JP3699642B2 - ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法に関し、更に詳しくは、成形物、フィルム、シート、糸等、特には偏光膜や位相差膜等に最適なポリビニルアルコール系フィルムに加工するためのポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解し混練した原液を、溶液流延法(キャスティング法)により製膜して製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解する方法としては、例えば、密閉したタンク内を加温しながら撹拌してポリビニルアルコールを溶解する方法(特開平5−301239号公報)や、2軸押出機を用いてポリビニルアルコールを溶媒で溶解するとともに混練・脱泡する方法(特開平5−305642号公報)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水溶液の固形分濃度15〜50重量%といった高濃度のものを得るには、上記特開平5−301239号公報開示技術では、撹拌不足により、未溶解物が発生したり、系内での濃度分布にバラツキが生じたりする等、均一な濃度に調整することが難しい等の問題点があり、又、特開平5−305642号公報開示技術では、2軸押出機を用いて溶解するため熱や剪断により着色等の劣化を招いたり、上記と同様、未溶解物が発生したり、系内での濃度分布にバラツキが生じる等、均一な濃度調整が難しい等の問題点があった。
【0004】
そこで、本発明ではこのような背景下において、高濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液であっても、未溶解物のない、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶中で含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するにあたり、水蒸気を吹き込むポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明では、特に水蒸気の吹き込み量が、溶解するポリビニルアルコール系樹脂に対して0.5〜5倍量(重量換算)であることが好ましく、更に、水蒸気を缶底より吹き込み、樹脂温度が40〜80℃となった時点で、撹拌を開始することが好ましい。又、水蒸気を缶底より吹き込み、樹脂温度が90〜100℃となった時点で、缶内を加圧することも好ましい。
【0007】
又、本発明においては、ポリビニルアルコール系樹脂粉末を洗浄して酢酸ナトリウムを除去後、脱水した、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解することが均一な溶解を行う点で好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。
又、ポリビニルアルコール系樹脂にシリル基を含有させたものでも良く、シリル化剤を用いて後変性させたり、シリル基含有オレフィン性不飽和単量体と共重合しケン化させたり、等の方法が挙げられる。シリル基含有オレフィン性不飽和単量体としてはビニルシラン、(メタ)アクリルアミド−アルキルシラン等が挙げられる。
【0009】
ポリビニルアルコール系樹脂における重合度は特に限定されないが、中でも1000〜7000が好ましく、特には1200〜6000が好ましく、更には1400〜5000が好ましい。かかる重合度が1000未満では光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず、7000を越えると偏光膜とする場合に延伸が困難となり工業的な生産が難しくなり好ましくない。
【0010】
更に、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は80モル%以上であることが好ましく、特には85〜100モル%、更には98〜100モル%が好ましい。かかるケン化度が80モル%未満では光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず好ましくない。
【0011】
上記ポリビニルアルコール系樹脂には、必要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等、一般的に使用される可塑剤をポリビニルアルコール系樹脂に対して30重量%以下、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有される。該可塑剤が30重量%を越えるとフィルム強度が劣り好ましくない。
【0012】
又、更に好ましくは、ノニオン性、アニオン性、カチオン性の界面活性剤、中でも特に好ましくはポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル等の剥離剤をポリビニルアルコール系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%含有される。該剥離剤が5重量%を越えるとフィルム表面外観が不良となり好ましくない。
【0013】
上記で得られたポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を製造するわけであるが、以下にその製造方法を説明する。
まず、上記ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ナトリウムを除去するためその粉末を洗浄する。洗浄に当たっては、メタノールあるいは水で洗浄されるが、メタノールで洗浄する方法では溶剤回収などが必要になるため、水で洗浄する方法がより好ましい。
【0014】
次に、洗浄後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するわけであるが、そのまま水に溶解すると所望する高濃度の水溶液が得られないため、一旦脱水を行うことが好ましい。脱水方法は特に限定されないが遠心力を利用した方法が一般的である。
かかる洗浄及び脱水により、含水率50重量%以下、好ましくは30〜45重量%の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。該含水率が50重量%を越えると所望する水溶液濃度にすることが難しくなり好ましくない。
【0015】
そして、脱水後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液となる。
本発明においては、かかる含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するあたり、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶中で行い、水蒸気を吹き込むことを最大の特徴とするものである。
【0016】
本発明では、上下循環流発生型撹拌翼として大型翼を備えた撹拌翼が好ましく、特には住友重機械工業(株)社製のマックスブレンド型翼、神鋼パンテック(株)社製のフルゾーン型翼等が好適に用いられる。但し、これらに限定されない。
撹拌翼の形状は特に限定されないが、翼の直径(d)/溶解缶の内径(D)が0.5〜0.8程度のものが好ましい。
又、必要に応じて、溶解缶の側壁面に、回転軸方向に沿う複数本の邪魔板を間隔をおいて配設することが好ましい。
【0017】
かかる上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶中で上記含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するにあたり、水蒸気を吹き込むわけであるが、かかる水蒸気を吹き込むにあたり、所望する濃度となるように水を加えることも好ましい。又、必要に応じて可塑剤、添加剤を添加してもよい。
該水蒸気の吹き込み量は、溶解するポリビニルアルコール系樹脂に対して0.5〜5倍量(重量換算)が好ましく、吹き込み時間は0.5〜3時間が好ましい。吹き込み量が0.5倍量未満では溶解不充分となり、5倍量を越えるとドレン量が多くなりすぎて所望する濃度にならず好ましくない。
又、水蒸気を吹き込む際は、缶底より吹き込むことが好ましいがこれに限らず側面等から吹き込んでも良い。
【0018】
又、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が40〜80℃、好ましくは45〜70℃となった時点で、撹拌を開始することが均一溶解ができる点で好ましく、樹脂温度が40℃未満ではモーターの負荷が大きくなり、80℃を越えるとポリビニルアルコール系樹脂の固まりができて均一な溶解ができなくなり好ましくない。
【0019】
