JP2007154000A - 光学用ポリビニルアルコール系フィルム及びそれを用いた偏光膜、偏光板 - Google Patents

光学用ポリビニルアルコール系フィルム及びそれを用いた偏光膜、偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】 可塑剤のブリードアウトの無いフィルムであり、かつ、フィルムを膨潤延伸した場合において光学歪みが低減された延伸フィルムとなるための光学用ポリビニルアルコール系フィルムを提供すること。
【解決手段】 可塑剤を含有するポリビニルアルコール系樹脂組成物からなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)に対して、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)を15〜40重量%含有してなる光学用ポリビニルアルコール系フィルム。

Description

本発明は、液晶表示装置等に使用する光学用のポリビニルアルコール系フィルムに関し、更に詳しくは、可塑効果はもちろんのこと、可塑剤のブリードアウトの無いフィルムであり、かつ、フィルムを膨潤延伸した場合において光学歪みが低減された延伸フィルムとなるためのポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
従来、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を水などの溶媒に溶解して原液を調製した後、溶液流延法(キャスティング法)により製膜して、金属加熱ロール等を使用して乾燥することにより製造される。このようにして得られたポリビニルアルコール系フィルムは、透明性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに偏光膜が挙げられる。かかる偏光膜は液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられており、近年では高品位で高信頼性の要求される機器へとその使用が拡大されている。
このような中、液晶テレビなどの画面の高輝度化、高精細化に伴い、従来品より一段と光学特性が均一な偏光膜が要求されている。
かかる要求に対して、様々な手段が講じられている。例えば、ポリビニルアルコールフィルムの製造方法を改善して偏光膜を得たものとして、添加剤にノニオン系界面活性剤を用い原料の濃度を規定して特定の装置を用いて原反フィルムの光学ムラを改善する製造する方法(例えば、特許文献1参照)や、偏光膜の原反フィルムを製造する際に、キャスティング基材から剥離する際の含水率を低くすることで、原反フィルムの複屈折率ムラを低減して偏光膜の偏光性能ムラを小さくする方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
更に、偏光膜の配向バラツキを小さくし、ムラを低減した偏光膜を得る方法として、波長1000nmで測定した偏光膜の面内位相差が400nm以上1200nm以下であり、面内位相差のバラツキが±50nmである偏光膜が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、偏光特性に優れた偏光膜を得る方法として、ポリビニルアルコールにグリセリンやポリエチレングリコールなどの可塑剤を15重量%以上配合したもの(例えば、特許文献4参照。)や、ポリグリセリンを1〜100重量%配合したもの(例えば、特許文献5参照。)が提案されている。
特許第3516397号 特許第3342516号 特開2005−31577号 特開平6−289225号 特開平10−3007号
しかしながら、上記特許文献1及び2の開示技術では、偏光膜で発生する光学的な歪みは原反フィルムを延伸する際の延伸操作の影響が大きく、いくら原反フィルムの均一性を向上させても、原反フィルムを延伸することにより得られる偏光膜の光学歪みについてまでは考慮されておらず、まだまだ満足のいくものではなかった。
更に、上記特許文献3の開示技術では、実質的には原反フィルムの両端を保持しながら長手方向に進行させつつ張力を付与して延伸することにより偏光膜を製造するため、特殊な装置が必要となり、実用的ではなかった。
また、上記特許文献4及び5の開示技術では、成形性を向上させて偏光特性を得る目的で融点の低いグリセリンやポリグリセリンなどの可塑剤を多く配合しているが、可塑剤が多量に配合されると成形後のフィルムロール状態で可塑剤のブリードアウトが起きてしまい、現実的には多量にグリセリンなどの可塑剤を配合して良好なフィルムを得ることは困難であった。
そこで、本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂に対して、分子量が100〜200で、かつ、比較的融点の高い可塑剤を採用することにより、可塑剤として従来一般的に配合される配合量よりも多く配合しても、可塑効果はもちろんのこと、可塑剤のブリードアウトの無いフィルムであり、かつ、フィルムを膨潤延伸した場合において、該延伸操作の影響により発生する光学歪みが低減された延伸フィルムとなるためのポリビニルアルコール系フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、可塑剤を含有するポリビニルアルコール系樹脂組成物からなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)に対して、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)を15〜40重量%含有してなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
本発明では、更に、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)に対して、可塑剤(B)以外の可塑剤(B′)を25重量%以下含有してなることが保存安定性の点で好ましい。
更に、本発明では、製膜時の剥離性やフィルムのブロッキングの点で界面活性剤(C)を含有してなることが好ましい。
また、本発明では、25℃の温水中に膨潤させた後、4.0倍一軸延伸して得られる延伸フィルムの波長900nmで測定した位相差の局所的変化量が20nm以下であることが、偏光膜とした際に可視域の波長(380〜700nm)で、光学的な歪みが低減される点から好ましい。
ここで、波長900nm未満で位相差を測定すると、フィルム中の添加剤等の影響を受けるため、正確な評価ができなくなるなどの不都合が生じる。
また、水中での延伸倍率は3.5〜5.5倍程度で評価することが好ましく、3.5倍未満では、偏光膜とした時の有意差が見られず、5.5倍を超えると、フィルムの張力が極端に大きなり誤差を生じ易くなる。本発明では、これらを考慮し、4.0倍延伸した状態が、最も位相差の測定に適していると判断し、位相差測定時の延伸倍率を4.0倍と定義した。
本発明においては、前記光学用ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜、更には、かかる偏光膜の少なくとも片面に保護膜を設けてなる偏光板も提供するものである。
