JP3476134B2 - ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルム - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、欠点数が少なくて
偏光フィルムの製造原料として有用なポリビニルアルコ
ール系重合体フィルムおよびこれを用いて作製した偏光
フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計などの小型機器から、近年では、ラップトップパソコ
ン、ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビ
ゲーションシステム、液晶テレビ、パーソナルホンおよ
び屋内外の計測機器などの広範囲に広がり、従来品以上
に偏光性能が高くかつ欠点数の少ない偏光板が求められ
ている。
【0003】偏光板は、一般にポリビニルアルコール系
重合体フィルム(以下、ポリビニルアルコール系重合体
を「PVA」、ポリビニルアルコール系重合体フィルム
を「PVAフィルム」と略記することがある)を一軸延
伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、ホ
ウ素化合物で固定処理を行った(染色と固定処理が同時
の場合もある)偏光フィルムに、三酢酸セルロース(T
AC)フィルムや酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィ
ルムなどの保護膜を貼り合わせた構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、製膜原料に
含まれるPVAの未溶解物はPVAフィルムに残存する
ので、これを延伸して偏光フィルムを作製するときに、
PVAフィルムが切断することがあって良品の収率が悪
くなる。また、PVAの未溶解物が残存するPVAフィ
ルムを用いれば、これから得られる偏光フィルムにもP
VAの未溶解物が残るため、欠点数が多くなって偏光性
能が低下する。
【0005】前記製膜原料に含まれるPVAの未溶解物
を減少させるために、PVA溶液をろ過したり、PVA
溶液を低濃度にしたり、PVAの溶解時間を長時間にす
るなどの方法が検討された。しかし、PVA溶液のろ過
は、固形のごみなどの除去には有効であるが、PVAの
未溶解物は変形してフィルターなどを通過するため除去
されないことが多いし、高粘度の溶液をろ過するには技
術的な困難を伴う。またPVA溶液を低濃度にする場
合、製膜する際に溶媒を蒸発させるための熱量が増大し
てエネルギーコストが上昇する。さらに、PVAの溶解
時間を長時間にする場合は、溶解槽を大型化したり多段
式にする必要があり、そのための設備投資が必要とな
る。
【0006】そこで、本発明の目的は、PVAの未溶解
物の残存量が少ない偏光フィルム用に有用なPVAフィ
ルムおよび偏光性能に優れた偏光フィルムを、低コスト
かつ高い収率で得られるようにする点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にかかるPVAフィルムは、5メッシュパス
〜100メッシュオンの粒径のものを95重量%以上含
むPVAチップを用いて製膜している。
【0008】以上のPVAチップを用いて製膜すること
により、従来のような方法を採用することなく、低コス
トで未溶解物の残存量が少ないPVAフィルムが得られ
る。また、このPVAフィルムは延伸時に切断しにくい
ので、良好な偏光性能を有する偏光フィルムが高い収率
で得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でチップとして用いるPVAは、例えばビニルエ
ステルを重合して得られたポリビニルエステルをけん化
することにより製造される。また該PVAを不飽和カル
ボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその
誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィンなどを15モ
ル%未満の割合でグラフト共重合した変性PVAや、ビ
ニルエステルと不飽和カルボン酸またはその誘導体、不
飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα
−オレフィンなどを15モル%未満の割合で共重合した
変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造さ
れる変性PVAや、未変性または変性PVAをホルマリ
ン、ブチルアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデ
ヒド類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルア
セタール樹脂などを挙げることができる。
【0010】前記のビニルエステルとしては、酢酸ビニ
ル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが例
示される。
【0011】一方、変性PVAに使用されるモノマー
は、主として変性を目的に共重合させるもので、本発明
の趣旨を損なわない範囲で使用される。このようなモノ
マーとして、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸および
その塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−
ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ド
デシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エス
テル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、
メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、
メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メ
タクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エス
テル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、
N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル
アミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプ
ロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピ
ルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリ
ルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導
体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、
N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパ
ンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピル
ジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリル
アミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導
体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミ
ド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プ
ロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、
n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテ
ル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテ
ル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル
類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニト
リル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、
フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリ
ル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸および
その塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩ま
たはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビ
ニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げるこ
とができる。これらのなかでもα−オレフィンが好まし
く、特にエチレンが好ましい。
【0012】変性PVAの変性量は15モル%未満であ
るのが好ましい。
【0013】PVAのけん化度は、耐久性の点から90
モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好まし
く、98モル%以上がさらに好ましく、特に99モル%
以上が最も好ましい。
【0014】前記けん化度とは、けん化によりビニルア
ルコール単位に変換されうる単位の中で、実際にビニル
アルコール単位にけん化されている単位の割合を示した
ものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の
方法により測定を行った。
【0015】PVAの重合度は、偏光性能の点から50
0以上が好ましく、1000以上がより好ましく、15
00以上がさらに好ましく、特に2500以上が最も好
ましい。PVA重合度の上限は8000以下が好まし
く、6000以下がより好ましい。
【0016】なお、前記PVAの重合度は、JIS K
6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再
けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘
度から求められる。
【0017】PVAチップの粒径を測定する方法は、5
メッシュと100メッシュの標準篩を取り付けた振動式
篩別機に、100gのPVAチップを入れ、10分間打
撃と振動を加えた後に、5メッシュ篩上のPVAチップ
と100メッシュ篩下のPVAチップの合計量の重量を
測定して計算する。
【0018】本発明では、PVAチップが、5メッシュ
パス〜100メッシュオンの粒径のものを95重量%以
上、より好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは
99重量%以上、最も好ましくは99.5重量%以上含
むことが重要である。
【0019】5メッシュオンの粒径のPVAチップは、
その粒径に起因して溶解に長時間が必要となり未溶解物
の原因になりやすい。また、100メッシュパスの粒径
のPVAチップは、PVA製造工程で過度に熱履歴を受
けていることが多く、溶解性が悪く未溶解物の原因にな
りやすい。しかし、上記範囲とした本発明のPVAチッ
プを用いることで、未溶解物の残存量の少ないPVAフ
ィルムが得られる。また、後工程での一軸延伸時に未溶
解物が原因となるPVAフィルムの切断が起こりにくい
ので、高性能の偏光フィルムが安定して高い収率で得ら
れる。
【0020】また、5メッシュオンのPVAチップの重
量が、100メッシュパスのPVAチップの重量に対し
0.8倍以上であることが好ましい。特に、5メッシュ
オンのチップの重量は、100メッシュパスのチップの
重量に対し1.1倍以上が好ましく、1.5倍以上がよ
り好ましく、2倍以上が最も好ましい。5メッシュオン
のチップの重量が、100メッシュパスのチップの重量
に対し0.8倍未満の場合は、溶解が安定せず欠点が発
生する場合がある。
【0021】5メッシュパス〜100メッシュオンの粒
径のPVAチップを95重量%以上にする方法として
は、連続式篩別機などにより、一段または多段で篩別す
る方法が一般的であるが、特にこの方法に制限されるも
のでなく、巨大粒径のPVAを除去後、100メッシュ
相当よりも大きな目開きを有するネット状物上で液体な
どをシャワーすることで微小粒径のPVAを除去するこ
となども可能である。
【0022】前記PVAチップを使用してPVAフィル
ムを製造する方法としては、例えばPVAを溶剤に溶解
したPVA溶液を使用して、流延製膜法、湿式製膜法
(貧溶媒中への吐出)、ゲル製膜法(PVA水溶液を一
旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去し、PVAフィル
ムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法
や、含水PVA(有機溶剤などを含んでいても良い)を
溶融して行う溶融押出製膜法などを採用することができ
