WO2022097336A1 - 光学フィルム製造用フィルム、光学フィルムの製造方法、及び光学フィルム - Google Patents

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Abstract

収縮応力が同程度の光学フィルムを製造する場合、延伸温度の高温化が抑制され、かつ光学性能が優れた光学フィルムを得ることができる光学フィルム製造用フィルム、このような光学フィルム製造用フィルムを用いた光学フィルムの製造方法及び光学フィルムを提供する。本発明は、ケイ素含有基及びエチレン単位を有するポリビニルアルコールを含み、前記ケイ素含有基が、シラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基であり、前記ポリビニルアルコールにおける全構造単位に対する前記ケイ素含有基の含有量が0.01モル%以上1.0モル%以下であり、前記エチレン単位の含有量が0.5モル%以上10モル%以下である、光学フィルム製造用フィルムである。

Description

光学フィルム製造用フィルム、光学フィルムの製造方法、及び光学フィルム
 本発明は、光学フィルム製造用フィルム、光学フィルムの製造方法、及び光学フィルムに関する。
 光の透過及び遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。多くの偏光板は、偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護フィルムが貼り合わされた構造を有している。偏光フィルムとしては、ポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある。)を一軸延伸してなるマトリクス(延伸フィルム)にヨウ素系色素(I やI 等)や二色性有機染料といった二色性色素が吸着しているものが主流となっている。
 LCDは、電卓及び腕時計などの小型機器、スマートフォン、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器など広範囲で用いられている。近年のLCDの高性能化に対応して、LCDの構成要素である偏光板についても高性能化が求められている。具体的には、より優れた光学性能を有し、かつ高温においても寸法安定性に優れた偏光板が求められている。したがって、偏光板に用いる偏光フィルムについても、より優れた光学性能(偏光性能)を有し、かつ高温下における収縮応力が小さいことが求められている。
 しかしながら、偏光フィルムにおいて、光学性能(偏光性能)を高めつつ、高温下における収縮応力を小さくすることは容易ではない。これは、一般に偏光フィルムの偏光性能と収縮応力にはトレード・オフの関係が成立するためである。すなわち、偏光フィルムの偏光性能を高くしようとすれば収縮応力が大きくなり、収縮応力を小さくしようとすれば偏光性能が低下する。
 特許文献1には、光学性能及び耐湿熱性等が改善された偏光フィルムとして、少なくとも2500の重合度を有するPVAが用いられた偏光フィルムが開示されている。この特許文献1においては、重合度が4980等の高重合度のPVAがジメチルスルホキシドを主成分とする溶媒に溶解されたPVA製膜溶液を用いて、製膜が行われている。
特開平1-105204号公報
 工業的なPVAフィルムの製造には、環境面、経済性等を考慮し、溶媒として水が用いられたPVA水溶液を製膜溶液として使用することが一般的である。しかし、特許文献1のように重合度の高いPVAを用いた場合、PVA水溶液の粘度が上昇するため、PVAフィルムの製膜性が悪く、工業生産上好ましくない。したがって、PVAの重合度を高める方法以外によって、光学フィルムの光学性能を高める方法が望まれている。また、光学フィルムの製造条件(延伸条件)を同じとした場合、高重合度のPVAを有するPVAフィルムから得られる光学フィルムは、低重合度のPVAを有するPVAフィルムと比較して、収縮応力が高くなってしまう。そのため、高重合度のPVAを有するPVAフィルムを用いた場合、光学性能に優れ、かつ収縮応力の小さい光学フィルムを得るためには、光学フィルムを製造する際の延伸温度を高温化する必要があり、工業生産上好ましくない。したがって、高重合度のPVAを有するPVAフィルムを用いた場合でも、光学フィルムを製造する際の延伸温度を高温化させることなく、光学性能に優れた光学フィルムを得る手法が望まれている。
 本発明者らは、ケイ素含有基を有するPVAを含むPVAフィルムを用いると、PVA水溶液の粘度上昇を抑制しつつ、得られる光学フィルムの光学性能を大幅に向上できることを見出した。しかしながら、ケイ素含有基を有するPVAを含むPVAフィルムを用いた場合でも、依然として、光学フィルムを製造する際の延伸温度を高温化する必要があった。
 本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、収縮応力が同程度の光学フィルムを製造する場合、延伸温度の高温化が抑制され、かつ光学性能が優れた光学フィルムを得ることができる光学フィルム製造用フィルム、このような光学フィルム製造用フィルムを用いた光学フィルムの製造方法及び光学フィルムを提供することを目的とする。
 前記の目的は、
[1]ケイ素含有基及びエチレン単位を有するPVAを含み、前記ケイ素含有基が、シラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基であり、前記PVAにおける全構造単位に対する前記ケイ素含有基の含有量が0.01モル%以上1.0モル%以下であり、前記エチレン単位の含有量が0.5モル%以上10モル%以下である、光学フィルム製造用フィルム;
[2]前記PVAの粘度平均重合度が1,000以上6,000以下であり、けん化度が98.7モル%以上である、[1]の光学フィルム製造用フィルム;
[3]前記粘度平均重合度と前記ケイ素含有基の含有量との積が100モル%以上2,000モル%以下である、[2]の光学フィルム製造用フィルム;
[4]平均厚さが1μm以上75μm以下である、[1]~[3]のいずれかの光学フィルム製造用フィルム;
[5]膨潤度が140%以上400%以下である、[1]~[4]のいずれかの光学フィルム製造用フィルム;
[6]前記光学フィルムが偏光フィルムである、[1]~[5]のいずれかの光学フィルム製造用フィルム;
[7]非延伸フィルムである、[1]~[6]のいずれかの光学フィルム製造用フィルム;
[8][1]~[7]のいずれかの光学フィルム製造用フィルムを一軸延伸する工程を備える、光学フィルムの製造方法;
[9]前記光学フィルムが偏光フィルムである、[8]の光学フィルムの製造方法;
[10]ケイ素含有基及びエチレン単位を有するPVAを含み、前記ケイ素含有基が、シラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基であり、前記PVAにおける全構造単位に対する前記ケイ素含有基の含有量が0.01モル%以上1.0モル%以下であり、前記エチレン単位の含有量が0.5モル%以上10モル%以下である、光学フィルム;
[11]収縮応力が100N/m以下である、[10]の光学フィルム;
[12]偏光フィルムである、[10]又は[11]の光学フィルム;及び
[13]単層フィルムである、[10]~[12]のいずれかの光学フィルム;
のいずれかを提供することで達成される。
 本発明によれば、収縮応力が同程度の光学フィルムを製造する場合、延伸温度の高温化が抑制され、且つ光学性能が優れた光学フィルムを得ることができる光学フィルム製造用フィルム、このような光学フィルム製造用フィルムを用いた光学フィルムの製造方法及び光学フィルムを提供することができる。換言すれば、本発明の光学フィルム製造用フィルム及び光学フィルムの製造方法によれば、得られる光学フィルムの光学性能を高めつつ、収縮応力の増大と延伸温度の高温化とを抑制することができる。
図1は、実施例1~3及び比較例1~5で得られた各偏光フィルムの収縮応力が75N/mmとなるときの延伸温度をそのときの二色性比に対してプロットしたグラフである。 図2は、実施例3及び比較例1、4、5で得られた各偏光フィルムの収縮応力が75N/mmとなるときの延伸温度をそのときの二色性比に対してプロットしたグラフである。
<光学フィルム製造用フィルム>
 本発明の光学フィルム製造用フィルムは、ケイ素含有基及びエチレン単位を有するポリビニルアルコール(以下、「変性PVA」と称することがある。)を含む。
(変性PVA)
 変性PVAは、ビニルアルコール単位(-CH-CH(OH)-)を構造単位として有する重合体であって、かつケイ素含有基及びエチレン単位を有する。変性PVAは酢酸ビニル単位等のビニルエステル単位やその他の構造単位をさらに有していてもよい。
