以下、本発明の一実施の形態の構成を、図面を参照して説明する。
図7(a)及び図7(b)において、10は自動車部品としてのハンドル(ステアリングハンドル)であるステアリングホイールで、このステアリングホイール10は、自動車の運転席の乗員の前方に配置され、ハンドル本体であるステアリングホイール本体11と、このステアリングホイール本体11の乗員側に取り付けられる設置体であるモジュール12と、ステアリングホイール本体11の反乗員側、すなわちモジュール12と反対側に取り付けられる被覆部材としてのカバー体13(図6)となどから構成されている。また、このステアリングホイール10には、必要に応じて、ステアリングホイール本体11の乗員側に図示しない装飾部材としてのフィニッシャ(ガーニッシュ)などが取り付けられる。そして、モジュール12は、ステアリングホイール本体11に対して、図6に示す係合部材としてのワイヤ16により着脱可能に係合保持され、このワイヤ16は、モジュール12とステアリングホイール本体11とのいずれか、本実施の形態ではステアリングホイール本体11に保持されている。
なお、図7(a)及び図7(b)に示すステアリングホイール10は、通常、水平方向(垂直方向)に対して傾斜した状態で備えられる図示しない操縦装置としてのステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、モジュール12側を乗員側、正面側あるいは後側(図6に示す矢印R側)、ステアリングシャフト側を車体側、背面側あるいは前側(図6に示す矢印F側)とし、このステアリングシャフトに沿った前後方向を軸方向とし、その他、このステアリングホイール10が備えられる車体の直進方向を基準として、前後方向(矢印F,R方向)及び上下方向(図1などに示す矢印U,D方向)などの方向を説明する。
ステアリングホイール本体11は、円環状をなすリム部(リング部)21と、このリム部21の内側に位置する中心部としてのハブ部であるボス部(マウント部)22と、これらリム部21とボス部22とを連結する複数のスポーク部23とから構成されている。そして、このステアリングホイール本体11は、図6に示す金属製の芯金25と、この芯金25の一部を一体的に覆う軟質の被覆部26とを備え、この芯金25の背面側がカバー体13により覆われている。
スポーク部23は、車種などによってその本数は様々に設定し得るが、例えば左右一対の2本(図7(a))、あるいは左右及び下部の3本(図7(b))などに設定される。なお、図6には、左右及び下部の3本のスポーク部23を備えるステアリングホイール10を示している。
芯金25は、図7(a)及び図7(b)に示すリム部21、ボス部22及び対をなす(左右2本の)スポーク部23に対応し、図6に示すように、円環状をなすリム芯金部31、支持部としてのハンドル本体取付部(ハブ芯金)であるボス芯金部32、及びスポーク芯金部33を備えているとともに、アーム芯金部34を備えている。また、この芯金25には、ホーンスイッチ装置を構成する固定接点35が設けられている。この芯金25は、例えば図示しない金型を用いてダイカスト成形されている。
ボス芯金部32は、ボスプレートなどとも呼ばれるもので、図1に示すように、ステアリングシャフトと接続される回転中心芯金部36と、モジュール12(図6)を支持する支持部である第1支持部37とを一体に備えている。そして、このボス芯金部32は、リム芯金部31(図6)の内側に位置している。
回転中心芯金部36は、芯金25(ステアリングホイール本体11)において、最も前側(反乗員側)に位置している部分である。この回転中心芯金部36の背面側(前側)には、円筒状のボス39が中央部に一体的に設けられている。さらに、この回転中心芯金部36の後側、すなわちモジュール12(図6)に対向する側には、ボス39の周囲に平面状の対向面41が形成されている。
第1支持部37は、モジュール12(図6)を支持するとともに、回転中心芯金部36(ボス芯金部32)と各スポーク芯金部33とを連結する部分である。この第1支持部37は、回転中心芯金部36の左右両側に連続して設けられている。また、各第1支持部37は、回転中心芯金部36に対して乗員側、すなわち後側に位置している。具体的に、各第1支持部37には、回転中心芯金部36の対向面41よりも乗員側である後側に変位した第1レベルに、モジュール12(図6)側に対向する第1受け面43が形成されている。さらに、各第1支持部37には、丸孔状の挿通開口部44が第1受け面43を芯金25の厚さ方向である前後方向に貫通して設けられている。そして、各第1支持部37は、回転中心芯金部36を中心として略左右対称に配置されている。なお、これら第1支持部37は、回転中心芯金部36及びスポーク芯金部33と一体に形成することが好ましいが、別体であってもよい。
