JP2012071803A - エアバッグ装置付きステアリングホイール - Google Patents

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Abstract

【課題】芯金に対する弾性ワイヤの組付けを簡単にし、組付け時間を短縮する。
【解決手段】ステアリングシャフトの軸線に直交する直交面に沿う組付け方向へ直線移動されることにより芯金20に組付けられる弾性ワイヤ55として、芯金20に取付けられる取付け部56と、貫通孔25においてピンに係合される係合部59とを備えるものを用いる。芯金20には、組付け方向への取付け部56の直線移動を許容し、かつ係止状態の取付け部56の直交面に沿う方向への動きを規制する面方向規制部35を設ける。この面方向規制部35は、直線移動に伴い取付け部56が乗り越えるのを許容し、かつ乗り越えた取付け部56の反組付け方向への動きを規制する規制突部36を有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両等の乗り物に前方から衝撃が加わった場合に、その衝撃から運転者を保護するためのエアバッグ装置(エアバッグモジュール)を備えたエアバッグ装置付きステアリングホイールに関するものである。
車両等の乗り物では、前突等により前方から衝撃が加わった場合に、その衝撃から運転者を保護する必要があることから、操舵装置の一部を構成するステアリングホイールとして、そのパッド部にエアバッグ装置(エアバッグモジュール)を組込んだものが採用されている。
ステアリングホイールの骨格部分をなす芯金に上記のエアバッグ装置を弾性係止する構造として、特許文献1に記載されたスナップフィット構造(スナップロック機構)が知られている。
この構造について説明すると、図16(A),(B)の少なくとも一方に示すように、芯金101の複数箇所には、ステアリングシャフトの軸線に沿う軸線方向(紙面に直交する方向)に貫通孔(取付片挿通孔)102がそれぞれ貫通されている。エアバッグ装置には、外面に凹部103を有する複数本のピン(取付片)104が芯金101に向けて突設されている。貫通孔(取付片挿通孔)102は、エアバッグ装置が芯金101に弾性係止される際に、ピン(取付片)104が挿入される箇所である。
芯金101には、ばね鋼等からなる弾性ワイヤ(係止ばね)105が、上記軸線に直交する直交面に沿う組付け方向(紙面に沿う方向)へ移動されて、組付けられている。
弾性ワイヤ(係止ばね)105は、取付け部(平行延在部)106、係合部(平行延在部)107、連結部108及び一対のつまみ部109からなる。取付け部(平行延在部)106は、前記組付け方向へ延びており、芯金101に取付けられる。係合部(平行延在部)107は、同じく組付け方向に延びており、貫通孔(取付片挿通孔)102においてピン(取付片)104の凹部103に係合される。連結部108は、取付け部(平行延在部)106の一端部と係合部(平行延在部)107の一端部とを連結している。つまみ部109は、取付け部(平行延在部)106の他端部、及び係合部(平行延在部)107の他端部のそれぞれにおいて、軸線方向に向けて屈曲形成されている。両つまみ部109は、取付け部(平行延在部)106及び係合部(平行延在部)107を、それらの他端部間の間隔が狭まるように弾性変形させる際に把持される箇所である。
そして、貫通孔(取付片挿通孔)102に挿入された上記ピン(取付片)104は、凹部103に係合部(平行延在部)107が係合されることで、芯金101に弾性係止される。
一方、芯金101には、上記組付け方向へ延びる組付け部114が設けられている。組付け部114は、軸線方向規制部111、面方向規制部112及び移動許容部113を有している。軸線方向規制部111は、弾性ワイヤ(係止ばね)105を組付け部114に組付ける際に、取付け部(平行延在部)106の移動を許容し、かつ芯金101に係止された係止状態の取付け部(平行延在部)106の軸線方向への動きを規制する。面方向規制部112は、弾性ワイヤ(係止ばね)105を組付け部114に組付ける際に、取付け部(平行延在部)106の移動を許容し、かつ係止状態の取付け部(平行延在部)106の直交面に沿う方向への動きを規制する。面方向規制部112の一部を構成する突起112Aは、取付け部(平行延在部)106が組付け部114へ向けて直線移動する際に通る経路上に設けられており、係止状態の取付け部(平行延在部)106の反組付け方向への動きを規制する。移動許容部113は、弾性ワイヤ(係止ばね)105を組付け部114に組付ける際に、係合部(平行延在部)107の移動を許容する。
上記面方向規制部112の突起112Aは、取付け部(平行延在部)106を組付け部114へ向けて直線移動させる際の障害となる。そのため、弾性ワイヤ(係止ばね)105を組付け部114の延長線上に配置し、その組付け部114に沿う方向へ直線移動させるだけでは、弾性ワイヤ(係止ばね)105を組付け部114に組付けることができない。
そこで、弾性ワイヤ(係止ばね)105の組付け部114への組付けに際しては、図16(A)に示すように、弾性ワイヤ(係止ばね)105が、一旦、組付け部114からオフセットした箇所に配置される。そして、図16(A)において、一点鎖線の矢印で示すように、弾性ワイヤ(係止ばね)105は、突起112Aを迂回するように姿勢を変えられながら、組付け部114内を移動させられる。この際、取付け部(平行延在部)106の移動は、軸線方向規制部111及び面方向規制部112によって許容される。また、係合部(平行延在部)107の移動は、移動許容部113によって許容される。
取付け部(平行延在部)106が突起112Aを通過する位置まで、弾性ワイヤ(係止ばね)105の上記移動が行われると、取付け部(平行延在部)106の軸線方向への動きが軸線方向規制部111によって規制されるとともに、直交面に沿う方向への動きが面方向規制部112によって規制される。
なお、上記特許文献1についての記載中、部材名称に続く括弧内の名称は、同特許文献1で使用されている部材名称等である。
特開2007−50876号公報
