JP2012108334A - トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧縮性流体中で、界面活性剤および着色剤の存在下、触媒を用いて開環重合性モノマーを重合させつつ造粒することを特徴とするトナー。前記触媒は有機触媒であることが好ましい。更に、前記有機触媒は、塩基性を有する求核性の窒素化合物であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
超臨界二酸化炭素中での不均一重合は、水や有機溶媒中での不均一重合と比べて下記のような利点を有するため、種々のモノマーから微小なポリマー粒子を製造する方法に利用され、得られたポリマー粒子は、電子写真の現像材、印刷用インク、建築用塗料、化粧品などの各種用途に用いられている。
(1)重合後の溶媒除去や乾燥工程を簡素化できる。
(2)廃溶剤処理が不要である。
(3)毒性の高い有機溶剤を使用しなくてよい。
(4)洗浄工程により、残存する未反応のモノマー成分や有害物質を除去することが可能である。
(5)使用した二酸化炭素は回収・再利用することができる。
また、特許文献2には、オルガノシロキサン骨格を有する高分子ラジカル重合開始剤を用い、モノマーに応じた界面活性剤を別途合成し準備することなく、1ポットで高分子界面活性剤を合成すると同時に、ポリマー粒子を得る方法が開示されている。しかし、この方法もポリマー粒子の分子量分布(Mw/Mn)が2以下のものを得ることはできない。また、開環重合性モノマーに関する記載はない。
したがって、超臨界流体などの圧縮性流体中で開環重合性モノマーを用いて分子量分布の小さいポリマー粒子を製造する方法は知られていない。
さらに、いずれの先行技術においても特に明示されていないが、これら生分解性樹脂を使用した系は、吸湿によりガラス転移点や熱変形温度の低下が起こり、高温多湿下での輸送、保管等行った際、粒子同士、あるいは形成画像が膠着し、使用に耐えないという欠点も有している。
(1)圧縮性流体中で、界面活性剤および着色剤の存在下、触媒を用いて開環重合性モノマーを重合させつつ造粒して得られたことを特徴とするトナー。
(2)前記触媒が有機触媒であることを特徴とする上記(1)に記載のトナー。
(3)前記有機触媒が、塩基性を有する求核性の窒素化合物であることを特徴とする上記(2)に記載のトナー。
(4)前記有機触媒が、窒素原子を含有する環状化合物であることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載のトナー。
(5)前記有機触媒が環状アミン、環状ジアミン、アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンから選ばれた1種であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)前記有機触媒が、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)、N、N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)のいずれかであることを特徴とする上記(5)に記載のトナー。
(7)前記着色剤が、顔料であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のトナー。
(8)前記開環重合性モノマーがL−又はD−乳酸のラクチドであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナー。
(9)前記界面活性剤が、圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のトナー。
(10)前記界面活性剤が、パーフルオロアルキル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリアクリレート基のいずれかを有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のトナー。
(11)前記圧縮性流体が二酸化炭素からなることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のトナー。
(12)前記トナーの分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載のトナー。ただし、Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す。
本発明は、圧縮性流体中で開環重合性モノマーの重合と生成したポリマーの造粒(粒状化)とを一挙に行う点に特徴がある。圧縮性流体中での開環重合性モノマーを用いたポリマーの造粒は本発明が初めてである。
本発明における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上かつ臨界圧力以上の状態にある流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本発明においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本発明においては、圧力が1/2Pc以上の高圧ガスを表す。
中でも二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。
また、反応の効率化などを考慮すると、例えば、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、その温度は25℃以上であることが好ましく、圧力は高くなるほど界面活性剤の溶解度が上がるため、好ましい。
本発明で重合させることができる開環重合性モノマーは、エステル結合を環内に有するものであれば特に限定されず、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
