JP5496731B2 - 位相差フィルム - Google Patents
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Description
[1]ポリビニルアルコール(以下、「ポリビニルアルコール」を単に「PVA」と略記することがある)系重合体フィルムを一軸延伸してなる位相差フィルムであって、当該位相差フィルムの幅方向中央部の一点に測定地点(C)を定め、当該測定地点(C)を含むように幅方向に5cm間隔で幅方向全体にわたり複数の測定地点(T)を定めた際に(但し、位相差フィルムの端から3cm以内の距離にある地点は測定地点(T)としないこととする)、
(1)測定地点(C)における以下の面内位相差値が50〜1000nmであり、
(2)測定地点(C)を含む全ての測定地点(T)における以下の面内位相差値のうちの最大値と最小値の差が50nm以下であり、
(3)隣接する2つの測定地点(T)における以下の面内位相差値の差の絶対値が、全ての隣接する2つの測定地点(T)において10nm以下である、
位相差フィルム、
面内位相差値:進行方向が位相差フィルムの厚さ方向である波長540nmの光で測定した位相差値。
[2]前記測定地点(T)のうち、最も端にある2つの測定地点(T)のうちの一方を含むように、一軸延伸方向に5cm間隔で10個の測定地点(M)を定めた際に、
(4)隣接する2つの測定地点(M)における前記面内位相差値の差の絶対値が、全ての隣接する2つの測定地点(M)において10nm以下である、
上記[1]の位相差フィルム、
[3]膨潤度が210〜225%のPVA系重合体フィルムを原料に用いて製造される位相差フィルムである、上記[1]または[2]の位相差フィルム、
[4]厚さが8〜20μmである、上記[1]〜[3]のいずれか1つの位相差フィルム、
[5]厚さが15〜120μmのPVA系重合体フィルムを原料に用いて製造される位相差フィルムである、上記[1]〜[4]のいずれか1つの位相差フィルム、
[6]130℃で10分間熱処理した後の前記測定地点(C)における面内位相差値と、当該熱処理後、さらに80℃、70%RHの雰囲気下に20分間静置した後の前記測定地点(C)における面内位相差値との差の絶対値が10nm以下である、上記[1]〜[5]のいずれか1つの位相差フィルム、
[7]位相差フィルムがホウ素化合物を含み、ホウ素化合物の含有量がホウ素換算で0.7〜2.0質量%である、上記[1]〜[6]のいずれか1つの位相差フィルム、
[8]膨潤度が210〜225%のPVA系重合体フィルムを原料に用いる位相差フィルムの製造方法であって、延伸ロールおよびそれに付属されたニップロールの組が3組以上連続して配置され、かつ隣接する当該延伸ロール間の最短距離が全ての隣接する延伸ロール間において2cm以下である構造(U)を少なくとも有する延伸装置によりPVA系重合体フィルムを気相下で一軸延伸する工程を有し、構造(U)における一軸延伸の延伸倍率が延伸前の長さに基づいて1.3〜3.0倍である、位相差フィルムの製造方法、
[9]前記原料に用いるPVA系重合体フィルムの厚さが15〜120μmである、上記[8]の製造方法、
[10]厚さが8〜20μmの位相差フィルムの製造方法である、上記[8]または[9]の製造方法、
[11]前記構造(U)における一軸延伸の前に、PVA系重合体フィルムをホウ酸濃度3質量%以下のホウ酸水溶液に浸漬させる工程をさらに有する、上記[8]〜[10]のいずれか1つの製造方法、
に関する。
本発明の位相差フィルムはPVA系重合体フィルムを一軸延伸することで得られ、当該位相差フィルムの幅方向中央部の一点に測定地点(C)を定め、当該測定地点(C)を含むように幅方向に5cm間隔で幅方向全体にわたり複数の測定地点(T)を定めた際に(但し、位相差フィルムの端から3cm以内の距離にある地点は測定地点(T)としないこととする)、
(1)測定地点(C)における面内位相差値が50〜1000nmであり、
(2)測定地点(C)を含む全ての測定地点(T)における面内位相差値のうちの最大値と最小値の差が50nm以下であり、
(3)隣接する2つの測定地点(T)における面内位相差値の差の絶対値が、全ての隣接する2つの測定地点(T)において10nm以下である。
本発明の位相差フィルムの原料に用いるPVA系重合体フィルムを構成するPVA系重合体としては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステル系重合体をけん化することにより得られるものを使用することができる。上記のビニルエステルの中でも、PVA系重合体の製造の容易性、入手の容易性、コスト等の点から、分子中にビニルオキシカルボニル基(H2C=CH−O−CO−)を有する化合物が好ましく、酢酸ビニルがより好ましい。
特に上記他の単量体が(メタ)アクリル酸またはその塩、不飽和スルホン酸またはその塩などのように、得られるPVA系重合体の水溶性を促進する単量体単位となり得る単量体である場合には、当該PVA系重合体を用いて製造したPVA系重合体フィルムから位相差フィルムを製造する際などにおける水溶液中での処理時に、フィルムが溶解したり溶断したりするのを防止するために、ポリビニルエステル系重合体におけるこれらの単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステル系重合体を構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましい。
これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
PVA系重合体フィルムにおける、PVA系重合体、可塑剤および界面活性剤の合計の占める割合は50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、95〜100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
