JP2012064378A - 有機電子パネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布技術により無機バリア層を無機材料で貼合した有機電子パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】基材11上に少なくとも一層の無機バリア層12を有するバリア性フィルム20を用いて有機電子デバイス10を封止する有機電子パネル30の製造方法であって、該無機バリア層を無機接着剤層15を介して貼合し、該無機接着剤層が塗布により形成されたことを特徴とする有機電子パネルの製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機電子パネルの製造方法に関し、特にバリア性フィルムを用い、無機接着剤で封止された有機電子パネルの製造方法に関する。
従来から、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品、例えば、食品、工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
また、包装用途以外にも液晶表示素子、光電変換素子(太陽電池)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子等の有機電子デバイス基板として使用されている。
これらの有機電子デバイスは水分や酸素によって著しくその機能が低下するという問題がある。そこで、これらの有機電子デバイスを水分、酸素等の外気から遮断し、封止する技術が提案されている。
例えば、これらの電子デバイスの表面を硬化性樹脂接着剤層で覆う技術、或いはバリア性フィルムで覆い、端部を樹脂接着剤で封止する技術が開示されている。しかしながら、有機材料での封止には限界があり、更なる高いレベルでの封止技術が望まれている。
更に高い封止技術の一つとして、特許文献1には、素子形成基板上に形成された有機EL素子の表面を一酸化ケイ素を含有する無機保護膜で被服し、更にその上を有機接着剤層で被服するという技術が開示されている。
しかし、特許文献1に記載の一酸化ケイ素被膜を形成する方法は、真空蒸着法といった高真空の大型装置を必要とするものであり、又、素子表面全体を均一に保護被膜で覆うこと自身が技術的に難しいという問題であった。
又、特許文献2には、有機EL素子基板とバリア性フィルムを貼り合せて封止する方法として、素子基板とバリア性フィルムの両方に、有機EL素子周縁部に無機光吸収層と低融点金属層から成る無機層を積層し、素子基板とバリア性フィルム層を対向させて低融点金属層同士を接触させ、光照射することにより、光吸収層が発熱して低融点金属層を溶融させることにより封止するという方法が開示されている。
これらの先行文献に記載された方法は、有機電子デバイスの周縁を、無機バリア層で覆う方法であるが、何れのバリア層の形成は真空蒸着法やスパッタリング法といった大型、高真空設備を必要とするものであり、製造設備にコストが掛かるものであった。
また、無機バリア層が金属の場合、リード部の絶縁が問題となり、一部樹脂材料による封止部分が発生するという問題があった。
そこで、高い封止能力を有する無機材料を用いて、低コストで容易な方法による封止技術が望まれていた。
特許3354444号 特開2008−249839号公報
上記先行技術はいずれも、有機電子デバイスを封止する際に、無機バリア層を用いて有機電子デバイスを封止する方法であるが、高真空の製造設備を用いるものであり、生産設備にコストが掛かる方法であった。本発明の目的は、無機バリア層を塗布技術によりを無機接着剤層を介して貼合する方法を提供しようとするものである。
上記課題は以下の本発明の構成により達成することができた。
1.基材上に少なくとも一層の無機バリア層を有するバリア性フィルムを用いて有機電子デバイスを封止する有機電子パネルの製造方法であって、該無機バリア層を無機接着剤層を介して貼合し、該無機接着剤層が塗布により形成されたことを特徴とする有機電子パネルの製造方法。
2.前記無機接着剤層がケイ素系化合物を含むことを特徴とする前記1に記載の有機電子パネルの製造方法。
3.前記無機接着剤層が、ポリシラザンを含む液体を塗布、改質処理により形成されたことを特徴とする前記2に記載の有機電子パネルの製造方法。
4.前記無機バリア層が、ケイ素系有化合物を含むことを特徴とする前記3に記載の有機電子パネルの製造方法。
本発明は、無機バリア層を、好ましくはケイ素系無機接着剤層で貼合し、実質的に有機電子デバイスを無機バリア層で包み込む構造とする有機電子パネルの製造方法であり、該方法により有機電子デバイスを外気からバリアする機能を飛躍的に向上することができる。
有機電子デバイスの基本的構成の概略断面図である。 本発明に用いられるバリア性フィルムの層構成を示す概略断面図である。 本発明により形成された有機電子パネルの例を示す概略断面図である。
以下、本発明の構成要素、および本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
(有機電子デバイスおよび有機電子パネルについて)
