以下、本発明のエアバッグ装置の一関連技術を図面を参照して説明する。
図7において、10はエアバッグモジュールで、このエアバッグモジュール10は、移動体である車両としての自動車11の助手席、すなわち助手席の被保護物としての乗員Aの前方に位置する被設置部としての車体側部材であるインストルメントパネル部14の内側に配置され、助手席乗員用のエアバッグ装置15を構成している。なお、以下、前後方向、両側方向、及び上下方向は、それぞれエアバッグモジュール10を自動車11に取り付けた状態における自動車11の直進方向を基準として説明する。また、図7において、乗員Aはダミーにより示されている。
インストルメントパネル部14は、例えば合成樹脂などの部材により後側すなわち助手席側に向かって若干下降する曲面状などに形成され、このインストルメントパネル部14の上部などに凹設されたエアバッグ装置取付部としての取付凹部16に、エアバッグモジュール10が正面側を上方から若干後側すなわち乗員A側に向けて傾斜した状態で固定されている。また、インストルメントパネル部14の上方には、前側下方から上側後方に向かって傾斜したウインドシールドであるフロントガラス17が配置されている。
そして、図1ないし図7に示すエアバッグモジュール10は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、基布にて構成されたエアバッグ21、このエアバッグ21にガスを供給するインフレータ22、これらエアバッグ21とインフレータ22となどが取り付けられるケース体24、リテーナ25、展開前のエアバッグ21を覆うカバー体26、このエアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14の取付凹部16に取り付ける取付部材としての例えば複数(2つ)のユニット部27、及びインフレータ22の動作を制御する図示しない制御手段などを備えている。
エアバッグ21は、単数あるいは複数の基布を組み合わせて形成されている。このエアバッグ21は、袋状のエアバッグ本体部31を備えている。このエアバッグ本体部31には、インフレータ取付口であるガス導入部32、及び、このガス導入部32の周囲に位置する取付孔33が開口されている。そして、このエアバッグ本体部31は、例えば展開時に乗員Aに対向する拘束面である正面部35、インストルメントパネル部14に向かう下面部36、フロントガラス17に向かう上面部37、及びこれらの両側に位置する側面部38が順次連続して形成され、各側面部38には、ベントホールとも呼ばれる円孔状の排気口39がそれぞれ形成されている。
インフレータ22は、扁平な円柱状(円盤状)をなす本体部22aとこの本体部22aの周囲にフランジ状に突出する略四角形板状のフランジ22bとを備え、本体部22aがケース体24の底部とリテーナ25との間に挟持固定されている。そして、この本体部22aの内側には、図示しないが、点火器及び薬剤が収納され、底部に接続されたコネクタを介して伝えられる制御手段からの電気信号により、点火器が薬剤を燃焼させ、外周に設けられたガス噴射口から膨張用のガスを急速に供給するようになっている。また、フランジ22bの四隅には、取付孔22cが開口されている。なお、インフレータ22は、種々の形状があり、例えば、円盤状の本体部を備えたインフレータ22を単数あるいは複数用いることもできる。
ケース体24は、例えば合成樹脂などにより一体成形され、略有底角筒状すなわち略箱状のケース体本体41と、このケース体本体41からフランジ状に突出するカバー体受け部としてのフランジ部42と、これらケース体本体41とフランジ部42とに亘って位置する補強用の多数のリブ部43とを備えている。
ケース体本体41は、例えば四角形板状の底面部45と、この底面部45の各辺部から立ち上げられた二対の側壁部46,46,47,47とにより構成されている。底面部45は、エアバッグ本体部31(エアバッグ21)、インフレータ22がリテーナ25により取り付けられるとともにユニット部27が取り付けられる取付部となっている。すなわち、この底面部45には、インフレータ22の本体部22aが下方から挿通される円形状の取付開口部51が中央部に開口され、この取付開口部51の周囲に取付孔52が開口され、かつ、ユニット部27がそれぞれ取り付けられる取付部材取付孔である略円孔状のユニット取付孔53が取付開口部51を挟む両側に開口されている。
フランジ部42は、ケース体本体41の底面部45と反対側の側壁部46,46,47,47のそれぞれの上端部から外方に向けて板状に突設され、全体として四角形枠状に形成されている。
リブ部43は、ケース体本体41の側壁部46,46,47,47の外面およびフランジ部42の下面に亘って連続して多数形成されている。
そして、ケース体24は、ケース体本体41の正面側あるいはフロントガラス17に向かう上側がフランジ部42によって囲まれた開口部である矩形状の突出口55となっており、ケース体本体41の底面部45及び側壁部46,46,47,47によって囲まれた内側が、折り畳んだエアバッグ21を収納するエアバッグ収納部56となっている。
リテーナ25は、所定方向Xに対して交差(直交)する車幅方向Wに長手状の四角形枠状をなしており、取付孔22c,33,52に上方から挿通される取付ボルト25aが複数突設されている。これら取付ボルト25aには、ナット25bが螺合されてエアバッグ21とともにインフレータ22をケース体24に共締めするようになっている。
また、カバー体26は、アウター、エアバッグドアパネルあるいはエアバッグ用リッドなどとも呼ばれるもので、樹脂にてインストルメントパネル部14と別体をなして形成され、エアバッグ21と対向するカバー本体部58と、このカバー本体部58の背面すなわち下面に突設された複数の位置決め手段としての位置決めリブ59とを一体に備えている。
