JP2012181986A - 絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】架橋アクリルゴムを含む絶縁層を有する絶縁電線において、耐熱性の優れた絶縁電線を提供する。
【解決手段】導体の周囲が架橋アクリルゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、前記絶縁層に安定剤として芳香環を有する窒素系安定剤を含有せしめて絶縁電線を構成した。
【選択図】なし
【解決手段】導体の周囲が架橋アクリルゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、前記絶縁層に安定剤として芳香環を有する窒素系安定剤を含有せしめて絶縁電線を構成した。
【選択図】なし
Description
本発明は、絶縁電線に関し、更に詳しくは難燃性を有し耐熱性に優れ、自動車、電気・電子機器等に好適に使用される絶縁電線に関する。
自動車、電気・電子機器等に使用される部材や絶縁材料には、機械特性、難燃性、耐熱性、耐寒性等の種々の特性が要求されている。従来、柔軟性を有する耐熱絶縁材料として、アクリルゴムを含む組成物により絶縁層を構成した絶縁電線が提案されている。
従来提案されている上記特許文献1に見られるように、アクリルゴムにポリオレフィンを混合した例があるが、耐熱性が不十分であるという問題があった。
本発明の解決しようとする課題は、上記問題点を解決しようとするものであり、架橋アクリルゴムを含む絶縁層を有する絶縁電線において、耐熱性が優れた絶縁電線を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明の絶縁電線は、導体の周囲が架橋アクリルゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、前記絶縁層が安定剤として芳香環を有する窒素系安定剤を含有することを要旨とするものである。
上記絶縁電線において、前記窒素系安定剤の芳香環が、ベンゼン環であることが好ましい。
上記絶縁電線において、前記窒素系安定剤のベンゼン環の数が、2以上であることが好ましい。
上記絶縁電線において、前記窒素系安定剤が、4,4’−ジクミル−ジフェニルアミンであることが好ましい。
上記絶縁電線において、前記絶縁層における窒素系安定剤の含有量が、架橋アクリルゴム100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲であることが好ましい。
本発明の絶縁電線は、絶縁層に安定剤として芳香環を有する窒素系安定剤を含有することにより、架橋アクリルゴムを含む絶縁層の耐熱性が優れたものである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明の絶縁電線は、導体と、該導体の周囲を被覆する絶縁層とを有している。絶縁層は、架橋アクリルゴムと、安定剤として、芳香環を有する窒素系安定剤を含有している。
芳香環を有する窒素系安定剤は、アクリルゴムの耐熱性を向上させるために絶縁層に添加されている。芳香環を有する窒素系安定剤の芳香環は、特に限定されず、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラキノン環等が挙げられるが、ベンゼン環が、合成の工数(コスト)の点から好ましい。また窒素系安定剤のベンゼン環は2以上であるのが、耐熱性が良好であることから好ましい。ベンゼン環が2以上の窒素系安定剤としては、例えば、ジフェニルアミンの誘導体等が挙げられる。
窒素系安定剤の「窒素系」とは、化合物の構造に窒素原子を含むことを意味する。すなわち芳香環を有する窒素系安定剤は、窒素原子含有芳香族化合物ということができる。窒素原子としては、例えばアミノ基、ニトロ基等が挙げられる。
窒素系安定剤は、具体的には、例えば下記の市販品を用いることができる。窒素系安定剤は、精工化学社の商品名で(括弧内が化合物名である)、ノンスコーチN(N−ニトロソジフェニルアミン)、ノンフレックスAW−P(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンと不活性フィラーとの混合物)、ノンフレックスAW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ノンフレックスF(N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン)、ノンフレックスH(N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン)、オゾノン3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、オゾノン6C〔N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン〕、オゾノン35〔N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン〕、オゾノン35−PR〔N