 変性PVAの粘度平均重合度の下限は1,000が好ましく、2,000がより好ましく、2,500がさらに好ましい。変性PVAの粘度平均重合度が前記下限以上であることにより、本発明の光学フィルム製造用フィルムは延伸加工性に優れたものとなり、光学性能がより高く、良好な耐湿熱性を有する光学フィルムを得ることができる。一方、前記粘度平均重合度の上限は、6,000が好ましく、5,000がより好ましく、4,000がさらに好ましい。変性PVAの粘度平均重合度が前記上限以下であることにより、良好な水溶性を発揮し、水溶液の粘度の上昇が抑制される。また、変性PVAの粘度平均重合度が前記上限以下であることにより、延伸温度の高温化がより抑制される。このため、変性PVAの粘度平均重合度が前記上限以下であることで、良好な製膜性が発揮され、本発明の光学フィルム製造用フィルムの生産性を高めることができる。さらに、変性PVAの粘度平均重合度が前記上限以下である場合、本発明の光学フィルム製造用フィルムから、収縮応力の増大が抑制された光学フィルムが得られやすくなる。
 粘度平均重合度とは、JIS K6726-1994の記載に準じて測定される平均重合度を意味する。すなわち、本明細書中において、粘度平均重合度は、PVAの残存ビニルエステル基を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から、下記式により求められる。
 粘度平均重合度Po=([η]×10/8.29)(1/0.62)
 変性PVAのけん化度の下限は、98.7モル%が好ましく、99.0モル%がより好ましく、99.5モル%がさらに好ましく、99.8モル%がよりさらに好ましく、99.9モル%が特に好ましい。けん化度が前記下限以上であることにより、光学性能及び耐湿熱性等がより優れた光学フィルムが得られる。一方、けん化度の上限に特に制限はないが、変性PVAの生産性の観点から、99.99モル%以下が好ましい。
 PVAのけん化度とは、PVAが有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換されうる構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対するビニルアルコール単位のモル数の割合(モル%)をいう。PVAのけん化度はJIS K6726-1994の記載に準じて測定することができる。
 変性PVAは、ケイ素含有基を有する。このケイ素含有基は、シラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基である。シラノール基とは、ケイ素原子とこのケイ素原子に結合する少なくとも1つのヒドロキシ基とを有する基をいう。シラノール基が有するヒドロキシ基の数は、通常1~3のいずれかであり、3であることが好ましい。シラノール基が有するヒドロキシ基は、塩(例えば、-ONa、-OK等)の状態で存在していてもよい。
 水の存在下でシラノール基に転化し得る基とは、PVAを水中で、反応時間2時間、反応温度150℃の条件下で加熱した場合に、シラノール基に転化し得る基を意味する。このシラノール基への転化は、加水分解により生じるものであってよい。水の存在下でシラノール基に転化し得る基としては、ケイ素原子に少なくとも1つのアルコキシ基又はアシロキシ基が結合した基等を挙げることができ、具体的にはトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基、トリアセトキシシリル基等を挙げることができる。
 ケイ素含有基、すなわちシラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基としては、下記式(1)~(3)のいずれかで表される基を挙げることができる。これらの中でも、下記式(1)で表される基が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 式(1)~(3)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1~20の炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数1~20のアシル基である。Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~20の炭化水素基である。
 R及びRで表される炭素数1~20の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基(シクロヘキシル基等)、芳香族炭化水素基(フェニル基等)等を挙げることができ、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、エチニル基等のアルキニル基等を挙げることができ、アルキル基が好ましい。R及びRで表される炭化水素基の炭素数としては、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。R及びRで表される炭化水素基が有する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)等で置換されていてもよい。
 Rで表される炭素数1~20のアシル基としては、水素原子又は炭素数1~19の炭化水素基にカルボニル基(-CO-)が結合した基を挙げることができる。炭素数1~19の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アシル基としては、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。Rで表されるアシル基の炭素数としては、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。Rで表されるアシル基が有する水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基等)等で置換されていてもよい。
 前記式(1)~(3)のいずれかで表される基において、Rの少なくとも一つが水素原子である場合、この基はシラノール基である。また、前記式(1)~(3)のいずれかで表される基において、全てのRが水素原子では無い場合、この基は水の存在下でシラノール基に転化し得る基である。Rとしては、水素原子、又は置換若しくは非置換の炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましい。
 得られる光学フィルムの光学性能の観点などから、ケイ素含有基はケイ素-炭素結合により、重合体主鎖中の炭素原子に直接結合していることが好ましい。
 変性PVAにおける全構造単位に対するケイ素含有基の含有量は、0.01モル%以上1.0モル%以下である。このように、所定量のケイ素含有基を有する変性PVAを用いることにより、得られる光学フィルムの光学性能が向上する。変性PVAのケイ素含有基の含有量の下限は、0.01モル%であり、0.05モル%が好ましく、0.1モル%がより好ましく、0.15モル%がさらに好ましい場合もある。ケイ素含有基の含有量を前記下限以上とすることで、得られる光学フィルムの光学性能を十分に高めることができる。一方、変性PVAにおける全構造単位に対するケイ素含有基の含有量の上限は、1.0モル%であり、0.8モル%が好ましく、0.6モル%がより好ましく、0.4モル%がさらに好ましい。ケイ素含有基の含有量を前記上限以下とすることで、変性PVAの水溶性及び水溶液の粘度安定性が良好となり、フィルム生産性(製膜性)を高めることができる。また、ケイ素含有基の含有量を前記上限以下とすることで、延伸温度の高温化を抑制することなどもできる。
 変性PVAにおいて、ケイ素含有基の含有量(モル%)は、例えば、けん化する前のビニルエステル重合体のプロトンNMRから求められる。ここで、けん化する前のビニルエステル重合体のプロトンNMRを測定するに際しては、ビニルエステル重合体をヘキサン-アセトンにより再沈精製して重合体中から未反応のモノマーを完全に取り除き、次いで90℃減圧乾燥を2日間行った後、CDCl溶媒に溶解して分析に供する。
 変性PVAの粘度平均重合度とケイ素含有基の含有量との積の下限は、100モル%が好ましく、200モル%がより好ましく、300モル%がさらに好ましく、400モル%がよりさらに好ましい場合もある。前記積が前記下限以上であることにより、得られる光学フィルムの光学性能がより優れたものとなる。一方、前記積の上限は、2,000モル%が好ましく、1,500モル%がより好ましく、1,200モル%がさらに好ましく、800モル%が特に好ましい。前記積が前記上限以下であることにより、変性PVAの水溶性がより高まり、延伸温度の高温化もより抑制されるため、当該光学フィルム製造用フィルムの生産性をより高めることなどができる。
 変性PVAは、ケイ素含有基を有する構造単位を有することが好ましい。ケイ素含有基を有する構造単位としては、下記式(4)で表される構造単位を挙げることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、単結合又は2価の連結基である。Rは、ケイ素含有基である。
 Rとしては、水素原子が好ましい。
 Rで表される2価の連結基としては、-(CH-(nは、1~5の整数である。)又は-CONR-R-(Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基である。Rは、前記-(CH-で表される基、又は酸素原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む2価の炭化水素基である。)で表される基を挙げることができる。