本発明においては、有機電子デバイスとは、素子基板上に対向する二つの電極とその間に少なくとも有機機能層が形成された素子(デバイス)を指し、有機電子パネルとは、そのデバイスの少なくとも1個をバリア性フィルムで封止した素子板(パネル)を指す。
本発明に用いられる有機電子デバイスの基本的構成の概略断面図を図1に示す。
図1中、有機電子デバイス10は、素子基板6上に、第二電極5を有し、第二電極5上に有機機能層4を有し、有機機能層4の上に第一電極3を有するものを基本構成とする。第一電極3および第二電極5には各々リード部8,9を有する。
図2は、本発明に用いられるバリア性フィルムの構成例を示す概略断面図である。
図2(a)は、基材11上に無機バリア層12を有する例であり、同図(b)は、基材11上に2層の無機バリア層12が中間層13を介して積層されている例であり、同図(c)、(d)は、基材11上に2層の無機バリア層12が中間層13を介して積層されており、端部にも無機バリア層14を形成した例である。
図3は、本発明の製造方法により形成された有機電子パネルの概略断面図である。図3(a)は、本発明により形成された有機電子パネル30は、前記有機電子デバイス10の上下を封止部材20で狭持され、封止部材20の無機バリア層12同士は端部が無機接着剤層15により貼合されている。
有機電子デバイス10に接し、上下の封止部材20と無機接着剤層15とで囲まれた領域1は、不活性ガス、例えば窒素ガス等、で充填されているか、或いは硬化性樹脂接着剤で充填されていてもよい。
同図(b)は、本発明により形成された有機電子パネル30の封止部材20が異なる構成を有する例である。基材1上に無機バリア層12a、12bが中間層13を介して2層形成され、対向する2つの無機バリア層12a、12aは端部で無機接着剤層15により貼合されており、中間層13を介して形成された2層の無機バリア層12a、12b同士も端部で無機接着剤層14で封止されている例である。
本発明に用いられる有機電子デバイスの有機機能層4としては、有機発光層、有機光電変換層、液晶ポリマー層などの機能性有機材料層であり、更に他の有機機能層を含んでもよい。本発明は、有機機能層が薄膜でかつ電流駆動系のデバイスである有機発光層や有機光電変換層である場合において、特に有効である。
即ち、本発明に用いられるバリア性フィルムの封止方法は、有機電子デバイスの中でも最もバリア性を必要とする有機EL素子、或いは、有機光電変換素子に適用することが好ましい。
(無機バリア層を貼合する無機接着剤層)
本発明に用いられるバリア性フィルムについて詳細は後述するが、バリア性フィルムは、基材上に少なくとも1層の無機バリア層を有している。本発明においては、有機電子デバイスを、無機接着剤層を介して該無機バリア層で貼合している構成を特徴とするものである。
本発明の無機バリア層および無機接着剤層における無機とは、主鎖が無機元素(O、S、N、P、Si及び/またはその他の金属原子)で構成される無機ポリマーを含んでいることを意図しており、それらの原子には有機基が置換されていても良い。
バリア性フィルムの無機バリア層を貼合する無機接着剤層としては、ケイ素系化合物により形成されたものであることが好ましい。また、この無機接着剤層が形成される領域はデバイスの配線と接する場合が想定されるため絶縁性無機材料であることが好ましい。ケイ素系化合物は透明性が高く、また貼合に用いる際は、生産性の観点から塗布できることが有利となるため、流動性を付与できる点で好ましい。
また、貼合するバリア性フィルムの無機バリア層にケイ素系化合物を含有している場合には、バリア性フィルムと無機接着剤との親和性が向上するのでより好ましい。
(無機バリア層の無機接着剤による貼合方法)
本発明の、バリア性フィルムの無機バリア層に無機接着剤を塗布し貼合する方法の一つの形態としては、2枚のバリア性フィルムの間に有機電子デバイスを狭持し、バリア性フィルムの無機バリア層同士を無機接着剤で貼合する方法であり、もう一つの形態としては、バリア性フィルムの無機バリア層と有機電子デバイスの素子基板が有する無機バリア層とを接着剤で貼合する方法とが挙げられる。
本発明の無機接着剤を塗布し貼合する方法としては、接着剤をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、グラビアコート法、スライドコート法等種々の方法でバリア性フィルムの無機バリア層の上に無機接着剤層を塗布しておき、その上にもう一方のバリア性フィルムの無機バリア層を重ね合わせることにより貼合する方法であっても良く、更には2枚の無機バリア層を予め、ほぼ密着状態となるように対向させ、その2枚の無機バリア層間に接着剤を流し込む或いは毛管現象を利用して浸透させて貼合する方法であってもよい。
また、2枚のバリア性フィルムの間に有機電子デバイスを公知の有機接着剤層を介して狭持し、2枚のバリア性フィルムの端部の無機バリア層同士を無機接着剤で貼合する構造であっても良い。
何れにおいても、本発明においては、有機電子デバイスの周辺無機バリア層と無機接着剤で覆う封止構造とすることにより優れた封止性能が得られ、その結果優れた耐久性を有する有機電子パネルを得ることができたものである。
