JP2006233179A - 光学用ポリビニルアルコール系フィルム及び偏光膜、偏光板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 側鎖に1,2−グリコール結合を0.01〜6モル%含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)からなる光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
Description
このような中、液晶テレビなどの画面の高輝度化、高精細化に伴い、従来品より一段と光学特性に優れた偏光膜が要求されている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、従来の偏光膜の製造条件においても、可視光線全域、特には波長460nm付近において偏光性能に優れた偏光膜を製造するための光学用ポリビニルアルコール系フィルムを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、前記光学用ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜、更には偏光膜の少なくとも片面に保護膜を設けてなる偏光板も提供するものである。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂(A)としては、側鎖に1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂、即ち、一般式(1)で示される1,2−グリコール構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂であれば特に限定されない。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社やアクロス社の製品として市場から入手したり、ブタンジオール製造時の中間体を精製して使用することができる。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜3(重量比)程度の範囲から選択される。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度とすることが好ましい。
また、ケン化反応の反応温度は特に限定されないが、10〜60℃が好ましく、より好ましくは20〜50℃である。
上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)は上記の如くケン化時にビニルエステル系モノマーのエステル部分と3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのアセトキシ部分を同時に水酸基へ変換することによって製造される。
本発明で用いる可塑剤(B)は、偏光膜を製造する際の延伸性に効果的に寄与するものであり、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンや、重合度が300以下のポリエチレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられ、これらの多価アルコールは単独または二種以上組み合わせて使用することができる。中でも特に好ましいものとしてはグリセリン単独、もしくはグリセリンとジグリセリンまたはグリセリンとトリメチロールプロパンの組み合わせ等が挙げられる。
(1)脂肪族アルキルスルホン酸塩、
(2)アルキル硫酸エステル塩、
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
(4)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、
(5)高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩
等が挙げられる。
(7)一般式
R−O(C2H4O)nH
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。)
で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル、
R−X−O(C2H4O)nH
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。Xはフェニレン基、nは1〜20、好ましくは2〜10の整数を示す。)
で示されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
RCONH−R′−OH 又は RCON−(R′−OH)2
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。R′は−C2H4−、−C3H6−、−C4H8−のいずれかである。)
で示される高級脂肪酸モノ又はジアルカノールアミド、
RCONH2
(ここで、Rはアルキル基またはアルケニル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。)
で示される高級脂肪酸アミド
RNH(C2H4O)xH あるいはH(C2H4O)yN(R)(C2H4O)xH
(ここで、Rはアルキル基であり、その炭素数が6〜22、好ましくは8〜18が好適である。これらは単独のアルキル基であっても、混合アルキル基であっても良い。また、やし油、パーム油、パーム核油、牛脂等から得られるアルキル分布を有するアルキル基を用いることもできる。x及びyは1〜30、好ましくは3〜15の整数を示す。)
で示されるポリオキシエチレンアルキルアミン、
(13)アミンオキシド
等が挙げられる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂としては、未変性のポリビニルアルコール系樹脂に限定されず、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有するものであってもよい。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について具体的に説明する。
次に、洗浄後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製するが、かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキをそのまま水に溶解すると所望する高濃度の水溶液が得られないため、一旦脱水を行なうことが好ましい。脱水方法は特に限定されないが、遠心力を利用した方法が一般的である。
前記洗浄及び脱水により、含水率50重量%以下、好ましくは30〜45重量%の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が上限値を超えると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなり好ましくない。
T型スリットダイとしては、通常、細長の矩形を有したT型スリットダイが用いられる。T型スリットダイ出口の樹脂温度は80〜100℃であることが好ましく、より好ましくは85〜98℃である。T型スリットダイ出口の樹脂温度が下限値未満では流動不良となり、上限値を超えると発泡し好ましくない。
ドラム型ロールで流延製膜するにあたり、例えばドラムの回転速度は5〜30m/分であることが好ましく、特に好ましくは6〜20m/分である。ドラム型ロールの表面温度は70〜99℃であることが好ましく、より好ましくは75〜97℃である。ドラム型ロールの表面温度が下限値未満では乾燥不良となり、上限値を超えると発泡し好ましくない。
熱処理については、(1)表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)を温度60〜180℃に調整して通過させる方法、(2)フローティング型ドライヤー(長さ:2〜30m、温度80〜180℃)にて行う方法等が挙げられる。
本発明の偏光膜は、通常の染色、延伸、ホウ酸架橋および熱処理などの工程を経て製造される。偏光膜の製造方法としては、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素または二色性染料の溶液に浸漬し染色したのち、ホウ素化合物処理する方法、延伸と染色を同時に行なったのち、ホウ素化合物処理する方法、ヨウ素または二色性染料により染色して延伸したのち、ホウ素化合物処理する方法、染色したのち、ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法などがあり、適宜選択して用いることができる。このように、ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は、延伸と染色、さらにホウ素化合物処理を別々に行なっても同時に行なってもよいが、染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが、生産性の点より望ましい。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護膜の代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
(1)側鎖の1,2−グリコール結合量
1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)で測定して算出した。
(2)ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度
残酢酸ビニル単位の加水分解に要するアルカリ消費で分析を行なった。
