JP6776811B2 - ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いた偏光膜、偏光板、ならびにポリビニルアルコール系フィルムの製造方法 - Google Patents
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また、延伸工程は、染色後のフィルムを流れ方向(MD方向)に延伸して、フィルム中の二色性染料を高度に配向させる工程であるが、偏光膜の偏光性能を向上させるためには、原反となるポリビニルアルコール系フィルムがMD方向に良好な延伸性を有する必要がある。
なお、偏光膜製造において、延伸工程と染色工程の順序が上記と逆のケースも実施されている。すなわち、原反であるポリビニルアルコール系フィルムを、水(温水を含む)で膨潤させた後、延伸し、ヨウ素等の二色性染料で染色するケースであるが、かかるケースにおいても、偏光膜の偏光性能を向上させるためには、ポリビニルアルコール系フィルムが、厚み方向に良好な膨潤性を有し、かつMD方向に良好な延伸性を有する必要がある。
上記特許文献1の開示技術では、膨潤性を向上できても、ポリビニルアルコール系高分子の配向状態までは考慮されておらず、偏光膜製造時の延伸性の改良は困難である。逆に、水膨潤剤の添加により、高分子の配向状態が乱れ、均一な延伸ができない傾向がある。
上記特許文献4の開示技術では、ポリビニルアルコール系フィルムの膜厚を均一にできるものの、高分子の配向までは制御できず、偏光膜製造時の延伸性や膨潤性を改良するには不充分である。
上記特許文献5や6の開示技術では、ポリビニルアルコール系フィルムの面内位相差を低減し、かつ均一にできるものの、厚み方向の位相差までは言及されておらず、偏光膜製造時の延伸性や膨潤性の点で改善の余地がある。
(1)面内位相差Rxy≦30nm
(2)厚み方向位相差Rth≧90nm
ここで面内位相差Rxy(nm)と厚み方向位相差Rth(nm)は、ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、幅方向(TD方向)の屈折率をnx、長さ方向(MD方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、厚みをd(nm)とした場合に、それぞれ下記式(A)、(B)で算出される値である。
(A)Rxy(nm)=|nx−ny|×d(nm)
(B)Rth(nm)={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(1)面内位相差Rxy≦30nm
(2)厚み方向位相差Rth≧90nm
ここで面内位相差Rxy(nm)と厚み方向位相差Rth(nm)は、ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、幅方向(TD方向)の屈折率をnx、流れ方向(MD方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、厚みをd(nm)とした場合に、それぞれ下記式(A)、(B)で算出される値である。
(A)Rxy(nm)=|nx−ny|×d(nm)
(B)Rth(nm)={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
なお、本発明は、偏光膜製造時の膨潤性や延伸性が、フィルム内のポリビニルアルコール系高分子の配向状態、特に厚み方向への配向状態に依存するため、配向状態の指標である位相差を制御することにより、膨潤性や延伸性を改良するものである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、厚み5〜60μm、幅2m以上、長さ2km以上であり、下記特徴を有するポリビニルアルコール系フィルムである。詳しくは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を連続キャスト法により製膜し、製膜されたフィルムをキャスト型から剥離した後、流れ方向(MD方向)に搬送しながら、連続的に乾燥および幅方向(TD方向)に延伸して得られるポリビニルアルコール系フィルムであって、下記式(1)および(2)の両方の物性値を満足することを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムである。一方の物性値だけを満足していても、本発明の目的は達成されない。
(1)面内位相差Rxy≦30nm
(2)厚み方向位相差Rth≧90nm
ここで面内位相差Rxy(nm)と厚み方向位相差Rth(nm)は、ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、幅方向(TD方向)の屈折率をnx、流れ方向(MD方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、厚みをd(nm)とした場合に、それぞれ下記式(A)、(B)で算出される値である。
(A)Rxy(nm)=|nx−ny|×d(nm)
(B)Rth(nm)={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
