JP2012176619A - 熱伝導性フレキシブル基板用積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルム - Google Patents

熱伝導性フレキシブル基板用積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】放熱特性、耐熱性、寸法安定性に優れ、薄膜においても優れた耐引き裂き性を有する熱伝導性フレキシブル基板用積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルムの提供。
【解決手段】 積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散された熱伝導性ポリイミドフィルムにおいて、ポリイミド樹脂を一般式(1)で表される構造単位を30モル%以上含有するものとし、熱伝導性フィラーの含有率を25〜55wt%の範囲とし、可撓性を有し、またその式中、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基であり、Rは炭素数1〜6の低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はハロゲンである。
【化1】
Figure 2012176619

【選択図】なし

Description

本発明は、放熱基板やフレキシブル回路基板に用いられる熱伝導性フレキシブル基板用積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルムに関する。
近年、携帯電話に代表される電子機器の小型化、軽量化に対する要求は益々高まってきており、機器の小型化、軽量化に有利なフレキシブル回路基板は電子技術分野において広く使用されるようになってきている。そして、その中でもポリイミド樹脂を絶縁層とするフレキシブル回路基板は、その耐熱性、耐薬品性などが良好なことから従来から広く用いられている。最近では電子機器の小型化により、回路の集積度は上がってきており、情報処理の高速化とも相まって、機器内に生じる熱の放熱手段が注目されている。
放熱性に優れたフレキシブル回路基板を提供するために、熱伝導率の高い金属回路からの放熱に加えて絶縁層を構成するポリイミド樹脂層からの放熱、すなわち熱伝導率の向上が求められる。ポリイミド層の熱伝導率を向上させるには、一定組成の場合は加熱処理条件を調整してポリイミド層の配向度を高める方法、また配向性の高い組成に変更する方法、そして、樹脂に高熱伝導性の無機フィラーを高充填する方法が挙げられる。
これまで、ポリイミドフィルム作製時の加熱処理条件により厚み方向の熱伝導率を向上させる検討がなされている(特許文献1参照)。これは、ポリアミック酸を支持体上で一部イミド化しゲルフィルムとした後、支持体より剥離して加熱処理を行う過程において、ゲルフィルムの溶媒残存率と剥離後固定具による両端把持の条件を制御することで面方向の配向性を抑えて厚み方向の熱伝導率を高めることを見出したものである。しかしながら、フィルム成形の条件が繁雑であり、かつ、加熱処理に長時間を要するため作製が容易でないという欠点を有していた。また、ポリイミド樹脂にフィラーを30重量%未満の範囲で含有させてもよい記載はあるものの、可撓性やポリイミドの持つ良好な特性を維持しつつ熱伝導率を向上させるには限界があった。
一方、熱伝導性フィラーを含有する熱伝導性ポリイミドフィルムに関して、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンから誘導されるポリイミドに熱伝導性フィラーが分散されたポリイミドフィルム複合材料が特許文献2に記載されている。ここに示された技術では、用いられるポリイミド樹脂において、熱伝導性フィラーとの分散性が良好なこと、フィラーの線膨張係数2〜5ppm/℃に近い線膨張係数−1〜8ppm/℃を有することでフィラーと樹脂との界面での応力集中が生じ難い利点がある一方、従来用いられている剛直性ジアミンに比べてジアミン末端が分子内で折れ曲がった構造を有するため、厚み50μm以下のフィルムを作製した場合、耐引裂き性などポリイミドフィルムの強度などが劣る可能性がある。
一般に、放熱性は材料の熱伝導率に加えてその形状に依存する。ポリイミド樹脂などの低熱伝導材料では特に、ブロック成形体よりも薄膜の方が伝熱し易くなる。しかしながら、熱伝導率向上のために、樹脂中に熱伝導性フィラーを充填すると、樹脂とフィラーとの界面が増えるため、樹脂は脆くなる。また、高熱伝導性の可撓性材料とするために、材料の厚みを低減しフィラーを高充填すると、フィラー充填に伴う機械強度の低下が相まって、ポリイミド層はさらに脆くなる。そのため、薄膜でも充分な耐引裂き性などの強度の大きなポリイミド層を有する熱伝導性フレキシブル基板用積層体や熱伝導性ポリイミドフィルムの開発が望まれていた。
特開2006−274040号公報 特開2005−162878号公報
以上のように、一定以上の熱伝導特性を有し、ポリイミド樹脂の有する耐熱性や熱膨張係数に示される寸法安定性に優れ、繰返し折り曲げ使用されるフレキシブル回路基板等に用いられた場合にも、折れ難い材料の開発が望まれていた。