環状エステルとしては、公知のものを特に制限なく用いることができるが、特に好ましいモノマーとしては、次の一般式(A)で表される化合物のL体又はD体を脱水縮合して得られる環状2量体が挙げられる。
また、環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記開環重合性モノマーは単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能であるが、得られるポリマーのガラス転移点は室温以上であることが望ましい。ガラス転移点が低すぎると、粒子として取り出すことができない場合がある。
開環重合性モノマーの重合の際には、金属触媒、金属原子を含まない有機触媒のいずれも使用することが可能であるが、環境への影響を考慮して有機触媒が好ましい。有機触媒としては、開環重合性モノマーの開環反応に寄与し、開環重合性モノマーとの活性中間体を形成後、アルコールとの反応で脱離、再生するものであればよい。カチオン系触媒でも重合反応は進行するが、ポリマー主鎖から水素を引き抜き(バック−バイティング)、分子量分布が広くなり高分子量のものは得にくいため、塩基性を有する求核剤として働く窒素化合物が好ましい。より好ましくは、窒素原子を含有する環状化合物である。上記のような化合物としては、環状アミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。
また、金属触媒としては、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、コバルト等の誘導体を挙げることができ、誘導体としては、金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物などが挙げられる。
また、重合反応を均一かつ定量的に進めるため、モノマーとの密度差によってポリマー粒子が沈降しないように、攪拌により密度差を補償してもよい。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、液化ガス、高圧ガス状態でも問題ないが、特に圧縮性流体へのモノマーの溶解性を高め、均一かつ定量的に重合反応を進めるためには、超臨界状態となる圧力が好ましい。圧縮流体が二酸化炭素の場合、3.7MPa以上、好ましくは7.4MPa以上である。
重合に際しては、得られるポリマーの分子量を制御するために、開環重合開始剤を加えることが好ましい。開環重合開始剤としては、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。
具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、1,6−へキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ノナンジオール、ポリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの環状エーテルを付加することにより得られる2価のアルコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;及び乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。また、末端にアルコール残基を有するポリマーを使用することにより、ジブロック、トリブロック共重合体を合成することも可能である。
また、必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。
本発明では、圧縮性流体に溶解し且つ圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有する界面活性剤を重合系に共存させる。例えば、圧縮性流体として超臨界二酸化炭素を用いた場合には、親CO2基と親モノマー基を分子内に持つ界面活性剤を用いる。この場合の親CO2基は、例えば、パーフルオロアルキル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリアクリレート基、エーテル基、カルボニル基などが挙げられる。また、親モノマー基は、使用するモノマーの種類に応じて選択することが可能であるが、例えばモノマーとしてラクチドやラクトンを用いる際にはエステル結合、アミド結合などのカルボニル基を有する活性剤が好ましい。
界面活性剤を重合系に共存させる場合、圧縮性流体に加えても、開環重合性モノマーに加えても良い。
上記(1)式で表される界面活性剤の中でも、特に下記〔界面活性剤1〕が好ましい。〔界面活性剤1〕で表される界面活性剤はクローダジャパン株式会社より、「モナシル PCA」という商品名で発売されている。
また、立体的に粒子同士の反発を高めるため、分子鎖がある程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のものが選ばれる。しかし、あまり分子量が大きいと、液粘度の上昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成ポリマーの粒子表面への析出確率のばらつきが生じるため注意を要する。
したがって、ポリマー粒子を製造する時の、圧縮性流体に対する開環重合性モノマーの量は、自ずと制限されることになり、圧縮性流体の状態により密度が異なるため多少異なるが、およそ500質量%以下、好ましくは250質量%以下が適当である。
圧縮性流体中で、界面活性剤及び着色剤の存在下、触媒を用いて開環重合性モノマーを重合させつつ造粒することで、平均粒子径がサブミクロン〜1mmの範囲のポリマー粒子(トナー)を得ることが出来る。粒子径は、反応時の圧力、温度、反応時間、界面活性剤量等により制御することが可能であり、必要に応じて反応条件を振ることにより、真球状から不定形までの種々のポリマー粒子を得ることができる。