本発明に用いられる無機接着剤としてはケイ素系化合物を含有することが好ましく、特に好ましいケイ素系化合物としては、例えばポリシラザン化合物が挙げられ、その中でも、ポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布して作製することが好ましい。そして、バリア性の観点からポリシラザン化合物から形成された無機接着剤層は改質処理されることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる「ポリシラザン」とは、珪素−窒素結合を持つポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Siおよび両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
本発明に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2012064378
式中、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基などを表す。
本発明では、得られる無機接着剤層としての緻密性の観点からは、R、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することによりバリア性フィルムの無機バリア層との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)であり、液体または固体の物質であり、分子量により異なる。これらは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザンの別の例としては、上記一般式(1)で表されるポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等が挙げられる。
ポリシラザンを含有する液体を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度、等目的にあわせて選択し、複数の溶剤を混合しても良い。
ポリシラザン含有塗布液中のポリシラザン濃度は目的とするシリカ膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度である。
ポリシラザンは、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換された誘導体であってもよい。
酸化珪素化合物への転化を促進するために、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140などが挙げられる。なかでも、触媒を含有しないパーヒドロポリシラザンからなる、NN120、NN110を用いることが、さらに緻密でバリア性の高い無機バリア層を形成する上で最も好ましい。
また、塗布された膜は溶媒が除去された均一な乾燥膜を得る上で、アニールする態様が好ましい。アニール温度は、好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは70℃〜160℃である。アニール時間は、好ましくは5秒〜24時間程度、更に好ましくは10秒〜2時間程度である。
このように、次工程の改質処理前に、前述した範囲でアニールを行うことにより、均一な塗布膜を安定に得ることができる。
尚、アニールは、一定温度で行ってもよく、段階的に温度を変化させてもよく、連続的に温度を変化(昇温および/または降温)させてもよい。アニールの際には、反応を安定化するために湿度を調節することが好ましく、通常30%RHから90%RH、より好ましくは40%RHから80%RHである。
<改質処理>
ポリシラザンの改質処理としては、水蒸気酸化および/または加熱処理(乾燥処理を含む)、紫外線照射による改質処理等が知られている。しかしいずれの方法も、本発明のような有機電子パネル化した後のデバイスに対しては、ダメージを与えない条件で実施すことが好ましい。例えば、加熱処理や紫外線照射処理の場合は、有機電子デバイスへの熱伝導を抑える、あるいは、紫外線照射の場合は有機電子デバイスをマスクして実施することが好ましい。
加熱の方法は、ヒートブロック等の発熱体に基板を接触させ熱伝導により塗膜を加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより雰囲気を加熱する方法、IRヒーターの様な赤外領域の光を用いた方法等が挙げられるが、特に限定はされない。塗膜の密着性を維持できる方法を適宜選択してもよい。
加熱する温度としては、50℃〜200℃の範囲が好ましく、更に好ましくは80℃〜150℃の範囲であり、加熱時間としては1秒〜10時間の範囲が好ましく、更に好ましくは10秒〜1時間の範囲で加熱することである。
照射する紫外線に関しては、波長は特に限定されるところではないが、紫外光の波長は100nm〜450nmが好ましく、150nm〜300nm程度の紫外光を照射することがより好ましい。