ところが、面方向規制部112の一部(突起112A)が、取付け部(平行延在部)106が組付け部114へ向けて直線移動する際に通る経路上に設けられている特許文献1では、上述したように、弾性ワイヤ(係止ばね)105の芯金101への組付けに際し、弾性ワイヤ(係止ばね)105の移動方向を切替えなければならない。そのため、弾性ワイヤ(係止ばね)105の組付けに手間がかかり、組付け時間が長くなる問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、芯金に対する弾性ワイヤの組付けを簡単にし、組付け時間を短縮することのできるエアバッグ装置付きステアリングホイールを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ステアリングシャフトの軸線に沿う軸線方向に貫通する貫通孔が設けられた芯金と、前記芯金に向けて突出し、かつ外面に凹部を有するピンを備え、同ピンが前記貫通孔に挿入されるエアバッグ装置と、前記軸線に直交する直交面に沿う組付け方向へ直線移動されることにより前記芯金に組付けられる弾性ワイヤとを備えるエアバッグ装置付きステアリングホイールであって、前記弾性ワイヤは、前記芯金に取付けられる取付け部と、前記貫通孔において前記凹部に係合される係合部とを有する一方、前記芯金は、前記組付け方向への前記取付け部の前記直線移動を許容し、かつ前記芯金に係止された係止状態の前記取付け部の前記軸線方向への動きを規制する軸線方向規制部と、前記組付け方向への前記取付け部の前記直線移動を許容し、かつ前記係止状態の前記取付け部の前記直交面に沿う方向への動きを規制する面方向規制部と、前記組付け方向への前記係合部の前記直線移動を許容する直線移動許容部とを有し、前記面方向規制部は、前記直線移動に伴い前記取付け部が乗り越えるのを許容し、かつ乗り越えた前記取付け部の反組付け方向への動きを規制する規制突部を有すること要旨とする。
上記の構成によれば、弾性ワイヤの芯金への組付けに際しては、弾性ワイヤが組付け方向へ直線移動される。組付け方向は、ステアリングシャフトの軸線に直交する直交面に沿う方向の1つである。
この際、芯金の軸線方向規制部及び面方向規制部では、組付け方向への取付け部の直線移動がそれぞれ許容される。また、直線移動許容部では、組付け方向への係合部の直線移動が許容される。
取付け部は、面方向規制部を直線移動する途中で規制突部を通過する。この際、規制突部では取付け部の乗り越えが許容される。従って、規制突部が取付け部の直線移動を阻止することはない。従来技術とは異なり、規制突部を迂回させながら取付け部を移動させなくてもすむ。
そして、取付け部が少なくとも規制突部を乗り越える箇所まで直線移動されて、取付け部が芯金に係止された状態になると、取付け部の軸線方向への動きが軸線方向規制部によって規制されるとともに、取付け部の直交面に沿う方向への動きが面方向規制部によって規制される。
特に、面方向規制部では、規制突部によって、取付け部の反組付け方向への動きが規制される。
このように、弾性ワイヤが組付け方向へ直線移動されるのみで、取付け部が軸線方向にも直交面に沿う方向にも動きが規制された状態で、芯金に組付けられる。
そして、上記のように弾性ワイヤが組付けられた芯金の貫通孔に対し、エアバッグ装置のピンが挿入される。このピンの凹部に、上記弾性ワイヤの係合部が係合されることで、エアバッグ装置が芯金に弾性係止される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記取付け部は、前記組付け方向へ延びる取付け本体部と、前記取付け本体部の延出端から前記直交面上において前記組付け方向に対し交差する方向へ屈曲する屈曲部とを備えており、前記取付け部は、前記屈曲部において、前記弾性ワイヤの前記直線移動に伴い前記規制突部を乗り越え、前記反組付け方向への動きを規制されるものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、弾性ワイヤが組付け方向へ直線移動される際、面方向規制部では、取付け部を構成する取付け本体部及び屈曲部の直線移動が許容される。
屈曲部は、面方向規制部を直線移動する途中で規制突部を通過する。この際、規制突部では屈曲部の乗り越えが許容される。そして、屈曲部が規制突部を乗り越える箇所まで直線移動されると、屈曲部の反組付け方向への動きが規制突部によって規制される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記芯金は、前記弾性ワイヤの前記直線移動に伴い前記取付け部が摺動されるとともに、前記規制突部が突設された摺動基部を有しており、前記規制突部は、前記組付け方向前側ほど前記摺動基部から遠ざかる傾斜面と、前記傾斜面の前記組付け方向前側で前記摺動基部に対し略直交する段差面とを有し、前記傾斜面は、前記組付け方向へ前記直線移動する前記取付け部の弾性力に抗して前記屈曲部を前記摺動基部から遠ざけさせ、前記段差面は、前記取付け部の弾性復元力により前記摺動基部に接近した前記屈曲部の前記反組付け方向への動きを規制するものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、弾性ワイヤが組付け方向へ直線移動される際には、取付け部が摺動基部上を摺動する。この摺動に伴い、取付け部の屈曲部が規制突部の傾斜面を通る際には、取付け部の弾性力に抗して、屈曲部が組付け方向前側ほど摺動基部から遠ざけられる。そして、屈曲部が傾斜面から段差面へ移ると、すなわち、規制突部を乗り越えると、その屈曲部は取付け部の弾性復元力によって摺動基部に接近する。この状態では、屈曲部の反組付け方向近傍に規制突部が位置することとなり、屈曲部の反組付け方向の動きがこの規制突部によって規制される。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記面方向規制部は、前記規制突部に加え、同規制突部の近傍で前記組付け方向に延びて、前記取付け本体部の前記組付け方向への直線移動をガイドするガイド壁部を備えており、前記取付け本体部は、前記取付け部の直線移動時には前記ガイド壁部に沿って前記組付け方向へ直線移動し、前記取付け部が前記芯金に係止された状態では、前記規制突部及び前記ガイド壁部間に配置されることにより、前記直交面に沿う方向であって、前記組付け方向に直交する方向への動きを規制されるものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、弾性ワイヤが組付け方向へ直線移動される際、面方向規制部では、取付け部を構成する取付け本体部及び屈曲部の直線移動が許容される。この直線移動を許容された取付け本体部は、規制突部の近傍で組付け方向に延びるガイド壁部に沿って組付け方向へ直線移動する。そして、取付け部が芯金に係止された状態では、取付け本体部は規制突部及びガイド壁部間に配置され、直交面に沿う方向であって、組付け方向に直交する方向への動きを規制される。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記屈曲部は、前記係合部から遠ざかる側へ屈曲されていることを要旨とする。
上記の構成によれば、屈曲部の先端はガイド壁部から遠ざかった箇所に位置する。そのため、弾性ワイヤの取付け本体部がガイド壁部に沿って組付け方向へ直線移動する際に、屈曲部の先端がガイド壁部と干渉することがない。
