JP2012066242A - ガス分離用ゼオライト膜複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の気体成分からなる気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離するガス分離用のゼオライト膜複合体1であって、該ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、セラミックス支持体上に形成されてなることを特徴とするガス分離用ゼオライト膜複合体1。耐薬品性、耐熱安定性等に優れ、気体の透過量が多く、高い分離係数、気体混合物の分離に優れた特性を持つゼオライト膜複合体1を提供できる。
【選択図】図2
Description
近年、これらの問題を解決すべく耐薬品性、耐酸化性、耐熱安定性、耐圧性が良好な種々の無機膜が提案されてきている。その中でもゼオライトは、サブナノメートルの規則的な細孔を有しているため、分子ふるいとしての働きをもつので選択的に特定の分子を透過でき、高分離性能を示すことが期待されている。
(1)複数の気体成分からなる気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離するガス分離用のゼオライト膜複合体であって、該ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、セラミックス支持体上に形成されてなることを特徴とするガス分離用ゼオライト膜複合体。
(2)ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍以上の値
を有するものである、上記(1)に記載のゼオライト膜複合体。
(3)ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の4倍以上の値を有す
るものである、上記(1)に記載のゼオライト膜複合体。
(4)ゼオライト膜が、アルカリ源として少なくともカリウム(K)を含む水熱合成用の反応混合物を用いて形成されたものである、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のゼオライト膜複合体。
(5)二酸化炭素ガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合のパーミエンスが1×10−9mol・(m2・s・Pa)−1以上である、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のゼオライト膜複合体。
(6)メタンガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合のパーミエンスが1×10−7mol・(m2・s・Pa)−1以下である、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のゼオライト膜複合体。
(7)二酸化炭素とメタンの混合ガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させ
た場合の分離係数が2以上である、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のゼオライト膜複合体。
(8)上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のゼオライト膜複合体に、複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、該気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離することを特徴とするガス分離方法。
(9)気体混合物が、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1-ブテン、2−ブテン、イソブテン
、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素及び水よりなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含むものである、上記(8)に記載の分離方法。
本発明のガス分離用ゼオライト膜複合体は、複数の気体成分からなる気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離するガス分離用のゼオライト膜複合体であって、該ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、セラミックス支持体上に形成されてなることに特徴を有するものである。なお、本明細書において、「セラミックス支持体」を単に「支持体」と略称することがある。
本発明において、ゼオライト膜複合体は、上記のとおり、複数の気体成分からなる気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離する膜分離手段として用いられるものである。気体成分、分離方法、分離性能などは、ゼオライト膜複合体の詳細を説明した後に、ガス分離および分離性能の項において説明する。
本発明において、ゼオライト膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤などを必要に応じ含んでいてもよい。
ゼオライト膜は、一部アモルファス成分などが含有されていてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。
ゼオライト膜を形成するゼオライトの粒子径は特に限定されないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透過選択性などを低下させる傾向がある。それ故、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに、ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合がより好ましい。ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなる。後に述べる水熱合成で得られたゼオライト膜は、ゼオライトの粒子径と膜の厚さが同じになる場合があるので好ましい。
本発明において、ゼオライト膜を構成するゼオライトはCHA型アルミノ珪酸塩である。
本発明において用いられるアルミノ珪酸塩は、SiとAlの酸化物を主成分とするものであり、本発明の効果を損なわない限り、それ以外の元素が含まれていてもよい。
