JP2012082313A - ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】PVA系重合体フィルムの製膜時に金属ロールやベルト等の製膜装置からの剥離性が優れるとともに、得られるPVA系重合体フィルム中の液滴の発生を抑制することができてヘイズの小さい高品質の光学フィルムを得ることができるPVA系重合体フィルムの製造方法、および、当該製造方法によって製造することのできるPVA系重合体フィルムの提供。
【解決手段】PVA系重合体を含む製膜原液を用いてキャスト製膜する工程を有するPVA系重合体フィルムの製造方法であって、当該製膜原液における可塑剤の含有量がPVA系重合体100質量部に対して6質量部以下であり、当該製膜原液がアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムをさらに含む製造方法、および、可塑剤の含有量がPVA系重合体100質量部に対して6質量部以下のPVA系重合体フィルムであって、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムを含む、PVA系重合体フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明はポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法および当該製造方法によって製造することのできる可塑剤の含有量が少ないかまたは可塑剤を含まないポリビニルアルコール系重合体フィルムに関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計などの小型機器から、近年では、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話および屋内外で用いられる計測機器などの種々の分野に拡大している。特に液晶モニターや液晶テレビの分野では大画面化が急速に進んでおり、偏光板に欠陥があると製品に組み込むことができなくなって歩留り(製品収率)が低下するため、欠陥のない偏光フィルムひいては偏光板を製造することのできるポリビニルアルコール系重合体フィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記する場合がある)が求められている。
偏光板は、一般に、PVA系重合体フィルムに染色、一軸延伸、および、必要に応じてさらにホウ素化合物による固定処理を施して偏光フィルムを製造した後、その偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルムなどの保護膜を貼り合わせることによって製造される。
上記液晶モニターや液晶テレビなどのような高コントラストで鮮明な画像が要求される製品を製造するためには、偏光度の高い偏光フィルムが必要となる。しかしながら、高偏光度の偏光フィルムを得ようとして、現行のPVA系重合体フィルムを用いて単に一軸延伸の延伸倍率を高くした場合には、偏光フィルムの表面や内部に微細なクラックやボイドが発生してヘイズが大きくなりやすい。特に、近年、LCDにおける画像の鮮明化に対する要求が高くなっており、それに伴って、従来あまり問題にされなかった偏光フィルムにおけるわずかなヘイズが問題とされてきている。偏光フィルムのヘイズが大きくなると、鮮明な画像が要求される用途には使用できず、歩留り(製品収率)が低下するという問題があった。
ところで、PVA系重合体フィルムの製膜に使用される金属ロールからのフィルムの剥離性を改善するなどの目的で、界面活性剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1〜7などを参照)。
特開2002−31720号公報 特開2001−253993号公報 特開2005−206809号公報 特開2005−206810号公報 特開2006−193694号公報 特開2006−307059号公報 特開2006−188656号公報
それら従来技術で得られるPVA系重合体フィルムは、いずれも剥離性が良好である。しかしながら、本発明者らが検討した結果、界面活性剤由来の液滴がフィルム中に発生しており、上記した従来技術で得られるPVA系重合体フィルムは特に高延伸倍率で一軸延伸したときなどにおいてフィルムのヘイズが大きくなる場合があることが判明した。また、剥離性に関してもさらなる改良の余地があった。
本発明は、PVA系重合体フィルムの製膜時に金属ロールやベルト等の製膜装置からの剥離性が優れるとともに、得られるPVA系重合体フィルム中の液滴の発生を抑制することができてヘイズの小さい高品質の光学フィルムを得ることができるPVA系重合体フィルムの製造方法、および、当該製造方法によって製造することのできる可塑剤の含有量が少ないかまたは可塑剤を含まないPVA系重合体フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らが上記目的を達成すべく検討を行ったところ、可塑剤の含有量が少ないかまたは可塑剤を含まない製膜原液を用いてPVA系重合体フィルムをキャスト製膜するに際して、当該製膜原液にアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムを添加すると上記目的が達成されることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]PVA系重合体を含む製膜原液を用いてキャスト製膜する工程を有するPVA系重合体フィルムの製造方法であって、当該製膜原液における可塑剤の含有量がPVA系重合体100質量部に対して6質量部以下であり、当該製膜原液がアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムをさらに含む製造方法、