第1受け面43の第1レベル、すなわち回転中心芯金部36から乗員側への変位量は、モジュール12(図6)の背面(前面)の形状に対応して設定される。
スポーク芯金部33は、ボス芯金部32の各第1支持部37とリム芯金部31(図6)とを連結して左右に延びている。したがって、スポーク芯金部33は、ステアリングホイール本体11の略直径方向に沿って延びている。また、これらスポーク芯金部33は、例えば図7(a)に示すように左右2本のスポーク部23を備えるステアリングホイール本体11の場合、これらスポーク部23のそれぞれの芯金となっており、図7(b)に示すように左右及び下部の3本のスポーク部23を備えるステアリングホイール本体11の場合、これらスポーク部23のうち、左右方向(中立状態(ニュートラル状態)のステアリングホイール10での9時−3時方向)に延びる対をなす(2本の)スポーク部23(以下、真性スポーク部23aという)の芯金となっており、その他のスポーク部23(以下、擬似スポーク部23bという)の芯金となっていない。したがって、図6に示す芯金25は、モジュール12やフィニッシャなどの形状によって、2本のスポーク部23を有するステアリングホイール本体11と、3本以上のスポーク部23を有するステアリングホイール本体11とにそれぞれ対応可能となっている。
図1に戻って、アーム芯金部34は、ボス芯金部32、あるいはスポーク芯金部33から下側へとループ状に突出して設けられ、リム芯金部31(図6)の下部に対して離間されている。すなわち、このアーム芯金部34は、スポーク芯金部33とリム芯金部31(図6)とで定義されるスペースに配置されている。したがって、このアーム芯金部34と、ボス芯金部32、あるいはスポーク芯金部33との間には、モジュール12(図6)と車体側とを接続する図示しない配線などが挿通される空間部46が形成されている。そして、このアーム芯金部34は、回転中心芯金部36を除くボス芯金部32または各スポーク芯金部33から下方へとそれぞれ延出する延出部47と、モジュール12(図6)を支持する設置体支持部としての第2支持部48と、これら延出部47と第2支持部48とをそれぞれ連結する連結部49とを一体に備えている。また、このアーム芯金部34には、カバー体13(図6)をステアリングホイール本体11に対して位置決めする位置決め孔50が設けられている。
延出部47は、回転中心芯金部36を除くボス芯金部32と各スポーク芯金部33とのいずれかにて互い離間された位置から、本実施の形態では左右に互いに離間された第1支持部37,37の下部から、左右方向の中心側に向かって下方へと傾斜状に延出している。すなわち、これら延出部47は、回転中心芯金部36を挟んで位置している。また、この延出部47は、回転中心芯金部36と前後方向に略等しい位置に配置されている。すなわち、この延出部47のモジュール12(図6)に対向する側は、対向面41と略面一な位置となっている。さらに、この延出部47は、第2支持部48に対して相対的に左右方向に太く形成されている。
第2支持部48は、回転中心芯金部36に対して乗員側である後側に位置し、左右方向に沿って延びている。具体的に、この第2支持部48には、回転中心芯金部36の対向面41よりも乗員側である後側に変位した第2レベルに、モジュール12(図6)側に対向する第2受け面52が形成されている。また、この第2支持部48は、空間部46を介して回転中心芯金部36に対して離間されている。すなわち、この第2支持部48は、回転中心芯金部36を除くボス芯金部32または各スポーク芯金部33に対して、延出部47及び連結部49のみを介して接続され、それ以外に接続構造を有しない。換言すれば、第2支持部48は、回転中心芯金部36に対して非連結であり、空間部46の内部は、前後左右に仕切られていない。さらに、この第2支持部48には、モジュール12(図6)を係止する係止受部53が中央部に設けられている。
第2受け面52の第2レベル、すなわち回転中心芯金部36から乗員側への変位量は、モジュール12(図6)の背面(前面)の形状に対応して設定される。したがって、モジュール12(図6)の背面(前面)が面一である場合、第1受け面43の第1レベルと、第2受け面52の第2レベルとは互いに等しく設定される。