したがって、本発明は、放熱特性、耐熱性、寸法安定性に優れ、引裂き伝播抵抗が高いことから絶縁層としたときにも強度の高い、フレキシブル回路基板や放熱基板などのベースフィルムに有効に利用できる可撓性の熱伝導性ポリイミドフィルムを提供することを目的とする。また、本発明はこのような特性の絶縁層を有し、同様の用途に適した熱伝導性フレキシブル基板用積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、熱伝導性フィラーが分散されたポリイミド層を構成するポリイミドに特定の構造を有するものを用い、これに熱伝導性フィラーを特定範囲の割合で含有させることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散されたフィラー含有ポリイミド樹脂層を少なくとも1層有する絶縁層の片面又は両面に金属層を有するフレキシブル基板用積層体において、前記フィラー含有ポリイミド樹脂層の熱伝導性フィラーの含有率が25〜55wt%の範囲にあり、前記フィラー含有ポリイミド樹脂層におけるポリイミド樹脂が、下記一般式(1)で表される構造単位を30モル%以上含有することを特徴とするフレキシブル基板用積層体である。
Figure 2012176619
(式中、Arは芳香環を1個以上有する4価の有機基であり、Rは炭素数1〜6の低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はハロゲンである。)
また、本発明は、ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散されたフィラー含有ポリイミド樹脂層を少なくとも1層有するポリイミドフィルムにおいて、前記ポリイミド樹脂は、一般式(1)で表される構造単位を30モル%以上含有し、熱伝導性フィラーの含有率が25〜55wt%の範囲にあり、かつ可撓性を有することを特徴とする熱伝導性ポリイミドフィルムである。
本発明のフレキシブル基板用積層体や熱伝導性ポリイミドフィルムは、熱伝導特性に優れる他、寸法安定性や耐熱性に優れ、熱伝導性フィラーを高充填した場合であっても、引裂き伝播抵抗で評価される耐引裂き性も良好であり、かつ可撓性をも有していることから携帯電話などの屈曲部位に使用されるフレキシブル回路基板の絶縁層や、小型装置に折り曲げて使用される放熱基板の絶縁層に適している。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のフレキシブル基板用積層体は、絶縁層とその片面又は両面に有する金属層からなる。絶縁層はポリイミド樹脂から構成され、少なくとも1層はポリイミド樹脂中に、熱伝導性フィラーが分散されているフィラー含有ポリイミド樹脂層である。絶縁層はフィラー含有ポリイミド樹脂層のみからなってもよく、フィラーを含有しないポリイミド樹脂層を有してもよい。フィラーを含有しないポリイミド樹脂層を有する場合、その厚みはフィラー含有ポリイミド樹脂層の1/100〜1/2の範囲、好ましくは1/20〜1/3の範囲とすることがよい。フィラーを含有しないポリイミド樹脂層を有する場合、そのポリイミド樹脂層が金属層に接するようにすれば、金属層と絶縁層の接着性が向上する。
本発明のフレキシブル基板用積層体及び熱伝導性ポリイミドフィルム(以下、単にポリイミドフィルムとも言う)におけるフィラー含有ポリイミド樹脂層のポリイミド樹脂は、一般式(1)で表される構造単位を30モル%以上含有するポリイミド樹脂を構成要素とし、ポリイミド樹脂は主に後記熱伝導性フィラーを分散するマトリックスとしての役割を果たす。上記一般式(1)で表されるArは芳香環を1個以上有する4価の有機基であり、芳香族テトラカルボン酸二無水物から生じる残基ともいえる。したがって、Arは使用する芳香族テトラカルボン酸二無水物を説明することで理解される。使用する芳香族テトラカルボン酸二無水物はピロメリット酸二無水物が好ましいが30モル%以下の割合で3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸など他の芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むことができる。Rは炭素数1〜6の低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はハロゲンである。好ましくは、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基である。
本発明のフィラー含有ポリイミド樹脂層のポリイミド樹脂としては、下記一般式(2)で表される構造単位を含有し、さらに下記一般式(3)及び(4)で表される構造単位の何れか一方又は両方を一定範囲で含有することが良い。
Figure 2012176619
一般式(2)において、Rは一般式(1)のRと同じ意味である。一般式(3)において、Arは下記式(a)及び(b)から選択される2価の芳香族基の少なくとも1種を示し、Arは下記式(c)及び(d)から選択される2価の芳香族基の少なくとも1種を示す。一般式(4)において、Arは3,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから選択される少なくとも1種のジアミンからアミノ基をとった2価の残基を示す。