[2]前記可塑剤が多価アルコール系可塑剤である、上記[1]の製造方法、
[3]前記アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムが有するベンゼン環上のアルキル基が炭素数6〜30のアルキル基である、上記[1]または[2]の製造方法、
[4]前記アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムにおけるアンモニウムが、ジエチレントリアミンに1個または2個以上のプロトンが付加したアンモニウムである、上記[1]〜[3]のいずれか1つの製造方法、
[5]前記アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムにおけるアンモニウムが、エタノールアミン系化合物にプロトンが付加したアンモニウムである、上記[1]〜[3]のいずれか1つの製造方法、
[6]前記エタノールアミン系化合物がトリエタノールアミンである、上記[5]の製造方法、
[7]前記PVA系重合体の重合度が2000〜4500である、上記[1]〜[6]のいずれか1つの製造方法、
[8]前記PVA系重合体のけん化度が99モル%以上である、上記[1]〜[7]のいずれか1つの製造方法、
[9]可塑剤の含有量がPVA系重合体100質量部に対して6質量部以下のPVA系重合体フィルムであって、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムを含む、PVA系重合体フィルム、
[10]前記可塑剤が多価アルコール系可塑剤である、上記[9]のPVA系重合体フィルム、
に関する。
本発明によれば、PVA系重合体フィルムの製膜時に金属ロールやベルト等の製膜装置からの剥離性が優れるとともに、得られるPVA系重合体フィルム中の液滴の発生を抑制することができて偏光フィルム等の光学フィルムを製造するために当該PVA系重合体フィルムを一軸延伸した際などに延伸フィルムに微細なクラックやボイドが発生しないかまたはそれらの発生が極めて少なくなりヘイズの小さい高品質の光学フィルムを得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明において使用されるPVA系重合体としては、例えば、ビニルエステルを重合して得られたポリビニルエステルをけん化して得られるPVA(未変性PVA);PVAの主鎖にコモノマーをグラフト共重合させた変性PVA;ビニルエステルとコモノマーとを共重合させた変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造された変性PVA;未変性PVAまたは変性PVAの水酸基の一部をホルマリン、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類で架橋した、いわゆるポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。
PVA系重合体の製造に用いられる上記のビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。これらの中でもPVA系重合体の製造の容易性、入手容易性、コスト等の点から、酢酸ビニルが好ましい。
変性PVAの製造に使用される上記のコモノマーは、主としてPVAの変性を目的に共重合されるものであり、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。このようなコモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールアクリルアミドまたはその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩もしくはエステル;イタコン酸またはその塩もしくはエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げることができる。これらの中でもα−オレフィン(例えば、炭素数2〜30のα−オレフィン等)、不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体が好ましく、α−オレフィンがより好ましく、エチレンが特に好ましい。
変性PVAにおいてコモノマーによる変性量は変性PVAを構成する全構造単位のモル数に基づいて15モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
PVA系重合体の重合度は、一軸延伸して偏光フィルムさらには偏光板にした際の偏光性能および耐久性などの点から、2000以上であることが好ましく、2300以上であることがより好ましい。また、均質なPVA系重合体フィルムの製造の容易性、延伸性などの点から、PVA系重合体の重合度は、4500以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましい。なお、本明細書でいうPVA系重合体の重合度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定される平均重合度を意味し、PVA系重合体を再けん化し、精製した後に30℃の水中で測定した極限粘度から求めることができる。