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンと不活性フィラーとの混合物)、ノンフレックスLAS−P(スチレン化ジフェニルアミンと不活性フィラーとの混合物)、ノンフレックスDCD(4,4’−ジクミル−ジフェニルアミン)、ノンフレックスOD−3(オクチル化ジフェニルアミン)、ノンフレックスQS〔ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)〕、ノンフレックスRD〔ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)〕、ステアラーSTAR(ジ−tert−ブチル−ジフェニルアミン)、ステアラーLAS(スチレン化ジフェニルアミン)等がある。
上記窒素系安定剤の中でも、4,4’−ジクミル−ジフェニルアミンは、ベンゼン環の数が4個であることから好ましい。
絶縁層における窒素系安定剤の含有量は、アクリルゴム100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは、0.2〜18質量部の範囲である。窒素系安定剤の含有量が少ないと熱安定性向上効果が不十分となり、多すぎるとブルーミングし外観不良となる虞がある。
絶縁電線の絶縁層は、少なくともアクリルゴムと窒素系安定剤を含む絶縁層組成物を用いて導体の周囲に押出し被覆した後、加熱等の架橋手段により処理してアクリルゴムを架橋した架橋アクリルゴムからなる。架橋アクリルゴムはアクリル酸エステルを主成分とし、耐熱性、柔軟性等の優れた弾性体である。
上記アクリルゴムは、例えばアクリル酸エチルを主成分とし、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル等の他のモノマーと、架橋を行うためのコモノマーと共重合させたものが挙げられる。アクリルゴムの架橋を行うためのコモノマーとしては、2−クロロエチルビニルエーテル等の含ハロゲン化合物、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、エチリデンノルボルネン等のジエン系化合物等が挙げられる。
絶縁層組成物には、必要に応じ難燃剤、架橋剤(架硫剤)、その他の添加剤等を加えてもよい。その他の添加剤としては、電線被覆材に一般的に用いられる、顔料、充填剤等が挙げられる。
上記難燃剤としては、特に限定されるものではなく、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系難燃剤、或いは、臭素系難燃剤と三酸化アンチモン等を用いることができる。
難燃剤として用いられる水酸化マグネシウムは、海水から結晶成長法で合成するもの、塩化マグネシウムと水酸化カルシウムの反応で合成するもの、天然に産出する鉱物を粉砕するもの等が挙げられる。水酸化マグネシウムの粒径は、平均粒径が0.1〜20μmであり、好ましくは0.2〜10μm、更に好ましくは0.5〜5μmである。水酸化マグネシウムの平均粒径が、0.1μm未満では二次凝集が起こり易く、組成物の機械的特性が低下する虞がある。また水酸化マグネシウムの平均粒径が20μmを超えると、絶縁電線の外観が不良になる虞がある。
絶縁層中の水酸化マグネシウムの含有量は、架橋アクリルゴム100質量部に対し、0.1〜250質量部の範囲が好ましい。水酸化マグネシウムの含有量は、更に好ましくは0.5〜200質量部の範囲である。絶縁層中の水酸化マグネシウムの含有量が、0.1質量部未満では耐熱性が不十分となる虞があり、また250質量部を超えると、外観不良となる虞がある。
水酸化マグネシウムは、表面処理したものを用いても良い。表面処理した水酸化マグネシウムは、絶縁層中の架橋アクリルゴム中での分散性に優れるものである。上記表面処理剤としては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンの単独重合体、もしくは相互共重合体、或いはそれらの混合物が挙げられる。
上記表面処理剤は変性されていても良い。変性剤としては、不飽和カルボン酸やその誘導体を用いることができる。これらの変性剤を用いて、表面処理剤を酸変性して、酸を導入することができる。具体的な不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル等が挙げられる。このうちで好ましいのは、マレイン酸、無水マレイン酸等である。なおこれらの変性剤は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもいずれでもよい。
表面処理剤に酸を導入する方法としては、グラフト方や直接法等が挙げられる。また酸変性量としては、表面処理剤の0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。
水酸化マグネシウムに対する表面処理剤の処理方法としては、特に限定されるものではない。水酸化マグネシウムの処理方法は、例えば、所定の粒径の水酸化マグネシウムに表面処理してもよいし、合成時に同時に処理してもよい。また処理方法としては、溶媒を用いた湿式処理でもよいし、溶媒を用いない乾式処理でもよい。湿式処理の際、好適な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等を用いることができる。また、絶縁層の組成物を調製時、表面処理剤を同時に混練してもよい。