係止受部53は、アーム芯金部34(第2支持部48)から上方に向けて爪状に突設され、モジュール12(図6)を正面方向に抜け止めしている。
連結部49は、延出部47の下端部と第2支持部48の両端部とを連結している。したがって、この連結部49は、延出部47及び第2支持部48と交差(直交)する前後方向に沿って形成されている。換言すれば、アーム芯金部34は、側方から見てクランク状に屈曲されている。また、この連結部49は、延出部47と略等しい太さに形成されている。したがって、この連結部49は、第2支持部48に対して相対的に左右方向に太く形成されている。
図2に示す位置決め孔50は、延出部47の基端側(回転中心芯金部36)から離れた位置、すなわち延出部47の基端側(回転中心芯金部36)に対して所定距離の位置に配置されている。この位置決め孔50は、丸孔状に形成されており、本実施の形態では延出部47の先端側、すなわち連結部49の基端側近傍に位置し、延出部47を厚さ方向である前後方向に貫通して設けられている。したがって、この位置決め孔50は、左右のスポーク部23(図7(a)及び図7(b))の曲げ点、すなわち図5に示すスポーク芯金部33とリム芯金部31との連結位置の下縁からの上下方向の距離DIが近い位置に配置されている。
固定接点35は、導電性を有する金属などの部材により形成されている。この固定接点35は、本実施の形態では、例えばボス芯金部32の両側の上側(第1支持部37の上側)、及び、アーム芯金部34(第2支持部48)の両側にそれぞれ配置されてモジュール12(図6)側に対向している。
図6に示すモジュール12は、本実施の形態では、収納体としての取付部材であるベースプレート55及び被覆体としてのエアバッグカバー56を備え折り畳まれたエアバッグ57を収納したケース58、このケース58に配置されたインフレータ59、及び、リテーナ60などを備えたエアバッグ装置(エアバッグモジュール)である。
ベースプレート55は、バックプレート、あるいはバックホルダなどとも呼ばれるもので、図示しないホーン装置のホーンプレートを兼ねており、例えば合成樹脂にて一体に射出成形されている。そして、このベースプレート55は、ケース本体としての取付面部である基板部62と、この基板部62の表面側の周縁部の全体に亘って正面側に立ち上げられた周壁部63とを備えている。
基板部62には、略中央部に円孔状のインフレータ取付孔64が開口されているとともに、このインフレータ取付孔64を囲んで4カ所の取付孔65(2つのみ図示)がそれぞれ開口されている。また、この基板部62には、モジュール12をステアリングホイール本体11に対して進退可能に取り付ける係合部としての一対の柱状(円柱状)のフック67が背面側に突設されている。また、この基板部62には、モジュール12をステアリングホイール本体11に対して進退可能に取り付ける係止部68が背面側に突設されている。さらに、この基板部62には、一の接点である可動接点が設定されている。
フック67は、モジュール12とステアリングホイール本体11とを着脱可能に係止するとともに、モジュール12をステアリングホイール本体11に対して位置決め、及び正面背面方向に沿ってガイドするものである。これらフック67は、ステアリングホイール本体11の挿通開口部44に先端側が挿入されるとともに、この挿通開口部44に一部が露出するように取り付けられたワイヤ16により弾性的に係止保持され、挿通開口部44に対して正面背面方向に沿って移動可能となっている。したがって、本実施の形態では、このフック67は、モジュール12のベースプレート55(基板部62)の上部の左右両側部、すなわち中立状態(ニュートラル状態)のステアリングホイール10での9時方向及び3時方向に互いに離間されて位置している。また、フック67の基端側の周囲には、モジュール12をステアリングホイール本体11に対して後方(乗員側)に向けて付勢する付勢手段としてのコイルばねであるホーンスプリング70の一端部(後端部)が保持されている。