式(1)は、一般的な面内位相差を特定したものであるが、公知技術の範囲内である。本発明のポリビニルアルコール系フィルムの面内位相差Rxy(nm)は、30nm以下であることが必要であり、好ましくは20nm以下、特に好ましくは15nm以下である。面内位相差Rxyが上限値を超えると、偏光膜に色ムラが生じやすく好ましくない。
かかるふれΔRxyが大きすぎると、偏光膜に色ムラが生じやすい傾向がある。
まず、本発明で使用されるポリビニルアルコール樹脂、およびその水溶液に関して説明する。
本発明において、ポリビニルアルコール系フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、すなわち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等があげられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
脱泡処理ののち、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出および流延されて、連続キャスト法により製膜される。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかる水溶液の粘度が、低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流延が困難となる傾向がある。
かかる吐出速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると流延が困難となる傾向がある。
かかる直径が小さすぎるとキャストドラム上での乾燥区間が短くなることから速度が上がりにくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
キャストドラムの幅が小さすぎると生産性が低下する傾向がある。
かかる回転速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると乾燥が不充分となる傾向がある。
かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると発泡してしまう傾向がある。
上記のようにして製膜されたフィルム〔幅方向(TD方向)の延伸前のフィルム〕の含水率は、0.5〜15重量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜13重量%、更に好ましくは2〜12重量%である。かかる含水率が低すぎても高すぎても、目的とする高分子の配向、すなわち目的とする位相差の発現が困難となる傾向にある。
そして、上記のようにして製膜され、含水率が調製されたフィルムを流れ方向(MD方向)に搬送しながら、幅方向(TD方向)に連続的および断続的の少なくとも一方にて延伸する。
かかるクリップのピッチが広すぎると、延伸後のフィルムにたわみが生じたり、得られるポリビニルアルコール系フィルムの幅方向両端部の厚みムラや位相差ムラが増大したりする傾向がある。また、クリップの挟持位置(クリップの先端部)は、製膜されたフィルムの幅方向両端から100mm以下が好ましい。クリップの挟持位置(先端部)が、フィルムの幅方向中心部に位置しすぎると、破棄するフィルム端部が増大し、製品幅が狭くなる傾向にある。
幅方向(TD方向)の延伸倍率が高すぎても、低すぎても、面内位相差が増大する傾向がある。
幅固定の搬送工程を挿入する場合、固定幅を、1段階目の延伸後の幅よりも狭めることも可能である。延伸直後のフィルムは応力緩和のために収縮しやすく、脱水に伴う収縮も起きるため、固定幅をこれらの収縮幅まで狭めることが可能である。ただし、収縮幅以上に狭めると、フィルムにたわみが生じるため好ましくない。
かかる延伸工程は、フィルムの乾燥工程後に行われることが好ましいが、フィルムの乾燥工程前および乾燥工程後の少なくとも一方にて単独で行われてもよいし、乾燥工程中に行われてもよい。
かかる熱処理温度が、低すぎると、寸法安定性が低下しやすい傾向があり、逆に、高すぎても、偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。
また、熱処理時間は1〜60秒間であることが好ましく、特に好ましくは5〜30秒間である。熱処理時間が、短すぎると、寸法安定性が低下する傾向があり、逆に、長すぎると、偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。
かくして本発明のポリビニルアルコール系フィルムが得られ、最終的にロールに巻き取られて製品となる。かかるポリビニルアルコール系フィルムの厚みは、偏光膜の薄型化の点で5〜60μmであり、更なる薄型化の点で、特に好ましくは5〜45μm、更に好ましくは5〜30μm、殊に好ましくは破断回避の点で5〜20μmである。かかるポリビニルアルコール系フィルムの厚みは、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中の樹脂濃度、キャスト型への吐出量(吐出速度)、延伸倍率等により調整される。
本発明における偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから繰り出して水平方向に移送し、水膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥等の工程を経て製造される。
偏光度=〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