Figure 2012176619
一般式(2)、(3)及び(4)において、l、m及びnは存在モル比を示し、ポリイミドが一般式(2)及び(3)で表される構造単位で構成される場合、lは0.3〜0.9、mは0.1〜0.7の範囲の数であることがよく、特にはlは0.6〜0.9、mは0.4〜0.7の範囲の数であることがよい、また、ポリイミドが一般式(2)、(3)及び(4)で表される構造単位で構成される場合、lは0.3〜0.9、mは0.09〜0.5、nは0.01〜0.2の範囲の数であることがよく、特にはlは0.6〜0.9、mは0.09〜0.3、nは0.01〜0.2の範囲の数であることがよい。更に、ポリイミドが一般式(2)及び(4)で表される構造単位で構成される場合、lは0.3〜0.9、nは0.1〜0.7の範囲の数であることがよい。
上記一般式(2)の構造単位は主に低熱膨張性と高耐熱性等の性質を向上させ、一般式(3)の構造単位は主に強靭性や接着性等の性質を向上させると考えられるが、相乗効果や分子量の影響があるため厳密ではない。しかし、強靭性等を増加させるためには、一般式(3)の構造単位を増やすことが通常、有効である。一般式(4)の構造単位は低熱膨張性と強靭性のバランスを調整するために有効である。
一般式(2)で表される構造単位の好ましい例としては、下記式(5)で表される構造単位が例示される。
Figure 2012176619
一般式(3)において、Arは上記式(a)又は(b)で表される2価の芳香族基を示し、Arは上記(c)又は(d)で表される2価の芳香族基を示す。Arの好ましい例としては、下記式(e)、(f)及び(g)で表される2価の芳香族基が例示される。
Figure 2012176619
また、一般式(4)において、Arは3,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの残基(アミノ基をとって残る基:3,4’−ジイル−ジフェニルエーテル又は4,4’−ジイル−ジフェニルエーテル)を示す。
フィラー含有ポリイミド樹脂層のポリイミド樹脂は、好ましくは重量平均分子量が10万〜80万、より好ましくは15万〜80万の範囲にあるポリイミド前駆体であるポリアミック酸をイミド化して得られる。重量平均分子量の値が10万に満たないと、フィルムの引裂き伝播抵抗が弱くなる傾向があり、80万を超えると均一なフィルムの作製が困難となる恐れがある。重量平均分子量はGPC法によってポリスチレン換算の値を求めることができる。なお、ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミド樹脂の重量平均分子量も、ポリアミック酸状態で測定されるものと略等しいため、ポリアミック酸の重量平均分子量をもってポリイミド樹脂の重量平均分子量と見做すことができる。
フィラー含有ポリイミド樹脂層中には、熱伝導性フィラーを一定割合で含有する。熱伝導性フィラーとしては、高熱伝導性のフィラーが好ましく、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、シリカ、ダイヤモンド、アルミナ、マグネシア、ベリリア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素が挙げられ、これらのフィラー形状は球状、板状の物の他、針状など特に限定されるものではない。これらの中でも、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及びマグネシアから選ばれる少なくとも1種類以上の球状フィラーか又は、窒化ホウ素、酸化アルミニウムの少なくとも1種の板状フィラーが好ましい。
ポリイミド樹脂層中の熱伝導性フィラーに球状フィラーを用いる場合には、その平均粒子径は、0.3〜15μmの範囲にあることが好ましく、1〜8μmの範囲にあることがより好ましい。熱伝導性フィラーの平均粒子径が0.3μmに満たないと、個々のフィラー内部での熱伝導が小さくなり、結果としてポリイミド樹脂層の熱伝導率が向上しない。また、粒子同士が凝集を起こしやすくなり、均一に分散させることが困難となる。一方、15μmを越えると、ポリイミド樹脂層への可能な充填率が低下し、かつフィラーと樹脂との界面の影響によりポリイミドフィルムが脆くなる傾向にある。また、熱伝導性フィラーに板状フィラーを用いる場合には、平均長径Dが0.1〜15μmの範囲のものが好ましく、0.5〜10μmの範囲のものがより好ましい。最適な板状フィラーは、平均長径Dが1〜9μmの窒化ホウ素である。平均長径Dが0.1μmに満たないと、熱伝導率が低く、熱膨張係数が大きくなり、板状の効果が小さくなってしまう。15μmを超えると製膜時に配向させることは困難となる。ここで、平均長径Dとは板状フィラーの長手直径の平均値を意味する。なお、本発明で板状フィラーという場合、フィラー形状が板状、燐片状のフィラーで、平均厚みが、表面部の平均長径又は平均短径より十分に小さいもの(好ましくは1/2以下)をいう。また、平均径はメディアン径を意味し、モード径は上記範囲で1つであることがよく、これは球状フィラーについても同様である。