重合法としては、分散重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられ、目的に応じて使い分けることができる。特に、圧縮性流体を用いるメリットを活かすことができ、ポリマー粒子の単分散性や粒子径の狭分布化の点で、分散重合の方が懸濁重合や乳化重合よりも優れている。
成長反応に用いるモノマーは、種粒子を製造したものと同じモノマーでも、別のモノマーでもよいが、生成するポリマーは圧縮性流体に溶解してはならない。
上記のような方法で得られたポリマーが分散した圧縮性流体を、常温常圧へ戻すことにより、乾燥したポリマー粒子を得ることができる。
なお、重合初期の温度が、生成するポリマー粒子の粒子径に大きな影響を与えるため、開環重合性モノマーを添加した後に温度を重合温度まで上げ、開始剤を少量の圧縮性流体に溶かして投入する方が望ましい。
重合の際には窒素ガス、アルゴンガス、二酸化酸素ガスなどの不活性気体で反応容器の空気中に含まれる水分を充分に追い出す必要がある。もし、水分の除去が不充分であると、粒径を揃えることができず、微粒子が発生しやすくなる。
本発明に使用する着色剤としては、とくに制限はなく公知の顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、以下のものが例示される。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、等がある。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
これらは、1種または2種以上を使用することができる。
本発明の顔料分散体は、少なくとも前記の開環重合性モノマーと顔料の混合物をガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、鉄球等のメディアの存在下サイドグラインダー、ペイントシューカー、ボールミリング装置、サンドミル装置などで顔料を粉砕し均一に混合もしくは溶解させた後、メディアを除去した開環重合性モノマー組成物を、さらに超臨界流体(もしくは亜臨界流体)の入った高圧セルに導入し、攪拌装置を用いて充分な剪断力により分散、混合することで、顔料、開環重合性モノマー、超臨界流体(もしくは亜臨界流体)を含む本発明で使用される顔料分散体が得られる。
また、超臨界流体(もしくは亜臨界流体)に顔料を分散させ、これに開環重合性モノマーを加えても良い。
顔料分散剤の例としては、塩基性高分子共重合体系分散剤、変性ポリウレタン系分散剤、酸性高分子共重合体系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステルの重合体、着色剤の誘導体等を挙げることができる。
具体的例としては、塩基性高分子共重合体系分散剤として「アジスパーPB711」、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)など、変性ポリウレタン系分散剤としては、「EFKA−4060」、「EFKA−4080」、「EFKA−7462」、「EFKA−4015」、「EFKA−4046」、「EFKA−4047」、「EFKA−4055」、「EFKA−4050」(EFKA CHEMICALS社製)などや着色剤の誘導体として、ソルスパース22000(アビシア社製)などを例に挙げることができる。もちろん顔料分散剤は、これらに限定されるものではなく、これら以外の分散剤も使用することができる。
また、顔料分散剤の添加量は顔料の表面積により異なるが、顔料に対して質量比1〜30%添加するのが良い。
離型剤としては、下記に示すものを挙げることができる。
離型剤としては、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、シリコーンオイル類などが好適に挙げられる。
前記、ワックス類としては、例えば、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、シリコーン系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記、合成炭化水素ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックスが挙げられる。
前記、天然ワックス類としては、例えば、蜜ろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックスなどが挙げられる。
前記、石油ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。前記高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸などが挙げられる。
前記、融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある他、定着機への紙の巻き付きなどが発生することがある。
前記、含有量が、40質量部を超えると、低温定着性の阻害や画質の劣化(光沢度が高すぎる)を生ずることがある。
ひとつは離型剤が熱や超臨界流体中での可塑効果により溶解し、分散重合とともに取り込まれていくのではないかと考えられ、もうひとつは一部の超臨界流体に溶解した離型剤が、分配係数に従い重合粒子の方へ取り込まれていく(注入)されていくのではないかと考えられる。得られた着色重合粒子のTEM写真により、粒子内部にラメラが観測できることから離型剤を内包していることが確認できる。
無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記、無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m2/gが好ましい。
