JP2012141433A - 光ケーブル用スペーサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ケーブル用スペーサの製造方法であって、鋼線の回転歪みの除去と伸直のための鋼線矯正工程を含み、かつ、前記鋼線矯正工程が次の工程のいずれかを含む。(1)鋼線21を矯正器6aに挿通して曲げ処理した後、表面温度400〜600℃に加熱処理し、しかる後表面温度を60〜100℃に冷却する。(2)鋼線21を表面温度400〜600℃に加熱処理した後、表面温度を60〜100℃に冷却して、矯正角度2〜10°の矯正器6bに挿通して曲げ処理する。(3)鋼線21を第1の矯正器6aに挿通して曲げ処理した後、表面温度400〜600℃に加熱処理し、しかる後表面温度を60〜100℃に冷却して、矯正角度2〜10°の第2の矯正器6bに挿通して曲げ処理する。
【選択図】図4
Description
光ケーブル用スペーサの製造方法としては、通常、熱可塑性樹脂の溶融押出成形により抗張力体の外周に光ファイバを収納するための一方向もしくはSZ方向に反転する螺旋溝を形成し、その後に冷却固化されて得られる。抗張力体には、通常、硬鋼線が用いられ、ドラムに乱巻き(整列巻きではない)された状態のものが用いられている。
予備被覆用押出機は、光ファイバの収納本数が比較的多い角溝状のスペーサを製造する場合に、溝形状を良好にするために、熱可塑性樹脂により所定の外径の予備被覆を施して、予備被覆抗張力線を得るために用いられるものである。
スペーサの形状によっては予備被覆も複数の押出機を用いて段階的に押出成形を行い、その後にスペーサ本体被覆してスペーサを形成している。
また、外径が小さく、少心数用のスペーサでは、必ずしも予備被覆を要せず、抗張力体(鋼線)に直接スペーサ本体被覆を施してもよい。
スペーサ本体被覆用押出機では、回転ダイスを用いて抗張力体上に一方向もしくはSZ方向に反転する螺旋溝が設けられた熱可塑性樹脂の被覆を行い、冷却された後に引き取られ、形状検査装置を経て製品ドラムに巻き取られる。
(i)光ファイバが収納される螺旋溝の寸法精度が良好であること、
(ii)光ファイバが接触する、螺旋溝内部表面の平滑性が良好であること、
(iii)光ケーブル用スペーサの螺旋溝が、一方向撚りの場合は螺旋溝が一回転する周期(ピッチ)、SZ撚りの場合は螺旋溝が反転する周期(反転ピッチ)およびその反転する角度(反転角度)が正確でありばらつきがないこと、及び
(iv)光ケーブル用スペーサに曲がりがないこと、
などが、挙げられる。そのため形状検査工程においては、光ケーブル用スペーサの外径、溝幅及び深さ、ピッチまたは反転ピッチ及び反転角度などが全長に渡って計測され、異常が発生すると即座に警報が発せられる仕組みになっている。
さらに突発的な数値の変動があった場合、最悪、光ファイバが収納溝から飛び出してしまい、トラブルで生産が停止してしまう可能性すらあった。
光ケーブル用スペーサのピッチまたは反転ピッチ、及び反転角度の安定性は、スペーサ本体を構成する抗張力体の特性に影響され、特に硬鋼線の製造工程で発生する残留歪みの影響を大きく受けることが分かっている。
このトラバースして捲回される際において、トラバースは、ドラムが一回転する間に鋼線径以上にドラム幅方向に移動させることで、積層される鋼線の偏りを減少させることを目的としているが、そのトラバースのために往復移動する方向の力によって鋼線が長手方向に回転した状態でドラムに巻かれてしまう。
また、そのドラムの巻き胴直径に応じた曲げ癖、或いは既に巻かれた鋼線上に積層されるため微小曲がりやランダムな方向への鋼線の転がりにより長手軸方向の回転歪みが発生し、これらがドラム上に巻かれた状態で固定されることで歪みが定着してしまう。
このような歪みを有している鋼線を使用して光ケーブル用スペーサを製造すると、一方向撚りの螺旋溝を有するスペーサ本体被覆成形をした際は、ピッチ異常、また、SZ撚りの螺旋溝を被覆成形した際はピッチ異常あるいは反転角度異常が発生してしまい、得られた光ケーブル用スペーサに光ファイバを収容することが困難になってしまう。
特許文献1には、高耐力海底光ケーブルに関し、高耐力の抗張力線として、熱処理の一種であるブルーイング処理をした硬鋼線を用いることが提案されている。ブルーイング処理は、低温焼きなまし処理とも呼ばれ、鋼線への防錆性付与のため、表面を酸化させるものであるが、同時にこの際の加熱とその直後の冷却により、ブルーイング処理後の鋼線強度は増加する。しかし、一方で、靭性が低下し、曲げや捻り歪に対する信頼性及び加工性が低下することが知られている。ブルーイング鋼線の方が未熱処理の鋼線(生鋼線)より強度が高く、乱巻きによる鋼線歪みの影響を受けにくいが、逆に、ドラム巻き時に固定されてしまった歪みを、後加工によって解除することは、ブルーイング鋼線の方が困難である。
〔1〕鋼線からなる抗張力線の周囲に光ファイバ心線収納用の螺旋状溝を形成してなる光ケーブル用スペーサの製造方法であって、
該製造方法は、
(A)供給ドラムに捲回された鋼線を繰り出す工程、
(B)該鋼線の回転歪みの除去と伸直のための鋼線矯正工程、
(C)スペーサ本体被覆工程を含み、
かつ、前記鋼線矯正工程(B)が下記(1)〜(3)のいずれかからなり、
スペーサ本体被覆工程(C)が下記の(i)又は(ii)からなる
ことを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
(1)繰り出された鋼線を、回転可能な複数のローラーを備えた矯正器に挿通して曲げ処理した後、鋼線を表面温度400〜600℃に加熱処理し、しかる後鋼線の表面温度を60〜100℃に冷却する鋼線矯正工程。
(2)繰り出された鋼線を表面温度400〜600℃に加熱処理した後、鋼線の表面温度を60〜100℃に冷却して、回転可能な複数のローラーを備えた矯正角度2〜10°の矯正器に挿通し曲げ処理する鋼線矯正工程。