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1つに記載の発明において、前記軸線方向規制部は、前記摺動基部を自身の一部とするとともに、前記軸線方向について、前記摺動基部からずれた箇所に設けられた副規制部を備え、前記取付け本体部は、前記取付け部の直線移動時には前記摺動基部に沿って前記組付け方向へ直線移動し、前記取付け部が前記芯金に係止された状態では、前記摺動基部及び前記副規制部間に配置されることにより、前記軸線方向への動きを規制されるものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、弾性ワイヤが組付け方向へ直線移動される際、軸線方向規制部では、取付け部を構成する取付け本体部及び屈曲部の直線移動が許容される。この直線移動を許容された取付け本体部は、摺動基部に沿って組付け方向へ直線移動する。そして、取付け部が芯金に係止された状態では、取付け本体部は、摺動基部と、軸線方向について摺動基部からずれた箇所に設けられた副規制部との間に配置され、軸線方向への動きを規制される。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明において、前記芯金は、前記直線移動許容部により許容されて前記組付け方向へ直線移動された前記係合部の前記軸線方向への動きを規制する第2軸線方向規制部をさらに備えることを要旨とする。
上記の構成によれば、組付け方向へ直線移動された弾性ワイヤの係合部は、軸線方向への動きを芯金の第2軸線方向規制部によって規制される。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記第2軸線方向規制部は、前記軸線方向について互いにずれた箇所に設けられた一対の規制壁部を備えており、前記係合部は、直線移動時には前記両規制壁部間を通り、前記係合部が前記組付け方向へ直線移動された状態では、前記両規制壁部間に配置されることにより、前記軸線方向への動きを規制されるものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、弾性ワイヤが組付け方向へ直線移動される際、直線移動許容部では、係合部の直線移動が許容される。この直線移動を許容された係合部は、軸線方向について互いにずれた箇所に設けられた、第2軸線方向規制部の一対の規制壁部間を通る。そして、係合部が組付け方向へ直線移動された状態になると、その係合部は、両規制壁部間に配置され、軸線方向への動きを規制される。
本発明のエアバッグ装置付きステアリングホイールによれば、芯金に対する弾性ワイヤの組付けを簡単にし、組付け時間を短縮することができる。
本発明を具体化した一実施形態におけるエアバッグ装置付きステアリングホイールについて、その一部を省略して示す概略正面図。 同じくエアバッグ装置付きステアリングホイールについて、その一部を省略して示す概略背面図。 エアバッグ装置を車両の斜め前方から見た状態を示す斜視図。 エアバッグ装置付きステアリングホイールの概略側面図。 ホーンスイッチ機構においてエアバッグ装置を芯金に弾性係止した状態を示す断面図。 右側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられた状態を示す図であり、図1におけるA部を拡大して示す部分正面図。 右側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられた状態を示す部分斜視図。 (A)は、右側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられた状態を示す図であり、図2におけるB部を拡大して示す部分背面図、(B)は、(A)におけるC−C線に沿った断面構造を示す部分断面図。 図8に対応する図であり、(A)は、右側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられる途中の状態を示す部分背面図、(B)は、(A)におけるD−D線に沿った断面構造を示す部分断面図。 図8に対応する図であり、(A)は、右側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられる途中の状態を示す部分背面図、(B)は、(A)におけるE−E線に沿った断面構造を示す部分断面図。 下側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられた状態を示す図であり、図1におけるF部を拡大して示す部分正面図。 下側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられた状態を示す部分斜視図。 (A)は、下側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられた状態を示す図であり、図2におけるG部を拡大して示す部分背面図、(B)は、(A)におけるH−H線に沿った断面構造を示す部分断面図。 図13に対応する図であり、(A)は、下側の組付け部に弾性ワイヤが組付けられる途中の状態を示す部分背面図、(B)は、(A)におけるI−I線に沿った断面構造を示す部分断面図。 図8(A)に対応する図であり、右側の組付け部に、上記実施形態とは異なる形状を有する弾性ワイヤが組付けられた状態を示す部分背面図。 従来技術を示す図であり、(A)は芯金の組付け部に弾性ワイヤが組付けられる途中の状態を示す部分正面図、(B)は、同組付け部に弾性ワイヤが組付けられ、かつその弾性ワイヤにピンが係合された状態を示す部分正面図。
以下、本発明を、車両用のエアバッグ装置付きステアリングホイールに具体化した一実施形態について、図1〜図14を参照して説明する。
図1、図2及び図4の少なくとも1つに示すように、車両の運転席よりも前方(図4の右方)には、軸線Lを中心として回転するステアリングシャフト(操舵軸)11が、運転席側(図4の左側)ほど高くなるように傾斜した状態で配設されている。ステアリングシャフト11の後端部には、本実施形態のエアバッグ装置付きステアリングホイール(以下、単に「ステアリングホイール」という)12が一体回転可能に取付けられている。
ステアリングホイール12は、リム部(ハンドル部、リング部と呼ばれることもある)13、パッド部14及びスポーク部15を備えている。リム部13は、運転者によって把持されて操舵される部材であり、上記軸線Lを中心とした略円環状をなしている(図1等参照)。ステアリングシャフト11が上記のように傾斜していることから、リム部13もまた下側ほど運転席に近づくように傾斜している(図4参照)。
