JP2020071318A - 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いてなる偏光膜、偏光板 - Google Patents

偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いてなる偏光膜、偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】 キャスト型表面からの剥離性に優れるポリビニルアルコール系フィルムであって、更には、ダイラインが発生しにくくフィルム外観性に優れ、フィルムの透明性にも優れる高品質な偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを提供すること。【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂(A)、ノニオン系界面活性剤(B1)およびアニオン系界面活性剤を含有する偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムであって、アニオン系界面活性剤がリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)であることを特徴とする偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光膜を製造するための原反フィルムであるポリビニルアルコール系フィルムに関し、さらに詳しくは、キャスト型等からの剥離性に優れ、フィルム外観や透明性に優れる偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、および該ポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜、偏光板に関するものである。
液晶表示装置の発展はめざましく、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター、液晶テレビ、プロジェクター、車載パネルなどに幅広く使用されている。かかる液晶表示装置には偏光膜が使用されており、偏光膜としては、主として、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性染料を吸着配向させたものが使用されている。近年、画面の高精細化、高輝度化、大型化にともない、従来品より一段と偏光度に優れ、色ムラがない偏光膜が必要とされており、その原反となるポリビニルアルコールに対しても、透明性や傷やスジがなくフィルム外観性に優れることや、それらを達成するためにも剥離性に優れ効率よく生産できることが要求されている。
偏光膜の原反フィルムの外観性や透明性を向上させる方法としては、例えば、ポリビニルアルコール(A)、ノニオン系界面活性剤(B)、アニオン系界面活性剤(C)および炭素数6〜30である脂肪族モノアルコール(D)を特定比率で含有する樹脂組成物からなるポリビニルアルコールフィルム(特許文献1参照)が提案されている。
特開2018−90691号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、フィルムのスジ状欠点が低減され、フィルムの平滑性・透明性は確保しているものの、フィルムの剥離性に関しては不十分であり、キャストドラムからの剥離不良により膜厚偏差が大きくなったり、染色ムラが生じてしまったりする問題点があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、キャスト型表面からの剥離性に優れるポリビニルアルコール系フィルムであって、更には、ダイラインが発生せずフィルム外観性に優れ、フィルムの透明性にも優れる高品質な偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムに界面活性剤としてノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤を併用する系において、従来アニオン系界面活性剤として使用されていた硫酸エステル型アニオン系界面活性剤に代えて、リン酸エステル型アニオン系界面活性剤を使用することにより、フィルムの外観性および透明性だけでなくキャスト型からの剥離性にも優れる偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)、ノニオン系界面活性剤(B1)およびアニオン系界面活性剤を含有する偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムであって、アニオン系界面活性剤がリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)であることを特徴とする偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムである。
また、本発明は、かかる偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜および偏光板も提供するものである。
本発明の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムは、キャスト型からの剥離性、フィルムの外観性および透明性にバランスよく優れるものであり、更には本発明の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜製造用の原反フィルムとして用いた場合、得られる偏光膜は色ムラやスジがなく品質にも優れるものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂(A)、ノニオン系界面活性剤(B1)およびアニオン系界面活性剤であるリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)を含有するポリビニルアルコール系フィルムであり、原料となる(A)、(B1)、(B2)を含有するポリビニルアルコール系樹脂水溶液(製膜原液)を製膜することで製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂(A)としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(A)として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂(A)の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂(A)を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜製造時の延伸が困難となる傾向がある。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A)の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。かかる平均ケン化度が小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜とする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A)として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系フィルムは、上記のポリビニルアルコール系樹脂(A)を用いてポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液を回転するキャスト型に吐出及び流延して、キャスト法により製膜、乾燥することで連続的に製造することができ、例えば、以下の工程により製造することができる。
(I)キャスト法により製膜する工程。
(II)製膜されたフィルムを加熱して乾燥、必要に応じて熱処理する工程。
(III)乾燥されたフィルムの両端部をスリットした後、ロールに巻き取る工程。
ここで、上記キャスト型としては、例えばキャストドラム(ドラム型ロール)やエンドレスベルト等があげられるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性に優れる点からキャストドラムで行うことが好ましい。
