JP2014152272A - 硬化性樹脂組成物、バリア膜の形成方法及びデバイスの封止方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子内にシロキサン結合及び重合性基を有する硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤とを含有し、硬化後の硬化物は、レーザー光を照射されることにより表面にSiO2層からなるバリア膜を形成する硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
有機薄膜素子を封止する方法としては、従来、内部に吸水剤を設けたメタル缶によって封止する方法が用いられてきた。しかしながら、メタル缶により封止する方法では、有機光デバイスを薄型化することが困難となる。そこで、メタル缶を使用しない有機薄膜素子の封止方法の開発が進められている。
以下に本発明を詳述する。
そこで本発明者は、硬化性樹脂として、分子内にシロキサン結合及び重合性基を有する硬化性樹脂を用いることにより、該硬化性樹脂と重合開始剤及び/又は熱硬化剤とを含有する硬化性樹脂組成物が、硬化後の硬化物にレーザー光を照射することにより表面にSiO2層を形成し、該SiO2層は、水蒸気や酸素等の気体のバリア性、及び、耐衝撃性に優れるバリア膜となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物で被保護物を封止した際、レーザー光によってSiO2変性されなかった部分は、応力緩和性に優れるものとなる。また、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の表面にレーザー光を照射して形成されるバリア膜においても、該バリア膜はレーザー光によってシロキサン結合の側鎖が開裂してSiO2変性したものであるため、形成時に熱による応力が生じ難く、耐衝撃性に優れるものとなる。
上記式(1)中、R2、R3、及び、R4で表される重合性基を含む基としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−5)で表される基が好ましい。
上記重合開始剤及び熱硬化剤は、上記分子内にシロキサン結合及び重合性基を有する硬化性樹脂の重合性基の種類、及び、得られる硬化性樹脂組成物の用途に応じて適宜選択される。
例えば、上記重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、及び、ビニルエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種である場合、上記熱硬化剤、及び/又は、上記重合開始剤として、カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。また、上記重合性基が、(メタ)アクリロイル基である場合、上記重合開始剤としてラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
また、熱活性だけでなく光活性も有している熱カチオン重合開始剤として、例えば、SbF6系又はPF6系のサンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)等が挙げられる。
これらの市販されている熱カチオン重合開始剤の中でも、得られる硬化性樹脂組成物の硬化反応を100℃以下で進行させることができることから、サンエイドSIシリーズのサンエイドSI−60を用いることが好ましい。
これらの熱カチオン重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等が挙げられる。
上記ヨードニウム塩としては、例えば、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
上記スルホニウム塩としては、例えば、ジフェニル−4−チオフェニルスルホニウム−ヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
上記非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスホナート等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤のなかでも、ジフェニル−4−チオフェニルスルホニウム−ヘキサフルオロアンチモネートが好ましい。これらの光カチオン重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、p−アミノベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。
上記アセトフェノン系化合物としては、例えば、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
上記ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
上記アゾ系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
上記ジアゾ系化合物としては、例えば、ジアゾアミノベンゼン等が挙げられる。
上記チオキサントン系化合物としては、例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
また、その他の上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、4,4’−ジアジドスチルベン−p−フェニレンビスアジド、アシルホスフィンオキサイド、ジフェニルエタンジオン、カンファーキノン、アントラキノン、ミヒラーケトン等が挙げられる。なかでも、溶解性が高いことから、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(市販されているものとしては、例えば、IRUGACURE184(BASF社製))が好ましい。これらの光ラジカル重合開始剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記無機充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト活性白土等が挙げられる。なかでも、球状の無機充填剤が好ましく、球状のシリカがより好ましい。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物を、内側シール剤等の用途に用いる場合は、通常、上記無機充填剤を配合せず、配合する場合でも可視光の波長以下の大きさのものが用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を光照射及び/又は加熱により硬化させ、硬化物を得る工程、及び、上記硬化物の表面にレーザー光を照射し、上記硬化物の表面をSiO2変性させる工程を有するバリア膜の形成方法もまた、本発明の1つである。
なお、上記レーザー光のエネルギーは、上記分子内にシロキサン結合及び重合性基を有する硬化性樹脂のシロキサン結合の結合エネルギーよりも小さい必要があるが、該シロキサン結合の結合エネルギーは、該シロキサン結合の側鎖の結合エネルギーよりも充分大きいので、波長が400nm以下のレーザー光であれば、シロキサン結合の側鎖を開裂し、有機基を脱離させてSiO2層を適切に形成させることができる。
具体的には、上記レーザー光のエネルギー密度は、1J/cm2以上であることが好ましい。上記レーザー光のエネルギー密度が1J/cm2以上であることにより、透明で良好なSiO2層を形成することができる。上記レーザー光のエネルギー密度は、10J/cm2以上であることがより好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物を、被保護物の周囲に塗布する工程、塗布した上記硬化性樹脂組成物を光照射及び/又は加熱により硬化させ、硬化物を得る工程、及び、上記硬化物の表面にレーザー光を照射し、上記硬化物の表面をSiO2変性してバリア膜を得る工程を有するデバイスの封止方法もまた、本発明の1つである。