パッド部14は、リム部13によって囲まれた空間に配置されている。パッド部14の前側部分はロアカバー16によって構成されている(図4参照)。スポーク部15は、リム部13及びパッド部14間の複数箇所に設けられている。
なお、本実施形態では、ステアリングホイール12の各部について説明する際には、ステアリングシャフト11の軸線Lを基準とする。この軸線Lに沿う方向をステアリングホイール12の「前後方向」といい、軸線Lに直交する方向のうち、ステアリングホイール12の起立する方向を「上下方向」というものとする。従って、ステアリングホイール12の前後方向及び上下方向は、車両の前後方向(水平方向)及び上下方向(鉛直方向)に対し若干傾いていることとなる。
また、リム部13における周方向の位置を特定するために、本実施形態では、車両が直進しているときの状態、すなわち中立状態を基準に、「上」、「下」、「左」、「右」を規定するものとする。
図1及び図2の少なくとも一方に示すように、ステアリングホイール12の上記構成部材(リム部13、パッド部14、スポーク部15)の各内部には、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はこれらの合金等によって形成された芯金20が配設されている。この芯金20のうち、リム部13内に位置するものは、運転手側から見て(正面視で)略円環状をなしており、リム部芯金(図示略)と呼ばれ、リム部13の骨格をなしている。
芯金20は、上記リム部芯金のほかに、軸線L上にボス部芯金22を備えるとともに、スポーク部15の骨格をなし、かつボス部芯金22及びリム部芯金を連結するスポーク部芯金23を備えている。そして、上記の構成を有する芯金20は、ボス部芯金22において上記ステアリングシャフト11の後端部に一体回転可能に取付けられている。
リム部芯金の多くの部分は、軟質被覆部24によって被覆されている。軟質被覆部24の全体は、発泡ポリウレタン等の軟質(弾性)材料を用いて樹脂成形することによって形成されている。
前記芯金20の複数箇所には、ステアリングシャフト11の軸線Lに沿う軸線方向に貫通する貫通孔25が設けられている。ここでの複数箇所とは、ボス部芯金22の左方、右方及び下方の合計3箇所である。各貫通孔25は、後述するホーンスイッチ機構70のピン74が挿入される箇所である。各貫通孔25の前側近傍には弾性ワイヤ55が配置され、芯金20に組付けられている。各弾性ワイヤ55の構成、各弾性ワイヤ55の芯金20に対する組付け構造等については、後述する。
図3及び図5の少なくとも一方に示すように、上記芯金20には、エアバッグ装置65が複数のホーンスイッチ機構70を介して締結されている。エアバッグ装置65は、バックホルダ66にパッド部14、エアバッグ(図示略)、インフレータ67等を組付けることにより構成されている。そして、前面衝突等により車両に前方から衝撃が加わると、エアバッグ装置65におけるインフレータ67から膨張用ガスが噴出されてエアバッグが膨張する。この膨張の過程でパッド部14が破断され、引き続きエアバッグがパッド部14を通ってステアリングホイール12と運転者との間で膨張することで、その運転者が受ける衝撃が緩和される。
各ホーンスイッチ機構70は、エアバッグ装置65が押下されたときに、車両に設けられたホーン装置71を作動させるためのものであり、エアバッグ装置65のバックホルダ66において、上記芯金20の貫通孔25に対応する箇所に取付けられている。各ホーンスイッチ機構70は、付勢部材72、可動側接点部73及び金属製のピン(支持部材)74を備えている。
付勢部材72は、バックホルダ66を芯金20から遠ざかる方向(後方)へ付勢している。可動側接点部73は、バックホルダ66とともにステアリングシャフト11の軸線方向へ移動する。各ピン74は、エアバッグ装置65のバックホルダ66から芯金20に向けて突出している。各ピン74の前端部外面には、全周にわたって環状の凹部75が形成されている。各ピン74は、その前端部において貫通孔25に挿通されて、弾性ワイヤ55によって芯金20に弾性係止されている。このピン74は、バックホルダ66に装着された絶縁部材76に挿通されることにより、同バックホルダ66、絶縁部材76及び可動側接点部73を、芯金20に対し軸線方向へ移動可能に支持する。各ピン74のバックホルダ66よりも後側には、付勢部材72の後ろ向きの付勢力を受ける受圧部77が設けられている。さらに、各ピン74の後端面は、可動側接点部73に接触・離間する固定側接点部78とされている。
上記ホーンスイッチ機構70が組込まれたステアリングホイール12では、エアバッグ装置65が押下されたり、同エアバッグ装置65に過大な負荷がかかったりすることのない通常時には、可動側接点部73が、ピン74の固定側接点部78から後方へ離れ、両接点部73,78間が電気的に遮断された状態となり、ホーン装置71が作動しない。
これに対し、エアバッグ装置65が押下されたり、同エアバッグ装置65に過大な負荷がかかったりすると、バックホルダ66及び絶縁部材76とともに可動側接点部73が前方へ移動する。そして、可動側接点部73が固定側接点部78に接触して導通すると、ホーン装置71が作動する。
さらに、芯金20における貫通孔25の壁面とピン74との間には樹脂部材79が介在されている。この樹脂部材79は、エアバッグ装置65の押下時等に、ホーンスイッチ機構70の芯金20に対する取付け部分で異音が発生するのを抑制するためのものである。すなわち、上記のようにバックホルダ66が前方へ移動させられると、それまでバックホルダ66を介してピン74の受圧部77に加わっていた付勢部材72の後ろ向きの付勢力が消失する。そのため、ピン74は、弾性ワイヤ55によって芯金20に係止された箇所を支点として揺動可能な状態となる。しかし、芯金20における貫通孔25の壁面と弾性ワイヤ55との間に介在された樹脂部材79は、金属製のピン74が、金属製の芯金20における上記貫通孔25の壁面と接触するのを規制する。なお、ピン74が樹脂部材79に接触したときに音を発したとしても、その音は、ピン74が上記壁面に接触する場合、すなわち金属同士が接触する場合に比べ小さく、また耳障りではない。
上述したように、エアバッグ装置65は、複数(3つ)のホーンスイッチ機構70を介して芯金20に弾性係止される。
次に、各弾性ワイヤ55の構成、及び各弾性ワイヤ55の芯金20に対する組付け構造の各々について説明する。
<各弾性ワイヤ55の構成について>
弾性ワイヤ55は、上述した3箇所の貫通孔25毎に芯金20の前側に設けられている。これらの3つの弾性ワイヤ55としては、共通の形状を有するものが用いられている。