係止部68は、ステアリングホイール本体11の係止受部53に係止されることで、挿通開口部44へのフック67の挿通方向である正面背面方向に係止する、具体的には正面方向に抜け止め係止し、モジュール12のステアリングホイール本体11に対するがたつきを抑制するとともに、モジュール12を操作してホーン装置を動作させる際の操作性を向上するようになっている。この係止部68は、基板部62に対してループ状(U字状)に形成されて、基板部62から前方、すなわち背面側に突設されている。そして、この係止部68は、モジュール12のベースプレート55(基板部62)の左右方向の中央下部、すなわち中立状態(ニュートラル状態)のステアリングホイール10での6時方向に位置している。
可動接点は、ステアリングホイール本体11の固定接点35と対向し、これら固定接点35とともにホーン装置のスイッチであるホーンスイッチ装置を構成している。
ホーンスプリング70は、他端部がステアリングホイール本体11の芯金25のボス芯金部32(第1支持部37)に設けられた挿通開口部44の周囲、及び、アーム芯金部34の第2支持部48の両端部に設けられたばね受け部であるスプリング受け部72に保持されている。
周壁部63には、基板部62に亘って、エアバッグカバー56を係合保持するための複数の係合部74が突設されている。本実施の形態では、この係合部74は、フック状となっているが、例えば開口などとしてもよいし、フック状のものと開口とを双方備えていてもよい。
一方、エアバッグカバー56は、絶縁性を有する合成樹脂にて一体に形成され、ステアリングホイール10の一部の正面側を覆うカバー本体としての表板部75と、この表板部75の背面側である前面側から角筒状に下方へと突設された取付壁部としての取付板部76とを備えている。
表板部75の背面である前面には、取付板部76に囲まれた位置に、厚さ寸法の小さい溝状の図示しない破断予定部(弱部)であるテアラインが形成されており、エアバッグの膨張時に、エアバッグの展開圧力によってテアラインに沿って開裂して展開するように構成されている。
取付板部76は、ベースプレート55の周壁部63の外方に位置するもので、この周壁部63の外形に沿って形成されている。さらに、取付板部76には、ベースプレート55の係合部74と係合する係止開口78がそれぞれ設けられている。
エアバッグ57は、例えば、単数、あるいは複数の基布によって扁平な袋状に形成されている(説明を明確にするために、図6では取付部を含む基布パネルの一部のみを示し他を省略した)とともに、ベースプレート55の基板部62と同様に、円孔状のインフレータ取付孔81と、このインフレータ取付孔81を囲んで設けられた4カ所の取付孔82(3つのみ図示)とが形成されている。
インフレータ59は、円盤状のインフレータ本体部83と、このインフレータ本体部83から外周側に突設されたフランジ部84とを備えている。また、インフレータ本体部83には、図示しないガス噴射口が設けられ、フランジ部84には、取付孔85が4カ所(3カ所のみ図示)に設けられている。さらに、インフレータ本体部83の底部には、図示しない接点部が設けられている。この接点部には、図示しないコネクタを介してワイヤハーネスが接続され、このワイヤハーネスを介してインフレータ59が制御装置と電気的に接続されている。
リテーナ60は、リング状をなし、金属板などにて形成されたリテーナ基部86と、このリテーナ基部86に固定された4本の取付ボルト87(3本のみ図示)とを備えている。そして、リテーナ基部86は、中央部に、円孔状のインフレータ取付孔88が形成されている。また、取付ボルト87は、インフレータ取付孔88を囲んで背面側に突設され、それぞれ図示しないナットが螺合されるようになっている。
そして、エアバッグ57の内側にリテーナ60を挿入し、このリテーナ60の取付ボルト87を取付孔82から引き出した状態で、エアバッグ57を所定の形状に折り畳む。さらに、折り畳んだエアバッグ57にエアバッグカバー56を被せるとともに、このエアバッグカバー56の取付板部76の係止開口78を、ベースプレート55の周壁部63の係合部74に位置合わせしつつ、リテーナ60の取付ボルト87を取付孔65に挿入しながらベースプレート55側へと押し込むことで、係止開口78が係合部74と挿入係止されて、エアバッグカバー56とベースプレート55とが互いにワンタッチで固定される(スナップイン)。
さらに、ベースプレート55の背面側に突出した取付ボルト87に取付孔85を挿入しながら、ベースプレート55の背面側からインフレータ59を組み合わせ、取付ボルト87にナットを螺合して締め付ける。この状態で、インフレータ59のガス噴射口を設けたインフレータ本体部83の正面側の部分がインフレータ取付孔64,81,88からエアバッグ57の内側に挿入され、モジュール12が構成される。