PVA系重合体フィルムを製造するための装置には、PVA系重合体フィルムを適切な状態に調整するために、熱処理装置;調湿装置;各ロールを駆動するためのモータ;変速機等の速度調整機構などが付設されることが好ましい。
また本発明の位相差フィルムの原料に用いるPVA系重合体フィルムは、連続して位相差フィルムを製造することができることから長尺のフィルムであることが好ましい。このような長尺のフィルムは通常、ロールに巻かれて保管または使用することができる。PVA系重合体フィルムの長さに特に制限はないが、例えば、100〜5000mの範囲内であることが好ましく、500〜2000mの範囲内であることがより好ましい。
膨潤度(%)=(W1)/(W2)×100
本発明の位相差フィルムは、その幅方向中央部の一点に測定地点(C)を定めた際に、当該測定地点(C)における面内位相差値が50〜1000nmの範囲内にあり、これらの範囲内で位相差フィルムの各用途に応じて適切な面内位相差値が選択される。例えば、液晶表示装置用の位相差フィルムとして、測定地点(C)における面内位相差値が150〜350nmの範囲内にあるもの、および475〜625nmの範囲内にあるものなどを挙げることができる。位相差フィルムの幅方向中央部における面内位相差値は、当該位相差フィルム全体の面内位相差値の程度を示す代表値として理解することができる。
なお、以下の実施例および比較例において採用された位相差フィルムの面内位相差むら、高温下での耐湿性、取り扱い性、長期保管時の面内位相差値の安定性、外観および位相差フィルム中のホウ素化合物の含有量の各測定または評価方法を以下に示す。
大塚電子株式会社製 セルギャップ検査装置「RETS−1100」を用いて、540nmの単色光での面内位相差値を測定した。具体的には、以下の実施例または比較例で得られた位相差フィルムの幅方向中央部の任意の一点に測定地点(C)を定め、さらに当該測定地点(C)を含むように幅方向に5cm間隔で幅方向全体にわたり複数の測定地点(T)を定めた。但し、位相差フィルムの端から3cm以内の距離にある地点は測定地点(T)とはしなかった。また、上記の測定地点(T)のうち、最も端にある2つの測定地点の一方を基準とし、当該基準とした測定地点(T)から一方の一軸延伸方向に5cm間隔で、基準とした当該測定地点(T)を含めて10個の測定地点(M)を定めた。そして、各測定地点における面内位相差値を測定した。なお、測定地点(C)における面内位相差値をRとし、測定地点(C)を含む全ての測定地点(T)における面内位相差値のうちの最大値と最小値の差をRaとし、隣接する2つの測定地点(T)における面内位相差値の差の絶対値のうちの最大値をRbとし、隣接する2つの測定地点(M)における面内位相差値の差の絶対値のうちの最大値をRcとした。
以下の実施例または比較例で得られた位相差フィルムの幅方向の中央部から、一軸延伸方向12cm×幅方向2cmの長方形の試験用フィルムを切り出した。次に、ガラス等に貼り合わせた時の位相差変化を想定して、両端にクリップを用いて200gの重りをつけた後、130℃の乾燥機中に設置された曲率半径5cmで湾曲させた鉄板上(サイズ30cm×35cmの鉄板の長辺が曲線となるように曲げ、湾曲部(凸部)を上部とした)に試験用フィルムを密着させるように置いて10分間熱処理を行った。熱処理後の試験用フィルムの中央部(これは上記した測定地点(C)に対応する)の面内位相差値(R1)を上記したのと同様の方法により測定した。さらに、当該熱処理後の試験用フィルムを一軸延伸方向の長さが変化しないように幅方向の2辺のみを金属枠へ固定し、80℃、70%RHの雰囲気下に20分間静置した後、試験用フィルムの中央部の面内位相差値(R2)を上記したのと同様の方法により測定した。R1とR2の差の絶対値をR3とした。
上記の高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性を以下の基準により評価した。
○・・・問題なし
△・・・作業性が若干悪いが、実用上問題なし
×・・・延伸方向への裂けやしわが発生し、取り扱い性不良
以下の実施例または比較例で得られた位相差フィルムの上記測定地点(C)における面内位相差値と、20℃、65%RHの雰囲気下に6ヶ月間保管した後の上記測定地点(C)における面内位相差値との差の絶対値(長期保管時の面内位相差値の変化量)を求め、面内位相差値の安定性を評価した。
以下の実施例または比較例で得られた位相差フィルムを巻き取ったロールの外観を目視により観察し、以下の基準により外観を評価した。
○・・・しわがなく、問題なし
×・・・しわがあり、実用上問題あり
以下の実施例または比較例で得られた位相差フィルムのホウ素原子の含有量を酸素フラスコ燃焼法により前処理を行った後、ジャーレルアッシュ社製 ICP発光分析装置(IRIS−AP)を用いて測定し、位相差フィルム中のホウ素化合物の含有量をホウ素換算値(ホウ素原子換算値)として求めた。測定条件は、出力:1150W、補助ガス流量(Ar):0.5L/分、ネブライザー流量(Ar):26.00spi、ポンプ回転数:130rpmとした。
ポリ酢酸ビニルをけん化して得られたPVAとグリセリンとからなるPVAフィルム原反(PVAの重合度2400、PVAのけん化度99.9モル%、グリセリンの含有量12質量%、PVAフィルムの厚さ40μm、PVAフィルムの幅65cm、ロール形状(長さ1000m)、膨潤度218%)を35℃の水を入れた膨潤槽に2分間浸漬して膨潤させた。膨潤時の延伸倍率は1.8倍とした。次いで、図1に示したような3本の金属製の延伸ロール(直径はいずれも30cm)とそれらに付属された表面がゴム製のニップロール(直径はいずれも20cm)から構成される延伸装置によって、30℃、50%RHの空気中で延伸倍率(第3の延伸ロールの周速度を第1の延伸ロールの周速度で除して得られた倍率)2.3倍で一軸延伸を行った後、50℃で3分間乾燥し、両端よりそれぞれ3cmずつ耳部を切り取った後ロール状に巻き取って、厚さ12μm、幅47cmの位相差フィルムを連続的に製造した。上記延伸装置において、第1の延伸ロールと第2の延伸ロールとの間の最短距離および第2の延伸ロールと第3の延伸ロールとの間の最短距離はいずれも1cmとした。また、延伸装置の延伸槽には50℃の温水を入れておいた。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は4.1倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは243nm、Raは38nm、Rbは9nm、Rcは4nm、R1は297nm、R2は294nm、R3は3nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は17nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