図1及び図2の少なくとも一方に示すように、各弾性ワイヤ55は、ステアリングシャフト11の軸線Lに直交する直交面(図4参照)に沿う組付け方向へ直線移動されることにより芯金20に組付けられるものであり、ばね綱等の金属からなる線材によって形成されている。ここで、左右両側の弾性ワイヤ55の組付け方向が上→下であるのに対し、下側の弾性ワイヤ55の組付け方向は右→左である。
図7及び図12の少なくとも一方に示すように、各弾性ワイヤ55は、芯金20に取付けられる取付け部56と、貫通孔25においてピン74の凹部75(図5参照)に係合される係合部59と、これらの取付け部56及び係合部59を繋ぐ連結部61とを備えている。各弾性ワイヤ55は、その一部、例えば端部において、芯金20に接触している。各弾性ワイヤ55は、ホーンスイッチ機構70のピン74を芯金20に対し導通状態で弾性係止する機能を有するものであり、各係合部59の一部が貫通孔25の前方近傍に位置している。
弾性ワイヤ55毎の係合部59は組付け方向へ直線状に延びている。弾性ワイヤ55毎の取付け部56は、上記係合部59に対し略平行に延びるが同係合部59よりも短い直線状の取付け本体部57と、取付け本体部57の延出端から上記直交面上において、組付け方向に対し直交する方向へ屈曲する屈曲部58とからなる。ここでは、屈曲部58は、係合部59から遠ざかる側へ屈曲されている。連結部61は、組付け方向に対し直交する方向へ延びており、係合部59の基端部と取付け本体部57の基端部とに繋がっている。
具体的には、左側の弾性ワイヤ55では、係合部59が上下方向へ延び、取付け本体部57が、係合部59の左側で上下方向へ延び、屈曲部58が取付け本体部57の下端から左方へ屈曲している。連結部61は左右方向へ延びて、係合部59の上端部と取付け本体部57の上端部とに繋がっている。
また、右側の弾性ワイヤ55では、係合部59が上下方向へ延び、取付け本体部57が、係合部59の右側で上下方向へ延び、屈曲部58が取付け本体部57の下端から右方へ屈曲している。連結部61は左右方向へ延びて、係合部59の上端部と取付け本体部57の上端部とに繋がっている(図6参照)。
下側の弾性ワイヤ55では、係合部59が左右方向へ延び、取付け本体部57が、係合部59の下側で左右方向へ延び、屈曲部58が取付け本体部57の左端から下方へ屈曲している。連結部61は上下方向へ延びて、係合部59の右端部と取付け本体部57の右端部とに繋がっている(図11参照)。
<各弾性ワイヤ55の芯金20に対する組付け構造について>
図1及び図2に示すように、芯金20には、上記貫通孔25毎に、その貫通孔25の周りに弾性ワイヤ55の下側の組付け部26D、左側の組付け部26L、及び右側の組付け部26Rが設けられている。各組付け部26D,26L,26Rは、共通の構成を有している。
各組付け部26D,26L,26Rは、図7及び図12に示すように、(A)摺動基部27、(B)軸線方向規制部28、(C)面方向規制部35、(D)直線移動許容部40、及び(E)第2軸線方向規制部45を備えている。次に、各部について説明する。
(A)摺動基部27
摺動基部27は、弾性ワイヤ55の直線移動に伴い取付け部56が摺動される箇所であって、ステアリングシャフト11の軸線Lに直交する平面からなる。
(B)軸線方向規制部28
軸線方向規制部28は、上記組付け方向への取付け部56の直線移動を許容し、かつ芯金20に係止された係止状態の取付け部56の軸線方向への動きを規制するためのものであり、上記摺動基部27を自身の一部とするとともに副規制部29を備えている。副規制部29は、軸線方向について、摺動基部27から前方へずれた箇所に設けられている。
副規制部29は、左右両側の組付け部26L,26Rと、下側の組付け部26Dとで、構造が若干異なっている。
図6〜図8(A)の少なくとも1つに示すように、左右両側の組付け部26L,26Rは、上方へ突出する巻付け突部30をそれぞれ有している。各巻付け突部30上縁部、及び外側縁部(軸線Lから遠い側の縁部)には、出っ張り部31が設けられており、この出っ張り部31の一部が副規制部29を構成している。
図11〜図13(A)の少なくとも1つに示すように、下側の組付け部26Dは、前方へ突出する巻付け突部32を有している。巻付け突部32の前端からは下方へ向けて出っ張り部33が設けられており、この出っ張り部33が副規制部29を構成している。
そのため、取付け本体部57は、取付け部56の直線移動時には摺動基部27に沿って組付け方向へ直線移動する。また、取付け本体部57は、取付け部56が芯金20に係止された状態では、摺動基部27及び副規制部29(出っ張り部31,33)間に配置されることにより、軸線方向への動きを規制されることとなる。
(C)面方向規制部35
図7及び図12に示すように、面方向規制部35は、上記組付け方向への取付け部56の直線移動を許容し、かつ上記係止状態の取付け部56の直交面に沿う方向への動きを規制するためのものである。ここでは、直交面に沿う方向として、弾性ワイヤ55が直線移動する方向(直線移動方向)と、この方向に直交する方向とを想定している。
面方向規制部35は、弾性ワイヤ55の直線移動方向への取付け部56の動きを規制する構造として、上述した巻付け突部30,32と、規制突部36とを備えている。巻付け突部30,32は、弾性ワイヤ55の連結部61と当接することにより、連結部61を介して繋がっている取付け部56が、それ以上、組付け方向へ直線移動するのを規制する。
規制突部36は、弾性ワイヤ55の直線移動に伴い取付け部56が屈曲部58において乗り越えるのを許容し、かつ乗り越えた屈曲部58の反組付け方向への動きを規制するためのものであり、上記摺動基部27から前方へ突設されている。規制突部36は、全体として組付け方向前側ほど摺動基部27から前方へ遠ざかる傾斜面37と、傾斜面37の組付け方向前側で摺動基部27に対し略直交する段差面38とを有している。傾斜面37は摺動基部27に対し一定角度で交差する平面によって構成されている。傾斜面37は、組付け方向へ直線移動する取付け部56の弾性力に抗して屈曲部58を摺動基部27から前方へ遠ざけさせるものである。段差面38は、取付け部56の弾性復元力により摺動基部27に接近した屈曲部58の反組付け方向への動きを規制するものである。
面方向規制部35は、直線移動方向に直交する方向への取付け部56の動きを規制する構造として、上述した規制突部36と、ガイド壁部39とを備えている。
ガイド壁部39は、規制突部36の内側(軸線Lに近い側)近傍で組付け方向に延びて、取付け本体部57の組付け方向への直線移動をガイドするためのものである。
そのため、取付け本体部57は、取付け部56の直線移動時にはガイド壁部39に沿って組付け方向へ直線移動する。また、取付け本体部57は、取付け部56が芯金20に係止された状態では、規制突部36及びガイド壁部39間に配置されることにより、直交面に沿う方向であって、組付け方向に直交する方向への動きを規制されることとなる。