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、延伸操作における光学歪みが極めて少ないものであり、偏光性能に優れた偏光膜を得ることができるため、偏光サングラスや液晶表示装置などに用いられる偏光膜の原反フィルムや1/2波長板、1/4波長板に用いられる原反フィルム、液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの原反フィルムとして非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、可塑剤を含有するポリビニルアルコール系樹脂組成物からなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)に対して、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)を15〜40重量%含有してなるものである。
以下に、本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムの代表的な製造方法について説明する。
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜して得られるものであるが、その製造方法はとくに限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、該水溶液をドラム型ロール又はエンドレスベルト、好ましくはドラム型ロールに流延して製膜することにより製造することができる。
ポリビニルアルコール系フィルムの製造に用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して得られたものが使用されるが、本発明のポリビニルアルコール系フィルムにおいては、必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリルなどを含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテンなど)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩などの酢酸ビニルと共重合可能な成分と酢酸ビニルとを共重合させたものをケン化して得られる樹脂を用いてもよい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることも好ましく、かかる側鎖に1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量はとくに限定されないが、好ましくは12万〜30万、より好ましくは14万〜26万、さらに好ましくは16万〜25万である。重量平均分子量が下限値未満では、ポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られない傾向があり、上限値を超えると、フィルムを偏光膜とする場合に延伸が困難となり、工業的な生産が難しくなる傾向がある。なお、ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−LALLS法により測定される。
さらに、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は97モル%以上であることが好ましく、とくには98モル%以上、さらには99モル%以上であることが好ましい。かかるケン化度が下限値未満では光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ポリビニルアルコール系樹脂には、通常、酢酸ナトリウムが含有されており、ポリビニルアルコール系フィルムの製造に用いる場合には、まず、酢酸ナトリウムを除去するためその粉末を洗浄する。洗浄に当たっては、メタノールあるいは水で洗浄されるが、メタノールで洗浄する方法では溶剤回収などが必要になるため、水で洗浄する方法がより好ましい。
次に、洗浄後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製するが、かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキをそのまま水に溶解すると所望する高濃度の水溶液が得られないため、一旦脱水を行なうことが好ましい。脱水方法はとくに限定されないが遠心力を利用した方法が一般的である。
かかる洗浄および脱水により、含水率50重量%以下、好ましくは30〜45重量%の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。該含水率が上限値をこえると所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向にある。
脱水後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを水に溶解し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製するのであるが、製膜性の向上を目的として、この水溶液には、可塑剤、好ましくは更に界面活性剤などの各種添加剤が添加される。
本発明で用いる可塑剤としては、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)を必須成分とするものであり、なかでも、分子量については、好ましくは110〜190である。かかる分子量が下限値未満では保存時にブリードアウトしやすくなり、上限値を超えるとフィルムのヘイズが高くなる傾向にある。
また、融点については、好ましくは50〜280℃、更に好ましくは55〜270℃である。
更に、かかる可塑剤(B)としては、脂肪族系化合物であることが好ましく、中でも1分子中に水酸基を3個以上有するものであることが特に好ましい。
かかる可塑剤(B)の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類が挙げられるが、可塑効果とフィルムの光学特性の点でトリメチロールプロパンが最も好適である。
本発明において、可塑剤(B)の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)に対して、15〜40重量%であり、好ましくは18〜30重量%、より好ましくは18〜25重量%である。可塑剤(B)の含有量が下限値未満では可塑効果が得がたく、上限値を超えるとフィルム上に可塑剤がブリードアウトしてくるため、フィルム同士が付着し、付着痕が生じ、光学的な欠点となる傾向がある。
また、本発明においては、可塑剤(B)以外の可塑剤(B′)を併用することもでき、かかる可塑剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジグリセリン、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコールなどがあり、一般的にはグリセリンが使用される。
かかる可塑剤(B′)の含有量については、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)に対して、25重量%以下であることが好ましく、特には20重量%以下、更には15重量%以下であることが好ましい。かかる可塑剤(B′)の含有量が上限値を超えるとフィムルから可塑剤がブリードアウトしやすくなる傾向がある。また、可塑剤(B′)を含有する場合の下限としては、フィルムの延伸性、光学性能などの点から可塑剤(B)に対して2重量%が好ましい。