本発明において用いられるアルミノ珪酸塩のSiO2/Al2O3モル比は 、特に限
定されるものではないが、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。上限は、通常Alが不純物程度の量であり、SiO2/Al2O3モル比としては10万以下である。SiO2/Al2O3モル比が前記下限未満ではゼオライト膜の緻密性が低下する場合があり、また耐久性が低下する傾向がある。SiO2/Al2O3モル比は、後に述べる水熱合成の反応条件により調整することができる。
なお、SiO2/Al2O3モル比は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
本発明において、CHA型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出
するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは0.38×0.38nmの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
ここで、フレームワーク密度(T/nm3)とは、ゼオライトのnm3(1000Å3)あたりの、骨格を構成する酸素以外の元素(T元素)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトの構造との関係はATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001 ELSEVIERに示されている。
セラミックス支持体は、その表面などにゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的
安定性がある多孔質の無機物質であれば如何なるものであってもよい。具体的には、例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体などが挙げられる。
さらに、アルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含むセラミックス支持体は、支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、支持体とゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなるのでより好ましい。
本発明において、セラミックス支持体の表面などにゼオライト膜を形成、好ましくはゼオライトを膜状に結晶化させる。
また、支持体の細孔径は特に制限されず、また特に制御する必要は無いが、気孔率は、通常20%以上60%以下であることが好ましい。気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限超過では支持体の強度が低下する傾向がある。
ゼオライト膜複合体とは、支持体の表面などにゼオライトが膜状に固着しているものであり、場合によっては、ゼオライトの一部が、支持体の内部にまで固着している状態のものが好ましい。
ゼオライト膜複合体としては、支持体の表面などにゼオライトを水熱合成により膜状に結晶化させたものが好ましい。
であることが好ましい。
ここで、ピークの強度とは、測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(
2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表
されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比A」 ということがある。)でいえば、
通常0.5以上、好ましくは0.8以上である。上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
あることが好ましい。
(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で
表されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比B」ということがある。)でいえば、通常4以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、特に好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
ここで、2θ=17.9°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち17.9°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
2θ=9.6°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち9.6°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
X線回折パターンで2θ=9.6°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
また、X線回折パターンで2θ=17.9°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
X線回折パターンで2θ=20.8°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
(1,0,0)面由来のピークの強度と(2,0,−1)の面に由来のピーク強度の典型的な比(ピーク強度比B)は、COLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによれば2.5である。
そのため、この比が0.5以上であるということは、例えば、CHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
CHA型ゼオライト結晶が配向して成長している緻密なゼオライト膜は、次に述べる通り、ゼオライト膜を水熱合成法により形成する際に、例えば、特定の有機テンプレートを用い、水性反応混合液中にK+イオンを共存させることにより達成することができる。
