JP2018010281A - ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光膜 - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2018010281A
JP2018010281A JP2017109008A JP2017109008A JP2018010281A JP 2018010281 A JP2018010281 A JP 2018010281A JP 2017109008 A JP2017109008 A JP 2017109008A JP 2017109008 A JP2017109008 A JP 2017109008A JP 2018010281 A JP2018010281 A JP 2018010281A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyvinyl alcohol
film
resin
polarizing film
alcohol film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017109008A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6953804B2 (ja
Inventor
御手洗 宏志
Hiroshi Mitarai
宏志 御手洗
早川 誠一郎
Seiichiro Hayakawa
誠一郎 早川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Publication of JP2018010281A publication Critical patent/JP2018010281A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6953804B2 publication Critical patent/JP6953804B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

【課題】 薄型のポリビニルアルコール系フィルムでありながら偏光膜製造時の延伸性に優れ、薄型で色ムラの少ない偏光膜を得ることができるポリビニルアルコール系フィルムを提供すること、かかるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、更にはかかるポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜を提供すること。【解決手段】 重量平均分子量が120,000〜160,000、かつ平均ケン化度が99.0〜99.9モル%のポリビニルアルコール系樹脂から製造される厚さ45μm以下のポリビニルアルコール系フィルムであって、JIS K7127:1999に準じて23℃50%RHの環境下で引っ張り試験をした際の破断伸度が6倍以上であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムに関し、更に詳しくは、薄型であり、かつ優れた延伸性を有するポリビニルアルコール系フィルムであり、フレキシブルであり色ムラのない偏光膜を得ることができるポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびに該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜に関するものである。
近年、有機ELディスプレイの発展はめざましく、スマートフォン、タブレット、テレビ、車載パネルなどに幅広く使用され始めている。更に、液晶ディスプレイでは達成が困難な軽量薄型化、曲面表示、フレキシブル化などが可能な次世代ディスプレイとして期待されている。かかる有機ELディスプレイには、外光及び/または内光の反射防止のために偏光膜が装着されており、かかる偏光膜にも薄型化やフレキシブル化、更には、折り曲げ性や折り畳み性が要望されている。
一般的に、偏光膜は、原反であるポリビニルアルコール系フィルムを水(温水を含む)で膨潤させた後、ヨウ素で染色し、延伸することによりヨウ素分子を配向させ、ホウ酸架橋により配向状態を固定したものが使用されている。ホウ酸架橋により偏光膜の剛性は上がり、フレキシブル性は低下する傾向にある。更に、トリアセチルセルロースなどの保護フィルムを片面または両面に貼付した時には、剛性が増大して、折り曲げや折り畳みは困難になる傾向にある。いくら有機ELデバイスがフレキシブルであっても、反射防止膜にフレキシブル性が無い場合、ディスプレイとしては平面状のものしか得られない。かかるフレキシブル性の向上のためにも、偏光膜の薄型化が強く望まれている。なお偏光膜は偏光フィルムや偏光子とも呼ばれる。
偏光膜の薄型化のためには、原反であるポリビニルアルコール系フィルムの薄型化が必須であり、かつ高度な延伸性が必要となる。ポリビニルアルコール系フィルムは、従来、厚さ60μm程度だったものが、今後、45μm以下が主流になると予想される。通常、偏光膜製造時の延伸倍率は4〜7倍程度であり、厚さ45μm以下のポリビニルアルコール系フィルムを用いて高倍率で延伸することにより、厚さ20μm以下のフレキシブルな偏光膜を製造することが可能となる。
一方、原反であるポリビニルアルコール系フィルムは、一般的に、原料であるポリビニルアルコール系樹脂の水溶液から連続キャスト法により製造される。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャストドラムやエンドレスベルトなどのキャスト型に流涎し、得られたフィルムをキャスト型から剥離後、長さ方向(MD方向)に搬送しながら、金属加熱ロールを用いて乾燥し、必要に応じてフローティングドライヤーなどを用いて熱処理することにより製造される。かかる搬送工程において、フィルムは、MD方向に引っ張られるため、ポリビニルアルコール系高分子はMD方向に配向しやすく、かかる配向が大きすぎると、ポリビニルアルコール系フィルムのMD方向への延伸性が低下すると共に、最終的に、偏光膜の偏光性能が低下することになる。
偏光膜の薄型化の手法として、例えば、熱可塑性樹脂フィルム上に形成されたポリビニルアルコール層を延伸する偏光膜の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ポリビニルアルコール系フィルムの延伸性を改良する手法として、電磁波照射によりヤング率(引っ張り弾性率)を20MPa以下に低減したポリビニルアルコール系フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、未溶解物のないポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2014−32361号公報 特開2013−97232号公報 特開2002−60495号公報