また、本発明で用いられる界面活性剤(C)は、光学用ポリビニルアルコール系フィルムを製膜する場合に、フィルム表面の平滑性や、ロール状に巻き取る際のフィルム同士の付着を抑制する働きがあり、例えば、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性を単独または二種以上組み合わせて使用することができるが、特には、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を併用することが、フィルムの透明性の点で好ましい。
かかるアニオン系界面活性剤としては、例えば、
(1)脂肪族アルキルスルホン酸塩、
(2)アルキル硫酸エステル塩、
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
(4)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、
(5)高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩
等が挙げられる。
(1)脂肪族アルキルスルホン酸塩の具体例としては、例えば、ヘキシルスルホン酸ナトリウム、ヘプチルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ノニルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、炭素数6〜18の脂肪族アルキルスルホン酸ナトリウムの混合物等が挙げられ、好適には、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、炭素数10〜18の二級アルキルスルホン酸ナトリウムの混合物等が使用される。また、かかる脂肪族アルキルスルホン酸塩のカウンターカチオンとしては、特に限定されないが、Na+、Ca2+、NH4 +、またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中では、Na+が特に好ましい。
(2)アルキル硫酸エステル塩の具体例としては、例えば、ヘキシル硫酸ナトリウム、ヘプチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ノニル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、エイコシル硫酸ナトリウム、あるいはこれらのカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の有機アミン塩が挙げられ、好適にはドデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム等が使用される。また、カウンターカチオンとしては、特に限定されないが、Na+、Ca2+、NH4 +、またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中では、Na+が特に好ましい。
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘプチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル硫酸ナトリウム、あるいはこれらのカリウム塩のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等の有機アミン塩等が挙げられ、好適にはポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム等が使用される。また、カウンターカチオンとしては、特に限定されないが、Na+、Ca2+、NH4 +、またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中では、Na+が特に好ましい。
(4)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘプチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンテトラデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘキサデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクタデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエイコシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、あるいはこれらのカリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等の有機アミン塩が挙げられ、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムの使用が望ましい。また、カウンターカチオンとしては、特に限定されないが、Na+、Ca2+、NH4 +、またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中では、Na+が特に好ましい。
(5)高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩の具体例としては、例えば、カプロン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、カプリル酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、カプリン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、ラウリン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、パルミチン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、ステアリン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、オレイン酸エタノールアミドあるいはこれらのカリウム塩、更にはこれらエタノールアミドに変えてプロパノールアミド、ブタノールアミドが挙げられる。また、カウンターカチオンとしては、特に限定されないが、Na+、Ca2+、NH4 +、またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中では、Na+が特に好ましい。
また、上記(1)〜(5)のアニオン系界面活性剤の他にも、硫酸化油、高級アルコールエトキシサルフェート、モノグリサルフェート等の硫酸エステル塩や、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエステルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩等のスルホン酸塩型、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩型等のアニオン系界面活性剤を併用することもできる。
一方、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、
(7)一般式
R−O(C24O)n
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。)
で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(8)一般式
R−X−O(C24O)n
