JPWO2017204271A1 - ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜 - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜 Download PDF

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Abstract

水に浸漬した際、ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量を低減することができるとともに、カールしにくいポリビニルアルコール系フィルム、およびそのポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜を提供する。本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、50℃の水に1分間浸漬した際のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が、900ppm/m2以下であり、かつ下記Aの条件で測定した短辺方向のカール角度が、135°以下であることを特徴とする。(A)上記ポリビニルアルコール系フィルムから任意の向きで切り出された長辺10cm×短辺5cmの長方形の試験片と、この試験片の長辺方向の第1端縁部の中央に取り付けられた質量5gの重石とを備えた試験体を、上記試験片の長辺方向の第2端縁部の中央で支持して吊るした状態で、上記試験体全体を30℃の水に10秒間浸漬する条件。

Description

本発明は、水への不純物の溶出が少なく、かつ水に浸漬してもカールしにくいポリビニルアルコール系フィルム、特に高い偏光性能を有する偏光膜を生産性良く得ることができるポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜に関するものである。
近年、液晶表示装置の発展はめざましく、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター、液晶テレビ、プロジェクター、車載パネル等に幅広く使用されている。かかる液晶表示装置には偏光膜が使用されており、偏光膜としては、主として、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着配向させたものが使用されている。近年、画面の高精細化、高輝度化、大型化にともない、従来品より一段と偏光性能に優れ、色ムラがなく、かつ幅広長尺の偏光膜が必要とされている。
一般的に、偏光膜は、原反であるポリビニルアルコール系フィルムをロールから繰り出し、流れ方向(MD方向)に搬送しながら、水(温水を含む)で膨潤させた後、ヨウ素による染色、ヨウ素を配向させるための延伸、配向状態を固定するためのホウ酸架橋等の工程を経て製造される。これらの工程中に発生する不具合は、偏光膜の生産性を大きく減ずるものである。例えば、膨潤工程において、ポリビニルアルコール系フィルムから不純物が溶出して膨潤槽が汚染されると、汚染が後工程全体に拡散することになる。染色工程やホウ酸架橋工程においても、ポリビニルアルコール系フィルムから不純物が溶出すると、得られる偏光膜の偏光性能が低下するばかりか、各工程で使用される薬液のろ過や交換に多大な労力を要することになる。かかる不純物として、ポリビニルアルコール系フィルム中に存在する低分子量のポリビニルアルコール系樹脂(オリゴマーを含む)があげられ、特に、分子量5万以下の低分子量体は、水に溶出しやすく、また、偏光度を低下させる低分子量のヨウ素錯体を形成しやすい傾向にあった。また、膨潤工程において、ポリビニルアルコール系フィルムの幅方向(TD方向)の両端部に折れやしわが発生すると、搬送が困難になるばかりか、延伸時にフィルムが破断する傾向にある。
一方、原反であるポリビニルアルコール系フィルムは、一般的に、原料となるポリビニルアルコール系樹脂を水に溶解し、かかる水溶液(製膜原液)から連続キャスト法により製造される。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャストドラムやエンドレスベルト等のキャスト型に吐出および流延して製膜されたフィルムをキャスト型から剥離後、流れ方向(MD方向)に搬送しながら、複数の金属製加熱ロールを用いて乾燥することにより製造される。これらの工程の中で、乾燥工程は、ポリビニルアルコール系フィルムからの樹脂の溶出量の制御および上記ポリビニルアルコール系フィルムの膨潤特性に重要な工程である。すなわち、かかる乾燥工程における乾燥が不充分であると、偏光膜製造時に溶出する樹脂が増加すると同時に、膨潤工程においてポリビニルアルコール系フィルムに折れやしわが発生しやすく、逆に、乾燥が過度であると前記膨潤槽での膨潤速度が低下する傾向がある。また、乾燥工程で上記製膜されたフィルムの表面と裏面に特性差が生じると、膨潤工程でカールしやすい傾向にある。
上記課題を改良する手法として、例えば、水へのポリビニルアルコール系樹脂の溶出量を低減したポリビニルアルコール系フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、30℃の水に5分間浸漬した時のカール角度が180°以下のポリビニルアルコール系フィルムや(例えば、特許文献2参照)、厚みが50μm以下であり、30℃の水に30秒間浸漬した際のカール角度が200°以下のポリビニルアルコール系フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、特定の乾燥条件によるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。ここで、上記カール角度は、上記ポリビニルアルコール系フィルムの平面部分と、そのポリビニルアルコール系フィルムの幅方向(TD方向)のカールした部分の端縁部の接線方向とがなす角度〔図2(b)の符号α参照〕である。
特開2009−221462号公報 特開2001−315140号公報 国際公開第2014/208537号 特開2011−156874号公報
しかしながら、上記特許文献の手法をもってしても偏光膜製造時におけるポリビニルアルコール系樹脂の溶出量の制御および膨潤特性を改良するには不充分であった。
上記特許文献1の開示技術は、10cm×10cmの正方形のポリビニルアルコール系フィルムを50℃で1リットルの水に4時間浸漬した時のポリビニルアルコール系樹脂の溶出液濃度が10〜50ppmであるが、フィルム1m2当たりに換算すると1,000〜5,000ppm/m2ものポリビニルアルコール系樹脂が溶出することになり、近年の偏光膜の需要に応じて高い生産効率で偏光膜を製造するためには、ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量のさらなる低減が必要である。
上記特許文献2の開示技術では、カール角度180°は折れている状態であり、カール角度90°はしわになっている状態であり、カール角度45°は大きく反っている状態であるため、さらなるカール角度の低減が必要である。特に、近年の偏光膜に求められる幅広長尺化に対応するためには、幅広長尺のポリビニルアルコール系フィルムにおけるカール角度のさらなる低減が必要である。
上記特許文献3の開示技術では、30℃に水中で30秒間浸漬した時のカール角度を200°以下とすることで延伸時の破断についてはある程度抑制できるものの、特に近年のライン速度アップによる偏光膜の生産性向上に対応するために、さらなるカール角度の低減が必要である。
上記特許文献4の開示技術は、フィルムと各々の熱ロールとの接触時間を1〜6秒間とすることにより、確かにポリビニルアルコール系フィルムのリタデーションを低減できるものの、偏光膜製造時のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量を低減するには、さらなる乾燥条件の制御の点で改善の余地がある。
そこで、本発明ではこのような背景下において、偏光膜製造時のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量の制御性および膨潤特性に優れ、偏光性能に優れる偏光膜を得ることができるポリビニルアルコール系フィルムであって、水に浸漬した際のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量を低減することができ、偏光膜製造設備を汚染することがなく、また、水に浸漬してもカールしにくく偏光膜製造時の膨潤工程で折れやしわが発生しにくいポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜を提供する。