(3)ポリビニルアルコール系樹脂の4%水溶液粘度
水温を20℃に調整しヘプラ−粘度計により測定した。
(4)光学特性
高速多波長複屈折測定装置(大塚電子(株)製「RETS−2000」)を用いて、得られた偏光膜の波長460nm、540nm、640nmおける偏光度、透過率および二色比を測定した。
500Lのタンクに5℃の水200kgを入れ、撹拌しながら、4%水溶液粘度107mPa・s、ケン化度99.3モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量1.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)42kgを加え、15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、さらに水200kgを加え、15分間撹拌した。得られたスラリーを脱水し、含水率40%のポリビニルアルコール系樹脂(A)ウェットケーキを得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂(A)ウェットケーキ70kg(樹脂分42kg)を溶解槽に入れ、可塑剤(B)としてグリセリン4.2kg、界面活性剤(C)としてドデシルスルホン酸ナトリウム21g、ポリオキシエチレンドデシルアミン8g、水10kgを加え、槽底から水蒸気を吹き込んだ。内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌を行い、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、150℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止した。30分間撹拌を行い均一に溶解した後、濃度調整により濃度26%のポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液を得た。
ドラム型ロール
直径(R1):3200mm、幅:4.3m、回転速度:8m/分、表面温度:90℃、T型スリットダイ出口の樹脂温度:95℃
乾燥ロール
直径(R2):320mm、幅:4.3m、本数(n):10本、回転速度:8m/分、表面温度:80℃
連続して、この膜を両面から温風を吹き付けるフローティング型ドライヤー(長さ18.5m)により、140℃で熱処理を行い、幅4.0m、厚さ50μm、長さ4000mの光学用ポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムを、水温30℃の水槽に浸漬しつつ、1.5倍に延伸した。次に、ヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム15g/Lよりなる染色槽(30℃)にて240秒浸漬しつつ1.3倍に延伸し、さらにホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成のホウ酸処理槽(40℃)に浸漬するとともに、同時に2.8倍に一軸延伸しつつ5分間にわたってホウ酸処理を行なった。その後、乾燥して偏光膜を得た。
次に得られた偏光膜の両面にポリビニルアルコール系水溶液を接着剤として用いて、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、50℃で乾燥して偏光板を得た。この偏光板について、偏光度、光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。表1に示すように、460nmの偏光性能が非常に高いものが得られた。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を、4%水溶液粘度123mPa・s、ケン化度99.8モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量0.5モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)に変更した以外は同様に行い、光学用ポリビニルアルコール系フィルム(長さ4000m、幅4m、厚さ50μm)を得た。
得られた光学用ポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様にして偏光膜及び偏光板を得、偏光度、光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。表1に示すように、460nmの偏光性能が非常に高いものが得られた。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を、4%水溶液粘度270mPa・s、ケン化度99.8モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量2.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)に変更した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルム(長さ4000m、幅4m、厚さ50μm)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様にして偏光膜及び偏光板を得、偏光度、光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。表1に示すように、460nmの偏光性能が非常に高いものが得られた。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を、4%水溶液粘度64mPa・s、ケン化度99.8モル%の未変性ポリビニルアルコール系樹脂に変更した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルム(長さ4000m、幅4m、厚さ50μm)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様にして偏光膜及び偏光板を得、偏光度、光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。表1に示すように、460nmの二色比は31.72であり、十分な偏光性能が得られなかった。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を、4%水溶液粘度110mPa・s、ケン化度99.8モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量8.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)に変更した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルム(長さ4000m、幅4m、厚さ50μm)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様にして偏光膜の作成を試みたが、耐水性が不足し、偏光膜を得ることができなかった。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を、4%水溶液粘度27mPa・s、ケン化度99.8モル%、主鎖に1,2−グリコール結合を1.8モル%有するポリビニルアルコール系樹脂に変更した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルム(長さ4000m、幅4m、厚さ50μm)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様にして偏光膜及び偏光板を得、偏光度、光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。表1に示すように、460nmの二色比は27.01であり、十分な偏光性能が得られなかった。
Claims (9)
- 側鎖に1,2−グリコール結合を0.01〜6モル%含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)からなることを特徴とする光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
- 更に、可塑剤(B)及び界面活性剤(C)を含有してなることを特徴とする請求項1記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)のケン化度が90モル%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)の4重量%水溶液粘度が8〜400mPa・sであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
- フィルム幅が2m以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
- フィルムの厚みが30〜70μmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
- 偏光膜の原反フィルムとして用いることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルム。
- 請求項1〜7いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フィルムからなることを特徴とする偏光膜。
- 請求項8記載の偏光膜の少なくとも片面に保護膜を設けてなることを特徴とする偏光板。
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