水酸化マグネシウムにおいて、表面処理剤の水酸化マグネシウムに対するコート量(表面処理剤の添加量)は、水酸化マグネシウムと表面処理剤の合計量に対する0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。表面処理剤のコート量が、0.1質量%未満では分散不良となる虞があり、10質量%を超えると凝集する虞がある。
上記臭素系難燃剤としては、エチレンビス・テトラブロモフタルイミド、エチレンビス・トリブロモフタルイミド系のフタルイミド構造を持つ臭素系難燃剤等が好ましい。上記のフタルイミド構造を持つ臭素系難燃剤は、単独で使用しても良いが、下記の臭素系難燃剤と併用してもよい。臭素系難燃剤として、エチレンビス(ペンタブロモベンゼン)、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、ヘキサブロモシクロドデカン、TBBAカーボネートオリゴマー、TBBAエポキシオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBBAビス(ジブロモプロピルエーテル)、ポリ(ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモベンゼン等が挙げられる。
上記三酸化アンチモンは、臭素系難燃剤の難燃助剤として用いられる。三酸化アンチモンは、純度が99%以上のものが好ましい。三酸化アンチモンの製法としては、鉱物として産出される三酸化アンチモンを粉砕して用いる。三酸化アンチモンの平均粒径は、3μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下である。
三酸化アンチモンには表面処理を施してもよい。三酸化アンチモンの表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、オレフィン系ワックス等が挙げられる。上記オレフィン系ワックスとしては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンの単独もしくは相互共重合体、或いはそれらの混合物等が挙げられる。表面処理剤の使用量(表面処理量)としては、三酸化アンチモン100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
上記表面処理剤は変性されていてもよい。変性剤としては、不飽和カルボン酸やその誘導体を用いることができる。具体的には不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル等が挙げられる。このうちで好ましいのは、マレイン酸、無水マレイン酸等である。なおこれらの表面処理剤の変性剤は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもいずれでもよい。
表面処理剤に酸を導入する方法としては、グラフト法や直接法等が挙げられる。また酸変性量としては、表面処理剤の0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。
三酸化アンチモンに対する表面処理剤の表面処理方法としては特に限定されるものではない。処理方法としては、例えば、予め所定の粒径の三酸化アンチモンに表面処理してもよいし、粉砕時に同時に処理してもよい。また処理方法としては、溶媒を用いた湿式処理でもよいし、溶媒を用いない乾式処理でもよい。湿式処理の際、好適な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等を用いることができる。また、絶縁層組成物を調製する際に、表面処理剤を他の材料と同時に混練してもよい。
臭素系難燃剤と三酸化アンチモンの比率は、前記臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンの質量比で、臭素系難燃剤/三酸化アンチモン=1/1〜5/1の範囲内であることが、コストが適正であり、難燃性にも優れる等の理由から好ましい。臭素系難燃剤に対して三酸化アンチモンの量が少なすぎると難燃性に劣り、また三酸化アンチモンの量が増えるとコスト高となる。臭素系難燃剤と三酸化アンチモンの更に好ましい比率(質量比)は、臭素系難燃剤/三酸化アンチモン=1.5/1〜4.5/1の範囲であり、更に好適には臭素系難燃剤/三酸化アンチモン=2/1〜4/1の範囲である。
絶縁層中の臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンの含有量は、架橋アクリルゴム100質量部に対し、0.1〜200質量部の範囲が好ましい。臭素系難燃剤の含有量は、更に好ましくは0.5〜150質量部である。絶縁層中の臭素系難燃剤の含有量が、0.1質量部未満では難燃性が不十分となる虞があり、また200質量部を超えると、分散不良となる虞がある。