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。Xはフェニレン基、nは1〜20、好ましくは2〜10の整数を示す。)
で示されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
(9)一般式
RCONH−R′−OH 又は RCON−(R′−OH)2
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。R′は−C24−、−C36−、−C48−のいずれかである。)
で示される高級脂肪酸モノ又はジアルカノールアミド、
(10)一般式
RCONH2
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。)
で示される高級脂肪酸アミド
(11)一般式
RNH(C24O)xH あるいはH(C24O)yN(R)(C24O)x
(ここで、Rはアルキル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。x及びyは1〜30、好ましくは3〜15の整数を示す。)
で示されるポリオキシエチレンアルキルアミン、
(12)ポリオキシエチレン高級脂肪酸アミド
(13)アミンオキシド
等が挙げられる。
(7)ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル等が挙げられる。特に、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル等が好適である。
(8)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘプチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンエイコシルフェニルエーテル等が挙げられる。特に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが好適である。
(9)高級脂肪酸モノ又はジアルカノールアミドの具体例としては、例えば、カプロン酸モノ又はジエタノールアミド、カプリル酸モノ又はジエタノールアミド、カプリン酸モノ又はジエタノールアミド、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、パルミチン酸モノ又はジエタノールアミド、ステアリン酸モノ又はジエタノールアミド、オレイン酸モノ又はジエタノールアミド、やし油脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、あるいはこれらのエタノールアミドに変えてプロパノールアミド、ブタノールアミドが挙げられる。この中でもアルキルジエタノールアミドが好ましく、具体的にはラウリン酸ジエタノールアミド、やし油脂肪酸ジエタノールアミドが好適に使用され、特には、その製造過程で副生する該ジエタノールアミドとジエタノールアミン〔NH−(C24OH)2〕との付加物との混合物(1:2モル型)の使用が水溶性の点で有利である。
(10)高級脂肪酸アミドの具体例としては、例えば、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられ、中でもパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドが好適である。
(11)ポリオキシエチレンアルキルアミンの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルアミン、ポリオキシエチレンヘプチルアミン、ポリオキシエチレンオクチルアミン、ポリオキシエチレンノニルアミン、ポリオキシエチレンデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンテトラデシルアミン、ポリオキシエチレンヘキサデシルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンエイコシルアミン等が挙げられ、中でもポリオキシエチレンドデシルアミンが好適である。
(12)ポリオキシエチレン高級脂肪酸アミドの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンカプロン酸アミド、ポリオキシエチレンカプリル酸アミド、ポリオキシエチレンカプリン酸アミド、ポリオキシエチレンラウリル酸アミド、ポリオキシエチレンミリスチン酸アミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等が挙げられ、中でもポリオキシエチレンラウリル酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミドが好適である。
(13)アミンオキシドの具体例としては、例えば、ジメチルラウリルアミンオキシド、ジメチルステアリルオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド等が挙げられ、中でもジメチルラウリルアミンオキシドが好適である。
また、上記(7)〜(13)のノニオン系界面活性剤の他にも、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型ノニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤を併用することもできる。
かかる界面活性剤(C)の含有量としては、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜1重量部であることが好ましく、特には0.02〜0.5重量部、更には0.03〜0.2重量部であることが好ましい。界面活性剤(C)の含有量が下限値未満ではブロッキング防止効果が得難く、上限値を超えるとフィルムの透明性が低下する傾向にある。
また、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を併用する場合には、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、アニオン系界面活性剤が0.01〜1重量部、特には0.02〜0.2重量部、更には0.03〜0.1重量部であり、ノニオン系界面活性剤が0.01〜1重量部、特には0.02〜0.2重量部、更には0.03〜0.1重量部であることが好ましい。アニオン系界面活性剤が下限値未満では偏光膜作成時の染料の分散性が低下し、染色斑が多くなる傾向にあり、上限値を超えるとポリビニルアルコール系樹脂(A)の溶解時の泡立ちが激しく、フィルム中に気泡が混入しやすくなり光学用フィルムとして使用できなくなる傾向にあり、ノニオン系界面活性剤が下限値未満ではブロッキング防止効果が得難く、上限値を超えるとフィルムの透明性や平面平滑性が低下する傾向にある。
また本発明においては、フィルムの黄変を防止するために、酸化防止剤を配合することも有用であり、フェノール系酸化防止剤等の任意の酸化防止剤が例示され、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が好適である。酸化防止剤はポリビニルアルコール系樹脂に対して2〜100ppm程度の範囲で使用される。
かくして本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂(A)、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)、好ましくは更に界面活性剤(C)を用いてポリビニルアルコール系フィルムを製膜するのである。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について具体的に説明する。
