JP2017015415A - ポリビニルアルコールフィルムの光学斑の評価方法 - Google Patents

ポリビニルアルコールフィルムの光学斑の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリビニルアルコールフィルムに内在している光学斑を十分に評価することのできるポリビニルアルコールフィルムの光学斑の評価方法および当該評価方法を利用した偏光フィルム等の光学フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコールフィルムの光学斑を評価するための方法であって、水で膨潤させた後のポリビニルアルコールフィルムの光学斑を評価する方法、および、当該方法によってポリビニルアルコールフィルムの光学斑を評価する工程と、当該光学斑が評価されたポリビニルアルコールフィルムを用いて光学フィルムを製造する工程とを有する、光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコールフィルムの光学斑を評価するための方法および当該方法を利用した偏光フィルム等の光学フィルムの製造方法に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。多くの偏光板は、偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜が貼り合わされた構造を有しており、偏光板を構成する偏光フィルムとしてはポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸して配向させた延伸フィルムにヨウ素系色素(I やI 等)や二色性有機染料といった二色性色素が吸着しているものが主流となっている。このような偏光フィルムは、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを一軸延伸したり、PVAフィルムの一軸延伸と同時に二色性色素を吸着させたり、PVAフィルムを一軸延伸した後に二色性色素を吸着させたりするなどして製造される。
LCDは、電卓および腕時計などの小型機器、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの広範囲において用いられるようになっている。近年、特に消費電力の低減がより強く求められてきていることから、LCDにおいて、バックライトの強度が低い場合であっても高い画面輝度を維持できることが重要となってきた。それを達成するための手段としては、偏光フィルムの厚みをより薄くしたり染色の程度を弱めたりするなどして偏光フィルムひいては偏光板における光透過率を向上させることが考えられるが、光透過率が高い偏光板は、光透過率の低い偏光板に比べて色斑が目立ちやすい問題があり、また色斑の程度自体についても従来よりさらに低減することが求められている。
ところで、偏光板ないし偏光フィルムの色斑を検査する方法として、当該検査対象となる検査偏光板ないし検査偏光フィルムを2枚の基準偏光板の間に配置し、この際に検査偏光板ないし検査偏光フィルムの吸収軸と2枚の基準偏光板の吸収軸とのなす角度を所定のものとしたり、また、吸収軸が平行になるように配置された2枚の基準偏光板の間に配置した検査偏光板ないし検査偏光フィルムを回転させたりする方法が知られている(例えば特許文献1〜3などを参照)。
特開2011−149741号公報 特表2010−534351号公報 特開2012−233886号公報
上記した方法はいずれも偏光板ないし偏光フィルムに対してその色斑を評価するものであるが、このような偏光板ないし偏光フィルムを製造した後に色斑を評価する方法では、たとえ、これらを製造するための原反フィルムとして用いられるPVAフィルムに色斑の原因となる光学斑が内在していたとしても、偏光板ないし偏光フィルムにするまでは色斑の発生を確認することができず、偏光板ないし偏光フィルムの製造におけるコストや時間が無駄になって効率的でない。一方、PVAフィルムに内在する光学斑はその評価が比較的難しく、特に近年その低減が要求されるような色斑の原因となる光学斑を評価することはより一層困難である。
そこで本発明は、PVAフィルムに内在している光学斑を十分に評価することのできるPVAフィルムの光学斑の評価方法を提供することを目的とする。また、本発明はこのような評価方法を利用した偏光フィルム等の光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、PVAフィルムを水に浸漬して膨潤させた後に位相差斑や配向軸角度斑等の光学斑を評価すると、膨潤させていないPVAフィルムの場合と比較して、PVAフィルムに内在している光学斑を十分に評価することができること、および、当該評価方法を利用して内在している光学斑を予め評価し、光学斑がないかその程度の小さいPVAフィルムを選択した上で、当該PVAフィルムを原反フィルムとして用いて偏光フィルムひいては偏光板を製造すれば、色斑がないかその程度の小さい偏光フィルムや偏光板を効率的に得ることができることを見出し、これらの知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]PVAフィルムの光学斑を評価するための方法であって、水で膨潤させた後のPVAフィルムの光学斑を評価する方法;
