JP2012140549A - 耐熱樹脂組成物および発泡成形体 - Google Patents

耐熱樹脂組成物および発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性および低温強度が共に優れたスチレン系樹脂の発泡成形体を提供することを課題とし、その課題を解決するとともに成形性(溶融コンパンド性、熱成形性)にも優れた耐熱樹脂組成物および発泡成形体を提供する。

【解決手段】ポリフェニルエーテル3〜30質量部、芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーからなる共重合樹脂3〜95質量部およびポリスチレン0〜70質量部からなる耐熱樹脂組成物およびその発泡成形体。ただし、この樹脂組成物中の各樹脂成分の混合量は、合計100質量部とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性でかつ低温強度にも優れたスチレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体に関わる。
スチレン系樹脂の発泡成形体は、軽量性、断熱性および衝撃吸収性を有している。これらの特性を活かして魚箱、電気製品等の梱包用途、壁・畳等の建材ボード、食料品トレイ・弁当箱・即席めんカップ等の食品包装容器など広範囲に使用されている。
これらのなかで天井断熱ボードおよび電子レンジ対応を求められる弁当箱・即席めん容器等の食品包装容器分野では、高い耐熱性が要求されている。
スチレン系樹脂の耐熱性を改善する方法としてスチレンとメタクリル酸モノマーとの共重合体があり、これを用いた発泡成形体(特開平17−247888号参照)が提案されている。
しかしながら、弁当や調理済み食品業界では、売れ残りによる食品廃棄によるムダが“もったいない”として問題となっている。この対応策として流通工程をこれまでの常温からチルドへと変更することで賞味期限の延長を図ってきている。チルド温度はJAS法(食品保存基準)では5℃以下であるが、多くの食品メーカーでは0〜10℃としている。この温度低下が容器にとっては脆化破壊を起こし易くなり、より低温強度の強い樹脂素材が求められている。
スチレン系樹脂の低温脆性の改良策としては、スチレンーブタジエン共重合体やメチルメタクリレートーブタジエン-スチレン共重合体のようなエラストマーを添加する方法があるが、耐熱性と剛性が低下する。従って、これらの方法で得られたスチレン系樹脂を用いた発泡成形体は電子レンジ処理後の変形や容器としての腰強度が不足する。
耐熱性と低温脆性に優れたものとしてポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのブレンド樹脂が提案されているが(特開昭52−101267号参照、特開平3−157432号参照、特開平2−217225号参照)、耐熱性を向上させるためにポリフェニレンエーテルの配合量を増加させるとポリフェニレンエーテルに起因する臭気が激しくなり建築ボードや電子レンジ用食品容器等では致命的になる。この臭気を改善する方法としてゼオライト等無機物を大量に含有する方法も提案されているが(特開平20−94919号参照)、低温脆性の低下や外観(色相、表面性)不良をきたす。
特開昭52−101267号公報 特開昭56−115351号公報 特開昭57−174344号公報 特開平2−217225号公報 特開平3−157432号公報 特開平17−247888号公報 特開平20−94919号公報
本発明は、上記に記載したスチレン系樹脂を用いた発泡成形体の耐熱性および低温強度が共に優れるという課題を達成するため鋭意研究を進めたものである。芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂とポリフェニレンエーテル、更にポリスチレンを組み合わせることで耐熱性と低温脆性を改良し、更にはコンパウンド性と熱成形性に優れた樹脂組成物とそれを用いた発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明を以下に詳述する。
1.ポリフェニレンエーテル3〜30質量部、芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーからなる共重合樹脂3〜95質量部およびポリスチレン0〜70質量部を含有する耐熱樹脂組成物である。ただし、この樹脂組成物中の各樹脂成分の混合量は、合計100質量部とする。
2.芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂が、スチレンとメタクリル酸との共重合樹脂でメタクリル酸の含有量が1〜13質量%である前記1に記載の耐熱樹脂組成物。
3.ポリスチレンがスチレンのホモポリマーからなる前記1および2のいずれかに記載の耐熱樹脂組成物。
4.ポリスチレンがスチレンのホモポリマーで、Mz/Mwが1.8〜3.4である前記1〜3のいずれかに記載の耐熱樹脂組成物。
5.前記1〜4のいずれかに記載の耐熱樹脂組成物を用いて得られる発泡成形体。
6.前記1〜4のいずれかに記載の耐熱樹脂組成物を用いて押出し発泡して得られる発泡シート。