フィラー含有ポリイミド樹脂層中の熱伝導性フィラーの含有割合は、25〜55wt%の範囲である。好ましくは27〜50wt%の範囲、特に、30〜40wt%の範囲であることが好ましい。熱伝導性フィラーの含有割合が、25wt%に満たないと、放熱基板やフレキシブル回路基板とした際の放熱特性が十分でなく、また、55wt%を超えると屈曲性などの低下が顕著となり、また、ポリイミド樹脂層の強度も低下する。
本発明のフレキシブル基板用積層体の絶縁層、熱伝導性ポリイミドフィルムにあってはそのポリイミドフィルムの好ましい厚み範囲は、5〜50μmの範囲であり、より好ましくは5〜35μm、特に好ましくは10〜30μmである。そして本発明では、絶縁層(ポリイミドフィルム)の厚みが5〜50μmの範囲にあり、引裂伝播抵抗の値(mN)をYとし、ポリイミドフィルムの厚み(μm)をXとしたとき、数式(I)
Z=Y/X1.5 (I)
で計算されるZの値が0.5以上、有利には0.7〜2.5の範囲であるポリイミドフィルムとすることで、破断や変形のしにくい折り曲げ性と耐引裂き性に優れたフレキシブル基板用積層体やポリイミドフィルムとすることができる。
数式(I)において、Yは引裂伝播抵抗の値(mN)であり、Xは絶縁層(ポリイミドフィルム)の厚み(μm)である。引裂伝播抵抗は実施例に記載の方法で測定される。
また、本発明において、絶縁層(ポリイミドフィルム)の熱膨張係数は、30×10−6/K以下とすることが好ましく、有利には25×10−6/K以下とすることで、フレキシブル配線基板などに適用したときにカール等の変形を抑制することができる。
更に、絶縁層(ポリイミドフィルム)のガラス転移温度は310℃以上、有利には310〜500℃の範囲とすることで、耐熱性および放熱性に優れたフレキシブル回路基板用の絶縁層とすることができる。
本発明のフレキシブル基板用積層体や熱伝導性ポリイミドフィルムを製造する方法は、特に限定されるものではなく公知の手法を採用することができる。フレキシブル基板用積層体の代表的な例を示せば、絶縁層の原料である熱伝導性フィラーを含有するポリイミド前駆体樹脂であるポリアミック酸の樹脂溶液を、金属層である銅箔等の金属箔上に直接流延塗布して150℃以下の温度である程度溶媒を乾燥除去し、その後更にイミド化のために100〜450℃、好ましくは300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を行って金属層上に熱伝導性フィラーを含有するポリイミド樹脂からなる絶縁層を形成する方法が一般的である。後記するように、絶縁層を2層以上のポリイミド層とする場合、第一のポリアミック酸の樹脂溶液を塗布、乾燥したのち、第二のポリアミック酸の樹脂溶液を塗布、乾燥し、以下同様にして第三以下のポリアミック酸の樹脂溶液を順次、塗布、乾燥したのち、まとめて300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を行って、イミド化を行うことがよい。熱処理の温度が100℃より低いとポリイミドの脱水閉環反応が十分に進行せず、反対に450℃を超えると、ポリイミド樹脂層及び銅箔が酸化等により劣化するおそれがある。
また、熱伝導性ポリイミドフィルムの製造例としては、上記フレキシブル基板用積層体のごとく、銅箔等の金属箔とポリイミド樹脂との積層体を製造した後、金属箔を剥離又はエッチングにより除去して、ポリイミドフィルムとする方法や、任意の支持基体上に絶縁層の原料である熱伝導性フィラーを含有するポリアミック酸の樹脂溶液を流延塗布してフィルム状に成型し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離して、更に高温で熱処理してイミド化させてポリイミドフィルムとする方法が挙げられる。このポリイミドフィルムを絶縁層としたフレキシブル基板用積層体とするには、ポリイミドフィルムに直接、又は任意の接着剤を介して金属箔を加熱圧着する方法や、金属蒸着等によって金属層を形成する方法が一般的である。
上記絶縁層の形成において用いられる熱伝導性フィラーを含有するポリアミック酸の樹脂溶液は、ポリアミック酸の樹脂溶液に熱伝導性フィラーを直接配合してもよいが、フィラー分散性を考慮し、原料(酸二無水物成分又はジアミン成分)の一方を投入した反応溶媒に予め熱伝導性フィラーを配合し、攪拌下に重合を進行させてもよい。
フレキシブル基板用積層体の絶縁層やポリイミドフィルムは、単層からなるものであっても複数層からなるものであってもよいが、フレキシブル銅張積層板とした場合の寸法安定性や、銅箔と絶縁層との接着強度を優れたものとするために、複数層とすることもできる。ここで、絶縁層を複数層とする場合には、すべての層に熱伝導性フィラーを含有させてフィラー含有ポリイミド樹脂層とすることがよい。なお、本発明はフィラー含有ポリイミド樹脂層と金属箔とを接着するための接着剤を用いることを除外するものではないが、絶縁層の両面に金属層を有する両面フレキシブル基板用積層体において接着層を介在させる場合には、全絶縁層の厚みの30%未満の範囲が好ましく、20%未満がより好ましく、絶縁層の片面のみに金属層を有する片面フレキシブル基板用積層体においては、全絶縁層の厚みの15%未満の範囲が好ましく、10%未満がより好ましい。そして、接着剤層は絶縁層の一部を構成するので、ポリイミド樹脂層であることが好ましい。