カバー本体部58は、ケース体24のフランジ部42の外形よりも大きい外形を有する例えば四角形板状に形成されており、このフランジ部42に対して溶着などの各種方法により一体的に固定されて、通常時、ケース体24の突出口55を覆っている。また、このカバー体本体部58には、突出口55に対向する位置に、他の部分より薄肉で容易に破断する例えばH字状などの図示しないテアラインが形成されており、エアバッグ21の膨張によりこのテアラインから破断されることで、フランジ部42と固定された部分をヒンジ部として展開するドアフラップとしてのエアバッグ膨出扉である四角形状の扉部を形成するようになっている。なお、このカバー体26は、説明をより明確にするために、1枚の合成樹脂によって板状に形成されているものとして以下説明するが、例えば複数の板状の合成樹脂が重ねられて溶着されることにより形成されていてもよい。
位置決めリブ59は、エアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に対して位置決めするもので、上下方向に沿って直線状に形成されており、カバー本体部58の周縁部、すなわちエアバッグモジュール10(カバー体26)とインストルメントパネル部14との接続部(隣接部)近傍の位置に、突出口55の外側全体に亘ってそれぞれ離間されて複数配置されている。本関連技術では、これら位置決めリブ59は、例えばカバー本体部58の各角部と、これら角部間の各辺の中間位置とにそれぞれ設定されている。また、これら位置決めリブ59は、前後方向の位置を規制する(第1の)ガイド部としての前後方向規制部である前後方向当てリブ59a,59aと、これら前後方向当てリブ59a,59aから突設され車幅方向の位置を規制する(第2の)ガイド部としての左右方向規制部である左右方向当てリブ59b,59bとを備えているとともに、上下方向(正面背面方向)の位置を規制する規制部材としてのクリップ59cが先端部に嵌着されている。
各ユニット部27は、ワンタッチユニットとも呼ばれるもので、台座部61と、ケース体24の底面部45に嵌着される筒状の装着部材62と、台座部61に支持される係合体であるフック部63とを備えている。
台座部61は、円形板状の基部65と、この基部65の中央部からこの基部65の厚さ方向に突出してフック部63に先端側が挿入される略円柱状の突出部66とを一体に備えている。
装着部材62は、ユニット取付孔53に対して嵌着されてユニット部27をケース体24に対して固定するもので、略円筒状に形成されている。
フック部63は、エアバッグ21が展開したときにエアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に対して係止保持するもので、例えば金属などにより柱状に形成されており、基端側をなし台座部61の突出部66の先端部が挿入接続される円筒状の取付受部67と、この取付受部67の先端から同軸状に突出しこの取付受部67よりも縮径された円柱状の接続部68と、この接続部68の先端部に段差状に拡開された係合本体部であるフック本体69とを一体に備えている。そして、フック本体69は、接続部68の外周面から軸直方向に延びる係合面69aを基端部に備えている。また、このフック本体69は、先端側へと徐々に縮径される略円錐状に形成されている。
また、インストルメントパネル部14の取付凹部16は、平面視で四角形状に形成されており、インストルメントパネル部14の表面から窪んだ被取付部本体としての収容部71と、この収容部71の周縁部から外方へと延びてインストルメントパネル部14の表面から窪んだ支持部としての周縁収容部72とを備えている。
収容部71は、エアバッグモジュール10のエアバッグ21、インフレータ22及びユニット部27が取り付けられたケース体24を収容する部分である。この収容部71は、例えば車幅方向に長手状の四角形状に凹設されており、エアバッグモジュール10の下部に対向する係合部としての四角形状の底板部である基板部74と、この基板部74の外縁部から立ち上げられた収容側壁部75とを備えている。
基板部74は、例えば四角形板状に形成されており、インフレータ22の本体部22aが露出する円形状の露出開口部76が中央部に開口され、この露出開口部76を挟む両側に、ユニット部27が挿通される円形状の貫通孔77がそれぞれ開口されている。そして、これら貫通孔77には、基板部74の正面である上面すなわちエアバッグモジュール10側に壁部78が形成されているとともに、ユニット部27のフック部63を係合保持する係合部材としてのワイヤ79がそれぞれ取り付けられ、かつ、基板部74の背面である下面すなわち反エアバッグモジュール10側に、ユニット部27のフック部63の倒れを防止する支持部としての倒れ防止リブ80が突設されている。
壁部78は、フック部63を貫通孔77へと導くもので、貫通孔78の全周を囲む円筒状に形成されており、内周面が貫通孔77に向けて縮径するように傾斜している。
各ワイヤ79は、ワンタッチワイヤとも呼び得るもので、弾性変形可能な金属などの線材にて形成されている。これらワイヤ79は、コイル状に巻回された付勢部83と、この付勢部83の一端部から接線方向に沿って直線状に延びる腕部84と、付勢部83の他端部から接線方向に沿って腕部84と交差(直交)する方向に直線状に延びる被保持部85とを一体に備えた略L字状に形成されている。
付勢部83は、基板部74の下面に突設された付勢部固定部87に保持固定され、腕部84と被保持部85とに対して、これら腕部84と被保持部85とが互いになす角度が略90°となる方向へと付勢力を付与している。
腕部84は、長手方向の中間位置に、貫通孔77の背面側に露出する係止部としての屈曲部89を備えており、基板部74の下面にて貫通孔77を挟んで長手状に突設された下部固定部90,90に引っ掛けられて保持されている。
屈曲部89は、それぞれ腕部84の長手方向に対して鈍角方向に沿って屈曲された作用部としての引っ掛け部89a,89aと、これら引っ掛け部89a,89a間に連続するU字状の連続部89bとを備え、引っ掛け部89a,89aが腕部84側へと互いにV字状に拡開するようになっている。そして、これら引っ掛け部89a,89aがフック部63の係合面69aと係合されてフック部63に対して所定方向Xと交差(直交)する方向である軸直方向に付勢力を与えるようになっている。
被保持部85は、基板部74の下面に突設された下部保持部91に引っ掛けられて保持されている。