(3)繰り出された鋼線を、回転可能な複数のローラーを備えた第1の矯正器に挿通して曲げ処理した後、鋼線を表面温度400〜600℃に加熱処理し、しかる後鋼線の表面温度を60〜100℃に冷却して、回転可能な複数のローラーを備えた矯正角度2〜10°の第2の矯正器に挿通して曲げ処理する鋼線矯正工程。
(i)前記鋼線矯正工程を経た鋼線の外周に溶融状熱可塑性樹脂により予備被覆し、その外周に溶融状熱可塑性樹脂を押出して螺旋状溝を形成するスペーサ本体被覆工程。
(ii)前記鋼線矯正工程を経た鋼線の外周に溶融状熱可塑性樹脂を押出して螺旋状溝を形成するスペーサ本体被覆工程。
〔2〕前記(1)の鋼線矯正工程における矯正器又は(3)の鋼線矯正工程における第1の矯正器における鋼線に対する矯正角度を5°〜20°としてなる前記〔1〕に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
〔3〕前記(B)鋼線矯正工程が前記(3)の矯正工程である、前記〔1〕に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
〔4〕鋼線が、熱処理済み又は未熱処理の硬鋼線である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
〔5〕前記光ケーブル用スペーサが螺旋溝の撚り方向が、所定の反転角度及び反転ピッチで交互に反転する光ケーブル用SZ撚りスペーサであって、得られた該SZ撚りスペーサの以下のようにして求めた反転角度の変動率を8%以下としてなる、
前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
[反転角度変動率(%):得られたSZスペーサの10kmの区間において反転角度を測定し、連続する1ピッチの前後における反転角度の差のうち、最大の値を、当該区間の反転角度の平均値で除して、%で表示。]
〔6〕前記光ケーブル用スペーサが螺旋溝の撚り方向が、所定の回転ピッチでS方向又はZ方向のどちらか一方向に回転する一方向撚りスペーサであって、得られた該一方向撚りスペーサの以下のようにして求めた回転ピッチの変動率を4%以下としてなる、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
[回転ピッチ変動率(%):得られた一方向撚りスペーサの10kmの区間において回転ピッチを測定し、連続する1ピッチの前後における回転ピッチの差のうち、最大の値を、当該区間の回転ピッチの平均値で除して、%で表示。]
同図に示した製造方法では、図2、図3(a)に一例として示した断面形状のスペーサ20を製造するものであって、図2に示すスペーサは、中心に配置された抗張力体21と、抗張力体の外周に接着性樹脂層25、スペーサ本体24とを有している。一方、図3(a)に示すスペーサは、中心に抗張力体21を配し、その外周に接着性樹脂層25、予備被覆層26、最外周にスペーサ本体(被覆層)24を有している。
予備被覆層26は、光ファイバの集合本数の多い光ケーブル用のスペーサであって、矩形状溝のスペーサを製造する場合に、リブ倒れが少なく、溝形状を矩形にするために設けられる。また、接着性樹脂層は、抗張力体として鋼線を用いる場合、スペーサ本体層と鋼線とを接着させて、光ケーブルのスペーサとして使用時に、光ファイバの保護、担持機能を十分に発現させるために必要な層である。
スペーサ本体24は、熱可塑性樹脂の押出成形により形成され、リブ22と外周に開口する光ファイバ収納用の螺旋溝23を有している。
また、螺旋溝は、図3(b)に示すようにスペーサの長手方向に沿って、右撚り方向(S方向)、又は左撚り方向(Z撚り方向)の一定方向に回転する、いわゆる一方向螺旋であってもよいし、同図(c)に示すように所定の反転角度ごとに反転する、いわゆるSZ螺旋に形成されていてもよい。この場合、反転角度およびそのピッチは任意に設定することができる。
なお、図1(a)、(b)においては、(B)鋼線矯正工程は(3)の態様の場合、すなわち、2個の矯正器6a、6bを用いる場合を例示しているが、鋼線矯正工程は、図4(1)に示すように加熱処理前に矯正器6aに挿通する場合〔(1)の態様〕、(2)加熱処理後に矯正器6bに挿通する場合〔(2)の態様〕、(3)加熱処理前に第1の矯正器6a、及び加熱処理後に第2の矯正器6bに挿通する〔(3)の態様〕のいずれの態様であってもよい。
鋼線21はドラム3に捲回されており、貯線繰出機4、ダンサーローラー5、を経て鋼線矯正工程へ導入される。貯線繰出機4により引き出された鋼線は、ダンサーローラー5によって、所定の張力が付加され、鋼線矯正工程へ導かれる。
本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法において、鋼線矯正工程は、前記の(1)〜(3)の態様のいずれを採用してもよく、図4の(1)〜(3)に示すように、各態様は、工程中における矯正器の位置及び/又は数、矯正後の加熱処理又は矯正前の加熱処理等において異なっている。
この繰り返し曲げは、鋼線の円周の全ての方向から均一に行うことが好ましいが、図5(b)に示すように、実際には鋼線の円周方向に対し直角に配置した2組の矯正器により2方向(x方向とy方向)以上に曲げ加工を与えれば、効果的に残留歪みを低減させることができる。
一方、鋼線の加熱処理前に矯正する前記(1)の態様の矯正器又は前記(3)の態様の第1の矯正器の矯正角度θ°は、5°〜20°とするのが好ましく、5〜15°がより好ましく、8〜12°がさらに好ましい。
5°未満では曲げ処理による効果はなく、また、一般的に曲げ角度が大きいほど回転歪みは改善するが、20°を超える場合は矯正器における鋼線の通過性が悪化するばかりか、新たな曲げ歪みを生じさせて直進性が悪化する場合がある。
矯正角度が比較的大きな矯正器6aによる大きな歪を伴う曲げ処理後の加熱処理は、繰り出し工程でのダンサーローラー5で付加されている引張応力と相俟って、矯直された鋼線に内在する歪みを緩和させ、鋼線内部の構造を安定化させ、直進性を向上させると共に、残留する僅かなうねりを解消することができる。