架橋剤は、アクリルゴムを架橋することが可能なものであれば良く、特に限定されるものではない。架橋剤は、アクリルゴムを構成する架橋用モノマーの種類、架橋条件等に応じて適宜選択することができる。上記架橋剤の種類としては、例えば、有機過酸化物等のラジカル発生剤、金属石けん、アミン、チオール、チオカルバミン酸塩、有機カルボン酸等の化合物が挙げられる。架橋剤は有機過酸化物が架橋速度の向上という点から好ましい。
上記有機過酸化物としては、例えば、ジへキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド、n−ブチル4,4−ジ(t―ブチルパーオキサイド)バレレート等のパーオキシケタール等が挙げられる。
また絶縁層組成物における架橋剤の配合量は、適宜決定することができるが、アクリルゴムと架橋剤の合計量に対し、0.01〜10質量%の範囲で添加するのが好ましい。
以下、上記の絶縁電線の製造方法について説明する。絶縁電線は、上記のアクリルゴム、安定剤、難燃剤及び架橋剤等の絶縁層を構成する組成物を混練し、導体の周囲に押し出して、導体を絶縁被覆して絶縁層を形成した後、加熱等の手段で絶縁層のアクリルゴムを架橋させることで、製造することができる。
上記混練方法としては、例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ロール等の通常の混練機で溶融混練して均一に分散する方法等を用いることができる。上記混練の際は、水冷等を行い50℃〜60℃程度で行うことが望ましい。
絶縁層組成物を導体の周囲に押し出して絶縁層を形成するには、通常の絶縁電線の製造に用いられる電線押出成形機等を用いることができる。絶縁電線に用いられる導体は、通常の絶縁電線に使用されるものが利用できる。また絶縁電線の導体の径や絶縁層の厚み等は、特に限定されず、絶縁電線の用途等に応じて適宜決めることができる。また絶縁層は、単層であっても、2層以上の複数層から構成しても、いずれでもよい。
本発明絶縁電線は、自動車、電子・電気機器に使用される絶縁電線に利用することができる。特に高い耐熱性と難燃性を要求される用途の絶縁電線として好適である。例えば自動車用絶縁電線において、このような高い耐熱性が要求される用途としては、ハイブリッド車や電気自動車のエンジンとバッテリを繋ぐパワーケーブル等のような高電圧、大電流の用途等が挙げられる。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
〔実施例1〜7、比較例1〜7〕
表1、表2に示す成分組成のアクリルゴム1〜4、ポリプロピレン、PE5%コート水マグ(表面処理水酸化マグネシウム)、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、安定剤、架橋剤等を、バンバリーミキサーを用いて常温で混合した。その後、押出し成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅より線の導体(断面積0.5mm2)の外周に0.2mm厚で押出し被覆して絶縁層を形成した。その後180℃×4時間加熱処理して架橋を完了させて、実施例1〜7、比較例1〜7の絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の耐寒性試験及び耐熱性試験を行い評価した。その結果を表1及び表2に合わせて示す。尚、表1及び表2の各成分、耐寒性試験方法及び耐熱性試験方法は、下記の通りである。
〔実施例1〜7、比較例1〜7〕
表1、表2に示す成分組成のアクリルゴム1〜4、ポリプロピレン、PE5%コート水マグ(表面処理水酸化マグネシウム)、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、安定剤、架橋剤等を、バンバリーミキサーを用いて常温で混合した。その後、押出し成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅より線の導体(断面積0.5mm2)の外周に0.2mm厚で押出し被覆して絶縁層を形成した。その後180℃×4時間加熱処理して架橋を完了させて、実施例1〜7、比較例1〜7の絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の耐寒性試験及び耐熱性試験を行い評価した。その結果を表1及び表2に合わせて示す。尚、表1及び表2の各成分、耐寒性試験方法及び耐熱性試験方法は、下記の通りである。
〔表1及び表2の成分〕
・アクリルゴム1[電気化学社製、商品名「4200」]
・アクリルゴム2[日本ゼオン社製、商品名「Nipol AR14」]
・アクリルゴム3[ユニマテック社製、商品名「A−5098」]
・アクリルゴム4[ユニマテック社製、商品名「PA−422」]
・ポリプロピレン[日本ポリプロ社製、商品名「EC7」)
・PE5%コート水マグ(表面処理水酸化マグネシウム)
水酸化マグネシウム:結晶成長法、平均粒径1.0μm
表面処理剤:ポリエチレン 三井化学社製、800P
表面処理剤の使用量:ポリエチレンと水酸化マグネシウムの合計量に対して5質量%
・臭素系難燃剤[エチレンビス(ペンタブロモベンゼン)]