本発明において、ゼオライト膜の製造方法は、ゼオライトを含む膜が形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、(1)支持体上にゼオライトを膜状に結晶化させる方法、(2)支持体にゼオライトを無機バインダー、あるいは有機バインダーなどで固着させる方法、(3)ゼオライトを分散させたポリマーを固着させる方法、(4)ゼオライトのスラリーを支持体に含浸させ、場合によっては吸引させることによりゼオライトを支持体に固着させる方法などの何れの方法も用いることができる。
具体的には、例えば、組成を調整して均一化した水性反応混合物を、支持体を内部に緩やかに固定した、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器に入れて密閉して、一定時間加熱す
ればよい。
水性反応混合物に用いるSi元素源としては、例えば、無定形シリカ、コロイダルシリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミのシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等を用いることができる。
ゼオライトの結晶化において、必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)を用いることができるが、有機テンプレートを用いて合成したものが好ましい。有機テンプレートを用いて合成することにより、結晶化したゼオライトのアルミニウム原子に対するケイ素原子の割合が高くなり、結晶性が向上する。
有機テンプレートとしては、通常、アミン類、4級アンモニウム塩類が用いられる。例えば、米国特許第4544538号明細書、米国特許公開第2008/0075656号明細書に記載の有機テンプレートが好ましいものとして挙げられる。
1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンを有機テンプレートとしたとき、緻密な膜を形成しうるCHA型ゼオライトが結晶化する。
また、その他の有機テンプレートとしては、N,N,N−トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンも用いることができる。この場合もアルキル基は、それぞれ独立したアルキル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で、最も好ましい化合物は、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。
水性反応混合物に用いるアルカリ源としては、有機テンプレートのカウンターアニオンの水酸化物イオン、NaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)2などの
アルカリ土類金属水酸化物などを用いることができる。
アルカリの種類は特に限定されず、通常Na、K、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Ba、好ましくはNa、K、より好ましくはKである。また、アルカリは2種類以上を併用してもよく、具体的には、NaとK、あるいはLiとKを併用するのが好ましい。
SiO2/Al2O3比は特に限定されないが、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上である。また、通常10万以下である。
SiO2/Al2O3比がこの範囲にあるとき、緻密な膜を形成しうるCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを結晶化させることができる。
CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト膜を形成する際、アルカリ金属の中でカリウム(K)が含まれる場合がより緻密で結晶性の高い膜を生成させるという点で好ましい。その場合のKと、Kを含むすべてのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属とのモル比は、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上であり、上限は通常1以下である。
水性反応混合物中の物質のモル比がこれらの範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生成しうる。水の量は緻密なゼオライト膜の生成においてとくに重要であり、粉末合成法の一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが細かい結晶が生成して緻密な膜
ができやすい傾向にある。
種結晶の粒子径は小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いても良い。粒径は、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上であり、通常5μm以下、好ましくは、3μm以下、より好ましくは2μm以下である。
支持体上に予め付着させておく種結晶の重量は特に限定されず、基材1m2あたりの重量で、通常0.01g以上、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、通常100g以下、好ましくは50g以下、より好ましくは10g以下、更に好ましくは8g以下である。
合や、膜の成長が不均一になったりする傾向がある。また、種結晶の量が上限を超える場合には、表面の凹凸が種結晶によって増長されたり、支持体表面から落ちた種結晶によって自発核が成長しやすくなって支持体上の膜成長が阻害されたりする場合がある。何れの場合も、緻密なゼオライト膜が生成しにくくなる傾向となる。
ゼオライト膜を形成させる際の温度は特に限定されないが、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。反応温度が低すぎると、ゼオライトが結晶化し難くなることがある。また、反応温度が高すぎると、本発明におけるゼオライトとは異なるタイプのゼオライトが生成し易くなることがある。
水熱合成により得られたゼオライト膜複合体は、水洗した後に、加熱処理して、乾燥させる。ここで、加熱処理とは、熱をかけてゼオライト膜複合体を乾燥又はテンプレートを使用した場合にテンプレートを焼成することを意味する。
水熱合成を有機テンプレートの存在下で行った場合、得られたゼオライト膜複合体を、水洗した後に、例えば、加熱処理や抽出などにより、好ましくは加熱処理、すなわち焼成により有機テンプレートを取り除くことが適当である。