各倒れ防止リブ80は、各ワイヤ79の付勢に対してフック部63を所定方向Xと交差(直交)する方向である軸直方向に支持するもので、各貫通孔77に対して、各ワイヤ79の屈曲部89(引っ掛け部89a,89a)と反対側に配置されている。これら倒れ防止リブ80は、各貫通孔77の外周に沿って湾曲して下方に突出する支持部本体としてのリブ本体80aと、このリブ本体80aから貫通孔77すなわちフック部63側に向けて突出する接触部としての支持突出部80b,80bと、リブ本体80aの貫通孔77に対して反対側、すなわち支持突出部80b,80bの背後側の位置に設けられた補強用の補強リブ部80cとを備え、ワイヤ79の屈曲部89の引っ掛け部89a,89a間を通る貫通孔77の仮想的な中心線L1に対して対称な形状となっている。そして、支持突出部80b,80bは、中心線L1に対して互いに略等しい鋭角(例えば20°〜70°の範囲)の位置に配置され、引っ掛け部89a,89aによるフック部63への付勢方向(荷重方向)に対向するように突出している。また、支持突出部80b,80bのフック部63に対向する先端部には、貫通孔77へのフック部63の挿入方向である下方へと、徐々に貫通孔77側(フック部63側)へ突出するように傾斜した傾斜部であるテーパ部80d,80dが形成されている。これらテーパ部80dは、ワイヤ79の引っ掛け部89a,89aの上端部から、引っ掛け部89a,89aの下端部よりも下方の位置まで連続して形成されている。すなわち、これらテーパ部80dは、ワイヤ79の引っ掛け部89a,89aよりも下方の位置まで延びている。
また、周縁収容部72は、エアバッグモジュール10のケース体24に一体的に取り付けられたカバー体26を収容及び支持する部分である。この周縁収容部72は、収容部71よりも一回り大きい、例えば車幅方向に長手状の四角形状に凹設されており、収容部71に対して浅く、エアバッグモジュール10のカバー体26及びフランジ部42の厚みと略等しい窪みとなっている。そして、この周縁収容部72には、エアバッグモジュール10の各位置決めリブ59が挿入係止されて内面に各リブ59a,59bが当接する固定部としての角孔状のリブ挿入孔93が、位置決めリブ59に対応する複数、上下方向に貫通して設けられている。したがって、本関連技術において、これらリブ挿入孔93は、周縁収容部72の各角部、及びこれら角部間の中間位置にそれぞれ設定されている。
そして、エアバッグモジュール10を組み立てる際には、まず、エアバッグ21の内側にリテーナ25を挿入し、このリテーナ25の取付ボルト25aを取付孔33から引き出した状態で、エアバッグ21を所定の形状に折り畳むとともに、ユニット部27を取り付けたケース体24の底面部45に重ねてエアバッグ収納部56の内側に収納する。この状態で、各取付ボルト25aが各取付孔52に挿通され、各ユニット部27のフック部63がユニット取付孔53を底面部45から下方に突出する。次いで、底面部45の下方からインフレータ22の本体部22aを取付開口部51及びガス導入部32に挿入し、底面部45の下部に突出した取付ボルト25aに取付孔22cを挿通させてナット25bを螺合し締め付けることで、エアバッグ21、ケース体24及びインフレータ22が共締めされて固定される。この後、カバー体26の各位置決めリブ59の先端部にクリップ59cをそれぞれ取り付け、ケース体24を覆ってカバー体26をフランジ部42に固定することで、エアバッグモジュール10が構成される。
また、インストルメントパネル部14には、ワイヤ79をそれぞれ取り付けておく。すなわち、各ワイヤ79は、腕部84を下部固定部90,90に保持して付勢部83を付勢部固定部87に固定し、被保持部85を下部保持部91に引っ掛ける。この状態で、引っ掛け部89a,89aが貫通孔77の下側に対向する。
そして、エアバッグモジュール10は、インストルメントパネル部14の取付凹部16に対して上方(正面側)から押し込むのみで、いわばワンタッチで取り付けられる。すなわち、エアバッグモジュール10は、インストルメントパネル部14の取付凹部16に押し込むと、ケース体24の下部から突出する各ユニット部27のフック部63が基板部74の各壁部78に沿ってガイドされつつ各貫通孔77に挿入される。このとき、各倒れ防止リブ80のテーパ部80dにフック部63のフック本体69の先端側が当接してガイドされることで、フック部63が倒れ防止リブ80に引っ掛かりにくく円滑に挿入できる。各貫通孔77に挿入された各フック部63は、これら貫通孔77に位置するワイヤ79の引っ掛け部89a,89aをフック本体69が付勢に抗して押し込み方向と交差(直交)する方向へと押圧して移動させる。そして、フック本体69が引っ掛け部89a,89aを通過すると、付勢部83による付勢によって引っ掛け部89a,89aが復帰変形し、各フック部63の接続部68の外周面側へと移動する。さらに、エアバッグモジュール10を充分に押し込むと、カバー体26に設定された各位置決めリブ59がリブ挿入孔93に挿入され、各リブ59a、59bがリブ挿入孔93の内面に当接してエアバッグモジュール10がインストルメントパネル部14に対して前後左右方向に位置決めされ、かつ、各位置決めリブ59のクリップ59cがリブ挿入孔93を通過すると、このリブ挿入孔93の縁部にクリップ59cが係合されて、エアバッグモジュール10がインストルメントパネル部14に対して上下方向に位置決めされた状態で固定される。この後、露出開口部76から露出したインフレータ22の接点部を制御装置と電気的に接続することにより、エアバッグモジュール10を備えたインストルメントパネル部14が構成される。
この状態で、各フック部63のフック本体69の係合面69aが各ワイヤ79の引っ掛け部89a,89aから反所定方向Xに所定距離D1離間された位置となるとともに接続部68の外周面に接触し(図1(a))、各位置決めリブ59のリブ59a,59bがリブ挿入孔93の下部から所定距離D1よりも大きい距離D2突出する(図1(b))とともに、カバー体26がインストルメントパネル部14と面一となる(図2)。