PVA系重合体のけん化度は、一軸延伸して偏光フィルムさらには偏光板にした際の偏光性能および耐久性などの点から、99モル%以上であることが好ましく、99.3モル%以上であることがより好ましく、99.8モル%以上であることが特に好ましい。なお、本明細書におけるPVA系重合体の「けん化度」とは、PVA系重合体が有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換されうる構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。けん化度はJIS K6726−1994に記載の方法により測定することができる。
本発明において使用されるアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムは、アルキルベンゼンスルホン酸アニオンと各種アンモニウムとから構成される塩である。アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムが有するアルキルベンゼンスルホン酸部分のベンゼン環上のアルキル基としては、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等の炭素数6〜30のアルキル基などが挙げられ、液滴が発生しにくいことからデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル等の炭素数10〜14のアルキル基が好ましく、ドデシル基が特に好ましい。また、ベンゼン環上におけるアルキル基の位置はスルホン酸部分に対してパラ位であることが好ましい。なお、ベンゼン環上の複数の位置にアルキル基が結合していてもよいが、本発明の効果がより顕著に奏されることからベンゼン環上の1箇所のみにアルキル基が結合していることが好ましい。
一方、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムにおいて、アルキルベンゼンスルホン酸アニオンのカウンターカチオンとなるアンモニウムとしては、例えば、NH ;ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジベンジルアミン、エチレンジアミン、モルホリン、エタノールアミン系化合物等のアミノ化合物に1個または2個以上のプロトンが付加したアンモニウム;第4級アンモニウムなどが挙げられる。ここで、エタノールアミン系化合物とは分子内にHO−CH−CH−Nの部分構造を有する化合物であり、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。上記のアンモニウムの中でも、本発明の効果がより顕著に奏されることから、アミノ化合物に1個または2個以上のプロトンが付加したアンモニウムが好ましい。当該アミノ化合物としては、液滴が発生しにくいことから、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、エタノールアミン系化合物が好ましく、金属ロールやベルト等の製膜装置からの剥離性に一層優れることから、ジエチレントリアミン、エタノールアミン系化合物が特に好ましい。エタノールアミン系化合物としては、トリエタノールアミンが好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムの使用量は、PVA系重合体100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜1質量部の範囲内であることがより好ましく、0.2〜0.5質量部の範囲内であることがさらに好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムの使用量がPVA系重合体100質量部に対して0.01質量部未満であると、PVA系重合体フィルムの製膜時に金属ロールやベルト等の製膜装置からの剥離強度が高くなる傾向がある。ここで、剥離強度が高いと、PVA系重合体フィルムに皺、厚み斑、光学的な斑などが発生しやすくなる。一方、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムの使用量がPVA系重合体フィルム100質量部に対して2質量部を超えると、ブリードアウトが生じやすくなる傾向がある。
本発明のPVA系重合体フィルムの製造方法はPVA系重合体を含む製膜原液を用いてキャスト製膜する工程を有する。ここで、当該製膜原液における可塑剤の含有量はPVA系重合体100質量部に対して6質量部以下である。また、当該製膜原液はPVA系重合体および必要に応じて配合される可塑剤の他にさらにアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムを含む。当該製造方法によって、可塑剤の含有量がPVA系重合体100質量部に対して6質量部以下であり、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムを含むPVA系重合体フィルムを容易に得ることができる。使用される製膜原液としては、例えば、PVA系重合体、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムおよび必要に応じて配合される可塑剤が液体媒体中に溶解したものや、PVA系重合体、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、必要に応じて配合される可塑剤および液体媒体を含みPVA系重合体が溶融したものを用いることができる。