前記、無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
帯電制御剤としては、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。前記、金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウムなどが挙げられる。
前記、帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させ
てもよい。
前記、流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記、クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定したフローカーブから求めることができる。前記軟化温度(Ts)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上が好ましく、80〜120℃がより好ましい。前記軟化温度(Ts)が、50℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記1/2法軟化点(T1/2)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、80〜170℃がより好ましい。前記1/2法軟化点(T1/2)が、60℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
現像剤は、本発明のトナーを少なくとも含有し、キャリアなどの適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であっても、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンターなどに使用する場合には、寿命向上などの点で二成分現像剤が好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)などの高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)などの弱磁化材料が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分などを同時に用いることも可能である。
前記焼付の方法としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉などを用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
ここで、図3に、実施例でも用いた画像形成装置(複写機)の一例の要部概略構成図を示す。
1は静電潜像担持体(感光体ドラム)、2は帯電装置、3は露光装置、4は現像装置、5は、転写装置、6は定着装置、7はクリーニング部材、43は現像スリーブ、Sはシート(転写紙など)である。
GPC(gel permeation chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%の試料を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してトナーの数平均分子量Mn、質量平均分子量Mwを算出した。分子量分布は前記MwをMnで除した値である。
ポリ乳酸の場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98〜5.05ppm)として算出し、これを100倍したものである。
ポリカプロラクトンの場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリカプロラクトン由来の三重線ピーク面積比(4.04〜4.08ppm)に対するカプロラクトン由来の三重線ピーク面積比(4.22〜4.25ppm)として算出し、これを100倍したものである。
ポリカーボネートの場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリカーボネート由来の四重線ピーク面積比(4.22〜4.25ppm)に対するエチレンカーボネート由来の一重線ピーク面積比(4.54ppm)として算出し、これを100倍したものである。
20mlのバイヤル瓶中に、イオン交換水15mlを加え、トナー0.1gを加えて10分間確認した。その後、一日放置した後、バイヤル瓶中の状態により、以下のように判断した。
○:トナーが水と完全に分離し、水層の上に浮遊している。
△:トナーと水が混じっているが、トナーの粒界がはっきり分かる程度である。
×:トナーと水が完全に混じっている。
−界面活性剤2の合成−
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)1250質量部、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、V−65)62.5質量部を耐圧反応セル(耐圧容器セルの50体積%)に充填し、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、この二酸化炭素を供給ボンベにより前記反応セルに供給し、加圧ポンプと温度調整器で15MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。
次いで、温度を0℃まで下げ、背圧弁を使用して圧力を常圧まで下げ、下記構造式で表される界面活性剤2を得た。その数平均分子量(Mn)は、2500であった。
−界面活性剤3の合成−
6mL バイアル瓶に、ポリアクリル酸5,000(和光純薬:36.1質量部)、クロロホルム(和光純薬:1480質量部)、1,1′−カルボニルビス−1H−イミダゾール(128質量部)を加え、室温で10分間撹拌した。
次いで、ポリエチレングリコール(和光純薬、分子量200:500質量部)を加え、室温で12時間撹拌した。