また、カバー体13は、ボディカバー、あるいはロアカバーなどとも呼ばれるもので、例えば合成樹脂などにより形成されており、ボス39を除くボス芯金部32(回転中心芯金部36及び各第1支持部37(図1))及びアーム芯金部34の背面側、及び各スポーク芯金部33の背面側を覆うように構成されている。すなわち、このカバー体13は、ボス芯金部32(回転中心芯金部36及び各第1支持部37(図1))の背面側を覆う第1覆い部91と、各スポーク芯金部33の背面側を覆う第2覆い部92とを一体に備えている。
第1覆い部91には、ボス39などを挿通する丸孔状の開口部94が中央部に開口されている。また、この第1覆い部91には、図3に示すように、開口部94の縁部、本実施の形態では開口部94の両側に、ステアリングホイール本体11(図4)に対してカバー体13を位置決めするための位置決め突部としての位置決めピン95と、ステアリングホイール本体11(図4)に対してカバー体13を抜け止めするための抜止部96とがそれぞれ突設されている。なお、これら位置決めピン95及び抜止部96は、左右対称に配置されている。そのため、図3及び図4においては、一方(左側)の位置決めピン95及び抜止部96のみを図示し、他方(右側)の図示を省略する。
位置決めピン95は、図4に示すように、ステアリングホイール本体11のアーム芯金部34(延出部47)に設けられた位置決め孔50に挿入されるもので、第1覆い部91(カバー体13)から前方に向けて直線的な円柱状に突設されている。この位置決めピン95の外側面には、位置決め孔50の内面に対して当接するリブ95aが軸方向と略平行に複数設けられている。
抜止部96は、位置決めピン95に対して上側及び外側(第2覆い部92側)に離れた位置に設けられている。この抜止部96は、アーム芯金部34(延出部47)の乗員側に対して第2覆い部92側から係合される爪状に形成されている。
図6に示す第2覆い部92は、第1覆い部91の外縁部からこの第1覆い部91に対してステアリングホイール本体12側である後側へと傾斜状に延出している。この第2覆い部92の形状は、スポーク部23(図7(a)あるいは図7(b))の本数に応じて設定されている。すなわち、スポーク部23が2本である場合(例えば図7(a))には2本分が、3本である場合(例えば図7(b))には3本分がそれぞれ突設されている。
フィニッシャは、カバー体13の第2覆い部92とともに、擬似スポーク部23b(図7(b))を構成可能となっている。したがって、4本以上のスポーク部23を備えるステアリングホイール本体11の場合でも、これらフィニッシャ及びカバー体13の第2覆い部92によって、擬似スポーク部23b(図7(b))を構成することができる。
そして、各ワイヤ16は、ワンタッチワイヤとも呼び得るもので、弾性変形可能な金属などの線材(ピアノ線)にて形成されている。このワイヤ16は、挿通開口部44に一部が臨んで配置され、この挿通開口部44に挿入されたモジュール12のフック67を係合保持するように構成されている。
そして、ステアリングホイール10を組み立てる際には、カバー体13を、ステアリングホイール本体11に対して背面側から組み合わせ、位置決めしつつステアリングホイール本体11に取り付ける。この後、このステアリングホイール本体11のボス39をステアリングシャフトに嵌着し、図示しないナットで締め付け固定する。
このステアリングホイール本体11に対して、モジュール12は、係止部68に係止受部53を引っ掛けつつ、各挿通開口部44と各フック67とを位置合わせして正面側から押し込むことで、各ワイヤ16が各フック67に係合されて、いわばワンタッチで取り付けられる。この結果、モジュール12の押し込み方向である前方向への移動が規制されてステアリングホイール本体11からの浮き上がりが防止され、両側及び下側の3カ所でモジュール12がステアリングホイール本体11に係合して抜け止め支持される。
このため、モジュール12がステアリングホイール本体11に対して相対的に前後方向、上下方向及び左右方向にそれぞれ位置規制され、各フック67は、ワイヤ16によって正面方向へと抜け止めされ、係止部68は、係止受部53によって正面方向へと抜け止めされる。
また、この状態で、各フック67によりステアリングホイール本体11が正面背面方向に沿って案内される。