以下、キャスト型がキャストドラムの場合を例にとって説明する。
まず、前記工程(I)について説明する。
工程(I)においては、まず、前述したポリビニルアルコール系樹脂(A)を、水などの溶剤を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調整する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製方法は、とくに限定されず、たとえば、加熱した多軸押出機を用いて調製してもよく、また、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に、前述したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを投入し、缶中に水蒸気を吹き込んで、溶解及び所望濃度の水溶液を調製することもできる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂(A)以外に、ノニオン系界面活性剤(B1)およびアニオン系界面活性剤であるリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)を含有させることが必要である。また、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜性の点で好ましい。
上記ノニオン性界面活性剤(B1)としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、やし油還元アルコールエチレンオキサイド付加物、牛脂還元アルコールエチレンオキサイド付加物等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、カプロン酸モノまたはジエタノールアミド、カプリル酸モノまたはジエタノールアミド、カプリン酸モノまたはジエタノールアミド、ラウリン酸モノまたはジエタノールアミド、パルミチン酸モノまたはジエタノールアミド、ステアリン酸モノまたはジエタノールアミド、オレイン酸モノまたはジエタノールアミド、やし油脂肪酸モノまたはジエタノールアミド、あるいはこれらのエタノールアミドに代えてプロパノールアミド、ブタノールアミド等の高級脂肪酸アルカノールアミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリオキシエチレンヘキシルアミン、ポリオキシエチレンヘプチルアミン、ポリオキシエチレンオクチルアミン、ポリオキシエチレンノニルアミン、ポリオキシエチレンデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンテトラデシルアミン、ポリオキシエチレンヘキサデシルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンエイコシルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンカプロン酸アミド、ポリオキシエチレンカプリル酸アミド、ポリオキシエチレンカプリン酸アミド、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のポリオキシエチレン高級脂肪酸アミド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ジメチルステアリルオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド等のアミンオキシド、パーフルオロオクタン酸等のフルオロアルキル酸などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特に好ましくは高級脂肪酸アルカノールアミドであり、更に好ましくはラウリン酸モノまたはジエタノールアミド、パルミチン酸モノまたはジエタノールアミド、ステアリン酸モノまたはジエタノールアミド、オレイン酸モノまたはジエタノールアミドであり、殊に好ましくはラウリン酸モノまたはジエタノールアミド、より好ましくはラウリン酸ジエタノールアミドである。
上記、リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)としては、例えば、
オクチルホスフェート塩、ラウリルホスフェート塩、ミリスチルホスフェート塩、ヤシ油脂肪酸ホスフェート塩などのアルキルホスフェート塩;
ラウリルホスフェートトリエタノールアミン塩、オレイルホスフェートジエタノールアミン塩などのアルキルホスフェートアミン塩;
ポリオキシエチレンラウリルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンミリスチルホスフェート塩、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルホスフェート塩、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテルホスフェート塩などのポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩;
ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルホスフェートアミン塩などのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホスフェートアミン塩;
ポリオキシエチレンラウリルアミドエーテルホスフェート塩などのポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテルホスフェート塩;
等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、フィルムの透明性に優れ、光学欠点も生じにくい点で、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩である。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩の有するアルキル基の炭素数としては、8以上であることが好ましく、特に好ましくは10以上、更に好ましくは11以上である。
かかる炭素数が小さすぎると光学欠点が生じやすくなる傾向がある。なお、かかる炭素数の上限は通常22以下、好ましくは20以下である。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩の有するエチレンオキサイド単位の平均繰り返し数は3以上であることが好ましく、特に好ましくは5以上、更に好ましくは7以上である。
かかる平均繰り返し数が少なすぎるとフィルムの透明性が低下したり、光学欠点が発生しやすくなる傾向がある。なお、かかる平均繰り返し数の上限は通常20以下、好ましくは18以下である。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩は、0.1%の水溶液とし23℃50%RHの環境下で測定した時の表面張力が37mN/m以上であることが好ましく、特に好ましくは40mN/m以上、更に好ましくは42mN/m以上である。
かかる表面張力が小さすぎるとフィルムの透明性が低下しやすい傾向がある。なお、かかる表面張力の上限は、通常65mN/m以下、好ましくは60mN/m以下である。
上記ノニオン性界面活性剤(B1)の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部、特に好ましくは0.003〜0.9重量部、更に好ましくは0.004〜0.8重量部である。かかる含有量が多すぎるとフィルムの外観性や透明性が低下する傾向があり、少なすぎるとダイライン抑制効果が発揮されにくい傾向がある。
上記リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.005〜1重量部、特に好ましくは0.007〜0.5重量部、更に好ましくは0.01〜0.2重量部である。かかる含有量が多すぎるとフィルムの透明性が低下する傾向があり、少なすぎるとフィルムの剥離性が低下する傾向がある。