かれる時間であれば特に限定されず、好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上である。上限は特に限定されず、例えば、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは100時間以内、特に好ましくは24時間以内である。焼成は空気雰囲気で行えばよいが、酸素を付加した雰囲気で行ってもよい。
また、焼成後の降温速度もゼオライト膜に亀裂が生じることを避けるためにコントロールする必要がある。昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。降温速度は、通常5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
加熱処理後のゼオライト膜複合体の空気透過量は、通常1400L/(m2・h)以下、好ましくは1000L/(m2・h)以下、より好ましくは700L/(m2・h)以下、より好ましくは600L/(m2・h)以下、さらに好ましくは500L/(m2・h)以下、特に好ましくは300L/(m2・h)以下、もっとも好ましくは200L/(m2・h)である。透過量の下限は特に限定されないが、通常0.01L/(m2・h)以上、好ましくは0.1L/(m2・h)以上、より好ましくは1L/(m2・h)以上である。
かくして製造されるゼオライト膜複合体は、優れた特性をもつものであり、本発明におけるガス分離用の膜分離手段として好適に用いることができる。
本発明のガス分離方法は、上記ゼオライト膜複合体に、複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、該気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離することに特徴を有するものである。
本発明におけるゼオライト膜の分離機能の一つは、分子ふるいとしての分離であり、用いるゼオライトの有効細孔径以上の大きさを有する気体分子とそれ以下の気体分子とを好適に分離することができる。
ゼオライトの有効細孔径は導入する金属種やイオン交換、酸処理、シリル化などによって制御することが可能である。有効細孔径を制御することによって、分離性能を向上させることも可能である。
また酸処理によって、導入されている金属を骨格から脱離することによって、細孔径が影響される場合がある。
また、本発明のゼオライト複合膜のもうひとつの分離機能は、ゼオライトの表面物性の制御により気体分子のゼオライト膜への吸着性を制御することである。すなわち、ゼオライトの極性を制御することによりゼオライトへの吸着性の大きな分子を透過させやすくすることもできる。
またGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、ZnをAl元素源以外に他の元素源にいれて、極性を制御することも可能である。
本発明において、望ましい気体混合物としては、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ブテン、2-ブテン、イソブテン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素、水な
どから選ばれる少なくとも1種の成分を含むものが挙げられる。前記ガスを含む気体混合物の成分のうち、パーミエンスの高い気体成分は、ゼオライト膜複合体を透過し分離され、パーミエンスの低い気体成分は供給ガス側に濃縮される。
ガス分離の条件は、対象とするガス種や組成、膜の性能により異なるが、温度は、通常0〜300℃、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは室温〜150℃である。
供給ガスの圧力は特に制限されないが、通常大気圧若しくは大気圧より大きく、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは、0.11MPa以上である。また、通常上限値は20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは1MPa以下である。
ここで差圧とは、当該ガスの供給側の分圧と透過側の分圧の差をいう。尚、本発明における圧力[Pa]は、特に断りのない限り、絶対圧を指す。
スイープガスの圧力は、通常大気圧であるが特に制限はなく、好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下、更に好ましくは1MPa以下であり、下限は、好ましくは0.09MPa以上、より好ましくは、0.1MPa以上である。場合によっては、減圧にして用いても良い。
ガス分離に用いる装置は、特に限定されないが、通常はモジュールにして用いる。膜モジュールは、例えば、図1及び2に示したような装置でもよいし、され「ガス分離・精製技術」(株)東レリサーチセンター2007年発行22頁に例示されている膜モジュールを用いてもよい。
本発明におけるゼオライト膜複合体は、耐薬品性、耐酸化性、耐熱安定性、耐圧性に優れかつ、高い透過性能、分離性能を発揮し、耐久性に優れた性能を持つ。特に無機ガス、低級炭化水素の分離に優れた分離性能を示す。
ここでいう高い透過性能とは、十分な処理量を示し、例えば、膜を透過する気体成分のパーミエンス(Permeance)[mol・(m2・s・Pa)−1]が、例えば二酸化炭素を、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合、通常1×10−9以上、好ましくは5×10−8以上、より好ましくは1×10−7以上であり、上限は特に限定されず、通常1×10−4以下である。
ここで、パーミエンス(Permeance)とは、透過する物質量を、膜面積と時間と透過する物質の供給側と透過側の分圧差の積で割ったものであり、単位は、[mol・(m2・s・Pa)−1]であり、実施例の項において述べる方法により算出される値で
ある。「透過度」ともいうことがある。
分離係数は、例えば、二酸化炭素とメタンの体積比1:1の混合ガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合、通常2以上、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、特に好ましくは50以上である。分離係数の上限は完全に二酸化炭素しか透過しない場合でありその場合は無限大となるが、実用上、分離係数は10万程度以下となる場合がある。
