JP2001316491A - ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルム - Google Patents
ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルムInfo
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Abstract
て有用なポリビニルアルコール系重合体フィルムおよび
これを用いて作製した偏光フィルムを提供する。 【解決手段】 10cm角のポリビニルアルコール系重
合体フィルムを1リットルの50℃の水中に4時間放置
した時のポリビニルアルコール系重合体の溶出量が、1
から100ppmであるポリビニルアルコール系重合体
フィルム。また、これを用いて作製した偏光フィルム。
Description
偏光フィルムの製造原料として有用なポリビニルアルコ
ール系重合体フィルム、およびこれを用いて作製した偏
光フィルムに関するものである。
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計などの小型機器から、近年では、ラップトップパソコ
ン、ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビ
ゲーションシステム、液晶テレビ、パーソナルホンおよ
び屋内外の計測機器などの広範囲に広がり、従来品以上
に偏光性能が高くかつ欠点の少ない偏光板が求められて
いる。
重合体フィルム(以下、ポリビニルアルコール系重合体
を「PVA」、ポリビニルアルコール系重合体フィルム
を「PVAフィルム」と略記することがある)を一軸延
伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、ホ
ウ素化合物で固定処理を行った(染色と固定処理また
は、一軸延伸と固定処理が同時の場合もある)偏光フィ
ルムに、三酢酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・
酪酸セルロース(CAB)フィルムなどの保護膜を貼り
合わせた構成となっている。
ルムの延伸を行うとき、乾式で延伸する場合は染色工程
やホウ素化合物での固定処理工程で、また湿式で延伸す
る場合にはそれに加えて延伸前の膨潤工程や延伸工程で
も、PVAフィルム中のPVAが一部溶解することがあ
る。溶解したPVAは、槽内で析出してPVAフィルム
や偏光フィルムに付着したり、PVAフィルム上や偏光
フィルム上に析出して欠点となるので、偏光フィルムの
収率を低下させる。さらに、析出せずに溶解したままの
PVAは、廃水処理に費用が掛かり、問題となってい
る。
偏光フィルムの製造原料として有用なPVAフィルムお
よび該PVAフィルムを用いて作製した偏光フィルムを
提供することにある。
め、本発明のPVAフィルムは、10cm角のPVAフ
ィルムを1リットルの50℃の水中に4時間放置した時
のPVAの溶出量を、1から100ppmとしている。
を作製するときの各工程(染色、固定処理、膨潤、延伸
などの工程)でのPVAの溶出量が小さいため、このP
VAフィルムを用いることにより、欠点数の少ない偏光
フィルムが高い収率で得られる。また、廃水処理も簡単
となる。
本発明で用いられるPVAは、例えば、ビニルエステル
を重合して得られたポリビニルエステルをけん化するこ
とにより製造される。また該PVAを不飽和カルボン酸
またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導
体、炭素数2〜30のα−オレフィンなどを15モル%
未満の割合でグラフト共重合した変性PVAや、ビニル
エステルと不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和
スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オ
レフィンなどを15モル%未満の割合で共重合した変性
ポリビニルエステルをけん化することにより製造される
変性PVAや、未変性または変性PVAをホルマリン、
ブチルアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデヒド
類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルアセタ
ール樹脂などを挙げることができる。
ル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを挙
げることができ、またこれらの2種以上の混合物なども
挙げることができる。
は、主としてPVAの変性を目的に共重合させるもの
で、上記ビニルエステルと共重合可能なものであれば、
本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。このよう
なコモノマーとして、例えばエチレン、プロピレン、1
−ブテン、イソブテンなどのα−オレフィン類;アクリ
ル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、
アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのア
クリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n
−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリ
ル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタク
リル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリ
ルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルア
ミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロ
ールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルア
ミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミ
ドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミド
プロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロール
メタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルア
ミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセ
トアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミ
ド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、
n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエー
テル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエ
ーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエ
ーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテ
ル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニ
トリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸
アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸お
よびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその
塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなど
のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げ
ることができる。これらのなかでもα−オレフィンが好
ましく、特にエチレンが好ましい。
るのが好ましい。
から97モル%以上が好ましく、98モル%以上がより
好ましく、99モル%以上がさらに好ましく、特に9
9.5モル%以上が最も好ましい。
ルコール単位に変換されうる単位の中で、実際にビニル
アルコール単位にけん化されている単位の割合を示した
ものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の
方法により測定を行った。
す点とPVAフィルムの強度の点から1000以上が好
ましく、偏光性能の点からは1500以上がより好まし
く、2000以上がさらに好ましく、特に2500以上
が最も好ましい。PVAの重合度の上限は8000以下
が好ましく、6000以下がより好ましい。
6726に準じて測定される。すなわちPVAを再け
ん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度
から求められる。
PVAを調整する工程の前のチップ状態で水または温水
で洗浄し、溶出しやすいPVAを予め除去することが重
要である。洗浄する水または温水には、本発明の目的を
損なわない範囲で、酢酸やメタノール、グリセリンなど
の有機溶剤や可塑剤や界面活性剤などを含んでいても良
い。
℃以上で90℃以下が好ましく、20℃以上で80℃以
下がより好ましく、25℃以上で70℃以下がさらに好
ましく、特に30℃以上で60℃以下が最も好ましい。
水の温度が10℃未満では、溶出物の洗浄が充分にでき
ず、一方、温水の温度が90℃を超えると、洗浄中にP
VAの溶出量が大きくロスが増加するし、またPVA同
士が膠着して次の溶解工程等での作業性が悪化するので
好ましくない。
浴比は、1以上が好ましく、1.5以上がより好まし
く、特に2以上が最も好ましい。浴比が1未満では、水
または温水の量が少なくて洗浄が充分行えず、PVAの
溶出量を低減させる効果が小さい。また、浴比の上限は
100未満である。つまり浴比を100以上としても、
洗浄効果に大きな改善は見られず、水または温水の無駄
となり不経済である。
水と接触してから液切りが完了するまでの時間)は、3
0秒以上が好ましく、1分以上がより好ましく、5分以
上がさらに好ましく、特に10分以上が最も好ましい。
く、ネットやベルト上のPVAチップに水または温水を
シャワーした後に液切りする方法、水または温水とPV
Aチップをバッチで塔または槽に入れて静置または攪拌
した後に液切りする方法、水または温水とPVAチップ
を連続的に塔または槽に入れ、向流または並流で洗浄
(攪拌を伴っても良い)した後に液切りする方法などが
挙げられる。
心分離機、真空吸引、フィルタープレス、ロールやベル
トなどを用いた圧搾、ネットなどの多孔板や布や不織布
などを用いた重力による分離、デカンテーションなどが
挙げられる。
後のPVAチップに表面付着水や離水などの洗浄水が残
っていても良いが、洗浄時に使用した水は、PVAチッ
プからできるだけ分離除去することが好ましい。
フィルムを製造する方法としては、PVAチップを溶剤
に溶解したPVA溶液を使用して、流延製膜法、湿式製
膜法(貧溶媒中への吐出)、ゲル製膜法(PVA水溶液
を一旦冷却ゲル化した後、水を抽出除去しPVAフィル
ムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法
や、PVAチップに含水させた含水PVA(有機溶剤な
どを含んでいても良い)を溶融押出して行う溶融押出製
膜法などで製造することができる。これらのなかでも流
延製膜法と溶融押出製膜法が、良好な偏光フィルムが得
られることから好ましい。
洗浄済みPVAチップを溶解する溶剤としては、例え
ば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレン
グリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロ
パン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、水な
どを挙げることができ、これらのうち1種または2種以
上を使用することができる。これらのなかでも、水、ジ
メチルスルホキシド、または水とジメチルスルホキシド
の混合溶剤が好適に使用される。
PVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、3〜70
重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましく、
13〜55重量%がさらに好ましく、特に15〜50重
量%が最も好ましい。このPVA溶液または含水PVA
には、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、二色性染料な
どを含有させてもよい。
て、多価アルコールを添加することが好ましい。多価ア
ルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリ
セリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げ
ることができ、これらのうち1種または2種以上を使用
することができる。これらの中でも延伸性向上効果から
ジグリセリンやエチレングリコールやグリセリンが好適
に使用される。
100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜
25重量部がより好ましく、特に5〜20重量部が最も
好ましい。1重量部より少ないと、染色性や延伸性が低
下する場合があり、30重量部より多いと、PVAフィ
ルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合が
ある。
剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類として
は特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の界
面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、
たとえば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オ
クチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベ
ンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界
面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤として
は、たとえば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルな
どのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、
ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル
型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどの
アルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミ
ドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコー
ルエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのア
ルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェ
ニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノ
ニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤
の1種または2種以上の組み合わせで使用することがで
きる。
0重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.