[2]水で膨潤させた後のPVAフィルムの位相差斑および/または配向軸角度斑を評価することにより光学斑を評価する、上記[1]の方法;
[3]水で膨潤させた後のPVAフィルムが、PVAフィルムを水に浸漬した後に水から取り出したものである、上記[1]または[2]の方法;
[4]PVAフィルムを水に浸漬する際の水の温度が20〜50℃である、上記[3]の方法;
[5]PVAフィルムを水に浸漬する際の浸漬時間が10〜300秒である、上記[3]または[4]の方法;
[6]PVAフィルムが光学フィルム製造用原反フィルムである、上記[1]〜[5]のいずれか1つの方法;
[7]光学フィルムが偏光フィルムである、上記[6]の方法;
[8]上記[6]または[7]の方法によってPVAフィルムの光学斑を評価する工程と、当該光学斑が評価されたPVAフィルムを用いて光学フィルムを製造する工程とを有する、光学フィルムの製造方法;
に関する。
本発明によれば、PVAフィルムに内在している光学斑を十分に評価することのできるPVAフィルムの光学斑の評価方法が提供される。また本発明によれば、偏光フィルム等の光学フィルムを効率的に得ることのできる上記評価方法を利用した光学フィルムの製造方法が提供される。
以下に本発明について詳細に説明する。
PVAフィルムの光学斑を評価するための本発明の方法では、水で膨潤させた後のPVAフィルムの光学斑を評価する。当該水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいが、PVAフィルムに内在している光学斑をより効果的に評価することができることから、蒸留水、純水、脱塩水等の純度の高い水であることが好ましい。
本発明において光学斑を評価する水で膨潤させた後のPVAフィルムは、PVAフィルムに対して水を吹き付けるなどすることにより得ることもできるが、PVAフィルムに内在している光学斑をより効果的に評価することができることから、PVAフィルムを水に浸漬した後に水から取り出したものであることが好ましい。この場合、評価対象から切り出すなどして採取したPVAフィルムのサンプルを水に浸漬すればよい。
PVAフィルムを水に浸漬している間においてPVAフィルムの長さ方向に荷重をかけるなどして延伸してもよいが、PVAフィルムに内在している光学斑をより効果的に評価することができ操作も簡単であることから、水に浸漬している間において延伸しないことが好ましい。
PVAフィルムを水に浸漬する際の水の温度は、PVAフィルムを十分に膨潤させることができることから、20℃以上であることが好ましく、25℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることが更に好ましい。また、PVAフィルムが溶解したり溶着したりするのを防止するなどの観点から、当該温度は、50℃以下であることが好ましく、45℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
PVAフィルムを水に浸漬する際の浸漬時間は、PVAフィルムを十分に膨潤させることができることから、10秒以上であることが好ましく、20秒以上であることがより好ましく、30秒以上であることが更に好ましい。また、目的とする偏光フィルム等の光学フィルムにおける色斑により一層対応した光学斑を評価することができることなどから、当該浸漬時間は、300秒以下であることが好ましく、180秒以下であることがより好ましく、120秒以下であることが更に好ましい。
上記のようにしてPVAフィルムを水に浸漬した後、膨潤したPVAフィルムを水から取り出して、表面に付着した水を拭き取らずにその光学斑を評価すれば、PVAフィルムに内在している光学斑をより効果的に評価することができ好ましい。
本発明において評価するPVAフィルムの光学斑の種類に特に制限はなく、各種の光学的な斑を評価すればよいが、目的とする偏光フィルム等の光学フィルムにおける色斑により一層対応するなどの理由から、位相差斑および/または配向軸角度斑であることが好ましい。
水で膨潤させた後のPVAフィルムの位相差斑は、例えば、評価対象となるPVAフィルムから採取したサンプルについて、フィルム面内における位相差値を測定し、それを解析ソフトなどによって面内における分布として可視化するなどすることにより評価することができる。フィルム面内における位相差値は、例えば、複屈折測定装置やセルギャップ測定装置などを用いてフィルム面に対して垂直な方向(フィルムの厚み方向)に進行する光(例えば、波長543nmの光)に基づき測定することができる。当該位相差斑は、具体的には、実施例において後述する方法により評価することができる。