しかるに、本発明者らはかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定温度の水に対するポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が少なく、かつ特定の水浸漬条件で測定したカール角度が小さいポリビニルアルコール系フィルムを用いて偏光膜を製造すると、上記課題を解決し、高い生産性で高性能な偏光膜を製造できることを見出した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、50℃の水に1分間浸漬した際のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が、900ppm/m2以下であり、かつ下記Aの条件で測定した短辺方向のカール角度が、135°以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムである。
(A)上記ポリビニルアルコール系フィルムから任意の向きで切り出された長辺10cm×短辺5cmの長方形の試験片と、この試験片の長辺方向の第1端縁部の中央に取り付けられた質量5gの重石とを備えた試験体を、上記試験片の長辺方向の第2端縁部の中央で支持して吊るした状態で、上記試験体全体を30℃の水に10秒間浸漬する条件。
また、本発明の第2の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を連続的にキャスト型に吐出および流延して製膜する製膜工程と、その製膜したフィルムを上記キャスト型から剥離した後、その製膜したフィルムを乾燥させる乾燥工程とを備えた上記第1の要旨のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であって、上記乾燥工程における上記製膜したフィルムの乾燥が、上記製膜したフィルムの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロールに接触させることにより行われることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法である。
そして、本発明の第3の要旨は、上記第1の要旨のポリビニルアルコール系フィルムが用いられている偏光膜である。
本発明の第1の要旨のポリビニルアルコール系フィルムは、特定温度の水に対するポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が少なく、かつ特定の水浸漬条件で測定したカール角度が小さいため、偏光膜製造時においても、ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量を少なくすることができ、かつカール角度を小さくすることができる。そのため、偏光性能に優れる偏光膜を高い生産性で製造することができるという効果を奏する。
特に、上記Aの条件において、上記試験体の浸漬時間を2分間としたとき、測定した短辺方向のカール角度が、40°以下である場合には、偏光膜製造時の膨潤工程においてより一層折れが生じにくくでき、偏光膜を製造する際の破断をより一層防止することができる。そのため、偏光性能により優れる偏光膜をより高い生産性で製造することができるという効果を奏する。
また、上記ポリビニルアルコール系フィルムが長尺のフィルムであり、上記試験片の長辺がそのフィルムの長さ方向であり、短辺が上記フィルムの幅方向である場合には、上記カール角度をより小さくすることができ、偏光膜製造時において幅方向の両端部の上記折れの発生をより抑制することができる。そのため、偏光性能に優れる偏光膜をより高い生産性で製造することができるという効果を奏する。
さらに、30℃の水に2分間浸漬した際のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が、50ppm/m2以下である場合には、その溶出量が少ないことから、偏光膜製造における膨潤槽の汚染をより少なくすることができるため、製造する偏光膜の偏光性能を向上させることができるという効果を奏する。
そして、厚さ20〜60μm、長さ5km以上、幅4m以上である場合には、偏光膜の大面積化を図ることができるという効果を奏する。
本発明の第2の要旨の、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法は、製膜したフィルムの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロールに接触させることにより、上記製膜したフィルムを乾燥させるため、その製膜したフィルムの表面と裏面の乾燥状態を適正に制御することができる。その結果、偏光膜製造時におけるポリビニルアルコール系樹脂の溶出量の抑制およびカール角度の抑制に優れた上記第1の要旨のポリビニルアルコール系フィルムを製造することができるという効果を奏する。
特に、上記乾燥工程に用いる上記金属製加熱ロールの総数がP本であり、上記キャスト型から剥離したフィルムがn番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTn(℃)、そのn番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSn(秒間)、製造されるポリビニルアルコール系フィルムの厚さをD(μm)、上記nを1以上上記P以下の整数としたとき、Tn×Snの総和を表すΣ(Tn×Sn)が下記式(1)を満足する場合には、偏光膜製造時におけるポリビニルアルコール系樹脂の溶出量をより抑制することができるという効果を奏する。
75≦Σ(Tn×Sn)/D≦110 ・・・(1)
また、上記乾燥工程に用いる上記金属製加熱ロールの総数がP本であり、上記キャスト型から剥離したフィルムがx番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTx(℃)、上記フィルムがy番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTy(℃)、上記x番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSx(秒間)、上記y番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSy(秒間)、上記xを1以上上記P以下の奇数、上記yを2以上上記P以下の偶数としたとき、Tx×Sxの総和を表すΣ(Tx×Sx)と、Ty×Syの総和を表すΣ(Ty×Sy)とが、下記式(2)を満足する場合には、偏光膜製造時におけるカール角度をより抑制することができるという効果を奏する。
Σ(Ty×Sy)<Σ(Tx×Sx) ・・・(2)
さらに、上記乾燥工程に用いる上記金属製加熱ロールの総数がP本であり、上記キャスト型から剥離したフィルムがx番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTx(℃)、上記フィルムがy番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTy(℃)、上記x番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSx(秒間)、上記y番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSy(秒間)、キャスト型の表面温度をT0(℃)、上記xを1以上上記P以下の奇数、上記yを2以上上記P以下の偶数としたとき、Tx×Sxの総和を表すΣ(Tx×Sx)と、Ty×Syの総和を表すΣ(Ty×Sy)とが、下記式(3)を満足する場合には、偏光膜製造時におけるカール角度をより一層小さくすることができるという効果を奏する。
Σ(Ty×Sy)+T0≦Σ(Tx×Sx)≦Σ(Ty×Sy)+T0×10 ・・・(3)
そして、上記乾燥工程で乾燥させたフィルムを芯管にロール状に巻き取ることによりフィルム巻装体を作製し、このフィルム巻装体を水蒸気バリアフィルムで包装した状態で、25〜30℃の雰囲気温度で5日間以上保管する場合には、偏光膜製造時におけるカールの発生をより低減することができるという効果を奏する。
本発明の第3の要旨の偏光膜は、上記第1の要旨のポリビニルアルコール系フィルムが用いられているため、偏光性能に優れているという効果を奏する。
製膜されたフィルムを金属製加熱ロールに接触させて乾燥させる方法を模式的に示す説明図である。 (a)は、カール角度の測定条件を模式的に示す説明図であり、(b)は、カール角度を示す説明図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、50℃の水に1分間浸漬するという条件で溶出試験を行なった際に、ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が、900ppm/m2以下であり、かつ下記Aの条件で測定した短辺方向のカール角度が、135°以下であることを特徴とする。