矯正器6aによる曲げ処理に続く加熱処理後の表面温度は、鋼線内部の構造を安定化させ、直進性の向上及び残留歪みを除去する観点から、400〜600℃、さらに好ましくは、430〜580℃、特に好ましくは、440〜570℃である。
加熱処理後の矯正器による曲げ処理は、加熱処理によって鋼線の内部構造を変化させ直進性を付与した上で、矯正ローラーによる曲げ処理(屈曲)により、歪を再配列し、直進性の向上と残留歪みの解消を図るものである。本発明では、前記(1)の態様でも歪解消の効果を発揮するものであるが、加熱処理後に矯正する(2)の態様の方が直進性の向上と残留歪みの除去の効果が大きく、鋼線に残留する僅かなうねりを解消することができるのでより好ましい。
なお、(3)の態様においても、加熱処理後に矯正器6bにより矯正を行う場合は、既に述べたように、矯正角度は2°〜10°になるように曲げるのが適当である。
2°未満では曲げ加工による効果はなく、10°を超えると、得られる鋼線の直進性が悪化してしまう場合がある。加熱処理直後に高温の鋼線の矯正を行うと、矯正ローラーが異常に加熱し破損するおそれがあるので矯正器直前に冷却水槽などの冷却装置9を用いて鋼線の表面温度を放射温度計8bでの検出で60℃〜100℃に低下させる必要がある。この温度範囲であれば、室温まで鋼線の表面温度を降下させて、矯正する場合よりも回転歪みの低減効果が得られやすく、スプリングバックによって歪が再発現する可能性も低くなる。冷却装置に低温の冷却水を用いた場合、冷却距離を短くすることが可能であるが、硬鋼線が脆くなり歪みの除去が困難になるため、冷媒としては、目的とする鋼線の表面温度以下の温水を用い、徐冷状態とし、いわゆる焼きなましの構造の鋼線とすることが好ましい。前記(1)、(2)の態様においても、加熱処理後の冷却はいわゆる焼きなましの構造の鋼線とするため、鋼線表面温度が60℃〜100℃となるように調整される。
鋼線矯正工程を経た鋼線は、公知の方法で、鋼線21の外周に溶融状熱可塑性樹脂により予備被覆し、その外周に溶融状熱可塑性樹脂を押出して螺旋状溝を形成するスペーサ本体被覆を行うことができる。なお、SZスペーサを製造する場合はスペーサ本体被覆のクロスヘッドダイを交互に反転して回転することなく、予備被覆鋼線を把持しこれを捻回する、本出願人に係る特開2007−298970に開示の方法であってもよい。
また、鋼線矯正工程を経た鋼線は、公知の方法で、鋼線21の外周に直接溶融状熱可塑性樹脂を押出して螺旋状溝を形成することができる。なお、SZスペーサを製造する場合はスペーサ本体被覆のクロスヘッドダイを交互に反転して回転することなく、鋼線矯正工程を経た鋼線を把持しこれを捻回する、本出願人に係る特開2006−133753に開示の方法であってもよい。
〔反転角度変動率(%):得られたSZスペーサの10kmの区間において反転角度を測定し、連続する1ピッチの前後における反転角度の差のうち、最大の値を、当該区間の反転角度の平均値で除して、%で表示。〕
〔回転ピッチ変動率(%):得られた一方向撚りスペーサの10kmの区間において回転ピッチを測定し、連続する1ピッチの前後における回転ピッチの差のうち、最大の値を、当該区間の回転ピッチの平均値で除して、%で表示。〕
(1)鋼線の直進性の評価は、鋼線を1mの長さに切断し、水平面板に上に凸の状態とした際の、円弧の高さ(mm)を測定した。
(2)抗張力体の回転歪み量の評価は、ドラムに捲回された鋼線の末端100mm程度を鋼線の長手方向に対して90°に折り曲げ、開放状態で10m引き出した後の、折り曲げ部分の初期位置からの回転角度(自転性)を測定した。
(1)光ケーブル用スペーサの品質の安定性の評価として、工程能力指数(Cp値)を用いて評価した。品質管理部門において、定められた規格限度内で、製品を生産する能力を工程能力、その工程能力を数値化したものを工程能力指数といわれている。工程能力指数(Cp値)は(規格上限値−規格下限値)/(6×標準偏差σ)で求められる値が使用される。一般的にこの値が1.33以上であると不良品が発生しないと考えられている。
(2)光ケーブル用スペーサの物性値の突発的な変動(ばらつき)の評価として、連続して隣り合わせる1反転による1反転角測定値、あるいは1回転による1ピッチ長測定値の、前と後との差を連続して算出し、そのうち、最大の値(最大変動幅)によって評価した。
光ケーブル用スペーサの評価は、得られた製品の10km長に渡って行い、一方向に回転する螺旋溝を設けられたものは(螺旋)ピッチを、SZ方向に反転する螺旋溝が設けられたものは反転角度で、その評価を行った。
なお、光ケーブル用スペーサにおけるピッチとは、一方向に回転する螺旋溝が一回転するための周期的な長さであり、その測定値はライン速度と一回転時間の積で表され、一回転ごとに算出される。また反転角度はSZに往復反転する螺旋溝の回転角度であり、反転するごとに算出される。
また、変動割合は、製造したスペーサ10km区間における、前記の反転角度あるいはピッチ長の最大変動幅を、それぞれの平均値で除した値のパーセント割合とした。
変動割合(%)=(最大変動幅/平均値)×100
図2に示した断面形状の、スペーサ溝がSZ反転する光ケーブル用スペーサを以下の方法により製造した。
なお、本実施例では螺旋溝の数は3個とし、押出機のクロスヘッドダイで反転角度295°(規格範囲±20°)反転ピッチ175mm(規格範囲±20mm)のSZ溝を有する外径6.0mmのスペーサ本体を被覆した。
抗張力体21としてブルーイング未処理である外径1.6mmの硬鋼線21を使用し、鋼線矯正工程が図4(1)の態様とした他は、図1(b)に示す第二実施態様の工程で、製造速度30m/minで、矯正器6aを通過させ、鋼線矯正角度が10°となるように矯正ローラー角度を調整した。使用した矯正器6aのローラー直径は22mm、溝半径Rは1mmとしたものを図5(a)に示すように3対6個のローラーを設置した。そしてダンサーローラー5により63.4MPaの張力が付加された鋼線21を前記矯正器6aに室温で通過させ、連続して、高周波加熱装置7を通過させ、高周波加熱装置の出口で、放射温度計8aにより検出した鋼線の表面温度が450℃となるように高周波加熱装置の出力を設定した。
