JP3976220B2 - 偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム - Google Patents

偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光膜用のポリビニルアルコール系フィルムに関し、更に詳しくは、耐久性に優れた偏光膜を得るためのポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、卓上電子計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類等に液晶表示装置が用いられ、これらに伴い偏光膜の需要も増大しており、これら計器類においては、苛酷な条件下で使用される場合が多いので、耐熱性等の耐久性に優れた偏光膜が要請されている。
かかる偏光膜として、従来よりヨウ素や二色性色素を吸着させたポリビニルアルコール系フィルムの一軸延伸フィルムがよく用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜として用いた場合、ヨウ素染色品は偏光性能は良好であるが、耐久性に劣り、高湿度や高熱雰囲気下にさらされると偏光度の低下を招き、逆に染料染色品は耐久性は優れているが偏光性能は劣るという欠点を有している。又、高重合度のポリビニルアルコールの一軸延伸フィルムを基材とする偏光膜やポリエステルの一軸延伸フィルムを基材とする偏光膜も提案されているが、偏光性能と耐久性の両者に優れた偏光膜を得るには不充分であり、更なる改良が望まれる。
【0004】
そこで、本発明ではこのような背景下において、耐久性に優れた偏光膜を得るためのポリビニルアルコール系フィルムを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ナトリウム含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して2000ppm以下である偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルムが上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜して得られるものであり、該ポリビニルアルコール系樹脂は通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。
【0007】
又、ポリビニルアルコール系樹脂にシリル基を含有させたものでも良く、シリル化剤を用いて後変性させたり、シリル基含有オレフィン性不飽和単量体と共重合しケン化させたり、等の方法が挙げられる。シリル基含有オレフィン性不飽和単量体としてはビニルシラン、(メタ)アクリルアミド−アルキルシラン等が挙げられる。
【0008】
ポリビニルアルコール系樹脂における重合度は特に限定されないが、中でも1000〜7000が好ましく、特には1200〜6000が好ましく、更には1400〜5000が好ましい。かかる重合度が1000未満では充分な光学性能が得られず、7000を越えると偏光膜製造時の延伸が困難となり工業的な生産が難しくなり好ましくない。
【0009】
更にポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は80モル%以上であることが好ましく、特には85〜100モル%、更には98〜100モル%が好ましい。かかるケン化度が80モル%未満では充分な光学性能が得られず好ましくない。
【0010】
上記ポリビニルアルコール系樹脂には、必要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等、一般的に使用される可塑剤をポリビニルアルコール系樹脂に対して30重量%以下、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有される。該可塑剤が30重量%を越えるとフィルム強度が劣り偏光膜製造時の延伸が困難となり好ましくない。
【0011】
又、更に好ましくは、ノニオン性、アニオン性、カチオン性の界面活性剤、中でも特に好ましくはポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル等の剥離剤をポリビニルアルコール系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%含有される。該剥離剤が5重量%を越えるとフィルム表面外観が不良となり好ましくない。
【0012】
上記で得られたポリビニルアルコール系樹脂を製膜してポリビニルアルコール系フィルムを製造するわけであるが、以下にその製造工程を順に説明する。
[洗浄工程]
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ナトリウムを除去するためにメタノールあるいは水で洗浄されるが、メタノールで洗浄する方法では溶剤回収などが必要になるため、水で洗浄する方法がより好ましい。
【0013】
[脱水工程]
洗浄後の含水したポリビニルアルコール系樹脂をそのまま水に溶解すると所望する高濃度の水溶液が得られないため、一旦脱水を行うことが好ましい。脱水方法は特に限定されないが遠心力を利用した方法が一般的である。
【0014】
[溶解工程]
脱水後のポリビニルアルコール系樹脂を流延法にて製膜するため、該ポリビニルアルコール系樹脂を水に溶解する必要がある。溶解方法としては、溶解缶を用いて脱水後のポリビニルアルコール系樹脂、必要に応じて水、可塑剤、添加剤を仕込み、加温、撹拌し溶解したり、多軸押出機を用いて脱水後のポリビニルアルコール系樹脂あるいはそれを乾燥したポリビニルアルコール系樹脂を仕込み、サイドフィードにより、必要に応じて水、可塑剤、添加剤を仕込み、加温、剪断をかけながら溶解したりする方法等が挙げられる。
【0015】
又、上下循環流発生型撹拌翼を備えた加圧溶解缶中で含水したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するにあたり、水蒸気を吹き込む方法も挙げられる。水蒸気を吹き込むにあたり、所望する濃度となるように水を加えることも好ましい。又、必要に応じて可塑剤、添加剤を添加してもよい。
【0016】
本発明では、上下循環流発生型撹拌翼として大型翼を備えた撹拌翼が好ましく、特には住友重機械工業(株)社製のマックスブレンド型翼、神鋼パンテック(株)社製のフルゾーン型翼等が好適に用いられる。但し、これらに限定されない。
撹拌翼の形状は特に限定されないが、翼の直径(d)/溶解缶の内径(D)が0.5〜0.8程度のものが好ましい。
又、必要に応じて、溶解缶の側壁面に、回転軸方向に沿う複数本の邪魔板を間隔をおいて配設することが好ましい。
【0017】
該水蒸気の吹き込み量は、溶解するポリビニルアルコール系樹脂に対して0.5〜5倍量(重量換算)が好ましく、吹き込み時間は0.5〜3時間が好ましい。吹き込み量が0.5倍量未満では溶解不充分となり、5倍量を越えるとドレン量が多くなりすぎて所望する濃度にならず好ましくない。