(A)上記ポリビニルアルコール系フィルムから任意の向きで切り出された長辺10cm×短辺5cmの長方形の試験片(第1の試験片)と、この試験片の長辺方向の第1端縁部の中央に取り付けられた質量5gの重石とを備えた試験体を、上記試験片の長辺方向の第2端縁部の中央で支持して吊るした状態で、上記試験体全体を30℃の水に10秒間浸漬する条件。
上記のようにポリビニルアルコール系樹脂の溶出量およびカール角度が低減されたポリビニルアルコール系フィルムは、そのポリビニルアルコール系フィルムを連続キャスト法により製造する過程において、乾燥工程に特定の方法を採用することにより得られる。すなわち、後で述べるように、上記乾燥工程において、キャスト型で製膜されたフィルムの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロールに接触させることにより、その製膜されたフィルムを乾燥させる。これにより、上記製膜されたフィルムの表面と裏面の乾燥状態が適正に制御され、その乾燥工程を経て製造されたポリビニルアルコール系フィルムは、上記のようにポリビニルアルコール系樹脂の溶出量およびカール角度が低減されるのである。
そして、上記ポリビニルアルコール系フィルムは、膨潤工程、染色工程、ホウ酸架橋工程および延伸工程等を経て、偏光膜に形成される。ここで、上記ポリビニルアルコール系フィルムが、上記のように、特定温度の水に対するポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が900ppm/m2以下と少なく、かつ特定の水浸漬条件で測定したカール角度が135°以下と小さいものとなっている。そのため、偏光膜製造時において、偏光膜製造設備を汚染することがなく、かつ膨潤工程で折れやしわが発生しにくくなっている。その結果、偏光膜の生産性も高く、得られた偏光膜は、偏光性能に優れたものとなる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂の溶出量は、偏光膜製造設備の汚染回避の点で、800ppm/m2以下であることが好ましく、特に好ましくは700ppm/m2以下であり、かかるポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が多すぎると偏光膜製造設備が汚染され本発明の目的を達成することができない。また、ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量の下限値は、通常、1ppm/m2である。
なお、一般的に、偏光膜製造時にポリビニルアルコール系フィルムは50℃近辺の温水に1分間程度浸漬されることから、本発明においては、50℃1分間という浸漬条件を指標とした。
また、本発明における溶出量(ppm/m2)とは、溶出濃度(ppm)を、実際に溶出試験に供した試験片の面積(m2)で除して、1m2換算したものである。
本発明において、上記溶出試験に供される試験片(第2の試験片:ポリビニルアルコール系フィルム)は、23℃50%RHで24時間以上調湿したものとする。なお、かかる調湿条件は、プラスチックフィルムの各種試験に適用される一般的な環境条件であり、ポリビニルアルコール系フィルム中の水分率を、かかる環境下での平衡水分率に調整するための条件である。通常、かかる調湿により、上記試験片中の水分率は、10%程度に調整される。調湿後の上記試験片は、速やかに上記溶出試験に供される。
なお、かかる試験前の調湿は、後述する30℃での溶出試験においても適用される。
さらに、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、30℃の水に2分間浸漬した際のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が50ppm/m2以下であることが好ましい。かかるポリビニルアルコール系樹脂の溶出量としては、偏光膜製造における膨潤槽の汚染回避の点で、特に好ましくは40ppm/m2以下、更に好ましくは30ppm/m2以下である。かかる溶出量の下限値は、通常、1ppm/m2である。
なお、一般的に、偏光膜製造時の膨潤工程において、ポリビニルアルコール系フィルムが30℃近辺の温水で数分間膨潤されることから、本発明においては、上記のように30℃2分間という浸漬条件も指標とした。かかる30℃2分間の浸漬における溶出量を低減する手法は、上記50℃1分間の浸漬の場合に説明した手法と同様のものがあげられる。
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、前記Aの条件で測定したカール角度は、135°以下であることが必要であり、特に好ましくは90°以下、更に好ましくは45°以下である。
カール角度が135°より大きいと、偏光膜製造時に折れやしわが発生しやすくなり、本発明の目的を達成することができない。
一般的に、ポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬すると、浸漬直後に大きくカールし、浸漬時間とともにカールは緩和されていくため、本発明においては、30℃の温水に浸漬した直後である10秒間浸漬した時点でのカール角度を指標とした。
さらに、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上記Aの条件において、上記試験体の浸漬時間を2分間としたとき、短辺方向のカール角度が、40°以下であることが好ましく、特に好ましくは30°以下、更に好ましくは20°以下である。かかるカール角度が大きすぎると、偏光膜製造時の膨潤工程において折れが生じ、ポリビニルアルコール系フィルムの搬送中に破断が発生しやすい傾向がある。
一般的に、偏光膜製造時にポリビニルアルコール系フィルムは30℃近辺の温水で数分間膨潤されることから、本発明では30℃2分間におけるカール角度にも着目し測定した。
ここで、上記カール角度の測定に用いる試験片(第1の試験片:前記Aの条件における試験片)は、長尺の上記ポリビニルアルコール系フィルムから切り出される。その切り出す向きは、任意の向きでよく、特に限定されないが、上記試験片の長辺がフィルムの長さ方向(MD方向)、短辺がフィルムの幅方向(TD方向)に一致する向きで切り出すことが、上記カール角度をより小さくし、偏光膜製造時の上記折れの発生をより抑制する点から好ましい。
ここで、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について説明する。
すなわち、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を連続的にキャスト型に吐出および流延して製膜する製膜工程と、その製膜したフィルムを上記キャスト型から剥離した後、その製膜したフィルムを乾燥させる乾燥工程とを備えたポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であって、上記乾燥工程における上記製膜したフィルムの乾燥が、上記製膜したフィルムの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロールに接触させることにより行われる。そして、本発明の製造方法では上記乾燥工程の設定条件に最大の特徴がある。
〔製膜工程〕
まず、上記製膜工程について詳しく説明する。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、すなわち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等があげられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化および脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化および脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると偏光膜の偏光度が低下する傾向があり、大きすぎると偏光膜製造時の延伸が困難となる傾向がある。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。かかる平均ケン化度が小さすぎると偏光膜の偏光度が低下する傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度等の異なる2種以上のものを併用してもよい。
そして、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いて、製膜原液となる水溶液を調液する。