そして、例えばインフレータ59の接点部などに電気的な配線を行うとともに、必要に応じてフィニッシャを取り付けることにより、モジュール12を備えたステアリングホイール10がステアリングシャフトに取り付けられた状態で構成される。このとき、カバー体13及びフィニッシャの形状を変えることで、ステアリングホイール10は、2本のスポーク部23を備えるもの(図7(a))と、3本のスポーク部23を備えるもの(図7(b))とを作り分けることができる。
このように構成されたステアリングホイール10は、運転席の乗員がリム部21を把持して回動することにより、走行時の操作が行われる。また、乗員が押動部を兼ねたモジュール12のエアバッグカバー56を各ホーンスプリング70の付勢荷重に抗して押動することにより、各フック67と各挿通開口部44との嵌め合い、及び、係止部68と係止受部53との嵌め合いによってモジュール12が相対的に前方へとガイドされ、いずれかの可動接点が固定接点35に接触すると、車体側のホーン装置が吹鳴される。
また、車両の正面衝突などの際は、インフレータ59からエアバッグ57の内部にガスが急速に噴射されて、折り畳まれて収納されたエアバッグ57が急激に膨張する。すると、このエアバッグ57の膨張の圧力により、エアバッグカバー56がテアラインに沿って開裂してエアバッグ57の突出口が形成され、この突出口からエアバッグ57が突出して乗員の前方で膨張展開し、乗員を拘束して保護する。このとき、モジュール12は、主として各フック67が各ワイヤ16により係止されていることで、エアバッグ57の膨張展開時の衝撃に対してステアリングホイール本体11に保持される。
このように、本実施の形態によれば、ステアリングホイール本体11の芯金25に、対をなすスポーク芯金部33とリム芯金部31との間に位置するアーム芯金部34を形成することで、スポーク芯金部33を必要最小限としてモジュール12の小型化及び軽量化に対応できる。また、アーム芯金部34は、延出部47と回転中心芯金部36に対して乗員側に位置しこの回転中心芯金部36に対して空間部46を介して離間する第2支持部48とを連結部49により連結することでクランク状に屈曲させて形状剛性を持たせることによって芯金25の強度(静剛性)を確保しつつ、小型のモジュール12を支持する位置にアーム芯金部34を配置でき、かつ、所定以上の外力が加わったときには延出部47の先端側の位置を起点としてアーム芯金部34を容易に変形させることができ、芯金25の強度と変形特性とを両立させることができる。
第2支持部48と異なる位置でモジュール12を支持する第1支持部37を、回転中心芯金部36に対して乗員側に設定することで、モジュール12の被支持部となるベースプレート55の背面側(底部)の形状に対応した支持位置を第1支持部37と第2支持部48とで容易に形成でき、モジュール12をステアリングホイール本体11によってより安定的に支持できる。
また、延出部47の基端側から離間された位置にて延出部47を貫通して位置決め孔50を設けることで、カバー体13を容易に位置決めできるとともに、芯金25を局所的に延長することなく位置決め構造を設定できるため、より小型のステアリングホイール10のデザインに対応可能となり、かつ、芯金25の軽量化が可能になる。さらに、ステアリングホイール10に曲げ荷重が加わる際に、左右のスポーク部23の曲げ点、すなわちスポーク部23(スポーク芯金部33)とリム部21(リム芯金部31)との連結位置の下縁からの上下方向の距離DIが近い位置に位置決め孔50が設定されているので、曲げ荷重に対して補強する機能を弱め、変形特性の要求性能に応じて曲げ強度を低下させることができ、所定以上の外力が加わったときには、この位置決め孔50を起点としてアーム芯金部34をより容易に変形させることができる。
なお、上記の一実施の形態において、モジュール12(ベースプレート55)にフック67を突設し、ステアリングホイール本体11(ボス芯金部32)に挿通開口部44及びワイヤ16を配置する構成としたが、モジュール12(ベースプレート55)に挿通開口部44及びワイヤ16を配置し、ステアリングホイール本体11(ボス芯金部32)にフック67を突設する構成とすることもできる。
また、モジュール12としては、エアバッグ装置に代えて、例えば衝撃吸収体を収納したパッド体や、内部に収容物がない単なるホーンパッドなどを用いることもできる。
そして、モジュール12は、ステアリングホイール本体11に取り付けてステアリングホイール10を構成するものとしたが、ステアリングホイール10だけでなく、他の様々な自動車部品に適用できる。