また水で膨潤させた後のPVAフィルムの配向軸角度斑は、例えば、評価対象となるPVAフィルムから採取したサンプルについて、フィルム面内における遅相軸の角度を配向軸角度として測定し、それを解析ソフトなどによって面内における分布として可視化するなどすることにより評価することができる。ここで、当該遅相軸の角度は、通常、測定位置におけるPVA分子の配向の状態などによって定まる。当該配向軸角度もフィルム面内における位相差値と同様に、例えば、複屈折測定装置やセルギャップ測定装置などを用いてフィルム面に対して垂直な方向(フィルムの厚み方向)に進行する光(例えば、波長543nmの光)に基づき測定することができる。当該配向軸角度斑は、具体的には、実施例において後述する方法により評価することができる。
上記PVAフィルムを構成するPVAとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステルをけん化することにより得られるものを使用することができる。上記のビニルエステルの中でも、PVAの製造の容易性、入手の容易性、コスト等の点から、分子中にビニルオキシカルボニル基(HC=CH−O−CO−)を有する化合物が好ましく、酢酸ビニルがより好ましい。
上記のポリビニルエステルは、単量体として1種または2種以上のビニルエステルのみを用いて得られたものが好ましく、単量体として1種のビニルエステルのみを用いて得られたものがより好ましいが、本発明の効果を大きく損なわない範囲内であれば、1種または2種以上のビニルエステルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記のビニルエステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸またはその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;不飽和スルホン酸またはその塩などを挙げることができる。上記のポリビニルエステルは、前記した他の単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。
上記のポリビニルエステルに占める上記他の単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルを構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることが更に好ましい。
上記のPVAとしてはグラフト共重合がされていないものを好ましく使用することができるが、本発明の効果を大きく損なわない範囲内であれば、PVAは1種または2種以上のグラフト共重合可能な単量体によって変性されたものであってもよい。当該グラフト共重合は、ポリビニルエステルおよびそれをけん化することにより得られるPVAのうちの少なくとも一方に対して行うことができる。上記グラフト共重合可能な単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体;不飽和スルホン酸またはその誘導体;炭素数2〜30のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリビニルエステルまたはPVAにおけるグラフト共重合可能な単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルまたはPVAを構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましい。
上記のPVAはその水酸基の一部が架橋されていてもよいし、架橋されていなくてもよい。また上記のPVAはその水酸基の一部がアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド化合物などと反応してアセタール構造を形成していてもよいし、これらの化合物と反応せずアセタール構造を形成していなくてもよい。
上記のPVAの重合度は特に制限されないが、1,000以上であることが好ましい。PVAの重合度が1,000以上であることにより、得られる偏光フィルムの偏光性能をより一層向上させることができる。PVAの重合度はあまりに高すぎるとPVAの製造コストの上昇や製膜時における工程通過性の不良につながる傾向があるので、PVAの重合度は1,000〜10,000の範囲内であることがより好ましく、1,500〜8,000の範囲内であることが更に好ましく、2,000〜5,000の範囲内であることが特に好ましい。なお本明細書でいうPVAの重合度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定した平均重合度を意味する。
PVAのけん化度は得られる偏光フィルムの耐湿熱性が良好になることから、95モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが更に好ましく、99.3モル%以上であることが特に好ましい。なお本明細書におけるPVAのけん化度とはPVAが有するけん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。けん化度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