02〜0.5重量部がより好ましく、特に0.05〜
0.3重量部が最も好ましい。0.01重量部より少な
いと、延伸性向上や染色性向上の効果が現れにくく、1
重量部より多いと、PVAフィルムの表面に溶出してブ
ロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合が
ある。
浄と共に、PVA溶出量を低減するために、製膜後に充
分乾燥を行うことが好ましい。
PVAフィルムを1リットルの50℃の水中に4時間放
置した時のPVAの溶出量が、1から100ppmであ
ることが重要である。好ましくは5から80ppmであ
り、特に10から60ppmが最も好ましい。PVA溶
出量が、100ppmを超える場合は、槽内へのPVA
の溶出量またPVAフィルムや偏光フィルム上に析出す
るPVA量が多くなり、欠点数の少ない偏光フイルムを
得ることが困難となったり、廃水処理のときに問題が生
じる。また、PVA溶出量を1ppm未満にするには、
非常に多量の予備洗浄水が必要となり不経済であるだけ
でなく、製膜乾燥後に高度の熱処理が必要となり、一軸
延伸性が悪化して良好な偏光フィルムが得られにくい。
る。10cm角のPVAフィルムを、1リットルの50
℃の蒸留水中に4時間放置し、その抽出液をヨウ素−ヨ
ウ化カリウム溶液で呈色して、10分以内に株式会社島
津製作所製の分光光度計UV1200で最大吸収を示す
ピークの吸光度を測定する。PVAの重合度やけん化度
などにより最大吸収を示すピークを示す波長は異なるの
で(一般には650〜700nm近辺に存在する)、予
めPVAフィルムより添加剤などを除去・精製したPV
Aまたは原料PVAを用いて検量線を作成しておき、試
料より得られた吸光度からPVA溶出量(抽出液中のP
VA濃度)を定量する。
は以下の通りである。40gのホウ酸を100ミリリッ
トルのイオン交換水に溶かしたホウ酸水溶液450ミリ
リットルと、12.7gのヨウ化カリウムと、25gの
ヨウ素を100ミリリットルのイオン交換水に溶かした
ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液90ミリリットルを混合
し、イオン交換水300ミリリットルを加えて希釈し、
20℃にしたものを発色試薬とする。共栓付き三角フラ
スコに、20℃に冷却した10ミリリットルの抽出液
に、10ミリリットルの発色試薬を加え混合し、20℃
で15分間放置する。なお、抽出液中のPVA濃度が高
過ぎる場合には、必要に応じて、抽出液をイオン交換水
で希釈しても良い。
150μmであり、より好ましくは20〜100μmで
あり、さらに好ましくは30〜90μmであり、最も好
ましくは35〜80μmである。
を製造するには、例えば該PVAフィルムを染色、一軸
延伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理
を行えばよく、染色、一軸延伸、固定処理の操作順に特
に制限はない。また、一軸延伸を二回またはそれ以上行
っても良い。
伸後のいずれでも可能である。染色に用いる染料として
は、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 1
7、19、154;ダイレクトブラウン 44、10
6、195、210、223;ダイレクトレッド 2、
23、28、31、37、39、79、81、240、
242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、
78、90、98、151、168、202、236、
249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、
51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレク
トイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクト
オレンジ 26、39、106、107などの二色性染
料などが、1種または2種以上の混合物で使用できる。
通常染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液
中に浸漬させることにより行うことが一般的であるが、
PVAフィルムに混ぜて製膜するなど、その処理条件や
処理方法は特に制限されるものではない。
法が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液中や後
記固定処理浴中でもよい)または吸水後のPVAフィル
ムを用いて空気中で行うことができる。延伸温度は、特
に限定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿
式延伸)する場合は30〜90℃が、また乾熱延伸する
場合は50〜180℃が好適である。また一軸延伸の延
伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)
は、偏光性能の点から4倍以上が好ましく、特に5倍以
上が最も好ましい。延伸倍率の上限は特に制限はない
が、8倍以下であると均一な延伸が得られやすいので好
ましい。延伸後のフィルムの厚さは、3〜75μmが好
ましく、5〜50μmがより好ましい。
にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定
処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/また
はホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理
浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
は、30〜150℃で行うのが好ましく、50〜150
℃で行うのがより好ましい。
は、通常、その両面あるいは片面に、光学的に透明で、
かつ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板と
して使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース
(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)
フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィル
ムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤
としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤など
を挙げることができるが、なかでもPVA系の接着剤が
好適である。
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。なお、実施例中の二色性比は以下の方法により評
価した。
能を評価する指標として二色性比を使用した。この二色
性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−2
01−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光
源、2℃視野にて測定・計算して得た透過率Ts(%)
と偏光度P(%)を使用して下記の式から求めた。 二色性比=log(Ts/100−Ts/100×P/
100)/log(Ts/100+Ts/100×P/
100)
5分間洗浄した。このPVAは、けん化度99.9モル
%、重合度1750である。このPVAの100重量部
とグリセリン10重量部を含有するPVA濃度15重量
%の水溶液を調製した。そして、この水溶液を90℃の
金属ロールに流延製膜して乾燥し、さらに100℃の金
属ロールで乾燥して、厚さ75μmのPVAフィルムを
得た。
m角のPVAフィルムを、1リットルの50℃の水中に
4時間放置した時のPVA溶出量は50ppmであっ
た。
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作成した。すなわち、該PVAフィルムを30
℃の水中に5分間浸漬して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.