・三酸化アンチモン[山中産業社製、商品名「三酸化アンチモン」]
・架橋剤[日本油脂社製、商品名「パーへキシルD」(ジ−t−へキシルパーオキサイド)]
・アクリルゴム1[電気化学社製、商品名「4200」]
・アクリルゴム2[日本ゼオン社製、商品名「Nipol AR14」]
・アクリルゴム3[ユニマテック社製、商品名「A−5098」]
・アクリルゴム4[ユニマテック社製、商品名「PA−422」]
・ポリプロピレン[日本ポリプロ社製、商品名「EC7」)
・PE5%コート水マグ(表面処理水酸化マグネシウム)
水酸化マグネシウム:結晶成長法、平均粒径1.0μm
表面処理剤:ポリエチレン 三井化学社製、800P
表面処理剤の使用量:ポリエチレンと水酸化マグネシウムの合計量に対して5質量%
・臭素系難燃剤[エチレンビス(ペンタブロモベンゼン)]
・三酸化アンチモン[山中産業社製、商品名「三酸化アンチモン」]
・架橋剤[日本油脂社製、商品名「パーへキシルD」(ジ−t−へキシルパーオキサイド)]
・安定剤(精工化学社の商品名:詳細)
ノンフレックスAW−P:6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンと不活性フィラーとの混合物
ノンフレックスH:N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン
ノンフレックスF:N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン
ノンフレックスDCD:4,4’−ジクミル−ジフェニルアミン
ノンフレックスAW−P:6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンと不活性フィラーとの混合物
ノンフレックスH:N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン
ノンフレックスF:N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン
ノンフレックスDCD:4,4’−ジクミル−ジフェニルアミン
〔耐寒性試験方法〕
JIS C3055に準拠して行った。すなわち作製した絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とした。この試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
JIS C3055に準拠して行った。すなわち作製した絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とした。この試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
〔耐熱性試験方法〕
電線被覆を引張り試験を行い、初期の伸びを測定した。さらに電線被覆を200℃×10日間、高温槽に入れて劣化試験を行った。劣化試験を行った電線被覆の引張り試験を行い劣化後の伸びを測定した。電線被覆の初期の伸びに対する劣化後の伸びの割合で表わされる電線被覆の伸びの残存率が、50%以上のものを合格(○)とし、75%以上のものを良好(◎)とし、50%未満のものを不合格(×)とした。
電線被覆を引張り試験を行い、初期の伸びを測定した。さらに電線被覆を200℃×10日間、高温槽に入れて劣化試験を行った。劣化試験を行った電線被覆の引張り試験を行い劣化後の伸びを測定した。電線被覆の初期の伸びに対する劣化後の伸びの割合で表わされる電線被覆の伸びの残存率が、50%以上のものを合格(○)とし、75%以上のものを良好(◎)とし、50%未満のものを不合格(×)とした。
表1に示すように実施例1〜7の絶縁電線は、いずれも電線の耐熱性試験の結果が合格で良好であり、耐熱性に優れた架橋アクリルゴム系絶縁層を有する絶縁電線が得られた。更に実施例1〜7の絶縁電線は、耐寒性も良好であり、柔軟性も優れたものであった。これに対し比較例1〜7の絶縁電線は、表2に示すようにいずれも耐熱性が不十分なものであった。
Claims (5)
- 導体の周囲が架橋アクリルゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、前記絶縁層が安定剤として芳香環を有する窒素系安定剤を含有することを特徴とする絶縁電線。
- 前記窒素系安定剤の芳香環が、ベンゼン環であることを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。
- 前記窒素系安定剤のベンゼン環の数が、2以上であることを特徴とする請求項2記載の絶縁電線。
- 前記窒素系安定剤が、4,4’−ジクミル−ジフェニルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記絶縁層における窒素系安定剤の含有量が、架橋アクリルゴム100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
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