PVAフィルムは上記したPVAと共に可塑剤を含んでいてもよい。PVAフィルムが可塑剤を含むことにより、PVAフィルムの取り扱い性や延伸性の向上等を図ることができる。可塑剤としては多価アルコールが好ましく用いられ、具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、PVAフィルムはこれらの可塑剤の1種または2種以上を含むことができる。これらのうちでもPVAフィルムの延伸性がより良好になることからグリセリンが好ましい。
PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、PVA100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましく、3〜17質量部であることがより好ましく、4〜14質量部であることが更に好ましい。PVAフィルムにおける可塑剤の含有量がPVA100質量部に対して2質量部以上であることによりPVAフィルムの延伸性が向上する。一方、PVAフィルムにおける可塑剤の含有量がPVA100質量部に対して20質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に可塑剤がブリードアウトしてPVAフィルムの取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
また、PVAフィルムを後述するPVAフィルムを製造するための製膜原液を用いて製造する場合には、製膜性が向上してフィルムの厚み斑の発生が抑制されると共に、製膜に金属ロールやベルトを使用した際、これらの金属ロールやベルトからのPVAフィルムの剥離が容易になることから、当該製膜原液中に界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤が配合された製膜原液からPVAフィルムを製造した場合には、当該PVAフィルム中には界面活性剤が含有され得る。PVAフィルムを製造するための製膜原液に配合される界面活性剤、ひいてはPVAフィルム中に含有される界面活性剤の種類は特に限定されないが、金属ロールやベルトからの剥離性の観点から、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型;オクチルサルフェート等の硫酸エステル型;ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などが好適である。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型;ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型;ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などが好適である。
これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
PVAフィルムを製造するための製膜原液中に界面活性剤を配合する場合、製膜原液中における界面活性剤の含有量、ひいてはPVAフィルム中における界面活性剤の含有量は製膜原液またはPVAフィルムに含まれるPVA100質量部に対して0.01〜0.5質量部の範囲内であることが好ましく、0.02〜0.3質量部の範囲内であることがより好ましい。界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.01質量部以上であることにより製膜性および剥離性を向上させることができる。一方、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.5質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に界面活性剤がブリードアウトしてブロッキングが生じて取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
PVAフィルムはPVAのみからなっていても、あるいはPVAと上記した可塑剤および/または界面活性剤のみからなっていてもよいが、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色防止剤、油剤など、上記したPVA、可塑剤および界面活性剤以外の他の成分を含有していてもよい。
PVAフィルムにおける、PVAの含有率は、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、85〜100質量%の範囲内であることが更に好ましい。
PVAフィルムの厚みは特に制限されないが、あまりに厚すぎると偏光フィルム等の光学フィルムを製造する際の乾燥が速やかに行われにくくなり、一方、あまりに薄すぎると光学フィルムを製造する際の一軸延伸時にフィルムの破断が生じやすくなることから、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であること更に好ましく、また、150μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更に好ましい。
