JP2012136496A - シート状製剤及びシート状製剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水と、ゼラチンと、スギ花粉アレルゲンタンパク質と、上記スギ花粉アレルゲンタンパク質の安定化剤とを含むことを特徴とするシート状製剤。
【選択図】なし
Description
減感作療法は、一般的に2〜3年程度の長期間投与が必要であるため、介護者及び患者のQOL(quality of life)をより向上させるような剤型が必要であると考えられている。
しかしながら、皮下注射による特異的減感作療法では、アナフェラキシーショックの危険性、医療従事者による投与の必要性、長期間にわたる頻繁な通院の必要性、注射による痛み、冷蔵保管である等の問題点があった。
また、本発明のシート状製剤は、口腔内減感作療法用であることが好ましい。
また、上記ゼラチンは、10重量%濃度の水溶液としたときに32℃でゲル化しない特性を持つことが好ましい。
また、本発明のシート状製剤において、上記スギ花粉アレルゲンタンパク質は、それを含む液状又は固体であることが好ましい。
また、上記ゼラチンの含有量が、全重量基準で2〜40重量%であることが好ましい。
また、本発明のシート状製剤は、厚さが30〜5000μmの範囲内にあることが好ましく、平面面積が0.5〜6.0cm2の範囲内にあることが好ましい。
また、上記安定化剤は、糖、糖アルコール及び糖脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明のシート状製剤は、ポリエチレングリコール又はその誘導体を更に含むことが好ましく、また、結晶セルロースを更に含むことが好ましい。
また、本発明は、本発明のシート状製剤の製造方法であって、水と、ゼラチンと、スギ花粉アレルゲンタンパク質と、上記スギ花粉アレルゲンタンパク質の安定化剤とを混合して混合溶液を調製する工程と、上記混合溶液を用いて薄膜を形成する工程とを有し、上記混合溶液を調製する工程において添加水分量を調節するか、又は、上記薄膜を形成する工程の後、上記薄膜を非加熱下において乾燥させて、得られるシート状製剤に含有される水の量を調節することを特徴とするシート状製剤の製造方法である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
このような組成からなる本発明のシート状製剤は、感作時間の制御が必要な口腔内減感作療法用に好適に用いられ、特に舌下減感作療法に適したものである。また、本発明のシート状製剤は、ゼラチンと、特定の安定化剤とを含有するため、スギ花粉アレルゲンタンパク質を安定に維持することができる。
また、本発明のシート状製剤のサイズとしては特に限定されないが、平面面積が0.5〜6.0cm2の範囲内にあることが好ましい。0.5cm2未満であると、シート状製剤を摘まんで投与する際に取り扱いが難しくなる恐れがあり、6.0cm2を超えると口腔内、特に舌下へ完全に入れることができない恐れがある。
また、本発明のシート形状の製剤の平面形状は特に限定されず、例えば、長方形、正方形等の矩形、5角形等の多角形、円形、楕円形等、任意の形状が挙げられる。ここにいう多角形は、完全な多角形のほか、若干、角部にRを有する形状も含む。
なお、本明細書において、「シート状」とは「フィルム状」も含む概念である。
上記ゼラチンは、本発明のシート状製剤の基材を構成する材料であり、シート形状形成能及び可食性を有するものである。
このようなゼラチンを含むことで、本発明のシート状製剤は、常温ではゲル化し、口腔内の体温程度の温度で容易に溶解させることができる。
なお、本明細書において、「可食性」とは、経口的に投与可能であり、製剤学的に許容されるものであることを意味する。
なお、本明細書にいう「水溶性ゼラチン」とは、1gのゼラチンが20mLの常温(30℃)の水に溶解するゼラチンを指す。
上記ゼラチンは、5℃付近ではゲル化するものであることが好ましい。
なかでも、上記ゼラチンとしては、製造時に常温で調製可能であり、スギ花粉アレルゲンタンパク質の製造時における安定性の観点から、魚又は豚由来のゼラチンが好ましい。
かかる観点から、上記ゼラチンは、平均分子量が9万を超えるものであれば、アミノ酸組成中のヒドロキシプロリン量が5.2〜9.2モル%のものであればよい。このようなゼラチンとしては、例えば、サケ由来ゼラチン(アミノ酸組成中のヒドロキシプロリン量:5.4モル%)、コイ由来ゼラチン(アミノ酸組成中のヒドロキシプロリン量:7.6モル%)、ティラピア由来ゼラチン(アミノ酸組成中のヒドロキシプロリン量:8.0モル%)等の魚由来のゼラチンが挙げられ、なかでも、ティラピア由来ゼラチンが特に好ましい。