また、ノニオン性界面活性剤(B1)とリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)の含有比率((B2)/(B1);重量比)は、好ましくは0.01≦(B2)/(B1)≦20、特に好ましくは0.02≦(B2)/(B1)≦17、更に好ましくは0.03≦(B2)/(B1)≦15である。
ノニオン性界面活性剤(B1)に対するリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)の含有比率が高すぎるとフィルムの透明性が低下する傾向があり、少なすぎるとフィルムに光学欠点が発生しやすい傾向がある。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる水溶液の樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができにくくなる傾向がある。
次に、得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡や多軸押出機による脱泡などの方法があげられる。多軸押出機としては、ベントを有した多軸押出機であれば、とくに限定されないが、通常はベントを有した2軸押出機が用いられる。
脱泡処理ののち、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出及び流延されて、キャスト法により製膜される。
T型スリットダイ出口のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度は、吐出時に50〜200Pa・sであることが好ましく、特に好ましくは70〜150Pa・sである。
かかる水溶液の粘度が、低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流涎が困難となる傾向がある。
T型スリットダイからキャストドラムに吐出されるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の吐出速度は、0.2〜5m/分であることが好ましく、特に好ましくは0.4〜4m/分、更に好ましくは0.6〜3m/分である。
かかる吐出速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると流涎が困難となる傾向がある。
かかるキャストドラムの直径は、好ましくは2〜5m、特に好ましくは2.4〜4.5m、更に好ましくは2.8〜4mである。
かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4m以上であり、特に好ましくは4.5m以上、更に好ましくは5m以上、殊に好ましくは5〜6mである。
キャストドラムの幅が小さすぎると生産性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜35m/分である。
かかる回転速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると乾燥が不十分となる傾向がある。
かかるキャストドラムの表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜95℃である。
かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると発泡してしまう傾向がある。
次いで、前記工程(II)について説明する。工程(II)は、製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程である。
キャストドラムで製膜されたフィルムの乾燥は、膜の表面と裏面とを複数の熱ロールに交互に接触させることにより行なわれる。熱ロールの表面温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜130℃、特に好ましくは60〜110℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると乾燥しすぎることとなり、うねりなどの外観不良を招く傾向がある。
また、熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことが好ましい。
本発明においては、熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、60〜150℃が好ましく、特に好ましくは70〜140℃である。熱処理温度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が不足したり、位相差ふれの原因となる傾向があり、高すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。かかる熱処理方法としては、例えば、高温の熱ロールに接触させる方法や、フローティングドライヤーにて行う方法等が挙げられる。
乾燥、必要に応じて熱処理が行われたフィルムは、前記工程(III)を経て製品(本発明の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム)となる。工程(III)は、フィルムの両端をスリットして、ロールに巻き取る工程である。
なお、ここまでポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、この水溶液を回転するキャストドラム(ドラム型ロール)に流延して、キャスト法により製膜、乾燥し、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法を説明してきたが、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を樹脂フィルム上、または金属ベルト上に流延し、製膜、乾燥することも可能である。
かかる偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの厚さは、5〜75μmであることが好ましく、偏光フィルムの薄型化の点から、特に好ましくは10〜60μmであり、耐久性の点から、更に好ましくは15〜60μmである。
また、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの幅は、4m以上であることが好ましく、大面積化の点からより好ましくは4.5m以上、破断回避の点から特に好ましくは4.5〜6mである。
また、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、4km以上であることが好ましく、大面積化の点からより好ましくは4.5km以上、輸送重量の点から特に好ましくは4.5〜50kmである。
次に、本発明の偏光膜について説明する。
本発明の偏光膜は、上記偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。また、必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。また、必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
また、偏光膜の偏光度は、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.8%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H)/(H11+H)〕1/2
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは42%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
かくして、本発明の偏光膜が得られるが、本発明の偏光膜は、偏光ムラの少ない偏光板を製造するのに好適である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、その片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合されて偏光板となる。保護フィルムとしては、たとえば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートがあげられる。