すなわち、各位置決めリブ59によりエアバッグモジュール10がインストルメントパネル部14に対して位置決めされた状態で各フック部63がワイヤ79に対して所定方向Xに沿って所定距離D1移動可能に係合される、換言すれば、エアバッグモジュール10が、各フック部63が各ワイヤ79に対して上下方向にクリアランスを有した状態で、インストルメントパネル部14に対していわばルーズに係止されているため、例えばアイドリング時のエンジンの振動や、悪路を走行したときの振動などがエアバッグ装置15に伝わった場合でも、フック部63(係合面69a)がワイヤ79に対して所定方向Xに離間されているので、これらの接触により生じる異音の発生を抑制できる。
また、各位置決めリブ59を各リブ挿入孔93に所定方向Xに沿って挿入して固定することでエアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に位置決めし、ワイヤ79(インストルメントパネル部14)に対して所定方向Xに離間された状態でルーズに係止されている各フック部63を位置決めに用いないので、エアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に対して所望の位置に確実に位置決めでき、例えばカバー体26をインストルメントパネル部14に対して、確実に面一に配置できる。
さらに、各フック部63と各ワイヤ79との間に所定方向Xに沿ってクリアランスを設けているので、各フック部63が各ワイヤ79により係止された後にエアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に対して各フック部63の各貫通孔77への挿入方向(反所定方向X)に沿ってストロークできる。このため、各フック部63が各ワイヤ79により係止された後に各位置決めリブ59が各リブ挿入孔93に挿入されて固定される。すなわち、各位置決めリブ59が各リブ挿入孔93に挿入されて固定される前に、各フック部63が各ワイヤ79により確実に係止されるので、各フック部63が各ワイヤ79により係止されないままエアバッグモジュール10がインストルメントパネル部14に位置決め固定されてしまうことを防止でき、エアバッグモジュール10のインストルメントパネル部14への組み付け不良を防止できる。
また、倒れ防止リブ80により、ワイヤ79の付勢に対してフック部63を所定方向Xと交差(直交)する軸直方向に支持するので、接続部68を介してワイヤ79の引っ掛け部89aによりフック部63が軸直方向に押圧されても、倒れ防止リブ80によってフック部63の倒れ、すなわちエアバッグモジュール10の傾きを防止でき、エアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に対して所望の位置に、より確実に位置決めできる。
しかも、倒れ防止リブ80は、ワイヤ79の引っ掛け部89aに対向する方向に向けて突出しているので、引っ掛け部89aからの軸直方向の付勢をより確実に受けることができ、フック部63の倒れをより確実に防止できる。
さらに、倒れ防止リブ80にテーパ部80dを設けることで、フック部63を貫通孔77から下方へと突出させる際にフック部63が倒れ防止リブ80に引っ掛かりにくく、エアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に取り付ける際のフック部63の貫通孔77への挿入力が緩和され、エアバッグモジュール10をインストルメントパネル部14に対して円滑に取り付けできる。
そして、エアバッグモジュール10が取り付けられたインストルメントパネル部14に物体が突き当たった場合などには、エアバッグモジュール10が下方に逃げて衝撃を緩和する。
また、車両の正面衝突などの際は、制御装置からの信号により動作したインフレータ22からエアバッグ21の内部にガスが急速に噴射されて、折り畳まれて収納されたエアバッグ21が急激に膨張する。すると、このエアバッグ21の膨張の圧力により、カバー体26がテアラインに沿って開裂してエアバッグ21の突出口55が形成され、この突出口55からエアバッグ21が突出して乗員Aの前方で膨張展開し、乗員Aを正面部35で拘束して保護する。
ここで、エアバッグ21の膨張圧力によりエアバッグモジュール10がエアバッグ21の展開方向である所定方向Xに移動する(持ち上がる)と、各フック部63の係合面69aが所定方向X(上方向)へと所定距離D1移動して各ワイヤ79の引っ掛け部89a,89aに引っ掛かる。このとき、各リブ挿入孔93に対して各位置決めリブ59を、各フック部63のワイヤ79に対する移動可能な所定距離D1よりも大きい距離D2で挿入、本関連技術では各リブ挿入孔93に対して各位置決めリブ59を所定距離D1よりも大きい距離D2突出させているので、リブ59a,59bが各リブ挿入孔93の内面に対して接触を維持し、各位置決めリブ59による位置決め機能が維持され、エアバッグモジュール10の暴れを防止できる。
なお、上記の一関連技術において、例えばユニット部27(フック部63)と位置決めリブ59との少なくともいずれかをインストルメントパネル部14の基板部74に配置し、これに対応して貫通孔77及びワイヤ79とリブ挿入孔93との少なくともいずれかをエアバッグモジュール10側に設けても同様の作用効果を奏することができる。
次に、一実施の形態を図8ないし図13を参照して説明する。なお、上記一関連技術と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
図13において、95はハンドルとしてのステアリングホイールで、このステアリングホイール95は、自動車の運転席の乗員の前方に配置され、ハンドル本体としての車体側部材であるステアリングホイール本体96と、このステアリングホイール本体96の乗員側に装着されたエアバッグモジュール97となどから構成され、これらステアリングホイール本体96とエアバッグモジュール97とにより運転席用のエアバッグ装置98が構成されている。