 酸素原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む2価の炭化水素基としては、-CHCHNHCHCHCH-、-CHCHNHCHCH-、-CHCHNHCH-、-CHCHN(CH)CHCH-、-CHCHN(CH)CH-、-CHCHOCHCHCH-、-CHCHOCHCH-、-CHCHOCH-等を挙げることができる。酸素原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む2価の炭化水素基の炭素数としては、例えば2以上6以下とすることができる。
 Rは、単結合であることが好ましい。
 Rで表されるケイ素含有基の具体例としては、上述したとおりであり、前記式(1)~(3)のいずれかで表される基を挙げることができ、前記式(1)で表される基が好ましい。
 ケイ素含有基を有する構造単位に含まれるケイ素含有基の数は、特に限定されないが、1であってよい。変性PVAにおける全構造単位に対するケイ素含有基を有する構造単位の含有量の範囲は、上述したケイ素含有基の含有量の範囲であってよい。また、変性PVAの粘度平均重合度とケイ素含有基を有する構造単位の含有量との積の範囲は、上述した粘度平均重合度とケイ素含有基の含有量との積の範囲であってよい。
 変性PVAは、さらにエチレン単位(-CH-CH-)を有する。変性PVAにおける全構造単位に対するエチレン単位の含有量は0.5モル%以上10モル%以下である。このように、所定量のエチレン単位を有する変性PVAを用いることにより、延伸温度の高温化を抑制しつつ光学性能に優れる光学フィルムを得ることができる。エチレン単位の含有量の下限は1.0モル%が好ましく、2.0モル%がより好ましい。エチレン単位の含有量を前記下限以上とすることで、延伸温度の高温化をより抑制することができる。一方、エチレン単位の含有量の上限は6モル%が好ましく、5モルがより好ましく、4.5モル%がさらに好ましい。エチレン単位の含有量を前記上限以下とすることで、変性PVAの水溶性を高めることなどができる。
 変性PVAにおけるエチレン単位の含有量は、例えばプロトンNMRを用いて求めることができ、例えば上述のケイ素含有基の含有量と同様に、変性PVAの前駆体である変性ビニルエステル系重合体をプロトンNMRで測定することで、変性PVAのエチレン単位含有量を求めることが可能である。
 変性PVAは、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位、ケイ素含有基を有する構造単位及びエチレン単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。但し、変性PVAの全構造単位に対する前記その他の構造単位の含有量は、15モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、1モル%以下がさらに好ましく、0.1モル%以下がよりさらに好ましい場合もある。変性PVAが、実質的にビニルアルコール単位、ビニルエステル単位、ケイ素含有を有する構造単位基及びエチレン単位を有する構造単位から構成されていることで、本発明の効果がより十分に奏される場合がある。
 当該光学フィルム製造用フィルムは、1種の変性PVAを単独で含有してもよく、重合度、けん化度、ケイ素含有基の含有量及びエチレン単位含有量等が互いに異なる2種以上の変性PVAを含有してもよい。
 当該光学フィルム製造用フィルムにおける変性PVAの含有量の下限は特に限定されないが、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、85質量%がさらに好ましい。変性PVAの含有量を前記下限以上とすることで、本発明の効果をより高めることができる。一方、この含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってよく、99質量%が好ましく、95質量%がより好ましい。なお、光学フィルム製造用フィルムにおける各成分の含有量(質量%)は、乾燥状態、すなわち水以外の全成分の合計含有量を基準とした値である。
(変性PVAの製造方法)
 変性PVAの製造方法は特に限定されない。例えば、ビニルエステルモノマーと、ケイ素含有基を有するモノマーと、エチレンとを共重合させ、得られるビニルエステル重合体をけん化することにより製造することができる。
 ビニルエステルモノマーとしては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリアン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができる。これらの中でも、酢酸ビニルが好ましい。
 ケイ素含有基を有するモノマーとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルトリ(β-メトキシエトキシ)シラン、2-(メタ)アクリルアミド-エチルトリメトキシシラン、1-(メタ)アクリルアミド-メチルトリメトキシシラン、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、2-(メタ)アクリルアミド-イソプロピルトリメトキシシラン、N-(2-(メタ)アクリルアミド-エチル)-アミノプロピルトリメトキシシラン、(3-(メタ)アクリルアミド-プロピル)-オキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルトリアセトキシシラン、2-(メタ)アクリルアミド-エチルトリアセトキシシラン、4-(メタ)アクリルアミド-ブチルトリアセトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルトリプロピオニルオキシシラン、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロピルトリアセトキシシラン、N-(2-(メタ)アクリルアミド-エチル)-アミノプロピルトリアセトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルイソブチルジメトキシシラン、2-(メタ)アクリルアミド-エチルジメチルメトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルメチルジアセトキシシラン、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロピルハイドロジェンジメトキシシラン、3-(N-メチル-(メタ)アクリルアミド)-プロピルトリメトキシシラン、2-(N-エチル-(メタ)アクリルアミド)-エチルトリアセトキシシラン等を挙げることができる。
 ビニルエステルモノマーとケイ素含有基を有するモノマーとエチレンとを共重合させる方法としては特に限定されず、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が挙げられる。これらの方法の中でも、無溶媒で行う塊状重合法、及びアルコール等の溶媒を用いて行う溶液重合法が好ましい。溶液重合時に溶媒として使用される溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール等の低級アルコール等が挙げられる。
 共重合反応に使用される開始剤としては、従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等が適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等を挙げることができる。過酸化物系開始剤としては、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t-ブチルパーオキシネオデカネート、α-クミルパーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、ジイソブチリルパーオキシド;2,4,4-トリメチルペンチル-2-パーオキシフェノキシアセテート等が挙げられる。さらには、例示した前記過酸化物系開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を組み合わせて開始剤とすることができる。レドックス系開始剤としては、前記の過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L-アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
 共重合反応を行う際の重合温度については特に制限はないが、0℃以上180℃以下が好ましく、20℃以上160℃以下がより好ましく、30℃以上150℃以下がさらに好ましい。
 ビニルエステル重合体の製造方法としては、ビニルエステルモノマー及びケイ素含有基を有するモノマーの共存下でエチレンを加圧しながら共重合することが好ましい。その際の重合反応器内のエチレン圧力は特に限定されないが0.01~2.0MPaが好ましく、0.05~1.0MPaがより好ましく、0.1~0.65MPaがさらに好ましい場合もある。重合反応器の出口でのビニルエステル系単量体の重合率は特に限定されないが、5~90%が好ましく、15~85%がより好ましい場合もある。