なお、上記方法により得られるアミノ酸組成中のヒドロキシプロリン量(モル%)の具体例としては、例えば、以下のとおりである。
ニワトリ:10.8モル%
ダチョウ:10.4モル%
マウス:8.7モル%
ブタ:9.4モル%
ウシ:9.5モル%
ここで、本明細書において「平均分子量」とは、重量平均分子量を意味し、ゲル濾過クロマトグラフ分析により測定される。
更に、ここにいう平均分子量は、ゼラチンのポリペプチド鎖3量体の分子量ではなく、それぞれのポリペプチド鎖単量体の分子量を意味する。
上記その他の可食性高分子の配合量は、本発明のシート状製剤の全重量基準で、好ましくは0.1〜10重量%である。
また、スギ花粉アレルゲンタンパク質の保存の安定化効果の観点から、上記ポリエチレングリコールの分子量は2万以下が好ましく、本発明のシート状製剤の物性の安定化の観点から、上記ポリエチレングリコールの分子量は1000以上が好ましい。なお、ここにいう分子量は、重量平均分子量を意味し、ゲル濾過クロマトグラフ分析により測定される。
上記スギ花粉アレルゲンタンパク質とは、スギ花粉より抽出されたアレルギー疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原性を有するタンパク質、該タンパク質とアミノ酸レベルで相同性の高いタンパク質を有効成分としてなる群より選ばれる1種類以上を含むものが挙げられる。
本発明のシート状製剤において、上記スギ花粉アレルゲンタンパク質は、それらを含む液状であってもよく、固体であってもよい。ここで、液状のものをスギ花粉エキスと呼び、液状のスギ花粉エキスは、これまで固形化することが、その抽出工程の観点及びスギ花粉アレルゲンタンパク質の安定性の観点から困難であった。しかしながら、本発明のシート状製剤は、液状のスギ花粉エキスであっても好適に固形化することができる。
これらのタンパク質は、メジャースギ花粉アレルゲンタンパク質とマイナースギ花粉アレルゲンタンパク質からなる。なお、花粉に含まれるいくつかのスギ花粉エキスの内で大多数の患者が強く感作されている成分をメジャースギ花粉アレルゲンタンパク質といい、一部の患者のみが感作されている成分をマイナースギ花粉アレルゲンタンパク質という。
スギ花粉エキスとしては、なかでも、メジャースギ花粉アレルゲンタンパク質であるCryj1及びCryj2及びそれらの混合物がスギ花粉エキスとして好ましく、該Cryj1及びCryj2のみならずマイナースギ花粉アレルゲンタンパク質も含んだスギ花粉抽出液であるスギ花粉エキスそのまま、又は希釈したものも好ましい。
なお、実際に医薬品として鳥居薬品(株)より該スギ花粉エキスに相当する標準化スギ花粉エキス治療エキス「トリイ」スギ花粉200JAU/mL及び標準化スギ花粉エキス治療エキス「トリイ」スギ花粉2000JAU/mLが販売されている。本発明のシート状製剤においては、上記医薬品を用いること、又は、上記原液を用いても差し支えない。
ここで、上記「JAU」は、「Japanese Allergy Units」の略であり、メジャースギ花粉アレルゲンタンパク質であるCryj1により標準化させたスギ花粉アレルゲンタンパク質の力価を意味する。また、エル・エス・エル社製のスギ花粉抽出物−Cj等も使用できる。
メジャースギ花粉アレルゲンタンパク質の一つであるCryj1の含有量の観点、及び、臨床効果の観点から、上記スギ花粉アレルゲンタンパク質は、シート状製剤1枚あたり0.01ng〜1mg含有していることが好ましい。
上記安定化剤としては、糖、糖アルコール及び糖脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが好適に挙げられる。
上記糖としては、例えば、以下に示すような単糖、二糖、三〜六糖が挙げられる。