すなわち、まず、上記ポリビニルアルコール系樹脂を、水を用いて洗浄し、遠心分離機等を用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製方法は、特に限定されず、例えば、加熱された多軸押出機を用いて調製してもよく、また、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に、前述したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを投入し、缶中に水蒸気を吹き込んで、溶解および所望濃度の水溶液を調製することもできる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、およびカチオン性の少なくとも一つの界面活性剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜性の点で好ましい。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる水溶液の樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができにくくなる傾向がある。
まず、得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有する多軸押出機による脱泡等の方法があげられる。ベントを有する多軸押出機としては、通常はベントを有した2軸押出機が用いられる。
脱泡処理ののち、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出および流延されて、連続キャスト法により製膜される。
T型スリットダイ出口のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度は、吐出時に50〜200Pa・sであることが好ましく、特に好ましくは70〜150Pa・sである。かかる水溶液の粘度が、低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流延が困難となる傾向がある。
T型スリットダイからキャストドラムに吐出されるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の吐出速度は、0.1〜5m/分であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜4m/分、更に好ましくは0.3〜3m/分である。かかる吐出速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると流延が困難となる傾向がある。
キャストドラムとしては、通常、鉄を主成分とするステンレス鋼(SUS)の表面に、傷つき防止のため金属メッキが施されているものが使用される。金属メッキとしては、例えば、クロムメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキ等があげられ、これらが単独または2層以上積層化して使用される。これらの中では、ドラム表面の耐久性の点から、最表面がクロムメッキであることが好ましい。
かかるキャストドラムの直径は、好ましくは2〜5m、特に好ましくは2.4〜4.5m、更に好ましくは2.8〜4mである。かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4〜7mであり、特に好ましくは5〜6mである。キャストドラムの幅が狭すぎると生産性が低下する傾向があり、広すぎると設備負荷が増大する傾向がある。
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜35m/分である。かかる回転速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると製膜されたフィルムをキャスト型から剥離する際の剥離性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、より好ましくは50〜98℃、更に好ましくは60〜97℃、特に好ましくは70〜96℃、殊に好ましくは80〜95℃である。かかる表面温度が低すぎると製膜して得られたフィルムをキャスト型から剥離する際の剥離性が低下する傾向があり、高すぎると発泡してしまう傾向がある。
かくして、前記製膜工程が行なわれ、製膜されたフィルムはキャストドラムから剥離される。
〔乾燥工程〕
次いで、上記剥離されたフィルム(製膜されたフィルム)を加熱して乾燥する前記乾燥工程について詳しく説明する。
かかる乾燥工程では、図1に示すように、キャストドラムDから剥離されたフィルムFを、流れ方向(MD方向)に搬送しながら、そのフィルムFの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロール(以下、単に「熱ロール」という。)R1〜R7に接触させて乾燥させる。なお、図1では、7本の熱ロールR1〜R7を用いる場合を示している。また、図1において、符号Cは、T型スリットダイを示し、符号Eは、フリーロールを示している。
かかる熱ロールR1〜R7は、加熱機能を有する金属製のものであれば特に限定されないが、表面をハードクロムメッキ処理または鏡面処理した直径0.2〜2mのロールであることが好ましく、かかる熱ロールの本数は、通常2〜30本、好ましくは10〜25本であることが好ましい。なお、本発明においては、表面温度が40℃以上に加熱、および温度調節されたものを熱ロールとする。
このように、この乾燥工程において、キャストドラムから剥離されたフィルムの表面と裏面を交互に複数の熱ロールに接触させて乾燥させることが、本発明の大きな特徴の一つである。これにより、先に述べたように、上記剥離されたフィルムの表面と裏面の乾燥状態が適正に制御され、この乾燥工程を経て製造されたポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量およびカール角度が低減されたものとすることができる。
ここで、上記剥離されたフィルムの表面と裏面の乾燥状態の制御をより適正化し、上記ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量およびカール角度をより低減する方法について説明する。
本発明においては、乾燥工程に用いる上記熱ロールの総数がP本であり、上記キャストドラムから剥離したフィルムがn番目に接触する上記熱ロールの表面温度をTn(℃)、そのn番目の熱ロールと上記フィルムの接触時間をSn(秒間)、製造されるポリビニルアルコール系フィルムの厚さをD(μm)、上記nを1以上上記P以下の整数としたとき、Tn×Snの総和を表すΣ(Tn×Sn)が下記式(1)を満足することが好ましい。
75≦Σ(Tn×Sn)/D≦110 ・・・(1)
特に好ましくは下記式(1’)を満たすことであり、更に好ましくは下記式(1’’)を、殊に好ましくは下記式(1’’’)を満たすことである。
76≦Σ(Tn×Sn)/D≦100 ・・・(1’)
78≦Σ(Tn×Sn)/D≦92 ・・・(1’’)
80≦Σ(Tn×Sn)/D≦90 ・・・(1’’’)
ここで、Σ(Tn×Sn)は、Tn×Snの値を1〜P番目全ての熱ロールについて求め、それらを全て足し合わせた値である。Σ(Tn×Sn)/Dの値は、例えば、熱ロールの総本数が3本、製造されるポリビニルアルコール系フィルムの厚さDが20μmであり、乾燥条件が下記である場合、(70×6+80×7+90×8)÷20=85となる。
・1番目の熱ロールの表面温度T1=70℃、1番目の熱ロールとフィルムとの接触時間S1=6秒間。
・2番目の熱ロールの表面温度T2=80℃、2番目の熱ロールとフィルムとの接触時間S2=7秒間。
・3番目の熱ロールの表面温度T3=90℃、3番目の熱ロールとフィルムとの接触時間S3=8秒間。
上記Σ(Tn×Sn)/Dの値が小さすぎると、偏光膜製造時の膨潤工程において、水へのポリビニルアルコール系樹脂の溶出が増加する傾向があり、逆に、大きすぎると膨潤性が低下する傾向がある。上記式(1)〜(1’’’)で示される通り、製造されるポリビニルアルコール系フィルムの厚さが厚くなるほど、乾燥に大きな熱エネルギーが必要となる。
なお、熱ロールとフィルムの接触時間とは、フィルム面内の任意の1点と各熱ロールとの接触時間を意味する。かかる接触時間は、フィルムの搬送速度が一定であっても、各熱ロールの外径や配置を変えることにより制御することができる。
本発明においては、使用する全ての熱ロールの表面温度Tnが、40〜150℃であること好ましく、特に好ましくは50〜140℃、更に好ましくは60〜130℃、殊に好ましくは70〜120℃である。