PVAフィルムの形状に特に制限はないが、偏光フィルム等の光学フィルムを生産性良く連続的に製造することができることから、長尺のフィルムであることが好ましい。当該長尺のフィルムの長さは特に制限されないが、より均一なPVAフィルムを連続して円滑に製造することができると共に、それを用いて光学フィルムを製造する場合などにおいても連続して使用することができることから、5〜50,000mの範囲内であることが好ましく、100〜20,000mの範囲内であることがより好ましい。当該長尺のフィルムの幅は特に制限されず、例えば50cm以上とすることができるが、近年、液晶テレビやモニターが大画面化しているので、それらに有効に用い得るようにするために、1m以上であることが好ましく、2m以上であることがより好ましく、4m以上であることが更に好ましい。また、現実的な生産機で偏光フィルム等の光学フィルムを製造する場合に、フィルムの幅があまりに広すぎると均一な一軸延伸が困難になることがあるため、PVAフィルムの幅は8m以下であることが好ましい。なお、PVAフィルムの光学斑を評価するにあたって、上記のようなサイズのPVAフィルム全体を評価する必要はなく、当該PVAフィルムより光学斑を評価するためのサンプルを切り出すなどして採取し、そのサンプルを水で膨潤させて光学斑を評価し、その結果を当該PVAフィルム全体の光学斑とみなせばよい。
PVAフィルムの形態に特に制限はなく、単層の形態であっても、あるいは、例えば熱可塑性樹脂フィルム上にコート法などによって形成されたPVAフィルムのように積層体の形態であっても、どちらでもよいが、本発明の効果がより一層顕著に奏される点、積層(コート等)作業の煩雑さ・熱可塑性樹脂フィルムのコストなどの観点から単層の形態が好ましい。
PVAフィルムの製造方法は特に限定されず、製膜後のフィルムの厚みおよび幅がより均一になる製造方法を好ましく採用することができ、例えば、PVAフィルムを構成する上記したPVA、ならびに必要に応じて更に可塑剤、界面活性剤および他の成分のうちの1種または2種以上が液体媒体中に溶解した製膜原液や、PVA、ならびに必要に応じて更に可塑剤、界面活性剤、他の成分および液体媒体のうちの1種または2種以上を含み、PVAが溶融している製膜原液を用いて製造することができる。当該製膜原液が可塑剤、界面活性剤および他の成分のうちの少なくとも1種を含有する場合には、それらの成分が均一に混合されていることが好ましい。
製膜原液の調製に使用される上記液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。そのうちでも、環境に与える負荷が小さいことや回収性の点から水が好ましい。
製膜原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される液体媒体などの揮発性成分の製膜原液中における含有割合)は製膜方法、製膜条件等によっても異なるが、50〜95質量%の範囲内であることが好ましく、55〜90質量%の範囲内であることがより好ましく、60〜85質量%の範囲内であることが更に好ましい。製膜原液の揮発分率が50質量%以上であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎず、製膜原液調製時の濾過や脱泡が円滑に行われ、異物や欠点の少ないPVAフィルムの製造が容易になる。一方、製膜原液の揮発分率が95質量%以下であることにより、製膜原液の濃度が低くなり過ぎず、工業的なPVAフィルムの製造が容易になる。
上記した製膜原液を用いてPVAフィルムを製膜する際の製膜方法としては、例えば、キャスト製膜法、押出製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法などが挙げられ、キャスト製膜法、押出製膜法が好ましい。これらの製膜方法は1種のみを採用しても2種以上を組み合わせて採用してもよい。これらの製膜方法の中でも、厚みおよび幅が均一で物性の良好なPVAフィルムが得られることからキャスト製膜法、押出製膜法がより好ましい。PVAフィルムには必要に応じて乾燥や熱処理を行うことができる。
PVAフィルムの具体的な製造方法の例としては、例えば、T型スリットダイ、ホッパープレート、I−ダイ、リップコーターダイ等を用いて、上記の製膜原液を最上流側に位置する回転する加熱した第1ロール(あるいはベルト)の周面上に均一に吐出または流延し、この第1ロール(あるいはベルト)の周面上に吐出または流延された膜の一方の面から揮発性成分を蒸発させて乾燥し、続いてその下流側に配置した1個または複数個の回転する加熱したロールの周面上で更に乾燥するか、または熱風乾燥装置の中を通過させて更に乾燥した後、巻き取り装置により巻き取る方法を工業的に好ましく採用することができる。加熱したロールによる乾燥と熱風乾燥装置による乾燥とは、適宜組み合わせて実施してもよい。