単糖類としては、例えば、エリスロース、スレオース等のアルドテトロース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース等のアルドペントース、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース等のアルドヘキソース、エリスルロース等のケトテトロース、キシルロース、リブロース等のケトペントース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のケトヘキソース等が挙げられる。二糖類としては、例えば、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース等のα−ジグルコシド、イソトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース糖のβ−ジグルコシド、ネオトレハロース等のα,β−ジグルコシドの他、ラクトース、スクロース、イソマルツロース(パラチノース)等が挙げられる。三糖類としては、例えば、ラフィノース等が挙げられる。三糖〜六糖のオリゴ糖としては、例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、オリゴグルコサミン、デキストリン、シクロデキストリン等の環状オリゴ糖等が挙げられる。
本発明のシート状製剤において、上記糖又は糖アルコールは、置換されていてもよく、また、1種で又は2種以上混合して用いることもできる。
スギ花粉アレルゲンタンパク質の安定化という観点から、D−ソルビトール、D−マンニトール、イソマルト、スクロースが更に好ましい。
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
また、上記ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記水は、上記ゼラチンの溶解を補助する作用を有する材料である。
また、本発明のシート状製剤内の水分含有量を制御することで、シート状製剤の溶解時間を容易に制御することができる。したがって、本発明のシート状製剤は、感作時間の制御が必要な口腔内、特に舌下減感作療法に適したものである。
本発明では、シート状製剤の全重量に基づいて、水の含有量は、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。1重量%未満であると、口腔内での溶解性が極めて悪くなり使用上問題となる可能性があり、一方、60重量%を超えると、常温での物性面の保管安定性が悪くなる恐れがある。
上記消泡剤としては、特に限定されないが、特にスギ花粉アレルゲンタンパク質の安定化効果があるソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が好ましい。上記ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルとしては、上述したものと同様のものが挙げられる。すなわち、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルは、スギ花粉アレルゲンタンパク質の安定化剤として機能とするとともに、消泡剤としても機能する。
また、本発明のシート状製剤は、その水分含有量を制御することで、その溶解時間を容易に制御することができるため、感作時間の制御が必要な口腔内、特に舌下減感作療法に適している。
そして、本発明のシート状製剤は、減感作療法に用いられる場合、患者が、在宅においてスギ花粉アレルゲンタンパク質の自己投与が可能で、残渣感がなく誤飲防止性にも優れ、介護者が投与しやすく、患者及び介護者のQOLを大幅に向上させることができ、更に、口腔内、特に舌下における溶解時間を任意に制御することができるとともに、これまで難しかった溶液状のスギ花粉エキスを固形化することが可能な、より汎用性が高いものとなる。
次いで、調製した上記溶液を常温にした後、別途調製しておいたゼラチン溶液と28℃〜32℃の温度で攪拌混合して混合溶液を調製する。
なお、上記混合溶液の調製時に泡が発生した場合は、一夜放置や真空又は減圧脱泡を行うとよい。
本工程で形成する薄膜は、上述した本発明のシート状製剤と同等のサイズを有することが好ましい。
すなわち、上記水の量の調節を、混合溶液を調製する工程において添加水分量を調節することで行う場合、上記薄膜を形成することで本発明のシート状製剤を製造できる。
一方、上記水の量の調節を、上記薄膜を形成する工程の後、上記薄膜を非加熱下において乾燥させて行う場合、上記薄膜を乾燥させることで本発明のシート状製剤を製造することができる。
上記薄膜を非加熱下において乾燥させる方法としては、例えば、冷風乾燥工程又は冷却減圧乾燥工程を行う方法が挙げられる。
また、得られたシート状製剤は、必要により密封包装し、製品とすることが好ましい。