製膜原液の調製に使用される上記液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。その中でも、環境に与える負荷や回収性の点から水が好ましい。
製膜原液は、PVA系重合体の液体媒体への溶解や溶融の促進、フィルム製造時の工程通過性の向上、得られるPVA系重合体フィルムの延伸性の向上などの点から、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては多価アルコール系可塑剤が好ましく用いられる。多価アルコール系可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、得られるPVA系重合体フィルムの延伸性の向上効果に優れる点から、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
製膜原液における可塑剤の含有量は、PVA系重合体100質量部に対して6質量部以下であり、4質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、0質量部である(すなわち、可塑剤を含まない)ことが特に好ましい。可塑剤の含有量が上記の範囲にある製膜原液を用いることにより、可塑剤の含有量がPVA系重合体100質量部に対して6質量部以下、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下、特に好ましくは0質量部であるPVA系重合体フィルムを容易に得ることができる。可塑剤の含有量が多いほど得られるPVA系重合体フィルムにおいて液滴が発生しやすいため好ましくない。なお製膜原液が可塑剤を含まない場合には得られるPVA系重合体フィルムが硬くなり取り扱い性が低下することがあるが、液滴が著しく少なくなるため、本発明においては特に好ましい。
製膜原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される溶剤などの揮発性成分の、原液中における含有割合)は、製膜条件などによっても異なるが、50〜95質量%の範囲内であることが好ましい。製膜原液の揮発分率が50質量%以上であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎず、製膜原液調製時の濾過や脱泡が円滑に行われ、異物や欠点の少ないPVA系重合体フィルムの製造が容易になる。一方、製膜原液の揮発分率が95質量%以下であることにより、製膜原液の濃度が低くなり過ぎず、PVA系重合体フィルムの工業的な製造が容易になる。
キャスト製膜方法に特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、例えば、工業的に実施する場合には、T型スリットダイ、ホッパープレート、I−ダイ、リップコーターダイ等の公知の膜状吐出装置(膜状流延装置)を使用して、上記の製膜原液を最上流側に位置する回転する加熱したロール(あるいはベルト)の周面上に膜状に吐出または流延し、必要に応じて当該ロール(あるいはベルト)の周面上に吐出または流延された膜のロール(あるいはベルト)に接触していない面(非接触面)の全面に熱風(好ましくは50〜150℃、より好ましくは70〜120℃の範囲内の温度の熱風)を吹き付けるなどして、当該非接触面から揮発性成分を蒸発させて好ましくは膜の揮発分率が15〜30質量%の範囲内になるまで乾燥し、続いてその下流側に配置した回転軸が互いに平行な1個または複数個の乾燥ロールの周面上でさらに乾燥するか、または熱風炉式等の熱風乾燥装置の中を通過させてさらに乾燥した後、巻き取り装置により巻き取る方法を好ましく採用することができる。乾燥ロールによる乾燥と熱風乾燥装置による乾燥とは、適宜組み合わせて実施してもよい。また、使用される製膜装置は、必要に応じて、熱処理装置、調湿装置などを有していてもよい。
上記の製造方法によって長尺のPVA系重合体フィルムを連続して製造することができる。当該長尺のPVA系重合体フィルムの幅は特に制限されないが、近年、液晶テレビや液晶モニターが大画面化しているので、それらに有効に用い得るようにするために、PVA系重合体フィルムの幅は3m以上であることが好ましく、4m以上であることがより好ましく、5m以上であることがさらに好ましい。また、工業的な生産機で偏光フィルムを製造する場合に、PVA系重合体フィルムの幅があまりに広すぎると均一な一軸延伸が困難になることがあるので、PVA系重合体フィルムの幅は6m以下であることが好ましい。
本発明により得られるPVA系重合体フィルムの厚みは、実用性、PVA系重合体フィルムの製造のしやすさ、一軸延伸処理の容易さなどの点から、5〜80μmの範囲内であることが好ましく、10〜60μmの範囲内であることがより好ましく、20〜50μmの範囲内であることがさらに好ましい。特に本発明の製造方法によればPVA系重合体の製膜時に金属ロールやベルト等の製膜装置からの剥離性が優れることから、製膜装置からの剥離強度が高い場合に皺、厚み斑、光学的な斑などがより発生しやすくなる薄いフィルムにおいて、本発明の効果が特に顕著に奏される。但し、PVA系重合体フィルムの厚みが5μm未満であると、偏光フィルムを製造するための一軸延伸時に破断しやすくなる傾向がある。一方、PVA系重合体フィルムの厚みが80μmを超えると、偏光フィルムを製造するための一軸延伸時に延伸斑が発生しやすくなる傾向がある。
