JP5555532B2 - 有機el素子用封止剤及び有機el素子 - Google Patents
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そこで従来は、透湿度を指標として防湿性の高い接着剤が選択され用いられてきたが、このようにして選択された接着剤を用いて有機EL表示素子を封止しても期待されたほど高い防湿性は得られなかった。
以下に本発明を詳述する。
上記カチオン重合性化合物は、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び、アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有する。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、上記ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び、上記アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有することにより、本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化物の耐湿性が極めて高いものとなる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、上記ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び、上記アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂は通常、25℃において固形状であるため、上記カチオン重合性化合物として上記25℃で液状の芳香族環状骨格を有するエポキシ樹脂と混合することにより、硬化物の耐湿性を向上させる効果を阻害することなく低粘度の樹脂混合物を得ることができる。
また、上記一般式(4)で表される化合物において、上記R5及び上記R6は、水素、メチル基、又は、エチル基であることがより好ましい。上記R5及び上記R6が、水素、メチル基、又は、エチル基であることにより、得られる光硬化性樹脂組成物の硬化物の耐光性を向上させることができ、かつ、耐湿性を更に向上させることができる。なかでも、上記R5及び上記R6は、メチル基であることが特に好ましい。
上記光カチオン重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、イオン性光酸発生型であってもよいし、非イオン性光酸発生型であってもよい。
なかでも、下記一般式(5)で表されるオニウム塩が好適である。上記光カチオン重合開始剤として下記一般式(5)で表されるオニウム塩を用い、かつ、増感剤として後述する一般式(7)で表されるベンゾフェノン誘導体を用いることにより、得られる光硬化性樹脂組成物の光や熱による着色を抑制することができる。
式(5)中、X−は、PF6 −、AsF5 −、BF4 −、又は、下記化学式(6)で表されるボロン酸を表す。
上記無機フィラーは特に限定されず、例えば、タルク、石綿、シリカ、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト活性白土等が挙げられる。
上記ポリエーテル化合物は特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、クラウンエーテル化合物等が挙げられる。なかでも、クラウンエーテル化合物が好適である。
上記シクロヘキシル基を有する上記一般式(9)で表される構造を有する硬化遅延剤としては、具体的には例えば、下記化学式(10)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
上記熱硬化剤を含有することで、本発明の光硬化性樹脂組成物に熱硬化性を付与することができる。
上記ヒドラジド化合物は特に限定されず、例えば、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]等が挙げられる。
上記イミダゾール誘導体は特に限定されず、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記酸無水物は特に限定されず、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコールービス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。
これらの熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
なお、上記粘度の測定に用いるコーンローター式粘度計は特に限定されず、例えば、TV−22型(東機産業社製)等が挙げられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を硬化させるために照射する光としては、300nm〜400nmの波長及び300〜3000mJ/cm2の積算光量の光が好適に用いられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化に際しては、カチオン重合性化合物の光カチオン重合をより促進して、硬化時間をより短縮するために、光照射と同時に加熱を行ってもよい。上記加熱を行う場合の加熱温度は特に限定されないが、50〜100℃程度であることが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いてなる有機EL素子用封止剤もまた、本発明の1つである。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物及び/又は本発明の有機EL素子用封止剤を用いて製造される有機EL素子もまた、本発明の1つである。
カチオン重合性化合物として、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂A(三菱化学社製、「jER YX4000H」)30重量部、及び、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製、「jER 806」、25℃で液状)70重量部と、ヨードニウムボレート系の光カチオン重合開始剤(ローディア社製、「RP2074」)1重量部と、無機フィラーとしてタルク(日本タルク社製、「ミクロエースP4」)50重量部と、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、「KBM−403」)1重量部と、増感剤として4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド(日本化薬社製、「KAYACURE BMS」)0.1重量部とを混合し、80℃に加熱した後、ホモディスパー型攪拌混合機(プライミクス社製、「ホモディスパーL型」)を用い、攪拌速度3000rpmで均一に攪拌混合して、光硬化性樹脂組成物を作製した。
用いた材料及び配合量を表1、2に示したものに変更したこと以外は実施例1と同様にして、光硬化性樹脂組成物を得た。