7.前記6に記載の発泡シートを熱成形することにより得られる食品包装容器。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性と低温脆性に優れ、更に容易に溶融コンパウンドすることもできる。また、更には発泡押出しシート化ができ、これに続く熱成形においても深絞り性が優れるため多様な形状の容器を得ることができる。したがって、本発明の耐熱樹脂組成物を用いて得られる発泡成形体は、耐熱性と低温脆性に優れ、またこの耐熱樹脂組成物を発泡押出しシート化、更に熱成形することで食品包装容器等の多用な発泡成形体が得られる。
ポリフェニレンエーテルは、フェノール化合物の酸化カップリングにより製造される。ポリフェニレンエーテルの酸化カップリング反応触媒としては、特に制限はないが、銅、マンガン、コバルト等の重金属化合物の少なくとも1種を用いる(米国特許第4,042,056号、同第3,306,874号、同第3,306,875号公報等参照)。
フェノールの具体例としては、フェノール、o−,m−,p−クレゾール、2,6−、2,5−、2,4−または3,5−ジメチルフェノール、2−メチルー6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチルー6−t−ブチルフェノールなどが挙げられる。上記フェノール化合物は二種以上を共重合してもよく、さらに得られるホモポリマーもしくはコポリマーを二種以上混合使用してよい。上記フェノール化合物の中でも特に2,6−ジメチルフェノールが好適であり、従って本発明においてはこれを重合して得られるポリ(2,6−ジメチルー1,4−フェニレン)エーテルが良好な結果を与える。
本発明における上記ポリフェニレンエーテルの分子量は、特に限定はしないが好適なのは極限粘度が0.3dl/g以上(温度25℃、溶媒クロロホルム中)のものである。0.3dl/g未満では機械的強度が劣る。また、好ましくは極限粘度0.3〜0.6dl/gである。
ポリフェニレンエーテルの含有量は、当該樹脂組成物100質量部中3〜30質量部好ましくは5〜20質量部であり、3質量部未満では脆性改良効果が小さく、30質量部を超えると発泡体への熱成形性が劣る。
芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂は、熱或いは過酸化触媒によるラジカル重合法により製造でき、芳香族ビニルとしては、スチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、オルトメチルスチレン等が用いられ、アクリル酸系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等で、共に1種以上のモノマーを用いることができる。
また、共重合樹脂の特性を損なわない範囲で、芳香族ビニルとアクリル酸系モノマー以外の重合可能なモノマー、例えば、アクリル酸エスエル類、シアン化ビニル類、マレイミド系モノマーが少量含有されていても良い。
芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂の重合方式としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等公知のスチレン重合方式が挙げられる。
芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂のモノマーとしては、スチレンとメタクリル酸の組み合わせが好ましく、更に、該共重合樹脂に占めるメタクリル酸量として1〜13質量%が好ましい。1質量%未満では耐熱性の改良効果が小さく、13質量%を超えるとポリフェニレンエーテルとの溶融コンパウンド性と発泡シートからの熱成形性が悪い。更に好ましくは3〜13質量%である。
芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂の含有量は、当該樹脂組成物100質量部中3〜95質量部であり、3質量部未満では耐熱性改良効果がなく、95質量部を超えると成形性が低下し脆化する。
ポリフェニレンエーテルと芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂の混合は、通常のポリマーブレンドの手法で行うことが可能であり、事前に混合して或いは事前混合せず片方の樹脂を途中フィードする方法で単軸或いは多軸押出機にて溶融混練することができる。しかしながら両樹脂の相溶性が必ずしも良くなく、溶融粘度差も生じるため分散性が低下し溶融コンパウンド性および発泡シートからの熱成形性が悪い。改善するために溶融混練条件を高せん断条件とすることで可能となるが、ゲル化及び熱変色等の外観不良の恐れがある。
これについて、ポリフェニルエーテルと芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂に当該樹脂組成物100質量部中ポリスチレンを70質量部以下の量で含有させることによりコンパウンド時の樹脂の分散性が改善し、溶融コンパウンド性および発泡シートからの熱成形性も改良できる。70質量部を超えると耐熱性の改良効果がなくなる。