本発明の偏光膜は、色ムラが少なく、偏光性能に優れた偏光板を製造するのに好適である。
なお、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
そして、以下の実施例および比較例におけるポリビニルアルコール系フィルムの特性(面内位相差、厚み方向位相差、面内位相差のふれ、厚み方向位相差のふれ、膨潤度、膨潤度のふれ)と偏光膜の特性(偏光度、単体透過率、色ムラ)の測定および評価を以下のようにして行った。
〔面内位相差Rxy(nm)、厚み方向位相差Rth(nm)〕
得られたポリビニルアルコール系フィルムの幅方向の中央部と左右両端部(フィルム端から10cm内側とする)から、長さ4cm×幅4cmの試験片を切り出し、リターデーション測定装置(「KOBRA−WR」王子計測機器社製)を用いて、590nmにおける、面内位相差Rxy(nm)と厚み方向位相差Rth(nm)を測定した。
<Rthの測定条件>
入射角 :50°
傾斜中心軸:遅相軸
平均屈折率:アッベ屈折率計を用いて測定した数値
上記測定で得られた幅方向における中央部と左右両端部の面内位相差Rxy(nm)の中から、最大値と最小値の差をとって位相差のふれΔRxy(nm)とした。
上記測定で得られた幅方向における中央部と左右両端部の厚み方向位相差Rth(nm)の中から、最大値と最小値の差をとって厚み方向位相差のふれΔRth(nm)とした。
得られたポリビニルアルコール系フィルムの幅方向の中央部と左右両端部から、幅100mm×長さ100mmのフィルムを1枚ずつ切り出し、30℃の水中で15分間浸漬して膨潤させた。浸漬前後の寸法から、下記式に従い、幅方向(TD方向)の膨潤度X(%)、流れ方向(MD方向)の膨潤度Y(%)を算出した。厚み方向の膨潤度Z(%)は、ポリビニルアルコール系フィルムの幅方向の中央部と左右両端部から、幅100mm×長さ100mmのフィルムを1枚ずつ切り出し、30℃の水中で15分間浸漬して膨潤させた後、フィルムを取り出し、濾紙(5A)上にフィルムを広げて置いた。さらに、濾紙(5A)をフィルムの上に重ね、その上に150mm×150mm×4mm(4.4×10-2g/mm2)のSUS板を5秒間載せ、フィルム表面の付着水を除去した。このフィルムを速やかに秤量瓶にいれ、重量を測定し、これを『浸漬後の重量』とした。上記操作は23℃、50%RHの環境にて行った。
次に、該フィルムを105℃の乾燥機に16時間フィルム放置し、フィルム中の水分の除去を行い、その後フィルムを取り出し、速やかに秤量瓶に入れ、重量を測定し、これを『乾燥後の重量』とした。そして、下記式に従い、厚み方向の膨潤度Z(%)を算出した。
膨潤度X(%)=100×浸漬後のTD方向の幅(mm)/浸漬前のTD方向の幅(mm)
膨潤度Y(%)=100×浸漬後のMD方向の幅(mm)/浸漬前のMD方向の幅(mm)
膨潤度Z(%)=1000000×浸漬後の重量(g)/乾燥後の重量(g)/X/Y
上記測定で得られた幅方向における中央部と左右両端部の膨潤度の中から、最大値と最小値の差をとって、幅方向(TD方向)の膨潤度X(%)のふれΔX(%)、流れ方向(MD方向)の膨潤度Y(%)のふれΔY(%)、厚み方向の膨潤度Z(%)のふれΔZ(%)とした。
得られた偏光膜の幅方向の中央部から、長さ4cm×幅4cmの試験片を切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光社製:VAP7070)を用いて、偏光度(%)と単体透過率(%)を測定した。
得られた偏光膜の幅方向の中央部から、長さ30cm×幅30cmの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学的な色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・色ムラなし
△・・・かすかに色ムラあり
×・・・色ムラあり
(ポリビニルアルコール系フィルムの作製)
5,000Lの溶解缶に、重量平均分子量142,000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1,000kg、水2,500kg、可塑剤としてグリセリン105kg、および界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルアミン0.25kgを入れ、撹拌しながら150℃まで昇温して加圧溶解を行い、濃度調整により樹脂濃度25重量%のポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を得た。次に、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、2軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を95℃にし、T型スリットダイ吐出口より、回転するキャストドラムに吐出(吐出速度2.5m/分)および流延して製膜した。その製膜したフィルムをキャストドラムから剥離し、流れ方向(MD方向)に搬送しながら、フィルムの表面と裏面とを合計10本の熱ロールに交互に接触させながら乾燥を行った。それにより、含水率10重量%のフィルム(幅2m、厚み60μm)を得た。次に、フィルムの左右両端部をクリップピッチ45mmで挟持し、フィルムを流れ方向(MD方向)に速度8m/分で搬送しながら、延伸機を用いて120℃で幅方向(TD方向)に1.1倍延伸して、ポリビニルアルコール系フィルム(幅2.2m、厚み55μm、長さ2km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性は表1および表2に示される通りであった。
