JP4358409B2 - 偏光フィルムの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物に由来する欠点数が少ないポリビニルアルコール系重合体からなる偏光フィルムの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計などの小型機器から、近年では、ラップトップパソコン、ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲーションシステム、液晶テレビ、パーソナルホンおよび屋内外の計測機器などの広範囲に広がり、従来以上に安価な偏光板が求められている。
【0003】
偏光板は、一般にポリビニルアルコール系重合体フィルム(以下、ポリビニルアルコール系重合体を「PVA」、ポリビニルアルコール系重合体フィルムを「PVAフィルム」と略記することがある)を一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、ホウ素化合物で固定処理を行った(染色と固定処理または、一軸延伸と固定処理が同時の場合もある)偏光フィルムに、三酢酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルムなどの保護膜を貼り合わせた構成となっている。
【0004】
ところで、PVAフィルムの延伸を行うとき、乾式で延伸する場合は染色工程やホウ素化合物での固定処理工程で、湿式で延伸する場合にはそれに加えて延伸前の洗浄工程や膨潤工程や延伸工程でも、PVAフィルム中のPVAが一部溶解したり、PVAフィルムの可塑剤などの添加物が溶出することがある。この場合に各工程で連続運転を行うと、槽内にPVAや添加物を栄養源とする微生物が発生してスライムとなり、PVAフィルムや偏光フィルムに付着して欠点となり、偏光フィルムの収率を低下させるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、微生物に由来する欠点数が少ないPVAフィルムからなる偏光フィルムの製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にかかる偏光フィルムの製造は、PVAフィルムから偏光フィルムを製造する工程において、ポリビニルアルコール系重合体フィルムを処理する洗浄槽内および/または膨潤槽内(一つの槽で両方の目的を達成させる場合もある。以下、当該記述を省略する)の処理液の残留塩素濃度を0.05〜1000ppmに維持するか、前記槽内の処理液に紫外線を0.5mW/cm2 以上で500mW/cm2 以下の強度で照射するものである。
ここで、処理液とは、洗浄槽内または膨潤槽内での洗浄または膨潤処理に用いられる水または薬液を混合した水溶液をいう。
【0007】
本発明によれば、槽内の微生物の繁殖を抑制できるので、微生物に由来する欠点数が少ないPVAフィルムからなる偏光フィルムが得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のPVAフィルムを構成するPVAは、例えば、ビニルエステルを重合して得られたポリビニルエステルをけん化することにより製造される。また該PVAを不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィンなどを15モル%未満の割合でグラフト共重合した変性PVAや、ビニルエステルと不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィンなどを15モル%未満の割合で共重合した変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造される変性PVAや、未変性または変性PVAをホルマリン、ブチルアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデヒド類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。
【0009】
前記のビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを挙げることができ、またこれらの2種以上の混合物なども挙げることができる。
【0010】
一方、変性PVAに使用されるコモノマーとしては、主としてPVAの変性を目的に共重合させるもので、上記ビニルエステルと共重合可能なものであれば、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。このようなコモノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのα−オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げることができる。これらのなかでもα−オレフィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。変性PVAの変性量は15モル%未満であるのが好ましい。
【0011】
PVAのけん化度は、溶出量と耐久性の点から97モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましく、99.5モル%以上が最も好ましい。
【0012】
なお、本明細書でいうけん化度とは、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん化されている単位の割合を示したものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の方法により測定を行った。
【0013】
PVAの重合度は、PVAの溶出量を減らす点とPVAフィルム強度の点から1000以上が好ましく、偏光性能の点から1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、2500以上が最も好ましい。PVAの重合度の上限は8000以下が好ましく、6000以下がより好ましい。
【0014】
なお、本明細書でいうPVAの重合度とは、JIS K 6726に準じて測定される。すなわちPVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から求められる。
【0015】
該PVAを使用してPVAフィルムを製造する方法としては、PVAを溶剤に溶解したPVA溶液を使用して、流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、ゲル製膜法(PVA水溶液を一旦冷却ゲル化した後、水を抽出除去しPVAフィルムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法や、含水PVA(有機溶剤などを含んでいても良い)を溶融して行う溶融押出製膜法などで製造することができる。これらのなかでも流延製膜法と溶融押出製膜法が、良好な偏光フィルムが得られることから好ましい。