本発明においては、ポリビニルアルコール系樹脂(A)、可塑剤(B)、好ましくは更に界面活性剤(C)を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液を調製し、該水溶液をドラム型ロールまたはエンドレスベルト、好ましくはドラム型ロールに流延して製膜、乾燥することにより、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する。
本発明の製造方法において、まず、ポリビニルアルコール系樹脂粉末は、通常樹脂に含有されている酢酸ナトリウムを除去するため、洗浄される。洗浄に当たっては、メタノールあるいは水で洗浄されるが、メタノールで洗浄する方法では溶剤回収などが必要になるため、水で洗浄する方法がより好ましい。
次に、洗浄後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製するが、かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキをそのまま水に溶解すると所望する高濃度の水溶液が得られないため、一旦脱水を行なうことが好ましい。脱水方法は特に限定されないが、遠心力を利用した方法が一般的である。
前記洗浄及び脱水により、含水率50重量%以下、好ましくは30〜45重量%の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が上限値を超えると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向にある。
次いで、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜に用いられるポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液は、溶解槽に、水、前述した脱水後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ、可塑剤(B)、好ましく更に界面活性剤(C)などを仕込み、加温し、撹拌して溶解させることにより調製される。本発明の製造方法においては、特に、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解槽中で水蒸気を吹き込んで含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解させることが、溶解性の点より好ましい。
上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解槽中で水蒸気を吹き込んで含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解させる際には、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が40〜80℃、好ましくは45〜70℃となった時点で、撹拌を開始することが均一溶解できる点で好ましい。樹脂温度が下限値未満ではモーターの負荷が大きくなり、上限値を超えるとポリビニルアルコール系樹脂の固まりができて均一な溶解ができなくなる傾向がある。さらに、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が90〜100℃、好ましくは95〜100℃となった時点で、缶内を加圧することも均一溶解ができる点で好ましい。樹脂温度が下限値未満では未溶解物ができる傾向がある。そして、樹脂温度が130〜150℃となったところで水蒸気の吹き込みを終了し、0.5〜3時間撹拌を続け、溶解が行なわれる。溶解後は、所望する濃度となるように濃度調整が行なわれる。
かくして得られるポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液の濃度は、10〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜40重量%、特に好ましくは20〜30重量%である。水溶液濃度が下限値未満では乾燥負荷が大きくなり生産能力が劣り、上限値を超えると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができず好ましくない。
次に、得られたポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡や多軸押出機による脱泡等が挙げられるが、本発明の製造方法においては、生産性の点より、多軸押出機を用いて脱泡する方法が好ましい。
脱泡処理が行なわれたのち、多軸押出機から排出されたポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、ドラム型ロールまたはエンドレスベルトに流延されて、製膜、乾燥される。
T型スリットダイとしては、通常、細長の矩形を有したT型スリットダイが用いられる。T型スリットダイ出口の樹脂温度は80〜100℃であることが好ましく、より好ましくは85〜98℃である。T型スリットダイ出口の樹脂温度が下限値未満では流動不良となる傾向にあり、上限値を超えると発泡する傾向にある。
流延に際しては、ドラム型ロールまたはエンドレスベルトで行われるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性などの点からドラム型ロールで行うことが好ましい。
ドラム型ロールで流延製膜するにあたり、例えばドラムの回転速度は5〜30m/分であることが好ましく、特に好ましくは6〜20m/分である。ドラム型ロールの表面温度は70〜99℃であることが好ましく、より好ましくは75〜97℃である。ドラム型ロールの表面温度が下限値未満では乾燥不良となる傾向にあり、上限値を超えると発泡する傾向にある。
ドラム型ロールで製膜されたポリビニルアルコール系フィルムの乾燥は、膜の表面と裏面とを複数の乾燥ロールに交互に通過させることにより行なわれる。乾燥ロールの表面温度は特に限定されないが、60〜100℃、さらには65〜90℃であることが好ましい。かかる表面温度が下限値未満では乾燥不良となり、上限値を超えると乾燥しすぎることとなり外観不良を招き好ましくない。乾燥後、必要に応じて熱処理され、ポリビニルアルコール系フィルムとなる。
熱処理については、(1)表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)を温度60〜180℃に調整して通過させる方法、(2)フローティング型ドライヤー(長さ:2〜30m、温度80〜180℃)にて行う方法等が挙げられる。
かくして、本発明のポリビニルアルコール系フィルムが得られるが、その膜厚は30〜100μmであることが好ましく、より好ましくは30〜70μm、さらに好ましくは35〜65μm、とくに好ましくは40〜60μmである。膜厚が下限値未満では、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜の原反フィルムとして用いる場合に、延伸が難しいうえに充分な偏光性能も得られない傾向があり、上限値を超えると製膜精度が低下する傾向がある。特に、膜厚が70μmを超えるような場合では偏光膜にした場合に光学歪みが多くなる傾向がある。