次いで、クロロホルムを加え水で洗浄した。
次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、さらに減圧濃縮して、下記構造式で表される界面活性剤3を得た(収率:73質量%)。その数平均分子量(Mn)は5200であった。
−界面活性剤4の合成−
50mL ナス型フラスコに、側鎖カルボキシ変性シリコーンオイル(信越シリコーン:KF−8012、分子量4500:12質量部)、クロロホルム(和光純薬、33.3質量部)、1,1′−カルボニルビス−1H−イミダゾール、ポリエチレングリコール(和光純薬、分子量200:1.3質量部)を加え、室温で12時間撹拌した。
次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、析出したステアリン酸ナトリウムを桐山ロートでろ過した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。
次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲルろ過し、さらに減圧濃縮して、下記構造式で表される界面活性剤4を得た(収率:91質量%)。その数平均分子量(Mn)は4700であった。
−界面活性剤9の合成−
300mL ナス型フラスコに側鎖アミノ変性両末端メトキシ変性シリコーンオイル(信越シリコーン:KF−857、分子量790:7.9質量部)、ジクロロメタン(東京化成:66.6質量部)、フェニルイソシアネート(関東化学:3.6質量部)を加え室温で24時間撹拌した。その後ヘキサンを加え、蒸留水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、綿線ろ過、シリカゲルろ過し、溶媒を減圧留去して界面活性剤9を得た(収率:80%)。
−界面活性剤10の合成−
合成例8において、フェニルイソチオシアネート(和光純薬:4.0)に変更した以外は合成例8と同様の手順により、界面活性剤10を得た。
C.I.ピグメントイエローPY180(50質量部)、L−ラクチド(882.4質量部)、4−ジメチルアミノピリジン(48.9質量部)、界面活性剤1(49.7質量部)、シリコーンワックス(東レダウコーニング社製、商品名:AMS−C30、50質量部)、3mmφ YTZジルコニアビーズ(10000質量部)を容器に入れ、ペイントシェーカー(セイワ技研社製)で4時間、均一分散を行い、開環重合性モノマー組成物1を調製した。
耐圧容器に、開環重合性モノマー組成物1(1080質量部)、L−ラクチド(882.4質量部)、4−ジメチルアミノピリジン(48.9質量部)、界面活性剤1(49.7質量部)、脱水エタノール(9.2質量部)を入れたマイクロチューブを加え60℃まで暖めた後、超臨界二酸化炭素(60℃,30MPa)を充填し、60℃で2時間反応を行った。
次いで、加圧ポンプと背圧弁を使用して、背圧弁の出口側流量を5.0L/minに調整し、超臨界二酸化炭素を30分間フローして、有機触媒と残留モノマーを除去した後、徐々に常温・常圧まで戻し、3時間後に、容器内部の着色重合粒子1を取り出した。
使用する触媒種、界面活性剤の種類・量、モノマー種及び反応条件を表1−1〜表1−3の実施例2〜24の欄に示す組み合わせとした点以外は、実施例1と同様の手順により、トナー2〜24を得て、引き続き2成分現像剤2〜24を得た。
なお、界面活性剤5〜10の構造は下記構造式で示される。
温度計、攪枠機および窒素挿入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、表2のポリエステルジオール(b11)に示される原材料、および2−エチルヘキシル酸スズ2部を入れ、常圧で160℃、3時間開環重合し、さらに常圧、130℃で反応させた。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕粒子化しポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオール(b11)−1及び(b11)−2を得た。
表2のポリエステルジオール(b12)に示される原材料を脱水縮合して得たポリエステルジオール(b12)−1及び(b12)−2と、先に得られたポリエステルジオール(b11)−1(b11)−2のそれぞれをメチルエチルケトン中に溶解し、続いて伸長剤としてIPDIを加えて、50℃で6時間伸長反応を行い、溶媒を留去して[樹脂b−1]及び[樹脂b−2]を得た。
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物720質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物90質量部、テレフタル酸290質量部、無水トリメリット酸25質量部、及びジブチルスズオキシド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で7時間反応させ、中間体ポリエステル樹脂を合成した。
得られた中間体ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が2,500、質量平均分子量(Mw)が10,700、ピーク分子量が3,400、ガラス転移温度(Tg)が57℃、酸価が0.4mgKOH/g、水酸基価49mgKOH/gであった。
攪拌棒、及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業(株)製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解し、窒素置換後、スチレン755質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、アクリル酸21質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で0.5時間保持した。次いで、脱溶剤を行い、グラフト重合体を合成した。得られたグラフト重合体は、数平均分子量:3,300、質量平均分子量:18,000、ガラス転移点:65.0℃、ビニル系樹脂のSP値:11.0(cal/cm3)1/2であった。