る。これらのなかでも流延製膜法および溶融押出製膜法
が、良好な偏光フィルムが得られることから好ましい。
【0023】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVAを溶解する溶剤としては、例えば、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリ
セリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、グリセリン、水などを挙げることが
でき、これらのうち1種または2種以上を使用すること
ができる。これらのなかでも、ジメチルスルホキシド、
水、あるいはグリセリンと水の混合溶媒が好適に使用さ
れる。
【0024】PVAフィルムを製造する際に使用するP
VA溶液または含水PVAのPVA濃度は、10〜70
重量%が好適であり、10〜60重量%がより好適であ
り、13〜55重量%がさらに好適であり、特に15〜
50重量%が最も好適である。このPVA溶液または含
水PVAには、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、二色
性染料などを含有させてもよい。
【0025】PVAフィルムを製造する際に可塑剤とし
て、多価アルコールを添加することが好ましい。多価ア
ルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリ
セリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げ
ることができ、これらのうち1種または2種以上を使用
することができる。これらの中でも延伸性向上効果から
ジグリセリンやエチレングリコールやグリセリンが好適
に使用される。
【0026】多価アルコールの添加量としては、PVA
100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜
25重量部がより好ましく、特に5〜20重量部が最も
好ましい。1重量部より少ないと、染色性や延伸性が低
下する場合があり、30重量部より多いと、PVAフィ
ルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合が
ある。
【0027】PVAフィルムを製造する際には、界面活
性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類とし
ては特に限定はないが、アニオン性あるいはノニオン性
の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤として
は、たとえば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸
型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデ
シルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオ
ン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤と
しては、たとえば、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル
型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエス
テル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルな
どのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸
アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリ
コールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなど
のアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリル
フェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型など
のノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活
性剤の1種あるいは2種以上の組み合わせで使用するこ
とができる。
【0028】界面活性剤の添加量としてはPVA100
重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.0
2〜0.5重量部がより好ましく、特に0.05〜0.
3重量部が最も好ましい。0.01重量部より少ないと
延伸性向上や染色性向上の効果が現れにくく、1重量部
より多いと、PVAフィルムの表面に溶出してブロッキ
ングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0029】PVAフィルムの厚さは好ましくは5〜1
50μmであり、より好ましくは20〜100μmであ
り、さらに好ましくは30〜90μmであり、最も好ま
しくは35〜80μmである。
【0030】目視で確認可能な欠点(欠点の面積が30
0μm2 より大きいもの)数の測定法は、フィルム1m
2 を光りにかざし、目視で数を数える。目視で確認可能
な欠点数は、100個/m2 以下が好ましく、70個/
2 以下がより好ましく、特に50個/m2 以下が最も
好ましい。目視で確認可能な欠点数が100個/m2
超えると、偏光フィルムの良品収率が極端に悪化する。
【0031】本発明のPVAフィルムから偏光フィルム
を製造するには、例えば該PVAフィルムを染色、一軸
延伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理
を行えばよく、染色、一軸延伸、固定処理の操作順に特
に制限はない。また、一軸延伸を二回またはそれ以上行
っても良い。
【0032】染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延
伸後のいずれでも可能である。染色に用いる染料として
は、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 1
7、19、154;ダイレクトブラウン 44、10
6、195、210、223;ダイレクトレッド 2、
23、28、31、37、39、79、81、240、
242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、
78、90、98、151、168、202、236、
249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、