かかる熱ロールの表面温度が低すぎると乾燥不足になる傾向があり、熱ロールの表面温度Tnが高すぎるとポリビニルアルコール系樹脂の結晶化が進行して、偏光膜製造時の膨潤性が均一でなくなる傾向がある。
本発明において、各熱ロールとフィルムの接触時間Snは、1〜60秒間が好ましく、特に好ましくは2〜30秒間、更に好ましくは3〜20秒間、殊に好ましくは4〜10秒間である。かかる接触時間Snが短すぎると乾燥不足になる傾向があり、接触時間Snが長すぎると設備負荷が増大する傾向がある。
さらに、本発明においては、上記乾燥工程に用いる上記熱ロールの総数がP本であり、上記キャスト型から剥離したフィルムがx番目(奇数番目)に接触する上記熱ロールの表面温度をTx(℃)、上記フィルムがy番目(偶数番目)に接触する上記熱ロールの表面温度をTy(℃)、上記x番目(奇数番目)の熱ロールと上記フィルムの接触時間をSx(秒間)、上記y番目(偶数番目)の熱ロールと上記フィルムの接触時間をSy(秒間)としたとき、Tx×Sxの総和を表すΣ(Tx×Sx)と、Ty×Syの総和を表すΣ(Ty×Sy)とが、下記式(2)を満足することが好ましい。
Σ(Ty×Sy)<Σ(Tx×Sx) ・・・(2)
特に好ましくは下記式(2’)を満たすことであり、更に好ましくは下記式(2’’)を満たすことである。
Σ(Ty×Sy)<0.9×Σ(Tx×Sx) ・・・(2’)
0.8×Σ(Tx×Sx)<Σ(Ty×Sy)<0.9×Σ(Tx×Sx) ・・・(2’’)
例えば、熱ロールの総本数が3本であり、乾燥条件が下記である場合、上記Σ(Tx×Sx)の値は、70×6+90×8=1140であり、上記Σ(Ty×Sy)の値は、80×7=560である。
・1番目の熱ロールの表面温度T1=70℃、1番目の熱ロールとフィルムとの接触時間S1=6秒間。
・2番目の熱ロールの表面温度T2=80℃、2番目の熱ロールとフィルムとの接触時間S2=7秒間。
・3番目の熱ロールの表面温度T3=90℃、3番目の熱ロールとフィルムとの接触時間S3=8秒間。
Σ(Ty×Sy)がΣ(Tx×Sx)を超えると、偏光膜製造時の膨潤工程において、ポリビニルアルコール系フィルムがカールしやすい傾向がある。逆に、Σ(Ty×Sy)が過度に小さくても、ポリビニルアルコール系フィルムが、逆方向にカールしやすい傾向がある。すなわち、上記式(2)の目的は、製膜されたフィルムの、キャスト型と接していた面が通常偶数番目の熱ロールに接することから、かかる偶数番目の熱ロールから受ける熱量を、奇数番目の熱ロールから受ける熱量より少なくして、フィルム両面に供給される熱量を同等にすることにある。
さらに、本発明においては、キャスト型の表面温度をT0(℃)としたとき、Tx×Sxの総和を表すΣ(Tx×Sx)と、Ty×Syの総和を表すΣ(Ty×Sy)とが、下記式(3)を満足することが好ましい。
Σ(Ty×Sy)+T0≦Σ(Tx×Sx)≦Σ(Ty×Sy)+T0×10 ・・・(3)
特に好ましくは下記式(3’)を満たすことであり、更に好ましくは下記式(3’’)を満たすことである。
Σ(Ty×Sy)+T0×2≦Σ(Tx×Sx)≦Σ(Ty×Sy)+T0×6・・・(3’)
Σ(Ty×Sy)+T0×3≦Σ(Tx×Sx)≦Σ(Ty×Sy)+T0×4・・・(3’’)
Σ(Tx×Sx)の値が小さすぎても大きすぎても、偏光膜製造時の膨潤工程において、水浸漬直後に、ポリビニルアルコール系フィルムがカールしやすい傾向がある。すなわち、上記式(3)の目的は、一般的にフィルムのキャスト型と接していた面が偶数番目の熱ロールに接することから、キャスト型と偶数番目の熱ロールから受ける熱量を、奇数番目の熱ロールから受ける熱量と同等にし、フィルム両面に供給される熱量を略合致させることにある。
乾燥されたフィルムの水分率は、10重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは1〜9重量%、更に好ましくは2〜8重量%である。かかる水分率が高すぎると、最終的に得られるポリビニルアルコール系フィルムが乾燥不良となる傾向がある。
本発明においては、乾燥されたフィルムを熱処理することが好ましく、特に好ましくは、そのフィルム両面の乾燥状態を均一にすることができる点で、そのフィルムの両面から熱処理することである。かかる熱処理方法としては、例えば、フローティングドライヤーを用いてフィルムの両面に熱風を吹き付ける方法、赤外線ランプを用いてフィルムの両面に近赤外線を照射する方法があげられる。
かかる熱処理温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に好ましくは70〜130℃である。なお、その熱処理温度は、上記熱処理方法が上記フローティングドライヤーで熱風を吹き付ける方法である場合は、その熱風の温度を意味し、上記熱処理方法が上記赤外線ランプで近赤外線を照射する方法である場合は、その近赤外線の温度を意味する。かかる熱処理時間は、特に限定されないが、フローティングドライヤーを用いる場合、10〜100秒間であることが好ましく、特に好ましくは20〜80秒間である。なお、上記熱処理方法は、熱ロールを用いない方法とする。
〔ポリビニルアルコール系フィルム〕
上記乾燥工程後、必要に応じて上記熱処理が行なわれ、流れ方向(MD方向)に長い本発明のポリビニルアルコール系フィルムが得られる。このポリビニルアルコール系フィルムは、幅方向(TD方向)の両端部がスリットされ、芯管にロール状に巻き取られることにより、フィルム巻装体に作製される。
本発明においては、上記フィルム巻装体を水蒸気バリアフィルムで包装して包装体を得、かかる包装体を25〜30℃の雰囲気温度で5日間以上保管することが好ましい。保管期間として、特に好ましくは10日間以上であり、特に好ましくは15日間以上、更に好ましくは15〜60日間である。かかる保管期間が短すぎると、水浸漬時のカールが発生しやすくなる傾向がある。逆に、保管期間が長すぎると、偏光膜の製造が滞る傾向にある。かかる保管の手法は、特に限定されないが、恒温恒湿室やロールストッカーを用いる手法があげられる。
なお、上記保管により水浸漬時のカールが低減される理由は明らかではないが、上記保管によりポリビニルアルコール系フィルムの面内および厚さ方向の水分率が一定化することと、室温より高めの温度でポリビニルアルコール系フィルムの面内および厚さ方向の応力が緩和されるためと推測される。したがって、保管温度が上記範囲外では、水分率のムラや応力ムラが発生すると推測され、好ましくない。
かくして得られる本発明のポリビニルアルコール系フィルムの長さは、偏光膜の大面積化の点から5km以上であることが好ましく、特に好ましくは輸送重量の点から5〜50kmである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの幅は、偏光膜の幅広化の点で4m以上であることが好ましく、特に好ましくは5m以上、更に好ましくは、偏光膜製造時の破断回避の点から5〜6mである。
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、厚さが10〜75μmであることが好ましく、薄型化の点から、厚さが10〜60μmであることが好ましく、特に好ましくはリタデーション低減の点から20〜60μm、更に好ましくは破断回避の点から30〜60μmである。
また、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、フィルムの配向軸(遅相軸)と幅方向(TD方向)の交差角θが45°以下であることが好ましい。かかる交差角θが45°を超えると、膨潤時に幅方向(TD方向)にカールする傾向がある。かかる現象は、吸水が、高分子の配向方向では無く、高分子間の隙間に入り込む形で起きるためと予想される。すなわち、高分子の配向方向が長さ方向(MD方向)の場合は、膨潤は、目的とする長さ方向(MD方向)よりも幅方向(TD方向)に起きやすくなってしまう。
さらに、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、長さ方向(MD方向)の屈折率をnx、幅方向(TD方向)の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnz、厚さをD(μm)としたときに、下記式(4)で算出されるフィルムの厚さ方向の位相差Rth(nm)が100nm以上であることが好ましく、特に好ましくは110nm以上、更に好ましくは110〜200nmである。かかる位相差Rthが小さすぎると、膨潤時にカールする傾向がある。かかる現象は、位相差Rthが小さいと、高分子鎖の厚さ方向への配向が強くなり、厚さ方向へのスムーズな膨潤が阻害されるためと予想される。逆に、位相差Rthが大きすぎても、高分子鎖の面配向が強いため、面方向へのスムーズな膨潤が阻害されやすい傾向がある。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×1000×D ・・・(4)