二酸化炭素分離技術としては、天然ガスからの二酸化炭素の除去、生活系廃棄物などの有機物の埋め立てにより発生するランドファィルガス(メタン約60%、二酸化炭素40%、微量の窒素、水蒸気含有)からの二酸化炭素除去等が挙げられる。
(1)X線回折(XRD)
XRD測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:オランダPANalytical社製X’PertPro MPD
・光学系仕様 入射側:封入式X線管球(CuKα)
Soller Slit (0.04rad)
Divergence Slit (Valiable Slit)
試料台:XYZステージ
受光側:半導体アレイ検出器(X’ Celerator)
Ni−filter
Soller Slit (0.04rad)
ゴニオメーター半径:240mm
・測定条件 X線出力(CuKα):45kV、40mA
走査軸:θ/2θ
走査範囲(2θ):5.0−70.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.05°
計数時間:99.7sec
自動可変スリット(Automatic−DS):1mm(照射幅)
横発散マスク:10mm(照射幅)
なお、X線は円筒管の軸方向に対して垂直な方向に照射した。またX線は、できるだけノイズ等がはいらないように、試料台においた円筒管状の膜複合体と、試料台表面に平行な面とが接する2つのラインのうち、試料台表面に接するラインではなく、試料台表面より上部にあるもう一方のライン上に主にあたるようにした。
リット→固定スリット変換を行ってXRDパターンを得た。
(2)SEM−EDX
・装置名:SEM:FE−SEM Hitachi:S−4800
EDX:EDAX Genesis
・加速電圧:10kV
倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行った。
SEM測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:SEM:FE−SEM Hitachi:S−4100
・加速電圧:10kV
(4)空気透過量
大気圧下で、ゼオライト膜複合体の一端を封止し、他端を、気密性を保持した状態で5kPaの真空ラインに接続して、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターでゼオライト膜複合体を透過した空気の流量を測定し、空気透過量[L/(
m2・h)]とした。マスフローメーターとしてはKOFLOC社製8300、N2ガス
用、最大流量500ml/min(20℃、1気圧換算)を用いた。KOFLOC社製8
300においてマスフローメーターの表示が10ml/min(20℃、1気圧換算)以
下であるときはLintec社製MM−2100M、Airガス用、最大流量20ml/
min(0℃、1気圧換算)を用いて測定した。
単成分ガス透過試験は、図1、または図2に模式的に示す装置を用いて、以下のとおり行った。用いた試料ガスは、二酸化炭素(純度99.9%、高圧ガス工業社製)、メタン(純度99.999%、ジャパンファインプロダクツ製)、水素(純度99.99%以上、HORIBA STEC製水素発生器OPGU−2200より発生)、窒素(純度99.99%、東邦酸素工業製)、ヘリウム(純度99.99、ジャパンヘリウムセンター製)
である。
円筒形のゼオライト膜複合体1の一端は、円柱状のエンドピン3で密封されている。他端は接続部4で接続され、接続部4の他端は、耐圧容器2と接続されている。円筒形のゼオライト膜複合体の内側と、透過ガス8を排出する配管11が、接続部4を介して接続されており、配管11は、耐圧容器2の外側に伸びている。耐圧容器2には、試料ガスの供給側の圧力を測る圧力計5が接続されている。各接続部は気密性よく接続されている。
図2において、円筒形のゼオライト膜複合体1は、ステンレス製の耐圧容器2に格納された状態で、恒温槽(図示せず)に設置されている。恒温槽には、試料ガスの温度調整が可能なように、温度制御装置が付設されている。
円筒形のゼオライト膜複合体1の一端は、円形のエンドピン3で密封されている。他端は、接続部4で接続され、接続部4の他端は耐圧容器2と接続されている。円筒形のゼオライト膜複合体の内側と透過ガス8を排出する配管11が、接続部4を介して接続されており、配管11は、耐圧容器2の外側に伸びている。また、ゼオライト膜複合体1には、配管11を経由して、スイープガス9を供給する配管12が挿入されている。さらに、耐圧容器2には、試料ガスの供給側の圧力を測る圧力計5、供給側の圧力を調整する背圧弁6が接続されている。各接続部は気密性よく接続されている。
図2の装置において、単成分ガス透過試験を行う場合は試料ガス(供給ガス7)を、一定の流量で耐圧容器2とゼオライト膜複合体1の間に供給し、背圧弁6により供給側の圧力を一定とする。配管11から排出される排出ガスの流量を測定する。
さらに具体的には、水分や空気などの成分を除去するため、測定温度以上での乾燥、及び、排気若しくは使用する供給ガスによるパージ処理をした後、試料温度及びゼオライト膜複合体1の供給ガス7側と透過ガス8側の差圧を一定として、透過ガス流量が安定したのちに、ゼオライト膜複合体1を透過した試料ガス(透過ガス8)の流量を測定し、ガスのパーミエンス[mol・(m2・s・Pa)−1]を算出する。パーミエンスを計算する際の圧力は、供給ガスの供給側と透過側の圧力差(差圧)を用いる。
α=(Q1/Q2)/(P1/P2) (1)
〔式(1)中、Q1およびQ2は、それぞれ、透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの透過量[mol・(m2・s)−1]を示し、P1およびP2は、それぞれ、供給ガスである透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの圧力[Pa]を示す。〕
(6)混合ガス透過試験
ゼオライト膜複合体の混合ガス透過試験は、図2に模式的に示す装置を用いて、以下のとおり行った。用いた試料ガスは、二酸化炭素(純度99.9%、高圧ガス工業社製)、メタン(純度99.999%、ジャパンファインプロダクツ製)、水素(純度99.99%以上、HORIBA STEC製水素発生器OPGU−2200より発生)、窒素(9
9.99%、東邦酸素工業製)である。流量制御機器を用いて所定の割合で混合したガスを供給した。