本発明により得られるPVA系重合体フィルムは、高い延伸倍率で一軸延伸しても延伸フィルムにおいて微細なクラックやボイドが発生しないかまたはそれらの発生が極めて少ないので、偏光フィルムをはじめとする光学フィルムの原料として好適に用いることができる。
本発明により得られるPVA系重合体フィルムを原料に用いて偏光フィルムを製造する際の製法は特に制限されず、従来から知られている方法を採用することができ、例えば、本発明により得られるPVA系重合体フィルムに対して、染色処理、一軸延伸処理、および必要に応じてさらに固定処理、乾燥処理、熱処理などを施すことにより偏光フィルムを製造することができる。その場合に、染色処理、一軸延伸処理、固定処理などの操作の順序は特に制限されない。また、必要に応じて、前記した処理の1つまたは2つ以上を2回またはそれ以上行うこともできる。
上記の染色処理は、一軸延伸処理の前、一軸延伸処理と同時、一軸延伸処理の後のいずれの段階で行ってもよい。染色処理に用いられる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107等の二色性染料などが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
染色処理は、一般に、染料を含有する溶液中にPVA系重合体フィルムを浸漬させて行うが、それに限定されるものではなく、例えば、PVA系重合体フィルム上に染料を塗工する方法、PVA系重合体フィルム用原料中に染料を予め添加しておき、染色されたPVA系重合体フィルムを製膜によって直接製造する方法などを採用することもできる。染色処理時の処理条件や具体的な処理方法などは特に制限されない。
上記の一軸延伸処理は、湿式延伸法または乾熱延伸法のいずれで行ってもよい。さらに、一軸延伸処理は、ホウ酸を含む温水中で行ってもよいし、前記した染料を含有する溶液中や後述する固定処理浴中で行ってもよいし、吸水後のPVA系重合体フィルムを用いて空気中で行ってもよいし、その他の方法で行ってもよい。一軸延伸処理の際の延伸温度は特に限定されないが、PVA系重合体フィルムを温水中で延伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃、より好ましくは40〜70℃、さらに好ましくは45〜65℃の範囲内の温度が好ましく採用され、乾熱延伸する場合は50〜180℃の範囲内の温度が好ましく採用される。また、一軸延伸処理の延伸倍率(多段で一軸延伸を行う場合は合計の延伸倍率)は、偏光性能の点から延伸前の長さに基づいて4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、5.5倍以上であることがさらに好ましい。延伸倍率の上限は特にないが、均一な延伸を行うためには8倍以下であることが好ましい。PVA系重合体フィルムが長尺のフィルムである場合には延伸ロールを用いるなどして長さ方向(MD)に連続的に一軸延伸することができ、生産性の観点から好ましい。
一軸延伸後のフィルム(偏光フィルム)の厚みは、3〜75μm、特に5〜50μmであることが、偏光性能、取り扱い性、耐久性などの点から好ましい。
偏光フィルムの製造に当たっては、フィルムへの染料の吸着を強固にするために、固定処理を行うことが多い。固定処理は、ホウ酸および/またはホウ素化合物を添加した固定処理浴中にフィルム(例えば、一軸延伸処理されたフィルム)を浸漬する方法が一般に広く採用されている。その際に、必要に応じて固定処理浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
一軸延伸処理または一軸延伸処理と固定処理を行ったフィルムに対して、さらに乾燥処理および/または熱処理を施してもよい。乾燥処理および/または熱処理の温度は30〜150℃、特に50〜140℃の範囲内の温度であることが好ましい。乾燥処理および/または熱処理の温度が低すぎると、得られる偏光フィルムの寸法安定性が低下する傾向があり、一方、高すぎると染料の分解などに伴う偏光性能の低下が発生する傾向がある。
以上のようにして得られる偏光フィルムの両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせることにより、偏光板を製造することができる。その場合の保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどを使用することができる。また、保護膜を貼り合わせるための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などが一般に使用されており、そのうちでもPVA系接着剤が好ましく用いられる。
以上のようにして得られた偏光板は、アクリル系などの粘着剤を被覆した後、ガラス基板に貼り合わせて液晶ディスプレイ装置の部品として使用することができる。偏光板をガラス基板に貼り合わせる際に、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどを同時に貼り合わせてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