 ビニルエステルモノマーとケイ素含有基を有するモノマーとエチレンとを共重合させる際には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、必要に応じて、共重合可能な他のモノマーを共重合させることができる。この他のモノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等の炭素数3~30のオレフィン;アクリル酸又はその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸又はその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン又はその塩、N-メチロールアクリルアミド又はその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン又はその塩、N-メチロールメタクリルアミド又はその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン等のN-ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸又はその塩、エステル若しくは酸無水物;イタコン酸又はその塩、エステル若しくは酸無水物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。ビニルエステル重合体は、上述の他のモノマーのうちの1種又は2種以上に由来する構造単位を有することができる。
 ビニルエステル重合体に占める前記他のモノマー(ビニルエステルモノマー、ケイ素含有基を有するモノマー及びエチレン以外のモノマー)に由来する構造単位の割合は、本発明の効果を妨げない限り必ずしも制限されないが、ビニルエステル重合体を構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、1モル%以下がさらに好ましく、0.1モル%以下がよりさらに好ましい場合もある。
 ビニルエステル重合体は、次いで、公知の方法に従って溶媒中でけん化され、変性PVAへと導かれる。けん化反応に使用される溶媒としては、アルコールが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられ、メタノールが特に好適に使用される。けん化反応に使用される溶媒には、アルコールの他、アセトン、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル、トルエン等の有機溶媒がさらに含有されていてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒、鉱酸等の酸触媒等が挙げられる。けん化反応の温度としては、例えば20℃以上60℃以下とすることができる。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、変性PVAが得られる。
(可塑剤)
 本発明の光学フィルム製造用フィルムは、可塑剤を含むことが好ましい。光学フィルム製造用フィルムが可塑剤を含むことにより、延伸性を高めることなどができる。可塑剤としては多価アルコールが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの中でも、延伸性の向上効果の点からグリセリンが好ましい。可塑剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムにおける可塑剤の含有量の下限としては、変性PVA100質量部に対して、1質量部が好ましく、3質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記下限以上であることにより、フィルムの延伸性が向上し、得られる光学フィルムの光学性能をより高めることなどができる。一方、この可塑剤の含有量の上限としては、変性PVA100質量部に対して、20質量部が好ましく、17質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記上限以下であることにより、フィルムが柔軟になり過ぎて取り扱い性が低下するのを抑制することなどができる。
(界面活性剤)
 当該光学フィルム製造用フィルムは、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を含む製膜原液を用いて製膜することにより、製膜性が向上してフィルムの厚み斑の発生が抑制されると共に、製膜に使用する金属ロールやベルトからのフィルムの剥離が容易になる。界面活性剤を含む製膜原液から光学フィルム製造用フィルムを製造した場合には、得られるフィルム中には界面活性剤が含有され得る。
 界面活性剤の種類は特に限定されないが、金属ロールやベルトからの剥離性の観点などから、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましい。
 アニオン性界面活性剤としては、例えばラウリン酸カリウム等のカルボン酸型;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型;ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などを挙げることができる。
 ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型;ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型;ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などを挙げることができる。
 界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
 当該光学フィルム製造用フィルムが界面活性剤を含む場合、その含有量の下限は、変性PVA100質量部に対して、0.01質量部が好ましく、0.02質量部がより好ましく、0.05質量部がさらに好ましい。界面活性剤の含有量を前記下限以上とすることで、製膜性及び剥離性がより向上する。一方、この含有量の上限は、変性PVA100質量部に対して、0.5質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましく、0.1質量部がさらに好ましい。界面活性剤の含有量を前記上限以下とすることで、界面活性剤がフィルムの表面にブリードアウトしてブロッキングが生じ、取り扱い性が低下することを抑制することができる。
(他の添加剤等)
 本発明の光学フィルム製造用フィルムには、さらに、充填剤、銅化合物などの加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、架橋剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤が必要に応じて適宜含有されていてもよい。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムには、上述した変性PVA以外のPVAが含まれていてもよい。本発明の光学フィルム製造用フィルムにおける、変性PVAを含む全てのPVA、可塑剤及び界面活性剤の合計含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上がよりさらに好ましい場合もある。本発明の光学フィルム製造用フィルムが、PVA、可塑剤及び界面活性剤から実質的に構成されていることで、本発明の効果がより十分に発揮できる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムに含まれる全てのPVAに対する上述した変性PVAの含有量としては、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上がよりさらに好ましい。本発明の光学フィルム製造用フィルムにおいて、PVAとして変性PVAを主に用いることで、本発明の効果がより十分に発揮できる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムにおける、変性PVA、可塑剤及び界面活性剤の合計含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上がよりさらに好ましい場合もある。本発明の光学フィルム製造用フィルムが、変性PVA、可塑剤及び界面活性剤から実質的に構成されていることで、本発明の効果がより十分に発揮できる。
(形状・物性等)