なお、ステアリングホイール95は、通常傾斜した状態で備えられる図示しない操縦装置としてのステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、エアバッグモジュール97側を乗員側、正面側あるいは後側、ステアリングシャフト側を車体側、背面側あるいは前側とし、このステアリングシャフトに沿った前後方向を軸方向として説明する。
ステアリングホイール本体96は、円環状をなすリム部(リング部)101と、このリム部101の内側に位置するボス部(マウント部)102と、これらリム部101とボス部102とを連結する複数、例えば本実施の形態では3本のスポーク部103とから構成されている。
そして、図11及び図12に示すように、ステアリングホイール本体96は、金属製の芯金105と、この芯金105の一部を一体的に覆う軟質の被覆部106と、この芯金105の背面側を覆う被覆部材としての図示しないカバー部となどを備えている。
芯金105は、リム部101、ボス部102及びスポーク部103に対応し、リム芯金108、支持部としてのボス芯金109、及び連結部としてのスポーク芯金110を備え、全体として略左右対称に形成されている。
ボス芯金109は、ボスプレート、あるいはハブコアなどとも呼ばれるもので、ステアリングシャフトに嵌着される円筒状のボス112を中央部に一体的に有し、両側部及び下部がそれぞれスポーク芯金110と連続している。また、このボス芯金109には、ボス112の外方で、かつ、各スポーク部103(各スポーク芯金110)に対応する位置、すなわち両側及び下側に、略円孔状のユニット取付孔53がそれぞれ開口されており、これらユニット取付孔53に、取付部材としてのユニット部114がそれぞれ取り付けられている。さらに、このボス芯金109には、ホーンスイッチを構成する複数の固定接点116が設けられている。そして、このボス芯金109は、ボス112を金型に配置しマグネシウム合金などのインサート成形により、円環状のリム芯金108及び両側方向に放射状に配置されるスポーク芯金110と一体的に形成されている。
ユニット部114は、ワンタッチユニットとも呼ばれるもので、図8、図9及び図12に示すように、上記の一関連技術のユニット部27の台座部61、装着部材62及びフック部63に加えて、このフック部63の周囲に配置された付勢部材としてのコイルばね121と、フック部63の先端側の周囲に取り付けられた位置決め手段としての介在部材であるカラー122とを備えている。
装着部材62は、台座部61の基部65とフック部63とによって軸方向に挟持されている。
フック部63は、エアバッグモジュール97とステアリングホイール本体96とを着脱可能に係止するとともに、エアバッグモジュール97をステアリングホイール本体96に対して正面背面方向に沿ってガイドするものであり、接続部68がカラー122に挿通されている。
コイルばね121は、エアバッグモジュール97をステアリングホイール本体96に対して正面側に付勢するためのものであり、装着部材62とカラー122との間に軸方向に支持され、フック部63の周囲に離間されている。
カラー122は、エアバッグモジュール97に一体的に固定されることで、ステアリングホイール本体96とエアバッグモジュール97とを上下方向、左右方向及び前後方向に位置決めするものであり、例えば合成樹脂などの部材により一体成形され、フック部63が内部に挿通される略円筒状の位置決め手段本体としてのカラー本体124と、このカラー本体124の基端側の外周面からフランジ状に突出する当接保持部125と、この当接保持部125からカラー本体124の先端部の外周面に向けてリブ状に形成されたガイド部としての複数のリブ126とを備えている。
当接保持部125は、円形板状に形成されており、カラー122中で最も径寸法が大きい位置である。この当接保持部125は、装着部材62との間でコイルばね121を支持している。また、この当接保持部125の外周面は、後述するエアバッグモジュール97側に当接して保持される当接保持面となっている。
各リブ126は、カラー本体124及び当接保持部125の周方向に略等角度(略等間隔)でそれぞれ配置しており、当接保持部125からカラー本体124の外周面へと、徐々に径方向への突出量が小さくなるように形成されている。すなわち、各リブ126は、外側面が基端側から先端側へとカラー122(カラー本体124)の中心軸に徐々に接近するようにカラー122(カラー本体124)の軸方向に対して傾斜している。したがって、これらリブ126によって、カラー122は、外周が基端側から先端側へと徐々に縮径されている。
固定接点116は、導電性を有する金属などの部材により形成されており、ボス芯金109の両側部及び下部にそれぞれ配置され、正面側に向けて突出している。
スポーク芯金110は、ボス芯金109の上側部の両側及び下部に形成され、ボス芯金109と連続する一端部から、リム芯金108と連続する他端部へと、正面方向に向けて徐々に突出するように縦壁状に屈曲されている。
一方、図8、図10(a)及び図11に示すエアバッグモジュール97は、本実施の形態では、ケース体としての収納体であるベースプレート128及びカバー体としてのエアバッグカバー129を備え折り畳まれたエアバッグ21を収納したケース131、このケース131に配置されたインフレータ22、及び、リテーナ25などを備えている。
ベースプレート128は、バックプレート、あるいはバックホルダなどとも呼ばれるもので、ホーン機構のホーンプレートを兼ねており、例えば合成樹脂にて一体に射出成形されている。そして、このベースプレート128は、ケース体本体135と、このケース体本体135の表面側の周縁部の全体に亘って正面側に立ち上げられた側壁部136とを備えている。
ケース体本体135には、略中央部に円孔状の取付開口部138が開口されているとともに、この取付開口部138を囲んで4カ所の取付孔139がそれぞれ開口されている。また、ケース体本体135には、エアバッグモジュール97をステアリングホイール本体96に対して各ユニット部114を介して進退可能に取り付けるユニット固定部140が背面側に突設されている。さらに、このケース体本体135には、可動接点141を設定する導電性の導電プレート142が一体的に取り付けられている。
