JP5904725B2 - ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光フィルム及び偏光板 - Google Patents
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本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を第1熱ロールに流延する工程[I]、第1熱ロール(R1)から剥離する工程[II]、複数個の熱ロール(Rn)に、フィルムの表裏面を交互に通過させる工程[III]を含むことにより、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する。
ここで、本発明におけるケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析することにより得られる。
0.005≦(β−α)/α≦0.07 (2)
0.010≦(β−α)/α≦0.05 (3)
熱処理については、70〜140℃というように熱処理としては比較的低温度で行うことが好ましく、特には70〜130℃で行うことが好ましい。熱処理温度が上記範囲より低すぎると耐水性が不足したり、熱処理斑が多くなり、光学斑の原因となる傾向があり、高すぎると偏光フィルム製造時の延伸性が低下する傾向がある。また、熱処理方法としては、例えば、(1)表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)通過させる方法、(2)フローティング型ドライヤー(長さ:2〜30m)にて行う方法等が挙げられる。
=(浸漬後のMD方向の寸法/浸漬前のMD方向の寸法)×100
幅(TD)方向の膨潤度(XTD)(%)
=(浸漬後のTD方向の寸法/浸漬前のTD方向の寸法)×100
面積膨潤度(Y)(%)
=(MD方向の膨潤度/100)×(TD方向の膨潤度/100)×100
さらに、フィルム製膜時の乾燥条件、例えば、高温乾燥や低温乾燥、高湿乾燥などフィルム中の水分を乾燥させる条件によっても、重量膨潤度は調整するこことができる。中でも、生産性の点において、フィルム製膜時の水分率が5〜30重量%となった後に、熱処理することにより重量膨潤度を調整することが好ましく、可塑剤として主にグリセリンを用い、熱処理温度を70〜140℃の範囲で重量膨潤度を調整することがさらに好ましい。
即ち、フィルムを10cm×10cmに切り出し、30℃に調整されたイオン交換水槽に15分間浸漬する。次に、フィルムを取り出し、濾紙(5A)上にフィルムを広げて置き、さらに、濾紙(5A)をフィルムの上に重ね、その上に15cm×15cm×0.4cm(4.4g/cm2)のSUS板を5秒間載せ、フィルム表面の付着水を除去する。このフィルムを速やかに秤量瓶にいれ、重量を測定し、これを膨潤時のフィルム重量Aとする。上記操作は23℃、50%RHの環境にて行う。次に、該フィルムを105℃の乾燥機に16時間フィルム放置し、フィルム中の水分の除去を行い、その後フィルムを取り出し、速やかに秤量瓶に入れ、重量を測定し、これを乾燥後のフィルム重量Bとする。そして、膨潤時のフィルム重量Aと乾燥後のフィルム重量Bを基に下式より求める。
重量膨潤度(%)=A/B×100
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして行った。
残酢酸ビニル単位の加水分解に要するアルカリ消費で分析を行った。
水温を20℃に調整しヘプラ−粘度計により測定した。
フィルムを10cm×10cm角に機械(MD)方向、幅(TD)方向と平行になるように切り出し、平坦なガラス板上に載せ、MD方向、およびTD方向の寸法を各々ノギスにて計測した。次に、30℃に調整されたイオン交換水槽に5分間浸漬させた後、フィルムを取り出し、直ちに、平坦なガラス板上に載せ、MD方向、およびTD方向の寸法を各々ノギスにて計測し、下式により算出した。なお、上記操作は23℃、50%RHの環境下で行った。
MD方向の膨潤度(XMD)(%)
=(浸漬後のMD方向の寸法/浸漬前のMD方向の寸法)×100
TD方向の膨潤度(XTD)(%)
=(浸漬後のTD方向の寸法/浸漬前のTD方向の寸法)×100
膨潤度比(XTD/XMD)=TD方向の膨潤度(XTD)/MD方向の膨潤度(XMD)
上記(3)の方法に準じて、MD方向の膨潤度(XMD)及びTD方向の膨潤度(XTD)を算出し、下式より算出した。
面積膨潤度(Y)(%)
=(MD方向の膨潤度/100)×(TD方向の膨潤度/100)×100
リターデーション測定装置(「KOBRA−WFD」王子計測機器(株)製 測定波長:590nm)を用いて、ポリビニルアルコール系フィルムの幅方向の中央の部分のリターデーション値を測定した。
フィルムを10cm×10cmに切り出し、30℃に調整されたイオン交換水槽に15分間浸漬した。次に、フィルムを取り出し、濾紙(5A)上にフィルムを広げて置き、さらに、濾紙(5A)をフィルムの上に重ね、その上に15cm×15cm×0.4cm(4.4g/cm2)のSUS板を5秒間載せ、フィルム表面の付着水を除去した。このフィルムを速やかに秤量瓶にいれ、重量を測定し、これを膨潤時のフィルム重量Aとした。上記操作は23℃、50%RHの環境にて行った。