【0016】
PVAフィルムを製造する際に使用されるPVAを溶解する溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、グリセリン、水などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらのなかでも、水、ジメチルスルホキシド、または水とグリセリンの混合溶剤が好適に使用される。
【0017】
PVAフィルムを製造する際に使用されるPVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、3〜70重量%が好適であり、10〜60重量%がより好適であり、13〜55重量%がさらに好適であり、15〜50重量%が最も好適である。このPVA溶液または含水PVAには、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、二色性染料などを含有させても良い。
【0018】
PVAフィルムを製造する際に可塑剤として、多価アルコールを添加することが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも延伸性向上効果からジグリセリンやエチレングリコールやグリセリンが好適に使用される。
【0019】
多価アルコールの添加量としてはPVA100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がさらに好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。1重量部より少ないと、染色性や延伸性が低下する場合があり、30重量部より多いと、PVAフィルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合がある。
【0020】
PVAフィルムを製造する際には界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤の1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0021】
界面活性剤の添加量としてはPVA100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.02〜0.5重量部がさらに好ましく、0.05〜0.3重量部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと、延伸性向上や染色性向上の効果が現れにくく、1重量部より多いと、PVAフィルム表面に溶出し、ブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0022】
PVAフィルムの厚みは、好ましくは5〜150μmであり、より好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは30〜90μm、最も好ましくは35〜80μmである。
【0023】
本発明のPVAフィルムから、偏光フィルムを製造するには、例えば、該PVAフィルムを洗浄、膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、および乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を行えばよく、各操作順に特に制限はなく、どれかの工程を二回またはそれ以上行っても良い。
【0024】
染色は一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれでも可能である。染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107などの二色性染料などが、1種または2種以上の混合物で使用できる。通常染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うことが一般的であるが、PVAフィルムに混ぜて製膜するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるものではない。
【0025】
一軸延伸は湿式延伸法または乾熱延伸法が使用できる。延伸温度は特に限定されないが、PVAフィルムを温水(前記染料を含有する溶液中や後記固定処理浴中でも良い)中で延伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃が、また乾熱延伸する場合は50〜180℃が好適である。また一軸延伸の延伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)は、偏光性能の点から4倍以上が好ましく、4.5倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。延伸倍率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルムの厚みは、3〜75μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
【0026】
フィルムへの上記染料の吸着を強固にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/またはホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加しても良い。
【0027】
一軸延伸後の偏光フィルムの乾燥処理(熱処理)は、30〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行うのがより好ましい。
【0028】
洗浄槽および/または膨潤槽の槽内における微生物の繁殖を抑制する方法としては、槽内の処理液の残留塩素濃度を、0.05〜1000ppmに維持することが重要であり、0.1〜200ppmが好ましく、0.4〜100ppmがより好ましく、1〜30ppmが最も好ましい。残留塩素濃度が、0.05ppm未満では微生物の繁殖を抑制できず、1000ppmを超えると作業環境が悪化する。残留塩素濃度の測定は、JIS K 0101を用いる。
【0029】
残留塩素源としては、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、次亜塩素酸、塩素化リン酸三ナトリウム、二酸化塩素、三塩化イソシアヌル酸、二塩化イソシアヌル酸、二塩化イソシアヌル酸ナトリウム、二塩化イソシアヌル酸カリウム、1,3−ジクロル−5,5−ジメチルヒダントイン、サクシンクロルイミドなどを挙げることができる。残留塩素源の添加方法としては、残留塩素源を直接槽に投入しても良いし、残留塩素源を水に溶解してから槽に投入しても良い。