しかしながら、上記特許文献の手法をもってしても、偏光膜の薄型化は困難であった。
上記特許文献1は、厚さ6μmのポリビニルアルコール層を6倍程度延伸し、厚さ3μm程度の偏光膜を製造するものであるが、かかる延伸工程中にポリビニルアルコール層及び/または熱可塑性樹脂フィルムが破断してしまうという問題があった。
上記特許文献2の開示技術では、破断伸度を向上できるものの、電子線照射装置は設備負荷が大きく、また、実施例は厚さ50μm以上のポリビニルアルコール系フィルムしか記載されておらず、近年の偏光膜の薄型化の要望に対応するためには、更なる改善が要望されていた。
上記特許文献3の開示技術では、未溶解物を低減できるものの、高温なためにポリビニルアルコール系樹脂が分解し、また、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が変化してしまう傾向があった。
なお、液晶用偏光膜と有機EL用偏光膜では、要求される特性に少し違いがある。液晶用偏光膜には、高い偏光度が要望されるが、有機EL用偏光膜には、上述した通り、反射防止に必要な偏光度は必要なものの、よりフレキシブル性が要求されるものである。すなわち、液晶用偏光膜には99.9%以上の偏光度が要求され、かかる偏光度を達成するために、高分子量かつ平均ケン化度の高いポリビニルアルコール系樹脂が必要となるが、有機EL用偏光膜には98%以上の偏光度で充分であり、フレキシブル性を達成するための適度な分子量と平均ケン化度が優先される。しかしながら、色ムラなどの品質に関する要求は同等であり、また、偏光膜の製造工程は同様であり、製造歩留りを低下させることは厳禁である。例えば、延伸槽やホウ酸架橋槽にポリビニルアルコール系樹脂が溶出して、槽内を汚染するような事態は避けねばならず、適切な分子量と平均ケン化度を設定する必要があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、薄型のポリビニルアルコール系フィルムでありながら偏光膜製造時の延伸性に優れ、薄型で色ムラの少ない偏光膜を得ることができるポリビニルアルコール系フィルムを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定のポリビニルアルコール系樹脂から得られる薄膜のポリビニルアルコール系フィルムであって、特定の破断伸度を示すポリビニルアルコール系フィルムが、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、重量平均分子量が120,000〜160,000、かつ平均ケン化度が99.0〜99.9モル%のポリビニルアルコール系樹脂から製造される厚さ45μm以下のポリビニルアルコール系フィルムであって、JIS K7127:1999に準じて23℃50%RHの環境下で引っ張り試験をした際の破断伸度が6倍以上であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムである。
また、本発明は、前記ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、前記ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜も提供するものである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、薄型でありながら偏光膜製造時の延伸性に優れ、薄型の偏光膜を製造する場合でも破断が生じず、高い生産性で色ムラの少ない偏光膜を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、重量平均分子量が120,000〜160,000、かつ平均ケン化度が99.0〜99.9モル%のポリビニルアルコール系樹脂から製造される厚さ45μm以下のポリビニルアルコール系フィルムであって、JIS K7127:1999に準じて23℃50%RHの環境下で引っ張り試験をした際の破断伸度が6倍以上である。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は120,000〜160,000であることが必要であり、好ましくは、偏光度の点で130,000〜160,000、特に好ましくは135,000〜160,000、更に好ましくは延伸性の点で135,000〜150,000、殊に好ましくは135,000〜145,000である。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は99.0〜99.9モル%であることが必要であり、偏光度の点で、特に好ましくは99.0〜99.7モル%、更に好ましくは延伸性の点で99.1〜99.5%である。なお、平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
一般的に、液晶用偏光膜に用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、偏光度の向上の点で、高分子量かつ高平均ケン化度のものが好ましいとされている。確かに、99%以上の偏光度を確保するには、120,000以上の分子量が必要であり、かつ99.0モル%以上の平均ケン化度が必要である。しかし、分子量が160,000を超えたり、平均ケン化度が99.9モル%を超えると、ポリビニルアルコール系フィルムの延伸性が低下するため、有機EL用偏光膜には適さない傾向がある。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの厚さは、45μm以下であることが必要であり、偏光膜製造時の破断回避の点で、好ましくは30〜45μmである。
かかる厚さは、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中の樹脂濃度、キャスト型への吐出量(吐出速度)、延伸倍率などにより調整される。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムのJIS K7127:1999に準じて23℃50%RHの環境下で引っ張り試験をした際の破断伸度は、6倍以上であることが必要であり、偏光膜の薄型化の点で、好ましくは6.1倍以上、特に好ましくは6.2倍以上である。一般的に、破断伸度の上限は7倍である。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、フィルムを60℃の水に5分間浸漬した際に、溶出するポリビニルアルコール系樹脂が、20,000ppm/m2以下であることが好ましく、特に好ましくは15,000ppm/m2以下、更に好ましくは10,000ppm/m2以下である。