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの幅および長さは、とくに限定されないが、偏光膜の原反フィルムとして用いる場合には、近年の幅広長尺化を鑑みると、生産性の点で、幅は2m以上であることが好ましく、より好ましくは3m以上、さらに好ましくは3.3m以上、とくに好ましくは3.5m以上である。長さは1000m以上であることが好ましく、より好ましくは2000m以上、さらに好ましくは3000m以上であり、偏光膜の生産性の点で、とくに好ましくは4000m以上である。なお、フィルム幅の上限としては通常5mであり、フィルム長さの上限としては通常15000mである。なお、幅が2m未満または長さが1000m未満では、偏光膜の生産性に劣ることとなり好ましくない。
更に、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、25℃の温水中に膨潤させた後、4.0倍に一軸延伸して得られる延伸フィルムの波長900nmで測定した位相差の局所的変化量が20nm以下であることが好ましく、特に好ましくは18nm以下、更に好ましくは15nm以下である。かかる位相差の局所的変化量が上限値を超えると偏光膜として際に、可視域の波長(380〜700nm)で光学的な歪みが認識されることとなるため好ましくない。
上記の位相差の局所的変化量を20nm以下に調整するに当たっては、フィルム中の可塑剤の含有量をポリビニルアルコール系樹脂に対して15〜40重量%にする方法、フィルム膜厚を薄くする方法、フィルム製膜時の水の蒸発速度を制御する方法(蒸発速度が速いとフィルム表面に蒸発痕ができる。)、これら方法の組み合わせなどの方法を行うことにより得られる。
なお、位相差の局所的変化量とは、ポリビニルアルコール系フィルムの所定箇所における位相差の最大値と最小値の差により求められるものであり、具体的には、下記のようにして測定される。
即ち、ポリビニルアルコール系フィルム(原反フィルム)の幅(TD)方向に対して、端部より50cm内側より幅10cm×10cmの切片サンプルを20cm間隔で採取し、25℃に調整した恒温水槽中に10分間膨潤させ、次に、この膨潤フィルムを皺が入らないようにチャックに固定し、該恒温水槽中で元のサイズの4.0倍に長手(MD)方向に一軸延伸し、恒温水槽からチャックを取り出し、表面の付着水を、濾紙で均一に取り除き、固定したまま80℃で20分間乾燥して延伸フィルムを得、得られた延伸フィルムの長手(MD)方向に対して中央部を、高速多波長複屈折測定装置(大塚電子(株)製「RETS−1100A」)を用いて波長900nmにて、スポット径を2mmに調整し、かかる中央部のフィルム端部から内側2mmより、幅(TD)方向に測定間隔2mmピッチにて連続して位相差を測定する。このとき、任意の連続した10カ所の測定点において、位相差の最大値と最小値の差を求め、かかる値を局所的変化量とするものである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムにおいては、可塑剤の含有量を調整することにより、所望の幅の任意の結晶化度のものを得ることができ、例えば、特開平6−136151号公報に記載の結晶化度の測定法に準じて測定した場合に、約50%以下、好ましくは20〜48%程度のポリビニルアルコール系フィルムを得ることが可能である。
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、可視光全域において、光線透過率が90%以上であり、光学用ポリビニルアルコール系フィルムとして非常に有用である。
かくして本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、特に偏光膜の原反フィルムとして好ましく用いられる。
以下、本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いた本発明の偏光膜の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、通常の染色、延伸、ホウ酸架橋および熱処理などの工程を経て製造される。偏光膜の製造方法としては、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素または二色性染料の溶液に浸漬し染色したのち、ホウ素化合物処理する方法、延伸と染色を同時に行なったのち、ホウ素化合物処理する方法、ヨウ素または二色性染料により染色して延伸したのち、ホウ素化合物処理する方法、染色したのち、ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法などがあり、適宜選択して用いることができる。このように、ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は、延伸と染色、さらにホウ素化合物処理を別々に行なっても同時に行なってもよいが、染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが、生産性の点より望ましい。
延伸は一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜7倍延伸することが望ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、20〜170℃から選ぶのが望ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
フィルムへの染色は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は10〜50g/L、ヨウ化カリウム/ヨウ素の重量比は20〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。接触手段としては浸漬、塗布、噴霧などの任意の手段が適用できる。
染色処理されたフィルムは、ついでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度0.3〜2モル/L程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリウムを共存させるのが実用上望ましい。処理法は浸漬法が望ましいが、もちろん塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は20〜60℃程度、処理時間は3〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
このようにして得られる本発明の偏光膜は、その片面または両面に光学的に等方性の高分子フィルムまたはシートを保護膜として積層接着して、偏光板として用いることもできる。本発明の偏光板に用いられる保護膜としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド、シクロ系ないしはノルボルネン系ポリオレフィンなどのフィルムまたはシートが挙げられる。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護膜の代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