又、水蒸気を吹き込む際は、缶底より吹き込むことが好ましいがこれに限らず側面等から吹き込んでも良い。
【0018】
又、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が40〜80℃、好ましくは45〜70℃となった時点で、撹拌を開始することが均一溶解ができる点で好ましく、樹脂温度が40℃未満ではモーターの負荷が大きくなり、80℃を越えるとポリビニルアルコール系樹脂の固まりができて均一な溶解ができなくなり好ましくない。
【0019】
更に、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が90〜100℃、好ましくは95〜100℃となった時点で、缶内を加圧することも均一溶解ができる点で好ましく、樹脂温度が90℃未満では未溶解物ができ好ましくない。
【0020】
そして、樹脂温度が130〜150℃となったところで、水蒸気の吹き込みを終了し、0.5〜3時間撹拌を続け、溶解が行われる。
溶解後は、所望する濃度となるように濃度調整が行われる。
かかる水溶液の濃度調整に当たっては、缶の中の液を一部抜き出し、循環させながらプロセス屈折率計(K−PATENTS社製)を用いて濃度測定を行う。
【0021】
上記方法で得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度は15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる濃度が15重量%未満では乾燥負荷が大きくなり生産能力が劣り、60重量%を越えると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができず好ましくない。
【0022】
[脱泡工程]
上記で得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液については脱泡処理が施される。脱泡方法としては静置脱泡や多軸押出機による脱泡等が挙げられ、適宜選択される。
【0023】
[製膜工程]
脱泡後のポリビニルアルコール系樹脂水溶液をT型スリットダイを用いてドラム型ロール又はベルト上で流延製膜し乾燥する。
その後、必要に応じて更に乾燥、熱処理、調湿が行われ、ポリビニルアルコール系フィルムとなる。
【0024】
乾燥については、▲1▼表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径2〜4mのドラムを該ドラムの内温80〜100℃に調整してその上で乾燥させる方法、▲2▼該ドラムを通過させた後、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)を温度60〜100℃に調整して通過させる方法、▲3▼一対のロール間に保持されたベルト(長さ:20〜100m、表面:鏡面処理)の途中に乾燥機を設け、該乾燥機を通過させる方法等が挙げられ、又、かかる▲1▼、▲2▼、▲3▼の方法を適宜組み合わせて行うこともできる。
【0025】
熱処理については、▲1▼表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)を温度60〜180℃に調整して通過させる方法、▲2▼フローティング型ドライヤー(長さ:2〜10m、温度80〜180℃)にて行う方法等が挙げられる。
【0026】
調湿については、▲1▼温度20〜80℃、湿度65〜95%RHに調湿された室内を通過させる方法、▲2▼ヒラノテクシード(株)社製「フリューデックス」を用いた蒸気凝縮法による方法等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、ナトリウム含有量が2000ppm以下であるポリビニルアルコール系フィルムとすることが必要であり、好ましい含有量は0.1〜2000ppm、特に好ましい含有量は1〜2000ppmである。かかる含有量が多すぎると偏光膜として所望する耐久性が得られず本発明の効果を発揮しない。
【0028】
ナトリウム含有量を2000ppm以下に調整する方法としては、特に限定されないが、例えば先述の洗浄工程において水あるいはメタノールで洗浄し、ポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウム含有量を2000ppmに調整すればよい。具体的には、水で洗浄する場合、例えばポリビニルアルコール系樹脂に対して4倍以上の水を用いて、2回以上に分けて洗浄を行うことが好ましい。
【0029】
かくして得られたポリビニルアルコール系フィルムは偏光膜用として非常に有効であり、以下、偏光膜の製造方法について説明する。
偏光膜の製造法としては、かかるポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬し染色するか、延伸と染色を同時に行うか、ヨウ素あるいは二色性染料により染色して延伸するかした後、ホウ素化合物処理する方法が挙げられる。又、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができる。
【0030】
偏光膜に用いられるポリビニルアルコール系フィルムの膜厚としては、30〜100μmが好ましく、更には40〜90μmで、30μm以下では延伸が難しく、100μm以上では膜厚精度が低下して好ましくない。
【0031】
かかるポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は次に延伸及び染色、ホウ素化合物処理が施される。延伸と染色更にホウ素化合物処理は別々に行っても同時に行っても良いが、本発明では染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが望ましい。
【0032】
延伸は一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが望ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜170℃から選ぶのが望ましい。更に、かかる延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されれば良く、延伸操作は一段階段のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すれば良い。
【0033】
フィルムへの染色はフィルムにヨウ素或いは二色性染料を含有する液体を接触させることによって行われる。
通常は、ヨウ素−ヨウ化カリの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/l、ヨウ化カリの濃度は10〜50g/l、ヨウ素/ヨウ化カリの重量比は20〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。
接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
【0034】
染色処理されたフィルムは次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。