得られたポリビニルアルコール系フィルムをロールから繰り出し、水平方向に搬送しながら、水温30℃の水槽に浸漬して膨潤させながら流れ方向(MD方向)に1.7倍に延伸した。次に、ヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる30℃の水溶液中に浸漬して染色しながら流れ方向(MD方向)に1.6倍に延伸し、ついでホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(50℃)に浸漬してホウ酸架橋しながら流れ方向(MD方向)に2.1倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、50℃で2分間乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光膜を得た。かかる製造中に破断は起きず、得られた偏光膜の特性は表3に示される通りであった。
上記で得られた偏光膜の両面に、ポリビニルアルコール水溶液を接着剤として用いて、膜厚40μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、70℃で乾燥して偏光板を得た。
実施例1において、製膜したフィルムを、延伸機を用いて75℃で幅方向(TD方向)に1.05倍延伸した後、さらに120℃で幅方向(TD方向)に1.05倍(総延伸倍率1.1倍)延伸する以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム(幅2.2m、厚み55μm、長さ2km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性は表1および表2に示される通りであった。
さらに、該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光膜および偏光板を得た。得られた偏光膜の特性は表3に示される通りであった。
実施例1において、製膜時の吐出速度を1.3m/分とし、含水率7重量%のフィルム(幅2m、厚み30μm)を幅方向(TD方向)に1.1倍延伸する以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム(幅2.2m、厚み27μm、長さ2km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性は表1および表2に示される通りであった。
さらに、該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光膜および偏光板を得た。原反のポリビニルアルコール系フィルムが薄型であるにもかかわらず、偏光膜製造時の延伸工程で破断は生じなかった。得られた偏光膜の特性は表3に示される通りであった。
実施例1において、製膜時の吐出速度を0.8m/分とし、含水率5重量%のフィルム(幅2m、厚み20μm)を幅方向(TD方向)に1.2倍延伸する以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム(幅2.4m、厚み17μm、長さ2km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性は表1および表2に示される通りであった。
さらに、該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光膜および偏光板を得た。原反のポリビニルアルコール系フィルムが薄型であるにもかかわらず、偏光膜製造時の延伸工程で破断は生じなかった。得られた偏光膜の特性は表3に示される通りであった。
実施例1において、製膜時の吐出速度を0.8m/分とし、含水率5重量%のフィルム(幅2m、厚み20μm)を幅方向(TD方向)に1.1倍延伸した後、固定幅2.2m(1.1倍延伸相当)で搬送し、さらに幅方向(TD方向)に1.1倍延伸(総延伸倍率1.2倍)する以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム(幅2.4m、厚み17μm、長さ2km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性は表1および表2に示される通りであった。
さらに、該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光膜および偏光板を得た。原反のポリビニルアルコール系フィルムが薄型であるにもかかわらず、偏光膜製造時の延伸工程で破断は生じなかった。得られた偏光膜の特性は表3に示される通りであった。
実施例1において、製膜したフィルムの両端部をクリップで挟持せず、単純に流れ方向(MD方向)に速度8m/分で搬送しながら、120℃で加熱する以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム(幅2m、厚み60μm、長さ2km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性は表1および表2に示される通りであった。