本発明の方法によって光学斑が評価されるPVAフィルムの用途に特に制限はなく、例えば、薬剤包装用フィルム、液圧転写用ベースフィルム、刺しゅう用基材フィルム、人工大理石成形用離型フィルム、種子包装用フィルム、汚物収容袋用フィルムなどの各種水溶性フィルムの用途に用いることもできるが、当該PVAフィルムは、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを製造するための原反フィルムとして用いることが好ましく、特に偏光フィルムを製造するための原反フィルムとして用いることが好ましい。
光学斑を評価するための本発明の方法によれば、PVAフィルムに内在している光学斑を十分に評価することができるため、PVAフィルムの光学斑を予め評価し、光学斑がないかその程度の小さいPVAフィルムを選択した上で、当該PVAフィルムを原反フィルムとして用いれば、色斑がないかその程度の小さい光学フィルムを効率的に得ることができる。すなわち、本発明は、上記した方法によってPVAフィルムの光学斑を評価する工程と、当該光学斑が評価されたPVAフィルムを用いて光学フィルムを製造する工程とを有する、光学フィルムの製造方法を包含する。当該光学フィルムの製造方法において、光学斑を評価したPVAフィルムそのものを光学フィルムの製造に用いる必要はなく、PVAフィルムより光学斑を評価するためのサンプルを切り出すなどして採取し、そのサンプルを水で膨潤させて光学斑を評価し、その結果をサンプルを採取した残りのPVAフィルムの光学斑とみなした上で、当該残りのPVAフィルムを用いて光学フィルムを製造すればよい。なお、PVAフィルムから光学フィルムを製造する方法としては、例えば、当該PVAフィルムを延伸する方法などが挙げられる。
上記のPVAフィルムを原反フィルムとして用いて偏光フィルムを製造する際の具体的な方法は特に制限されず、従来から採用されているいずれの方法を採用してもよく、例えば、上記PVAフィルムに対して、膨潤処理、染色処理、延伸処理、および必要に応じて更に、架橋処理、固定処理、乾燥処理、熱処理などを施すことにより偏光フィルムを製造することができる。この場合、膨潤処理、染色処理、延伸処理、固定処理などの各処理の順序は特に制限されず、1つまたは2つ以上の処理を同時に行うこともできる。また、各処理の1つまたは2つ以上を2回またはそれ以上行うこともできる。
膨潤処理は、PVAフィルムを水中に浸漬することにより行うことができる。水中に浸漬する際の水の温度は、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、22〜38℃の範囲内であることがより好ましく、25〜35℃の範囲内であることが更に好ましい。また、水中に浸漬する時間としては、例えば、0.1〜5分間の範囲内であることが好ましく、0.5〜3分間の範囲内であることがより好ましい。なお、水中に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
染色処理は、ヨウ素系色素を用いて行うのがよく、染色の時期としては、延伸処理前、延伸処理時、延伸処理後のいずれの段階であってもよい。染色はPVAフィルムを染色浴としてヨウ素−ヨウ化カリウムを含有する溶液(特に水溶液)中に浸漬することにより行うのが一般的であり、本発明においてもこのような染色方法が好適に採用される。染色浴におけるヨウ素の濃度は0.01〜0.5質量%の範囲内であることが好ましく、ヨウ化カリウムの濃度は0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。また、染色浴の温度は20〜50℃、特に25〜40℃とすることが好ましい。
架橋処理は、PVAフィルムを架橋剤を含む水溶液中に浸漬することにより行うことができる。架橋処理を行うと、PVAフィルムに架橋が導入され、比較的高い温度かつ湿式で延伸処理を行う際にPVAが水へ溶出するのを効果的に防止することができる。このような観点などから、架橋処理は染色処理の後に行うのが好ましい。当該架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を使用することができる。架橋剤を含む水溶液における架橋剤の濃度は1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、2〜7質量%の範囲内であることがより好ましい。架橋剤を含む水溶液はヨウ化カリウム等の助剤を含有してもよい。架橋剤を含む水溶液の温度は、20〜50℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。
延伸処理は、湿式延伸法または乾式延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸を含む水溶液中で行うこともできるし、上記した染色浴中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は、吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で行うことができる。これらの中でも、湿式延伸法が好ましく、ホウ酸を含む水溶液中で一軸延伸するのがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5〜6.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲内であることがより好ましく、1.5〜4.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。また、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01〜10質量%の範囲内にすることが好ましい。