《実施例1》
(1)PVA(けん化度99.9モル%、重合度2400)100質量部、p−ドデシルベンゼンスルホン酸のジエチレントリアミン塩(p−ドデシルベンゼンスルホン酸部分とジエチレントリアミン部分のモル比は1:1)0.2質量部および水900質量部を100℃で撹拌し、これらの成分のみからなる製膜原液を得た。その製膜原液を80℃に冷却後、乾燥ロール(ロール表面はクロムメッキ鏡面仕上げ、温度60℃)上に幅15cmになるように流延し、乾燥ロール上で水分率が10質量%になるまで乾燥して厚み40μmのPVAフィルムとした。
(2)そして、PVAフィルムの端部をクリップで掴み、バネばかりに接続した。次いで乾燥ロールを回転させながら、バネばかりを乾燥ロール表面に対して垂直になるように引っ張り、幅15cm当たりのフィルムの乾燥ロールからの剥離強度を測定したところ、2.8g/15cm幅であり、非常に剥離しやすかった。
(3)得られたPVAフィルムの膜面を微分干渉顕微鏡で観察したところ、液滴は認められなかった。
(4)上記(2)で得られたPVAフィルムを30℃の水に1分間浸漬して予備膨潤させた後、ヨウ素/ヨウ化カリウムの質量比が1/100で、ヨウ素濃度が30〜50g/リットルの範囲にある温度30℃のヨウ素/ヨウ化カリウム染色浴中に所定の時間浸漬して染色した。この染色工程では、一軸延伸後に得られる偏光フィルムの単体透過率が43.5%±0.2%の範囲になるように、染色浴におけるヨウ素濃度を前記30〜50g/リットルの範囲内で選択すると共に染色時間を選択した。次いで、PVAフィルムを染色浴から取り出して、50℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度3質量%)に浸漬して延伸前の長さに基づいて5.5倍に一軸延伸した後、35℃のヨウ化カリウム/ホウ酸水溶液(ヨウ化カリウム含量40g/リットル、ホウ酸含量40g/リットル)中に4分間浸漬して固定処理を行い、さらに定長下に50℃で熱風乾燥して偏光フィルムを製造した。
(5)上記(4)で得られた偏光フィルムのヘイズを株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計「U−4100」を用いて測定したところ、ヘイズは0.05%であった。
《実施例2》
(1)PVA(けん化度99.9モル%、重合度2400)100質量部、p−ドデシルベンゼンスルホン酸のトリエタノールアミン塩0.2質量部および水900質量部を100℃で撹拌し、これらの成分のみからなる製膜原液を得た。その製膜原液を80℃に冷却後、乾燥ロール(ロール表面はクロムメッキ鏡面仕上げ、温度60℃)上に幅15cmになるように流延し、乾燥ロール上で水分率が10質量%になるまで乾燥して厚み40μmのPVAフィルムとした。
(2)そして、PVAフィルムの端部をクリップで掴み、バネばかりに接続した。次いで乾燥ロールを回転させながら、バネばかりを乾燥ロール表面に対して垂直になるように引っ張り、幅15cm当たりのフィルムの乾燥ロールからの剥離強度を測定したところ、2.3g/15cm幅であり、非常に剥離しやすかった。
(3)得られたPVAフィルムの膜面を微分干渉顕微鏡で観察したところ、液滴は認められなかった。
(4)上記(2)で得られたPVAフィルムを30℃の水に1分間浸漬して予備膨潤させた後、ヨウ素/ヨウ化カリウムの質量比が1/100で、ヨウ素濃度が30〜50g/リットルの範囲にある温度30℃のヨウ素/ヨウ化カリウム染色浴中に所定の時間浸漬して染色した。この染色工程では、一軸延伸後に得られる偏光フィルムの単体透過率が43.5%±0.2%の範囲になるように、染色浴におけるヨウ素濃度を前記30〜50g/リットルの範囲内で選択すると共に染色時間を選択した。次いで、PVAフィルムを染色浴から取り出して、50℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度3質量%)に浸漬して延伸前の長さに基づいて5.5倍に一軸延伸した後、35℃のヨウ化カリウム/ホウ酸水溶液(ヨウ化カリウム含量40g/リットル、ホウ酸含量40g/リットル)中に4分間浸漬して固定処理を行い、さらに定長下に50℃で熱風乾燥して偏光フィルムを製造した。
(5)上記(4)で得られた偏光フィルムのヘイズを株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計「U−4100」を用いて測定したところ、ヘイズは0.07%であった。
《比較例1》
(1)PVA(けん化度99.9モル%、重合度2400)100質量部、p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部および水900質量部を100℃で撹拌し、これらの成分のみからなる製膜原液を得た。その製膜原液を80℃に冷却後、乾燥ロール(ロール表面はクロムメッキ鏡面仕上げ、温度60℃)上に幅15cmになるように流延し、乾燥ロール上で水分率が10質量%になるまで乾燥して厚み40μmのPVAフィルムとした。
(2)そして、PVAフィルムの端部をクリップで掴み、バネばかりに接続した。次いで乾燥ロールを回転させながら、バネばかりを乾燥ロール表面に対して垂直になるように引っ張り、幅15cm当たりのフィルムの乾燥ロールからの剥離強度を測定したところ、16.2g/15cm幅であり、PVAフィルムが乾燥ロールに密着して非常に剥離しにくかった。