なお、上記実施の形態では、キャスト型としてキャストドラム(ドラム型ロール)を用いた場合を例にとって、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法を説明したが、キャスト型としてキャストベルトや樹脂フィルムを用いて製造することも可能である。
また、上記実施の形態では、上記ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量を低減する方法として、ポリビニルアルコール系フィルムを連続キャスト法により製造する過程の乾燥工程において、キャスト型で製膜されたフィルムの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロールに接触させることにより、その上記製膜されたフィルムの表面と裏面の乾燥状態を適正に制御する方法を採用したが、他の方法を採用してもよい。例えば、原料となるポリビニルアルコール系樹脂の分子量やケン化度を調整する方法、ポリビニルアルコール系樹脂を洗浄して純度を向上させる方法、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液に界面活性剤を添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて製膜する工程で高分子の結晶化度や配向状態を制御する方法、製膜されたフィルムの乾燥状態を制御する方法等があげられる。
さらに、上記実施の形態では、上記カール角度を低減する方法としても、ポリビニルアルコール系フィルムを連続キャスト法により製造する過程の乾燥工程において、キャスト型で製膜されたフィルムの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロールに接触させることにより、その上記製膜されたフィルムの表面と裏面の乾燥状態を適正に制御する方法を採用したが、他の方法を採用してもよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて製膜する工程で高分子の配向状態を制御する方法、製膜時の厚み精度を向上させる方法、製膜されたフィルムの乾燥状態を制御する方法等があげられる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、水浸漬時にポリビニルアルコール系樹脂の溶出が少なく、かつカール角度が低減されているため、偏光膜用の原反として特に好ましく用いられる。
ここで、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜の製造方法について説明する。
〔偏光膜の製造方法〕
本発明の偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、前記フィルム巻装体から繰り出して水平方向に搬送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥等の工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラ等を防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。上記処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒間程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物を使用して行なわれる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分間程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向〔流れ方向(MD方向)〕に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸〔幅方向(TD方向)の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸〕を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一回のみならず、偏光膜製造工程において複数回実施してもよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行なわれ、そのポリビニルアルコール系フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度である。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行なってもよい。
乾燥工程は、例えば、上記ポリビニルアルコール系フィルムを大気中で40〜80℃で1〜10分間乾燥することが行われる。
かくして、本発明の偏光膜が得られる。本発明の偏光膜の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下記式にしたがって算出される。
偏光度=〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは42%以上、より好ましくは43%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
本発明の偏光膜は、偏光度に優れ、色ムラの無い偏光板を製造するのに好適である。
ここで、本発明の偏光膜を用いた偏光板の製造方法について説明する。
〔偏光板の製造方法〕
上記偏光板は、本発明の偏光膜の片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合することにより、作製される。保護フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフィルムまたはシートがあげられる。
貼合方法は、公知の手法で行なわれるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に、均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行なわれる。
また、偏光膜の片面または両面に、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、硬化して硬化層を形成し、偏光板とすることもできる。このようにすると、上記硬化層が上記保護フィルムの代わりとなり、薄膜化を図ることができる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜や偏光板は、偏光性能に優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパー等)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具等に好ましく用いられる。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
そして、以下の実施例および比較例におけるポリビニルアルコール系フィルムの特性(ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量、カール角度)と偏光膜の特性(偏光度、単体透過率、色ムラ)の測定および評価を以下のようにして行った。
<測定条件>
〔ポリビニルアルコール系樹脂の溶出量(ppm/m2)〕
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、23℃50%RHで24時間調湿した後、100mm×100mm(0.01m2)の試験片(前記第2の試験片)を切り出し、1Lのイオン交換水に50℃1分間浸漬して溶出液を得た。かかる溶出液10mLに発色試薬(イオン交換水500g、ヨウ化カリウム7.4g、ヨウ素0.65g、ホウ酸10.6g)10mLを室温(25℃)で混合した後、分光光度計(島津製作所社製:UV−3100PC)を用いて波長690nmの吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線からポリビニルアルコール系樹脂の濃度(ppm)を算出し、面積換算することで溶出量(ppm/m2)とした。
上記と同様にして、30℃2分間浸漬した場合の溶出量(ppm/m2)を求めた。
〔カール角度(°)〕