延伸処理における延伸温度は、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、40〜80℃の範囲内であることがより好ましく、50〜70℃の範囲内であることが特に好ましい。
また、延伸処理における延伸倍率(多段で延伸を行う場合には個々の延伸倍率を掛け合わせた総延伸倍率)は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から5倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることが特に好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、延伸倍率は8倍以下であることが好ましい。
偏光フィルムの製造に当たっては、PVAフィルムへの染料(ヨウ素等)の吸着を強固にするために固定処理を行うことが好ましい。固定処理に使用する固定処理浴としては、ホウ酸、硼砂等のホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴におけるホウ素化合物の濃度は、一般に0.5〜15質量%、特に1〜10質量%程度であることが好ましい。固定処理浴の温度は、15〜60℃、特に20〜40℃であることが好ましい。
乾燥処理は、30〜150℃で行うことが好ましく、特に50〜130℃で行うことがより好ましい。上記範囲内の温度で乾燥することで寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。
以上のようにして得られた偏光フィルムの両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にすることができる。その場合の保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、保護膜を貼り合わせるための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などが挙げられ、そのうちでもPVA系接着剤が好ましい。
以上のようにして得られた偏光板は、アクリル系などの粘着剤を被覆した後、ガラス基板に貼り合わせてLCDの部品として使用することができる。偏光板をガラス基板に貼り合わせる際に、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどを貼り合わせてもよい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
[比較例1]
・PVAフィルムの光学斑の評価
本発明の方法による効果を実証するため、偏光板にした際の色斑の程度が分かっているPVAフィルムを用いて次の試験を行った。すなわち、偏光板を製造した際に色斑の程度の大きいPVAフィルム(原反1)および色斑の程度の小さいPVAフィルム(原反2)のそれぞれについて、長さ方向(MD)の任意の位置から、長さ方向(MD)に15cm×幅方向(TD)に20cmのサンプルを、PVAフィルムの幅方向に沿って3枚採取した。そして、各サンプルのフィルム面内における位相差および配向軸角度を、フォトニックラティス社製「WPA−100−L(二次元位相差測定装置)」を用いてフィルム面に対して垂直な方向に進行する波長543nmの光に基づき測定した。次に、解析ソフト「WPA−View」を用いて位相差および配向軸角度の面内分布をカラーで表示させることにより、各サンプルのフィルム面内における位相差および配向軸角度の分布を求めた。なお、位相差のカラー表示範囲を「0〜フィルム面内の位相差の最大値(nm)」、配向軸角度のカラー表示周期を「30°」とした。原反1および2のそれぞれについて、以下の判定基準に基づき、官能評価によってPVAフィルムの光学斑の評価を行った。結果を表1に示した。
○:全てのサンプルにおいて顕著なスジ状の位相差斑ないし配向軸角度斑が視認されない。
×:1つ以上のサンプルにおいて顕著なスジ状の位相差斑ないし配向軸角度斑が視認された。
なお原反1および原反2としては、いずれも、ポリ酢酸ビニルの単独重合体をけん化して得られた重合度が2,400でけん化度が99.9モル%のPVAを含むPVAフィルムであって、グリセリンの含有率が12質量%であり、厚みが60μmであり、幅が65cmであり、長さが1,000mである、長尺で単層のPVAフィルムを用いた。
[実施例1]
・PVAフィルムの光学斑の評価