かかる浸漬条件でのポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が多すぎると、偏光膜製造工程において、溶出するポリビニルアルコール系樹脂が薬液を汚染し、薬液の交換頻度や槽内の洗浄頻度が増大する傾向がある。なお、本発明においては、偏光膜製造の工程が数十℃で数分間であることを鑑み、60℃5分間での水に対する溶出量を指標とした。
かかる溶出量を低減する方法としては、原料のポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量やケン化度を調節する手法やポリビニルアルコール系フィルムを充分に乾燥及び/または熱処理する手法などが挙げられる。
更に、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、フィルムを30℃の水に2分間浸漬した際に、溶出するポリビニルアルコール系樹脂が、50ppm/m2以下であることが好ましく、特に好ましくは40ppm/m2以下、更に好ましくは30ppm/m2以下である。かかる浸漬条件でのポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が多すぎると、偏光膜製造の膨潤工程において、溶出するポリビニルアルコール系樹脂が膨潤槽を汚染し、偏光膜の品質が低下する傾向がある。なお、本発明においては、膨潤工程が30℃付近で数分間であることを鑑み、30℃2分間での水に対する溶出量を指標とした。
上述した溶出試験は、試験片として面積が1m2のフィルムを用いて行ってもよいが、より小サイズのフィルムを浸漬し、実際に浸漬したフィルムの面積を1m2に面積換算して、m2当たりの溶出量としてもよい。かかる小サイズのフィルムを用いる場合、特に低温での溶出試験の場合は、複数枚浸漬し、実際浸漬したフィルムの総面積を1m2に面積換算して、m2当たりの溶出量とすることが好ましい。例えば、10cm角のフィルムを5枚(総面積0.05m2)浸漬した場合、得られた溶出濃度(ppm)を20倍して溶出量(ppm/m2)とすることができる。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について説明する。
一般的に、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を連続キャスト法により製膜し、得られたフィルムを乾燥することで得られるが、本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を加圧溶解して調製することが好ましい。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂を、温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調整するが、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、および/またはカチオン性の界面活性剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜性の点で好ましい。
本発明において、ポリビニルアルコール系フィルム中の可塑剤や界面活性剤の量は、溶出量低減の点から30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製は、まず、ポリビニルアルコール系樹脂を、水を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調整する。
本発明においては、かかるウェットケーキ、必要に応じて可塑剤や界面活性剤を、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に投入し、溶解缶中に水蒸気を吹き込んで加圧しながら溶解、及び所望濃度の水溶液に調製することが好ましい。
かかる加圧溶解時の圧力は、特に限定されないが、0.1〜1MPa程度が好ましい。
また、加圧溶解時の温度は100〜150℃が好ましく、特に好ましくは105〜140℃、更に好ましくは110〜130℃である。かかる加圧溶解時の溶解温度が低すぎると、未溶解物が残存する傾向があり、高すぎると、ケン化度が過度に増大して延伸性が低下すると共に、分解物が発生して水へのポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が増大する傾向がある。
加圧溶解時の溶解時間は1〜60分が好ましく、特に好ましくは2〜40分、更に好ましくは3〜30分である。溶解時間が短すぎると、未溶解物が残存する傾向があり、長すぎると、ケン化度が過度に増大して延伸性が低下すると共に、分解物が発生して水への溶出量が増大する傾向がある。溶解後、溶解缶中の液を一部抜き出し、プロセス屈折率計を用いて濃度測定を行ない、所望する濃度となるように、水を添加または蒸発させて濃度調整が行われる。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる水溶液の樹脂濃度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの生産能力が低下する傾向があり、高すぎると高粘度なために移液が困難となる傾向がある。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上記のポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、回転するキャスト型に吐出及び流延して、キャスト法により製膜し、得られるフィルムを乾燥及び熱処理することで連続的に製造することができ、例えば、以下の工程により製造することができる。
(A)連続キャスト法により製膜する工程。
(B)得られたフィルムを、加熱して乾燥、必要に応じて熱処理する工程。
ここで、上記キャスト型としては、例えばキャストドラム(ドラム型ロール)、エンドレスベルト、樹脂フィルム型などがあげられるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性に優れる点からキャストドラムで行うことが好ましい。
以下、キャスト型がキャストドラムの場合について説明する。