また、本発明のシート状製剤は、減感作療法に用いられる場合、患者が、在宅においてスギ花粉アレルゲンタンパク質の自己投与が可能で、残渣感がなく誤飲防止性にも優れ、介護者が投与しやすく、患者及び介護者のQOLを大幅に向上させることができ、更に、口腔内、特に舌下における溶解時間を任意に制御することができるとともに、これまで難しかった溶液状のスギ花粉エキスを固形化することが可能な、より汎用性が高いスギ花粉アレルゲンタンパク質含有シート状製剤である。
加えて、本発明のシート状製剤の製造方法では、ゼラチン、特に水溶性ゼラチンを用いることにより、非加熱下に乾燥させることが可能であり、高温に弱いスギ花粉アレルゲンタンパク質であっても、これへの悪影響を低減しつつ、シート状製剤を製造することができる。
精製水29重量部に、結晶セルロース1重量部を加えて超音波溶解及び分散を行った。ここに魚(ティラピア)由来の水溶性ゼラチン(平均分子量約10万、ヒドロキシプロリン量約8.6モル%)10重量部を加え、30〜50℃の温度で溶解させ、28〜32℃の恒温下でシェーカーにかけてゼラチン溶液とした。
別途、治療用標準化アレルゲンエキススギ花粉2,000JAU/mLを50重量部取り、D−ソルビトールを7重量部、PEG4000を3重量部、2〜8℃下で溶解し、25〜30℃の温度になるよう加温した後、前もって用意しておいたゼラチン溶液に全量加え、28〜32℃下で速やかに混合し、5cm2プラスチック製ブリスターケース(クリオモルド(角型)3号、サクラファインテック社製)に2.2gずつ分注し、2〜8℃下で1昼夜冷却固化して、シート状製剤を得た。
表1に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でシート状製剤を得た。
実施例2では、ゼラチン(魚由来)(平均分子量約10万、ヒドロキシプロリン量約8.6モル%)、実施例3ではゼラチン(豚由来)A(平均分子量約8.5万、ヒドロキシプロリン量約9.2モル%)を用いた。
精製水39重量部に、結晶セルロース1重量部を加えて超音波溶解及び分散を行った。
別途、治療用標準化アレルゲンエキススギ花粉2,000JAU/mLを50重量部取り、D−ソルビトールを7重量部、PEG4000を3重量部、2〜8℃下で溶解し、前もって用意しておいた結晶セルロースを含む水溶液に全量加え、室温下で速やかに混合し、5cm2プラスチック製ブリスターケース(クリオモルド(角型)3号、サクラファインテック社製)に2.2gずつ分注し、2〜8℃下で1昼夜冷却固化し、シート状製剤を得た。
精製水29重量部に、結晶セルロース1重量部を加えて超音波溶解及び分散を行った。ここにアルカリ処理ゼラチン(豚由来)(平均分子量18万、ヒドロキシプロリン量約9.2モル%)10重量部を加え、70〜80℃の温度で溶解させ、40℃の恒温下でシェーカーにかけゼラチン溶液とした。
別途、治療用標準化アレルゲンエキススギ花粉2,000JAU/mLを50重量部取り、D−ソルビトールを7重量部、PEG4000を3重量部重量部、2〜8℃下で溶解し、40℃の温度になるよう加温した後、前もって用意しておいたゼラチン溶液に全量加え、40℃下で速やかに混合し、5cm2プラスチック製ブリスターケース(クリオモルド(角型)3号、サクラファインテック社製)に2.2gずつ分注し、2〜8℃下で1昼夜冷却固化し、シート状製剤を得た。
表1に示した組成とした以外は、実施例4と同様の手順でシート状製剤を得た。
実施例5では酸処理ゼラチン(豚由来)(平均分子量10万、ヒドロキシプロリン量約9.2モル%)、実施例6ではゼラチン(豚由来)B(平均分子量約10万、ヒドロキシプロリン量約9.4モル%)、実施例7ではゼラチン(牛由来)(平均分子量約20万、ヒドロキシプロリン量約9.5モル%)を用いた。
表2に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でシート状製剤を得た。
表2に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でシート状製剤を得た。
表3に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でシート状製剤を得た。
表4に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でシート状製剤を得た。
表5に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でシート状製剤を得た。