4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル
の35℃の水溶液中に3分間浸漬した。続いて、ホウ酸
濃度4%の40℃の水溶液中で5.3倍に一軸延伸を行
い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度
40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの3
0℃の水溶液中に5分間浸して固定処理を行った。この
後、PVAフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風
乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
厚さ22μmで、透過度は43.3%、偏光度は98.
5%、二色性比は33.3であった。さらに前記PVA
フィルムを用いて連続的に偏光フィルムを製造しても、
PVAの析出による欠点は見られなかった。
時間洗浄して液切りした。このPVAは、けん化度9
9.9モル%、重合度4000である。このPVAの1
00重量部とグリセリン10重量部にPVA濃度が40
重量%になる量の水を加えて、押出機中で溶融混練さ
せ、90℃の金属ロールにダイスより溶融押出して乾燥
し、厚さ75μmのPVAフィルムを得た。
m角のPVAフィルムを、1リットルの50℃の水中に
4時間放置した時のPVA溶出量は40ppmであっ
た。
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作成した。すなわち、PVAフィルムを30℃
の水中に5分間浸漬して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4
g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの
35℃の水溶液中に3分間浸漬した。続いて、ホウ酸濃
度4%の40℃の水溶液中で5.5倍に一軸延伸を行
い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度
40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの3
0℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。こ
の後PVAフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風
乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
厚さ22μmで、透過度は43.0%、偏光度は99.
6%、二色性比は41.7であった。さらに前記PVA
フィルムを用いて連続的に偏光フィルムを製造しても、
PVAの析出による欠点は見られなかった。
は同様にしてPVAフィルムを得た。
m角のPVAフィルムを、1リットルの50℃の水中に
4時間放置した時のPVA溶出量は200ppmであっ
た。
理した。得られた偏光フィルムの厚さは23μmであっ
た。また、透過度は43.2%、偏光度は98.5%、
二色性比は32.8であり、性能の点では問題がなかっ
た。また、偏光フィルムの生産初期には問題なく製造で
きたが、連続的に偏光フィルムを製造するうちに、PV
Aの析出による欠点が偏光フィルム上に散見され、偏光
フィルムの収率は徐々に低下した。
00℃の金属ロールで乾燥する代わりに190℃で熱処
理すること以外は同様にして、PVAフィルムを得た。
m角のPVAフィルムを、1リットルの50℃の水中に
4時間放置した時のPVA溶出量は0.5ppmであっ
た。
様な処理を行なおうとしたが、延伸中に切断が多発し、
安定して偏光フィルムは得られなかった。
て5分間洗浄した。このPVAは、けん化度99.6モ
ル%、重合度4000である。このPVAの100重量
部とグリセリン10重量部にPVA濃度が50%になる
量の水を加えて、押出機中で溶融混練させたこと以外
は、実施例2と同様にしてPVAフィルムを得た。
m角のPVAフィルムを、1リットルの50℃の水中に
4時間放置した時のPVA溶出量は150ppmであっ
た。
理した。得られた偏光フィルムの厚さは22μmであっ
た。また、透過度は42.5%、偏光度は99.7%、
二色性比は40.6であった。また、偏光フィルムの生
産初期には問題なく製造できたが、連続的に偏光フィル
ムを製造するうちに、PVAの析出による欠点が偏光フ
ィルム上に散見され、偏光フィルムの収率は徐々に低下
した。
によれば、偏光フィルムを製造する際の各工程でのPV
Aの溶出量が小さいため、欠点数の少ない偏光フィルム
を高い収率で得ることができ、しかも廃水処理も簡単に
行える。また、このPVAフィルムから得られる偏光フ
ィルムは、欠点数が少ないので、優れた偏光性能を発揮
する。
Claims (3)
- 【請求項1】 10cm角のポリビニルアルコール系重
合体フィルムを1リットルの50℃の水中に4時間放置
した時のポリビニルアルコール系重合体の溶出量が、1
から100ppmであるポリビニルアルコール系重合体
フィルム。 - 【請求項2】 偏光フィルム用である請求項1記載のポ
リビニルアルコール系重合体フィルム。 - 【請求項3】 請求項2記載の偏光フィルム用ポリビニ
ルアルコール系重合体フィルムを用いて作製した偏光フ
ィルム。
Priority Applications (11)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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