ユニット固定部140は、ケース体本体135の両側部に設けられた(第1及び第2の取付機構としての)側部固定部144,144と、ケース体本体135の下側部に設けられた(第3の取付機構としての)下部固定部145とを備えている。そして、側部固定部144,144間、及び、下部固定部145には、それぞれ係合部材としてのワイヤ146,147が取り付けられている。
ここで、ワイヤ146,147は、それぞれワンタッチワイヤとも呼び得るもので、弾性変形可能な金属などの線材にて形成されている。
ワイヤ146は、互いに離間された腕部151,151と、腕部151,151の一端部間を直線状に連結する連結部である付勢部152とを一体に備えた略コ字状に形成され、これら腕部151,151と付勢部152とが連続する角部が、フック部63の係合面69aと係合されてフック部63に対して軸直方向に付勢力を与えるフック取付部である引っ掛け部153となっている。
各腕部151は、ワイヤ146とフック部63との係合を外す際に押し操作される操作部であり、例えば上下方向に沿って直線状に配置されている。
付勢部152は、各腕部151に対して交差(直交)する両側方向に直線状に延びており、各腕部151に対して、これら腕部151が互いに離反する方向へと付勢力を付与している。
引っ掛け部153は、各腕部151及び付勢部152に対してそれぞれ傾斜している。
また、ワイヤ147は、コイル状に巻回された付勢部155と、この付勢部155の一端部から接線方向に沿って直線状に延びる腕部156と、付勢部155の他端部から接線方向に沿って腕部156と交差(直交)する方向に直線状に延びる被保持部157とを一体に備えた略L字状に形成されている。
付勢部155は、ベースプレート128のケース体本体135に保持される被保持部であり、腕部156と被保持部157とに対して、これら腕部156と被保持部157とが互いになす角度が略90°となる方向へと付勢力を付与している。
腕部156は、例えば両側方向に沿って配置されている。この腕部156は、ワイヤ147とフック部63との係合を外す際に押し操作される操作部となっているとともに、基端寄りの位置に、フック部63の係合面69aと係合されてフック部63に対して軸直方向に付勢力を与える引っ掛け部159が設定されている。
被保持部157は、下部固定部145に引っ掛けられて保持されている。
そして、各ワイヤ146,147は、腕部151,151,156を露出させた状態で各固定部144,144,145に保持されており、これら腕部151,151,156をベースプレート128(エアバッグモジュール97)の外方から内方に向けて付勢力に抗して図示しないマイナスドライバなどの係合解除工具によって押し操作することで、引っ掛け部153,153,159とフック部63との係合が解除可能となっている。
さらに、各固定部144,144,145には、ワイヤ146,147の引っ掛け部153,153,159が露出する円形状の固定部としての貫通孔である開口部161と、この開口部161の外縁部に連続してベースプレート128のケース体本体135から背面方向へと突出する滑り防止部としての壁部162と、各開口部161に位置する支持部としての倒れ防止リブ163,163とがそれぞれ設けられている。
各開口部161は、ユニット部114のフック部63が後方から前方へと挿通されるとともにカラー122が嵌着される位置決め孔で、ベースプレート128のケース体本体135を厚さ方向である前後方向に貫通して設けられている。この開口部161は、カラー122の外側面と接触する内面が後方から前方へと、すなわちフック部63の挿通方向に沿って徐々に縮径するように傾斜した截頭円錐面状(テーパ状)に形成されている。換言すれば、この開口部161は、ボス芯金109とベースプレート128との他方であるボス芯金109側に向けて拡開状となっている。また、各開口部161において、ワイヤ146,147の引っ掛け部153,153,159は、それぞれこれら開口部161の中心位置を通らないように配置されている。具体的に、側部固定部144,144の開口部161,161では、ワイヤ146の引っ掛け部153,153が、開口部161,161内の両側方向の中心側の下方に偏って、上側から下側へと外側方に傾斜して位置している。したがって、正面から見て、引っ掛け部153,153はハ字状に配置されている。また、下部固定部145の開口部161では、ワイヤ147の引っ掛け部159が開口部161の上方に偏って位置している。このため、各開口部161に挿通された各フック部63が、各引っ掛け部153により、これら引っ掛け部153と交差(直交)する方向である上側外側方に向けて付勢され、引っ掛け部159により、この引っ掛け部159と交差(直交)する方向である下方に向けて付勢されるようになっている。
壁部162は、ユニット部114(カラー122)がその軸方向(フック部63の軸方向)に対して交差(直交)する方向にずれないようにカラー122の周囲を保持するもので、開口部161の全周を囲む円筒状に形成されており、カラー122との当接面である内周面が開口部161の内面と連続している。この壁部162(内周面)は、開口部161の開口方向、すなわち、開口部161に対するフック部63の挿通方向である前後方向に沿って軸方向を有するように形成されている。
倒れ防止リブ163は、各ワイヤ146,147の付勢に対してフック部63を所定方向Xと交差(直交)する方向である軸直方向に支持するもので、各開口部161に対して、ワイヤ146,147の引っ掛け部153,153,159と反対側に配置されている。具体的に、各側部固定部144に配置された倒れ防止リブ163,163は、ワイヤ146の引っ掛け部153の方向に対して直交する方向、すなわちワイヤ146の引っ掛け部153による付勢方向に沿う方向の開口部161の中心線L2に対して、互いに略等しい鋭角(例えば20°〜70°の範囲)の位置に配置され、引っ掛け部153によるフック部63への付勢方向(荷重方向)に対向するように突出している(図10(b))。同様に、下部固定部145に配置された倒れ防止リブ163,163は、ワイヤ147の引っ掛け部159の方向に対して直交する方向、すなわちワイヤ147の引っ掛け部159による付勢方向に沿う開口部161の中心線L3に対して、互いに略等しい鋭角(例えば20°〜70°の範囲)の位置に配置され、引っ掛け部159によるフック部63への付勢方向(荷重方向)に対向するように突出している(図10(c))。また、各倒れ防止リブ163のフック部63に対向する先端部には、開口部161へのフック部63の挿入方向である下方へと、徐々に開口部161側(フック部63側)へ突出するように傾斜した傾斜部であるテーパ部163aが形成されている。このテーパ部163aは、ワイヤ146,147の引っ掛け部153,153,159の上端部から、引っ掛け部153,153,159の下端部よりも下方の位置まで連続して形成されている。すなわち、これらテーパ部163aは、ワイヤ146,147よりも下方の位置まで延びている。