更に、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が90〜100℃、好ましくは95〜100℃となった時点で、缶内を加圧することも均一溶解ができる点で好ましく、樹脂温度が90℃未満では未溶解物ができ好ましくない。
【0020】
そして、樹脂温度が130〜150℃となったところで、水蒸気の吹き込みを終了し、0.5〜3時間撹拌を続け、溶解が行われる。
溶解後は、所望する濃度となるように濃度調整が行われる。
かかる水溶液の濃度調整に当たっては、缶の中の液を一部抜き出し、循環させながらプロセス屈折率計(K−PATENTSK社製)を用いて濃度測定を行う。
【0021】
本発明においては、上記方法で得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度は15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる濃度が15重量%未満では乾燥負荷が大きくなり生産能力が劣り、60重量%を越えると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができず好ましくない。
【0022】
かくして本発明では、上下循環流発生型撹拌翼、特にはマックスブレンド型翼又はフルゾーン型翼を備えた溶解缶中で含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するに当たり、水蒸気を吹き込むため、濃度15〜60重量%といった高濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液であっても未溶解物のない、均一な濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液が得られ、成形物、フィルム、シート、糸等、特には偏光膜や位相差膜等に最適なポリビニルアルコール系フィルムに加工するためのポリビニルアルコール系樹脂水溶液となる。
【0023】
又、更に本発明のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いてポリビニルアルコール系フィルムを製造するに当たっては、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液に脱泡処理が施された後、製膜される。
脱泡処理方法としては静置脱泡や多軸押出機による脱泡等が挙げられ、適宜選択される。
【0024】
製膜については、脱泡後のポリビニルアルコール系樹脂水溶液をT型スリットダイを用いてドラム型ロール又はエンドレスベルト上で流延製膜され、乾燥される。
その後、必要に応じて更に乾燥、熱処理、調湿が行われ、ポリビニルアルコール系フィルムとなる。
【0025】
乾燥については、▲1▼表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径2〜4mのドラムを該ドラムの内温80〜100℃に調整してその上で乾燥させる方法、▲2▼該ドラムを通過させた後、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)を温度60〜100℃に調整して通過させる方法、▲3▼一対のロール間に保持されたベルト(長さ:20〜100m、表面:鏡面処理)の途中に乾燥機を設け、該乾燥機を通過させる方法等が挙げられ、又、かかる▲1▼、▲2▼、▲3▼の方法を適宜組み合わせて行うこともできる。
【0026】
熱処理については、▲1▼表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロール(1〜30本)を温度60〜180℃に調整して通過させる方法、▲2▼フローティング型ドライヤー(長さ:2〜10m、温度80〜180℃)にて行う方法等が挙げられる。
【0027】
調湿については、▲1▼温度20〜80℃、湿度65〜95%RHに調湿された室内を通過させる方法、▲2▼ヒラノテクシード(株)社製「フリューデックス」を用いた蒸気凝縮法による方法等が挙げられる。
【0028】
かかるポリビニルアルコール系フィルムは特に偏光膜用として非常に有効であり、以下、偏光膜の製造方法について説明する。
偏光膜の製造方法としては、かかるポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬し染色するか、延伸と染色を同時に行うか、ヨウ素あるいは二色性染料により染色して延伸するかした後、ホウ素化合物処理する方法が挙げられる。又、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができる。
【0029】
偏光膜に用いられるポリビニルアルコール系フィルムの膜厚としては、30〜100μmが好ましく、更には40〜90μmで、30μm以下では延伸が難しく、100μm以上では膜厚精度が低下して好ましくない。
【0030】
かかるポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は次に延伸及び染色、ホウ素化合物処理が施される。延伸と染色更にホウ素化合物処理は別々に行っても同時に行っても良いが、本発明では染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが望ましい。
【0031】
延伸は一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが望ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜170℃から選ぶのが望ましい。更に、かかる延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されれば良く、延伸操作は一段階段のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すれば良い。
【0032】
フィルムへの染色はフィルムにヨウ素或いは二色性染料を含有する液体を接触させることによって行われる。
通常は、ヨウ素−ヨウ化カリの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/l、ヨウ化カリの濃度は10〜50g/l、ヨウ素/ヨウ化カリの重量比は20〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。
接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
【0033】
染色処理されたフィルムは次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。
ホウ素化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.5〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリを共存させるのが実用上望ましい。
処理法は浸漬法が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は50〜70℃程度、処理時間は5〜20分程度が好ましく、又必要に応じて処理中に延伸操作を行っても良い。
【0034】
このようにして得られた偏光膜は、その片面又は両面に光学的に等方性の高分子フィルム又はシートを保護膜として積層接着して用いることもできる。
かかる保護膜としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフィルム又はシートが挙げられる。
【0035】
又、かかる偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護膜の代わりに、その方面又は両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
【0036】
かかる偏光膜(又はその少なくとも片面に保護膜あるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。該感圧性接着剤層としてはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等とα−モノオレフィンカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等でもよい。
【0037】
かかる偏光膜は、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防目メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCD等)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具等に用いられる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0039】