51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレク
トイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクト
オレンジ 26、39、106、107などの二色性染
料などが、1種または2種以上の混合物で使用できる。
通常染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液
中に浸漬させることにより行うことが一般的であるが、
PVAフィルムに混ぜて製膜するなど、その処理条件や
処理方法は特に制限されるものではない。
【0033】一軸延伸は、湿式延伸法あるいは乾熱延伸
法が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液中や後
記固定処理浴中でもよい)または吸水後のPVAフィル
ムを用いて空気中で行うことができる。延伸温度は、特
に限定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿
式延伸)する場合は30〜90℃が、また乾熱延伸する
場合は50〜180℃が好適である。また一軸延伸の延
伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)
は、偏光性能の点から4倍以上が好ましく、特に5倍以
上が最も好ましい。延伸倍率の上限は特に制限はない
が、8倍以下であると均一な延伸が得られやすいので好
ましい。延伸後のフィルムの厚みは、3〜75μmが好
ましく、5〜50μmがより好ましい。
【0034】PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固
にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定
処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/また
はホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理
浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
【0035】延伸フィルムの乾燥処理(熱処理)は、3
0〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行
うのがより好ましい。
【0036】以上のようにして得られた偏光フィルム
は、通常、その両面あるいは片面に、光学的に透明で、
かつ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板と
して使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース
(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)
フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィル
ムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤
としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤など
を挙げることができるが、なかでもPVA系の接着剤が
好適である。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。なお、実施例中の二色性比は以下の方法により評
価した。
【0038】二色性比:得られた偏光フィルムの偏光性
能を評価する指標として二色性比を使用した。この二色
性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−2
01−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光
源、2℃視野にて測定・計算して得た透過率Ts(%)
と偏光度P(%)を使用して下記の式から求めた。 二色性比=log(Ts/100−Ts/100×P/
100)/log(Ts/100+Ts/100×P/
100)
【0039】実施例1 5メッシュパス〜100メッシュオンの粒径のものを9
9.6重量%含み、5メッシュオンのチップの重量が、
100メッシュパスのチップの重量に対し2倍であるP
VAチップを用いた。このPVAチップは、けん化度9
9.9モル%、重合度1750である。このPVAチッ
プの100重量部とグリセリン10重量部を含有するP
VA濃度15重量%の水溶液を調製した。そして、この
水溶液を90℃の金属ロールに流延製膜して乾燥し、厚
さ75μmのPVAフィルムを得た。このPVAフィル
ムは、目視で確認可能な欠点数が45個/m2 であっ
た。
【0040】前記PVAフィルムを予備膨潤、染色、一
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作成した。すなわち、PVAフィルムを30℃
の水中に5分間浸漬して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4
g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの
35℃の水溶液中に3分間浸漬した。続いて、ホウ酸濃
度4%の40℃の水溶液中で5.3倍に一軸延伸を行
い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度
40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの3
0℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。こ
の後、PVAフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱
風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
【0041】このようにして得られた偏光フィルムは、
延伸中の切断も無く、欠点数も少なく、厚さは22μm
であった。また、この偏光フィルムの透過度は43.3
%、偏光度は98.6%であり、二色性比は33.8で
あった。
【0042】実施例2 5メッシュパス〜100メッシュオンの粒径のものを9
9.7重量%含み、5メッシュオンのチップの重量が、
100メッシュパスのチップの重量に対し2.3倍であ
るPVAチップを用いた。このPVAチップは、けん化
度99.9モル%、重合度4000である。このPVA
チップの100重量部にグリセリン10重量部と水11