フィラーを含有するポリアミック酸は、ポリイミドの反応に用いられるN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)などの溶剤に予め熱伝導性フィラーを投入し、撹拌下、熱伝導性フィラーを分散させた状態で、ポリイミド原料となるジアミンと酸無水物を順次添加し、ポリイミドの合成を進行させて得ることができる。ここで、上記攪拌は超音波照射と同時に行うことが好ましい。また、ジアミンと酸無水物の添加順序は適宜好ましい方を選択することがでる。なお、必要に応じて、フィラーを含有するポリアミック酸の作製過程又は作製後に、生じた凝集フィラーや粗大粒子状の異物をストレーナーや濾過装置を用いて除去するとよい。これらの操作により、ポリイミド樹脂中に熱伝導フィラーが均一に分散した熱伝導性ポリイミドフィルムとすることができる。
熱伝導性ポリイミド層のために用いられるポリアミック酸は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを実質的に等モル使用し、有機極性溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。上記フィラーを含有するポリアミック酸の製造例では、ポリイミドの重合前に予め熱伝導性フィラーを分散させる例を示したが、本発明では、その製造方法は限定されるものではなく、ポリアミック酸の樹脂溶液に熱伝導性フィラーを添加する方法を採用してもよい。ポリアミック酸は、窒素気流下DMAcなどの有機極性溶媒に芳香族ジアミンを溶解させた後、芳香族テトラカルボン酸二無水物を加えて、室温で3〜5時間程度反応させることにより得られる。原料として使用する芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸は一般式(2)、(3)及び(4)の説明から理解されるが具体的に例を挙げると、ジアミンとして2,2’−ジメチルベンジジン(m−TB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−DAPE)等があり、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(BPDA)がある。
なお、金属箔や支持基体上へのポリアミック酸の樹脂溶液の塗布は、公知の方法で行うことが出来、例えば、バーコード方式、グラビアコート方式、ロールコート方式、ダイコート方式等から適宜選択して採用することができる。
基材上へ塗布されたポリアミック酸は、乾燥、イミド化のために熱処理される。好ましい乾燥条件は、150℃以下の温度で2〜60分熱処理することで、フィルム中の溶剤を除去することがよく、好ましいイミド化条件は、通常130〜360℃程度の温度で2〜120分程度熱処理することが好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例に用いた略号は以下の化合物を示す。
m−TB :2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(2,2’−ジメチルベンジジン)
PDA :p-フェニレンジアミン
TPE−R :1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
3,4’−DAPE:3,4’−ジアミノジフェニルエーテル
4,4’−DAPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
PMDA :ピロメリット酸二無水物
BPDA :3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
DMAc :N,N−ジメチルアセトアミド
実施例中の各種物性の測定方法を以下に示す。なお、以下ポリイミドフィルムと表現したものは、銅箔を支持基体とした積層体の銅箔をエッチング除去して得られたポリイミドフィルムを指す。
[引裂き伝播抵抗の測定]
ポリイミドフィルムから63.5mm×50mmの試験片を準備し、試験片に長さ12.7mmの切り込みを入れ、東洋精機製の軽荷重引裂き試験機を用い、ASTM D1922に準拠し測定した。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
ポリイミドフィルム(3mm×15mm)を、熱機械分析(TMA)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行った。温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から熱膨張係数を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
ポリイミドフィルム(10mm×22.6mm)を動的粘弾性測定(DMA)にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度Tg(tanδ極大値)を求めた。
[面方向の熱伝導率(λxy)]
測定対象のポリイミド樹脂フィルムを30mm×5mmのサイズに切り出し、光交流法による薄膜面方向の熱拡散率、示差走査熱量測定(DSC)による比熱、水中置換法による密度をそれぞれ測定し、これらの結果をもとに面方向の熱伝導率を算出した。