貼合方法は、公知の手法で行われるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行われる。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜や偏光板は、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして測定を行った。
<測定条件>
(1)剥離性
・「剥離性試験(X)」
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、ギャップ560μmのアプリケーターを用いて表面温度を92℃に調整したガラス表面上に流延し、6分間乾燥させた後、ガラス板から25mm/秒の速度でポリビニルアルコール系フィルム(乾燥フィルム;厚み60μm、幅150mm)を剥離させた。このときの剥離力(g)をデジタルフォースゲージZTA−DPU(IMADA社製)で測定した。
(評価基準)
○・・・250g未満
×・・・250g以上
・「剥離性試験(Y)」
偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製膜中に、キャストドラムからのフィルムの剥離状態を目視観察し、下記の基準で剥離性を評価した。
(評価基準)
○・・・全幅全長にわたってきれいに剥離した
×・・・フィルムの一部分がキャスト型に付着した
(2)透明性
剥離性試験(X)の際に得られたポリビニルアルコール系フィルム(乾燥フィルム)の両面に防錆油(呉工業社製、商品名「KURE 5−56」)を吹き付けて、ヘイズメーターNDH−4000(日本電色社製)で内部ヘイズを測定することにより、フィルムの透明性を評価した。
(評価基準)
○・・・0.3以下
×・・・0.3より大きい
(3)ポリビニルアルコール系フィルム外観性
(ダイライン評価)
得られた偏光膜製造膜用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、暗室下で白色スクリーンに該フィルムを投影させ、スクリーンに映る陰影を観察することにより、ダイラインの発生の有無を確認した。
(評価基準)
○・・・何も見えず均一である
×・・・ダイラインが確認でできる
(4)偏光フィルム外観性
〔色ムラ〕
得られた偏光フィルムの幅方向の中央部と両側端部(偏光フィルムの両側端の各端から10cm内側とする)から、長さ30cm×幅30cmの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学的な色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・色ムラ、スジなし
△・・・かすかに色ムラあるいはスジあり
×・・・色ムラ、スジあり
界面活性剤として以下のものを準備した。
・ノニオン系界面活性剤(B1)
(B1−1)「ラウリン酸ジエタノールアミド(1:1型)」
・リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)
(B2−1)「ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートカリウム」
:0.1%ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートカリウム水溶液の23℃50%RH環境下での表面張力は37mN/m
(B2−2)「ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートカリウム」
:0.1%ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートカリウム水溶液の23℃50%RH環境下での表面張力は49mN/m
・非リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2’)
(B2’−1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム
<実施例1>
(ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製)
ポリビニルアルコール系樹脂(A)として重量平均分子量142000、平均ケン化度99.8モル%の未変性PVA系樹脂を100部、可塑剤としてグリセリンを12部、ノニオン系界面活性剤(B1)としてラウリン酸ジエタノールアミド(B1−1)を0.03部、アニオン系界面活性剤(B2)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートカリウム(B2−1)を0.02部、及び水380部を混合し、130℃まで昇温して加圧溶解を行い、濃度調整により均一に溶解した樹脂濃度20%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
上記で得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて、剥離性評価(X)および透明性の評価を実施した。評価結果は下記表1に記す。
<実施例2>
実施例1において、リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)を(B2−1)から(B2−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて、剥離性評価(X)および透明性の評価を実施した。評価結果は下記表1に記す。
<比較例1>
実施例1において、リン酸エステル型界面活性剤(B2−1)を非リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2’−1)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて、剥離性評価(X)および透明性の評価を実施した。評価結果は下記表1に記す。
<比較例2>
実施例1において、リン酸エステル型界面活性剤(B2−1)を非リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2’−1)に変更し、その配合量を0.06部とした以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて、剥離性評価(X)および透明性の評価を実施した。評価結果は下記表1に記す。
<実施例3>
(ポリビニルアルコール系フィルムの製造)
ポリビニルアルコール系樹脂(A)として重量平均分子量142,000、平均ケン化度99.8モル%の未変性PVA系樹脂を100部、可塑剤としてグリセリンを12部、ノニオン系界面活性剤(B1)としてラウリン酸ジエタノールアミドを0.03部、アニオン系界面活性剤(B2)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートカリウム(B2−1)を0.02部、及び水270部を混合し、130℃まで昇温して加圧溶解を行い、濃度調整により均一に溶解した樹脂濃度25%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、水溶液温度を95℃にし、T型スリットダイ吐出口より、回転するキャストドラム(表面クロムメッキ)に、吐出速度2.5m/分で吐出および流延して製膜した。この時、剥離性試験(Y)に基づきキャストドラムからのフィルムの剥離性を評価した。
次いで、フィルムの表面と裏面とを15本の熱ロール(温度70〜120℃)に交互に接触させながら乾燥を行い、更に、フローティングドライヤーを用いて、フィルム両面から120℃の熱風を吹き付けて熱処理し、両端部をスリットしてロールに巻き取り、幅5m、厚さ60μm、長さ5000mの偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られた偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムについて外観性の評価を行なった。評価結果は下記表2に記す。