前記、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有する多軸押出機による脱泡などの方法があげられる。ベントを有する多軸押出機としては、通常はベントを有した2軸押出機が用いられる。
脱泡処理ののち、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出及び流延されて、連続キャスト法により製膜される。
T型スリットダイ出口のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度は、吐出時に50〜200Pa・sであることが好ましく、特に好ましくは70〜150Pa・sである。かかる水溶液の粘度が、低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流涎が困難となる傾向がある。
T型スリットダイからキャストドラムに吐出されるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の吐出速度は、0.1〜2m/分であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜1.5m/分、更に好ましくは0.3〜1m/分である。かかる吐出速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると流涎が困難となる傾向がある。
かかるキャストドラムの直径は、好ましくは2〜5m、特に好ましくは2.4〜4.5m、更に好ましくは2.8〜4mである。かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4m以上であり、特に好ましくは4.5m以上、更に好ましくは5m以上、殊に好ましくは5〜7mである。キャストドラムの幅が小さすぎると生産性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜35m/分である。かかる回転速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると製膜して得られたフィルムをキャストドラムから剥離する際の剥離性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの表面温度は、50〜99℃であることが好ましく、より好ましくは60〜90℃、特に好ましくは65〜85℃である。かかる表面温度が低すぎると製膜して得られたフィルムをキャストドラムから剥離する際の剥離性が低下する傾向があり、高すぎると発泡してしまう傾向がある。
かくして、フィルムの製膜が行われ、得られたフィルムはキャストドラムから剥離される。
次いで、前記工程(B)について説明する。工程(B)は、得られたフィルムを加熱して乾燥、必要に応じて熱処理する工程である。
キャストドラムから剥離されたフィルムは、長さ方向(MD方向)に搬送され、膜の表面と裏面とを複数の金属加熱ロールに交互に接触させることにより乾燥される。金属加熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことが好ましい。
乾燥温度は、50〜150℃が好ましく、特に好ましくは60〜140℃、更に好ましくは70〜130℃、殊に好ましくは80〜120℃である。かかる乾燥温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎるとうねりなどの外観不良を招く傾向がある。
乾燥時間は、10〜100秒が好ましく、特に好ましくは20〜90秒、更に好ましくは30〜80秒、殊に好ましくは40〜70秒である。乾燥時間が短すぎると乾燥不良となる傾向があり、長すぎるとうねりなどの外観不良を招く傾向がある。
金属加熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行ってもよい。熱処理方法としては、フローティングドライヤーにて行う方法、乾燥後一旦常温程度まで冷却した後に再度高温の熱ロールに接触させる方法や、赤外線ランプを用いてフィルムの両面に近赤外線を照射する手法等が挙げられるが、これらの中でも、均一に熱処理できる点で、フローティングドライヤーにて行う方法が好ましい。
熱処理を行う場合、温度は70〜150℃が好ましく、特に好ましくは80〜140℃、更に好ましくは90〜130℃である。かかる熱処理温度が低すぎると、フィルムの耐水性が不足する傾向があり、高すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。
熱処理時間は、特に限定されないが、フローティングドライヤーを用いる場合、10〜120秒が好ましく、特に好ましくは20〜90秒、更に好ましくは30〜60秒である。熱処理時間が短すぎると、フィルムの耐水性が不足する傾向にあり、逆に、長すぎると、生産性が低下する傾向がある。
乾燥、必要に応じて熱処理が行われたフィルムは、フィルムの両端をスリットされ、ロールに巻き取られて製品(ポリビニルアルコール系フィルム)となる。
かくして得られるポリビニルアルコール系フィルムの幅は、偏光膜の大面積化の点で4m以上であることが好ましく、特に好ましくは、破断回避の点で4〜6mである。
ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、偏光膜の大面積化の点で4km以上であることが好ましく、特に好ましくは、輸送重量の点で4〜50kmである。
かくして、本発明のポリビニルアルコール系フィルムが得られる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、延伸性に優れるため、薄型偏光膜用の原反として好ましく用いられ、特にフレキシブルな有機ELディスプレイの反射防止膜の原反として好ましく用いられる。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向に4〜10倍、好ましくは5〜8倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、40〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
また、偏光膜の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光度が低すぎると有機ELディスプレイにおける反射防止効果が低下する傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは42%以上、特に好ましくは43%以上である。かかる単体透過率が低すぎると有機ELディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
