度230℃、金型温度50℃、射出速度20mm/秒、保圧25MPaで射出成形し、評価用試験片を得た。その結果を表2に示す。
Figure 2012207219
Figure 2012207219
本発明の要件を満たす実施例1〜7では、10質量%以下の炭素繊維含有量で、成形に十分な流動性と、高い熱伝導率を得られる。炭素繊維と黒鉛粒子を含まない比較例1は熱伝導率が低い。炭素繊維を含まない比較例2〜3では十分な熱伝導率が得られない。黒鉛粒子を含まない比較例4〜5では熱伝導率と流動性は十分であるが、製造が困難であった。黒鉛粒子の平均粒径が12μm以下である比較例7では十分な流動性が得られなかった。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂(A)40質量%〜65質量%と、炭素繊維(B)5質量%〜10質量%と、平均粒子径が12μmを超え50μm以下の黒鉛粒子(C)30質量%〜50質量%とを含有し(但し、前記熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)と黒鉛粒子(C)の合計量を100質量%とする。)、JIS−K−7210に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレートが0.5g/10分〜30g/10分である樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物からなる放熱部品。
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