以下、これらのデバイスの封止方法を併せて「本発明の封止方法」ともいう。
(硬化性樹脂組成物の作製)
分子内にシロキサン結合及び重合性基としてエポキシ基を有する硬化性樹脂としてエポキシ系変性シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、「KF−102」、式(1)におけるR1、R2、R3がメチル基、R4が式(2−2)で表される基(R5はエチレン基)、mが20、nが0、官能基当量が3600である硬化性樹脂)100重量部、重合開始剤として光カチオン重合開始剤(ADEKA社製、「アデカオプトマーSP170」)2重量部、及び、球状の無機充填剤としてシリカ粒子(日本アエロジル社製、「RX−200」)10重量部を混合し、ホモディスパー型攪拌混合機(プライミクス社製、「ホモディスパーL型」)を用い、攪拌速度3000rpmで均一に攪拌混合して、硬化性樹脂組成物を作製した。
ガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)を10mm×10mmの角型にくりぬいたマスクとともに真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にカルシウム金属200mgを入れ、真空蒸着装置の真空チャンバー内を1×10−4Paまで減圧した。その後、カルシウム金属の入った坩堝を加熱し、ガラス基板上に金属カルシウムを20Å/sの速度で0.1μmの厚みに成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、10mm×10mmの領域に金属カルシウムが蒸着されたガラス基板を取り出した。
乾燥窒素中で、金属カルシウムが蒸着されたガラス基板の周辺部に、作製した硬化性樹脂組成物をディスペンスし、もう1枚のガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)を、金属カルシウムを挟持するように真空で貼り合せた後、超高圧水銀ランプにて波長365nm、積算光量3000mJ/cm2の紫外線を照射し、次いで、80℃で30分間加熱して硬化性樹脂組成物を硬化させた。
貼り合わせたガラス基板を真空ポンプ及び酸素ガスを供給するバルブが接続された密閉容器内に配置した。密閉容器内を4×10−5Torrに減圧し、次いで、密閉容器内の酸素ガス圧が10−1Torrとなるよう酸素ガス供給バルブから酸素ガスを供給した。その後、水晶で形成された密閉容器の入射窓よりArFレーザー装置でエネルギー密度10J/cm2のArFエキシマレーザーを、貼り合わせたガラス基板の側面から硬化性樹脂組成物の硬化物の外気と触れる部分に照射し、封止体を作製した。
分子内にシロキサン結合及び重合性基としてメタクリロイル基を有する硬化性樹脂としてメタクリル系変性シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、「X−22−164E」、式(1)におけるR1、R2、R3がメチル基、R4が式(2−5)で表される基(R5はプロピレン基、R8はメチル基)、mが50、nが0、官能基当量3900である硬化性樹脂)100重量部、重合開始剤として光ラジカル重合開始剤(BASF社製、「IRGACURE184」)2重量部、及び、球状の無機充填剤としてシリカ粒子(日本アエロジル社製、「RX−200」)10重量部を混合し、ホモディスパー型攪拌混合機(プライミクス社製、「ホモディスパーL型」)を用い、攪拌速度3000rpmで均一に攪拌混合して、硬化性樹脂組成物を作製した。
作製した硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして封止体を作製した。
エポキシ系変性シリコーン樹脂に代えて、分子内にシロキサン結合及び重合性基としてオキセタニル基を有する硬化性樹脂としてオキセタン変性シリケート樹脂(東亞合成社製、「OXT−191」、式(1)におけるR1、R2、R3が式(2−3)で表される基(R6はエチレン基)、mが5、nが0、官能基当量が3600である硬化性樹脂)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
作製した硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして封止体を作製した。
エポキシ系変性シリコーン樹脂に代えて、分子内にシロキサン結合を有しない樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、「jER 828」)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
作製した硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして封止体を作製した。
実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を作製した。
実施例1と同様にして「(カルシウム蒸着)」及び「(基板貼り合わせ)」を行い、「(レーザー照射)」を行わずに封止体を作製した。
(バリア性)
実施例、比較例及び参考例で得られた封止体を85℃、85%RHの環境下で100時間暴露した後のカルシウム金属の状態を観察した。カルシウム部分に変化がなかった場合を「○」、カルシウム部分に白色の変化がみられた場合を「×」としてバリア性を評価した。結果を表1に示した。
Claims (9)
- 分子内にシロキサン結合及び重合性基を有する硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤とを含有し、
硬化後の硬化物は、レーザー光を照射されることにより表面にSiO2層からなるバリア膜を形成する
ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - 硬化性樹脂の有する重合性基は、エポキシ基、オキセタニル基、及び、ビニルエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種であり、
熱硬化剤、及び/又は、重合開始剤としてカチオン重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。 - 硬化性樹脂の有する重合性基は、(メタ)アクリロイル基であり、
重合開始剤としてラジカル重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。 - 球状の無機充填剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物を光照射及び/又は加熱により硬化させ、硬化物を得る工程、及び、
前記硬化物の表面にレーザー光を照射し、前記硬化物の表面をSiO2変性させる工程を有する
ことを特徴とするバリア膜の形成方法。 - レーザー光は、波長が200nm以下であることを特徴とする請求項5記載のバリア膜の形成方法。
- 請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物を、2枚の防湿性基材の少なくとも一方の周辺又は全面に塗布する工程、
前記2枚の防湿性基材を、塗布した前記硬化性樹脂組成物及び被保護物を介して貼り合わせる工程、
前記硬化性樹脂組成物を光照射及び/又は加熱により硬化させ、硬化物を得る工程、及び、
前記硬化物の表面にレーザー光を照射し、前記硬化物の表面をSiO2変性させてバリア膜を得る工程を有する
ことを特徴とするデバイスの封止方法。 - 請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物を、被保護物の周囲に塗布する工程、
塗布した前記硬化性樹脂組成物を光照射及び/又は加熱により硬化させ、硬化物を得る工程、及び、
前記硬化物の表面にレーザー光を照射し、前記硬化物の表面をSiO2変性させてバリア膜を得る工程を有する
ことを特徴とするデバイスの封止方法。 - レーザー光は、波長が200nm以下であることを特徴とする請求項7又は8記載のデバイスの封止方法。
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