 本発明の光学フィルム製造用フィルムは、光学フィルムの材料として用いられる、いわゆる原反フィルムである。但し、本発明の光学フィルム製造用フィルムは、ロール状になっているものに限定されるものではない。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムの平均厚さは特に制限されないが、下限としては1μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。平均厚さが前記下限以上であることで、光学フィルムを製造するときの一軸延伸処理の際の切れを抑制することができる。また、この平均厚さの上限としては、75μmが好ましく、60μmがより好ましく、45μmがさらに好ましく、35μmがよりさらに好ましい。平均厚さが前記上限以下であることで、一軸延伸処理の際の延伸斑を抑制することができる。なお、「平均厚さ」とは、任意の5点で測定した厚さの平均値をいう(以下、平均厚さについて同様である。)。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムは、1層のPVA層(変性PVAを含む層)からなる単層フィルムであってもよいし、1層のPVA層を含む多層フィルムであってもよい。但し、偏光フィルムの製造に用いる場合などは、単層フィルムであることが好ましい。本発明の光学フィルム製造用フィルムが有するPVA層の平均厚さの下限としては、1μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。平均厚さが前記下限以上であることで、光学フィルムを製造するときの一軸延伸処理の際の切れを抑制することができる。また、この平均厚さの上限としては、75μmが好ましく、60μmがより好ましく、45μmがさらに好ましく、35μmがよりさらに好ましい。平均厚さが前記上限以下であることで、一軸延伸処理の際の延伸斑を抑制することができる。
 光学フィルム製造用フィルムにおけるPVA層の具体的組成及び好適組成は、上述した光学フィルム製造用フィルム自体の具体的組成及び好適組成の記載を引用することができる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムが単層フィルムである場合、ハンドリング性を確保するために、平均厚さは20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。一方、本発明の光学フィルム製造用フィルムが多層フィルムの場合、PVA層の平均厚さを20μm以下にすることもできるし、15μm以下にすることもできる。
 多層フィルムとは、2層以上の層を有するフィルムをいう。多層フィルムの層数は、5層以下であってよく、3層以下であってよい。多層フィルムとしては、基材樹脂層とPVA層との積層構造を有する光学フィルム製造用フィルムが挙げられる。基材樹脂層の平均厚さは、例えば20μm以上500μm以下である。多層フィルムにおける基材樹脂層は、PVA層とともに一軸延伸できるものであることが好ましい。基材樹脂層を構成する樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン等を用いることができる。なかでも、非晶質ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの共重合成分を共重合させた非晶質ポリエステル樹脂が好適に用いられる。基材樹脂層とPVA層との間には、接着剤層が設けられていてもよい。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムの幅は特に制限されず、その用途などに応じて決めることができる。例えば、光学フィルム製造用フィルムの幅の下限は3mが好ましい。近年、液晶テレビや液晶モニターの大画面化が進行している点から光学フィルム製造用フィルムの幅を3m以上にしておくと、これらを最終製品とする用途に好適である。一方、光学フィルム製造用フィルムの幅の上限は7mが好ましい。幅を7m以下とすることで、実用化されている装置で光学フィルムを製造する場合に、効率的に一軸延伸処理を行うことなどができる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムの膨潤度は、光学フィルムの生産性や光学性能の観点などから、140%以上400%以下の範囲内であることが好ましい。この膨潤度の下限は、180%がより好ましく、190%がさらに好ましい。また、膨潤度の上限は、220%がより好ましく、210%がさらに好ましい。フィルムの膨潤度は、例えば、熱処理の条件を強くすることによって、より小さい値に調整することなどができる。
 ここで、「フィルムの膨潤度」とは、次式により求めた値をいう。
 膨潤度(%)=100×N/M
 式中、Nはフィルムから採取したサンプルを30℃の蒸留水中に30分間浸漬後、表面の水を除去した後のサンプルの質量(g)を表す。Mはそのサンプルを105℃の乾燥機で16時間乾燥した後のサンプルの質量(g)を表す。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムは、通常、実質的に延伸されていないフィルム(非延伸フィルム、未延伸フィルム)である。当該光学フィルム製造用フィルムの面内位相差は、好ましくは100nm以下であり、更に好ましくは50nm以下である。通常、本発明の光学フィルム製造用フィルムを延伸処理(一軸延伸処理又は二軸延伸処理)することなどにより、光学フィルムを得ることができる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムによれば、収縮応力が同程度の光学フィルムを製造する場合、延伸温度の高温化が抑制され、且つ光学性能が優れた光学フィルムを得ることができる。なお、光学性能とは、光透過性、偏光性等が挙げられる。当該光学フィルム製造用フィルムにより製造できる光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられ、偏光フィルムであることが好ましい。
<光学フィルム製造用フィルムの製造方法>
 本発明の光学フィルム製造用フィルムの製造方法は特に限定されないが、製膜後のフィルムの厚み及び幅がより均一になる製造方法を好ましく採用することができる。例えば、変性PVA、並びに必要に応じてさらに可塑剤、界面活性剤及びその他の添加剤などのうちの1種又は2種以上が液体媒体中に溶解した製膜原液を用いて製造することができる。製膜原液が可塑剤、界面活性剤及びその他の添加剤の少なくとも1種を含有する場合、それらの成分が均一に混合されていることが好ましい。
 製膜原液の調製に使用される液体媒体としては、例えば水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、環境に与える負荷や回収性の点から水が好ましい。また、上述した変性PVAは、水溶性も良好であり、また、比較的高温(例えば80℃)の水溶液とした場合の粘度上昇も抑制されている。この点からも、液体媒体として水を好適に用いることができる。
 製膜原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される液体媒体などの揮発性成分の製膜原液中における含有割合)は、例えば50質量%以上95質量%以下が好ましく、55質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。製膜原液の揮発分率が50質量%以上であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎず、製膜原液調製時の濾過や脱泡が円滑に行われ、異物や欠点の少ないフィルムの製造が容易になる。一方、製膜原液の揮発分率が95質量%以下であることにより、製膜原液の濃度が低くなり過ぎず、工業的なフィルムの製造が容易になる。
 製膜の際の製膜原液の温度としては、例えば60℃以上150℃以下とすることができ、70℃以上130℃以下とすることが好ましい。変性PVAを用い、かつこのような比較的高温で製膜を行うことで、製膜原液の粘度を比較的低く抑えられ、製膜性を高めることができる。
 製膜原液を用いて製膜する際の製膜方法としては、例えばキャスト製膜法、押出製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法などが挙げられる。これらの製膜方法は1種のみを採用しても2種以上を組み合わせて採用してもよい。これらの製膜方法の中でも、キャスト製膜法及び押出製膜法が、厚み及び幅が均一で物性の良好なフィルムが得られることから好ましい。製膜されたフィルムには必要に応じて乾燥や熱処理を行うことができる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムの具体的な製造方法の例としては、例えば以下の例を挙げることができる。T型スリットダイ、ホッパープレート、I-ダイ、リップコーターダイ等を用いて、製膜原液を最上流側に位置する回転する加熱した第1ロール(あるいはベルト)の周面上に均一に吐出又は流延する。この第1ロール(あるいはベルト)の周面上に吐出又は流延された膜の一方の面から揮発性成分を蒸発させて乾燥させる。続いてその下流側に配置した1個又は複数個の回転する加熱したロールの周面上でさらに乾燥するか、又は熱風乾燥装置の中を通過させてさらに乾燥させる。その後、巻き取り装置により、フィルムを巻き取る。加熱したロールによる乾燥と熱風乾燥装置による乾燥とは、適宜組み合わせて実施してもよい。
 なお、本発明の光学フィルム製造用フィルムが多層フィルムである場合、例えば基材樹脂フィルム(基材樹脂層)上に製膜原液を塗布することによって多層フィルムを製造することができる。このとき、PVA層と基材樹脂層との間の接着性を改善するために、基材樹脂フィルムの表面を改質したり、基材樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布したりしてもよい。
<光学フィルムの製造方法>