ホウ素化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.5〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリを共存させるのが実用上望ましい。
処理法は浸漬法が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は50〜70℃程度、処理時間は5〜20分程度が好ましく、又必要に応じて処理中に延伸操作を行っても良い。
【0035】
このようにして得られた偏光膜は、その片面又は両面に光学的に等方性の高分子フィルム又はシートを保護膜として積層接着して用いることもできる。
かかる保護膜としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフィルム又はシートが挙げられる。
【0036】
又、本発明の偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護膜の代わりに、その方面又は両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
【0037】
本発明の偏光膜(又はその少なくとも片面に保護膜あるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。該感圧性接着剤層としてはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等とα−モノオレフィンカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等でもよい。
【0038】
又、更に偏光板(上記感圧性接着剤が設けられたもの)の片面(上記感圧性接着剤が設けられていない面)に各種機能層を設けることも可能であり、機能層としては、例えばアンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層等が挙げられ、更に、各種2種以上の組み合わせをすることも可能で、例えばアンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層とハーフリフレクション層、蓄光層と光拡散層、蓄光層とエレクトロルミネッセンス層、ハーフリフレクション層とエレクトロルミネッセンス層等の組み合わせが挙げられる。但し、これらに限定されることはない。
【0039】
かかる偏光膜に、上記の各種機能層を設けること、又、各種機能層を種々組み合わせて該偏光膜に設けることで、更に各種機能に優れた光学積層体を得ることもでき、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防目メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCD等)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具等に用いられる。
【0040】
かくして本発明では、ナトリウム含有量が2000ppm以下のポリビニルアルコール系フィルムを用いて偏光膜を得るため、耐熱性等の耐久性に優れた偏光膜を得ることができるものである。
【0041】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0042】
実施例1
500lのタンクに18℃の水200kgを入れ、撹拌しながら、重合度1700、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−1)42kgを加え15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、更に水200kgを加え15分間撹拌した。得られたスラリーをスーパーデカンタ(巴工業社製)により脱水し、樹脂濃度60%、ナトリウム含有量1500ppmの含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−1)を得た。
【0043】
かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−1)70kgを、マックスブレンド型翼を備えた溶解缶に入れ、可塑剤としてグリセリン4.2kg、剥離剤としてポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル42g、水10kgを加え、缶底から水蒸気を吹き込み、内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌を行い、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、150℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止し(水蒸気の吹き込み量は合計75kg)、30分間撹拌を行い均一に溶解した。溶解後、濃度調整により45%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)とした後、脱泡を行い、T型スリットダイよりドラム型ロールで流延製膜し、乾燥、熱処理、調湿を行いポリビニルアルコール系フィルム(F−1)を得た。
【0044】
次に、かかるポリビニルアルコール系フィルム(F−1)を、ヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリ60g/lよりなる水溶液中に30℃にて240秒浸漬し、次いでホウ酸60g/l、ヨウ化カリ30g/lの組成の水溶液(55℃)に浸漬すると共に、同時に4倍に一軸延伸しつつ5分間にわたってホウ酸処理を行った後、30℃で24時間乾燥して、偏光膜(H−1)(単体透過率41.0%、偏光度99.9%)を得た。
得られた偏光膜について、耐久性評価として、100℃で24時間放置した後の色目変化を観察したところ、色目変化は見られなかった。
【0045】
実施例2
500lのタンクに18℃の水180kgを入れ、撹拌しながら、重合度2600、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−2)36kgを加え15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、更に水180kgを加え15分間撹拌した。得られたスラリーをスーパーデカンタ(巴工業社製)により脱水し、樹脂濃度60%、ナトリウム含有量1800ppmの含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−2)を得た。
【0046】
かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−2)60kgを、マックスブレンド型翼を備えた溶解缶に入れ、可塑剤としてグリセリン3.6kg、剥離剤としてポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル36g、水20kgを加え、缶底から水蒸気を吹き込み、内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌を行い、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、150℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止し(水蒸気の吹き込み量は合計75kg)、30分間撹拌を行い均一に溶解した。溶解後、濃度調整により35%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)とした後、脱泡を行い、T型スリットダイよりドラム型ロールで流延製膜し、乾燥、熱処理、調湿を行いポリビニルアルコール系フィルム(F−2)を得た。
【0047】
次に、かかるポリビニルアルコール系フィルム(F−2)を用いて実施例1と同様にして、偏光膜(H−2)(単体透過率41.5%、偏光度99.9%)を得た。
得られた偏光膜について、実施例1と同様に評価したところ、色目変化は見られなかった。
【0048】
実施例3
500lのタンクに18℃の水120kgを入れ、撹拌しながら、重合度4000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−3)24kgを加え15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、更に水120kgを加え15分間撹拌した。得られたスラリーをスーパーデカンタ(巴工業社製)により脱水し、樹脂濃度60%、ナトリウム含有量1000ppmの含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−3)を得た。
【0049】
かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−3)40kgを、マックスブレンド型翼を備えた溶解缶に入れ、可塑剤としてグリセリン2.4kg、剥離剤としてポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル24g、水40kgを加え、缶底から水蒸気を吹き込み、内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌を行い、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、150℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止し(水蒸気の吹き込み量は合計75kg)、30分間撹拌を行い均一に溶解した。溶解後、濃度調整により、25%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)とした後、脱泡を行い、T型スリットダイよりドラム型ロールで流延製膜し、乾燥、熱処理、調湿を行いポリビニルアルコール系フィルム(F−3)を得た。
【0050】
次に、かかるポリビニルアルコール系フィルム(F−3)を用いて実施例1と同様にして、偏光膜(H−3)(単体透過率42.0%、偏光度99.9%)を得た。
得られた偏光膜について、実施例1と同様に評価したところ、色目変化は見られなかった。
【0051】
比較例1
実施例1に準じて、ポリビニルアルコール系樹脂として、重合度1700、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−1)を用いて、樹脂濃度60%、ナトリウム含有量5000ppmのポリビニルアルコール系樹脂(A−4)を得た以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルム(F−4)及び偏光膜(H−4)(単体透過率41.0%、偏光度99.9%)を得た。
得られた偏光膜について、実施例1と同様に評価したところ、黄変が見られた。
【0052】
比較例2
実施例2に準じて、ポリビニルアルコール系樹脂として、重合度2600、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−2)を用いて、樹脂濃度60%、ナトリウム含有量7000ppmのポリビニルアルコール系樹脂(A−5)を得た以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルム(F−5)及び偏光膜(H−5)(単体透過率41.5%、偏光度99.9%)を得た。
得られた偏光膜について、実施例1と同様に評価したところ、黄変が見られた。
【0053】
比較例3
実施例3に準じて、ポリビニルアルコール系樹脂として、重合度4000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−3)を用いて、樹脂濃度60%、ナトリウム含有量7000ppmのポリビニルアルコール系樹脂(A−6)を得た以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルム(F−6)及び偏光膜(H−6)(単体透過率42.0%、偏光度99.9%)を得た。
得られた偏光膜について、実施例1と同様に評価したところ、黄変が見られた。
【0054】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアルコール系フィルムはナトリウム含有量が2000ppm以下であるため、偏光膜としたときの耐久性に優れた効果を示すものであり、偏光膜用として非常に有用である。

Claims (4)

  1. ナトリウム含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して2000ppm以下であることを特徴とする偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム。
  2. ポリビニルアルコール系樹脂が重合度1000〜7000、ケン化度80モル%以上であることを特徴とする請求項1記載の偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム。
  3. 更に剥離剤をポリビニルアルコール系樹脂に対して5重量%以下含有させてなることを特徴とする請求項1又は2記載の偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム。
  4. 上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶中で水蒸気を吹き込み、含水したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解してなるポリビニルアルコール系樹脂水溶液を製膜してなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム。
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