膨潤時の延伸倍率を1.5倍とし、膨潤後にホウ酸を2質量%含む40℃のホウ酸水溶液へ1分間浸漬した後、延伸倍率(第3の延伸ロールの周速度を第1の延伸ロールの周速度で除して得られた倍率)2.5倍で一軸延伸を行い、その後25℃の水で20秒間洗浄したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ12μm、幅47cm、ホウ素化合物の含有量(ホウ素換算値)1.38質量%の位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は3.8倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは257nm、Raは21nm、Rbは10nm、Rcは5nm、R1は267nm、R2は292nm、R3は25nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は3nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
膨潤時の延伸倍率を1.9倍とし、延伸倍率(第3の延伸ロールの周速度を第1の延伸ロールの周速度で除して得られた倍率)1.6倍で一軸延伸したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ15μm、幅49cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は3.0倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは198nm、Raは6nm、Rbは6nm、Rcは5nm、R1は222nm、R2は217nm、R3は5nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は11nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
膨潤時の延伸倍率を1.5倍とし、また延伸装置として第1〜3の延伸ロールとそれらに付属された第1〜3のニップロール、第1の延伸ロールおよび第2の延伸ロールの間に配置された2つのガイドロール(両ガイドロール間の最短距離は50cm)、ならびに第2の延伸ロールおよび第3の延伸ロールの間に配置された2つのガイドロール(両ガイドロール間の最短距離は50cm)を有する延伸装置によって、45℃の水中で延伸倍率(第3の延伸ロールの周速度を第1の延伸ロールの周速度で除して得られた倍率)2.8倍で行い、その後の巻き取りまでの延伸倍率を1.1倍としたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ11μm、幅32cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は4.6倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは230nm、Raは114nm、Rbは72nm、Rcは12nm、R1は280nm、R2は268nm、R3は12nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は15nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
第1の延伸ロールと第2の延伸ロールとの間の最短距離および第2の延伸ロールと第3の延伸ロールとの間の最短距離をいずれも10cmにしたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ12μm、幅42cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は4.1倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは248nm、Raは52nm、Rbは13nm、Rcは12nm、R1は292nm、R2は281nm、R3は11nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は13nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
第3の延伸ロールと第3のニップロールとの間をあけて第3のニップロールがニップロールとして機能しないようにし、第1および2の延伸ロールおよびそれらに付属された第1および2のニップロールによって一軸延伸したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ12μm、幅44cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は4.1倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは248nm、Raは65nm、Rbは20nm、Rcは12nm、R1は288nm、R2は277nm、R3は11nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は15nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