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器内に、イソホロンジアミン30質量部、及びメチルエチルケトン70質量部を仕込み、50℃で5時間反応させ、ケチミン化合物を合成した。得られたケチミン化合物は、アミン価が423mgKOH/gであった。
水1,000質量部、及びDBP吸油量が42ml/100g、pHが9.5のカーボンブラック(Printex35、デグサ社製)530質量部、及び1200質量部の[樹脂b−1]を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、[マスターバッチ1]を作製した。
[樹脂b−1]を[樹脂b−2]〜[樹脂b−4]に変えた以外は同様にして、[マスターバッチ2]〜[マスターバッチ4]を作製した。
テレフタル酸1,578g、イソフタル酸83g、エチレングリコール374g、ネオペンチルグリコール730gからなる混合物をオートクレープ中で、260℃で2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで二酸化ゲルマニウムを触媒として0.262g添加し、系の温度を30分で280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1時間後に0.1Torrとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、260℃になったところでイソフタル酸50g、無水トリメリット酸38gを添加し、255℃で30分撹拌し、シート状に払い出した。そしてこれを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画をポリエステル樹脂(a−1)として得た。ポリエステル樹脂a−1の分析結果を表4に示す。
樹脂(a−1)と同様な方法で種々の樹脂(a−2)及び樹脂(a−3)を製造した。各樹脂の分析結果を表4に示す。
ジャケット付きの2Lガラス容器に、ポリエステル樹脂(a−1) 200g、エチレングリコール−n−ブチルエーテル35g、ポリビニルアルコール(ユニチカ(株)「ユニチカポバール」050G)0.5質量%水溶液(以下、PVA−1)459g及び該ポリエステル樹脂中に含まれる全カルボキシル基量の1.2倍当量に相当するN,N−ジメチルエタノールアミン(以下、DMEA)を投入し、これを開放系で卓上型ホモディスパー(特殊機化工業(株)製,TKロボミックス)を用いて6,000rpmで撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、完全浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ち、10分後にジャケットに熱水を通し、加熱した。そして容器内温度が68℃に達したところで撹拌を7,000rpmとし、容器内温度を68〜70℃に保って更に20分間撹拌し、乳白色の均一な水分散体を得た。そしてジャケット内に冷水を流して3500rpmで撹拌しながら室温まで冷却し、ステンレス製のフィルター(635メッシュ,平織)を用いて濾過したところ、フィルター上には樹脂粒子がほとんど残らなかった。得られた濾液微粒子分散液(w−1)の分析結果を表5に示す。
微粒子分散液(w−1)と同様にして様々な原料を用いて水性化を試みた。得られた微粒子分散液の組成を表5に示す。
攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、水600部、スチレン120部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル45部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業製)10部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し6時間反応させた。さらに1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で6時間熟成してビニル樹脂(スチレンーメタクリル酸一メタクリル酸ブチルーアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液(W−4)]を得た。微粒子分散液(W−4)をELS−800で測定した体積平均粒径は0.08μmであった。微粒子分散液(W−4)の一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のフローテスター測定によるガラス転移温度は74℃であった。
イオン交換水300質量部、微粒子分散液(W−1)300質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を混合撹拌して均一に溶解させて[水系媒体相1]を調製した。
反応容器内に表6に示す部数でポリエステル樹脂(前記[樹脂b−1]−[樹脂b−4])、[ポリエステルプレポリマー]を加え、更に酢酸エチル80質量部を加えて攪拌して、樹脂溶液1〜4を調製した。
次に、樹脂溶液1〜樹脂溶液4にカルナウバワックス(分子量1,800、酸価2.7mgKOH/g、針入度1.7mm(40℃))5質量部、グラフト重合体0.75質量部、及び[マスターバッチ1]5質量部を仕込み、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒で、粒径が0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした。更に、ケチミン化合物2.5質量部を加えて溶解させ、トナー材料液を得た。
イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。循風乾燥機を用いて、得られた濾過ケーキを40℃で36時間乾燥し、目開きが75μmのメッシュで篩い、トナー母体粒子25を作製した。
同様にしてトナー母体粒子26〜28を作製した。
−トナーの作製−
得られたトナー母体粒子25〜28を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、比較例1〜4のトナー25〜28を作製した。
得られたトナーの物性値を表8に示す。
トナー25〜28を使用し、実施例1と同様の手順により、比較例1〜4の現像剤を作製した。
次に、現像剤を用いて、以下のようにして定着性、耐湿熱保存性及び環境安定性を評価した。
結果を表9に示す。
定着ローラとしてテフロン(登録商標)ローラを用いた電子写真方式の複写機(MF−200、リコー社製)の定着部を改造した装置を用い、定着ベルトの温度を変化させて、普通紙と厚紙の転写紙タイプ6200(リコー社製)及び複写印刷用紙<135>(NBSリコー社製)に、トナーの付着量が0.85±0.1mg/cm2のベタ画像を形成した。このとき、普通紙でホットオフセットの発生しない上限温度を定着上限温度とした。また、厚紙でベタ画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を定着下限温度とした。A〜Cの評価が合格基準である。
A:190℃以上
B:180℃以上190℃未満
C:170℃以上180℃未満
D:170℃未満
A:135℃未満
B:135℃以上145℃未満
C:145℃以上155℃未満
D:155℃以上
トナー4gを、直径5cm、高さ2cmの開封系の円筒容器に入れ、温度45℃、相対湿度65%の環境下で、72時間放置した。放置後、トナーを入れた容器を軽く振り、トナーの凝集の発生の有無を目視により観察し、以下の評価基準にしたがって、保存性を評価した。A〜Cの評価が合格基準である。
A:トナーの凝集は全く認められない
B:トナーの凝集の粒が1〜2個観測される
C:トナーの凝集の粒が3〜5個観測される
D:トナーの凝集の粒が6個以上観測される
得られた現像剤を気温23℃、湿度50%RHの環境下(M/M環境)にてボールミルで5分間攪拌した後に、現像剤1.0gを採取し、ブローオフ帯電量測定装置(京セラケミカル社製TB−200)を用い、1分間窒素ブローした後の測定値を帯電量として用いた。また、この測定を気温40℃、湿度90%RHの環境下(H/H環境)、気温10℃、湿度30%RHの環境下(L/L環境)、の2つの条件にて各現像剤の帯電量を評価した。下記式より環境変動率を算出した。環境変動率が低いほど帯電性の安定な現像剤であると言うことができる。A〜Cの評価が合格基準である。
A:環境変動率が10%未満
B:環境変動率が10%以上30%未満
C:環境変動率が30%以上50%未満
D:環境変動率が50%以上
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 定着装置
7 クリーニング部材
43 現像スリーブ
S シート(転写紙など)
Claims (12)
- 圧縮性流体中で、界面活性剤および着色剤の存在下、触媒を用いて開環重合性モノマーを重合させつつ造粒して得られたことを特徴とするトナー。
- 前記触媒が有機触媒であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記有機触媒が、塩基性を有する求核性の窒素化合物であることを特徴とする請求項2に記載のトナー。
- 前記有機触媒が、窒素原子を含有する環状化合物であることを特徴とする請求項2又は3に記載のトナー。
- 前記有機触媒が環状アミン、環状ジアミン、アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンから選ばれた1種であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のトナー。
- 前記有機触媒が、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)、N、N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のトナー。
- 前記着色剤が、顔料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトナー。
- 前記開環重合性モノマーがL−又はD−乳酸のラクチドであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のトナー。
- 前記界面活性剤が、圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトナー。
- 前記界面活性剤が、パーフルオロアルキル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリアクリレート基のいずれかを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のトナー。
- 前記圧縮性流体が二酸化炭素からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナーの分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のトナー。
ただし、Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す。
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