用いるポリスチレンとしては、スチレンのホモポリマーおよびゴム強化したハイインパクトポリスチレンが挙げられる。重合法として、ラジカル重合、アニオン重合等が活用でき各手法によるもののブレンドも可能である。ハイインパクトポリスチレンおよびゴム質ポリマーは耐熱性の低下をきたすため、ポリスチレンのホモポリマーが好ましくMz/Mwが1.8〜3.4のものは更に熱成形性も改良できる。ポリスチレンの分子量としては、重量平均分子量18万以上で、好ましくは20万〜50万である。
当該樹脂組成物には、リン系、フェロール系、アミン系等の安定剤、脂肪酸金属塩、アマイド系の滑剤、ナフテン、パラフィン系等の可塑剤、ゼオライト、活性炭等の脱臭剤、顔料、染料等着色剤およびタルク、炭酸カルシウム等の発泡核剤等を添加することができる。
また、当該樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、スチレンーブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、メチルメタクリレートーブタジエン-スチレン等のゴム質ポリマーを含有することができる。
溶融コンパウンドした当該樹脂は、次いで発泡剤とともに溶融押出しすることで発泡シートを製造する。発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等炭素数3〜5の飽和炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式炭化水素、ジフルオロエタン、エチルクロライド等ハロゲン化炭化水素、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド等分解型発泡剤、二酸化炭素、窒素等無機ガスおよび水等が単独あるいは併用して用いられ、その量は当該樹脂組成物100質量部に対して1から10質量部である。
発泡剤の添加方法は、当該樹脂組成物を押出機にて加熱下で溶融させ、押出機の途中に圧入させ混合する。その後、サーキュラーダイスあるいは平板ダイスより低圧領域へ押出し、所望のシート厚さになるように発泡させる。
得られた発泡シートは、建築用ボードや断熱材ではこのまま用いられることもあるが、トレイ、麺類容器等食品包装容器等では、更に熱成形により所望の形状および厚みを形成する。熱成形は、熱板による予備加熱を設けた真空(圧空)成形機が用いられ、それぞれ用いられる用途に応じた食品容器等に賦型される。発泡シートをその軟化温度以上の温度に設定された熱板にて加熱し、その後真空(圧空)成形機の型内にバキュームおよび/あるいは加圧することで賦型される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1と比較例1
<芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂の製造>
スチレン92質量%、メタクリル酸8質量%のモノマー構成100質量部に対して溶剤としてエチルベンゼン10質量部、および重合開始剤として2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.02質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時13.5kgの割合で、120℃に設定した完全混合槽の容量39リットルの第一反応器、次いで125℃に設定した完全混合槽の容量39リットルの第二反応器、更に静的混合器付きの容量16リットルのプラグフロー型反応器(設定温度は、125℃から140℃の勾配)に連続供給し重合した。
この重合液を直列に2段より構成した予熱器付き真空脱揮槽に導入し、未反応モノマーおよびエチルベンゼンを分離除去した。その後、ストランド状に押出し冷却した後、切断してペレットとした。なお、1段目の予熱器の温度は200℃、真空脱揮槽の圧力は6.7×104Paとし、2段目の予熱器の温度は250℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は6.6×100Paとした。得られ共重合樹脂中のメタクリル酸量を測定した結果、メタクリル酸量は8.3質量%であった。
<樹脂組成物の溶融コンパウンド>
上記の方法で製造したスチレン/メタクリル酸=92/8の共重合体を当該樹脂組成物100質量部中50質量部とし、ポリフェニレンエーテル粉末(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、IUPIACE PX100L:極限粘度0.41g/dl)およびポリスチレンペレット(東洋スチレン社製、トーヨースチロール HRM12:Mz/Mw=2.04、Mw=25万)を表−1に示す質量部比率にてヘンシェルミキサーにて混合し、230から260℃に温度設定した二軸押出機(神戸製鋼所製、KTX30α)にて溶融コンパウンド化した。得られた樹脂組成物のソリッド物性と成形性(溶融コンパウンド性)を評価した。
<樹脂組成物の発泡シート化>