図2の装置において、試料ガス(供給ガス7)を、一定の流量で耐圧容器2とゼオライト膜複合体1の間に供給し、背圧弁6により供給側の圧力を一定とする。配管11から排出される排出ガスの流量を測定するとともに、排出ガスを分取してガスクロマトグラフによる成分分析を行う。スイープガスを使用する場合はスイープガス9を配管12から、ゼオライト膜複合体1の内側に流し、配管11から排出される排出ガス(スイープガス9の排出ガス及び同伴された透過ガス8)の流量を測定するとともに、排出ガスを分取してガスクロマトグラフによる成分分析を行う。
上記測定結果に基づき、分離係数α’を下記式(2)により算出する。
α’=(Q’1/Q’2)/(P’1/P’2) (2)
〔式(2)中、Q’1およびQ’2は、それぞれ、透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの透過量[mol・(m2・s)−1]を示し、P’1およびP’2は、それぞれ、供給ガス中の透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの分圧[Pa]を示す。〕
また分離性能を表す指標としてパーミエンス比を用いる場合もある。パーミエンス比は透過性の低いガスのパーミエンスに対する透過性の高いガスのパーミエンスの比率であり、下記式(3)により算出する。
パーミエンス比=パーミエンス1/パーミエンス2 (3)
〔式(3)中、パーミエンス1およびパーミエンス2は、それぞれ、透過性の高いガスおよび透過性の低いガスのパーミエンス[mol・(m2・s・Pa)−1]を示す。〕
混合ガス透過試験におけるパーミエンスは、供給側のガスの各成分の分圧と、透過側のガスの各成分の分圧との差を圧力差として、各ガスの面積当たり、時間当たりの透過量を圧力差で割ることで算出される。具体的には下記式(4)により算出することができる。パーミエンス=Q/(P(供給)−P(透過))
〔式(4)中、Qは算出しようとするガス成分の透過量[mol・(m2・s)−1]を示し、P(供給)およびP(透過)は、それぞれ供給ガス中の算出しようとするガスの分圧[Pa]、および透過ガス中の算出しようとするガスの分圧[Pa]を示す。〕
混合ガス透過試験における各ガス成分の透過量は、全体の透過量を流量計にて測定し、また透過ガスのガス組成をガスクロマトグラフィーで測定して、全体の透過量と組成から算出した。
(1)CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト膜複合体の作製
セラミックス支持体上にCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを直接水熱合成することによりセラミックス支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
水熱合成用の反応混合物は次のとおり調製した。
セラミックス支持体としては、ニッカトー社製のムライトチューブPM(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。
この種結晶を約1質量%水中に分散させたものに、上記支持体を所定時間浸した後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は約0.9g/m2であった。
筒(200ml)に垂直方向に浸漬して、オートクレーブを密閉し、160℃で48時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。
この膜複合体を、空気中、電気炉で、550℃、10時間焼成した。このときの昇温速度と降温速度はともに0.5℃/分とした。焼成後の膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は154g/m2であった。
生成したゼオライト膜のXRDパターンを図3のa)に示す。図中の*は支持体由来のピークである。XRD測定からCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。
粉末のCHA型ゼオライト(米国特許第4544538号明細書においてSSZ−13と一般に呼称されるゼオライト、以下これを「SSZ−13」と称する。)のXRDパターンを図3のb)に示す。
粉末のCHA型ゼオライトであるSSZ−13の(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.2に対し、生成したゼオライト膜
の(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)
=3.5であり、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面
への配向が推測された。
また、SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は17であった。
(2)単成分ガス透過試験
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体の単成分ガス透過性を、図1の装置を用いて検討した。評価したガスは二酸化炭素、メタンである。
その結果、供給ガスとして、二酸化炭素を用いた際のパーミエンスは3.47×10−7mol・(m2・s・Pa)−1、メタンを用いた際のパーミエンスは3.9×10−9mol・(m2・s・Pa)−1であった。また、二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは89であった。
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体の混合ガス透過性を、図2の装置を用いて検討した。
供給ガスには流量調整機器で二酸化炭素49体積%、メタン51体積%に調整した混合
ガスを使用した。上記混合ガスを供給ガス7として、耐圧容器2とゼオライト膜複合体1との円筒の間に12mmol/minの流量で導入して、供給ガス圧力を0.1994MPaに保ち、スイープガス(窒素ガス)を4.5mmol/min(0.05mol/(m2・s)流した。この状態で、ゼオライト膜複合体1を140℃として乾燥(前処理)したのち、50℃とし、40分以上放置して、温度、供給ガス側の圧力、透過したガス速度を定常状態とした。
二酸化炭素の透過量は14.4mmol・(m2・s)−1、メタンの透過量は0.205mmol・(m2・s)−1であった。また、二酸化炭素とメタンの分離係数α’は73であった。
(1)CHA型ゼオライト膜複合体の作製