引き続き60℃の温水冷却槽9を通過させ、鋼線の表面温度が放射温度計8bにより検出した表面温度を60℃とした後、続けて鋼線温度が80℃になる様に熱風加熱槽10で予備加熱し、図2に示すスペーサ断面形状の金型を備えた溶融押出機11bのクロスヘッドダイ(3個の突起を有するノズルからなる回転ダイス)に導入し、鋼線21の外周に、最内層の厚み0.1mmの接着性樹脂(日本ユニカー社製、GA−006)とスペーサ本体24の形成樹脂として高密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、HI−ZEX6600MA)とを複層に押出して、SZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサ20を連続して作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は9.2mm、自転性は15°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.02mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.68、最大変動量は18°、変動割合は6a%であり、安定したSZ溝軌跡を有していた。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の実用評価において、光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
実施例1において、高周波加熱装置7を通過させる前の矯正器6aへの挿通は行わず、図4(2)に示すように鋼線矯正工程を(2)の態様として、その他は実施例1と同様にして、高周波加熱装置7および温水冷却槽9を通過させた後、実施例1と同様の構造の矯正器6bの矯正角度が2°となるよう調整した以外は実施例1と同様にして、鋼線温度60℃で通過させ、SZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は4.5mm、自転性は4°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.01mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.71、最大変動量は10°、変動割合は3.4%であり、安定したSZ溝軌跡を有していた。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
鋼線矯正工程が図4(3)に示す(3)の態様であり、実施例1と同様の条件で矯正器6a高周波加熱装置7および温水冷却槽9を通過させた後、矯正器6bの矯正角度が2°に調整して、鋼線温度60℃で通過させ、すなわち、さらに矯正器6bを通過させたこと以外は実施例1と同様にしてSZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は3.0mm、自転性は0°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは、平均外径6.03mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.77、最大変動量は8°、変動割合は2.7%であり、極めて安定したSZ溝軌跡を有していた。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
実施例3の高周波加熱装置7および温水冷却槽9を通過する前の矯正器6aと後の矯正器6bの矯正角度をそれぞれ30°とした以外は実施例3と同様にしてSZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は14.3mm、自転性は30°であった。
また得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.02mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.22であったが、最大変動量は32°、変動割合は10.8%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例1〜3のいずれに比べても劣り、その結果スペーサの変動割合が大きくなり、安定したSZ溝軌跡を得られなかった。
この光ケーブル用スペーサは、ケーブル化に際して、光ファイバテープ心線を高速集合すると、突発的な溝の位置変動が生じ、トラブルが発生した。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
実施例1において、矯正器6aを通過させず、曲げ処理を行わない他は、実施例1と同一条件で高周波加熱装置7および温水冷却槽6を通過させた後、実施例1と同様にしてSZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は14.0mm、自転性は30°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.02mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.41であったが、最大変動量は24°、変動割合は8.1%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例1〜3のいずれに比べても劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したSZ溝軌跡を得られなかった。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際に、光ファイバテープ心線を高速集合すると、突発的な溝の位置変動が生じているため、トラブルが発生した。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