発泡剤として二酸化炭素を使用し、タンデム式の単軸押出機にて発泡シートを製造した。上記樹脂組成物100質量部と微粉末タルク1質量部をタンブラーブレンドしたものを220から230℃に温度設定した40mmφ押出機に供給し、樹脂組成物が溶融した後、押出機の先端付近から発泡剤の二酸化炭素を樹脂組成物100質量部に対して2.5質量部の割合で圧入した。この混合物を50mmφ押出機に供給し、樹脂温度185℃に調節した後、リップ開度0.8mm、環径30mmの円形ダイスより10kg/時の量で押出し、直径90mmの冷却された円筒に添わせて引き取り厚さ2mmで密度0.12g/cm3〜0.15g/cm3の発泡シートを得た。この発泡シートからの切り出し片を用いて低温ノッチなしダインシュタット強度と成形性(熱成形性)を測定した。
表−1に実施例の性能評価結果を示すが、耐熱性、低温強度に優れ、成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)も良好であった。なお、比較例で、ポリフェニレンエーテル量が、3質量部未満では低温強度、30質量部を超えると成形性が劣っている。
Figure 2012140549
実施例2と比較例2
実施例1で使用したポリフェニレンエーテルを当該樹脂組成物100質量部中10質量部用い、これに対してスチレン/メタクリル酸=92/8の共重合体とポリスチレンを表−2に示す質量部の割合にて溶融コンパウンド、発泡シート化および発泡成形を行い、それぞれを同様に評価した。
表−2に実施例の性能評価結果を示すが、耐熱性、低温強度に優れ、成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)も良好であった。なお、比較例で、スチレン/メタクリル酸共重合樹脂の量が、95質量部を超えると成形性と低温強度が劣っていた。
Figure 2012140549
実施例3と比較例3
実施例1で使用したポリフェニレンエーテルを当該樹脂組成物100質量部中30質量部用い、これに対してスチレン/メタクリル酸=92/8の共重合体とポリスチレンを表−3に示す質量部の割合にて溶融コンパウンド、発泡シート化および発泡成形を行い、それぞれを同様に評価した。 表−3に実施例の性能評価結果を示すが、耐熱性、低温強度に優れ、成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)も良好であった。なお、比較例で、スチレン/メタクリル酸共重合樹脂の量が、3質量部未満では低温強度が劣っていた。
Figure 2012140549
実施例4と比較例4
実施例1で使用したポリフェニレンエーテルを当該樹脂組成物100質量部中10質量部用い、これに対してスチレン/メタクリル酸=92/8の共重合体とポリスチレンを表−4に示す質量部の割合にて溶融コンパウンド、発泡シート化および発泡成形を行い、それぞれを同様に評価した。表−4に実施例の性能評価結果を示すが、耐熱性、低温強度に優れ、成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)も良好であった。なお、比較例で、ポリスチレンの量が70質量部を超えると耐熱性と低温強度が劣っていた。
Figure 2012140549
実施例5
実施例1で使用したスチレン/メタクリル酸=92/8の共重合体とポリスチレンを使用し、ポリフェニレンエーテルを極限粘度が異なるタイプ(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、IUPIACE PX100F:極限粘度0.36g/dl)を用い、表−4に示す質量部の割合にて溶融コンパウンド、発泡シート化および発泡成形を行い、それぞれを同様に評価した。表−5に実施例の性能評価結果を示すが、耐熱性、低温強度に優れ、成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)も良好であった。
Figure 2012140549
実施例6と比較例6
実施例1で使用したポリフェニレンエーテル20質量部およびポリスチレン30質量部に対して表−5に示す各種芳香族ビニルとアクリル酸系モノマー共重合樹脂50質量部をそれぞれ当該樹脂組成物100質量部となるように混合し、溶融コンパウンド、発泡シート化および発泡成形を行い、同様に評価した。
<芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂の製造>
スチレン/メタクリル酸系モノマーの共重合体は、実施例1と同様な重合方式、触媒、重合条件および脱揮条件にて、投入するモノマー比率を変えることで製造した。
得られたそれぞれの共重合体中のポリメタクリル酸量を測定した。
仕込みスチレン/メタクリル酸=97/3のモノマー比率の共重合体は、ポリメタクリル酸量が3.8質量%、仕込みスチレン/メタクリル酸=86/14のモノマー比率の共重合体は、ポリメタクリル酸量が14.2質量%であった。
一方、スチレン/無水マレイン酸モノマーの共重合体は、市販されていた樹脂ペレット(MTC−ARCO社製、ダイラーク#232)を使用した。
表−6に実施例の性能評価結果を示すが、耐熱性、低温強度に優れ、成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)も良好であった。なお、比較例で、スチレン/メタクリル酸モノマーの共重合体でメタクリル酸モノマー仕込み量が14質量部と多く含むものを使用すると成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)が悪化し使用できない。