各可動接点141は、ステアリングホイール本体96側に配置されたホーン機構の固定接点116と対向し、これら固定接点116とともにホーンスイッチを構成している。すなわち、可動接点141は、ベースプレート128のケース体本体135の両側部及び下部にそれぞれ位置している。
導電プレート142は、導電性の金属などによって板状に形成されている。なお、この導電プレート142は、ケース体本体135に爪などによって固定されていてもよいし、ベースプレート128を成形する際にインサート成形されて可動接点141を除く部分がケース体本体135に埋め込まれていてもよい。
側壁部136は、折り畳まれた状態のエアバッグ21を囲むもので、エアバッグ21の突出方向である所定方向Xに沿う方向に位置している。そして、この側壁部136の外部には、エアバッグカバー129を係合保持するための複数のフック165及び複数の係止受部166がそれぞれ設けられている。
一方、エアバッグカバー129は、絶縁性を有する合成樹脂にて一体に形成され、ステアリングホイール95の一部の正面側を覆うカバー本体としての表板部168と、この表板部168の背面側である前面側から角筒状に下方へと突設された取付壁部としての取付板部169とを備えている。
表板部168の背面である前面には、取付板部169に囲まれた位置に、厚さ寸法の小さい溝状の図示しないテアラインが例えば正面視で略H字状に形成されており、エアバッグ21の膨張時にこのテアラインに沿って開裂して展開するように構成されている。
取付板部169は、ベースプレート128の側壁部136の外方に位置するもので、この側壁部136の外形に沿って形成されている。さらに、取付板部169には、ベースプレート128のフック165がそれぞれ挿入係合される図示しない挿入開口部、及び、各係止受部166にそれぞれ係合される図示しない係止突起がそれぞれ設けられている。
そして、エアバッグ21の内側にリテーナ25を挿入し、このリテーナ25の取付ボルト25aを取付孔から引き出した状態で、エアバッグ21を所定の形状に折り畳む。さらに、折り畳んだエアバッグ21にエアバッグカバー129を被せるとともに、このエアバッグカバー129の取付板部169の挿入開口部及び係止突起を、ベースプレート128の側壁部136のフック165及び係止受部166に位置合わせしつつ、リテーナ25の取付ボルト25aを取付孔139に挿入しながらベースプレート128側へと押し込むことで、フック165が挿入開口部に挿入係止されるとともに、係止突起が係止受部166に挿入係止されて、エアバッグカバー129とベースプレート128とが互いにワンタッチで固定される(スナップイン)。
さらに、ベースプレート128の背面側に突出した取付ボルト25aに取付孔22cを挿入しながら、ベースプレート128の背面側からインフレータ22を組み合わせ、取付ボルト25aにナット25bを螺合して締め付ける。この状態で、インフレータ22のガス噴射口を設けたインフレータ本体部22aの正面側の部分が取付開口部138からエアバッグ21の内側に挿入され、エアバッグモジュール97が構成される。
一方、ステアリングホイール本体96には、ボス芯金109の各ユニット取付孔53に、予め組み立てたユニット部114をそれぞれ取り付けるとともに、カバー部を背面側から組み合わせ、カバー部を位置決めしつつステアリングホイール本体96に取り付ける。
ユニット部114は、このユニット部114の装着部材62をユニット取付孔53の内縁部に嵌着することで、ボス芯金109に対してフック部63及びカラー122が後方に突出し、カラー122と装着部材62との間にてフック部63の外周にコイルばね121が保持された状態で取り付けられる。
そして、このステアリングホイール本体96のボス112をステアリングシャフトに嵌着し、図示しないナットで締め付け固定する。
エアバッグモジュール97は、ステアリングホイール本体96に正面側から押し込むのみで、いわばワンタッチで取り付けられる。すなわち、エアバッグモジュール97は、ステアリングホイール本体96に正面側から押し込むと、各開口部161に位置するワイヤ146,147の引っ掛け部153,153,159に各ユニット部114のフック部63が係合し、両側及び下側の3カ所でエアバッグモジュール97がステアリングホイール本体96に係合して抜け止め支持される。
より詳細には、エアバッグモジュール97は、ボス芯金109に対向する位置にあるベースプレート128に開口された各開口部161を、ボス芯金109に取り付けられた各ユニット部114の各フック部63に対して位置合わせして押し込むと、各開口部161にこれら開口部161の拡開側であるボス芯金109側から挿通された各フック部63が、これら開口部161の後方に位置するワイヤ146,147の引っ掛け部153,153,159を、その付勢力に抗してフック本体69がエアバッグモジュール97を押し込む方向と交差(直交)する方向へと押圧して移動させる。そして、フック本体69が引っ掛け部153,153,159を通過すると、付勢部152,155による付勢によって引っ掛け部153,153,159が復帰変形し、各フック部63の接続部68の外周面側へと移動して各フック本体69の係合面69aに係合される。さらに、エアバッグモジュール97を充分に押し込むと、ユニット部114のカラー122が各開口部161の周囲に突出する壁部162によりガイドされて壁部162の内方から各開口部161へと押し込まれ、外側面が各開口部161の内面に当接するとともに、当接保持部125の外周面が壁部162の内周面に当接して開口部161及び壁部162内に嵌着されることで、エアバッグモジュール97が上下方向、左右方向及び前後方向に位置決めされた状態でベースプレート128に取り付けられる。そして、この状態で、各フック部63は、引っ掛け部153,153,159によって正面方向へとルーズに係合した状態となる。