光源は、低圧水銀灯、重水素ランプ、Xeエキシマーランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーなどを用いることができる。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては100mW/cm〜100kW/cm、照射エネルギーとしては10mJ/cm〜5000mJ/cmが好ましく、100mJ/cm〜2000mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照射の際の照度は1mW/cm〜10W/cmが好ましい。ポリシラザン塗布膜に酸化性ガス雰囲気下で紫外線を照射することにより、ポリシラザンが高密度のケイ素酸化物膜、すなわち高密度シリカ膜に転化するが、該シリカ膜の膜厚や密度は紫外線の強度、照射時間、波長(光のエネルギー密度)により制御が可能であり、所望の膜構造を得るためにランプの種類を使い分ける等、適宜選択することが可能である。また、連続的に照射するだけでなく複数回の照射を行ってもよく、複数回の照射が短時間のいわゆるパルス照射で有っても良い。
また、水蒸気酸化、加熱処理(乾燥処理を含む)、紫外線照射による処理等は適宜併用することもできる。またこれらの改質処理をよりソフトに行なうために先に記載した、塗布液への触媒添加も有効である。
<無機バリア層を有するバリア性フィルム>
本発明に用いられるバリア性フィルムは、基材上に無機バリア層を有する。無機バリア層の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法もしくはイオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)等の真空系を用いた原子堆積法やゾルゲル法等の塗布法を用いることができるが生産性および平滑性の観点から塗布法であることが好ましい。
塗布方法は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、グラビアコート法、スライドコート法などの一般的な塗布方法を用いることが可能である。
無機バリア層を構成する材料としては金属酸化物等が好ましく、その中でも、ケイ素系化合物を用いて作製することが好ましく、特にポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布、改質処理して作製することが好ましい。
ポリシラザン化合物については、前述の接着剤の項で説明したものと同様のものを用いることができる。
本発明においては、ポリシラザン化合物から形成された無機バリア層を、接着剤としてポリシラザン化合物を用いて貼合したものが、無機バリア層と接着剤層との親和性が高いことから高い封止性能が得られことがわかった。
バリア性フィルム自体のガスバリア性としては、JIS K 7129B法に従って測定した水蒸気透過率(水蒸気透過度:25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、10−3g/(m・24h)以下であることが好ましく、更に好ましくは10−4g/(m・24h)以下であり、特に好ましくは10−5g/(m・24h)以下である。
また、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過率(酸素透過度)が0.01ml/(m・0.1MPa/day)以下であることが好ましく、より好ましくは0.001ml/(m・0.1MPa/day)以下である。
(ポリシラザン化合物による無機バリア層の形成)
本発明に係るバリア性フィルムの無機バリア層は前述のポリシラザン化合物を塗布し、改質処理によって得られたものであることが好ましい。
ポリシラザン化合物の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
アニール、改質処理についても、接着剤の項で説明した方法が有効に用いられる。
(バリア性フィルムの基材)
バリア性フィルムの基材は、無機バリア層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。また、光学的透明性、耐熱性、無機層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。基材の厚みは5〜500μm程度が好ましく、更に好ましくは25〜250μmである。本発明のバリア性フィルムは発光素子として使用する場合も鑑みて、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが好ましい。また、熱収縮率も低いことが好ましい。
さらに、本発明に係る基材は透明であることが好ましい。基材が透明であり、基材上に形成する無機バリア層も透明であることにより、透明なバリア性フィルムとすることが可能となるため、太陽電池や有機EL素子等の基材とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げたプラスチック等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられるバリア性フィルムの基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となるプラスチックを押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
(有機層)
本発明では、バリア性フィルムの曲げに対する応力を緩和する目的のほかに、突起等が存在する基材の粗面を平坦化し、あるいは、基材に存在する突起により透明無機バリア層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために、有機層を少なくとも基材と無機バリア層の間に設けてもよい。このような有機層は、たとえば感光性樹脂を含有する組成物を塗布乾燥後、硬化させて形成されることが好ましい態様である。