偏光膜(少なくとも片面に保護膜あるいは硬化性樹脂を積層させたものを含む)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。感圧性接着剤層としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールのようなビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系などでもよい。
本発明の偏光膜は、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、偏光サングラス、防目メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCDなど)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具などに用いられる。
また、本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、偏光膜用途の他にも、1/2波長板、1/4波長板に用いられる原反フィルム、液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの原反フィルムとしても非常に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして行なった。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度
残酢酸ビニル単位の加水分解に要するアルカリ消費で分析を行なった。
(2)重量平均分子量
GPC−LALLS法により、以下の条件で測定する。
1)GPC
装置:Waters製244型ゲル浸透クロマトグラフ
カラム:東ソー(株)製TSK−gel−GMPWXL(内径8mm、長さ30cm、2本)
溶媒:0.1M−トリス緩衝液(pH7.9)
流速:0.5ml/分
温度:23℃
試料濃度:0.040%
ろ過:東ソー(株)製0.45μmマイショリディスクW−25−5
注入量:0.2ml
検出感度(示差屈折率検出器):4倍
2)LALLS
装置:Chromatrix製KMX−6型低角度レーザー光散乱光度計
温度:23℃
波長:633nm
第2ビリアル係数×濃度:0mol/g
屈折率濃度変化(dn/dc):0.159ml/g
フィルター:MILLIPORE製0.45μmフィルターHAWP01300ゲイン:800mV
(3)位相差の局所的変化量
ポリビニルアルコール系フィルム(原反フィルム)の幅(TD)方向に対して、端部より50cm内側より幅10cm×10cmの切片サンプルを20cm間隔で採取し、25℃に調整した恒温水槽中に10分間膨潤させ、次に、この膨潤フィルムを皺が入らないようにチャックに固定し、該恒温水槽中で元のサイズの4.0倍に長手(MD)方向に一軸延伸し、恒温水槽からチャックを取り出し、表面の付着水を、濾紙で均一に取り除き、固定したまま80℃で20分間乾燥して延伸フィルムを得、得られた延伸フィルムの長手(MD)方向に対して中央部を、高速多波長複屈折測定装置(大塚電子(株)製「RETS−1100A」)を用いて波長900nmにて、スポット径を2mmに調整し、かかる中央部のフィルム端部から内側2mmより、幅(TD)方向に測定間隔2mmピッチにて連続して位相差を測定する。このとき、任意の連続した10カ所の測定点において、位相差の最大値と最小値の差を求め、かかる値を局所的変化量とするものである。
なお、サンプリングは原反フィルムの一方の端部より50cm内側より行い、最後のサンプルが他方の端部より50cm内側とならない場合はその一つ前までのサンプルを採用する(図1参照。)。
(4)偏光板の光学特性
高速多波長複屈折測定装置(大塚電子(株)製「RETS−1100A」)を用いて、得られた偏光板の偏光度、透過率および二色比を測定した。
(5)偏光板の光学歪み
歪み検査器(新東科学株式会社製)を用いて直交クロスニコル法にて、偏光板の光学的な歪みを真上および斜め45°より観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・光学歪みが観察されなかった。
×・・・光学歪みが観察された。
実施例1
500Lのタンクに5℃の水200kgを入れ、撹拌しながら、重量平均分子量166000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)42kgを加え、15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、さらに水200kgを加え、15分間撹拌した。得られたスラリーを脱水し、含水率40%のポリビニルアルコール系樹脂(A)ウェットケーキを得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂(A)ウェットケーキ70kg(樹脂分42kg)を溶解槽に入れ、可塑剤(B)として、トリメチロールプロパン(融点:61℃、分子量134)8.4kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してトリメチロールプロパン20部)、界面活性剤(C)としてドデシルスルホン酸ナトリウム21g、ポリオキシエチレンドデシルアミン8g、水10kgを加え、槽底から水蒸気を吹き込んだ。内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌を行い、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、140℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止した。30分間撹拌を行い、均一に溶解した後、濃度調整により固形分濃度28%のポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液を得た。
次に、ポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液(液温147℃)を、2軸押出機に供給し、脱泡した。脱泡されたポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液を、T型スリットダイ(ストレートマニホールドダイ)よりキャストドラムに流延して製膜した。かかる流延製膜の条件は下記の通りである。
ドラム型ロール
直径(R1):3200mm、幅:4.3m、回転速度:8m/分、表面温度:90℃、T型スリットダイ出口の樹脂温度:95℃
得られた膜の表面と裏面とを下記の条件にて乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なった。
乾燥ロール
直径(R2):320mm、幅:4.3m、本数(n):10本、回転速度:8m/分、表面温度:80℃
引き続いて、連続して、この膜を両面から温風を吹き付けるフローティング型ドライヤー(長さ18.5m)により、110℃で熱処理を行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムについて、位相差の局所的変化量を測定した。
(偏光膜及び偏光板の製造)
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを、水温30℃の水槽に浸漬し、1分後に、チャック延伸機に固定し、元のサイズの1.5倍に延伸した。次に、ヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム15g/Lよりなる染色槽(30℃)にて240秒浸漬しつつ1.3倍に延伸し、さらにホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成のホウ酸処理槽(40℃)に浸漬するとともに、同時に2.8倍に一軸延伸しつつ5分間にわたってホウ酸処理を行い、その後、乾燥して、トータル延伸倍率5.5倍の偏光膜を得た。