かくして、本発明の偏光膜が得られるが、本発明の偏光膜は、薄型であり、色ムラの無い偏光板を製造するのに好適である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、その片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合されて偏光板となる。保護フィルムとしては、たとえば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートがあげられる。
貼合方法は、公知の手法で行われるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行われる。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜や偏光板は、薄型で色ムラが無いため、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
<測定条件>
(1)ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量
GPC−MALS法により、以下の条件で測定した。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ多角度光散乱光度計
構成
ポンプ:Waters製515
検出器:示差屈折率計Waters製RI−2410型(感度:128×)
多角度光散乱検出器Wyatt Technology製DAWN EOS
カラム:東ソー(株)製TSK−gel−GMPWXL 2本、G2500PWXL 1本
溶媒:0.1M 硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
温度:23℃
試料調整:試料5mgに溶媒5mLを加え、約90℃で2時間攪拌した(試料濃度約0.1%)。目視で溶解していることを確認した後、0.45μmフィルターを用いて濾過を行った。
注入量:0.2ml
屈折率濃度変化(dn/dc):0.1593ml/g
(2)ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度(モル%)
JIS K 6726に準じて測定した。
(3)破断伸度(倍)
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、23℃50%RHの恒温恒湿器内で24時間調湿した後、120mm×15mmの試験片を切り出し、島津製作所社製「精密万能試験機、オートグラフ(AG−IS)」を用いて、JIS K7127:1999(引っ張り速度1000mm/分、チャック間距離50mm)に準じて、23℃50%RHの環境下で、MD(長さ方向)の破断伸度(倍)を測定した。
(4)ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量(ppm/m2
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、23℃50%RHの恒温恒湿器内で24時間調湿した後、100mm×100mm(0.01m2)の試験片を1枚切り出し、1Lのイオン交換水に60℃5分間浸漬して溶出液を得た。かかる溶出液10mLに発色試薬(イオン交換水500g、ヨウ化カリウム7.4g、ヨウ素0.65g、ホウ酸10.6g)10mLを室温で混合した後、分光光度計(島津製作所社製UV−3100PC)を用いて波長690nmの吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線からポリビニルアルコール系樹脂の濃度(ppm)を算出し、面積換算することで溶出量(ppm/m2)とした。
100mm×100mm(0.01m2)の試験片を150枚切り出し、全数(合計1.5m2)を浸漬すること以外は上記と同様にして、30℃2分間浸漬した場合の溶出量(ppm/m2)を求めた。
(5)偏光度(%)、単体透過率(%)
得られた偏光膜の幅方向の中央部と両端部(膜端から10cm内側とする)から、長さ4cm×幅4cmの試験片を切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光(株)製:VAP7070)を用いて、偏光度(%)と単体透過率(%)を測定した。
(6)色ムラ
得られた偏光膜の幅方向の中央部と両端部(膜端から10cm内側とする)から、長さ30cm×幅30cmの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学的な色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・色ムラが観察されなかった
×・・・色ムラが観察された
<実施例1>
(ポリビニルアルコール系フィルムの作製)
重量平均分子量142,000、平均ケン化度99.1モル%のポリビニルアルコール系樹脂1,000kg、水2,500kg、可塑剤としてグリセリン100kgを溶解缶に入れ、撹拌しながら昇温及び加圧して、120℃で1時間溶解させた。かかる加圧溶解後、樹脂濃度25%に濃度調整を行い、均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
次に該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、ベントを有する2軸押出機に供給して脱泡した後、T型スリットダイ吐出口より、回転するキャストドラムに吐出(吐出速度1.9m/分)及び流延して製膜した。キャストドラムからフィルムを剥離し、フィルムの表面と裏面とを20本の金属加熱ロールに交互に接触させながら乾燥(80〜120℃)を行い、次いでフローティングドライヤーを用いて、120℃30秒の熱処理を行った。最後に、両端部をスリットしてロールに巻き取り、厚さ45μm、幅5m、長さ5kmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性を表1に示す。
(偏光膜の製造)