精製水29重量部に結晶セルロース1重量部を加えて超音波溶解及び分散を行った。ここに魚(ティラピア)由来の水溶性ゼラチン(平均分子量約10万、ヒドロキシプロリン量約8.6モル%)10重量部を加え、30〜50℃の温度で溶解させ、28〜32℃の恒温下でシェーカーにかけてゼラチン溶液とした。
別途、スギ花粉抽出物−Cj(エル・エス・エル社製)0.01重量部、D−ソルビトールを7重量部、PEG4000を3重量部、グリセリン25重量部、精製水25重量部を2〜8℃下で溶解し、25〜30℃の温度になるよう加温した後、前もって用意しておいたゼラチン溶液に全量加え、28〜32℃下で速やかに混合し、5cm2プラスチック製ブリスターケース(クリオモルド(角型)3号、サクラファインテック社製)に2.2gずつ分注し、2〜8℃下で1昼夜冷却固化して、シート状製剤を得た。
表5に示した組成を元に実施例27と同様の手順で調製を行い1cm2プラスチック製ブリスターケース(クリオモルド(角型)1号、サクラファインテック社製)に0.44gずつ分注し、2〜8℃下で1昼夜冷却固化し、シート状製剤を得た。
精製水29重量部に、結晶セルロース1重量部を加えて超音波溶解及び分散を行った。ここに水溶性ゼラチン(魚由来)10重量部を加え、30〜50℃の温度で溶解させ、28〜32℃の恒温下でシェーカーにかけゼラチン溶液とした。
別途、スギ花粉抽出物−Cj(エル・エス・エル社製)を0.002重量部取り、グリセリン25重量部及び精製水25重量部を加え混合し、D−ソルビトールを7重量部、PEG4000を3重量部、2〜8℃下で溶解し、25〜30℃の温度になるよう加温した後、前もって用意しておいたゼラチン溶液に全量加え、28〜32℃下で速やかに混合し、5cm2プラスチック製ブリスターケース(クリオモルド(角型)3号、サクラファインテック社製)に2.2gずつ分注し、2〜8℃下で1昼夜冷却固化し、シート状製剤を得た。
表5に示した組成とした以外は、実施例29と同様の手順でシート状製剤を得た。
表5に示した通り、スギ花粉エキスの液剤そのままの状態をサンプルとして用いた。
表5に示した組成とした以外は、実施例29と同様の手順でシート状製剤を得た。
各実施例及び比較例で調製したシート状製剤の製造時における調製可能性、及び、アレルゲン活性の評価、並びに、5℃及び25℃で1月保管時における保管安定性(残存アレルゲン活性、官能試験(触感))に関して評価を行った。それぞれの試験方法を以下に示す。結果を表6に示した。
シート状製剤を調製する際の調製し易さに関して以下の4段階で評価を行った。なお、評価項目としては、常温付近での調製が可能かどうかに関して評価した。
4:常温付近で容易に調製が可能である
3:常温付近で調製は可能であるが、若干溶液の粘性が上がる
2:常温付近で溶液の粘性が上がり、混合時に均一性に問題が残る
1:常温付近でゲル化し取り扱う事ができない
また、常温でゲル化しないものに関しては0として評価を行った。
スギ花粉抗原ELISA Kit 「Cryj1」(生化学バイオビジネス社製)を用い、スギ花粉の主要アレルゲンの1つであるCryj1のアレルゲン活性を測定した。
当該測定キットは日本スギ(Cryptomeria japonica)花粉抗原の1つであるCryj1に特異的なモノクロナール抗体(013、053)を利用したサンドイッチELISA法を原理としており、Cryj1を特異的に測定することが可能である。キット付属の反応緩衝液100μLに標準溶液又はサンプル20μLを添加し、常温で60分間一時反応を行った後、HRP標識抗体溶液100μLを加え60分間二次反応を行った。ここに酵素基質溶液100μLを加え、常温遮光下で30分間反応を行い、最後に反応停止溶液100μLを加えた。その後、450nmの紫外吸収強度を測定した。各Cryj1濃度の標準溶液における吸収強度を元に検量線を求め、これに従い各サンプルのCryj1アレルゲン活性(ng/mL)を測定した。保管安定性試験においては、各サンプルへのCryj1の添加量の初期値を100%とし、保管安定性試験のサンプリング後、及び、製造直後のCryj1アレルゲン活性%を求めた。当該Cryj1アレルゲン活性%を下記の通りスコア化することにより評価を行った。
5:95%を超え、105%以下
4:90%を超え、95%以下
3:80%を超え、90%以下
2:50%を超え、80%以下
1:50%以下
5℃及び25℃に設定した恒温槽に調製したシート状製剤を保管し、保管開始から1カ月後に残存しているアレルゲン活性及び官能試験(触感)をそれぞれの試験項目の評価方法に従い評価を行った。