比較例1で採取したサンプル全てについて、サンプル同士が密着しないようにしながら、30℃の蒸留水に延伸せずに30秒間浸漬して膨潤させた。その後、サンプルを水から引き上げ、表面に付着した水を拭き取ることなく、フォトニックラティス社製「WPA−100−L」のサンプルステージ上に広げて、各サンプルにおけるフィルム面内における位相差および配向軸角度の分布を比較例1と同様にして求め、原反1および2のそれぞれについて、比較例1と同様の判定基準に基づき、PVAフィルムの光学斑の評価を行った。結果を表1に示した。
・偏光板の製造
上記でサンプルを採取したPVAフィルム(原反1および2)のそれぞれについて、膨潤処理、染色処理、架橋処理、延伸処理、固定処理および乾燥処理を施して偏光フィルムとした上で偏光板を製造した。
すなわち、膨潤処理として、PVAフィルムを蒸留水(温度:30℃)中に1分間浸漬し、その間に延伸倍率2倍で長さ方向に一軸延伸した。また染色処理として、ヨウ素系色素を含有する水溶液(ヨウ素の濃度:0.02質量%、ヨウ化カリウムの濃度:0.4質量%、温度:30℃)中に1分間浸漬し、その間に延伸倍率1.2倍で長さ方向に一軸延伸した。更に架橋処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.6質量%、温度:30℃)中に2分間浸漬し、その間に延伸倍率1.1倍で長さ方向に一軸延伸した。続いて、延伸処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.8質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、温度:57℃)中で延伸倍率2.4倍で長さ方向に一軸延伸した(全延伸倍率は6.3倍)。更に固定処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:1.5質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、温度:22℃)中に10秒間浸漬した。そして乾燥処理として、延伸されたPVAフィルムを60℃で1分間乾燥して、単体透過率が44.5%と高い偏光フィルムを得た。
次に、上記で得られた偏光フィルムの両面にPVA水溶液を接着剤としてTACフィルム(厚さ80μm)を貼り合わせ、70℃で3分間乾燥させ、偏光板を得た。
・偏光板の色斑の評価
上記のようにして各PVAフィルム(原反1および2)から得られた偏光板のそれぞれについて、その色斑を評価した。
すなわち、暗室内で観察用偏光板(透過率が43%程度の偏光フィルムを用いたもの)を面光源(バックライト)上に載置し、その上にこの観察用偏光板に対してクロスニコルとなるように上記の偏光板を載置した。次に、バックライトから観察用偏光板を介して偏光板に光を照射(光度15,000cd)し、偏光板真上より1mの位置から偏光板を目視によって観察し、以下の判定基準に基づく官能評価によって偏光板の色斑の評価を行った。結果を表1に示した。
○:近年問題となるような色斑が視認されない。
×:近年問題となるような色斑が視認された。
上記の結果から明らかなように、実施例1の場合には、PVAフィルム(原反1および2)における光学斑(位相差斑および配向軸角度斑)の程度と偏光板の色斑の程度とが対応していて、PVAフィルムに内在している光学斑を十分に評価できていることが分かる。一方、比較例1の場合には、原反1を用いた場合において、偏光板にした際に色斑の程度が大きいにもかかわらず、位相差斑および配向軸角度斑の程度が小さくて、PVAフィルムに内在している、近年の光透過率の高い偏光板などにおいて特に問題となるような色斑の原因となる光学斑を十分に評価できていないことが分かる。

Claims (8)

  1. ポリビニルアルコールフィルムの光学斑を評価するための方法であって、水で膨潤させた後のポリビニルアルコールフィルムの光学斑を評価する方法。
  2. 水で膨潤させた後のポリビニルアルコールフィルムの位相差斑および/または配向軸角度斑を評価することにより光学斑を評価する、請求項1に記載の方法。
  3. 水で膨潤させた後のポリビニルアルコールフィルムが、ポリビニルアルコールフィルムを水に浸漬した後に水から取り出したものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. ポリビニルアルコールフィルムを水に浸漬する際の水の温度が20〜50℃である、請求項3に記載の方法。
  5. ポリビニルアルコールフィルムを水に浸漬する際の浸漬時間が10〜300秒である、請求項3または4に記載の方法。
  6. ポリビニルアルコールフィルムが光学フィルム製造用原反フィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 光学フィルムが偏光フィルムである、請求項6に記載の方法。
  8. 請求項6または7に記載の方法によってポリビニルアルコールフィルムの光学斑を評価する工程と、当該光学斑が評価されたポリビニルアルコールフィルムを用いて光学フィルムを製造する工程とを有する、光学フィルムの製造方法。
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