 本発明の光学フィルムの製造方法は、上述した光学フィルム製造用フィルムを一軸延伸する工程を備える。以下には、光学フィルムの製造方法の一例として、偏光フィルムの製造方法を挙げて具体的に説明する。
 偏光フィルムの製造方法としては、光学フィルム製造用フィルム(以下、「PVAフィルム」とも称する。)をそれぞれ、染色する染色工程、一軸延伸する延伸工程、及び必要に応じてさらに、膨潤させる膨潤工程、架橋させる架橋工程、固定処理する固定処理工程、洗浄する洗浄工程、乾燥させる乾燥工程、熱処理する熱処理工程などを備える方法が挙げられる。この場合、各工程の順としては特に限定されないが、例えば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程などの順に行うことができる。また、1つ又は2つ以上の工程を同時に行うこともでき、各工程を2回又はそれ以上行うこともできる。
 膨潤工程は、PVAフィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度としては、20℃以上55℃以下が好ましく、22℃以上50℃以下がより好ましく、25℃以上45℃以下がさらに好ましい。また、水に浸漬する時間としては、例えば0.1分以上5分以下が好ましく、0.5分以上3分以下がより好ましい。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
 染色工程は、PVAフィルムに対して二色性色素を接触させることにより行うことができる。二色性色素としてはヨウ素系色素を用いるのが一般的である。染色のタイミングとしては、一軸延伸前、一軸延伸時及び一軸延伸後のいずれの段階であってもよい。染色はPVAフィルムを染色浴であるヨウ素-ヨウ化カリウムを含有する溶液(特に水溶液)中に浸漬させることにより行う方法が好適に採用される。染色浴におけるヨウ素の濃度は0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましく、ヨウ化カリウムの濃度は0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。また、染色浴の温度は20℃以上50℃以下、特に25℃以上40℃以下とすることが好ましい。好適な染色時間は0.2分以上5分以下である。
 PVAフィルム中の変性PVAを架橋させる架橋工程を行うことにより、高温で湿式延伸する際に変性PVAが水へ溶出するのを効果的に抑制することができる。この観点から架橋工程は染色工程の後であって延伸工程の前に行うのが好ましい。架橋工程は、架橋剤を含む水溶液にPVAフィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種又は2種以上を使用することができる。架橋剤を含む水溶液における架橋剤の濃度は1質量%以上15質量%以下が好ましく、1.5質量%以上7質量%以下がより好ましく、2質量%以上6質量%以下がさらに好ましい。架橋剤の濃度が前記範囲内にあることで十分な延伸性を維持することができる。架橋剤を含む水溶液はヨウ化カリウム等を含有してもよい。架橋剤を含む水溶液の温度は、20℃以上60℃以下、特に25℃以上55℃以下とすることが好ましい。温度を前記範囲内にすることで効率良く架橋することができる。
 PVAフィルムを一軸延伸する延伸工程は、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸を含む水溶液中で行うこともできるし、上述した染色浴中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また、乾式延伸法の場合は、室温のまま延伸を行ってもよいし、加熱しながら延伸してもよいし、吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で行うこともできる。これらの中でも、幅方向に均一性高く延伸することができることから湿式延伸法が好ましく、ホウ酸を含む水溶液中で一軸延伸するのがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は、0.5質量%以上6.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上4.0質量%以下が特に好ましい。また、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、ヨウ化カリウムの濃度は0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。一軸延伸における延伸温度は、30℃以上90℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましく、50℃以上75℃以下がさらに好ましく、55℃以上68℃以下が特に好ましい。
 一軸延伸における延伸倍率(非延伸のPVAフィルムからの全延伸倍率)は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から5倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、延伸倍率は8倍以下であることが好ましい。
 長尺のPVAフィルムを一軸延伸する場合における一軸延伸の方向に特に制限はなく、長尺方向への一軸延伸や横一軸延伸を採用することができる。偏光性能に優れる偏光フィルムが得られることから、長尺方向への一軸延伸が好ましい。長尺方向への一軸延伸は、互いに平行な複数のロールを備える延伸装置を使用して、各ロール間の周速を変えることにより行うことができる。一方、横一軸延伸はテンター型延伸機を用いて行うことができる。
 延伸工程における最大延伸応力が30N/mm以下であることが好ましい。ここで、最大延伸応力とは、PVAフィルムにかかる最大引張力を原料のPVAフィルムの断面積で割った値である。最大延伸応力を小さくすることによって、収縮応力の小さい偏光フィルムを得ることができる。最大延伸応力はより好適には25N/mm以下である。また通常、最大延伸応力は1N/mm以上である。延伸工程における最大延伸応力は延伸温度を高くすることにより低下させることができる。
 偏光フィルムの製造にあたっては、PVAフィルムへの二色性色素(ヨウ素系色素等)の吸着を強固にするために、延伸工程の後に固定処理工程を行うことができる。固定処理に使用する固定処理浴としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物の1種又は2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴におけるホウ素化合物の濃度は、2質量%以上15質量%以下、特に3質量%以上10質量%以下であることが好ましい。ホウ素化合物の濃度を前記範囲内にすることで二色性色素の吸着をより強固にすることができる。固定処理浴の温度は、15℃以上60℃以下、特に25℃以上40℃以下が好ましい。
 洗浄工程は、蒸留水、純水、水溶液等にフィルムを浸漬して行われることが一般的である。このとき、偏光性能向上の点からヨウ化カリウム等のヨウ化物を助剤として含有する水溶液を用いることが好ましく、ヨウ化物の濃度は0.5質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。また、洗浄処理における水溶液の温度は一般的に5℃以上50℃以下であり、10℃以上45℃以下が好ましく、15℃以上40℃以下がさらに好ましい。水溶液の温度を前記範囲とすることで、偏光性能をより高めることなどができる。
 乾燥工程の条件は特に制限されないが、30℃以上150℃以下、特に50℃以上130℃以下の温度でPVAフィルムの乾燥を行うことが好ましい。前記範囲内の温度で乾燥することで寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。
 なお、位相差フィルム等、偏光フィルム以外の光学フィルムも、本発明の光学フィルム製造用フィルムを一軸延伸する工程を備える方法により製造することができる。具体的な製造方法は、本発明の光学フィルム製造用フィルムを用いること以外は、従来公知の方法を採用することができる。
<光学フィルム>
 本発明の光学フィルムは、ケイ素含有基及びエチレン単位を有するPVA(変性PVA)を含み、前記ケイ素含有基が、シラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基であり、前記変性PVAにおける全構造単位に対する前記ケイ素含有基の含有量が0.01モル%以上1.0モル%以下であり、前記エチレン単位の含有量が0.5モル%以上10モル%以下である光学フィルムである。
 本発明の光学フィルムは、本発明の光学フィルム製造用フィルムを用いて上述した製造方法により得られた光学フィルムであってよい。本発明の光学フィルムに含まれる変性PVAの具体的構造や含有量等の詳細は、本発明の光学フィルム製造用フィルムに含まれる変性PVAと同様である。また、本発明の光学フィルムには、本発明の光学フィルム製造用フィルムと同様の他の成分が含まれていてよい。