(D)直線移動許容部40
直線移動許容部40は、上記組付け方向への係合部59の直線移動を許容するためのものである。
直線移動許容部40は、左右両側の組付け部26L,26Rと、下側の組付け部26Dとで、構造が若干異なっている。
図6〜図8(A)の少なくとも1つに示すように、左右両側の組付け部26L,26Rは、貫通孔25の上下に一対のブラケット41をそれぞれ有している。両ブラケット41には、弾性ワイヤ55の組付け方向(上下方向)に貫通するばね挿通孔42があけられており、両ばね挿通孔42によって直線移動許容部40が構成されている。
図11〜図13(A)の少なくとも1つに示すように、下側の組付け部26Dは、弾性ワイヤ55の組付け方向への直線移動時に係合部59が直線移動する経路上に空間43を有しており、この空間43によって直線移動許容部40が構成されている。
(E)第2軸線方向規制部45
図7及び図12の少なくとも一方に示すように、第2軸線方向規制部45は、直線移動許容部40により許容されて組付け方向へ直線移動された係合部59の軸線方向への動きを規制するためのものである。第2軸線方向規制部45は、軸線方向について互いにずれた箇所に設けられた一対の規制壁部46,47を備えている。
一対の規制壁部46,47は、左右両側の組付け部26L,26Rと、下側の組付け部26Dとで、構造が若干異なっている。
図6〜図8(A)の少なくとも1つに示すように、左右両側の組付け部26L,26Rでは、上記芯金20における貫通孔25の周辺部分48によって一方の規制壁部46が構成され、ばね挿通孔42の壁面によって他方の規制壁部47が構成されている。
図11〜図13(A)の少なくとも1つに示すように、下側の組付け部26Dは、貫通孔25の左右両側において上方へ突出する一対の出っ張り部49,50を有している。一方の出っ張り部50は、上述した巻付け突部32から突出している。上記芯金20における貫通孔25の周辺部分51によって一方の規制壁部46が構成され、左右の両出っ張り部49,50によって他方の規制壁部47が構成されている。
そのため、係合部59は、直線移動時には両規制壁部46,47間を通る。また、係合部59は、組付け方向へ直線移動された状態では、両規制壁部46,47間に配置されることにより、軸線方向への動きを規制されることとなる。
上記のようにして、本実施形態のステアリングホイール12が構成されている。
このステアリングホイール12において、各弾性ワイヤ55を対応する組付け部26D,26L,26Rに組付ける場合には、各弾性ワイヤ55を組付け方向へ直線移動させる。
具体的には、左右両側の組付け部26L,26Rでは、図9(A),(B)に示すように、連結部61が上側に位置し、係合部59が取付け部56の内側(軸線Lに近い側)に位置するように、弾性ワイヤ55を把持し、この姿勢を維持しながら弾性ワイヤ55を芯金20の前側で下方へ直線移動させる。このときには、屈曲部58は規制突部36から上方へ離間している。下側の組付け部26Dでは、図14(A),(B)において二点鎖線で示すように、連結部61が右側に位置し、係合部59が取付け部56の内側(軸線Lに近い側)に位置するように、弾性ワイヤ55を把持し、この姿勢を維持しながら弾性ワイヤ55を芯金20の前側で左方へ直線移動させる。このときには、屈曲部58は規制突部36から右方へ離間している。
この際、芯金20の軸線方向規制部28及び面方向規制部35では、取付け部56を構成する取付け本体部57及び屈曲部58の組付け方向への直線移動がそれぞれ許容される。取付け本体部57及び屈曲部58の移動経路上に、それらの直線移動を阻止するものがないからである。ここで、上記移動経路上には規制突部36が突設されているが、この規制突部36は、組付け方向前側ほど摺動基部27から遠ざかる傾斜面37と、その傾斜面37の組付け方向前側の段差面38とによって形成されている。このことから、取付け部56の屈曲部58が規制突部36を乗り越えることが可能である。規制突部36は、屈曲部58の直線移動時の抵抗となることはあっても、直線移動を阻止するものではない。
また、直線移動許容部40では、組付け方向への係合部59の直線移動が許容される。これは、係合部59の移動経路上に、直線移動を阻止するものがないからである。すなわち、左右両側の組付け部26L,26Rでは、係合部59の移動経路上に、上下一対のブラケット41が存在する。しかし、各ブラケット41において、移動経路となる箇所には、上下に貫通するばね挿通孔42があけられている。また、上下両ブラケット41間において、移動経路となる箇所は空間となっている。また、下側の組付け部26Dでは、そもそも上記ブラケット41に相当するものがなくて、係合部59の移動経路が空間43によって構成されている。
上記のように直線移動を許容された取付け本体部57は、規制突部36の近傍で組付け方向に延びるガイド壁部39に沿って組付け方向へ直線移動する。この際、仮に、屈曲部58が係合部59側へ屈曲していると、同屈曲部58の先端がガイド壁部39と干渉するおそれがある。この点、本実施形態では、屈曲部58が係合部59から遠ざかる側へ屈曲されていて、同屈曲部58の先端がガイド壁部39から遠ざかった箇所に位置する。そのため、弾性ワイヤ55の取付け本体部57がガイド壁部39に沿って組付け方向へ直線移動する際に、屈曲部58の先端がガイド壁部39と干渉することがない。
また、上記のように直線移動を許容された取付け部56の屈曲部58は、面方向規制部35を直線移動する途中で規制突部36を通過する。この通過に際しては、取付け部56の取付け本体部57が摺動基部27上を摺動する。
この際、図10(A),(B)及び図14の実線で示すように、規制突部36では取付け部56の屈曲部58の乗り越えが許容される。すなわち、取付け本体部57の摺動に伴い、屈曲部58が規制突部36の傾斜面37を通る際に、取付け部56の弾性力に抗して、屈曲部58が組付け方向前側ほど摺動基部27から前方へ遠ざけられる。従って、特許文献1とは異なり、規制突部36を迂回するように取付け部56を移動させなくてもすむ。
そして、取付け部56の屈曲部58が少なくとも規制突部36を乗り越える箇所まで直線移動されて、屈曲部58が傾斜面37から段差面38へ移ると、すなわち、規制突部36を乗り越えると、図8(A),(B)及び図13(A),(B)に示すように、屈曲部58は取付け部56の弾性復元力によって摺動基部27に接近する。弾性ワイヤ55は、芯金20に係止された係止状態となる。この係止状態では、屈曲部58の反組付け方向近傍に規制突部36が位置する。また、弾性ワイヤ55の連結部61の組付け方向前側近傍に巻付け突部30,32が位置する。そのため、取付け部56の反組付け方向への動きが規制突部36によって規制されるとともに、組付け方向への動きが巻付け突部30,32によって規制される。