[厚み方向の熱伝導率(λz)]
測定対象のポリイミド樹脂フィルムを30mm×30mmのサイズに切り出し、周期加熱法による厚み方向の熱拡散率、及び前述のDSCによる比熱、水中置換法による密度をそれぞれ測定し、これらの結果をもとに厚み方向の熱伝導率を算出した。
[耐折性]
幅5mm、長さ30mmの矩形に切り出したポリイミドフィルムを長さ方向の両端を合わせて曲率半径3mmの形状を作り、続いて元の矩形状に戻す操作を100回繰り返し、可視範囲で折れ目や裂け目が生じるかどうかを調べた。100回の繰り返し操作で外観に全く変化が認められなかったものを○、100回の繰り返し操作の途中で裂け目が生じたものを×とした。
[半田耐熱性]
フレキシブル基板用積層体を所定形状で回路加工を行い、350℃半田浴に30sec漬ける。膨れがないものは○とし、あるものは×とした。
[銅箔引剥し強度(ピール強度)]
積層体の銅箔層を幅1.0mm、長さ180mmの長矩形にパターンエッチングし、そのパターンが中央になるように、幅20mm、長さ200mmに試験片を切り抜き、IPC−TM−650.2.4.19により180°引剥し試験を行った。
合成例1
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコを超音波装置の水浴に浸し、このフラスコに平均粒子径が3μmの球状アルミナフィラー(マイクロン社製)とDMAcを加えて窒素雰囲気下、発振周波数28kHzの超音波を照射しながら2時間、攪拌速度150rpmで撹拌した。次に、表1に示したようにジアミン成分としてm−TB、TPE−R(モル比率:90/10)を加え溶解させた後、超音波照射と攪拌を維持したまま、酸無水物成分としてPMDA、BPDA(モル比率:80/20)を加えて窒素雰囲気下、室温で3.5時間重合反応を行い、樹脂成分であるポリアミック酸とフィラーとの合計量に対して、フィラーを40wt%含有する白濁色の粘稠なポリアミック酸溶液A(粘度:26,100cP)を得た。なお、粘度は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計(トキメック社製)にて、25℃で測定した。表1中のジアミン、テトラカルボン酸二無水物、フィラー及びDMAcにおける使用量の単位はgである。(このフィラーの含有割合の算出において溶媒は除外される。以下同様。)
合成例2
ジアミン成分としてm−TB、TPE−R、3,4’−DAPE(モル比率:70/20/10)を、酸無水物成分としてPMDAを用いた以外は、合成例1と同様に行った。
なお、各成分の使用量を表1に示す。
合成例3
ジアミン成分として4,4’−DAPEを、酸無水物成分としてPMDAを用いたことの他は、合成例1と同様に行った。なお、各成分の使用量を表1に示す。
合成例4
アルミナフィラーを加えず、また超音波装置を用いない以外は表1の合成例1と同じ組成のジアミンと酸無水物とを反応させてポリアミック酸D(粘度16,600cP)を得た。すなわち、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコにDMAcおよび表1の合成例1に示すジアミンを加えて溶解させた後、窒素雰囲気下、室温で3.5時間これを撹拌し重合した。
合成例5、6
ポリアミック酸とアルミナフィラーとの合計量に対して、アルミナフィラーの含有率をそれぞれ20wt%、60wt%に変更する以外は表1の合成例1と同じ方法で重合しポリアミック酸E(粘度:30,700cP)、F(粘度:35,000cP)を得た。
Figure 2012176619
実施例1、2
得られたフィラー含有ポリアミック酸溶液A、Bを、厚み18μm、平均表面粗さRzが0.7μmの銅箔上に、硬化後の厚みが約25μmとなるようにそれぞれ別個に塗布し、140℃未満で30分間乾燥し溶媒を除去し、150〜360℃の温度範囲で、段階的に60分かけて昇温加熱してフレキシブル基板用積層体を得た。次に、このフレキシブル基板用積層体の銅箔層をエッチングにより除去し室温、湿度30%以下で半日放置した後、表2のとおり引裂き伝播抵抗、熱膨張係数、ガラス転移温度、面方向及び厚み方向の熱伝導率、耐折性をそれぞれ評価した。結果を表2に示す。
なお、ポリイミドフィルムA、Bは、対応するポリアミック酸A、Bから得られたことを意味する。
比較例1〜4
ポリアミック酸としてC〜Fを使用した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムC〜Fを作成し、物性を測定した。ポリイミドフィルムC〜Fの特性を表2に示す。
Figure 2012176619
合成例7
窒素気流下で、表3に示した配合割合で、ジアミン成分であるm−TBと4,4‘−DAPEを300mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc170g中に溶解させ、次いで、酸無水物成分としてPMDAを加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、固形分濃度15wt%の茶褐色の粘稠なポリアミド酸溶液(P1)を得た。
合成例8〜11