Figure 2012140549
実施例7
実施例1で使用したポリフェニレンエーテル20質量部、スチレン/メタクリル酸=92/8の共重合体50質量部に対して、表−7に示す各種ポリスチレンを当該樹脂組成物100質量部となるように混合し、それぞれ溶融コンパウンド、発泡シート化および発泡成形を行い、同様に評価した。
用いたポリスチレンのそれぞれのMz/Mwおよび重量平均分子量を示す。
GP HRM48:Mz/Mw=2.25、Mw=38万
GP HRM10:Mz/Mw=1.74、Mw=21万
HI E640:ゴム分6質量%のゴム変性ポリスチレン
表−7に実施例の性能評価結果を示すが、耐熱性、低温強度に優れ、成形性(溶融コンパウンド性、熱成形性)も良好であった。
Figure 2012140549
これまで述べた各種物性および性能評価の評価方法を以下詳述する。
a)スチレン/メタクリル酸共重合体中のメタクリル酸含有量
室温にて、共重合体0.5gを秤量し、トルエン/エタノール=8/2(体積比)の混合溶液に溶解後、水酸化カリウム1mol/エタノール溶液にて中和滴定を行い終点を検出し、水酸化カリウムエタノール溶液の使用量により、メタクリル酸の質量基準の含有量を算出する。なお、電位差自動検出装置(京都電子工業社製、AT−510)により測定した。
b)分子量
重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)を、ゲルパーミッションクロマトグラフィーを用いて、次の条件で測定した。なお、各分子量は、単分散ポリスチレンの溶出曲線により各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出した。
機種:昭和電工社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製PLgel 10μm MIXED−B,30
0×7.5mm
移動相:テトラヒドロフラン 1.0ml/min.
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
c)溶融コンパウンド性
溶融コンパウンドした樹脂組成物ペレットを用いて240℃に設定したプレス機にて予熱3分、圧力10MPa下で成形3分の条件で厚さ0.2〜0.4mmのフイルムを成形する。このフイルムの分散性を100cm2の面積内にブツが0個の場合を○、1個以上5個未満の場合を△、5個以上の場合を×として評価した。
d)熱成形性
発泡シートを真空成形機により、ヒーター温度260℃で所定の時間加熱し、軟化、二次発泡させた後、直ちに真空成形を行い、内径100mm、深さ50mmの円形丼状容器を得た。容器内面の亀裂の発生状態を観察し、成形容器100個のうち、亀裂が観察される容器の数が0個の場合を◎、5個未満の場合を○、5個以上10個未満の場合を△、10個以上の場合を×として深絞り性を評価した。
e)ビカット軟化点
樹脂組成物を射出成形法にて得られた厚さ4mmのプレートにて、JIS K7206に準じて測定した。
f)樹脂ソリッドの脆性評価(射出成形体のノッチなしシャルピー強度)
樹脂組成物を射出成形法にて得られたバーを用いて、5℃の環境温度下にてノッチ無しのシャルピー強度をJIS K7111に準じて測定した。
g)発泡シートの脆性評価(シート切り出し片のダインシュタット強度)
発泡シートのMD方向にて長さ30mm、幅10mmの試験片を切り出し、DIN53453に準じて、10℃の環境温度下でハンマー質量1kgでダインシュタット強度を測定した。(n数10の平均値)

Claims (7)

  1. ポリフェニレンエーテル3〜30質量部、芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーからなる共重合樹脂3〜95質量部およびポリスチレン0〜70質量部からなる耐熱樹脂組成物。ただし、この樹脂組成物中の各樹脂成分の混合量は、合計100質量部とする。
  2. 芳香族ビニルとアクリル酸系モノマーとの共重合樹脂が、スチレンとメタクリル酸との共重合樹脂でメタクリル酸の含有量が1〜13質量%である請求項1の耐熱樹脂組成物。
  3. ポリスチレンがスチレンのホモポリマーからなる請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の耐熱樹脂組成物。
  4. ポリスチレンがスチレンのホモポリマーで、Mz/Mwが1.8〜3.4である請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱樹脂組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の耐熱樹脂組成物を用いて得られる発泡成形体。
  6. 請請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の耐熱樹脂組成物を用いて押出し発泡して得られる発泡シート。
  7. 請求項6に記載の発泡シートを熱成形することにより得られる食品包装容器。
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