さらに、該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光膜および偏光板を得た。得られた偏光膜の特性は表3に示される通りであった。
実施例4において、製膜したフィルムの両端部をクリップで挟持せず、単純に流れ方向(MD方向)に速度8m/分で搬送しながら、120℃で加熱する以外は、実施例4と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム(幅2m、厚み20μm、長さ2km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性は表1および表2に示される通りであった。
さらに、該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光膜および偏光板を得た。得られた偏光膜の特性は表3に示される通りであった。
Claims (11)
- 厚み5〜60μm、幅2m以上、長さ2km以上であるポリビニルアルコール系フィルムであって、下記式(1)および(2)を満足することを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
(1)面内位相差Rxy≦30nm
(2)厚み方向位相差Rth≧90nm
ここで面内位相差Rxy(nm)と厚み方向位相差Rth(nm)は、ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、幅方向(TD方向)の屈折率をnx、長さ方向(MD方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、厚みをd(nm)とした場合に、それぞれ下記式(A)、(B)で算出される値である。
(A)Rxy(nm)=|nx−ny|×d(nm)
(B)Rth(nm)={(nx+ny)/2−nz}×d(nm) - 幅方向(TD方向)における面内位相差RxyのふれΔRxyが、5nm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 幅方向(TD方向)における厚み方向位相差RthのふれΔRthが、30nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 30℃の水中に15分間浸漬してフィルムの膨潤度を測定した時に、幅方向(TD方向)の膨潤度X(%)、長さ方向(MD方向)の膨潤度Y(%)、厚み方向の膨潤度Z(%)が、Z≧1.1X、かつ、Z≧1.1Yを満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 幅方向(TD方向)の膨潤度X(%)のふれΔX(%)、長さ方向(MD方向)の膨潤度Y(%)のふれΔY(%)、および厚み方向の膨潤度Z(%)のふれΔZ(%)が、いずれもが5%以内であることを特徴とする請求項4記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- ポリビニルアルコール系フィルムの厚みが5〜30μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリビニルアルコール系フィルムが用いられていることを特徴とする偏光膜。
- 請求項7記載の偏光膜と、上記偏光膜の少なくとも片面に設けられた保護フィルムとを備えていることを特徴とする偏光板。
- ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を連続キャスト法により製膜し、キャスト型からの剥離後、流れ方向(MD方向)に搬送しながら、連続的に乾燥および幅方向(TD方向)に延伸してポリビニルアルコール系フィルムを得るポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であって、ポリビニルアルコール系フィルムが下記式(1)および(2)を満足することを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
(1)面内位相差Rxy≦30nm
(2)厚み方向位相差Rth≧90nm
ここで面内位相差Rxy(nm)と厚み方向位相差Rth(nm)は、ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、幅方向(TD方向)の屈折率をnx、流れ方向(MD方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、厚みをd(nm)とした場合に、それぞれ下記式(A)、(B)で算出される値である。
(A)Rxy(nm)=|nx−ny|×d(nm)
(B)Rth(nm)={(nx+ny)/2−nz}×d(nm) - フィルムの幅方向(TD方向)に1.05〜1.3倍延伸を行なうことを特徴とする請求項9記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- フィルムの幅方向(TD方向)に、逐次延伸を行なうことを特徴とする請求項9または10記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
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