また、取付け本体部57は規制突部36及びガイド壁部39間に配置され、直交面に沿う方向であって、組付け方向に直交する方向への動きを規制される。
このようにして、係止状態では、取付け部56は、直交面に沿う方向への動き、ここでは弾性ワイヤ55の直線移動方向への動き、それに直交する方向への動きを規制される。
また、このときには、取付け本体部57は、摺動基部27と、軸線方向について摺動基部27からずれた箇所に設けられた副規制部29との間に配置されており、軸線方向への動きを、これらの摺動基部27及び副規制部29とによって規制される。
一方、組付け方向へ直線移動された弾性ワイヤ55の係合部59は、軸線方向への動きを芯金20の第2軸線方向規制部45によって規制される。すなわち、直線移動を許容された係合部59は、軸線方向について互いにずれた箇所に設けられた一対の規制壁部46,47間を通る。そして、係合部59が組付け方向へ直線移動された状態になると、その係合部59は、両規制壁部46,47間に配置され、軸線方向への動きを規制される。
そして、上記のように弾性ワイヤ55が組付けられた芯金20の貫通孔25に対し、エアバッグ装置65のピン74が挿入される。この挿入に伴い弾性ワイヤ55の係合部59がピン74によって押されて弾性変形する。凹部75が係合部59に対応する箇所までピン74が挿入されると、弾性復元力によって係合部59が凹部75内に入り込む。係合部59は、ピン74が抜け落ちないように凹部75に係合する。この係合部59のピン74との係合により、エアバッグ装置65が芯金20に弾性係止される。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)弾性ワイヤ55として、芯金20に取付けられる取付け部56と、貫通孔25において凹部75に係合される係合部59とを備えるものを用いる。
芯金20には、組付け方向への取付け部56の直線移動を許容し、かつ芯金20に係止された係止状態の取付け部56の軸線方向への動きを規制する軸線方向規制部28を設ける。また、芯金20には、組付け方向への取付け部56の直線移動を許容し、かつ係止状態の取付け部56の直交面に沿う方向への動きを規制する面方向規制部35と、組付け方向への係合部59の直線移動を許容する直線移動許容部40とを設ける。さらに、面方向規制部35の一部として、直線移動に伴い取付け部56が乗り越えるのを許容し、かつ乗り越えた取付け部56の反組付け方向への動きを規制する規制突部36を設けている。
そのため、弾性ワイヤ55を組付け方向へ直線移動させるといった簡単な作業を行なうだけで、弾性ワイヤ55を短時間で芯金20に組付け、取付け部56を軸線方向にも直交面に沿う方向にも動きを規制された状態にすることができる。
(2)取付け部56として、組付け方向へ延びる取付け本体部57と、取付け本体部57の延出端から直交面上において組付け方向に対し交差する方向へ屈曲する屈曲部58とを備えるものを用いる。そして、取付け部56が、屈曲部58において、弾性ワイヤ55の直線移動に伴い規制突部36を乗り越え、反組付け方向への動きを規制されるようにしている。
そのため、規制突部36を乗り越える箇所まで屈曲部58を直線移動させることにより、屈曲部58の反組付け方向への動きを規制突部36によって規制することができ、上記(1)の効果を確実に得ることができる。
(3)弾性ワイヤ55の直線移動に伴い取付け部56が摺動されるとともに、規制突部36が突設された摺動基部27を芯金20に設ける。規制突部36には、組付け方向前側ほど摺動基部27から遠ざかる傾斜面37と、傾斜面37の組付け方向前側で摺動基部27に対し略直交する段差面38とを設けている。
このため、屈曲部58を傾斜面37に沿って移動させることで、組付け方向へ直線移動する取付け部56の弾性力に抗して屈曲部58を摺動基部27から前方へ遠ざけさせることができる。そして、取付け部56の弾性復元力によって摺動基部27に接近した屈曲部58の反組付け方向への動きを、段差面38によって規制することができる。
(4)面方向規制部35の一部として、規制突部36に加え、規制突部36の近傍で組付け方向に延びて、取付け本体部57の組付け方向への直線移動をガイドするガイド壁部39を設けている。
このため、取付け部56の直線移動時には、取付け本体部57を、ガイド壁部39に沿って組付け方向へ直線移動させることができる。
また、取付け部56を芯金20に係止させた状態では、取付け本体部57を規制突部36及びガイド壁部39間に配置させることができ、直交面に沿う方向であって、組付け方向に直交する方向への取付け本体部57の動きを規制することができる。
(5)取付け部56の屈曲部58を係合部59から遠ざかる側へ屈曲させている。
そのため、弾性ワイヤ55の取付け本体部57がガイド壁部39に沿って組付け方向へ直線移動する際に、屈曲部58の先端がガイド壁部39に干渉するのを回避することができる。
(6)摺動基部27を軸線方向規制部28の一部とするとともに、軸線方向について、摺動基部27からずれた箇所に設けられた副規制部29を軸線方向規制部28の一部としている。
そのため、取付け部56の直線移動時には、取付け本体部57を摺動基部27に沿って組付け方向へ直線移動させることができる。
また、取付け部56を芯金20に係止させた状態では、取付け本体部57を、摺動基部27及び副規制部29間に配置させることができ、軸線方向への取付け本体部57の動きを規制することができる。
(7)芯金20に第2軸線方向規制部45を設けている。
そのため、直線移動許容部40により許容されて組付け方向へ直線移動された係合部59の軸線方向への動きを規制することができる。
(8)第2軸線方向規制部45の一部として、軸線方向について互いにずれた箇所に一対の規制壁部46,47を設けている。
そのため、弾性ワイヤ55の直線移動時には、係合部59を両規制壁部46,47間で直線移動させることができる。また、係合部59が組付け方向へ直線移動された状態では、係合部59を両規制壁部46,47間に配置させて、軸線方向への動きを規制することができ、上記(7)の効果を確実に得ることができる。
(9)特許文献1において用いられている弾性ワイヤ(係止ばね)105では、両つまみ部109が軸線を含む面上に形成されているのに対し、取付け部(平行延在部)106及び係合部(平行延在部)107が軸線に直交する直交面上に形成されている。