空気中で一軸延伸する代わりに40℃の水中で一軸延伸したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ14μm、幅44cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は4.1倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは258nm、Raは50nm、Rbは22nm、Rcは11nm、R1は282nm、R2は268nm、R3は14nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は13nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
ポリ酢酸ビニルをけん化して得られたPVAとグリセリンとからなるPVAフィルム原反(PVAの重合度2400、PVAのけん化度99.9モル%、グリセリンの含有量12質量%、PVAフィルムの厚さ40μm、PVAフィルムの幅65cm、ロール形状(長さ1000m)、膨潤度207%)を使用し、膨潤槽の水の温度を45℃にするとともに膨潤時の延伸倍率を1.5倍とし、延伸倍率(第3の延伸ロールの周速度を第1の延伸ロールの周速度で除して得られた倍率)3.0倍で一軸延伸したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ9μm、幅48cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は4.5倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは248nm、Raは30nm、Rbは23nm、Rcは11nm、R1は280nm、R2は268nm、R3は12nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は11nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
ポリ酢酸ビニルをけん化して得られたPVAとグリセリンとからなるPVAフィルム原反(PVAの重合度2400、PVAのけん化度99.9モル%、グリセリンの含有量12質量%、PVAフィルムの厚さ40μm、PVAフィルムの幅65cm、ロール形状(長さ1000m)、膨潤度230%)を使用したこと以外は実施例1と同様に一軸延伸を行ったが、膨潤槽にて幅方向に拡幅し、しわのある外観に劣る位相差フィルムしか得ることができなかったため、その他の評価を実施しなかった。
延伸倍率(第3の延伸ロールの周速度を第1の延伸ロールの周速度で除して得られた倍率)1.2倍で一軸延伸したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ36μm、幅52cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は2.2倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは236nm、Raは26nm、Rbは11nm、Rcは13nm、R1は252nm、R2は248nm、R3は4nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は11nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
延伸倍率(第3の延伸ロールの周速度を第1の延伸ロールの周速度で除して得られた倍率)4.0倍で一軸延伸したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ8μm、幅40cmの位相差フィルムを連続的に製造した。使用したPVAフィルム原反が位相差フィルムになるまでの全体の延伸倍率は7.2倍であった。
得られた位相差フィルムのR、Ra、RbおよびRc、ならびにR1、R2およびR3を上記した方法により求めたところ、Rは273nm、Raは65nm、Rbは22nm、Rcは14nm、R1は290nm、R2は285nm、R3は5nmであった。また、高温下での耐湿性の評価において試験用フィルムを切り出した時の取り扱い性に問題はなかった。さらに、長期保管時の面内位相差値の変化量は11nmであり、位相差フィルムを巻き取ったロールはしわがなく外観に問題はなかった。
2 温水
3 延伸エリア
4 第1の延伸ロール
5 第2の延伸ロール
6 第3の延伸ロール
7 第1のニップロール
8 第2のニップロール
9 第3のニップロール
10 フィルム
Claims (4)
- 膨潤度が210〜225%のポリビニルアルコール系重合体フィルムを原料に用いる位相差フィルムの製造方法であって、延伸ロールおよびそれに付属されたニップロールの組が3組以上連続して配置され、かつ隣り合う当該延伸ロール間の最短距離が全ての隣り合う延伸ロール間において2cm以下である構造(U)を少なくとも有する延伸装置によりポリビニルアルコール系重合体フィルムを気相下で一軸延伸する工程を有し、構造(U)における一軸延伸の延伸倍率が延伸前の長さに基づいて1.3〜3.0倍である、位相差フィルムの製造方法。
- 前記原料に用いるポリビニルアルコール系重合体フィルムの厚さが15〜120μmである、請求項1に記載の製造方法。
- 厚さが8〜20μmの位相差フィルムの製造方法である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記構造(U)における一軸延伸の前に、ポリビニルアルコール系重合体フィルムをホウ酸濃度3質量%以下のホウ酸水溶液に浸漬させる工程をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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