実施例1
500lのタンクに18℃の水200kgを入れ、撹拌しながら、重合度1700、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−1)40kgを加え15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、更に水200kgを加え15分間撹拌した。得られたスラリーをスーパーデカンタ(巴工業社製)により脱水し、含水率40%、ナトリウム含有量1500ppmのポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−1)を得た。
【0040】
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−1)70kgを、マックスブレンド型翼(住友重機械社製)を備えた溶解缶に入れ、可塑剤としてグリセリン4.2kg、剥離剤としてポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル42g、水10kgを加え、缶底から水蒸気を吹き込み、内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌(回転数:5rpm)を行い、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、150℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止し(水蒸気の吹き込み量は合計75kg)、30分間撹拌(回転数:20rpm)を行い均一に溶解した後、濃度調整により45%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)を得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は均一な水溶液であり、未溶解物は見られなかった。
【0041】
実施例2
500lのタンクに18℃の水180kgを入れ、撹拌しながら、重合度2600、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂(a−2)36kgを加え15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、更に水180kgを加え15分間撹拌した。得られたスラリーをスーパーデカンタ(巴工業社製)により脱水し、含水率40%、ナトリウム含有量1800ppmのポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−2)を得た。
【0042】
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ(A−1)60kgを、マックスブレンド型翼(住友重機械社製)を備えた溶解缶に入れ、可塑剤としてグリセリン3.6kg、剥離剤としてポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル36g、水20kgを加え、缶底から水蒸気を吹き込み、内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌(回転数:5rpm)を行い、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、150℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止し(水蒸気の吹き込み量は合計75kg)、30分間撹拌(回転数:20rpm)を行い均一に溶解した後、濃度調整により35%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)を得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は均一な水溶液であり、未溶解物は見られなかった。
【0043】
実施例3
実施例1において、水蒸気の吹き込み量を合計80kgに変更した以外は同様に行い、43%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)を得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は均一な水溶液であり、未溶解物は見られなかった。
【0044】
実施例4
実施例1において、マックスブレンド型翼(住友重機械社製)をフルゾーン型翼(神鋼パンテック社製)(撹拌の回転数:5rpm)に変更した以外は同様に行い、45%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)を得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は均一な水溶液であり、未溶解物は見られなかった。
【0045】
比較例1
実施例1において、水蒸気の吹き込みを行わなかった代わりに水を25kg加えた以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、濃度45%(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)であったが、未溶解物が見られた。
【0046】
比較例2
実施例1において、マックスブレンド型翼を用いず、アジダー翼による撹拌を行った以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、濃度45%(可塑剤、剥離剤も固形分として含む)であったが、未溶解物が見られた。
【0047】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法は、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶中で含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するに当たり、水蒸気を吹き込むため、高濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液であっても、未溶解物のない、均一な濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液が得られ、成形物、フィルム、シート、糸等、特には偏光膜や位相差膜等に最適なポリビニルアルコール系フィルムに加工するためのポリビニルアルコール系樹脂水溶液として有用である。

Claims (7)

  1. 上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶中で含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解するにあたり、水蒸気を吹き込むことを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法。
  2. 上下循環流発生型撹拌翼がマックスブレンド型翼又はフルゾーン型翼であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法。
  3. 水蒸気の吹き込み量が、溶解するポリビニルアルコール系樹脂に対して0.5〜5倍量(重量換算)であるを特徴とする請求項1又は2記載のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法。
  4. 水蒸気を缶底より吹き込み、樹脂温度が40〜80℃となった時点で、撹拌を開始することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法。
  5. 水蒸気を缶底より吹き込み、樹脂温度が90〜100℃となった時点で、缶内を加圧することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂粉末を洗浄して酢酸ナトリウムを除去後、脱水した、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法。
  7. 得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度が15〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法。
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