比較例3
実施例1の鋼線を使用し、実施例1の鋼線矯正工程の処理、すなわち矯正器6a、加熱処理装置7および冷却装置9への通過を行わず、その他は実施例1と同様、すなわち鋼線をそのまま80℃になる様に熱風加熱槽10で予備加熱し、スペーサ断面形状の金型を備えたクロスヘッドダイに導入してSZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は225mm、自転性は90°であり、極めて大きなそりと回転が内在していた。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.03mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は0.95であり、最大変動量は35°、変動割合は11.9%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例1〜3のいずれに比べても極めて劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したSZ溝軌跡を得られなかった。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際に光ファイバテープ心線を高速集合すると、突発的な溝の位置変動が生じているため、トラブルが多発した。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
抗張力体としてブルーイング処理した鋼線を使用し、高周波加熱装置7を、高周波加熱装置の出口で鋼線の表面温度が550℃となるように出力を設定させた以外は実施例1と同様にしてSZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は11.5mm、自転性は40°であった。
また得られた光ケーブル用スペーサは、平均外径6.01mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.41、最大変動量は18°、変動割合は6a%であり、安定したSZ溝軌跡を有していた。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサはケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
ブルーイング処理した鋼線21を使用し、高周波加熱装置7を高周波加熱装置の出口で鋼線の表面温度が550℃となるように出力を設定させた以外は、実施例2と同様にしてSZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は6.0mm、自転性は30°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.02mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.55、最大変動量は11°、変動割合は3.7%であり、安定したSZ溝軌跡を有していた。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
ブルーイング処理した鋼線21を使用し、高周波加熱装置7を高周波加熱装置7の出口で鋼線の表面温度が550℃となるように出力を設定させた以外は実施例3と同様にしてSZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は4.6mm、自転性は15°であった。
また得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.03mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.58、最大変動量は10°、変動割合は3.4%であり、極めて安定したSZ溝軌跡を有していた。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化において光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
ブルーイング処理した鋼線を使用し、高周波加熱装置を高周波加熱装置の出口で鋼線の温度が550℃となるように出力を設定させた以外は比較例2と同様、すなわち、矯正器に通過させることなく、高周波加熱装置7及び冷却装置9を通過させて、SZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は15.6mm、自転性は86°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.01mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.38であったが、最大変動量は28°、変動割合は9.5%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例4〜6のいずれに比べても劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したSZ溝軌跡を得られなかった。
このようなSZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化において、光ファイバテープ心線の高速集合した際に、突発的な溝の位置変動が生ずるためトラブルが発生した。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