セラミックス支持体上にCHA型ゼオライトを直接水熱合成することによりセラミックス支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
水熱合成用の反応混合物は次のとおり調製した。
上記反応混合物を用い、焼成温度を450℃とした以外は、実施例1と同様にして、CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
XRD測定からCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。また、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=1.2であ
り、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推
測された。
また、SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は22であった。
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、単成分ガス透過試験を行った。評価したガスは二酸化炭素、メタンである。
二酸化炭素のパーミエンスは3.50×10−7mol・(m2・s・Pa)−1、メタンのパーミエンスは2.46×10−9mol・(m2・s・Pa)−1、二酸化炭素
とメタンの理想分離係数αは142であった。
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、混合ガス透過試験を行った。
二酸化炭素の透過量は16.5mmol・(m2・s)−1、メタンの透過量は0.132mmol・(m2・s)−1、二酸化炭素とメタンの分離係数α’は130であった。
焼成温度を500℃とした以外は、実施例2と同様にして作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いて、供給ガスの圧力を0.2975MPaとした以外は、実施例2と同様にして、混合ガス透過試験を行った。評価したガスは二酸化炭素、メタンである。
二酸化炭素の透過量は25.0mmol・(m2・s)−1、メタンの透過量は0.191mmol・(m2・s)−1、二酸化炭素とメタンの分離係数α’は136であった。
(1)単成分ガス透過試験
焼成温度を500℃とした以外は、実施例2と同様にして作成したCHA型ゼオライト膜複合体の単ガス成分透過性を、図2の装置を用いて評価した。評価したガスは二酸化炭素、メタン、水素、窒素、ヘリウムである。
その後、供給側の圧力を0.200MPaとし、供給ガスを各評価ガスに変更した。このとき、ゼオライト膜複合体1の供給ガス7側と透過ガス8側の差圧は、0.100MPaであった。
このようにして得られた各ガスのパーミエンスを表1に示す。50℃での二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは783、水素とメタンの理想分離係数αは264、窒素とメタンの理想分離係数αは48であり、また140℃での二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは171、水素とメタンの理想分離係数αは94、窒素とメタンの理想分離係数αは12であった。
(2)混合ガス透過試験1
供給ガスとして流量調整機器で二酸化炭素75体積%、メタン25体積%に調整した混合ガスを使用した。図2の耐圧容器とゼオライト膜複合体1との円筒の間に40、24、8mmol/minの流量で導入して、供給ガス圧力を0.300MPaとした。二酸化炭素、およびメタンの分圧は、それぞれ0.225MPaおよび0.0750MPaである。またゼオライト膜複合体1の円筒の内側は0.100MPaである。
供給ガスには流量調整機器で水素28体積%、メタン72体積%に調整した混合ガスを使用した。恒温槽を50℃とし、図2の耐圧容器とゼオライト膜複合体1との円筒の間に45、27、9mmol/minの流量で導入して、供給ガス圧力を0.300MPaとした。水素、およびメタンの供給ガス7側の分圧は、それぞれ、0.112MPaおよび0.288MPaである。またゼオライト膜複合体1の円筒の内側は0.100MPaである。
供給ガスには窒素55%、一酸化炭素30%、水素15%の標準ガスを使用した。恒温槽を50℃とし、図2の耐圧容器とゼオライト膜複合体1との円筒の間に27mmol/minの流量で導入して、供給ガス圧力を0.300MPaとした。
窒素、一酸化炭素、メタンの供給ガス7側の分圧は、それぞれ、0.166MPa、0.0900MPaおよび0.0440MPaである。またゼオライト膜複合体1の円筒の内側は0.100MPaである。
供給ガスには空気を使用した。恒温槽は50℃とし、図2の耐圧容器とゼオライト膜複合体1との円筒の間に27mmol/minの流量で導入して、供給ガス圧力を0.300MPaとした。
窒素、酸素の透過量はそれぞれ5.2mmol・(m2・s)−1、1.9mmol・(m2・s)−1、であり、酸素と窒素の分離係数α’は1.4、パーミエンス比は1.6であった。結果を表5に示す。
(1)CHA型ゼオライト膜複合体の作製
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製し、焼成温度を500℃とした以外は実施例1と同様に無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
水熱合成用の反応混合物は1mol/L−KOH水溶液14.0gと水104.0gを混合したものに水酸化リチウム一水和物0.29gと水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)1.33gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これにTMADAOH水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.37gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌して調製した。
焼成後のゼオライト膜複合体の重量と支持体の重量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/m2であった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。 XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.