得られたポリビニルアルコール系フィルムから長辺10cm×短辺5cmの試験片(前記第1の試験片)を切り出した。このとき、その試験片の長辺を上記フィルムの長さ方向(MD方向)とし、短辺を上記フィルムの幅方向(TD方向)とした。そして、図2(a)に示すように、上記試験片1の長辺方向の下端縁部の中央を、(第1の)クリップ(コクヨ製「目玉クリップ極豆」;口幅20mm;質量2.1g)2aで挟み、そのクリップ2aに針金2bを巻きつけた。それらクリップ2aおよび針金2bで総質量5gの重石2とし、上記試験片1と重石2とからなる試験体を作製した。その後、上記試験片1の長辺方向の上端縁部の中央を、(第2の)クリップ(同上)3aで挟み、そのクリップ3aに紐3bを結びつけた(クリップ3aと紐3bとからなる吊り下げ治具3を上記試験片1の長辺方向の上端縁部の中央部に取り付けた)。次いで、上記クリップ3a付き試験体を上記紐3bで吊り下げた状態で、その試験体全体を水槽4内の30℃の水4aに浸漬した。そして、その浸漬から10秒経過時点および2分経過時点の短辺方向(幅方向)のカール角度α(°)を、図2(b)に示すように、水槽4(図示せず)の上部から目視で観察した。なお、図2(b)では、構成をわかりやすくするために、上記重石2、吊り下げ治具3および水槽4を図示していない。また、上記カール角度αは、上記試験片1の平面部分と、上記短辺方向のカールした部分の端縁部の接線方向とがなす角度である。
〔偏光度(%)、単体透過率(%)〕
得られた偏光膜の幅方向(TD方向)の中央部と両側端部(偏光膜の両側端の各端から10cm内側とする)から、長さ4cm×幅4cmの試験片を切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光社製:VAP7070)を用いて、偏光度(%)と単体透過率(%)を測定した。かかる測定を、偏光膜の長さ方向(MD方向)の中央部と先端部/終端部(偏光膜の先端および終端の各端から10m内側とする)について行なった。
〔色ムラ〕
得られた偏光膜の幅方向(TD方向)の中央部と両端側部(偏光膜の両側端の各端から10cm内側とする)から、長さ30cm×幅30cmの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学的な色ムラを観察し、以下の基準で評価した。かかる測定を、偏光膜の長さ方向(MD方向)の中央部と先端部/終端部(偏光膜の両側端の各端から10m内側とする)について行なった。
(評価基準)
○・・・色ムラがなかった。
×・・・色ムラがあった。
かかる評価を、偏光膜の長さ方向(MD方向)の中央部と先端部/終端部(偏光膜の先端および終端の各端から10m内側とする)について行なった。
<実施例1>(ポリビニルアルコール系フィルムの作製)
重量平均分子量142,000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂2,000kg、水5,000kg、可塑剤としてグリセリン220kgを入れ、撹拌しながら140℃まで昇温して加圧溶解した後、樹脂濃度25重量%に濃度調整を行ない、均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。次に上記ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、ベントを有する2軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を95℃にし、T型スリットダイ吐出口より、回転するキャストドラム(表面温度92℃)に吐出(吐出速度2.5m/分)および流延して製膜した。その製膜したフィルムをキャストドラムから剥離し、そのフィルムの表面と裏面(キャストドラムとの接触面)とを合計15本の熱ロールに交互に接触させながら乾燥した。乾燥条件〔前記式(1)〜(3)参照〕は下記の表1に示される通りである。次いで、フローティングドライヤーを用いて、上記剥離したフィルムの両面から120℃の熱風を吹き付けて熱処理を行ない、厚さ60μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。最後に、そのポリビニルアルコール系フィルムの幅方向(TD方向)の両端部をスリットして芯管にロール状に巻き取ることにより、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:幅5m、長さ5km)を得た。
(ポリビニルアルコール系フィルムの保管)
そして、上記フィルム巻装体を水蒸気バリアフィルムで2重巻きして包装し、包装体を得た。上記水蒸気バリアフィルムとして、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム(アルミニウムを50nm蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム、12μm厚)とポリエチレンフィルム(25μm厚)の積層フィルムを用いた。次いで、上記包装体を雰囲気温度26℃のロールストッカーで15日間保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。
(偏光膜の製造)
得られた上記ポリビニルアルコール系フィルムを上記フィルム巻装体から繰り出し、搬送ロールを用いて水平方向に搬送し、まず、水温30℃の水槽に浸漬して膨潤させながら2分間で流れ方向(MD方向)に1.7倍に延伸した。次に、ヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬して染色しながら0.5分間で流れ方向(MD方向)に1.6倍に延伸し、ついでホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる50℃の水溶液に浸漬してホウ酸架橋しながら1分間で流れ方向(MD方向)に2.1倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行ない、50℃で2分間乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光膜を得た。得られた偏光膜の特性を下記の表2に示す。
<実施例2>
下記の表1に示される条件で製造する以外は、実施例1と同様にして、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:厚さ60μm、幅5m、長さ5km)を得た。さらに、実施例1と同様にして、そのフィルム巻装体を保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。さらに、実施例1と同様にして、偏光膜を得た。得られた偏光膜の特性を下記の表2に示す。
<実施例3>
実施例1において、吐出速度2.5m/分を1.9m/分とし、下記の表1に示される条件で製造する以外は実施例1と同様にして、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:厚さ45μm、幅5m、長さ5km)を得た。さらに、実施例1と同様にして、そのフィルム巻装体を保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。さらに、実施例1と同様にして、偏光膜を得た。得られた偏光膜の特性を下記の表2に示す。
<実施例4>
実施例1において、吐出速度2.5m/分を1.3m/分とし、下記の表1に示される条件で製造する以外は実施例1と同様にして、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:厚さ30μm、幅5m、長さ5km)を得た。さらに、実施例1と同様にして、そのフィルム巻装体を保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。さらに、実施例1と同様にして、偏光膜を得た。得られた偏光膜の特性を下記の表2に示す。
<比較例1>
下記の表1に示される条件で製造する以外は、実施例1と同様にして、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:厚さ60μm、幅5m、長さ5km)を得た。さらに、実施例1と同様にして、そのフィルム巻装体を保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。さらに、実施例1と同様にして、偏光膜を得た。得られた偏光膜の特性を下記の表2に示す。
なお、偏光膜製造後にホウ酸架橋槽の薬液を目視で確認したところ白濁が見られ、薬液の循環フィルターには目詰まりが発生していた。
<比較例2>(前記特許文献3の実施例1に相当)
実施例1において、吐出速度2.5m/分を1.9m/分とし、下記の表1に示される条件で製造する以外は、実施例1と同様にして、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:厚さ45μm、幅5m、長さ5km)を得た。さらに、実施例1と同様にして、そのフィルム巻装体を保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。さらに、実施例1と同様にして、偏光膜の製造を開始したが、膨潤工程においてフィルム端部に折れが発生し製造を中止した。偏光膜の得られた部分(先端部)の特性を下記の表2に示す。