有機層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、有機層の積層位置に関係なく、いずれの有機層においても、製膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
また、感光性樹脂としては、反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に適宜汎用の希釈溶剤を混合することによって固形分を調整したものを用いることができる。
ここで反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001μm〜0.1μmであることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、後述する平均粒子径1μm〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いるときに、光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた平滑層を形成し易くなる。
有機層と無機バリア層との密着性を向上させ、また、基材を湾曲させたり、加熱処理を行った場合のクラックの発生を防止し、バリア性フィルムの透明性や屈折率などの光学的物性を良好に保持する観点から、有機層中には、上述の様な無機粒子を質量比として20%〜60%の範囲で含有することが好ましい。
有機層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、30nm以下であることが好ましい。
本発明における有機層の厚みとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、有機層を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
(封止用のバリア性フィルム1の作製および有機ELパネルの作製)
<バリア性フィルム1の作製>
(基材)
基材として、両面に易接着加工された125μmの厚さのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テトロンO3)を、170℃で30分アニール加熱処理したものを用いた。
(平滑層の形成)
上記基材上に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を塗布、乾燥後の(平均)膜厚が6μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用し、1.0J/cmで光硬化を行い、平滑層を形成した。
(無機バリア層の形成)
〈前駆体層の形成〉
前記平滑層表面に、ケイ素化合物含有液としてパーヒドロポリシラザンを膜厚60nmとなるように濃度調整したジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNAX120−20、(アミン触媒タイプ)と、NN120−20(無触媒タイプ)(混合比4:1)と希釈液:脱水ジブチエーテル)を用い、スピンコート(5000rpm、60秒)にて塗布後、80℃にて10分間乾燥し、ケイ素化合物を含有する前駆体膜を形成した。
〈改質処理〉
その後、MDエキシマ社製のステージ可動型キセノンエキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200を用いて、照射庫内の雰囲気の酸素濃度を、窒素ガスと酸素ガスを用いて0.1%に制御しながら、ステージの移動速度を10mm/秒の速さで試料を往復搬送させて、真空紫外線を照射して改質処理を行った。ピーク照度及び積算光量は、172nmに感度を持つ照度計H9535−172(浜松フォトニクス社製)を用いて測定した。
(処理条件)
エキシマ光強度:120mW/cm(172nm)
積算光量:2000mJ/cm
試料と光源の距離:3mm
ステージ加熱温度:25℃(室温)
上記前駆体層の形成および改質処理を、計2度繰り返し、ケイ素系化合物の二層構成のバリア性フィルム1を作製した。(図2(b)参照)。
得られたバリア性フィルム1の水蒸気透過率は、5×10−4g/m/dayであった。
<有機ELパネル1の作製>
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、素子作製サイズ(有機EL素子より四方5mmずつ大きい)に加工された鋭利なステンレス製枠を、バリア性フィルム1上に押し当てカットし、繰り抜き部分2枚をバリア膜として用い、無機バリア層を設けた面に、スペーサー粒子としてシリカ球形粒子(平均粒径30μm)を含有するエポキシ系光硬化型接着剤(スリーボンド社製、商品名:3113B)を、有機EL素子の周縁部となる領域(素子端より1mm外枠、幅2mm)にシール材として塗布して封止用フィルムを作製した。
次いで、下記により作製した有機EL素子を、上記接着剤層を塗布した二枚のバリア性フィルム1の接着剤塗布面の間に挟み周縁部を密着させた後、片側の基材側からUV光を照射して上記接着剤層を硬化させて有機ELパネル1を作製した。