 本発明の光学フィルムは、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等であってよく、偏光フィルムであることが好ましい。この場合、偏光フィルムには、通常、二色性色素が含まれており、また、変性PVAは架橋されていてよい。
 本発明の光学フィルムは、延伸フィルムであることが好ましく、一軸延伸フィルムであることがより好ましい。また、本発明の光学フィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよいが、単層フィルムであることが好ましい。このようなフィルムである場合、本発明の光学フィルムは、偏光フィルムなどとしてより好適に用いることができる。
 本発明の光学フィルムの収縮応力は100N/mm以下であることが好ましい。収縮応力が小さいことによって高温で使用した場合にも寸法安定性に優れたものとなる。収縮応力は、より好適には80N/mm以下である。本発明の光学フィルムの収縮応力の下限は、例えば10N/mmであってよく、20N/mm又は40N/mmであってもよい。ここで収縮応力は、試料となる偏光フィルムの延伸方向両端辺を固定し、80℃で4時間維持したときの張力を試料の断面積で割った値であり、具体的には、後述の実施例に記載された方法により求められた値をいう。
 本発明の光学フィルムが偏光フィルムである場合、偏光フィルムの二色性比(R)が100以上であることが好ましい。上述した変性PVAを含むことにより、このような高い二色性比(R)を有する偏光フィルムを生産性良く製造することができる。二色性比(R)は150以上がより好ましく、190以上がさらに好ましく、200以上が特に好ましい。この二色性比(R)の上限としては、例えば350であってよく、300又は250であってもよい。
 偏光フィルムの二色性比(R)の算出方法は以下のとおりである。まず、表面反射を排除した透過率(T’)と単体透過率(T)との関係は式(a)で示される。このとき、偏光フィルムの屈折率は1.5であるとし、表面での反射率は4%であるとする。透過率(T’)と偏光度(V)と二色性比(R)との関係は式(b)で示される。したがって、単体透過率(T)及び偏光度(V)を計測した上で、それらの値を用いて式(a)及び(b)を解くことで偏光フィルムの二色性比(R)を算出することができる。
 T’=T/(1-0.04) ・・・(a)
 R={-ln[T’(1-V)]}/{-ln[T’(1+V)]} ・・・(b)
 偏光フィルムは、通常、その両面又は片面に、光学的に透明でかつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にして使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリレート系紫外線硬化型接着剤などを挙げることができる。すなわち、偏光板は、偏光フィルムと、この偏光フィルムの片面又は両面に直接又は接着剤層を介して積層された保護膜とを有する。
 偏光板は、例えば、アクリル系等の粘着剤をコートした後、ガラス基板に貼り合わせてLCDの部品として使用することができる。なお、偏光板には、さらに、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等が貼り合わせられていてもよい。
 以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されない。各測定及び評価の方法は以下のとおりである。
[PVAの重合度(粘度平均重合度)]
 以下の合成例で合成された各PVAについて、JIS K6726-1994の記載に準じて、粘度平均重合度を測定した。
[PVAのけん化度]
 以下の合成例で合成された各PVAについて、JIS K6726-1994の記載に準じて、けん化度を測定した。
[PVAにおけるケイ素含有基及びエチレン単位の含有量]
 以下の合成例で合成された各PVAについて、ケイ素含有基及びエチレン単位の含有量をけん化する前のビニルエステル重合体のプロトンNMRから測定した。けん化する前のビニルエステル重合体のプロトンNMRを測定するに際しては、ビニルエステル重合体をヘキサン-アセトンにより再沈精製して重合体中から未反応のモノマーを完全に取り除き、次いで90℃減圧乾燥を2日間行った後、CDCl溶媒に溶解して分析に供した。
[フィルムの膨潤度]
 以下の実施例及び比較例で得られた各フィルム(光学フィルム製造用フィルム)を1.5gとなるようにカットし、30℃の蒸留水1000g中に30分間浸漬した。30分間浸漬後にフィルムを取り出し、濾紙で表面の水を吸い取った後、その質量(N)を測定した。続いて、そのフィルムを105℃の乾燥機で16時間乾燥した後、乾燥後の質量(M)を測定した。得られた質量(N)及び質量(M)から、以下の式によって、フィルムの膨潤度を求めた。
  膨潤度(%)=100×N/M
[偏光フィルムの二色性比(光学性能)]
 以下の実施例及び比較例で得られた各偏光フィルムの幅方向の中央部から、偏光フィルムの長さ方向に4cmの長方形のサンプルを採取した。このサンプルに対して、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行った上で、単体透過率(T)及び偏光度(V)を測定した。
 得られた単体透過率(T)及び偏光度(V)の値から下記式(a)及び(b)を解くことで、偏光フィルムの二色性比(R)を算出した。ここで、偏光フィルムの屈折率は1.5であるとし、表面での反射率は4%であるとした。また、このようにして、実施例及び比較例の一軸延伸処理浴の温度条件で製造された偏光フィルムの二色性比(R)をRとした。
 T’=T/(1-0.04) ・・・(a)
 R={-ln[T’(1-V)]}/{-ln[T’(1+V)]} ・・・(b)
[偏光フィルムの収縮応力]
 以下の実施例及び比較例で得られた各偏光フィルムの収縮応力について、島津製作所製の恒温槽付きオートグラフ「AG-X」とビデオ式伸び計「TR ViewX120S」とを用いて測定した。測定には20℃/20%RHで18時間調湿した偏光フィルムを使用した。オートグラフ「AG-X」の恒温槽を20℃にした後、偏光フィルム(長さ方向15cm、幅方向1.5cm)をチャック(チャック間隔5cm)に取り付け、引張り開始と同時に、80℃へ恒温槽の昇温を開始した。なお、偏光フィルムの延伸方向を長さ方向とし、この方向に引っ張るようにした。偏光フィルムを1mm/minの速さで引っ張り、張力が2Nに到達した時点で引っ張りを停止し、その状態で4時間後までの張力を測定した。このとき、熱膨張によってチャック間の距離が変わるため、チャックに標線シールを貼り、ビデオ式伸び計「TR ViewX120S」を用いてチャックに貼り付けた標線シールが動いた分だけチャック間の距離を修正できるようにして測定を行った。なお、4時間後の張力の測定値から初期張力2Nを差し引いた値を偏光フィルムの収縮力とし、この収縮力をサンプルの断面積で除した値を収縮応力(N/mm)とした。また、このようにして、実施例及び比較例の一軸延伸処理浴の温度条件で製造された偏光フィルムの収縮応力(SF)をSFとした。
[偏光フィルムの収縮応力75N/mmにおける二色性比及び延伸温度]
 以下の実施例及び比較例において、一軸延伸処理浴の温度を2℃又は4℃低い温度とし、得られる偏光フィルムの透過度が44.0%となるように染色処理浴のヨウ素濃度を変更した以外は同様の方法で、一軸延伸処理浴の温度が異なる偏光フィルムを得た。得られた各偏光フィルムの単体透過率(T)および偏光度(V)を測定し、前記の方法で二色性比(R)を求めた。ここで、一軸延伸処理浴の温度が2℃低い条件で得られた偏光フィルムの二色性比(R)をR-2、一軸延伸処理浴の温度が4℃低い条件で得られた偏光フィルムの二色性比(R)をR-4とした。また、各偏光フィルムの収縮応力を前記の方法で測定した。ここで、一軸延伸処理浴の温度が2℃低い条件で得られた偏光フィルムの収縮力(SF)をSF-2、一軸延伸処理浴の温度が4℃低い条件で得られた偏光フィルムの収縮力(SF)をSF-4とした。
 このようにして得られた一軸延伸処理浴の温度が異なる3種類の偏光フィルムの二色性比(R、R-2、R-4)及び収縮応力(SF、SF-2、SF-4)の値から、二色性比と収縮応力の関係をプロットし、直線近似することにより、収縮応力75N/mmにおける二色性比を算出した。また、収縮応力と一軸延伸処理浴の温度の関係をプロットし、直線近似することにより、収縮応力75N/mmにおける延伸温度を算出した。
[合成例1]PVA-1の合成
 撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口及びディレー溶液添加口を備えた5L加圧反応槽に酢酸ビニル3000g、ケイ素含有基を有するモノマーとしてビニルトリメトキシシラン3.6gを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が0.26MPaとなるようにエチレンを導入した。前記の重合槽内温を60℃に調整した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0gを注入し重合を開始した。重合中はビニルトリメトキシシランの2質量%メタノール溶液を注入しながら、エチレンを導入して反応槽圧力を0.26MPaに、重合温度を60℃に維持し、3時間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を停止した。重合終了までに添加したビニルトリメトキシシランのメタノール溶液は84mlであった。次いで、減圧下にて未反応の酢酸ビニルを除去し、変性ポリ酢酸ビニル(以下、変性PVAcと略記することがある)のメタノール溶液を得た。得られた変性PVAcのメタノール溶液の濃度を23.5質量%に調整し、アルカリモル比(NaOHのモル数/変性PVAc中のビニルエステル単位のモル数)が0.04になるようにNaOHメタノール溶液(10質量%濃度)を添加して、けん化した。得られたポリビニルアルコールはメタノールで洗浄した。以上の操作により得られたPVA-1の重合度(粘度平均重合度)は3,300、けん化度は99.9モル%、ケイ素含有基の含有量は0.2モル%、エチレン単位含有量は2.5モル%であった。