これに対し、本実施形態では、弾性ワイヤ55を構成する取付け部56(取付け本体部57、屈曲部58)及び係合部59を、いずれも直交面上に形成している。そのため、特許文献1におけるものよりも弾性ワイヤ55を製作しやすい。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・上記実施形態では、屈曲部58を、係合部59から遠ざかる側へ屈曲させたが、この屈曲部58を、図15に示すように、係合部59に近づく側へ屈曲させてもよい。この場合、取付け本体部57の一部を係合部59側へ、屈曲部58よりも大きく屈曲させて、その先端部分をガイド壁部39に接触させてもよい。このようにすれば、取付け本体部57においてのみ取付け部56をガイド壁部39に沿って、組付け方向へ直線移動させることができる。屈曲部58がガイド壁部39と干渉するのを抑制することができる。
・規制突部36の傾斜面37は、全体として組付け方向前側ほど摺動基部27から前方へ遠ざかる面であればよく、摺動基部27に対する傾斜角度の異なる複数の平面によって構成されてもよい。また、傾斜面37は、湾曲面によって構成されてもよい。
・規制突部36の段差面38は、摺動基部27に対し直交する状態に近い状態であれば、多少傾いていてもよい。
・各組付け部26D,26L,26Rの構造として、上記実施形態とは逆に、弾性ワイヤ55の係合部59を取付け部56よりも外側(軸線Lから遠ざかる側)に組付ける構造に変更してもよい。
・下側の組付け部26Dの構造として、上記実施形態とは逆に、弾性ワイヤ55を左→右へ組込む構造に変更してもよい。
・本発明のステアリングホイール12が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・本発明は、車両に限らず、航空機、船舶等の他の乗り物における操舵装置のステアリングホイール12に適用することもできる。
11…ステアリングシャフト、12…エアバッグ装置付きステアリングホイール、20…芯金、25…貫通孔、27…摺動基部、28…軸線方向規制部、29…副規制部、35…面方向規制部、36…規制突部、37…傾斜面、38…段差面、39…ガイド壁部、40…直線移動許容部、45…第2軸線方向規制部、46,47…規制壁部、55…弾性ワイヤ、56…取付け部、57…取付け本体部、58…屈曲部、59…係合部、65…エアバッグ装置、74…ピン、75…凹部、L…軸線。

Claims (8)

  1. ステアリングシャフトの軸線に沿う軸線方向に貫通する貫通孔が設けられた芯金と、前記芯金に向けて突出し、かつ外面に凹部を有するピンを備え、同ピンが前記貫通孔に挿入されるエアバッグ装置と、前記軸線に直交する直交面に沿う組付け方向へ直線移動されることにより前記芯金に組付けられる弾性ワイヤとを備えるエアバッグ装置付きステアリングホイールであって、
    前記弾性ワイヤは、前記芯金に取付けられる取付け部と、前記貫通孔において前記凹部に係合される係合部とを有する一方、
    前記芯金は、前記組付け方向への前記取付け部の前記直線移動を許容し、かつ前記芯金に係止された係止状態の前記取付け部の前記軸線方向への動きを規制する軸線方向規制部と、前記組付け方向への前記取付け部の前記直線移動を許容し、かつ前記係止状態の前記取付け部の前記直交面に沿う方向への動きを規制する面方向規制部と、前記組付け方向への前記係合部の前記直線移動を許容する直線移動許容部とを有し、
    前記面方向規制部は、前記直線移動に伴い前記取付け部が乗り越えるのを許容し、かつ乗り越えた前記取付け部の反組付け方向への動きを規制する規制突部を有することを特徴とするエアバッグ装置付きステアリングホイール。
  2. 前記取付け部は、前記組付け方向へ延びる取付け本体部と、前記取付け本体部の延出端から前記直交面上において前記組付け方向に対し交差する方向へ屈曲する屈曲部とを備えており、
    前記取付け部は、前記屈曲部において、前記弾性ワイヤの前記直線移動に伴い前記規制突部を乗り越え、前記反組付け方向への動きを規制されるものである請求項1に記載のエアバッグ装置付きステアリングホイール。
  3. 前記芯金は、前記弾性ワイヤの前記直線移動に伴い前記取付け部が摺動されるとともに、前記規制突部が突設された摺動基部を有しており、
    前記規制突部は、前記組付け方向前側ほど前記摺動基部から遠ざかる傾斜面と、前記傾斜面の前記組付け方向前側で前記摺動基部に対し略直交する段差面とを有し、
    前記傾斜面は、前記組付け方向へ前記直線移動する前記取付け部の弾性力に抗して前記屈曲部を前記摺動基部から遠ざけさせ、
    前記段差面は、前記取付け部の弾性復元力により前記摺動基部に接近した前記屈曲部の前記反組付け方向への動きを規制するものである請求項2に記載のエアバッグ装置付きステアリングホイール。
  4. 前記面方向規制部は、前記規制突部に加え、同規制突部の近傍で前記組付け方向に延びて、前記取付け本体部の前記組付け方向への直線移動をガイドするガイド壁部を備えており、
    前記取付け本体部は、前記取付け部の直線移動時には前記ガイド壁部に沿って前記組付け方向へ直線移動し、前記取付け部が前記芯金に係止された状態では、前記規制突部及び前記ガイド壁部間に配置されることにより、前記直交面に沿う方向であって、前記組付け方向に直交する方向への動きを規制されるものである請求項2又は3に記載のエアバッグ装置付きステアリングホイール。
  5. 前記屈曲部は、前記係合部から遠ざかる側へ屈曲されている請求項4に記載のエアバッグ装置付きステアリングホイール。
  6. 前記軸線方向規制部は、前記摺動基部を自身の一部とするとともに、前記軸線方向について、前記摺動基部からずれた箇所に設けられた副規制部を備え、
    前記取付け本体部は、前記取付け部の直線移動時には前記摺動基部に沿って前記組付け方向へ直線移動し、前記取付け部が前記芯金に係止された状態では、前記摺動基部及び前記副規制部間に配置されることにより、前記軸線方向への動きを規制されるものである請求項3〜5のいずれか1つに記載のエアバッグ装置付きステアリングホイール。
  7. 前記芯金は、前記直線移動許容部により許容されて前記組付け方向へ直線移動された前記係合部の前記軸線方向への動きを規制する第2軸線方向規制部をさらに備える請求項1〜6のいずれか1つに記載のエアバッグ装置付きステアリングホイール。
  8. 前記第2軸線方向規制部は、前記軸線方向について互いにずれた箇所に設けられた一対の規制壁部を備えており、
    前記係合部は、直線移動時には前記両規制壁部間を通り、前記係合部が前記組付け方向へ直線移動された状態では、前記両規制壁部間に配置されることにより、前記軸線方向への動きを規制されるものである請求項7に記載のエアバッグ装置付きステアリングホイール。
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