<有機EL素子の作製方法>
本発明に用いられる有機EL素子の作製方法を下記に示す。
尚、有機EL素子の素子基板として、上記で作製したバリア性フィルム1を用いた。
バリア性フィルム1の無機バリア層の上に厚さ150nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
<正孔輸送層の形成>
第1電極層が形成されたバリア性フィルム1の第1電極層の上に、以下に示す正孔輸送層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し正孔輸送層を形成した。正孔輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが50nmになるように塗布した。
正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に、バリア性フィルム1の洗浄表面改質処理を、波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm、距離10mmで実施した。帯電除去処理は、微弱X線による除電器を使用し行った。
(塗布条件)
塗布工程は大気中、25℃相対湿度50%の環境で行った。
(正孔輸送層形成用塗布液の準備)
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。
(乾燥および加熱処理条件)
正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に送風し、温度100℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置を用い温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
<発光層の形成>
引き続き、正孔輸送層迄を形成したバリア性フィルム1の正孔輸送層の上に、以下に示す白色発光層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し発光層を形成した。白色発光層形成用塗布液は乾燥後の厚みが40nmになるように塗布した。
(白色発光層形成用塗布液)
ホスト材のH−Aを1.0gと、ドーパント材D−Aを100mg、ドーパント材D−Bを0.2mg、ドーパント材D−Cを0.2mg、100gのトルエンに溶解し白色発光層形成用塗布液として準備した。
Figure 2012064378
(塗布条件)
塗布工程を窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
(乾燥および加熱処理条件)
白色発光層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に送風し、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、温度130℃で加熱処理を行い、発光層を形成した。
<電子輸送層の形成>
引き続き、発光層迄を形成したのち、以下に示す電子輸送層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し電子輸送層を形成した。電子輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが30nmになるように塗布した。
(塗布条件)
塗布工程は窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、電子輸送層形成用塗布液の塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
(電子輸送層形成用塗布液)
電子輸送層はE−Aを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解し0.5質量%溶液とし電子輸送層形成用塗布液とした。
Figure 2012064378
(乾燥および加熱処理条件)
電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に送風し、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で温度200℃で加熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
<電子注入層の形成>
引き続き、形成された電子輸送層の上に電子注入層を形成した。まず、各層が形成された素子基板を減圧チャンバーに投入し、5×10−4Paまで減圧した。あらかじめ、真空チャンバーにタンタル製蒸着ボートに用意しておいたフッ化セシウムを加熱し、厚さ3nmの電子注入層を形成した。
<第2電極の形成>
引き続き、形成された電子注入層の上に第1電極の上に取り出し電極になる部分を除き、形成された電子注入層の上に5×10−4Paの真空下にて第2電極形成材料としてアルミニウムを使用し、取り出し電極を有するように蒸着法にて、発光面積が50mm平方になるようにマスクパターン成膜し、厚さ100nmの第2電極を積層した。
(裁断)