[合成例2~9]PVA-2~PVA-9の合成
 合成例1に準じ、かつ用いたモノマーの割合、重合条件及びけん化条件を適宜調整し、表1に記載の粘度平均重合度、けん化度、ケイ素含有基の含有量、及びエチレン単位の含有量を有するPVA-2~PVA-9を得た。
[実施例1]
 PVA-1 100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、及び界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部を含み、PVA含有率が9.5質量%である水溶液を製膜原液として調製した。この製膜原液を80℃の金属ロール上で乾燥し、得られたフィルムを熱風乾燥機中で105℃の温度で10分間熱処理をすることにより膨潤度を200%に調整して、平均厚さが30μmのPVAフィルム(光学フィルム製造用フィルム)を作製した。
 得られたPVAフィルムの幅方向中央部から、幅5cm×長さ5cmの範囲が一軸延伸できるように幅5cm×長さ9cmのサンプルをカットした。このサンプルを30℃の純水に60秒間浸漬しつつ2.0倍に長さ方向に一軸延伸して、膨潤処理した。続いてヨウ素0.05質量%及びヨウ化カリウム1.15質量%を含有する水溶液(染色処理浴:温度32℃)に120秒間浸漬しつつ1.2倍(全体で2.4倍)に長さ方向に一軸延伸してヨウ素を吸着させた。次いで、ホウ酸2.6質量%を含有する水溶液(ホウ酸架橋処理浴:温度32℃)に120秒浸漬しつつ1.25倍(全体で3.0倍)に長さ方向に一軸延伸した。さらにホウ酸を2.8質量%及びヨウ化カリウムを5質量%の割合で含有する69℃の水溶液(一軸延伸処理浴)に浸漬しつつ、全体で6.0倍まで長さ方向に一軸延伸した。その後、ホウ酸を1.5質量%及びヨウ化カリウムを3.5質量%の濃度で含有する温度22℃のヨウ化カリウム水溶液(洗浄浴)中に5秒間浸漬することによりフィルムを洗浄した。最後に80℃で4分間乾燥して偏光フィルムを得た。
 得られた偏光フィルムを用いて前記した方法により、偏光フィルムの収縮応力75N/mmにおける二色性比を求めた。また、前記した方法により、偏光フィルムの収縮応力75N/mmにおける延伸温度を求めた。結果を表1及び図1に示す。
[実施例2~3及び比較例1~5]
 表1に記載されたPVA(PVA-2~PVA-8)を用い、PVAフィルムの平均厚さが30μm、膨潤度が200%になるように、製膜原液のPVA含有率及び熱処理温度を調整した以外は実施例1と同様にしてPVAフィルムの作製及び評価を行った。得られたPVAフィルムを用いて、得られる偏光フィルムの収縮応力が75N/mm前後かつ単体透過率が44.0%となるように一軸延伸処理浴の温度および染色処理浴のヨウ素濃度を変更した以外は実施例1と同様にして偏光フィルムの製造及び評価を行った。結果を表1及び図1、2に示す。
[比較例6]
 PVAとしてPVA-9を用い、製膜原液を作成しようとしたが、PVAが溶解せず、製膜原液を作製することができなかった。そのため、PVAフィルム及び偏光フィルムを製造できず、偏光フィルムの収縮応力75N/mmにおける二色性比及び延伸温度も測定できなかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1及び図1に示されるように、実施例1~3の光学フィルム製造用フィルム(PVAフィルム)によれば、収縮応力が75N/mmの光学フィルムを製造しようとする場合、68℃以下の延伸温度で、二色性比が200以上の光学フィルムを得ることができる。すなわち、実施例1~3の光学フィルム用製造フィルムによれば、収縮応力が同程度の光学フィルムを製造する場合、延伸温度の高温化が抑制され、かつ光学性能が優れた光学フィルムを得ることができる。換言すれば、実施例1~3の光学フィルム用製造フィルムによれば、得られる光学フィルムの光学性能を高めつつ、収縮応力の増大と延伸温度の高温化とを抑制することができる。
 図2に示されるように、同じ重合度のPVAを用いた光学フィルム製造用フィルム(PVAフィルム)を比較すると、以下のことが分かる。重合度2400の無変性PVAを用いた比較例1と比較して、重合度2400かつケイ素含有基の含有量0.2モル%又は0.4モル%の変性PVAを用いた比較例4、5は収縮応力75N/mmにおける二色性比(光学性能)が格段に高まっているものの、延伸温度も大幅に上昇している。すなわち、無変性PVAを用いた場合と比較して、ケイ素含有基のみを有するPVAを用いたPVAフィルムによれば、得られる光学フィルムの光学性能を大幅に向上できるが、延伸温度の高温化を抑制できないことが分かる。一方、重合度2400、ケイ素含有基の含有量0.2モル%かつエチレン単位の含有量4.5モル%の変性PVAを用いた実施例3では、収縮応力75N/mmにおける二色性比(光学性能)を比較例4よりも高めつつ、延伸温度はほぼ同等で延伸温度の高温化を抑制できている。すなわち、ケイ素含有基のみを有するPVAを用いた場合と比較して、ケイ素含有基及びエチレン単位を有するPVAを用いた光学フィルム製造用フィルム(PVAフィルム)によれば、収縮応力が同程度の光学フィルムを製造する場合、延伸温度の高温化が抑制され、かつ光学性能が優れた光学フィルムを得ることができる。換言すれば、得られる光学フィルムの光学性能を高めつつ、収縮応力の増大と延伸温度の高温化とを抑制することができる。
 本発明の光学フィルム製造用フィルムは、LCDの構成材料である偏光フィルム等の材料として好適に用いることができる。

Claims (13)

  1.  ケイ素含有基及びエチレン単位を有するポリビニルアルコールを含み、
     前記ケイ素含有基が、シラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基であり、
     前記ポリビニルアルコールにおける全構造単位に対する前記ケイ素含有基の含有量が0.01モル%以上1.0モル%以下であり、前記エチレン単位の含有量が0.5モル%以上10モル%以下である、光学フィルム製造用フィルム。
  2.  前記ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が1,000以上6,000以下であり、けん化度が98.7モル%以上である、請求項1に記載の光学フィルム製造用フィルム。
  3.  前記粘度平均重合度と前記ケイ素含有基の含有量との積が100モル%以上2,000モル%以下である、請求項2に記載の光学フィルム製造用フィルム。
  4.  平均厚さが1μm以上75μm以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の光学フィルム製造用フィルム。
  5.  膨潤度が140%以上400%以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光学フィルム製造用フィルム。
  6.  前記光学フィルムが偏光フィルムである、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルム製造用フィルム。
  7.  非延伸フィルムである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の光学フィルム製造用フィルム。
  8.  請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の光学フィルム製造用フィルムを一軸延伸する工程を備える、光学フィルムの製造方法。
  9.  前記光学フィルムが偏光フィルムである、請求項8に記載の光学フィルムの製造方法。
  10.  ケイ素含有基及びエチレン単位を有するポリビニルアルコールを含み、
     前記ケイ素含有基が、シラノール基又は水の存在下でシラノール基に転化し得る基であり、
     前記ポリビニルアルコールにおける全構造単位に対する前記ケイ素含有基の含有量が0.01モル%以上1.0モル%以下であり、前記エチレン単位の含有量が0.5モル%以上10モル%以下である、光学フィルム。
  11.  収縮応力が100N/m以下である、請求項10に記載の光学フィルム。
  12.  偏光フィルムである、請求項10又は請求項11に記載の光学フィルム。
  13.  単層フィルムである、請求項10~請求項12のいずれか1項に記載の光学フィルム。
     
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