得られたポリビニルアルコール系フィルムをロールから巻き出し、搬送ロールを用いて水平方向に搬送し、まず、水温30℃の水槽に浸漬して膨潤させながら2分間で2.0倍に延伸した。次に、ヨウ素0.9g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬して染色しながら0.5分間で1.6倍に延伸し、ついでホウ酸25g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる60℃の水溶液に浸漬してホウ酸架橋しながら2.2倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、50℃で2分間乾燥して総延伸倍率7.0倍の偏光膜(厚さ14μm)を得た。かかる偏光膜の製造中に破断は起きなかった。得られた偏光膜の特性を表2に示す。
<実施例2、比較例1,2>
表1に示される条件で製造する以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性を表1に、得られた偏光膜の特性を表2に示す。
なお、比較例1においては、実施例1と同様にして、偏光膜の製造を試みたが、ホウ酸架橋工程における延伸中に破断が生じた。また、比較例2においては、偏光膜製造後にホウ酸架橋槽の薬液を目視で確認したところ、ポリビニルアルコール系樹脂の溶出による析出物が見られた。
Figure 2018010281
Figure 2018010281
実施例1,2のポリビニルアルコール系フィルムは、本発明の特定の範囲内であるため、偏光性能に優れた偏光膜が得られたのに対し、比較例1,2のポリビニルアルコール系フィルムは、本発明の特定の範囲外であるため、偏光性能に優れた偏光膜は得られなかったことがわかる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜や偏光板は、薄型で色ムラが無いため、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。

Claims (7)

  1. 重量平均分子量が120,000〜160,000、かつ平均ケン化度が99.0〜99.9モル%のポリビニルアルコール系樹脂から製造される厚さ45μm以下のポリビニルアルコール系フィルムであって、JIS K7127:1999に準じて23℃50%RHの環境下で引っ張り試験をした際の破断伸度が6倍以上であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  2. ポリビニルアルコール系フィルムを60℃の水に5分間浸漬した際に、溶出するポリビニルアルコール系樹脂が20,000ppm/m2以下であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. ポリビニルアルコール系フィルムを30℃の水に2分間浸漬した際に、溶出するポリビニルアルコール系樹脂が50ppm/m2以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  4. 幅4m以上、長さ4km以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  5. 重量平均分子量が120,000〜160,000、かつ平均ケン化度が99.0〜99.9モル%のポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャスト型に吐出及び流涎して製膜し、乾燥して得られるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であって、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が110〜130℃で調液されて得られるものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜。
  7. 有機EL用の反射防止膜であることを特徴とする請求項6記載の偏光膜。
JP2017109008A 2016-06-29 2017-06-01 ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光膜 Active JP6953804B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016128461 2016-06-29
JP2016128461 2016-06-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018010281A true JP2018010281A (ja) 2018-01-18
JP6953804B2 JP6953804B2 (ja) 2021-10-27

Family

ID=60994320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017109008A Active JP6953804B2 (ja) 2016-06-29 2017-06-01 ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6953804B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111337442A (zh) * 2020-03-24 2020-06-26 安徽皖维高新材料股份有限公司 一种测量pva光学薄膜溶出量的方法
WO2022138720A1 (ja) * 2020-12-23 2022-06-30 三菱ケミカル株式会社 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、偏光膜

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001316491A (ja) * 2000-05-01 2001-11-13 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルム
JP2006257236A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルム、および偏光膜、偏光板
JP2006307057A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルムおよび偏光膜、偏光板
JP2006308938A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜、偏光板
JP2009221462A (ja) * 2008-02-19 2009-10-01 Kuraray Co Ltd ビニルアルコール系重合体フィルム
CN102585264A (zh) * 2012-01-20 2012-07-18 河南科技大学 一种用无机蒙脱土改良的明胶/pva复合膜的制备方法