ブルーイング処理した鋼線を使用した以外は比較例3と同様、すなわち矯正器6a、加熱処理装置7および冷却装置9への通過を行わず、SZ反転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、クロスヘッドダイ導入直前の鋼線の直進性は35mm、自転性は90°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径6.03mm、平均反転角295°、平均反転角ピッチ175mm、反転角度のCp値は1.34であったが、最大変動量は22°、変動割合は7.5%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例4〜6のいずれに比べても劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したSZ溝軌跡を得られなかった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表1、表2に示す。
図3(a)に示した断面形状のスペーサ溝がZ回転する光ケーブル用スペーサを以下の方法により製造した。
本実施例では、(B)の鋼線矯正工程を変更する他は、図1(a)に示す工程すなわち第一の実施態様に準じて製造した。すなわち、鋼線矯正工程の後に、鋼線の予備被覆を経てスペーサ本体被覆を施す前記(i)工程を含む製造方法とした。
なお、本実施例では螺旋溝の数は5個とし、押出機のクロスヘッドダイで1回転ピッチ500mm(規格範囲±25mm)のZ回転溝を有する外径8.8mmのスペーサ本体を作製した。
抗張力体としてブルーイング未処理である外径2.6mmの硬鋼線を使用し、製造速度15m/minで、図4(1)の態様の鋼線矯正工程において、矯正器6aを通過させ、図5(a)における矯正器6aの鋼線矯正角度θが10°となるようにローラー角度を調整した。使用した矯正器6aのローラー直径は、34mm、溝半径Rは1.4mmとしたものを3対6個のローラーを設置した。
そして前記鋼線21を前記矯正器6aに室温で通過させ、連続して、高周波加熱装置を通過させ、高周波加熱装置7の出口で鋼線の表面温度が450℃となるように出力を設定させた。引き続き60℃の温水冷却槽9を通過させ鋼線の表面温度が60℃となるようにした後、続けて鋼線温度が80℃になる様に熱風加熱槽10で予備加熱し、円環状のクロスヘッドダイを備えた予備被覆用押出機に導いて、最内周に接着性樹脂(日本ユニカー社製、GA−006)、外周に予備被覆用樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、NEO−ZEX2015M)を複層で押出して、直ちに冷却水槽12aで冷却して最内層厚み0.1mmの接着性樹脂層25及び外径6.35mmの予備被覆層26を有する鋼線とした。
次いで予備被覆層の表面が80℃になるように熱風加熱槽10bで予備加熱して、スペーサ断面形状の金型を備えたクロスヘッドダイ(5個の突起を有するノズルからなる回転ダイス)を備えたスペーサ本体被覆押出機11bに導入し、鋼線の外周にスペーサ本体部形成用樹脂として高密度ポリエチレン(プライムポリマー社製HI−ZEX6600MA)を押出して、Z回転溝を有する光ケーブル用スペーサ20を作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は6.3mm、自転性は5°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.52、最大変動量は17mm、変動割合は3.4%であり、安定したZ溝軌跡を有していた。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
実施例7において高周波加熱装置を通過させる前の矯正器6aへの挿通は行わず、図4(2)に示す(2)の態様で、実施例7と同様に高周波加熱装置7および温水冷却槽9を通過させた後、矯正器6bの矯正角度θが2°となるよう調整して、鋼線温度60℃で通過させたこと以外は実施例7と同様にしてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は4.5mm、自転性は4°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.77mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.59、最大変動量は8mm、変動割合は1.6%であり、安定したZ溝軌跡を有していた。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサはケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
図4(3)に示す(3)の態様の鋼線矯正工程として、実施例7と同様に矯正器6a、高周波加熱装置7および温水冷却槽9を通過させた後、矯正器6bの矯正角度θが2°となるよう調整し、鋼線温度60℃で通過させてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は3.0mm、自転性は0°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.6a、最大変動量は7mm、変動割合は1.4%であり、極めて安定したZ溝軌跡を有していた。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサはケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に、極めて好適なものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
実施例7において高周波加熱装置7を通過させる前の矯正器6aへの挿通は行わず、高周波加熱装置7および温水冷却槽9を通過させた後、実施例7と同様にしてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は15.6mm、自転性は55°であった。