0重量部を含浸させたものを溶融混練し、90℃の金属
ロールに溶融押出製膜して乾燥し、厚さ75μmのPV
Aフィルムを得た。このPVAフィルムは、目視で確認
可能な欠点数が35個/m2 であった。
【0043】前記PVAフィルムを予備膨潤、染色、一
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作成した。すなわち、PVAフィルムを30℃
の水中に5分間浸漬して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4
g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの
35℃の水溶液中に3分間浸漬した。続いて、ホウ酸濃
度4%の40℃の水溶液中で5.6倍に一軸延伸を行
い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度
40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの3
0℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。こ
の後、PVAフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱
風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
【0044】このようにして得られた偏光フィルムは、
延伸中の切断も無く、欠点数も少なく、厚さは22μm
であった。また、この偏光フィルムの透過度は43.1
%、偏光度は99.6%であり、二色性比は42.3で
あった。
【0045】実施例3 実施例1において、5メッシュオンのチップの重量が、
100メッシュパスのチップの重量に対し0.8倍であ
るPVAチップを用いた以外は、実施例1と同様に処理
を行ってPVAフィルムを得た。このPVAフィルム
は、目視で確認可能な欠点数が60個/m2 であった。
【0046】このPVAフィルムを実施例1と同様に処
理した。延伸中の切断は少し発生したが、欠点数は少な
く、得られた偏光フィルムの厚さは23μmであった。
この偏光フィルムの透過度は43.2%、偏光度は9
8.7%であり、二色性比は33.9であった。
【0047】比較例1 実施例1で用いたPVAチップに、予め篩別しておいた
5メッシュオンのチップと100メッシュパスのチップ
を加え、5メッシュパス〜100メッシュオンの粒径の
ものを85重量%含み、5メッシュオンのチップの重量
が100メッシュパスのチップの重量に対し0.5倍で
あるPVAチップを用いた以外は、実施例1と同様に処
理を行ってPVAフィルムを得た。このPVAフィルム
は、目視で確認可能な欠点数が300個/m2 と多かっ
た。
【0048】このPVAフィルムを実施例1と同様に処
理した。延伸作業中にPVAフィルムの切断が多発し、
しかも、得られた偏光フィルムには欠点が多発してい
て、物性評価に耐えなかった。
【0049】比較例2 実施例1で用いたPVAチップに、予め篩別しておいた
5メッシュオンのチップと100メッシュパスのチップ
を加え、5メッシュパス〜100メッシュオンの粒径の
ものを90重量%含み、5メッシュオンのチップの重量
が100メッシュパスのチップの重量に対し0.7倍で
あるPVAチップを用いた以外は、実施例1と同様に処
理を行ってPVAフィルムを得た。このPVAフィルム
は、目視で確認可能な欠点数が140個/m2 以上であ
った。
【0050】このPVAフィルムを、延伸作業中のPV
Aフィルムの切断を抑制するため、水溶液中で4.9倍
に一軸延伸を行った以外は、実施例1と同様に処理し
た。得られた偏光フィルムの厚さは24μmで、この偏
光フィルムには欠点が多発していた。また、この偏光フ
ィルムの透過度は43.1%、偏光度は98.1%であ
り、二色性比は30.4であった。
【0051】比較例3 実施例2で用いたPVAチップに、予め篩別しておいた
5メッシュオンのチップと100メッシュパスのチップ
を加え、5メッシュパス〜100メッシュオンの粒径の
ものを90重量%含み、5メッシュオンのチップの重量
が100メッシュパスのチップの重量に対し0.6倍で
あるPVAチップを用いた以外は、実施例2と同様に処
理を行ってPVAフィルムを得た。このPVAフィルム
は、目視で確認可能な欠点数が200個/m2 以上であ
った。
【0052】このPVAフィルムを、延伸作業中のPV
Aフィルムの切断を抑制するため、水溶液中で4.9倍
に一軸延伸を行った以外は、実施例2と同様に処理し
た。得られた偏光フィルムの厚さは24μmで、この偏
光フィルムには欠点が多発していた。また、この偏光フ
ィルムの透過度は42.2%、偏光度は99.6%であ
り、二色性比は37.2であった。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、PVA
の未溶解物の残存量が少なくて延伸時に切断しにくい偏
光フィルム用に有用なPVAフィルムを、低コストでし
かも高い収率で得ることができる。また、このPVAフ
ィルムから得られる偏光フィルムは、未溶解物の残存量
が少なくて欠点数も少なくなるので、優れた偏光性能を
発揮する。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5メッシュパス〜100メッシュオンの
    粒径のものを95重量%以上含むポリビニルアルコール
    系重合体チップを用いて製膜したポリビニルアルコール
    系重合体フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ポリビニルアル
    コール系重合体フィルムは、目視で確認可能な欠点数が
    100個/m2 以下であるポリビニルアルコール系重合
    体フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1において、5メッシュオンのチ
    ップの重量が、100メッシュパスのチップの重量の
    0.8倍以上であるポリビニルアルコール系重合体チッ
    プを用いて製膜したポリビニルアルコール系重合体フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 偏光フィルム用である請求項1ないし3
    のいずれかに記載のポリビニルアルコール系重合体フィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の偏光フィルム用ポリビ
    ニルアルコール系重合体フィルムを用いて作製した偏光
    フィルム。
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