なお、表1、2におけるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂BとしてはjER YL6121(三菱化学社製)を用い、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂としてはEPICRON HP−4032D(DIC社製)を用い、アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂としてはjER YX8800(三菱化学社製)を用い、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてはjER YX8000(三菱化学社製、25℃で液状)を用い、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンとしてはETERNACOLL EHO(宇部興産社製、25℃で液状)を用いた。
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
コーンローター式粘度計(東機産業社製、「TV−22型」)により、25℃、2.5rpmの条件における粘度を測定した。
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物を10mLシリンジ(武蔵エンジニアリング社製)に充填し、シリンジの先端に精密ノズル(武蔵エンジニアリング社製、ノズル先端径0.05mm)を取り付け、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOT MASTER300」)を用いて、吐出圧0.4MPaで光硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗工した。きれいな線が引けた場合を「○」、シリンジの先端から液が落ちたり、粘度が高すぎて吐出できなかったりした場合を「×」として塗工性を評価した。
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物を100μm厚となるように、ベーカー式アプリケーターにて恒温プレート上に塗布した。その後、高圧水銀灯にて波長365nmの紫外線を1500mJ/cm2照射したのち、80℃にて30分加熱しフィルムを得た。
得られたフィルムを所定の大きさ(60mmφ)に切断し、塩化カルシウムが入れられたJIS Z 0208に規定されたカップの上に設置し周辺をロウで密閉した。このカップを、85℃、85%RHにて24時間放置した後の重量変化を求めて透湿度を算出した。
実施例及び比較例で製造した光硬化性樹脂組成物について、以下に示す有機EL素子を作製し、発光状態を評価した。
ガラス基板(25mm×25mm、厚さ0.7mm)にITO電極を100nmの厚さで成膜したものを透明支持基板とした。透明支持基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV−オゾンクリーナ(NL−UV253、日本レーザー電子社製)にて直前処理を行った。
次に、この透明支持基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)を200mg、他の異なる素焼き坩堝にトリス(8−ヒドロキシキノリラ)アルミニウム(Alq3)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10−4Paまで減圧した。その後、α−NPD入りの坩堝を加熱し、α−NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。
次いでAlq3の入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で(Alq3)膜を形成した。その後、透明支持基板を別の真空蒸着装置に移し、この真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mg、別のタングステン製ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空槽を2×10−4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で200Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し透明支持基板を取り出して有機EL素子基板を得た。
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物をガラス製背面板に塗工装置にて50μmの厚さに全面塗布し、高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2000mJ/cm2となるように照射した。この基板を作製した有機EL素子基板と窒素雰囲気中で貼り合わせた後、10分間放置し、80℃で30分間加熱して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、有機EL素子を製造した。
得られた有機EL素子を温度60℃、湿度90%の条件下に100時間暴露した後、6Vの電圧を印加し有機EL表示装置の発光状態(発光及びダークスポット、画素周辺消光の有無)を目視で観察した。ダークスポットや周辺消光がなく均一に発光していた場合を「◎」、輝度に僅かな低下が見られるが、ダークスポットや周辺消光はなく均一に発光していた場合を「○」、一部にダークスポットがあったり、わずかな周辺消光があったりした場合を「△」、全面にダークスポットがあったり、顕著な周辺消光があったりした場合を「×」として発光状態を評価した。
Claims (2)
- カチオン重合性化合物と光カチオン重合開始剤とタルクとを含有する光硬化性樹脂組成物を用いてなる有機EL素子用封止剤であって、
前記カチオン重合性化合物は、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び、アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂と、25℃で液状の芳香族環状骨格を有するエポキシ樹脂とを含有し、
前記カチオン重合性化合物中における前記ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、前記ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び、前記アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂の合計の含有量が20〜50重量%、かつ、25℃で液状の芳香族環状骨格を有するエポキシ樹脂の含有量が50〜80重量%であり、
前記カチオン重合性化合物100重量部に対する上記タルクの配合量が30〜70重量部である
ことを特徴とする有機EL素子用封止剤。 - 請求項1記載の有機EL素子用封止剤を用いて製造されることを特徴とする有機EL素子。
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