また得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.41であったが、最大変動量は32mm、変動割合は6.4%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例7〜9のいずれに比べても劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したZ溝軌跡を得られなかった。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化に際して、光ファイバテープ心線の高速集合をすると、突発的な溝の位置変動が生じているため、集合トラブルが発生した。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
実施例7の鋼線を使用し、実施例7において鋼線矯正工程、すなわち矯正器による曲げ処理、鋼線加熱工程および冷却工程を行わず、その他は実施例7と同様にして、すなわち鋼線をそのまま80℃になる様に熱風加熱槽10で予備加熱し、実施例7同様に予備被覆層を設け、さらに同様にスペーサ断面形状の金型を備えたクロスヘッドダイに導入してZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は94mm、自転性は180°であり、極めて大きなそりと回転が内在していた。
また得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.01であったが、最大変動量は35mm、変動割合は7%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例7〜9のいずれに比べても極めて劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したZ溝軌跡を得られなかった。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化に際して、光ファイバテープ心線の高速集合をすると、突発的な溝の位置変動が生じているため、集合トラブルが発生した。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
抗張力線としてブルーイング処理した直径2.6mmの鋼線を使用し、高周波加熱装置を高周波加熱装置の出口で鋼線の温度が550℃となるように出力を設定させた以外は実施例7と同様にしてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は11.5mm、自転性は45°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.77mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.42、最大変動量は16mm、変動割合は3.2%であり、安定したZ溝軌跡を有していた。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサはケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
ブルーイング処理した実施例10と同一の鋼線を使用し、高周波加熱装置7を高周波加熱装置の出口で鋼線の温度が550℃となるように出力を設定させた以外は実施例8と同様にしてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は6.0mm、自転性は20°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.45、最大変動量は12mm、変動割合は2.4%であり、安定したZ溝軌跡を有していた。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
ブルーイング処理した実施例10と同一の鋼線を使用し、高周波加熱装置7を高周波加熱装置の出口で鋼線の温度が550℃となるように出力を設定させた以外は実施例9と同様にしてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は4.6mm、自転性は10°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.48、最大変動量は6mm、変動割合は1.2%であり、安定したZ溝軌跡を有していた。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
実施例12において、鋼線矯正工程における矯正器6bの矯正角度θを6°とした以外は、実施例12と同様にしてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は5.2mm、自転性は8°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.44、最大変動量は5mm、変動割合は1.0%であり、安定したZ溝軌跡を有していた。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化の際の光ファイバテープ心線の高速集合に適するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
ブルーイング処理した実施例10と同一の鋼線を使用し、高周波加熱装置7を高周波加熱装置の出口で鋼線の温度が550℃となるように出力を設定させた以外は比較例6と同様、すなわち矯正器に挿通させない他は、実施例7と同様にしてZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は15.6mm、自転性は85°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.80mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.41であったが、最大変動量は32mm、変動割合は6.4%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例10〜12のいずれに比べても劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したZ溝軌跡を得られなかった。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化に際し、光ファイバテープ心線を高速集合すると、突発的な溝の位置変動が生じているためトラブルが発生するものであった。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