実施例及び比較例により断裁したシート状製剤を、実際に指で5秒間円を描くように触り、ネバネバするか、指が濡れないかの観点から違和感を評価した。評価基準は次の通りである。
4:ネバネバしないし、指が濡れない
3:若干ネバネバするまたは指が濡れる
2:ネバネバ感及び指の濡れに関して違和感を覚える
1:かなりネバネバし、指に残る
液状になっているサンプルに関しては0として評価を行った。
また、安定化剤の種類が異なる以外は同様の組成からなる実施例8〜14に係るシート状製剤は、評価項目の合計が22〜26であったのに対し、安定化剤を添加しなかった比較例2に係るシート状製剤は、評価項目の合計が16であった。
また、その他の可食性高分子の種類、セルロースの種類、スギ花粉エキスの種類、グリセリンの有無、及び、シート状製剤のサイズを異ならしめた実施例15〜30に係るシート状製剤は、評価項目の合計が17〜27であった。
また、スギ花粉エキスの液剤そのままの状態をサンプルとした比較例3〜5は、評価項目の合計が11〜12であった。
実施例1で調製したシート状製剤(水分含有率:54重量%)を、シリカゲルを敷いたデシケーターの中に入れ、2〜8℃下で1日保管して水分を飛ばし、水分含有量を45重量%としたシート状製剤を得た。水分含有量は重量変化で求めた。
実施例1で調製したシート状製剤(水分含有率:54重量%)を、シリカゲルを敷いたデシケーターの中に入れ、2〜8℃下で2日保管して水分を飛ばし、水分含有量を35重量%としたシート状製剤を得た。水分含有量は重量変化で求めた。
第15改正日本薬局方に記載の崩壊試験法に準じて試験を行った。1000mLの低形ビーカーに蒸留水をいれ、37±2℃の温度下で、1分間に29〜32往復、振幅53〜57mmで試験器を上下させる条件下により試験を行った。試験器の中にシート状製剤を入れ、前述の条件下で試験を開始し、試験開始からシート状製剤が完全に溶解し、試験器から消失した時間を口腔内溶解時間とした。
また、その水分含有量を制御することで、その溶解時間を容易に制御することができるため、本発明のシート状製剤は、感作時間の制御が必要な口腔内、特に舌下減感作療法に適している。
また、ゼラチン、特に水溶性ゼラチンを用いることにより、非加熱下にシート状製剤を乾燥させることが可能であり、高温に弱いスギ花粉アレルゲンタンパク質であっても、これへの悪影響を低減しつつ、シート状製剤を製造することができる。
Claims (11)
- 水と、ゼラチンと、スギ花粉アレルゲンタンパク質と、前記スギ花粉アレルゲンタンパク質の安定化剤とを含むことを特徴とするシート状製剤。
- 口腔内減感作療法用である請求項1記載のシート状製剤。
- ゼラチンは、10重量%濃度の水溶液としたときに32℃でゲル化しない特性を持つ請求項1又は2記載のシート状製剤。
- スギ花粉アレルゲンタンパク質は、それを含む液状又は固体である請求項1、2又は3記載のシート状製剤。
- ゼラチンの含有量が、全重量基準で2〜40重量%である請求項1、2、3又は4記載のシート状製剤。
- 厚さが30〜5000μmの範囲内にある請求項1、2、3、4又は5記載のシート状製剤。
- 平面面積が0.5〜6.0cm2の範囲内にある請求項1、2、3、4、5又は6記載のシート状製剤。
- 安定化剤は、糖、糖アルコール及び糖脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のシート状製剤。
- ポリエチレングリコール又はその誘導体を更に含む請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のシート状製剤。
- 結晶セルロースを更に含む請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のシート状製剤。
- 請求項1記載のシート状製剤の製造方法であって、
水と、ゼラチンと、スギ花粉アレルゲンタンパク質、前記スギ花粉アレルゲンタンパク質の安定化剤とを混合して混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液を用いて薄膜を形成する工程とを有し、
前記混合溶液を調製する工程において添加水分量を調節するか、又は、前記薄膜を形成する工程の後、前記薄膜を非加熱下において乾燥させて、得られるシート状製剤に含有される水の量を調節する
ことを特徴とするシート状製剤の製造方法。
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