(偏光フィルムの製造)
得られた上記ポリビニルアルコール系フィルムをロールから繰り出し、搬送ロールを用いて水平方向に搬送し、まず、水温30℃の水槽に浸漬して膨潤させながら流れ方向(MD方向)に1.7倍に延伸した。次に、ヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる30℃の水溶液中に浸漬して染色しながら流れ方向(MD方向)に1.6倍に延伸し、ついでホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(50℃)に浸漬してホウ酸架橋しながら流れ方向(MD方向)に2.1倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、50℃で2分間乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光フィルムを得た。かかる製造中に破断は起きなかった。また、得られた偏光フィルムの特性を下記の表2に示す。
<実施例4>
実施例3において、リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)を(B2−1)から(B2−2)に変更した以外は実施例3と同様にして、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム製造し、剥離性およびフィルム外観性を評価した。評価結果は下記表2に記す。
また得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて実施例3と同様にして偏光フィルムを作製した。その特性を表2に示す。
<比較例3>
実施例3において、リン酸エステル型界面活性剤(B2−1)を非リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2’−1)に変更した以外は実施例3と同様にして、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム製造し、剥離性およびフィルム外観性を評価した。評価結果は下記表2に記す。
得られたポリビニルアルコール系フィルムを実施例3と同様にして偏光フィルムを作製しようとしたが、延伸時に破断が多発した。一部得られた偏光フィルムも色ムラが発生していた。その特性を表2に示す。
<比較例4>
実施例3において、リン酸エステル型界面活性剤(B2−1)を非リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2’−1)に変更し、その配合量を0.06部とした以外は、実施例3と同様にして、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム製造し、剥離性およびフィルム外観性を評価した。評価結果は下記表2に記す。
また、得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて実施例3と同様にして偏光フィルムを作製した。その特性を表2に示す。
<比較例5>
実施例3において、ラウリン酸ジエタノールアミド(B1−1)を配合しなかった以外は実施例3と同様にして、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム製造し、剥離性およびフィルム外観性を評価した。評価結果は下記表2に記す。
また、得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて実施例3と同様にして偏光フィルムを作製した。その特性を表2に示す。
実施例3〜4の偏光膜製造用のポリビニルアルコール系フィルムは、ダイラインがなく透明性に優れ、フィルム外観に優れていることから、このようなフィルムを偏光膜製造用の原反に用いることで、色ムラがなく品質の高い偏光膜が得られることがわかる。また、原反フィルムの生産効率が向上するのでコストメリットにも優れるものであった。
それに対し、比較例3の偏光膜製造用のポリビニルアルコール系フィルムは、剥離不良があったことから、延伸時に破断が多発し、一部得られた偏光フィルムは色ムラが発生し品質に劣るものであった。
そして、比較例4の偏光膜製造用のポリビニルアルコール系フィルムは、透明性に劣っていたため、そのフィルムから得られる偏光膜は光線透過率ムラ起因の品質劣化が生じてしまったことがわかる。
また、比較例5で得られたポリビニルアルコール系フィルムはダイラインがあったことから、そのフィルムから得られる偏光膜はダイライン起因によるスジ不良が発生し、品質に劣るものであったことがわかる。
本発明の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜や偏光板は、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。

Claims (9)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(A)、ノニオン系界面活性剤(B1)およびアニオン系界面活性剤を含有する偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムであって、アニオン系界面活性剤がリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)であることを特徴とする偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  2. リン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩であることを特徴とする請求項1記載の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  3. ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩の有するアルキル基の炭素数が8以上であることを特徴とする請求項2記載の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  4. ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩の有するエチレンオキサイド単位の平均繰り返し数が3以上であることを特徴とする請求項2および3記載の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  5. ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩が、0.1%の水溶液とし23℃50%RHの環境下で測定する表面張力が37mN/m以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩であることを特徴とする請求項2〜4いずれか記載の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  6. ノニオン系界面活性剤(B1)とリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)の含有比率(重量比)が、0.01≦(B2)/(B1)≦20であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  7. ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対するリン酸エステル型アニオン系界面活性剤(B2)の含有量が、0.005〜1重量部であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  8. 請求項1〜7いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られることを特徴とする偏光膜。
  9. 請求項8記載の偏光膜と、上記偏光膜の少なくとも片面に設けられた保護フィルムとを備えていることを特徴とする偏光板。

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