合成例7と同様に、表1の配合比で重合を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸溶液(P2〜P5)を得た。
Figure 2012176619
実施例3
合成例7で合成した固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、分級機により30μm以上の粒子を取除いた窒化ホウ素(電気化学(株)社製、商品名:HGPE、鱗片形状、平均長径5μm)30重量部とを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するワニスGを得た。このワニスを硬化後の厚みが20μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130〜360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、厚さ12μmの電解銅箔上にポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散した絶縁層を形成し、フレキシブル基板用積層体を作製した。この絶縁層における窒化ホウ素の重量分率は30wt%である。
得られたフレキシブル基板用積層体における絶縁層の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(G)を作製し、引き裂き伝播抵抗、CTE、ガラス転移温度、面方向熱伝導率をそれぞれ評価した。結果を表4に示す。
実施例4、5
窒化ホウ素をそれぞれ40wt%と50wt%とした以外は、実施例3と同様に行い、フレキシブル基板用積層体と絶縁フィルムを得た。実施例4、5で作成したフレキシブル基板用積層体から得られた絶縁フィルムHと絶縁フィルムIの評価結果を表4に示す。
実施例6
ポリアミック酸P2を使用した以外は、実施例3と同様に行い、フレキシブル基板用積層体と絶縁フィルムを得た。実施例6で作成したフレキシブル基板用積層体から得られた絶縁フィルムJの評価結果を表4に示す。
実施例7
窒化ホウ素の含有量を25wt%にした以外は、実施例6と同様に行い、フレキシブル基板用積層体と絶縁フィルムを得た。実施例7で作成したフレキシブル基板用積層体から得られた絶縁フィルムQの評価結果を表4に示す。
比較例5
フィラー含有しない他は、実施例3と同様に行い、フレキシブル基板用積層体と絶縁フィルムを得た。比較例5で作成したフレキシブル基板用積層体から得られた絶縁フィルムKの評価結果を表4に示す。
比較例6、7
窒化ホウ素の含有量を、比較例6では15wt%とし、比較例7では60wt%としたこと以外は、実施例3と同様に行い、フレキシブル基板用積層体と絶縁フィルムを得た。比較例6で作成したフレキシブル基板用積層体から得られた絶縁フィルムLと、比較例7で作成したフレキシブル基板用積層体から得られた絶縁フィルムMの評価結果を表4に示す。なお、比較例7で作成した絶縁フィルムMは、フィルムが脆くてフィルム特性の評価が行えなかった。
比較例8
ポリアミック酸P3を使用した以外は、実施例3と同様に行い、フレキシブル基板用積層体と絶縁フィルムを得た。比較例8で作成したフレキシブル基板用積層体から得られた絶縁フィルムNの評価結果を表4に示す。
Figure 2012176619
実施例8
ポリアミック酸P4を200重量部使用し、フィラーはアルミナ40重量部(住友化学(株)社製、商品名:AA−3(平均粒子径3μm)20重量部、AA−03(平均粒子径0.3μm)20重量部)を用いた以外は、実施例3と同様にしてワニスOを得た。実施例3と同じように製膜し、26μmのフィルムOを得た。フィルム特性を評価したところ、引き裂き伝播抵抗が3.0kN/m、Z値が0.59、CTEが29ppm/K、Tgが381℃、面方向熱伝導率が1.14W/mK、厚み方向熱伝導率が0.45W/mKであった。
実施例9
銅箔上にフィラーを配合していないポリアミック酸(P5)を硬化後の厚みが2μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に熱伝導性フィラーを含有するワニスHを硬化後の厚みが21μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。さらに、その上にフィラーを配合していないポリアミド酸溶液(P5)を硬化後の厚みが2μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去し、その後、130〜360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、銅箔上に3層のポリイミド層からなる絶縁層を有するフレキシブル基板用積層体を作製した。フレキシブル基板用積層体の特性評価を行った。結果が表5に示すように、半田耐熱性が400℃、ピール強度が1.0kN/mであった。
実施例10
ワニスHの代わりにワニスJを用いた以外は実施例9と同様に行った。結果を表5に示した。
実施例11
ワニスHの代わりにワニスOを用いた以外は実施例9と同様に行った。結果を表5に示した。
Figure 2012176619