次に得られた偏光膜の両面にポリビニルアルコール系水溶液を接着剤として用いて、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、50℃で乾燥して偏光板を得た。
得られた偏光板について、光学特性及び光学歪みを評価した。
実施例2
実施例1において、可塑剤(B)として、トリメチロールプロパン8.4kgを、トリメチロールプロパン10kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してトリメチロールプロパン24部)に変更した以外は実施例1に準じて行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムについて、位相差の局所的変化量を測定した。
更に、得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1に準じて偏光膜及び偏光板を得、実施例1と同様の評価を行った。
実施例3
実施例1において、可塑剤(B)として、トリメチロールプロパン8.4kgを、ソルビトール(融点97℃、分子量182)10kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対して24部)に変更した以外は実施例1に準じて行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムについて、位相差の局所的変化量を測定した。
更に、得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1に準じて偏光膜及び偏光板を得、実施例1と同様の評価を行った。
実施例4
実施例1において、可塑剤(B)として、トリメチロールプロパン8.4kgを、トリメチロールプロパン7.6kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してトリメチロールプロパン18部)に変更し、更に可塑剤(B′)として、グリセリン0.8kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してグリセリン2部)を併用した以外は実施例1に準じて行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムについて、位相差の局所的変化量を測定した。
更に、得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1に準じて偏光膜及び偏光板を得、実施例1と同様の評価を行った。
比較例1
実施例1において、可塑剤(B)として、トリメチロールプロパン8.4kgを、グリセリン8.4kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してグリセリン20部)に変更した以外は実施例1に準じて行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。しかしながら、フィルムが柔らかいため、ロール状に巻き取る際にフィルムに皺が入り、光学用フィルムとして使用できる品質のものではなかった。
比較例2
実施例1において、可塑剤(B)として、トリメチロールプロパン8.4kgを、トリメチロールプロパン4.2kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してトリメチロールプロパン10部)に変更した以外は実施例1に準じて行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムについて、位相差の局所的変化量を測定した。
更に、得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1に準じて偏光膜及び偏光板を得、実施例1と同様の評価を行った。
比較例3
実施例1において、可塑剤(B)として、トリメチロールプロパン8.4kgをグリセリン4.2kg(ポリビニルアルコール系樹脂100部に対してグリセリン10部)に変更した以外は実施例1に準じて行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムについて、位相差の局所的変化量を測定した。
更に、得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1に準じて偏光膜及び偏光板を得、実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。

Figure 2007154000
本発明の光学用ポリビニルアルコール系フィルムは、延伸操作における光学歪みが極めて少ないものであり、偏光性能に優れた偏光膜を得ることができるため、偏光サングラスや液晶表示装置などに用いられる偏光膜の原反フィルムや1/2波長板、1/4波長板に用いられる原反フィルム、液晶表示装置に用いられる位相差フィルムの原反フィルムとして非常に有用である。
本発明における位相差の局所的変化量を測定するためのサンプルの採り方のイメージ図である。

Claims (9)

  1. 可塑剤を含有するポリビニルアルコール系樹脂組成物からなる光学用ポリビニルアルコール系フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)に対して、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)を15〜40重量%含有してなることを特徴とする光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
  2. 更に、分子量が100〜200で、かつ、融点が40〜300℃である可塑剤(B)に対して、可塑剤(B)以外の可塑剤(B′)を25重量%以下含有してなることを特徴とする請求項1記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
  3. 更に、界面活性剤(C)を含有してなることを特徴とする請求項1または2記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量が16万〜25万で、かつ、ケン化度が99モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
  5. フィルムの膜厚が30〜70μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
  6. 25℃の温水中に膨潤させた後、4.0倍に一軸延伸して得られる延伸フィルムの波長900nmで測定した位相差の局所的変化量が20nm以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
  7. 偏光膜の原反フィルムとして用いることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルムからなることを特徴とする偏光膜。
  9. 請求項8記載の偏光膜の少なくとも片面に保護膜を設けてなることを特徴とする偏光板。


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