ブルーイング処理した実施例10と同一の鋼線を使用し、実施例10において鋼線矯正工程、すなわち矯正器による曲げ処理、鋼線加熱工程および冷却工程を一切行わず、その他は実施例10と同様にして、すなわち鋼線をそのまま80℃になる様に熱風加熱槽10で予備加熱し、実施例7同様に予備被覆層を設け、さらに同様にスペーサ断面形状の金型を備えたクロスヘッドダイに導入してZ回転溝を有する光ケーブル用スペーサを作製した。
その結果、予備被覆用クロスヘッドダイへの導入直前の鋼線の直進性は35mm、自転性は90°であった。
また、得られた光ケーブル用スペーサは平均外径8.78mm、1回転平均ピッチ500mm、ピッチのCp値は1.35であったが、最大変動量は24mm、変動割合は4.8%であり、鋼線の直進性、および自転性が実施例10〜12のいずれに比べても劣り、その結果スペーサの変動割合が大きく、安定したZ溝軌跡を得られなかった。
このようなZ溝軌跡を持つ光ケーブル用スペーサは、ケーブル化において、光ファイバテープ心線の高速集合をすると、突発的な溝の位置変動が生じているためトラブルが発生した。
これらの、製造条件及び結果をまとめて表3、表4に示す。
5 ダンサーローラー
6a、6b 矯正器
7 高周波加熱装置
8a、8b 放射温度計
9冷却装置
10a、10b 予備加熱槽
11a 予備被覆押出機
11b スペーサ本体被覆押出機
12a、12b 冷却水槽
13 引取機
14 検査工程
15 巻取機
20 スペーサ
21 抗張力体(鋼線)
22 リブ部
23 螺旋溝
24 スペーサ本体被覆層
25 接着性樹脂層
26 予備被覆層
600 スタンド
601〜606 矯正ローラー
Claims (6)
- 鋼線からなる抗張力線の周囲に光ファイバ心線収納用の螺旋状溝を形成してなる光ケーブル用スペーサの製造方法であって、
該製造方法は、
(A)供給ドラムに捲回された鋼線を繰り出す工程、
(B)該鋼線の回転歪みの除去と伸直のための鋼線矯正工程、
(C)スペーサ本体被覆工程を含み、
かつ、前記鋼線矯正工程(B)が下記(1)〜(3)のいずれかからなり、
スペーサ本体被覆工程(C)が下記の(i)又は(ii)からなる
ことを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
(1)繰り出された鋼線を、回転可能な複数のローラーを備えた矯正器に挿通して曲げ処理した後、鋼線を表面温度400〜600℃に加熱処理し、しかる後鋼線の表面温度を60〜100℃に冷却する鋼線矯正工程。
(2)繰り出された鋼線を表面温度400〜600℃に加熱処理した後、鋼線の表面温度を60〜100℃に冷却して、回転可能な複数のローラーを備えた矯正角度2〜10°の矯正器に挿通し曲げ処理する鋼線矯正工程。
(3)繰り出された鋼線を、回転可能な複数のローラーを備えた第1の矯正器に挿通して曲げ処理した後、鋼線を表面温度400〜600℃に加熱処理し、しかる後鋼線の表面温度を60〜100℃に冷却して、回転可能な複数のローラーを備えた矯正角度2〜10°の第2の矯正器に挿通して曲げ処理する鋼線矯正工程。
(i)前記鋼線矯正工程を経た鋼線の外周に溶融状熱可塑性樹脂により予備被覆し、その外周に溶融状熱可塑性樹脂を押出して螺旋状溝を形成するスペーサ本体被覆工程。
(ii)前記鋼線矯正工程を経た鋼線の外周に溶融状熱可塑性樹脂を押出して螺旋状溝を形成するスペーサ本体被覆工程。 - 前記(1)の鋼線矯正工程における矯正器又は(3)の鋼線矯正工程における第1の矯正器における鋼線に対する矯正角度を5°〜20°としてなる請求項1に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
- 前記(B)鋼線矯正工程が前記(3)の矯正工程である、請求項1に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
- 鋼線が、熱処理済み又は未熱処理の硬鋼線である請求項1〜3のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
- 前記光ケーブル用スペーサが螺旋溝の撚り方向が、所定の反転角度及び反転ピッチで交互に反転する光ケーブル用SZ撚りスペーサであって、得られた該SZ撚りスペーサの以下のようにして求めた反転角度の変動率を8%以下としてなる、
請求項1〜4のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
〔反転角度変動率(%):得られたSZスペーサの10kmの区間において反転角度を測定し、連続する1ピッチの前後における反転角度の差のうち、最大の値を、当該区間の反転角度の平均値で除して、%で表示。〕 - 前記光ケーブル用スペーサが螺旋溝の撚り方向が、所定の回転ピッチでS方向又はZ方向のどちらか一方向に回転する一方向撚りスペーサであって、得られた該一方向撚りスペーサの以下のようにして求めた回転ピッチの変動率を4%以下としてなる、
請求項1〜4のいずれかに記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
〔回転ピッチ変動率(%):得られた一方向撚りスペーサの10kmの区間において回転ピッチを測定し、連続する1ピッチの前後における回転ピッチの差のうち、最大の値を、当該区間の回転ピッチの平均値で除して、%で表示。〕
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