本発明のフレキシブル基板用積層体や高熱伝導性ポリイミドフィルムは、絶縁層に特定のポリイミド樹脂を含有し、熱伝導性フィラーの含有率を25〜55wt%の範囲することで、可撓性を有し、放熱特性、耐熱性、寸法安定性に優れ、薄膜においても優れた耐引き裂き性を有した産業上の利用可能性の高いものである。したがって、様々な機材の放熱シートや放熱基板、接着フィルムなどとして有用であり、例えば、印刷・複写装置などのOA機器、携帯・モバイル機器の小型通信機器、テレビ、ビデオ、DVD、冷蔵庫、照明などの家電製品用部品として最適である他、放熱を要求される自動車の部品や光学機器、熱交換器、情報記録材料としてのハードディスクドライブ部品(ハードディスクハブ、ハードディスク基板、磁気ヘッド、サスペンション、アクチュエーターなど)に用いることができる他、これら以外にもLSIパッケージ等の半導体装置、センサー、LEDランプ、発光ダイオード用基板、コネクター、コイルボビン、コンデンサー、スピーカー、電磁波シールド材などにも適用することが出来る。

Claims (12)

  1. ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散されたフィラー含有ポリイミド樹脂層を少なくとも1層有する絶縁層の片面又は両面に金属層を有するフレキシブル基板用積層体において、前記フィラー含有ポリイミド樹脂層の熱伝導性フィラーの含有率が25〜55wt%の範囲にあり、前記フィラー含有ポリイミド樹脂層におけるポリイミド樹脂が、下記一般式(1)で表される構造単位を30モル%以上含有することを特徴とするフレキシブル基板用積層体。
    Figure 2012176619
    (式中、Arは芳香環を1個以上有する4価の有機基であり、Rは炭素数1〜6の低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はハロゲンである。)
  2. 絶縁層が、厚み5〜50μmの範囲にあり、引裂伝播抵抗の値(mN)をYとし、ポリイミドフィルムの厚み(μm)をXとしたとき、
    数式(I)
    Z=Y/X1.5 ・・・(I)
    で計算されるZの値が0.5以上である請求項1記載のフレキシブル基板用積層体。
  3. 絶縁層の熱膨張係数が30ppm/K以下である請求項1又は2記載のフレキシブル基板用積層体。
  4. 熱伝導性フィラーがシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及びマグネシアから選ばれる少なくとも1種類以上の球状フィラーであり、平均粒子径が0.3〜15μmの範囲にある請求項1〜3の何れかの項に記載のフレキシブル基板用積層体。
  5. 熱伝導性フィラーが窒化ホウ素、酸化アルミニウムの少なくとも1種類以上である板状フィラーであり、平均長径Dが0.1〜15μmの範囲である請求項1〜3の何れかの項に記載のフレキシブル基板用積層体。
  6. 絶縁層における面方向での熱伝導率が1W/mK以上であり、かつ、絶縁層における厚み方向での熱伝導率が0.4W/mK以上である請求項1〜5の何れかの項に記載のフレキシブル基板用積層体。
  7. ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散されたフィラー含有ポリイミド樹脂層を少なくとも1層有するポリイミドフィルムにおいて、前期ポリイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を30モル%以上含有し、熱伝導性フィラーの含有率が25〜55wt%の範囲にあり、かつ可撓性を有することを特徴とする熱伝導性ポリイミドフィルム。
    Figure 2012176619
    (式中、Arは芳香環を1個以上有する4価の有機基であり、Rは炭素数1〜6の低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はハロゲンである。)
  8. ポリイミドフィルムの厚みが5〜50μmの範囲にあり、引裂伝播抵抗の値(mN)をYとし、ポリイミドフィルムの厚み(μm)をXとしたとき、
    数式(I)
    Z=Y/X1.5 ・・・(I)
    で計算されるZの値が0.5以上である請求項7記載の熱伝導性ポリイミドフィルム。
  9. ポリイミドフィルムの熱膨張係数が30ppm/K以下である請求項7又は8記載の熱伝導性ポリイミドフィルム。
  10. 熱伝導性フィラーがシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及びマグネシアから選ばれる少なくとも1種類以上の球状フィラーであり、平均粒子径が0.3〜15μmの範囲にある請求項7〜9の何れかの項に記載の熱伝導性ポリイミドフィルム。
  11. 熱伝導性フィラーが窒化ホウ素、酸化アルミニウムの少なくとも1種類以上である板状フィラーであり、平均長径Dが0.1〜15μmの範囲である請求項7〜9の何れかの項に記載の熱伝導性ポリイミドフィルム。
  12. ポリイミドフィルムにおける面方向での熱伝導率が1W/mK以上であり、かつ、ポリイミドフィルムにおける厚み方向での熱伝導率が0.4W/mK以上である請求項7〜11の何れかの項に記載の熱伝導性ポリイミドフィルム。
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