第2電極まで形成したバリア性フィルム1を、再び窒素雰囲気に移動し、規定の大きさに高エネルギーレーザーによるアブレーション加工により裁断し、有機EL素子を作製した。
(電極リード接続)
作製した有機EL素子に、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製異方性導電フィルムDP3232S9を用いて、フレキシブルプリント基板(ベースフィルム:ポリイミド12.5μm、圧延銅箔18μm、カバーレイ:ポリイミド12.5μm、表面処理NiAuメッキ)を接続した。
圧着条件:温度170℃(別途熱伝対を用いて測定したACF温度140℃)、圧力2MPa、10秒で圧着を行った。
<有機ELパネル2の作製>
サンプル1において、<有機EL素子の封止>の工程を以下のように変えて実施した。
サンプル1の作製で記載したバリア性フィルム2枚の、無機バリア層を設けた表面の一部にマスクを用いて、クロム、金、を蒸着し、その上にインジウムを溶融接着した。
次いで、窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、上記の有機EL素子を、上記二枚のバリア性フィルム試料のインジウム塗布面の間に挟み込んで、300nm以上のレーザー光を照射することにより、溶融密着させた。
尚、このバリア性フィルム間を金属材料による封止方法は、外部から有機ELパネルへの電力供給用のリード部が、該封止用金属材料により短絡することになるため、リード部の封止は別途有機接着剤を用いた。バリア性フィルム間を無機金属材料のみで連続的に接合できないために、接合工程が煩雑になり、バリア性も低下するという問題があった。
<有機ELパネル3の作製>
有機ELパネル1において、<有機EL素子の封止>の工程を以下のように変えて実施した。
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、有機EL素子を、上記2枚のバリア性フィルム試料の無機バリア層形成面を内側にして、スペーサー粒子(SiO球形粒子、平均粒径30μm)を介して挟み込み、エポキシ系光硬化型接着剤の代わりに、ポリシラザンのジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNN120−20)を浸透させ塗布した。その後、有機EL素子部分をマスクし、上記MDエキシマ社製のステージ可動型キセノンエキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200を用いて、真空紫外光を照射して二枚のバリア性フィルムを接着した。
<有機ELパネル4の作製>
有機ELパネル3において、以下のバリア性フィルムを用いて作製した。
バリア層を、ポリシラザン塗布・改質膜の代わりに大気圧プラズマCVD(化学蒸着法)にてSiOを100nm積層した以外は同様にして有機ELパネル4を作製した。
<有機ELパネル5の作製>
有機ELパネル1を作製後にさらに、バリア性フィルム間にポリシラザンのジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNN120−20)を浸透させ塗布した。その後、有機EL素子部分をマスクし、上記MDエキシマ社製のステージ可動型キセノンエキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200を用いて、真空紫外光を照射して2枚のバリア性フィルムを接着した。
<有機ELパネル6の作製>
有機ELパネル5の作製において、バリア性フィルム間にポリシラザンのジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNAX120−20)と、有機ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、MHPS)を4:1で混合した溶液を供給した以外は有機ELパネル5と同様にして有機ELパネル6を作製した。
<有機ELパネル7の作製>
有機ELパネル5の作製において、バリア性フィルム間にポリシラザンのジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNAX120−20)と、アクリル樹脂(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、BR101)を4:1で混合した溶液を浸透させ塗布した以外は有機ELパネル5と同様にして有機ELパネル7を作製した。
<有機ELパネル8の作製>
有機ELパネル5の作製において、バリア性フィルム間にポリシラザンのジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNAX120−20)を浸透させ塗布した以外はサンプル5と同様にして有機ELパネル8を作製した。
<有機ELパネル9の作製>
有機ELパネル8の作製において、シール材として、エポキシ系光硬化型接着剤に換え、アクリル樹脂(スリーボンド製3025G)を用いた以外は有機ELパネル8と同様にして有機ELパネル9を作製した。
<有機ELパネル10の作製>
有機ELパネル8の作製において、バリア性フィルムとして、ポリシラザン塗布・改質膜の代わりに、無機バリア層をAlをスパッタリング蒸着によって100nm製膜したフィルム(水蒸気透過率:5×10−4g/m/day)を用いた以外同様にして、有機ELパネル10を作製した。