JP2016071303A (ja) * 2014-10-02 2016-05-09 日東電工株式会社 積層体の製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001316491A (ja) * 2000-05-01 2001-11-13 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルム
JP2006257236A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルム、および偏光膜、偏光板
JP2006307057A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルムおよび偏光膜、偏光板
JP2006308938A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜、偏光板
JP2009221462A (ja) * 2008-02-19 2009-10-01 Kuraray Co Ltd ビニルアルコール系重合体フィルム
CN102585264A (zh) * 2012-01-20 2012-07-18 河南科技大学 一种用无机蒙脱土改良的明胶/pva复合膜的制备方法
JP2016071303A (ja) * 2014-10-02 2016-05-09 日東電工株式会社 積層体の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111337442A (zh) * 2020-03-24 2020-06-26 安徽皖维高新材料股份有限公司 一种测量pva光学薄膜溶出量的方法
WO2022138720A1 (ja) * 2020-12-23 2022-06-30 三菱ケミカル株式会社 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、偏光膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP6953804B2 (ja) 2021-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109153797B (zh) 聚乙烯醇系薄膜和其制造方法、以及使用该聚乙烯醇系薄膜的偏光膜
CN109416424B (zh) 偏光膜用聚乙烯醇系薄膜和其制造方法、以及使用该偏光膜用聚乙烯醇系薄膜的偏光膜
JP6834956B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜
JP6262377B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法
WO2022138720A1 (ja) 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、偏光膜
JP2020166291A (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及び偏光膜
JP6776811B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いた偏光膜、偏光板、ならびにポリビニルアルコール系フィルムの製造方法
JP2017102438A (ja) 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いた偏光膜、偏光板、ならびに偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法
JPWO2018199141A1 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜および偏光板、ならびにポリビニルアルコール系フィルムの製造方法
JP6953804B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光膜
JP6881302B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜
JP2023053968A (ja) 偏光板、液晶表示装置およびその製造方法、ならびにポリビニルアルコール系偏光フィルム
JP2016203623A (ja) ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜
JP6740857B2 (ja) 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法
JP6938859B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法及び偏光膜の製造方法
TW201927887A (zh) 偏光膜製造用聚乙烯醇系薄膜、及使用此薄膜獲得之偏光膜、以及聚乙烯醇系樹脂水溶液
JP2017223941A (ja) 偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光膜
JP2016172851A (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、偏光フィルム及び偏光板
JP2022100289A (ja) 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、偏光膜
JP2022100290A (ja) 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、偏光膜
TW202400694A (zh) 聚乙烯醇系薄膜及使用其之偏光膜、以及偏光板
JP2016203617A (ja) ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20190527

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201110

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210831

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210913

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6953804

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151