次に、該フィルムを105℃の乾燥機に16時間フィルム放置し、フィルム中の水分の除去を行い、その後フィルムを取り出し、速やかに秤量瓶に入れ、重量を測定し、これを乾燥後のフィルム重量Bとした。そして、膨潤時のフィルム重量Aと乾燥後のフィルム重量Bを基に下式より求めた。
重量膨潤度(%)=A/B×100
200Lのタンクに、ポリビニルアルコール系樹脂として、4%水溶液粘度64mPa・s、平均ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂42kg、水100kg、可塑剤としてグリセリン4.2kg、界面活性剤としてドデシルスルホン酸ナトリウム21g、ポリオキシエチレンドデシルアミン8gを入れ、撹拌しながら加圧加熱にて150℃まで昇温して、均一に溶解した後、濃度調整により濃度26%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
ドラム型ロール(熱ロール(R1))
直径:3200mm、幅:4.3m、回転速度:10m/分、表面温度:90℃、T型スリットダイ出口の樹脂温度:90℃
なお、ドラム型ロールから剥離する際のフィルム水分率を測定したところ18%であった。
・乾燥ロールの形状
幅方向の中央部から両端部に向かって直線的にロール径が大きくなるように形成されたロール(図1参照。)。
幅方向に対して中央部のロール径(α):350mm
幅方向に対して両端部のロール径(β):369mm
幅方向に対して、中央部の頂部における水平線と、中央部の頂部と端部の頂部とを結ぶ直線とのなす角度(θ):0.5度
・乾燥ロールの条件
幅:4.3m、回転速度:10m/分、表面温度:80℃、本数:18本
なお、乾燥後フィルムをサンプリングし、フィルム水分率を測定したところ11%であった。
得られたポリビニルアルコール系フィルムの各物性を表1に示す。
得られたポリビニルアルコール系フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後、輝度15000カンデラの面照明を用いて、透過モードでムラを観察し、以下の基準でポリビニルアルコール系フィルムの光学ムラを評価した。
○・・・何も見えず均一である。
×・・・不連続な濃淡あるいはスジ状の濃淡が確認できる。
上記で得られた偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系水溶液を接着剤として用いて、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、50℃で乾燥して偏光板を得た。この偏光板について、幅方向より20cm×20cmのサンプルを切り出し、直交透過率を幅(TD)方向に2mmピッチで測定し、最大値と最小値との差を求め、染色ムラを評価した。
なお、直交透過率は、大塚電子(株)製のリターデーション測定装置 「RETS−1100A」を用いて測定した。
実施例1において、フィルム製膜の条件を表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得、更に、実施例1と同様に偏光フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルム、及び、偏光フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を第1熱ロール(R1)に流延する工程[I]、第1
熱ロール(R1)から剥離する工程[II]、複数個の熱ロール(Rn)に、フィルムの
表裏面を交互に通過させる工程[III]を含むポリビニルアルコール系フィルムの製造
方法において、熱ロール(Rn)の幅方向に対して、両端部よりそれぞれ20%以内のい
ずれかの部分におけるロール径(β)が中央部のロール径(α)より大きくしてなる熱ロ
ールを用いることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。 - 熱ロール(Rn)が、両端部よりそれぞれ20%以内のいずれかの部分におけるロール径
(β)と中央部のロール径(α)との関係が下式(1)を満たす熱ロールであることを特
徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
0.001≦(β−α)/α≦0.1 (1) - 熱ロール(Rn)が、熱ロール(Rn)の幅方向に対して、中央部から両端部に向かって
漸次大きくなるように形成された熱ロールであることを特徴とする請求項1または2記載
のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。 - 前記工程[III]における熱ロール(Rn)の表面温度が40〜100℃であることを
特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
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