8°付近のピークの強度)=0.8であり、種結晶に用いた粉末のCHA型ゼオライトのXRDに比べ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きく、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
また、SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は19であった。
(2)単成分ガス透過試験
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、単成分ガス透過試験を行った。評価したガスは二酸化炭素、メタンである。。
(実施例6)
(1)CHA型ゼオライト膜複合体の作製
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製して、160℃静置状態、自生圧力下での加熱時間を5日間、焼成温度を500℃とした以外は実施例1と同様に無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
焼成後のゼオライト膜複合体の重量と支持体の重量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は330g/m2であった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。 XRDパターンにおいて、(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=1.5、2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ
=20.8°付近のピークの強度)=0.3であった。このように、生成した膜のXRD
ピークに特異な強度を示すものはなかった。これから例えば、生成した膜がrhombohedral settingにおける(1,0,0)面、(1,1,1)面のいずれに
も配向していないことが推測される。
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして、単成分ガス透過試験を行った。
二酸化炭素のパーミエンスは9.29×10−7mol・(m2・s・Pa)−1、メタンのパーミエンスは1.27×10−9mol・(m2・s・Pa)−1、二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは7.3であった。
セラミックス支持体として、80mmの長さの多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を使用し、焼成温度を500℃とした以外は実施例2と同様に無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
焼成後のゼオライト膜複合体の重量と支持体の重量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は157g/m2であった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRDパターンにおいて、XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=2.0であり、種結晶に用いた粉末
のCHA型ゼオライトのXRDに比べ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きく、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いて、単成分ガス透過試験を行った。前処理として、ゼオライト膜複合体を、140℃で、供給ガス7としてCO2を、耐圧容器2とゼオライト膜複合体1との円筒の間に導入して、圧力を0.200MPaに保ち、ゼオライト膜複合体1の円筒の内側を0.098MPa(大気圧)として、70分間乾燥した。それ以外は実施例4と同様にして、単成分ガス透過試験を行った。評価したガスは
二酸化炭素、メタン、水素、窒素、ヘリウムである。
セラミックス支持体上にMFI型ゼオライトを直接水熱合成することによりセラミックス支持体−MFI型ゼオライト膜複合体を作製した。
水熱合成用の反応混合物は次のとおり調製した。
水118gに有機テンプレートとして、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TPAOH」と称する。)水溶液(TPAOH 40質量%含有、セイケム社製)4.1gを加え、さらにテトラエトキシシラン(以下これを「TEOS」と称する。)9.9gを加えて2時間撹拌し、水性反応混合物とした。
セラミックス支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。
種結晶として、SiO2/NaOH/TPAOH/H2O=1/0.1/0.1/40
のゲル組成(モル比)で、160℃、1日間水熱合成して結晶化させたものを、ろ過、水洗、乾燥して得られたMFI型ゼオライトを用いた。
種結晶を付着させた支持体を、上記水性反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(200ml)に垂直方向に浸漬して、オートクレーブを密閉し、160℃で48時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。
度と降温速度はともに0.5℃/分とした。焼成後の膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したMFI型ゼオライトの質量は85g/m2であった。
XRD測定からMFI型ゼオライトが生成していることがわかった。
(2)単成分ガス透過試験
上記で作製したMFI型ゼオライト膜複合体を用いた以外は、実施例7と同様にして、単成分ガス透過試験を行った。評価したガスは二酸化炭素、メタン、水素、窒素、ヘリウムである。
2:耐圧容器
3:エンドピン
4:接続部
5:圧力計
6:背圧弁
7:供給ガス
8:透過ガス
9:スイープガス
10:排出ガス
11:透過ガス排出用配管
12:スイープガス導入用配管
Claims (9)
- 複数の気体成分からなる気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離するガス分離用のゼオライト膜複合体であって、該ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、セラミックス支持体上に形成されてなることを特徴とするガス分離用ゼオライト膜複合体。
- ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍以上の値を有
するものである、請求項1に記載のゼオライト膜複合体。 - ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の4倍以上の値を有するも
のである、請求項1に記載のゼオライト膜複合体。 - ゼオライト膜が、アルカリ源として少なくともカリウム(K)を含む水熱合成用の反応混合物を用いて形成されたものである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
- 二酸化炭素ガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合のパーミエンスが1×10−9mol・(m2・s・Pa)−1以上である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
- メタンガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合のパーミエンスが1×10−7mol・(m2・s・Pa)−1以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
- 二酸化炭素とメタンの混合ガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合の分離係数が2以上である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体に、複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、該気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離することを特徴とするガス分離方法。
- 気体混合物が、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1-ブテン、2−ブテン、イソブテン、六
フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素及び水よりなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含むものである、請求項8に記載の分離方法。
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