(3)得られたPVAフィルムの膜面を微分干渉顕微鏡で観察したところ、大量の液滴が観察された。
(4)上記(2)で得られたPVAフィルムを30℃の水に1分間浸漬して予備膨潤させた後、ヨウ素/ヨウ化カリウムの質量比が1/100で、ヨウ素濃度が30〜50g/リットルの範囲にある温度30℃のヨウ素/ヨウ化カリウム染色浴中に所定の時間浸漬して染色した。この染色工程では、一軸延伸後に得られる偏光フィルムの単体透過率が43.5%±0.2%の範囲になるように、染色浴におけるヨウ素濃度を前記30〜50g/リットルの範囲内で選択すると共に染色時間を選択した。次いで、PVAフィルムを染色浴から取り出して、50℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度3質量%)に浸漬して延伸前の長さに基づいて5.5倍に一軸延伸した後、35℃のヨウ化カリウム/ホウ酸水溶液(ヨウ化カリウム含量40g/リットル、ホウ酸含量40g/リットル)中に4分間浸漬して固定処理を行い、さらに定長下に50℃で熱風乾燥して偏光フィルムを製造した。
(5)上記(4)で得られた偏光フィルムのヘイズを株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計「U−4100」を用いて測定したところ、ヘイズは0.21%であった。
《比較例2》
(1)PVA(けん化度99.9モル%、重合度2400)100質量部および水900質量部を100℃で撹拌し、これらの成分のみからなる製膜原液を得た。その製膜原液を80℃に冷却後、乾燥ロール(ロール表面はクロムメッキ鏡面仕上げ、温度60℃)上に幅15cmになるように流延し、乾燥ロール上でPVAフィルムの水分率が10質量%になるまで乾燥した。
(2)そして、PVAフィルムの端部をクリップで掴み、バネばかりに接続した。次いで乾燥ロールを回転させながら、バネばかりを乾燥ロール表面に対して垂直になるように引っ張り、幅15cm当たりのフィルムの乾燥ロールからの剥離強度を測定したところ、PVAフィルムが乾燥ロールに密着しており剥離せず、剥離強度の測定ができなかった。
本発明によれば、PVA系重合体フィルムの製膜時に金属ロールやベルト等の製膜装置からの剥離性が優れるとともに、得られるPVA系重合体フィルム中の液滴の発生を抑制することができて当該PVA系重合体フィルムを高い延伸倍率で一軸延伸しても、延伸フィルムにおいて、光の散乱や、それに伴うフィルムの白化の原因となる微細なクラックやボイドが発生しないかまたはそれらの発生が極めて少ない。そのため、本発明により得られるPVA系重合体フィルムは、ヘイズの小さい高品質の光学用フィルムの原料として好適に用いることができ、当該PVA系重合体フィルムを用いることにより、例えば、鮮明で高品質の画像を発現できる偏光フィルムひいては偏光板を高い歩留り(製品収率)で円滑に製造することが可能となる。

Claims (10)

  1. ポリビニルアルコール系重合体を含む製膜原液を用いてキャスト製膜する工程を有するポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法であって、当該製膜原液における可塑剤の含有量がポリビニルアルコール系重合体100質量部に対して6質量部以下であり、当該製膜原液がアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムをさらに含む製造方法。
  2. 前記可塑剤が多価アルコール系可塑剤である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムが有するベンゼン環上のアルキル基が炭素数6〜30のアルキル基である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムにおけるアンモニウムが、ジエチレントリアミンに1個または2個以上のプロトンが付加したアンモニウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムにおけるアンモニウムが、エタノールアミン系化合物にプロトンが付加したアンモニウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記エタノールアミン系化合物がトリエタノールアミンである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記ポリビニルアルコール系重合体の重合度が2000〜4500である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記ポリビニルアルコール系重合体のけん化度が99モル%以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 可塑剤の含有量がポリビニルアルコール系重合体100質量部に対して6質量部以下のポリビニルアルコール系重合体フィルムであって、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムを含む、ポリビニルアルコール系重合体フィルム。
  10. 前記可塑剤が多価アルコール系可塑剤である、請求項9に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルム。
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