【0030】
洗浄槽および/または膨潤槽の槽内における微生物の繁殖を抑制する他の方法としては、槽の処理液に紫外線を照射することでも達成可能である。紫外線の照射強度は、0.5mW/cm2 以上で500mW/cm2 以下にすることが重要であり、1mW/cm2 以上で400mW/cm2 以下が好ましく、3mW/cm2 以上で300mW/cm2 以下が最も好ましい。0.5mW/cm2 未満では抑制効果に乏しく、500mW/cm2 を超えても抑制効果の増大が見られず、しかも紫外線ランプの冷却を十分できず実用的でない。槽の処理液に紫外線を照射する方法としては、槽内の処理液に直接紫外線を照射する方法や、石英ガラスなどの紫外線を透過する材質からなるパイプ中に槽内の処理液を循環させて外部より紫外線を照射する方法などを例示できる。
【0031】
前記洗浄槽および/または膨潤槽に、残留塩素濃度の管理と紫外線照射を併用しても良い。また、本発明の趣旨を阻害しない範囲で、ヨードホルム、ヨード・グリシン複合体、塩化銅、硫酸銅、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、およびそれらの誘導体などの殺菌剤や、X線、電子線などの放射線を併用しても良い。
【0032】
微生物が発生してスライムとなってしまった場合には、前記方法だけでは除去できないので、補助的手段として、洗浄槽および/または膨潤槽の少なくとも一つの槽の処理液を循環させて、スライムを分離することも有効である。
【0033】
スライムを分離する方法としては、マイクロストレーナー、ガラスフリット、焼結金属、ネット、布、不織布、紙などを用いた濾過、遠心分離、自然沈降、デカンテーションなどが挙げられるが、このうち濾過が好ましい。
【0034】
濾液は、必要に応じて全量またはその一部が、元の槽および/または他の槽に戻される。槽に戻す処理液は、直接槽に注入しても良く、槽に注入する薬液と混合しても良く、槽に注入する薬液の調整に使用しても良い。
【0035】
以上のようにして得られた本発明の偏光フィルムは、微生物に由来する欠点数を2個以下/m2 に減少させることができる。本発明の偏光フィルムは、通常、該偏光フィルムの両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板として使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、なかでもPVA系の接着剤が好適である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例中の二色性比は以下の方法により評価した。
【0037】
二色性比:
得られた偏光フィルムの偏光性能を評価する指標として二色性比を使用した。この二色性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−201−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光源、2度視野にて測定・計算して得た透過率Ts(%)と偏光度P(%)を使用して下記の式から求めた。
Figure 0004358409
【0038】
実施例1
けん化度99.9モル%、重合度1750、PVA100重量部と、グリセリン10重量部を含有する、PVA濃度が15重量%の水溶液を流延製膜して乾燥し、厚さ75μmのPVAフィルムを得た。
【0039】
該PVAフィルムを膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作成した。このPVAフィルムを30℃の水中に5分間浸して予備膨潤する膨潤工程において、膨潤槽の処理液に紫外線ランプにより紫外線を200mW/cm2 で照射した。つぎに、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.3倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸して固定処理を行った。フィルムを取り出し、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。得られた偏光フィルムの厚みは22μmであった。また、透過度は43.3%、偏光度は98.5%、二色性比は33.3であった。
【0040】
膨潤工程において膨潤槽の処理液に紫外線を200mW/cm2 で照射したので、連続運転においても、微生物に由来する欠点は見られなかった。
【0041】
実施例2
けん化度99.9モル%、重合度4000のポリビニルアルコール100重量部と、グリセリン10重量部と、水110重量部を、押出機中で溶融混練させ、金属ロールに吐出させてPVAフィルムを得た。
【0042】
該PVAフィルムの膨潤工程において、膨潤槽の処理液が残留塩素濃度1ppmとなるように次亜塩素酸カルシウムを添加した以外は、実施例1と同様に処理し、偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの厚みは22μmであり、透過度は43.0%、偏光度は99.7%であり、二色性比は43.7であった。
【0043】
膨潤工程において膨潤槽の処理液が残留塩素濃度1ppmとなるように次亜塩素酸カルシウムを添加したので、連続運転においても、微生物に由来する欠点は見られなかった。
【0044】
比較例1
実施例1において、紫外線照射を行わなかったこと以外は同様にして偏光フィルムを得た。生産初期は問題なく運転できたが、連続運転を行ううちに、微生物に由来する欠点が偏光フィルム上に散見され、収率は徐々に低下した。
【0045】
比較例2
実施例2において、残留塩素濃度を0.03ppmとしたこと以外は同様にして偏光フィルムを得た。生産初期は問題なく運転できたが、連続運転を行ううちに、微生物に由来する欠点が偏光フィルム上に散見され、収率は徐々に低下した。
【0046】
【発明の効果】
本発明の製造法を使用することで、槽内の微生物の繁殖を抑制できるので、微生物に由来する欠点数の少ないポリビニルアルコール系重合体フィルムからなる偏光フィルムが得られる。

Claims (2)

  1. ポリビニルアルコール系重合体フィルムから偏光フィルムを製造する工程において、ポリビニルアルコール系重合体フィルムを処理する洗浄槽内および/または膨潤槽内の処理液の残留塩素濃度を0.05〜1000ppmにすることを特徴とする偏光フィルムの製造法。
  2. ポリビニルアルコール系重合体フィルムから偏光フィルムを製造する工程において、ポリビニルアルコール系重合体フィルムを処理する洗浄槽内および/または膨潤槽内の処理液に紫外線を0.5mW/cm2 以上で500mW/cm2 以下の強度で照射することを特徴とする偏光フィルムの製造法。
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