<有機ELパネル11の作製>
有機ELパネル8において、バリア性フィルムとして、厚さ50μmの薄膜ガラス(水蒸気透過率:1×10−4g/m/day以下)を用いた以外同様にして、有機ELパネル11を作製した。
<有機ELパネル12の作製>
有機ELパネル8において、バリア性フィルム1を以下のバリア性フィルム2に変えて実施した。
〈バリア性フィルム2の作製〉
基材および平滑層の形成は、バリア性フィルム1と同様に行った。
(無機バリア層の形成)
前記、平滑層表面に、ケイ素系化合物含有液としてパーヒドロポリシラザンを60μm膜厚となるように濃度調整したジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNAX120−20(アミン触媒タイプ)とNN120−20(無触媒タイプ)(混合比4:1)および希釈液:脱水ジブチエーテル)を用い、スピンコート(5000rpm、60秒)にて塗布後、80℃にて10分間乾燥し、ケイ素化合物を含有する前駆体膜を形成した。
その後、MDエキシマ社製のステージ可動型キセノンエキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200を用いて、照射庫内の雰囲気の酸素濃度を窒素ガスと酸素ガスを用いて0.1%に制御しながら、ステージの移動速度を10mm/秒の速さで試料を往復搬送させて、真空紫外線を照射して前駆体膜の改質処理を行なった。ピーク照度及び積算光量は、照度計H9535−172(浜松フォトニクス社製)を用いて測定した。
(条件)
エキシマ光強度:120mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:3mm
ステージ加熱温度:25℃(室温)
上記改質膜(無機バリア層)の表面に、UV硬化性のアクリル樹脂(Z7501)を塗布し、UV照射することにより、300nm膜厚の樹脂層(中間層)を形成した。
次いで、前記樹脂層(中間層)の上に前記前駆体膜の形成および改質処理を同様にもう一度繰り返し、ケイ素系化合物を含有する無機バリア層の間に中間層を挟む3層構成のバリア性フィルム2(水蒸気透過率:2×10−4g/m/day)(図2(c)参照)を作製した。
このバリア性フィルム2を、素子作製サイズに2枚カットし、有機ELパネル8同様に有機EL素子を封止した。更に、フィルム間にポリシラザン溶液を浸透させて塗布する際に、各フィルムの側面も被覆するように、ディスペンサを操作し、有機ELパネル12を作製した(図3(b)参照)。
(無機接着剤層の確認)
無機接着剤層の断面観察は、収束イオンビーム(FIB)加工装置(エスエスアイナノテクノロジー製SMI2050)を用いて、薄片を作製後、透過型電子顕微鏡(TEM 日本電子製JEM2010F)およびエネルギー分散型X線分析装置(EDX サーモノーラン製SISTEM SIX)を用いて断面観察、元素分析を行った。この結果、本実施例の構成では、バリア性フィルム表面間には接着剤層が形成され、無機元素(具体的にはSi或いはAl)が連続的に存在することを確認した。
<有機ELパネルの評価>
(耐久性の評価)
上記のように作製した各有機ELパネルを、45℃90%RH環境下、1mA/cmの電流を印加し、300時間連続発光させた後、各素子発光部をデジタル画像で撮影し、画像処理ソフトを用いて画像を二値化し、発光部と非発光部の面積比を算出し、以下のランクにより耐久性を評価した。
◎:90%以上
○:60%以上、90%未満
△:20%以上、60%未満
×:20%未満
Figure 2012064378
本発明のバリア性フィルムが無機接着剤層で貼合された試料は、従来の有機接着剤層(有機ELパネル1)や金属融着したもの(有機ELパネル2)に比べ優れた性能を示すことが分かる。また、無機バリア層と無機接着剤層がSi系同士であることがより好ましいことが分かる。
1 領域
3 第一電極
4 有機機能層
5 第二電極
6 素子基板
10 有機電子デバイス
11 基材
12、12a、12b 無機バリア層
13 中間層
14 無機接着剤層
15 無機接着剤層
16 有機接着剤層
20 封止部材
30 有機電子パネル

Claims (4)

  1. 基材上に少なくとも一層の無機バリア層を有するバリア性フィルムを用いて有機電子デバイスを封止する有機電子パネルの製造方法であって、該無機バリア層を無機接着剤層を介して貼合し、該無機接着剤層が塗布により形成されたことを特徴とする有機電子パネルの製造方法。
  2. 前記無機接着剤層がケイ素系化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電子パネルの製造方法。
  3. 前記無機接着剤層が、ポリシラザンを含む液体を塗布、改質処理により形成されたことを特徴とする請求項2に記載の有機電子パネルの製造方法。
  4. 前記無機バリア層が、ケイ素系有化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の有機電子パネルの製造方法。
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