<比較例3>
実施例1において、吐出速度2.5m/分を1.3m/分とし、下記の表1に示される条件で製造する以外は実施例1と同様にして、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:厚さ30μm、幅5m、長さ5km)を得た。さらに、実施例1と同様にして、そのフィルム巻装体を保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。さらに、実施例1と同様にして、偏光膜を製造しようとしたが、膨潤工程においてフィルム端部に折れが発生し、続く延伸工程で破断が発生したため、偏光膜は得られなかった。
<比較例4>
実施例1において、吐出速度2.5m/分を2.1m/分とし、合計18本の熱ロールを用いて下記の表1に示される条件で製造する以外は実施例1と同様にして、フィルム巻装体(ポリビニルアルコール系フィルムの寸法:厚さ50μm、幅5m、長さ5km)を得た。さらに、実施例1と同様にして、そのフィルム巻装体を保管した。保管後のポリビニルアルコール系フィルムの特性を下記の表1に示す。
さらに、実施例1と同様にして、偏光膜を製造しようとしたが、膨潤工程においてフィルム端部に折れが発生し、続く延伸工程で破断が発生したため、偏光膜は得られなかった。
Figure 2017204271
Figure 2017204271
実施例1〜4のポリビニルアルコール系フィルムは、水への樹脂溶出量と水浸漬した時のカール角度が本願特定の範囲内であるため、生産性良く偏光性能に優れ、色ムラも無い偏光膜が得られた。それに対し、比較例1のポリビニルアルコール系フィルムは、水への樹脂溶出量が本願特定の範囲外であるため、得られる偏光膜は偏光性能に劣り、色ムラが有ることがわかる。また比較例2〜4のポリビニルアルコール系フィルムは、水浸漬時のカール角度が本願特定の範囲外であるため、幅広長尺の偏光膜は得られなかった。
上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜や偏光板は、偏光性能に優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパー等)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具等に好ましく用いられる。

Claims (12)

  1. 50℃の水に1分間浸漬した際のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が、900ppm/m2以下であり、かつ下記Aの条件で測定した短辺方向のカール角度が、135°以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
    (A)上記ポリビニルアルコール系フィルムから任意の向きで切り出された長辺10cm×短辺5cmの長方形の試験片と、この試験片の長辺方向の第1端縁部の中央に取り付けられた質量5gの重石とを備えた試験体を、上記試験片の長辺方向の第2端縁部の中央で支持して吊るした状態で、上記試験体全体を30℃の水に10秒間浸漬する条件。
  2. 上記Aの条件において、上記試験体の浸漬時間を2分間としたとき、測定した短辺方向のカール角度が、40°以下であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. 上記ポリビニルアルコール系フィルムが長尺のフィルムであり、上記試験片の長辺がそのフィルムの長さ方向であり、短辺が上記フィルムの幅方向であることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  4. 30℃の水に2分間浸漬した際のポリビニルアルコール系樹脂の溶出量が、50ppm/m2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  5. 厚さ20〜60μm、長さ5km以上、幅4m以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を連続的にキャスト型に吐出および流延して製膜する製膜工程と、その製膜したフィルムを上記キャスト型から剥離した後、その製膜したフィルムを乾燥させる乾燥工程とを備えた、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であって、上記乾燥工程における上記製膜したフィルムの乾燥が、上記製膜したフィルムの表面と裏面を交互に複数の金属製加熱ロールに接触させることにより行われることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  7. 上記乾燥工程に用いる上記金属製加熱ロールの総数がP本であり、上記キャスト型から剥離したフィルムがn番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTn(℃)、そのn番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSn(秒間)、製造されるポリビニルアルコール系フィルムの厚さをD(μm)、上記nを1以上上記P以下の整数としたとき、Tn×Snの総和を表すΣ(Tn×Sn)が下記式(1)を満足することを特徴とする請求項6記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
    75≦Σ(Tn×Sn)/D≦110 ・・・(1)
  8. 上記乾燥工程に用いる上記金属製加熱ロールの総数がP本であり、上記キャスト型から剥離したフィルムがx番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTx(℃)、上記フィルムがy番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTy(℃)、上記x番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSx(秒間)、上記y番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSy(秒間)、上記xを1以上上記P以下の奇数、上記yを2以上上記P以下の偶数としたとき、Tx×Sxの総和を表すΣ(Tx×Sx)と、Ty×Syの総和を表すΣ(Ty×Sy)とが、下記式(2)を満足することを特徴とする請求項6または7記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
    Σ(Ty×Sy)<Σ(Tx×Sx) ・・・(2)
  9. 上記乾燥工程に用いる上記金属製加熱ロールの総数がP本であり、上記キャスト型から剥離したフィルムがx番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTx(℃)、上記フィルムがy番目に接触する上記金属製加熱ロールの表面温度をTy(℃)、上記x番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSx(秒間)、上記y番目の金属製加熱ロールと上記フィルムの接触時間をSy(秒間)、キャスト型の表面温度をT0(℃)、上記xを1以上上記P以下の奇数、上記yを2以上上記P以下の偶数としたとき、Tx×Sxの総和を表すΣ(Tx×Sx)と、Ty×Syの総和を表すΣ(Ty×Sy)とが、下記式(3)を満足することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
    Σ(Ty×Sy)+T0≦Σ(Tx×Sx)≦Σ(Ty×Sy)+T0×10 ・・・(3)
  10. 上記乾燥工程で乾燥させたフィルムを芯管にロール状に巻き取ることによりフィルム巻装体を作製し、このフィルム巻装体を水蒸気バリアフィルムで包装した状態で、25〜30℃の雰囲気温度で5日間以上保管することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  11. 請求項6〜10のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法により製造されることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  12. 請求項1〜5、11のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルムが用いられていることを特徴とする偏光膜。
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