さらに、各ユニット部114では、各コイルばね121がステアリングホイール本体96(ボス芯金109)側に固定された装着部材62と、エアバッグモジュール97(ベースプレート128)側に固定されたカラー122との間に支持され、これらコイルばね121の付勢力により、エアバッグモジュール97の各可動接点141がステアリングホイール本体96の各固定接点116から離間した状態で支持される。
また、例えばインフレータ22の接点部などに電気的な配線を行うことにより、エアバッグモジュール97を備えたステアリングホイール95がステアリングシャフトに取り付けられた状態で構成される。
すなわち、各カラー122によりエアバッグモジュール10がステアリングホイール本体96に対して位置決めされた状態で各フック部63がワイヤ146,147に対して所定方向Xに沿って所定距離D1移動可能に係合される、換言すれば、エアバッグモジュール97が、各フック部63が各ワイヤ146,147に対して上下方向にクリアランスを有した状態で、ステアリングホイール本体96に対してルーズに係止されているため、例えばアイドリング時のエンジンの振動や、悪路を走行したときの振動などがエアバッグ装置98に伝わった場合でも、フック部63(係合面69a)がワイヤ146,147に対して所定方向Xに離間されているので、これらの接触により生じる異音の発生を抑制できる。
また、各カラー122を各開口部161に所定方向Xに沿って挿入して固定することでエアバッグモジュール97をステアリングホイール本体96に位置決めし、ワイヤ146,147(ステアリングホイール本体96)に対して所定方向Xに離間された状態でルーズに係止されている各フック部63を位置決めに用いないので、エアバッグモジュール97をステアリングホイール96に対して所望の位置に確実に位置決めでき、例えばエアバッグカバー129をステアリングホイール本体96の各スポーク部103に対して、確実に面一に配置できる。
さらに、各フック部63と各ワイヤ146,147との間に所定方向Xに沿ってクリアランスを設けているので、各フック部63が各ワイヤ146,147により係止された後にエアバッグモジュール97をステアリングホイール本体96に対して各フック部63の各開口部161への挿入方向(反所定方向X)に沿ってストロークできる。このため、各フック部63が各ワイヤ146,147により係止された後に各カラー122が各開口部161に挿入されて固定される。すなわち、各カラー122が各開口部161に挿入されて固定される前に、各フック部63が各ワイヤ146,147により確実に係止されるので、各フック部63が各ワイヤ146,147により係止されないままエアバッグモジュール97がステアリングホイール本体96に位置決め固定されてしまうことを防止でき、エアバッグモジュール97のステアリングホイール本体96への組み付け不良を防止できる。
また、倒れ防止リブ163により、ワイヤ146,147の付勢に対してフック部63を所定方向Xと交差(直交)する軸直方向に支持するので、接続部68を介してワイヤ146,147の引っ掛け部89aによりフック部63が軸直方向に押圧されても、倒れ防止リブ163によってフック部63の倒れ、すなわちステアリングホイール本体96に対する相対的なエアバッグモジュール97の傾きを防止でき、エアバッグモジュール97をステアリングホイール本体96に対して所望の位置に、より確実に位置決めできる。
しかも、倒れ防止リブ163,163は、ワイヤ146,147の引っ掛け部153,153,159の付勢方向に対して略対称に配置しているので、引っ掛け部153,153,159からの軸直方向の付勢をより確実に受けることができ、フック部63の倒れをより確実に防止できる。
そして、各倒れ防止リブ163にテーパ部163aを設けることで、フック部63を開口部161から突出させる際にフック部63が倒れ防止リブ163に引っ掛かりにくく、エアバッグモジュール10をステアリングホイール本体96に取り付ける際のフック部63の開口部161への挿入力が緩和され、ステアリングホイール本体96に対して円滑に取り付けできる。
そして、このように構成されたステアリングホイール95は、運転席の乗員がリム部101を把持して回動することにより、走行時の操作が行われる。また、乗員が押動部を兼ねたエアバッグモジュール97のエアバッグカバー129を各コイルばね121の付勢力に抗して押動することにより、ステアリングホイール本体96(ボス芯金109)側に固定された各フック部63に対して各カラー122がエアバッグモジュール97と一体的に移動して、いずれかの可動接点141が固定接点116に接触すると、車体側のホーン装置が吹鳴される。
一方、車両の正面衝突などの際は、インフレータ22からエアバッグ21の内部にガスが急速に噴射されて、折り畳まれて収納されたエアバッグ21が急激に膨張する。すると、このエアバッグ21の膨張の圧力により、エアバッグカバー129がテアラインに沿って開裂してエアバッグ21の突出口が形成され、この突出口からエアバッグ21が突出して乗員の前方で膨張展開し、乗員を拘束して保護するようになっている。
なお、上記の一実施の形態において、ステアリングホイール95は、3本のスポーク部103を備えた構成に限られず、例えば2本や4本のスポーク部103を備えた構成などにも適用できる。
また、フック部63及びカラー122を含むユニット部27をエアバッグモジュール97に取り付けるとともに、これらに対応して開口部161及びワイヤ146,147をステアリングホイール本体96に配置して同様の作用効果を奏することができる。